JP2962293B2 - コルビノ型磁気センサ - Google Patents

コルビノ型磁気センサ

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JP2962293B2 JP9287289A JP28728997A JP2962293B2 JP 2962293 B2 JP2962293 B2 JP 2962293B2 JP 9287289 A JP9287289 A JP 9287289A JP 28728997 A JP28728997 A JP 28728997A JP 2962293 B2 JP2962293 B2 JP 2962293B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造および製造プ
ロセスが簡単で、特に微少磁場において高い感度が得ら
れるコルビノ型磁気センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】コルビノ型磁気センサとは、図8に示し
たように中心電極51とリング状電極52を有し、それ
ら電極間に配置した半導体磁気抵抗材料53の抵抗変化
により磁場を検知するものである(1991年、フィジ
カリッシュ・ツァイトシュリフト、第12巻、561頁
(Physikalishche Zeitschri
ft,12(1991)561))。中心電極51とリ
ング上電極52との間に電流を流すと、電流パス54に
示された経路で電流が流れる。コルビノの円板に垂直に
かかる磁場が存在した場合は、磁場によるローレンツ力
による電流パスは円弧を描き、電流パス55に示された
経路で電流が流れる。よって磁場が存在する場合は、存
在しない場合と比較して長い電流パスをキャリアは通ら
なければならない。キャリアのドリフト速度はローレン
ツ力によっても加速されるが、散乱による減速効果のた
めドリフト速度増大に制限がかかるため、結果として中
心電極51とリング状電極52の間の抵抗は磁場の印加
と共に増加する。
【0003】この時の抵抗変化率は磁気抵抗比(MR
比)と呼ばれ、キャリアの移動度をμ、印加磁場の磁束
密度をBとして、MR比=△ρ/ρ=μ22と表され
る。ただし、ρは比抵抗、△ρは磁場による比抵抗の変
化分である。よって、MR比は磁場の二次の関数である
ことがわかる。したがって、磁場の向きが反対であった
としても対称な特性が得られる。
【0004】特願平9−204923号では、磁場の向
きに対して対称ではない特性を有するコルビノ型磁気セ
ンサが提案されている。磁気抵抗材料に不均一性を導入
することにより、磁場特性の非対称性を得ている。この
場合、外部バイアスを印加しなくてもゼロ磁場近辺で感
度が得られる。この従来発明では、MR特性があたかも
外部バイアスを印加したのと同じように、ゼロ磁場から
一定の磁場量だけシフトした特性を示しており、このシ
フトを自己バイアスと名付けている。また、磁気センサ
からの出力のうち、バイアス成分や磁場以外による変動
成分(たとえば温度に起因した変動成分)を取り除くた
めに、4辺ブリッジ回路により磁気センサを構成する場
合がある。コルビノ型磁気センサではないが、強磁性体
の巨大磁気抵抗材料を用いて4辺ブリッジの磁気センサ
が「1995年、フィジックス・トゥデイ、48巻、2
6頁(Physics Today,48(1995)
26)」に報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】通常のコルビノ型磁気
センサにおいては、MR特性が磁場の二乗に比例するこ
とから、ゼロ磁場近辺では感度が得られなくなる。これ
は、MR比=μ22から単位磁場あたりのMR比(MR
曲線の傾き)を求めると、2μ2Bとなり、B=0にお
いてはMR曲線の傾きもゼロになり、磁場が多少変化し
ても抵抗変化が現れなくなることによる。
【0006】これを解決する方法として外部からバイア
ス磁場を印加する方法がある。しかし、外部バイアスの
存在は測定磁場を乱す可能性がある。例えば、あるスト
リップ線に流れる微少電流から生じる磁場を測定する場
合、外部バイアスを持つ磁気センサを近づけることによ
り、ストリップ線に誘導電流が流れ、これが測定磁場を
乱すことになる。また、磁気センサが固定されていたと
しても、ストリップ線の中を移動するキャリアは、外部
バイアスがもたらす磁場によりローレンツ力を受けるこ
とになり、被測定系に影響を及ぼしてしまう。
