JP2961361B2 - 骨塩量測定装置 - Google Patents

骨塩量測定装置

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JP2961361B2 JP10017649A JP1764998A JP2961361B2 JP 2961361 B2 JP2961361 B2 JP 2961361B2 JP 10017649 A JP10017649 A JP 10017649A JP 1764998 A JP1764998 A JP 1764998A JP 2961361 B2 JP2961361 B2 JP 2961361B2
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  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨粗しょう症等の
診断を中心とする各種医学診断分野に係り、特に、非破
壊で人体や動物等の生体の骨塩量を計測する骨塩量測定
装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、人口構成が老齢化にシフトしてい
る中で、骨粗しょう症や骨軟化症等の対応策として骨塩
量の測定が重要になってきている。ここで、骨粗しょう
症とは、骨基質と骨塩との比率は正常であるが、骨の量
自体が減少した病態をいい、一方、骨軟化症とは、骨石
灰化障害により骨塩のみが減少した病態をいう。また、
骨塩量BMD(Bone Mineral Density)[g/cm2]と骨密度ρ
[g/cm3]との関係は次式で与えられる。 骨密度ρ[g/cm3]=骨塩量BMD[g/cm2]/骨の厚さd[cm] 従来より、種々の骨塩定量法が、骨粗しょう症をはじめ
とする代謝性骨疾患の骨状態の正確な把握や早期診断の
一助として試みられている。
【0003】測定方法としては、microdensity法(M
D)、単一光子吸収計測法(SPA)、153Gdを線源
とした2重光子吸収測定法(DPA)や定量的CT法
(QCT)が行われて来ている。しかし、近年では、2
つの異なるエネルギのX線を用いた骨塩定量法(DualEn
ergy X-ray Absorptiometry;DEXA法或いはDXA
法)が、骨塩量の測定精度や測定器の感度が良く、しか
も検査時間も短く、被曝線量も少ないという利点がある
ということで、最もよく利用されている。
【0004】以下、上記した従来のDXA法の原理を図
12を用いて説明する。なお、前記した他の骨塩量の測
定方法については説明を省略するが、X線或いはγ線
(以下、適宜「X線」或いは「光子」と総括的に記載す
る場合がある。)が人体を透過する際の減衰率を測定す
ることにより骨塩量を算出する点では、DXA法と原理
的に同様である。
【0005】図12は、従来のDXA法を用いた骨塩量
測定装置100の原理を説明するための概略構成図であ
る。図12において、70はX線の線源(以下、適宜単
に「X線源」という場合がある。)であり、図示は省略
したが、X線管に回折格子或いはKエッジフィルターを
備えることにより構成される。また、60は人体で、人
骨61部分(以下単に「骨」或いは「皮質骨」という場
合がある。)と軟部組織62から構成される。更に、7
2はシンチレーション検出器、或いは半導体検出器等の
X線の検出装置であり、単独で、又は複数の検出器を配
列させることにより、X線源70から照射され、人体6
0の軟部組織62のみ、或いは人骨61部分及び軟部組
織62を透過したX線の線量を計測する。また、X線源
70は、人体60の所望の位置のX線の透過率を測定す
るために、図12に示す矢印方向、或いは矢印方向及び
その垂直方向にスキャニングするようになっている。こ
のように、従来のDXA法の骨塩量測定装置100は、
X線源70とX線の検出装置72より構成される。
【0006】以上の構成において、X線源70から人骨
61部分の所望の位置の骨塩量Mb[g/cm2]の算出方法を
説明する。図12に示すように、先ず、I0を人体60
に入射するX線の強度とし、Iを人体60を透過したX
線の強度とする。また、μs、ρsとTsは、夫々、軟部
組織62における質量吸収係数、密度、厚さとし、
μb、ρbとTbは、夫々、骨61における質量吸収係
数、密度、厚さとする。このように各パラメータを定義
すると、I0とIの間には次式のような関係が成り立
つ。 I=I0・exp(−μb・ρb・Tb)・exp(−μs・ρs・Ts) (1)
【0007】ところで式(1)は、種々のエネルギのX
線で成り立つ関係式であるので、異なるエネルギのX線
を用いた場合は、次の2式が成立する。 IL=I0 L・exp(−μb L・ρb・Tb)・exp(−μs L・ρs・Ts) (2) IH=I0 H・exp(−μb H・ρb・Tb)・exp(−μs H・ρs・Ts) (3) ここで、低エネルギ(エネルギ値;EL)のX線(XL)が人
体60に入射する強度をI0 L、人体60を透過した低エ
ネルギ(EL)のX線(XL)の強度をIL、また、当該低エ
ネルギ(EL)のX線(XL)の軟部組織62における質量吸
収係数をμs L、骨61における質量吸収係数をμb Lとし
ている。同様に、高エネルギ(エネルギ値;EH)のX線
(XH)の人体60に入射する強度をI0 H、人体60を透
過した高エネルギ(EH)のX線(XH)の強度をIH、ま
た、当該高エネルギ(EH)のX線(XH)の軟部組織62に
おける質量吸収係数をμs H、骨61における質量吸収係
数をμb Hとしている。
【0008】骨塩量Mbは、Mb=Tb・ρbで与えられる
が、式(2)及び式(3)を連立方程式として、骨塩量
bについて解くと、骨塩量Mbは次式で求めることがで
きる。 Mb=Tb・ρb={μs H・ln(I0 L/IL)−μs L・ln(I0 H/IH)} /{μs H・μb L−μs L・μb H} (4) ここで、低エネルギのX線(XL)及び高エネルギのX線
(XH)の軟部組織62における質量吸収係数μs L
μs H、及び骨61における質量吸収係数μb L、μb Hは、
低エネルギのX線(XL)及び高エネルギのX線(XH)のエ
ネルギ値(EL、EH)によって決定される量である。従っ
て、結局、骨塩量Mbは、低エネルギのX線(XL)、及び
高エネルギのX線(XH)の測定値(I0 L/IL)、及び(I
0 H/IH)を、X線の検出装置72によって測定し、その
値を式(4)に代入することにより算出することができ
る量である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の測定装置は総て、計測した各光子(X線やγ線)に
関し、次のような問題の一方、或いは双方を共通に有し
ている。 (1−1)計測した光子が、複雑な内部構造をしている
人体のどの部分を透過したものであるかについては、不
明か或いは充分な精度で測定することができない(問題
1)。 (1−2)計測した光子のエネルギ値について、不明か
或いは充分な精度で測定することができない(問題
2)。
【0010】更に、注意しなければならないのは、式
(1)乃至式(4)は、厳密には高いエネルギの光子と
低いエネルギの光子とが人体の全く同じ位置を透過し、
しかも夫々が単一のエネルギであるときにのみに成り立
つ式であることである。従って、上記(1−1)及び
(1−2)の如く、この条件が満たされないにもかかわ
らず、高いエネルギの光子と低いエネルギの光子に関す
る夫々の式(1)乃至式(4)において、図12に示す
骨61の厚さTbと密度ρb、及び軟部組織62の厚さT
sと密度ρsに共通の値を用いたり、骨61の質量吸収係
数μb及び軟部組織62の質量吸収係数μsを一定の値と
して、式(2)及び式(3)を連立方程式として解く従
来の方法は、その方法自体が根本的な誤りである。
【0011】以下に、上記(1−1)の(問題1)及び
(1−2)の(問題2)のために、骨塩量の測定値にど
の程度の誤差がもたらされるかに関して、具体的な場合
について計算し、検討した結果生じる誤差を(2−1)
乃至(2−6)に記す。これらの結果により、ある特別
な条件により求めた、従来の骨塩量測定装置の測定値再
現性(従来の骨塩量測定装置では、これを「精度」と称
している場合が多い。)に関する数値とは大いに異なっ
て、従来の測定装置では、根本原理的に充分な精度と信
頼性では骨塩量の測定ができないことが分かる。従っ
て、従来の骨塩量測定装置では、平均的な加齢に伴う、
年約1%の骨減少や、代謝性骨疾患の多くの、年約3〜
5%の骨減少を根本原理的に充分な精度と信頼性で骨塩
量の測定ができないことが順次明らかにされる。
【0012】(2−1)人体骨は複雑な形状をしている
ことに起因する誤差(形状誤差) 例えば図13に示すように、人体骨61は、非常に複雑
な形状をしており、図示による説明は省略するが、更に
骨61の内部も複雑な構造をしている。一方、従来のD
XA法(又はDEXA法)による骨塩量測定装置100
では、各光子(X線やγ線)に関し、図13に示すX線
の発生源であるX線管70のどの位置から放出されたの
か(XLとXH)、或いは検出器72のどの位置で各X線