【0007】微少磁場での感度を向上させるためには外
部バイアスを増加させる必要がある一方、測定磁場が微
少であるほど外部バイアスによる影響がより問題とな
る。
【0008】このような点を鑑みると、外部バイアスと
同じ様な効果を持ち、かつそれ自身では磁場が発生しな
いような自己バイアスが理想的である。しかし、従来発
明における自己バイアスは制御が甚だ困難である。特
に、センサのサイズが1μm〜1000オングストロー
ムの微細な領域に組成変動を制御しながら磁気抵抗層を
積層することは現在の技術では非常に困難である。
【0009】よしんば、偶然にしろ意図的にしろ組成変
動を導入できたとしても、それにより自己バイアスを制
御できるとは限らない。コルビノの円板とそれを垂直に
貫く磁界との関係は、磁場の向きにかかわらず本質的に
等価であるため、コルビノ円板中に不均一性(例えば組
成不均一)が存在したとしても、自己バイアスが正の量
として現れるのか負の量として現れるのかは確定せず、
他の諸因子によっても変動するからである。また、組成
変動による方法では自己バイアス量の温度依存性があ
り、これが磁気センサの温度安定性を劣化させてしまう
という問題もある。したがって、自己バイアスを制御す
るには、上述した組成変動の導入とは異なる根本的に別
の方法が必要となる。
【0010】また従来のコルビノ型磁気センサは、構造
上、製造が困難であるという問題があった。これは周囲
から遊離している中心電極の存在によるものである。コ
ルビノ型磁気センサでは、磁気抵抗材料として半導体を
用い一貫工程で成長を行うため、その工程の途中にフォ
トリソグラフィによるパターニングの工程を含めること
はできない。したがって、前記従来発明のコルビノ型磁
気センサの製造プロセスでは、パターニングされた半導
体層の上にパターニングされた中心電極を積層し、さら
にパターニングされた半導体層を積層するという工程に
なっているが、このプロセスの実現は簡単なことではな
い。また、単純なコルビノ円板であれば製造上の問題は
特に無いが、中心電極とコンタクトをとるためにワイヤ
ーボンディング等の手段が必須であり、微細化や集積化
を考慮した場合に大きな障害となる。
【0011】また、4辺ブリッジ回路により構成された
磁気検出器については、単位型磁気センサあたり4個の
磁気センサが必要であるが、この内の2型磁気センサは
磁場を遮蔽する必要がある。そのため4個の磁気センサ
のうち感度に寄与するのはその半分の2個である。変動
成分を除去できるメリットはあるものの、センサの複雑
化という犠牲の割には感度向上への寄与が少ない。
【0012】本発明はこのような従来の事情に鑑みてな
されたもので、構造および製造プロセスが簡単で、かつ
低磁場において高い感度を得ることのできるコルビノ型
磁気センサを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明によれば、半導体磁気抵抗材料の抵抗変化により磁場
を検知するコルビノ型磁気センサにおいて、基板と、該
基板の上に積層された第一の半導体磁気抵抗材料からな
る第一の磁気検知層と、該第一の磁気検知層の上に積層
された絶縁層と、該絶縁層の上に積層された第二の半導
体磁気抵抗材料からなる第二の磁気検知層と、前記第一
の磁気検知層および前記第二の磁気検知層に接続された
中心電極と、前記第一の磁気検知層の表面に設けられた
第一のリング状電極と、前記第二の磁気検知層の表面に
設けられた第二のリング状電極とを有することを特徴と
するコルビノ型磁気センサが提供される。本発明のコル
ビノ型磁気センサは2層構造の磁気検知部を備えている
ため、抵抗値を増加させ、低磁場においても高い磁気感
度を示す。またこのような2層構造とした場合、後述す
るコンタクトホールを設ける方法等により、中心電極を
容易に形成することができる。
【0014】本発明において、前記第一の半導体磁気抵
抗材料および/または第二の半導体磁気抵抗材料は、M
R比(磁気抵抗比)が大きいことからテルル化水銀カド
ミウム(HgCdTe)が好ましく用いられる。
【0015】また、前記第一の磁気検知層および前記第
二の磁気検知層にコンタクトホールが設けられ、該コン
タクトホールの側壁に前記中心電極が設けられたことを
特徴とするコルビノ型磁気センサが提供される。上層と
下層の中心電極がコンタクトホールで接続されるため、
プロセス工程を少なくすることができる。
【0016】また、前記第一の磁気検知層および/また
は前記第二の磁気検知層のリング状電極は、リング状電
極形成プロセス上のメリットを得るため、リングの一部
を切り取った形状、例えばU字形状の電極とすることも
できる。
【0017】また本発明によれば、半導体磁気抵抗材料
の抵抗変化により磁場を検知するコルビノ型磁気センサ
において、基板と、該基板の上に積層された半導体磁気
抵抗材料からなる磁気検知層と、前記磁気検知層に接続
された中心電極と、前記磁気検知層の表面に設けられた
リング状電極とを有し、前記磁気検知層に、磁気検知層
の中心に対し非対称な形状の一または二以上の空洞領域
が設けられたことを特徴とするコルビノ型磁気センサが
提供される。このような空洞領域を設けることにより、
自己バイアス量を安定的に増加することができる。ここ
で、磁気検知層の中心に対し非対称な形状とは、磁気検
知層の中心から見て空洞領域が非対称であることをい
う。自己バイアス量を増加させるためには、空洞領域の
非対称性を増すことが好ましい。したがって、円形や正
方形の形状よりも、半径方向に対し一定の角度をもって
配置された長細形状が好ましい。例えば図3に示す空洞
領域は、磁気検知層の中心11から見て左右非対称の形
状であり好ましい。この空洞領域は、前述の2層構造の
磁気検知層を有するコルビノ型磁気センサに設けた場
合、さらに効果的である。すなわち、前記第一の磁気検
知層および/または前記第二の磁気検知層に、磁気検知
層の中心に対し非対称な形状の一または二以上の空洞領
域が設けられたコルビノ型磁気センサとすることによ
り、一層の感度向上を図ることができる。
【0018】また本発明において、前記半導体磁気抵抗
材料は、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)とす
ることにより、さらに自己バイアス量を安定的に増加さ
せることができる。
【0019】また前記空洞領域は、前記中心電極から前
記リング状電極へ向かう半径方向に対し一定角θの角度
をもって複数設けられることが好ましく、さらに一定角
θは、測定磁束密度をB、前記半導体磁気抵抗材料の移
動度をμとしたときに実質的に関係式tanθ=−μB
を満たす角度θであることが好ましい。このようにする
ことにより、自己バイアス量をさらに増加させることが
でき、より一層の感度向上を図ることができる。
【0020】また本発明によれば、上述したいずれかの
コルビノ型磁気センサを4個配置した4辺ブリッジ回路
により構成されたコルビノ型磁気検出器であって、ブリ
ッジの向かい合う辺にコルビノ型磁気センサ1とコルビ
ノ型磁気センサ4、もう一組の向かい合う辺にコルビノ
型磁気センサ2とコルビノ型磁気センサ3が配置され、
コルビノ型磁気センサ1および4には第1のパターンの
空洞領域が設けられ、コルビノ型磁気センサ2および3
には前記第1のパターンを反転させた第2のパターンの
空洞領域が設けられてなることを特徴とするコルビノ型
磁気検出器が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施
の形態の平面模式図であり、図2はその断面模式図であ
る。半導体磁気抵抗材料からなる磁気検知層は上層下層
の二つあり、第一の磁気検知層2は基板1に直接あるい
は間接的に積層される。第一の磁気検知層2と基板1の
間に何らかの緩衝層が入っていても良い。第一の磁気検
知層2の上には絶縁層3が積層され、さらにその上には
第二の磁気検知層4が積層される。積層方法は、例えば
分子線エピタキシャル法等を用いることができる。第二
の磁気検知層4と第一の磁気検知層2は共通の中心電極
6が接続されている。また、第二の磁気検知層4と第一
の磁気検知層2は共にリング状電極を有するが、第一の
磁気検知層2に接続されるリング状電極は、正確にはリ
ングの一部が切断されたU字型電極となっている。それ
ぞれのリング状電極には電極パッド7が接続されてお
り、リード線が接続できるようになっている。
【0022】本実施形態においては磁気検知層材料とし
てHgCdTeを用いた。この材料以外に、InSbや
InAsなど他の半導体を用いることもできる。絶縁層
はCdTeを用い、電極形成はInの蒸着により行っ
た。電極素子サイズは、リング状電極の径が約90μ
m、中心電極が約20μm、磁気検知層の膜厚は上層下
層ともに1μmとした。
【0023】磁気検知層の膜厚は特に制限がないが、製
造プロセスを簡便とし抵抗値をある程度確保する観点か
ら、好ましくは0.5μm以上10μm以下、さらに好