を測定したのか(DLとDH)、の一方又は双方に関して
不明であるか、或いは骨61の位置による形状変化に対
比して、不充分な位置分解能での測定になっている。
【0013】それ故、結局のところ、従来の測定法によ
る骨塩量測定装置100では、検出する各X線に関し、
複雑な人体60のどの位置を透過してきたものか不明の
まま、或いは解明が不充分なまま測定を行っていること
になる。一方、式(1)は、X線のエネルギが低いとき
(エネルギ値;EL)と、高いとき(エネルギ値;EH
の夫々で式(2)、式(3)が成立して、それらを連立
方程式として、骨塩量Mbを求めることは上述したが、
この算出法が許されるのは、低いエネルギのX線
(XL)と高いエネルギのX線(XH)が、夫々人体60
の全く同じ位置を透過した場合、或いは、図12に示す
骨61の厚さTbと密度ρb、及び軟部組織62の厚さT
sと密度ρsの総てが、低いエネルギのX線(XL)と高
いエネルギのX線(XH)において全く等しい場合のみ
であることに注意しなければならない。この意味で、従
来からのDXA法(又はDEXA法)による骨塩量測定
装置100は、人体骨塩量Mbの測定において、原理的
に間違っているか、或いは精度的に不充分であることに
なる。
【0014】ところで、従来の測定法による骨塩量測定
装置では、全体としてみれば、低いエネルギのX線(X
L)と高いエネルギのX線(XH)は共に、ほぼ同じ人体
の部分を透過しているのだから、平均的にはそれ程大き
な測定誤差にはならないのではないかという見解が採ら
れていた可能性がある。しかし、X線は実際は人体内
で、式(1)に示すように指数関数的にその強度が減衰
するという性質のために、この誤差は現実には極めて大
きいものとなる。以下に、上記連立方程式である式
(2)及び式(3)が成り立つとして求めた式(4)
に、いくつかの典型的な人体形状が変化する具体例にお
ける各数値を代入して求めた骨塩量は、いかに本来の骨
塩量の平均値と異なった値になっているかを具体的に計
算によって示す。
【0015】図14は、人体60を軟部組織62と皮質
骨61に分類し、X線(XL1、XL2、XH1、XH2)が人
体60の異なる部分を透過した場合について、影響の違
いを計算するために皮質骨61の厚さを段階的に変化さ
せた状態を示す模式図である。図14において、人体6
0は皮質骨61の薄い部分Tb1と皮質骨61の厚い部分
b2より成り、他の軟部組織62部分Ts1、Ts2を含め
て同じ厚さTが示されている。この模式化した人体60
において、 低エネルギX線(XL)のエネルギ:EL=30keV、40keV、50keV (A-1) 高エネルギX線(XH)のエネルギ:EH=60keV、80keV、100keV (A-2) が、夫々透過した場合について骨塩量を計算する。
【0016】この皮質骨61の厚さが違う部分を、低い
エネルギのX線(XL)と高いエネルギのX線(XH)が夫々
透過した場合、具体的なエネルギの上記総ての組み合わ
せについて、軟部組織62部分の質量吸収係数μs L値、
μs H値、及び皮質骨61における質量吸収係数μb L値、
μb H値を求め、更に(IL/I0 L)値、又は(IH
0 H)値は、図15(B)の表2に示す各場合(a〜
f)について、 IL/I0 L=(1/2)・exp(-μb L・ρb・Tb1s L・ρs・Ts1) +(1/2)・exp(-μb L・ρb・Tb2s L・ρs・Ts2) (5) IH/I0 H=(1/2)・exp(-μb H・ρb・Tb1s H・ρs・Ts1) +(1/2)・exp(-μb H・ρb・Tb2s H・ρs・Ts2) (6) 当該式(5)に、低いエネルギのX線(XL)の質量吸収
係数μb L、μs L、皮質骨61の密度ρb、軟部組織62
の密度ρs、皮質骨61の厚さTb1、Tb2、軟部組織6
2の厚さTs1、Ts2値を代入し、同様に式(6)に、高
いエネルギのX線(XH)の質量吸収係数μb H、μs H、皮
質骨61の密度ρb、軟部組織62の密度ρs、皮質骨6
1の厚さTb1、Tb2、軟部組織62の厚さTs1、Ts2
を代入して求めることにより、それらを式(4)に代入
して骨塩量Mb値を求めた(以下、この値をMbc値とす
る。)。なお、式(5)や式(6)の中の係数に(1/
2)を用いたのは、典型的な例として、図14の皮質骨
61の薄い部分Tb1と皮質骨61の厚い部分Tb2とが、
夫々等しい面積の場合について、計算したためである。
【0017】この式(4)により求めた骨塩量Mbc
は、図14のように人体60の皮質骨61の厚さが内部
的に2種(Tb1、Tb2)あってそれらが等面積の時、そ
れらが判別されずに、従来法で正しく測定されたときに
従来のDXA法(又はDEXA法)により求められる骨
塩量である。図15(B)の表2の各場合(a〜f)に
おける、骨塩量Mbの真の平均値(これをMb0値とす
る。)は、当然ながら Mb0=(1/2)・(Tb1+Tb2)・ρb (7) である。
【0018】以上により、X線の各エネルギ値(ELとE
H)に関する上記(A-1)、(A-2)の各3個の値に対して、こ
れらの総ての組み合わせである計9個の場合について、
図15(B)の表2の(a〜f)の各皮質骨形状の夫々
に関し、上記により計算で求めた骨塩量Mbc値の、骨塩
量Mb0値に対する比(Mbc/Mb0)をまとめて図15
(A)のグラフに示す。この計算は、皮質骨61の厚さ
b1、Tb2、軟部組織62の厚さTs1、Ts2において、
b1+Ts1=Tb2+Ts2=T=8cmの場合について行っ
た。図15(A)により、皮質骨61の厚さTb1値とT
b2値に違いがあることにより、従来より考えられていた
程度とは比較にならないほどの大きな誤差が生じること
が分かる。また、図15(A)には記してないが、人体
60の厚さT値(従って、軟部組織62の厚さの値Ts1
やTs2)が、図15(A)の場合の2倍或いは3倍にな
っても、皮質骨61の厚さ(Tb1とTb2)が同じ場合
は、ほぼ同様の結果になることが、別の計算結果として
得られている。
【0019】図15(A)、(B)より明らかに以下の
(a)〜(d)に記すことが指摘し得る。 (a)従来のDXA法(又はDEXA法)では、特別な
測定条件を設定したときの測定結果の繰り返し再現性が
1%以下であることにより、これがあたかもDXA法の
測定精度であるかのように言われてきている可能性があ
るが、従来のDXA法では、人体の内部形状を正確にお
さえることなく、測定結果を出していることにより必然
的に、その10倍以上、場合によると数10倍の絶対値
としての測定誤差が多くの場合においてあることが推測
される。また、測定面積を変えたり、測定位置が少しず
れた測定をしたとき、それらの骨塩量の測定結果間に、
説明のし難い大きな相違が生じる可能性がある。 (b)骨形状には個人差があるため、従来のDXA法で
は、同じ骨塩量であったとしても、人によりかなり異な
った測定結果になる。 (c)ほんの少しの測定位置や測定角度の違いにより、
測定結果に大きな違いが生じ得ることにより、人によ
り、また同一人物であっても測定時期が異なることによ
り大きな誤差が見込まれる。 (d)同一人物でも経時的に骨形状が変化することによ
り大きな測定誤差が見込まれる。
【0020】(2−2)X線のエネルギ値に拡がりがあ
ることに起因する誤差(エネルギ拡がり誤差) 従来よりDXA法(又はDEXA法)による骨塩量測定
に用いられているX線管より出るX線のエネルギ値は、
連続スペクトルでかなりの拡がりを持つ。このため、各
種のKエッジフィルターが用いられてきているが、これ
らを用いたとしてもX線のエネルギの単色化(単一化)
にはほど遠い。少数ではあるが、従来の骨塩量測定装置
でも、回折格子を用いてX線のエネルギを単色化するこ
とが行われている。しかし、この場合は、X線源として
の空間的な拡がりが避けられず、上記(2−1)に記し
た形状誤差が問題になる。また、大部分の場合、X線の
検出にはシンチレーション検出器が用いられているが、
このエネルギ領域では、かなりエネルギ分解能が悪く、
個々のX線のエネルギ分析をした測定ということにはな
っていない。
【0021】以下に、DXA法(又はDEXA法)にお
ける、骨塩量測定において、一つの例として、低エネル
ギのX線のエネルギ値(EL)が40keV±10keVの範
囲で拡がり、また高エネルギのX線のエネルギ値
(EH)が80keV±20keVの範囲で拡がっている場合
に関し、個々のX線のエネルギ値の分析をすることな
く、測定結果の(IH/I0 H)値や、(IL/I0 L)値
は、EL=40keV、EH=80keVのときの値であると見
なして、式(4)により骨塩量Mb値を求めたとする
と、EL=40keVやEH=80keVとは異なるX線のエネ
ルギ値のEL値やEH値の夫々の場合における骨塩量Mb
値に関する夫々エネルギ2.5keVステップの計算結果
(これをMbe値とする)は、本来の骨塩量Mb値(これ
をMb0値とする)と大きく異なる結果になることが分か
る。この結果の一例を図16にまとめて表3として、そ
して図17にはそれらをまとめてグラフにして示す。
【0022】この計算は、皮質骨塩量Mb0=1.85[g/c
m2](皮質骨の厚さTb=1cm)、全軟部組織量Mso=7.
49[g/cm2](全軟部組織厚さTS=8cm)の場合につい
て、式(4)において夫々の(IH/I0 H)値や、(IL
/I0 L)値は共通にEL=40keV、EH=80keVのとき
の軟部組織62部分の質量吸収係数μs値及び皮質骨6
1における質量吸収係数μb値を、式(3)や式(2)
に代入することにより求め、また、式(4)の軟部組織
62部分の質量吸収係数μs L、μs H、皮質骨61におけ
る質量吸収係数μb L、μb H値は夫々のX線のエネルギ値
がEL、EHのときの値を代入することにより求めた。
【0023】低エネルギ(EL)のX線及び高エネルギ
(EH)のX線のエネルギスペクトルを夫々矩形とした
場合、即ち、低エネルギのX線のエネルギELが30keV
から50keVまで、高エネルギのX線のエネルギEHが6
0keVから100keVまで、夫々等分布のときは、図16
の表3の全Mbe/Mb0値を平均することにより、Mbe
b0=1.48が得られ、また、低エネルギのX線のエ
ネルギELが35keVから45keVまで、高エネルギのX
線のエネルギEHが70keVから90keVまで(表3で打
点して示した中心枠部分)夫々等分布のときは、同じ
く、図16の表3のそのエネルギ範囲の全Mbe/Mb0
を平均することにより、Mbe/Mb0=1.114が得ら
れる。即ち、X線が単色でなく、エネルギ値に幅がある
とDEXA法(又はDXA法)により求めた骨塩量には
1%というような値ではなく、その10倍或いは数10
倍の大きな誤差が発生する可能性があることが分かる。
【0024】(2−3)散乱線の混入に起因する誤差 図18に一例として測定対象とする部分の人体の厚さ
(x)が10[g/cm2]のときの、光子(X線やγ線)の
光電吸収の確率(1−Ip;Ip=exp(-μp・x))及び
コンプトン散乱の確率(1−Is;Is=exp(-μs
x))、そしてそれらの比(1−Ip)/(1−Is)を
光子エネルギ(Ex)の関数として示す。図18より明
白に、光子(X線やγ線)エネルギが30keVを超す
と、人体ではコンプトン散乱される確率が、光電吸収さ
れる確率より大きくなり、更に50keV以上では、コン
プトン散乱される確率が圧倒的に大きくなる。
【0025】コンプトン散乱された光子は、散乱される
前のエネルギより低くなるが、前方方向に散乱される光
子の場合、その差は極めて小さく、例えばエネルギが8
0keV光子で散乱角が10゜以内のときは、0.16keV
以内で、20゜以内の場合は0.75keV以内となる。
それ故、特別に高エネルギ分解能のゲルマニウム検出器
を使用したとしても、検出エネルギをスペクトル化して
分離することはほぼ不可能である。従って、X線源及び
検出器の双方の面積が、それらが置かれている間の距離
に比し、充分に小さく、かつ、X線源と検出器が共に充
分にコリメートされていない限り、散乱X線の混入によ
る測定誤差は極めて大きく、そして避けられないもので
ある。即ち、従来のDXA法(又はDEXA法)による
測定では、この点に関する充分な対策が為されていなか
った。
【0026】(2−4)2種のエネルギのX線だけで骨
塩量を求めることに起因する誤差 人体の骨塩量を、2種のエネルギのX線の夫々の透過率
の測定値だけから求めようとすることは、基本的に以下
の2つの問題点があり、誤差発生の原因になっている。 (a)DXA法(又はDEXA法)では、人体は骨と軟
部組織の2種の物質のみから構成されていると仮定し
て、測定値を満足するように夫々の厚さを求めている
が、骨も軟部組織も、双方共に多数の物質から構成され
ており、またその構造も複雑である。2種のX線のエネ
ルギによるデータのみで解析しようとするDXA法は、
原理的には構成物質が2種のときのみ有効であるので、
多種のものを2種として解析する誤差はかなり大きくな
る可能性があり、また、骨塩量測定の信頼性を小さくし
ている。 (b)総て放射線計測は、計測カウント数に伴って統計
誤差が生ずることは必然であり、更にまた、個々の測定
はその他にも必然的に各種の誤差を含む。それ故、求め
たいパラメータ数よりも、より多種・多数の測定値を求
め、それらの測定値間で最適フィットするようにするこ
とで、正確な値が得られることになるはずであるが、従
来のDEXA法(又はDXA法)では、2個のパラメー
タ(皮質骨の厚さTbと軟部組織の厚さTs)を2個の測
定値(I0 L/IL、I0 H/IH)から求めるという意味な
ので、それがなされていないことになる。
【0027】(2−5)カウンタアレイ検出器の使用上
の問題点 近年、DXA法による骨塩量測定において、カウンタア
レイ検出器を用いる場合が増えてきた。これを用いるこ
とにより、スキャニング回数を1桁以上減らして短時間
の測定を可能にする、という大きなメリットが生じる。
しかし、このカウンタアレイ検出器は、本来の位置検出
器に比し、以下の問題点がある。 (a)個々のカウンタ間に不感領域がある。(b)個々
のカウンタには感度上そして有感面積上ばらつきがあ
り、それらを揃えるのが困難である。 (c)個々のカウンタの感度は、経時的に変化すること
があり、それらを常に調整しておくことは困難なことで
ある。
【0028】(2−6)回折格子使用上の問題点 上記(2−2)に詳しく記した通り、DXA法で骨塩量
を測定する上で、X線のエネルギ値に拡がりがあること
による誤差は極めて大きい。この誤差を極小化する意味
で、近年、X線管の後方に回折格子を置き、X線のエネ
ルギを選別(単色化)してから、人体に照射する方法が
一部で行われるようになった。回折格子を使用すること
は、骨塩量の測定誤差を小さくする上で非常に大きな意
味を持つことになるが、しかし、必然的にX線源として
の回折格子の面積はかなりの拡がりを持たざるを得なく
なり、このため、X線源の点状線源化は不可能である。
このため、もう一方のDXA法での大きな誤差である、
(2−1)に詳しく記した、人体のどの部分を透過した
かの判別が不可能になることによる形状誤差の問題は避
けられなくなる。
【0029】本発明は、上記課題(問題点)を解決し、
精確に生体の骨塩量測定が可能となる骨塩量測定装置を
提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明の骨塩量測定装置
では、上記課題を解決するために、請求項1に記載のも
のでは、単一の放射性同位元素を所定量用いることによ
り、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合するこ
とにより、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の
強度で発生するようにした1又は2以上のX線・γ線の
線源と、前記X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線
の、或いは前記X線・γ線の線源から生体を透過した固
有X線又はγ線の、夫々のエネルギ値を計測することに
よって夫々の線種を同定し、かつ入射位置信号を出力す
ることにより夫々の生体の透過経路を判別する検出器系
により、所望の位置の生体の所望のエネルギ値の固有X
線又はγ線の透過率を測定するために、内部封入ガスを
高圧にすると共に、内部に薄いベリリウム板又は金属グ
リッドに仕切られた多数の有感部分を、上記X線・γ線
の線源からの固有X線又はγ線の飛程方向に設けた比例
計数管を用いた測定機能と、前記測定機能により測定し
た生体の夫々の固有X線又はγ線の透過率に基づいて、
当該生体の骨塩量を算出する計算機能とを備え、非破壊
で、生体の骨塩量を計測するように構成した。このよう
に、X線・γ線の線源としては、所定量の放射性同位元
素を用いて、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望
の強度で発生するようにすることにより、エネルギ分布
幅のない単色(単一のエネルギ)のX線・γ線の線源と
することができ、また、測定系としては、線源からのX
線・γ線の夫々の線種をエネルギ的に分別し得る分解能
を持つので、夫々のX線・γ線の線種を同定することが
でき、これらにより、従来の骨塩量測定装置に存在した
X線エネルギ値の拡がりに起因する上記(2−2)に記
した骨塩量の測定誤差は、充分になくすことができる。
また、各固有X線又はγ線の夫々の生体への透過経路を
計測する測定系により、所望の位置の生体の固有X線又
はγ線の透過率を測定するようにすると、複雑な人体又
は動物等の生体の形状を反映したX線又はγ線の透過率
分布(マップ)が分かるようになり、最終的には上記計
算機能により人体の骨塩量分布(マップ)が分かること
になり、従来の骨塩量測定装置に存在した、上記(2−
1)に記した形状に起因する誤差の問題は解決し、測定
精度が飛躍的に向上した骨塩量測定装置とすることがで
きる。更に、計算機能も、上記測定機能から計測した生
体の透過率に基づいて骨塩量を算出できるようにしたた
め、即座に骨塩量を求めることができるようになる。ま
た、測定機能として、内部封入ガスを高圧にすると共
に、内部に薄いベリリウム板又は金属グリッドに仕切ら
れた多数の有感部分を、上記X線・γ線の線源からの固
有X線又はγ線の飛程方向に設けた比例計数管を用いる
ようにしたために、比例計数管の検出効率が上がり、測
定時間が短く精度の良い骨塩量測定装置とすることがで
きる。
【0031】請求項2に記載した骨塩量測定装置では、
上記単一の放射性同位元素を所定量用いたX線・γ線の
線源、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合した
X線・γ線の線源を略点状に作製するか、所定の大きさ
の容器に収納するか、或いはコリメータを用いることに
より、上記X線・γ線の線源としては、ほぼ点状線源と
なるように構成した。このように、X線・γ線の線源を
ほぼ点状線源とすることにより、光子の生体への透過経
路は点状線源の位置と、線源からの光子が直進して生体
を透過し、検出器に入射する位置の測定により、幾何学
的に判定される。即ち、X線・γ線の線源をほぼ点状線
源とすることは、上記(2−1)に記した形状に起因す
る誤差を極小にするための重要な要素であり、また、従
来の骨塩量測定装置に存在した上記(2−3)に記した
コンプトン散乱線の混入に起因する誤差の問題を解消す
る上でも重要であるので、点状線源にすることにより骨
塩量測定装置の測定精度をより向上させることができ
る。また、上記(2−6)に記した、X線管に回折格子
を使用したときの問題点を回避することができる。
【0032】請求項3に記載した骨塩量測定装置では、
上記X線・γ線の線源として、3種以上のエネルギの固
有X線又はγ線を放射する単一の放射性同位元素を所定
量用いるようにし、又は複数の放射性同位元素を夫々所
定量混合したものを使用するように構成した。このよう
にすると、従来の骨塩量測定装置に存在した(2−4)
に記した2種のエネルギのX線だけで骨塩量を求めるこ
とに起因する誤差を解決することができるので骨塩量測
定装置の測定精度をより向上させることができる。
【0033】請求項4に記載したように、当該骨塩量測
定装置に用いるX線・γ線の線源としては、具体的に