ましくは1μm以上2μm以下とする。
【0024】第二の磁気検知層と第一の磁気検知層と
は、同一の磁気材料からなるものでも異なる磁気材料か
らなるものでもよい。
【0025】このようにして形成した素子の第二の磁気
検知層4と第一の磁気検知層2の抵抗をそれぞれ測った
ところ、共に約2Ωであり、素子全体の抵抗は約4Ωで
あった。よって本発明の構造により、素子抵抗を2倍に
できることが確認された。また、電流一定の条件の下で
磁気感度を測定したところ、上層もしくは下層の磁気検
知層のみでは、1ガウスあたり0.2mVの出力だった
のに対し、本発明の二層構造では0.4mVの出力が得
られた。これにより、本発明のコルビノ型磁気センサで
は従来の2倍の感度が得られることが確認できた。
【0026】次に本発明の第2の実施の形態について図
3を用いて説明する。中心電極11とリング状電極12
を備えたコルビノ型磁気センサの磁気検知部13に、中
心に対して非対称なパターンの空洞領域14を形成し
た。非対称なパターンを形成するにあたり、空洞領域1
4の長手方向が中心電極11からリング状電極12へ向
かうベクトルに対し、一定角θを有するようにした(図
4)。
【0027】本発明の第2の実施の形態を実現するにあ
たり、磁気検知部13の材料としてHgCdTeを用い
た。この材料以外に、InSbやInAsなど他の半導
体を用いたとしても本発明の効果は有効である。電極形
成はInの蒸着により行い、空洞領域14の形成はミリ
ングによりHgCdTeをエッチングして形成した。電
極素子サイズとして、リング状電極の内径を7mm、中
心電極の直径を1mm、磁気検知部の厚みを4μmとし
た。空洞領域の長手方向の長さは1.5mm、幅は0.
1mmである。また、一定角θは45度とした。
【0028】図5に本実施の形態により得られた磁気抵
抗曲線を示す。図5から明らかなように磁気抵抗特性は
ゼロ磁場から−0.04T(テスラ)ほどずれたところ
で抵抗最小となっている。この−0.04Tが自己バイ
アス量である。再現性を確認したところ、自己バイアス
量は−0.03〜−0.05Tとなった。一方、空洞領
域4を設けていない素子の磁気抵抗曲線を図6に示す。
本来均一な磁気抵抗材料であればゼロ磁場で対称な特性
を示すはずであるが、なんらかの不均一性が導入された
結果、によりゼロ磁場から−0.01Tほどシフトして
いる。再現性を確認したところ、自己バイアス量は+
0.01〜−0.01Tとなった。以上のように、空洞
領域を設けた本実施形態のコルビノ構造によれば、確実
に自己バイアス量を増加でき、空洞領域を設けていない
場合と比較して約4倍の自己バイアス量を実現できた。
【0029】ここで、自己バイアスと感度の関係につい
て説明する。まず、コルビノ構造の素子抵抗R(H)は
次のように表される。
【0030】
【数1】 ここで、MRは磁気抵抗比、αは磁気抵抗曲線の曲率、
eは素電荷、τはキャリア寿命、me *は電子の有効質
量、Cは光速度、μは移動度である。R(0)は円形コ
ルビノ構造において次式で表される。
【0031】
【数2】 ただし、ρは磁気検知部の比抵抗、hは磁気検知部の厚
み、routerはリング状電極の内側半径、rinnerは中心
電極の半径である。
【0032】ところで、信号出力電圧はV(H)=IB
△R(H)=αIBR(0)H2と書けるので、ゼロ磁場
付近におけるコルビノ型磁気センサの磁気感度R
magは、式(3)で表される。
【0033】
【数3】 ただし、IBは素子に流すバイアス電流であり、HSB
自己バイアス量である。
【0034】式(3)を見れば明らかなように、磁気感
度は自己バイアス量に比例する。本発明の第2の実施の
形態では、自己バイアス量が−0.01Tであった従来
のコルビノ型磁気センサに、空洞領域14を設けること
によって、自己バイアスが4倍となったが、これは即
ち、磁気感度も4倍になったことを示す。
【0035】次に、空洞領域14を形成する場合の長手
方向の角度θについて図5を用いて説明する。磁場中に
おけるキャリアは、電界の方向に対してある一定角θの
角度の方向に移動する。磁束密度Bにおけるθは式
(4)を用いて求めることができる。 tanθ=−μB (4) よって、測定する磁束密度がBである場合、空洞領域1
4の角度θを式(4)から求められる値にすることによ
り、キャリアがスムーズに移動できる磁場方向とそうで
ない磁場方向が顕著に現れる。よって、これにより磁場