は、上記X線・γ線の線源に使用する複数の放射性同位
元素として、241Am、133Ba、204Tlを用い、夫々
所定量混合するように構成するようにすると良い。これ
らの放射性同位元素からのX線やγ線は、骨塩量測定上
適したエネルギ値であるのみならず、相互に適当なエネ
ルギ間隔があるので、エネルギ測定による線種の同定が
容易になる利点を有する。
【0034】請求項5に記載したように、当該骨塩量測
定装置に用いる測定機能として、具体的には、位置及び
エネルギ検出型の比例計数管を用いるように構成すると
良い。即ち、このようにすると、上記(2−1)、(2
−2)、(2−3)、(2−4)、(2−5)及び(2
−6)の総ての問題を解決することができる。
【0035】請求項6に記載した骨塩量測定装置では、
上記測定機能として、縦長の比例計数管を用いるように
構成した。このように、比例計数管を縦長とすると、従
来の骨塩量測定装置に存在した(2−3)に記したコン
プトン散乱線の混入に起因する誤差を充分に小さくする
ことができるので骨塩量測定装置の測定精度をより向上
させることができる。
【0036】請求項7に記載した骨塩量測定装置では、
x軸、y軸よりなる2次元平面、又はy軸、θ軸よりな
る2次元平面において、上記測定機能を、x軸又はθ軸
方向の1次元位置検出器、或いはx軸又はθ軸方向とy
軸方向の2次元位置検出器とし(検出器の短い方向がy
軸方向とする)、当該検出器をy軸方向にスキャニング
することにより、広い面積の生体の上記X線・γ線の線
源からの固有X線又はγ線の透過率を測定するように構
成した。このようにすると、広い面積の生体の骨塩量
を、上記(2−1)に記した形状に起因する誤差、及
び、上記(2−3)に記したコンプトン散乱線の混入に
よる誤差を充分に小さくし、更に(2−5)のカウンタ
アレイ使用上の問題点を克服した骨塩量測定装置とする
ことが可能となる。
【0037】
【0038】請求項8に記載のX線・γ線の線源は、複
数の放射性同位元素として、241Am、133Ba、204
lを夫々所定量混合することにより、所望のエネルギの
固有X線又はγ線を所望の強度で発生するように構成し
た。本発明の骨塩量測定装置に用いるX線・γ線の線源
としては最も適したものである。また、これらの放射性
同位元素は、半減期が3年以上のため、経時的減衰によ
る線源交換を3年以上しないで済む利点を有する。
【0039】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の骨塩量測定装置を
概説する。上述した夫々の従来技術の問題点は、(a)
X線のエネルギ値と生体の透過経路の双方を、同時かつ
精密に分析可能な検出器系の開発と、(b)必要な数種
のエネルギ値と強度を持った、数種の混合放射性同位元
素の点状線源の活用により、根本的な解決となること
を、以下に具体的に記す。なお、以下に記すことは総
て、人体の骨塩量測定に限らず動物体(以下総括的に
「生体」という場合がある。)の骨塩量測定に関しても
同様に有効である。
【0040】(3−1)検出器の基本仕様 先ず、本発明の骨塩量測定装置の検出機能として用いる
検出器系の基本仕様は以下の通りである。 (a1) 測定可能エネルギ範囲;14keV〜81keV (a2) エネルギ分解能 ;半値幅10keV以下(Ex,γ>50keV) 半値幅 5keV以下(Ex,γ<50keV) (a3) 位置分解能 ;半値幅 2mm以下 (x軸或いはθ軸方向:及びy軸方向) (a4) 有感面積 ;180mm以上(x軸方向)×10mm以上(y軸方向) 或いは、測定対象とする人体部分より大きなx軸方向の
有感幅があること。(y軸方向は、有感幅2mmの検出部
が5個以上により構成され、更に必要長だけスキャニン
グして測定するものとする。) 但し、Ex,γは検出器により検出するX線又はγ線のエ
ネルギである。
【0041】(3−2)X線・γ線の線源の基本仕様 次に、本発明の骨塩量測定装置のX線・γ線の線源の基
本仕様は以下の通りである。 (b1) 数本の固有(特性)X線或いはγ線を放出する混
合放射性同位元素線源 (b2) 線源寸法 ;直径2mm以下 (b3) 半減期 ;3年以上 (b4) エネルギ値;14keVから81keVまでの間の数本
の固有X線(特性X線) 又はγ線で、エネルギが50keV以上のX線やγ線で
は、相互に10keV程度以上のエネルギ値差があるこ
と。また、エネルギが50keV以下のX線やγ線では、
相互に5keV程度以上のエネルギ値差があること。
【0042】次に、本発明の骨塩量測定装置の一実施の
形態を図1乃至図11を用いて説明する。図1は、本発
明の骨塩量測定装置10の概略構成を示すブロック図
で、骨塩量測定装置10の主要構成は、X線・γ線の線
源(S)20、測定機能である比例計数管30、後述す
るエレクトロニクス系と計算機40である。エレクトロ
ニクス系としては、3つの電荷有感型プリアンプ(C.S.
P.A.)31〜33、2つの主増幅器(M.A.)34a1、
35とアナログ割り算器(DIVIDER)36、リニアゲー
ト(L.G.)38a1〜38an、39、単一チャンネル波
高分析器(S.C.A.)37a1〜37an、37e、波高分
析器(PHA)41を備え、更に、3つの抵抗器R1〜R
3と4つのコンデンサC1〜C4と高圧電源Eを有して
いる。
【0043】なお、単一チャンネル波高分析器37a1
〜37an、37eとリニアゲート38a1〜38an、
39は、X線・γ線源20からの測定に用いる線種の数
nプラス1台用いる。また、波高分析器41は、n個の
単一チャンネル波高分析器37a1〜37anからの各出
力信号に基づいてn個に分別して、各線種毎に検出器入
射位置信号の波高分析を行う。
【0044】また、後述するが、エレクトロニクス系の
うち、アナログ割り算器36、単一チャンネル波高分析
器37a1〜37an、、37e、リニアゲート38a1
〜38an、39、波高分析器41は図4に示すCAM
AC系によって行うことも可能である。このCAMAC
系は説明は省略するが、物理実験分野での放射線計測装
置として標準化されているものである。なお、X線・γ
線の線源20は、その大きさが、線源20から比例計数
管30までの距離に比べて充分に小さく、点状の線源2
0と見なせるものとする。
【0045】先ず、X線・γ線の線源20は、(3−
2)の(b1)に述べたように、数本の固有X線或いはγ線
を放出する混合放射性同位体線源であるが、具体的に
は、図2の表1の〜欄に示すような3核種、即ち
241Am、133Ba、204Tlの混合線源が用いられてい
る。更に、エネルギ的に詳しく分析したい場合は、図2
の表1の欄に示す核種153Gdを加えると良い。
【0046】次に、上記基本仕様を満足する固有X線や
γ線のエネルギ値と生体への透過経路の双方を、同時か
つ精密に分析可能な検出器は、図1に示す高圧アルゴン
ガスフロー型の比例計数管30が最適であるが、この比
例計数管30の原理的な解説図を図3に示す。
【0047】図3において、点状の線源(S)20より
放出された固有X線又はγ線は、Be(ベリリウム)板
を窓22fとし、細い(直径約10ミクロン)ニクロム
線を陽極芯線22eとする比例計数管30に入射する。
また、窓22fや陽極芯線22eは、点状線源20を中
心とした同心円状に配置する。この比例計数管30は、
光子の検出効率を高くするために、10乃至30気圧の
アルゴンガスを充填し、導線(陽極線間の結線)22h
により直列に結ばれた陽極芯線22eとBe板或いはメ
ッシュ22c、22f、22gよりなる何層もの有感部
分22dよりなる。また、クエンチングガスとして、微
量のCO2(二酸化炭素)ガスをアルゴンガスに混合
し、測定中は常時孔22aから流入し、孔22bから排
出される。
【0048】ガス増倍率を大きくして、大きな信号電荷
量(Qc)を得ることによって、良好なエネルギ分解能
と、有感部分22dへの入射位置分解能を得るために、
陽極には図1に示す高圧電源Eにより、10乃至30kV
の高い電圧(VB)を印加する。図1に示す陰極(C)
は、高抵抗R3を接続してアースより浮かしてあり、光
子エネルギに比例するガス増倍された全電荷パルス(Q
c)は陰極(C)に集められて、電荷有感型プリアンプ
32と主増幅器35で増幅され、これをリニアゲート3
9を通して波高分析器41に入力して光子エネルギの波
高スペクトルに処理して、それを計算機(COMPUTER)4
0で処理及び記憶をする。
【0049】一方、全電荷パルス(Qc)と同量で反対
符号の電荷が陽極芯線22eに集められるが、陽極のニ
クロム線は、長さ1mm当たり約12オームの一定の抵抗
値を持つため、光子の検出位置より陽極の両端(A1)
と(A2)に至るまでのニクロム線の長さに逆比例して
分割されて、陽極両端(A1、A2)に集められる。ニク
ロム線の全長をLとし、光子検出位置より陽極端A2ま
でのニクロム線の長さを(x)とすると、陽極端A1に
集められる電荷信号量QA1は、QA1=(x/L)・Qc
である。電荷信号量QA1を図1に示す電荷有感型プリア
ンプ31と主増幅器34a1で増幅した信号波高を、パ
ルス的に割り算器36により上記したQcに比例する主
増幅器35の信号波高で割り算することにより、光子検
出位置より陽極端A2までのニクロム線の長さ(x)に
比例した波高のパルスを得、これを波高分析器41に入
力することにより、光子が比例計数管30に入射する位
置のスペクトルを得て、計算機40で処理及び記憶する
【0050】なお、主増幅器35の出力波高を、測定線
種の数のnに等しい台数の単一チャンネル波高分析器3
7a1〜37anで、光子エネルギに応じて線種を分別
し、夫々の単一チャンネル波高分析器37a1〜37an
の出力を入力した、n個の夫々のリニアゲート38a1
〜38anで各線種に分別して、割り算器36の出力信
号を波高分析器41で集計することにより、各線種毎の
検出器入射位置スペクトルを得る。また、エレクトロニ
クス系のうち、アナログ割り算器36、単一チャンネル
波高分析器37a1〜37an、37e、リニアゲート3
8a1〜38an、39、波高分析器41は図4に示すC
AMAC系を使用しても同様の結果を得ることができ
る。
【0051】なお、光子エネルギに比例する全電荷パル
ス(Qc)は、上記のごとく、陰極(C)からの信号を
用いてもよいが、陽極両端(A1、A2)からの夫々の電
荷パルス(QA1とQA2)の和を用いてもよい。即ち、主
増幅器34a1と主増幅器34a2の各出力パルスを、和
算回路(図示せず)に入力し、この出力を主増幅器35
の出力の代わりに割り算回路36に入力する方式でも、
同様の結果を得ることができる。
【0052】図4は、本発明の骨塩量測定装置10のブ
ロック図である図1に示すエレクトロニクス系、アナロ
グ割り算器36、単一チャンネル波高分析器37a1〜
37an、37e、リニアゲート38a1〜38an、3
9、波高分析器41の機能を、CAMAC系で実施する
場合のブロック図である。図4に示すように、主増幅器
34a1、35からの入力信号は、夫々CAMAC A
DCモジュール55に入力する。同時に上記出力信号
は、2個のディスクリ(discri)51、52及びゲート発
生器53により同時性を検出し、ゲート発生器53(G.
G)の出力で上記ADCモジュール55のゲート(Gate)を
開く。
【0053】また、ゲート発生器53の出力は、遅延回
路(D.L.)54で若干遅延させてCAMACインタラプト
モジュール56に入力信号を与え、CAMACクレート
57及びクレートコントローラ58を介してコンピュー
タ40の入力動作を起動する。コンピュータ40は、主
増幅器34a1の出力波高と主増幅器35の出力波高の
各ADC出力信号を読みとり、それらの割り算を実行
し、入射X線の位置情報(x)を得る。また、主増幅器
35の出力のエネルギ情報のn個の夫々指定された範囲
データにより、位置情報(x)を振り分ける。これは、
図示による説明は省略するが、実際は画面上のマウスカ
ーソルで任意に指定することができる。
【0054】なお、CAMAC系を使用する場合は、上
記のごとく、陽極の一方の端(A1)からの信号と、陰極
(C)からの信号を、CAMAC ADCモジュール5
5のCH1とCH2に入力してもよいが、陽極の両端
(A1とA2)からの信号を夫々CH1とCH2に入力し、
コンピュータ40により、QA1/(QA1+QA2)の演算
をすることにより、位置情報(x)を得るようにしても
よい。
【0055】図3には示されてはいないが、紙面に垂直
に(y軸方向に)計5本のアノード線を平行に張り、そ
れらの中間に金属板を置いて互いに分離することによ
り、そしてそれらには、夫々図1の電子回路を結合させ
ることにより、どのアノード線からの信号かによってy
軸方向の位置分析も行う。検出器30へのX線又はγ線
のx軸方向及びy軸方向双方の入射位置が分かれば、X
線又はγ線の線源20は上記した通り点状線源であるの
で、線源20と前記入射位置を直線で結ぶことにより、
幾何学的にX線又はγ線の人体60における透過経路が
判別でき、しかもそれは上記の如く各線種毎に判別でき
ることになる。従って、以上により、上述した検出器の
基本仕様を満足する検出器とすることができる。
【0056】 なお、アノード同士の結線は、図3或い
は図1の陽極線間の結線22hのごとく、X線又はγ線
の進行方向の各アノードを結線してもよいが、同図紙面
に垂直に(y軸方向に)平行に張った、(計5本の)各
アノード線同士を結線し、その両端に図1の電子回路を
結合することにより、検出器入射位置のx軸及びy軸両
方向の分析をするようにしてもよい。アノード線の長さ
を余り長くする(1m以上にする)と、位置分解能が劣
化するので、X線又はγ線の進行方向2列目(検出器2
層目)の(計5本の)各アノード線については、別途結
線にして電子回路を結合し、また、3列目(3層目)は
3列目同士で結線する、という方法により、検出感度も
向上させつつ、x、y両位置情報を得ることも可能にな
る。
【0057】なお、位置検出器の校正は、後述するよう
に、検出器前面に、多数のスリットを所定の間隔をあけ
て、機械的に精度良くy軸方向に(平行に)開けた校正
用コリメータを置き、点状線源によりX線又はγ線をそ
の全面に照射して、各スリットを通過して検出器に入射
したX線又はγ線の波高分析器41のスペクトルの各ピ
ークチャンネルナンバーの測定結果より、図3に示すX
線の検出器30への入射位置(x,y)と波高分析器ス
ペクトルのチャンネルナンバーとの関係を精密に得るこ
とができる。
【0058】次に、X線・γ線の線源のy軸方向のスキ
ャニングと検出器コリメータの使用に関して図5を用
い、図3を参照して説明する。図3の検出器30は、同
図の紙面に垂直な方向(y軸方向)には、2mm(人体6
0の形状変化の影響を±1mm内で計測する場合)の有感
幅で、図5に示すように隣の検出器と金属メッシュ又は
Be板22cで分離されていなければならない。
【0059】一方、50keV以上のX線・γ線の検出感
度を上げるためには、使用ガスの選定(アルゴン)とガ
ス圧を上げる(10〜30気圧)だけではなく、X線・
γ線の飛行方向有感厚が大きく(例えば100mm)なけ
ればならず、また、y軸方向の位置検出のためには、
(y軸方向に)薄い検出器にする必要性が出てくる。薄
い検出器にした場合の問題点は、検出器内でのX線・γ
線の吸収或いは衝突により、エネルギを与えられた電子
が、壁22cに衝突することによって、そのエネルギの
一部を失い、検出器ガスを充分に電離できなくなり、こ
のことによってX線・γ線のエネルギ値の測定が不正確
になることである。
【0060】以上の問題は、図5に示すように、検出器
窓(Be板)22fの前面に、検出器コリメータ22k
を取り付けることにより、充分に避けることができる。
即ち、検出器コリメータ22kは、2mm幅のスリットを
各検出器の中央に取り付けたもので、各検出器幅はその
4倍の8mmとする。測定X線・γ線の最大エネルギ値は
81keVなので、上記電子の最大エネルギ値は81keVで
ある。エネルギ値が81keVの電子の、30気圧アルゴ
ンガス中での最大飛程は2.7mmなので、検出器コリメ
ータ22kを付けたときのX線・γ線の壁までの最短距
離3mmよりも短く、従って、壁に衝突してエネルギを失
う可能性はなくなる。なお、検出器コリメータ22k
は、1mm厚のタンタル板等で作成すると良い。
【0061】図5に示すように、検出器コリメータ22
kを使用した場合は、一度測定した(スキャニング
1)後、y軸方向にそのスリット幅(2mm)だけ動か
して、また、測定(スキャニングS2)し、これを検出
器幅(8mm)のスリット幅に対する倍数回(計4回)繰
り返して、その都度測定(スキャニング)することによ
り、y軸方向は全検出器幅W(5×8=40mm)を、2
mm幅の精度で位置測定ができることになる。5回目のス
キャニング(S5)では、全検出器幅Wだけ移動させる
ことにより、更に全検出器幅Wのスキャニングが可能に
なり、同様のスキャニングを更に行えば、全検出器幅W
の整数倍のy軸方向の位置測定が可能になる。なお、図
5では、一番右側の検出器のスキャニング位置(S1
5)のみ記したが、2番目乃至5番目の検出器も同様
である。
【0062】次に、本発明の骨塩量測定装置10を用い
て人体60の骨塩量を算定する解析方法の方針について
説明する。先ず、当該解析方法を概説すると、X線やγ
線が透過する人体60の測定対象部65を図6に示すよ
うに多数のセグメントに細分割し、夫々の各セグメント
のX線の透過率を計測することにより、前述した複雑な
人体60の構造を反映したものにする。また、上記(2
−4)に記したように、人体60は多数の物質から構成
されており、この骨塩量や軟部組織量等の人体60を構
成する物質の数を人体変数mとすると、人体変数mと同
じか、或いは人体変数mよりも多数のn個のエネルギ値
(正確なエネルギ値を同定して)のX線の透過率を測定
し、n個のm元連立方程式を解き、必要に応じて最小二
乗法によりフィットすることにより、人体60の骨塩量
bの測定精度を上げるものとする。
【0063】本発明の骨塩量測定装置10を用いて人体
60の測定対象部65の骨塩量Mbを算定する解析方法
の方針は上記の通りだが、以下、骨塩量Mbの解析方法
の概要を図6を参照し、図7及び図8のフローチャート
を用いて概説する。 (4−1)先ず、図6に示すように、人体60の測定対
象部65の大きさを、x軸方向にX、y軸方向にYとし
たとき、Xを上記セグメントのx軸方向の長さであるΔ
xでimax等分し(X=Δx・imax)、同様にYをセグ
メントのy軸方向の長さであるΔyでjmax等分する
(Y=Δy・jmax)(SP1)。
【0064】(4−2)次に、図6に示す測定対象部6
5の位置(xi,yj)の微分部分(面積:Δx・Δy)
の、エネルギ値EkのX線又はγ線の透過率t(i,j,k)
は、人体60が無いときのX線又はγ線の計測値をn0
(i,j,k)とし、人体60があるときのX線又はγ線の計
測値をn(i,j,k)とした場合、次式によって求めること
ができる(SP2)。 t(i,j,k)=n(i,j,k)/n0(i,j,k) (8) なお、i及びjはi=1〜imax、j=1〜jmaxの間を
変動するものとする。また、n種のX線又はγ線の各エ
ネルギ値Ek(k=1〜n)に対する透過率t(i,j,k)の
総てを図示したものが、エネルギ値EkのX線又はγ線
の透過率マップと称するものとする。さらに、iは後述
するように位置検出器の出力の波高分析器のチャネル数
に相当し、jは位置検出器の何本目のアノードの何回目
のスキャニング計測かによって一意的に決定される。
【0065】(4−3)上記した方法で測定した測定対
象部65の各微小部分位置(xi,yj)のエネルギ値E
kのX線又はγ線の透過率t(i,j,k)に基づいて、次
に、各微小部分位置(xi,yj)の骨塩量b1(i,j)は図
8に示すフローチャートのように求める。 (a)先ず、検出器30によるn種のX線又はγ線の透過
率t(i,j,k)の測定値がコンピュータ40に入力される
と(ST1)、人体変数mとX線又はγ線の線種の数n
とが等しい場合(m=n)は(ST2)、式(4)につ
いてのn個のm元連立方程式が成立する。従って、この
n(=m)個のm元連立方程式を解くことにより(ST
3)、骨塩量b1(i,j)を始め、他の測定対象部65の
(m−1)個の構成部分の量b2(i,j)〜bm(i,j)が夫々
一意に定まる(ST4)ので、当該各微小部分位置(x
i,yj)の骨塩量b1(i,j)を即座に決定することができ
る(ST7、SP3)。
【0066】(b)次に、人体変数mがX線又はγ線の線
種の数nよりも小さい場合(m<n)は(ST2)、上
記同様に式(4)についてのn個のm元連立方程式が成
立する。ところで、このn(>m)個のm元連立方程式
を解くと、人体変数mよりも方程式の個数nの方が多い
ので、一般に、各セグメントの骨塩量b1(i,j)を始め、
他の人体60のm−1個の構成部分の量b2(i,j)〜bm
(i,j)の解は夫々複数解となる(ST5)。従って、人
体変数mより連立方程式の個数が多いときは、最小二乗
法によるフィットにより(ST6)、各セグメントの骨
塩量b1f(i,j)を始め、他の人体60のm−1個の各セ
グメントの構成部分の量b2f(i,j)〜bmf(i,j)の量も決
定する(ST7、SP3)。なお、このn個のm元連立