の方向に対する非対称性が増し、自己バイアス量を大き
くできることになる。しかし、微少磁場の測定において
は、θの値は小さくなるため、式(4)で得られる値を
用いる必要はない。単純にθを45度と決めたとして
も、本実施の形態で確認されたように十分な効果があ
る。45度とすれば空洞領域の非対称性が最大となるか
らである。
【0036】次に、本発明の第3の実施の形態につい
て、図7を参照して説明する。本実施の形態における磁
気センサでは、四つのコルビノ型磁気センサ31、3
2、33、34から4辺ブリッジ回路を形成している。
コルビノ型磁気センサ31とコルビノ型磁気センサ3
2、そしてコルビノ型磁気センサ33とコルビノ型磁気
センサ34はそれぞれ中心電極同志が接続され、コルビ
ノ型磁気センサ31とコルビノ型磁気センサ33、そし
てコルビノ型磁気センサ32とコルビノ型磁気センサ3
4はそれぞれリング状電極同志が接続されいる。コルビ
ノ型磁気センサ31とコルビノ型磁気センサ33のリン
グ状電極を結ぶ配線から端子35が接続され、コルビノ
型磁気センサ32とコルビノ型磁気センサ34のリング
状電極を結ぶ配線から端子36が接続される。また、コ
ルビノ型磁気センサ31とコルビノ型磁気センサ32の
中心電極を結ぶ配線から端子37、そしてコルビノ型磁
気センサ33とコルビノ型磁気センサ34の中心電極を
結ぶ配線から端子38が接続される。さらに、コルビノ
型磁気センサ31とコルビノ型磁気センサ34の磁気検
知部にはθ=45゜の角度を持った空洞領城39が形成
され、コルビノ型磁気センサ32とコルビノ型磁気セン
サ33の磁気検知部にはθ=−45゜の角度を持った空
洞領域40が形成される。
【0037】本発明の第3の実施の形態を実現するにあ
たり、磁気検知部の材料としてHgCdTeを用いた。
この材料以外に、InSbやInAsなど他の半導体を
用いたとしても本発明の効果は有効である。また、本実
施の形態では第2の実施の形態におけるコルビノ構造、
すなわち磁気検知部に空洞領域を設けた構造を用いてい
るが、この構造と第1の実施の形態である二層構造を組
み合わせることにより、さらに大きな効果を得ることも
できる。なお、電極形成はInの蒸着により行い、空洞
領域の形成はミリングによりHgCdTeをエッチング
して形成した。電極素子サイズとして、リング状電極の
内径を7mm、中心電極の直径を1mm、磁気検知部の
厚みを4μmとした。空洞領域の長手方向の長さは1.
5mm、幅は0.1mmである。
【0038】端子35と端子36の間にバイアス電流と
して200mAを流し、端子37と端子38の間の信号
出力を測定したところ、ゼロ磁場近辺において1ガウス
当たり120μVの出力が得られた。一方、空洞領域を
設けない比較用の4辺ブリッジ素子で同様の測定を行っ
たところ、出力はほとんど得られなかった。これは、4
辺ブリッジ回路の特性上、同じ素子を4個用いた場合に
は出力が出ないのは当然である。そこで、コルビノ型磁
気センサ32とコルビノ型磁気センサ33に強磁性体膜
をコーティングし、対角の2素子のみに磁気遮蔽を行っ
て測定を行ったところ、1ガウス当たり約14μVの出
力が得られた。以上の結果から、本発明のコルビノ型磁
気センサにより、従来より一桁程度高い出力感度が得ら
れることが確認できた。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、簡
便な製造プロセスにより製造され、低磁場における高い
感度を実現するコルビノ型磁気センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す平面模式図で
ある。
【図2】上記第1の実施の形態の断面模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す平面模式図で
ある。
【図4】上記第2の実施の形態における空洞領域の方向
を示した説明図である。
【図5】上記第2の実施の形態に係るコルビノ型磁気セ
ンサの磁気抵抗特性を示す図である。
【図6】上記第2の実施の形態との比較のために測定し
た、従来のコルビノ型磁気センサの磁気抵抗特性を示す
図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を示す平面模式図で
ある。
【図8】従来例によるコルビノ構造とその動作原理の説