方程式を解くプログラム及び最小二乗法によりフィット
するプログラムは、図1に示すコンピュータ40に予め
入力されている。
【0067】このように、各セグメントについての骨塩
量b1(i,j)、或いはb1f(i,j)が求まると、i=1〜im
ax、j=1〜jmaxの各セグメントについての骨塩量b1
(i,j)、或いはb1f(i,j)の総和を求めることにより(S
P4)、人体60の測定対象部65の骨塩量Mb、Mb f
【数1】 又は
【数2】 の式(9)又は式(10)に代入することにより求める
ことができる(SP5)。なお、この骨塩量b1(i,j)、
或いはb1f(i,j)の総和を求める計算も図1に示す計算
機40が行うようになっている。また、ここで、Mb
上記(a)の解法により求めた骨塩量、Mb fは上記(b)の解
法(最小二乗法によるフィット)により求めた骨塩量で
ある。更に、上記解法では、各セグメントの位置を(x
i,yj)とするx,yの直交座標系で解析するようにし
たが、xi=R・θi、Δxi=R・Δθiとし、極座標系
で測定及び解析するようにすると、より高精度で骨塩量
b、Mb fを計測できるようになる。ここで、Rは、図
1に示すX線の線源20と人体60間の平均距離とす
る。
【0068】以上、人体変数をmとし、X線又はγ線の
線種の数をnとした一般的な場合で説明したが、以下
は、(5−1)でm=n=2、(5−2)でm=2、n
=3(5−3)でm=n=3の値とした具体的な場合に
ついて説明する。 (5−1) m=n=2とした場合 人体60を、人骨61と軟部組織62から構成され、人
体変数mが2とし、X線又はγ線の線種の数を高エネル
ギ(EH)と低エネルギ(EL)の2種類とした点で、従来の
測定法と共通するが、本発明の骨塩量測定装置では、上
述したように、X線又はγ線のエネルギ誤差が無く、ま
た、人体60の骨塩量Mbの測定対象部65を細かくセ
グメントに分割することにより、人体形状の変化に比較
して透過位置測定精度に優れているので、従来の式
(4)は各セグメントについて微視的には正しいと言え
る。
【0069】従って、各セグメントについて式(4)を
適用し、 a=μs H/{μs H・μb L−μs L・μb H} b=μs L/{μs H・μb L−μs L・μb H} とすると、骨塩量Mb
【数3】 の式(11)に示すようになり、人体60が人骨61と
軟部組織62から構成されるとした仮定が正しい場合
は、正確な骨塩量Mbを算出できる。ここで、低エネル
ギ(EL)のX線(XL)の軟部組織62における質量吸収係
数をμs L、骨61における質量吸収係数をμb Lとしてい
る。同様に、高エネルギ(EH)のX線(XH)の軟部組織6
2における質量吸収係数をμs H、骨61における質量吸
収係数をμb Hとしている。なお、従来法では、人体60
におけるX線又はγ線の透過位置を測定していなかった
ので、
【数4】 の式(4)´のように算出され、更に大きな誤差原因と
なっていたことは、式(4)´を上記の正しい式(1
1)と比較することにより明白になる。つまり、式
(4)´では、高エネルギ(EH)のX線(XH)の透過率t
(i,j,H)、或いは低エネルギ(EL)のX線(XL)の透過率
t(i,j,L)の小さい部分、即ち骨塩量の大きい部分の寄
与を過小評価していることになる。このことが、図15
に示したように、従来法ではどの具体例においても、常
にそして大幅に、骨塩量の計測値(Mbc)がそれの真の
値(Mb0)よりも小さくなってしまう原因となってい
る。
【0070】(5−2) m=2、n=3とした場合 人体60を、人骨61と軟部組織62から構成され、従
って、人体変数mを2とし、X線又はγ線の線種の数を
3種類とした場合である。3種類のX線又はγ線の線種
のエネルギをE1、E2、E3とし、 μb E1・ρb=β1、 μs E1・ρs=σ1 μb E2・ρb=β2、 μs E2・ρs=σ2 μb E3・ρb=β3、 μs E3・ρs=σ3 とおくと、人体60の各セグメント(xi,yj)の骨6
1の厚さTb(i,j)[cm]と軟部組織62の厚さTs(i,j)[c
m]とが未知数として、
【数5】 の式(12)によって表されるUの値が最小となるよう
な骨61の厚さTb(i,j)と軟部組織62の厚さTs(i,j)
を、図1に示す計算機40により算出し、その値を夫々
b f(i,j)とTs f(i,j)として、測定値である3種類のX
線又はγ線の線種の透過率t(i,j,k)と、上記一定値β
1、β2、β3、σ1、σ2、σ3を使って人体60の測定対
象部65の骨塩量Mb f及び軟部組織Ms f
【数6】
【数7】 の式(13)と式(14)により求める。
【0071】(5−3) m=3、n=3とした場合 人体60を、人骨61と、図示は省略するが、人骨61
以外の第2及び第3の組織から構成され、従って、人体
変数mを3とし、X線又はγ線の線種の数を3種類とし
た場合である。(5−2)の場合同様に、3種類のX線
又はγ線の線種のエネルギEkをE1、E2、E3とし、 μb E1・ρb=β1、 μs E1・ρs=σ1 μb E2・ρb=β2、 μs E2・ρs=σ2 μb E3・ρb=β3、 μs E3・ρs=σ3 とおき、更に第3の組織に対して、μu E1・ρu=ν1、
μu E2・ρu=ν2、μu E3・ρu=ν3とすると、3種類の
X線又はγ線の線種のエネルギEkのE1、E2、E3の夫
々に対して、 ln{t(i,j,k)}+βk・Tb(i,j)+σk・Ts(i,j) +νk・Tu(i,j)=0 (15) が成り立つので、Tb(i,j)、Ts(i,j)、Tu(i,j)に関す
る3個の連立方程式を解き、式(9)のb1(i,j)にρb
・Tb(i,j)を代入することによって骨塩量Mbを求める
ことができる。また、人骨61以外の第2及び第3の組
織の量Ms、Muは、式(9)のb1(i,j)にρs・Ts(i,
j)、或いはρu・Tu(i,j)を代入することによって夫々
求めることができる。
【0072】次に、図9を用い図3を参照して、本発明
の骨塩量測定装置10に用いるX線・γ線の線源の混合
線源20の補足説明をする。図9は、図2に示す表1の
上記4種の各線源が同一強度(同一ベクレル数)のとき
の、各線種の計数率に関して図3に示す検出器30を用
いたときの相対値を一例として図示したものである。横
軸には各線種のエネルギ値、縦軸には検出器30の(ア
ルゴンガス圧)×(有効厚)=300気圧・cmのときの
各線種の検出効率(εDET)と、人体の皮質骨の厚さ
(Tb)と軟部組織の厚さ(Ts)が、同図内の表の夫々
の場合(○、△、×)における各線種の人体透過率(T
BODDY)と、そして各線源の1崩壊(ベクレル)当たり
の各線種の放出確率(Is[%])との、3個の積の値、
即ち各線種の人体60透過後の計数率の相対値を示す。
【0073】図9より、特に30keVから50keVまで
は、皮質骨61の厚さ(Tb)に計数率が鋭敏に影響を
受ける、即ち骨塩量Mbを正確に定量するのに適してい
ることが分かる。測定精度を上げるためには、解析に用
いる各測定線種の計測カウント数を大きくして、統計精
度を上げなければならない。計測カウント数は、(計数
率)×(計測時間)であるが、計測時間は診断時間とし
ての限りがあり、また、計数率は余り大きくなると検出
器のエネルギ分解能や位置検出精度に悪影響を与えるた
め、使用線源は解析に用いる各測定線種の計数率がほぼ
同じようになるように、混合比を選ぶと良い。
【0074】241Am線源は半減期が400年以上もあ
って、一度購入するといつまでも減弱することなくX線
・γ線源として使用可能なので、241Am線源を基準に
すると、133Ba線源はほぼ同じ強度(ベクレル)、204
Tl線源や153Gd線源ならば約1/3の強度(ベクレ
ル)となるように混合したX線・γ線源を使用すればよ
いことが図9より分かる。
【0075】133Ba線源の半減期は図2の表1に示す
ように約11年、204Tl線源の半減期は約4年なの
で、241Am線源も含めた3種を混合したX線・γ線の
混合線源の場合は、5年以上同一線源のまま使用可能で
ある。153Gd線源は半減期が約240日と短いので、
特別の場合のみ上記の混合線源の直前又は直後に置いて
同時に使用するようにし、毎年153Gd線源のみ交換す
るようにすればよい。
【0076】なお、解析法のところで、測定対象である
人体があるときの計数率nと、ないときの計数率n0
の比として透過率tを求めるように式に記したが、現実
の診断は計数率nによりする以上、計数率n0の測定は
別途強度比の分かっている弱い線源を用いて、nとほぼ
同程度の計数率で測定する必要がある。
【0077】このように、X線・γ線の線源と検出器系
と計算機が共に上記基本仕様を満足することにより、上
述した図12の従来の骨塩量測定装置100が有してい
た(2−1)乃至(2−6)の誤差が解決されることは
上記の通り詳細に記してきたが、更にまとめて図10と
図11を用いて以下に示す。 (6−1)形状誤差の極小化 検出機能で検出する各光子(X線やγ線)に関して、そ
の光子が複雑な内部形状をしている人体のどの部分を透
過してきたかが判定できれば、即ち、人体の形状を反映
した光子の詳細な透過率分布(マップ)が分かれば、人
体の骨塩量分布(マップ)が分かることになり、前記し
た形状誤差の問題は解決する。
【0078】X線・γ線の線源と検出器が共に基本仕様
に記したように、図10の線源20は直径2mm以下の点
状線源で、図3の検出器30は位置分解能が半値幅2mm
以下であれば、図10に示すように、光子の人体60へ
の入射位置精度が約±1mmの人体60(骨61、軟部組
織62)の光子透過率分布(マップ)が作成できること
になる。人体60に入射する光子に垂直な±1mm内で、
骨61の厚さが大幅に変化する部分の面積の総和が、測
定対象とする人体60部分の総面積に比し、かなり大き
くなるような特別な場合は稀であるので、上記(1−
1)の問題(1)に記した人体60の形状変化に起因す
る骨塩量の測定誤差を極小化することができる。
【0079】(6−2)X線エネルギ値の拡がりによる
誤差の消滅 上記X線・γ線の線源が基本仕様のように、夫々一定の
エネルギ値(単色)で、かつ、相互に5keV以上(Ex,
γ<50keV)或いは、10keV以上(Ex,γ>50ke
V)のエネルギ値差がある数種のX・γ線を放出する、
数種類の放射性同位元素からなり、更に検出器系として
は基本仕様として、上記のX線・γ線を分離して測定で
きるエネルギ分解能を持ったものを使用すれば、検出す
る各光子に関しては、そのエネルギ値が厳密に同定(特
定)されることになるので、上記問題に記した光子のエ
ネルギに拡がりがあることに起因する骨塩量の測定誤差
は厳密になくすことが可能になる。これらは図2の表1
中の任意の放射性同位元素からなる混合線源と、(3−
1)の(a2)に記したエネルギ分解能に関する基本仕様を
持った検出器系により達成できる。
【0080】(6−3)散乱線の混入による誤差の除去 上記(2−3)に記したように、従来の骨塩量測定装置
では、X線・γ線の線源や検出器が夫々大きく、光子の
コリメートが充分になされていないと、検出器で計測す
る光子数は圧倒的に散乱光子によるものの方が多くな
り、このため計測値に大きな誤差をもたらすことにな
る。従って散乱線の混入を極力避けて精度がよい測定を
するには以下の条件が重要になる。 (a)X線・γ線の線源が点状線源であること。 (b)検出器の有感面は細長く、線源及び人体から極力
離れていること。 (c)人体に入射する光子及び人体から検出器有感面へ
入射する光子は、線源より検出器有感面を見込むものの
みにコリメートすること。
【0081】上記の基本仕様を満足する検出器と線源を
用い、上記(c)を満足するようにコリメートし、検出
器と人体及び線源間の距離を夫々12cm(平均)及び2
4cmとすると、図11の計算結果に示すように、大幅に
検出器系に入射する散乱光子の数を減少させることが可
能になる。なお、計算はTOTAL BODYの厚さが
10[g/cm2]の場合についてのみ行った。また、人体内
で散乱後、検出器に入射するまで、散乱確率の角度分布
及び人体内での減衰と検出器を見込む立体角も考慮して
計算を行った。ここで検出器の有感面積は18cm×1cm
とした。図11に示す通り、上記の条件では、検出器に
入射する散乱光子数は、全入射光子数(=散乱光子数+
透過光子数)の約6〜7%(光子エネルギが40keV〜
150keVのとき)、或いは約13%(光子エネルギが
30keVのとき)になり、大幅に減少させることができ
るのが分かる。ここでCは、C=(散乱して検出器に入
る光子数)/(検出器に入る全光子数)とする。なお、
図11のC0は、人体内で散乱された光子が、人体内で
減衰することを考慮していないときのCの計算値であ
る。
【0082】(6−4)多数エネルギ値での分析による
効果 上記従来の骨塩量測定装置では、2個のエネルギ(Dual
Energy)値のみの測定を行っていたが、これでは2重
の意味で問題点があることを(2−4)に記した。しか
し、基本仕様を満足する数本の固有(特性)X線或いは
γ線を放出する混合線源を用い、基本仕様を満足する検
出器系で測定するならば、多数のエネルギ値よりなる線
種の夫々に対して人体の透過率分布(マップ)を同時に
測定することができるので(Multi-Energy X and γray
Absorptiometry;MEXA法と称することにする。)、人体
の構成物質数を3種以上にして、夫々の分布量を求めた
り、また、そのことによって測定誤差を少なくすること
を可能にしたり、求めるパラメータ数よりも多くのエネ
ルギ値による分析データによって最適フィットをするこ
とにより、誤差をより小さくすることが可能になる。
【0083】(6−5)位置検出器使用によるカウンタ
アレイの問題点の克服 上記基本仕様を満足する検出器系は、基本的に1個乃至
数個の位置検出器であるので、カウンタアレイの問題点
として記した3点は総て克服される。即ち、離散的な不
感領域があったり、位置による感度のばらつきや、経時
変化があったりするようなことは総てなくすことができ
る。
【0084】(6−6)回折格子使用による問題点の点
状放射性同位元素線源使用による克服X線管からのブロ
ードなX線は、回折格子により単色化することができる
が、しかしこの場合、X線源としては空間的に幅の広い
ものになってしまうため、回折格子を使用すると、骨形
状に起因する誤差は避けられないことは上述した。基本
仕様の点状放射性同位元素線源使用の場合、エネルギ値
はどれも単一であり、また空間的に点状であるので、エ
ネルギ拡がりに起因する誤差と、骨形状に起因する誤差
の両方共、極小化することが可能になる。
【0085】本発明の骨塩量測定装置は、上記実施の形
態には限定されない。先ず、上記実施の形態では、X線
・γ線の線源の形状として、測定対象とする生体内骨形
状の位置変化に比し、充分に小さい点状線源の例で説明
した。これは上述したように、線源の位置と検出器がX
線又はγ線を検出した位置を直線的に結ぶことにより、
X線又はγ線の骨の透過経路を幾何学的に正確に判別す
るためである。本発明の骨塩量測定装置でいう点状線源
とは、線源そのものが文字通り点状であることを必ずし
も意味するものではない。線源そのものは面状であれ、
線状であれ、或いは点列状であれ、点状のコリメータに
よって実効的に点状とされた線源であれば、人体の透過
経路の判別その他の測定等において問題となることでは
ない。
【0086】また、上記の点状コリメータは、面状、線
状、点列状等の線源と共に、時間的に移動させて使用し
たり、或いは複数個であったとしても、或いはまた、点
状線源そのものが複数個であったとしても、それらの夫
々の線源を使用する時間や、夫々の線源のX線又はγ線
のエネルギ値より、X線又はγ線の出射位置が判定でき
るならば、X線又はγ線の検出器における検出位置を測
定することにより、上記したように、X線又はγ線の人
体における透過経路が判別できることになり、骨塩量
(骨密度)測定上有効である。そしてまた、この方法で
は、測定時間の短縮に繋がるメリットがある場合もあ
る。但し、人体には厚みがあるため、異なる位置の各点
状線源による光子の人体透過経路は夫々異なるため、測
定結果の解析上大きな誤差をもたらすこともあること
は、個々の実施上の場合について注意しなければならな
い。
【0087】上記実施の形態では、最も精度を必要とす
る場合について、そしてまた、その重要性について記し
た。その結果、点状線源が基本的に最良であることは上
記したが、それ程精度を必要としない場合や、人体形状
に特別な仮定が可能な場合については、本発明の骨塩量
測定装置に用いる測定機能や計算機能により、線源の形
状は点状線源に限定されず、種々の形状が考えられる。
【0088】また、(3−1)で述べたが、これは本発
明の骨塩量測定装置に用いる線源を考慮して、最も望ま
しい検出器の仕様を示したものであり、線源に用いる放
射性同位体の種類の変更等に応じて、当該仕様について
も種々の変更が考えられるのは勿論のことである。
【0089】
【発明の効果】本発明の骨塩量測定装置は、上述のよう
に構成したために、以下のような優れた効果を有する。 (1)請求項1に記載したように構成すると、X線・γ
線の線源としては、所定量の放射性同位元素を用いて、
所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で発生
するようにすることにより、エネルギ分布幅のない単色
(単一のエネルギ)のX線・γ線の線源とすることがで
き、従来の骨塩量測定装置に存在したX線エネルギ値の
拡がりに起因する骨塩量の測定誤差をなくすことができ
る。 (2)また、各固有X線又はγ線の夫々のエネルギ値及
び生体への透過経路を計測することにより、所望の位置
の生体の固有X線又はγ線の透過率を測定するようにす
ると、複雑な生体の形状を反映した多線種の固有X線又
はγ線の夫々の透過率分布(マップ)が分かるようにな
り、最終的には計算機能により生体の骨塩量分布(マッ
プ)が分かることになり、従来の骨塩量測定装置に存在
した、上記した形状に起因する誤差及びエネルギの拡が
りに起因する誤差の問題は解決し、測定精度が飛躍的に
向上した骨塩量測定装置とすることができる。 (3)更に、計算機能も、検出機能から計測した生体の
透過率に基づいて骨塩量を算出できるようにしたため、
即座に骨塩量を求めることができるようになる。 (4)また、測定機能として、内部封入ガスを高圧にす
ると共に、内部に薄いベリリウム板又は金属グリッドに
仕切られた多数の有感部分を、X線・γ線の線源からの
固有X線又はγ線の飛程方向に設けた比例計数管を用い
るようにしたために、比例計数管の検出効率が上がり、
測定時間が短く精度の良い骨塩量測定装置とすることが
できる。
【0090】(5)請求項2に記載したように、単一の
放射性同位元素を所定量用いたX線・γ線の線源、又は
複数の放射性同位元素を夫々所定量混合したX線・γ線
の線源を略点状に作製するか、所定の大きさの容器に収
納するか、或いはコリメータを用いることにより、X線
・γ線の線源としては、ほぼ点状線源となるように構成
すると、光子の人体の透過経路を判定する測定機能を持
つ上で、本質的な効果を持ち、また、従来の骨塩量測定
装置に存在したコンプトン散乱線の混入に起因する誤差
の問題を解消する上でも本質的な効果を持つことができ
るので骨塩量測定装置の測定精度をより向上させること
ができる。
【0091】(6)請求項3に記載したように、X線・
γ線の線源として、3種以上のエネルギの固有X線又は
γ線を放射する単一の放射性同位元素を所定量用いるよ
うにし、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合す
るように構成すると、従来の骨塩量測定装置に存在し
た、2種のエネルギのX線だけで骨塩量を求めることに
起因する誤差を解消することができるので骨塩量測定装
置の測定精度をより向上させることができる。
【0092】(7)請求項4に記載したように、当該骨
塩量測定装置に用いるX線・γ線の線源としては、具体
的には、X線・γ線の線源に使用する複数の放射性同位
元素として、241Am、133Ba、204Tlを用い、夫々