明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第一の磁気検知層 3 絶縁層 4 第二の磁気検知層 6,11,51 中心電極 7 電極パッド 12,52 リング状電極 13 磁気検知部 14,39,40 空洞領域 31,32,33,34 コルビノ型磁気センサ 35,36,37,38 端子 53 半導体磁気抵抗材料 54,55 電流パス

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体磁気抵抗材料の抵抗変化により磁
    場を検知するコルビノ型磁気センサにおいて、基板と、
    該基板の上に積層された第一の半導体磁気抵抗材料から
    なる第一の磁気検知層と、該第一の磁気検知層の上に積
    層された絶縁層と、該絶縁層の上に積層された第二の半
    導体磁気抵抗材料からなる第二の磁気検知層と、前記第
    一の磁気検知層および前記第二の磁気検知層に接続され
    た中心電極と、前記第一の磁気検知層の表面に設けられ
    た第一のリング状電極と、前記第二の磁気検知層の表面
    に設けられた第二のリング状電極とを有することを特徴
    とするコルビノ型磁気センサ。
  2. 【請求項2】 前記第一の半導体磁気抵抗材料および/
    または第二の半導体磁気抵抗材料が、テルル化水銀カド
    ミウム(HgCdTe)であることを特徴とする請求項
    1に記載のコルビノ型磁気センサ。
  3. 【請求項3】 前記第一の磁気検知層および前記第二の
    磁気検知層にコンタクトホールが設けられ、該コンタク
    トホールの側壁に前記中心電極が設けられたことを特徴
    とする請求項1または2に記載のコルビノ型磁気セン
    サ。
  4. 【請求項4】 前記第一のリング状電極および/または
    前記第二のリング状電極が、リングの一部が切り取られ
    た形状を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれ
    かに記載のコルビノ型磁気センサ。
  5. 【請求項5】 前記第一の磁気検知層および/または前
    記第二の磁気検知層に、磁気検知層の中心に対し非対称
    な形状の一または二以上の空洞領域が設けられたことを
    特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のコルビノ型
    磁気センサ。
  6. 【請求項6】 半導体磁気抵抗材料の抵抗変化により磁
    場を検知するコルビノ型磁気センサにおいて、基板と、
    該基板の上に積層された半導体磁気抵抗材料からなる磁
    気検知層と、前記磁気検知層に接続された中心電極と、
    前記磁気検知層の表面に設けられたリング状電極とを有
    し、前記磁気検知層に、磁気検知層の中心に対し非対称
    な形状の一または二以上の空洞領域が設けられたことを
    特徴とするコルビノ型磁気センサ。
  7. 【請求項7】 前記半導体磁気抵抗材料が、テルル化水
    銀カドミウム(HgCdTe)であることを特徴とする
    請求項6に記載のコルビノ型磁気センサ。
  8. 【請求項8】 前記空洞領域は、前記中心電極から前記
    リング状電極へ向かう半径方向に対し一定角θの角度を
    もって複数設けられたことを特徴とする請求項5乃至7
    いずれかに記載のコルビノ型磁気センサ。
  9. 【請求項9】 前記一定角θは、測定磁束密度をB、前
    記半導体磁気抵抗材料の移動度をμとしたときに実質的
    に関係式tanθ=−μBを満たす角度θであることを
    特徴とする請求項8記載のコルビノ型磁気センサ。
  10. 【請求項10】 請求項5乃至9いずれかに記載のコル
    ビノ型磁気センサを4個配置した4辺ブリッジ回路によ
    り構成されたコルビノ型磁気検出器であって、ブリッジ
    の向かい合う辺にコルビノ型磁気センサ1とコルビノ型
    磁気センサ4、もう一組の向かい合う辺にコルビノ型磁
    気センサ2とコルビノ型磁気センサ3が配置され、コル
    ビノ型磁気センサ1および4には第1のパターンの空洞
    領域が設けられ、コルビノ型磁気センサ2および3には
    前記第1のパターンを反転させた第2のパターンの空洞
    領域が設けられてなることを特徴とするコルビノ型磁気
    検出器。
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