所定量混合するように構成すると、X線・γ線の線源と
して適した線源を備えた骨塩量測定装置とすることがで
きる。
【0093】(8)請求項5に記載したように、当該骨
塩量測定装置に用いる測定機能として、具体的には、位
置及びエネルギ検出型の比例計数管を用いるように構成
すると、好適な測定機能を備えた骨塩量測定装置とする
ことができる。
【0094】(9)請求項6に記載したように、測定機
能として、縦長の比例計数管を用いるように構成とする
と、従来の骨塩量測定装置に存在したコンプトン散乱線
の混入に起因する誤差の問題を解消する上で本質的な効
果を持つことができるので骨塩量測定装置の測定精度を
より向上させることができる。
【0095】(10)請求項7に記載したように、x
軸、y軸よりなる2次元平面、又はy軸、θ軸よりなる
2次元平面において、上記測定機能を、x軸又はθ軸方
向の1次元位置検出器、或いはx軸又はθ軸方向とy軸
方向の2次元位置検出器とし、当該検出器をy軸方向に
スキャニングすることにより、広い面積の生体の上記X
線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の透過率を測定
するように構成すると、広い面積の生体の骨塩量を短い
時間で測定できる骨塩量測定装置とすることが可能とな
る。
【0096】
【0097】(11)請求項8に記載のX線・γ線の線
源では、複数の放射性同位元素として、241Am、133
a、204Tlを夫々所定量混合することにより、所望の
エネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で発生するよ
うに構成すると、本発明の骨塩量測定装置に用いるX線
・γ線の線源としては最も適したものとすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の骨塩量測定装置の一実施の形態を示す
ブロック図である。
【図2】本発明の骨塩量測定装置のX線・γ線の線源に
用いる放射性同位体の核種と半減期とエネルギ値(線
種)を示す図表である。
【図3】本発明の骨塩量測定装置に用いる比例計数管の
概略構成を示す縦断側面図である。
【図4】本発明の骨塩量測定装置の一実施の形態におい
て、エレクトロニクス系の一部をCAMACシステムで
実施する場合の構成図である。
【図5】X線・γ線の線源のy方向のスキャニングと検
出器コリメータの使用について説明するための断面図で
ある。
【図6】本発明の骨塩量測定装置の解析方法を説明する
ために、人体の測定対象部を各セグメントに分割した状
態を示す側面図である。
【図7】本発明の骨塩量測定装置により、骨塩量を測定
する場合のフローチャートである。
【図8】本発明の骨塩量測定装置により、各セグメント
における骨塩量を算出する場合のフローチャートであ
る。
【図9】本発明の骨塩量測定装置のX線・γ線の線源に
用いる4種の各線源が同一強度としたときの、各線種の
相対計数率の一例を示した図である。
【図10】本発明の骨塩量測定装置に用いるX線・γ線
の点状線源と人体と検出器との関係を説明するための概
略図である。
【図11】本発明の骨塩量測定装置において、散乱され
て検出器に入る光子数の割合と、X線(γ線)のエネル
ギとの関係の一例を示すグラフである。
【図12】従来の骨塩量測定装置の測定原理を説明する
ための概略構成図である。
【図13】従来の骨塩量測定装置が有する形状誤差を説
明するための概略構成図である。
【図14】従来の骨塩量測定装置において、X線が人体
の内部形状が変化する部分を透過した場合の測定結果に
与える影響の違いを解析するための模式図である。
【図15】同図(A)は、従来の骨塩量測定装置におい
て、図14の模式図の各パラメータが同図(B)の表2
に示すa〜fの各場合において、人体の内部形状の変化
を判別せずに求められる骨塩量Mbcと骨塩量の真の平均
値Mb0との比と、X線のエネルギの組み合わせとの関係
を示すグラフを示す図、一方、同図(B)はその図表で
ある。
【図16】従来の骨塩量測定装置において、X線源のエ
ネルギの拡がりの影響による骨塩量のずれを、各エネル
ギ値の組み合わせの場合における計算によって求めた図
表である。
【図17】図16の図表をグラフにしたものである。
【図18】光電吸収の確率、コンプトン散乱の確率及び
光電吸収の確率とコンプトン散乱の確率の比とX線のエ
ネルギとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10:本発明の骨塩量測定装置 20:X線・γ線の線源 22d:有感部分 22g:Be板或いは金属メッシュ(金属グリッド) 22k:検出器コリメータ(コリメータ) 30:比例計数管(測定機能) 40:計算機(計算機能) 60:人体(生体) 61:人骨(皮質骨) 62:軟部組織
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 聰 千葉県千葉市稲毛区穴川4丁目9番1号 科学技術庁 放射線医学総合研究所内 (72)発明者 野田 耕二 千葉県千葉市稲毛区穴川4丁目9番1号 科学技術庁 放射線医学総合研究所内 (56)参考文献 特開 平6−121791(JP,A) 特開 平6−63039(JP,A) 特開 昭62−225984(JP,A) 特開 平1−274746(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61B 6/00 - 6/14

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一の放射性同位元素を所定量用いるこ
    とにより、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合
    することにより、所望のエネルギの固有X線又はγ線を
    所望の強度で発生するようにした1又は2以上のX線・
    γ線の線源と、 前記X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の、或い
    は前記X線・γ線の線源から生体を透過した固有X線又
    はγ線の、夫々のエネルギ値を計測することによって夫
    々の線種を同定し、かつ入射位置信号を出力することに
    より夫々の生体の透過経路を判別する検出器系により、
    所望の位置の生体の所望のエネルギ値の固有X線又はγ
    線の透過率を測定するために、内部封入ガスを高圧にす
    ると共に、内部に薄いベリリウム板又は金属グリッドに
    仕切られた多数の有感部分を、上記X線・γ線の線源か
    らの固有X線又はγ線の飛程方向に設けた比例計数管を
    用いた測定機能と、 前記測定機能により測定した生体の夫々の固有X線又は
    γ線の透過率に基づいて、当該生体の骨塩量を算出する
    計算機能とを備え、 非破壊で、生体の骨塩量を計測するようにしたことを特
    徴とする骨塩量測定装置。
  2. 【請求項2】 上記単一の放射性同位元素を所定量用い
    たX線・γ線の線源、又は複数の放射性同位元素を夫々
    所定量混合したX線・γ線の線源を略点状に作製する
    か、所定の大きさの容器に収納するか、或いはコリメー
    タを用いることにより、上記X線・γ線の線源として
    は、ほぼ点状線源となるようにしたことを特徴とする請
    求項1に記載の骨塩量測定装置。
  3. 【請求項3】 上記X線・γ線の線源として、3種以上
    のエネルギの固有X線又はγ線を放射する単一の放射性
    同位元素を所定量用いるようにし、又は複数の放射性同
    位元素を夫々所定量混合したものを使用するように構成
    したことを特徴とする請求項1又は2に記載の骨塩量測
    定装置。
  4. 【請求項4】 上記X線・γ線の線源に使用する複数の
    放射性同位元素として、241Am、133Ba、204Tlを
    用い、夫々所定量混合したX線・γ線の線源を使用する
    ように構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいず
    れかに記載の骨塩量測定装置。
  5. 【請求項5】 上記測定機能として、位置及びエネルギ
    検出型の比例計数管を用いたことを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれかに記載の骨塩量測定装置。
  6. 【請求項6】 上記測定機能として、縦長の比例計数管
    用いたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
    記載の骨塩量測定装置。
  7. 【請求項7】 x軸、y軸よりなる2次元平面、又はy
    軸、θ軸よりなる2次元平面において、 上記測定機能を、x軸又はθ軸方向の1次元位置検出
    器、或いはx軸又はθ軸方向とy軸方向の2次元位置検
    出器とし(検出器の短い方向がy軸方向とする)、当該
    検出器をy軸方向にスキャニングすることにより、広い
    面積の生体の上記X線・γ線の線源からの固有X線又は
    γ線の透過率を測定するようにしたことを特徴とする請
    求項1乃至6のいずれかに記載の骨塩量測定装置。
  8. 【請求項8】 複数の放射性同位元素として、241
    m、133Ba、204Tlを夫々所定量混合することによ
    り、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で
    発生するようにしたことを特徴とする請求項1乃至7
    いずれかに記載の骨塩量測定装置のX線・γ線の線源。
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JPH0663039A (ja) * 1992-08-24 1994-03-08 Kasei Optonix Co Ltd 骨塩量及び骨密度の測定装置
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