JP2960721B1 - ガドリニウム含有被覆核燃料粒子およびその製造方法 - Google Patents
ガドリニウム含有被覆核燃料粒子およびその製造方法Info
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- JP2960721B1 JP2960721B1 JP10206147A JP20614798A JP2960721B1 JP 2960721 B1 JP2960721 B1 JP 2960721B1 JP 10206147 A JP10206147 A JP 10206147A JP 20614798 A JP20614798 A JP 20614798A JP 2960721 B1 JP2960721 B1 JP 2960721B1
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- Y02E30/30—Nuclear fission reactors
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Abstract
【要約】
【課題】多重籠状炭素クラスターで核燃料物質炭化物を
被覆した被覆核燃料粒子の有する優れた特性を具備する
とともに、反応度制御物質であるガドリニウムを含有せ
しめて反応度抑制効果も兼ね備えた被覆核燃料粒子、お
よびその製造方法を提供する。 【解決手段】核燃料物質炭化物およびガドリニウム炭化
物からなる燃料核の外側を多重の籠状炭素クラスターで
被覆したガドリニウム含有被覆核燃料粒子。この被覆核
燃料粒子はグラファイト棒を陰極とし、核燃料物質の酸
化物または炭化物とガドリニウム酸化物を充填したグラ
ファイト棒を陽極として不活性ガス雰囲気中でアーク放
電させることによって、陰極部先端に陽極から移行した
堆積部分を生成させ、この堆積部分を粉砕して磁気分離
することによりガドリニウム含有被覆核燃料粒子を不定
形グラファイトから分離回収する方法により製造でき
る。
被覆した被覆核燃料粒子の有する優れた特性を具備する
とともに、反応度制御物質であるガドリニウムを含有せ
しめて反応度抑制効果も兼ね備えた被覆核燃料粒子、お
よびその製造方法を提供する。 【解決手段】核燃料物質炭化物およびガドリニウム炭化
物からなる燃料核の外側を多重の籠状炭素クラスターで
被覆したガドリニウム含有被覆核燃料粒子。この被覆核
燃料粒子はグラファイト棒を陰極とし、核燃料物質の酸
化物または炭化物とガドリニウム酸化物を充填したグラ
ファイト棒を陽極として不活性ガス雰囲気中でアーク放
電させることによって、陰極部先端に陽極から移行した
堆積部分を生成させ、この堆積部分を粉砕して磁気分離
することによりガドリニウム含有被覆核燃料粒子を不定
形グラファイトから分離回収する方法により製造でき
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、核燃料物質とともに
反応度抑制物質であるガドリニウムを含有せしめた被覆
核燃料粒子、およびその製造方法に関するものである。
反応度抑制物質であるガドリニウムを含有せしめた被覆
核燃料粒子、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在使用されている被覆燃料粒子は、核
分裂性物質や親物質(本明細書においてはこれらを総称
して“核燃料物質”という)の酸化物からなる直径20
0〜600μmの燃料核を、熱分解炭素や炭化ケイ素で
多重に被覆した微小粒子からなるものであり、燃料コン
パクトは、これらの被覆燃料粒子を黒鉛粉末およびバイ
ンダーと混合してプレス成形して炉に装荷しやすくした
ものである。
分裂性物質や親物質(本明細書においてはこれらを総称
して“核燃料物質”という)の酸化物からなる直径20
0〜600μmの燃料核を、熱分解炭素や炭化ケイ素で
多重に被覆した微小粒子からなるものであり、燃料コン
パクトは、これらの被覆燃料粒子を黒鉛粉末およびバイ
ンダーと混合してプレス成形して炉に装荷しやすくした
ものである。
【0003】現在最も多く使用されているTRISO型
と呼ばれる被覆燃料粒子は、UまたはThの酸化物から
なる直径200〜600μmの燃料核を、厚さ60μm
の低密度熱分解炭素からなるバッファー層で包み、その
外側を厚さ30μmの高密度熱分解炭素層で被覆し、さ
らにその外側を厚さ25μmのSiC層で被覆し、さら
にその外側を厚さ45μmの高密度熱分解炭素層で被覆
した三重被覆構造となっている。
と呼ばれる被覆燃料粒子は、UまたはThの酸化物から
なる直径200〜600μmの燃料核を、厚さ60μm
の低密度熱分解炭素からなるバッファー層で包み、その
外側を厚さ30μmの高密度熱分解炭素層で被覆し、さ
らにその外側を厚さ25μmのSiC層で被覆し、さら
にその外側を厚さ45μmの高密度熱分解炭素層で被覆
した三重被覆構造となっている。
【0004】こうした多重被覆構造を有する被覆燃料粒
子は、個々の粒子内に核分裂生成ガスを保持できること
が最大の利点であるが、照射中の化学的破損が大きな問
題となっている。その原因は、高温における酸化物(燃
料核)と炭化物(被覆層)との化学反応であり、とりわ
け燃料核移動と呼ばれる燃料核中の酸素イオンがバッフ
ァー層の炭素と反応してCOガスとなって粒子の高温側
(内側)から低温側(外側)へと移動するためであると
考えられている。
子は、個々の粒子内に核分裂生成ガスを保持できること
が最大の利点であるが、照射中の化学的破損が大きな問
題となっている。その原因は、高温における酸化物(燃
料核)と炭化物(被覆層)との化学反応であり、とりわ
け燃料核移動と呼ばれる燃料核中の酸素イオンがバッフ
ァー層の炭素と反応してCOガスとなって粒子の高温側
(内側)から低温側(外側)へと移動するためであると
考えられている。
【0005】また被覆層は、流動床中での蒸着ガスの熱
分解による機械的蒸着で形成されるため、微視的観点か
らの被覆層自体の化学結合等についてはほとんど考慮さ
れておらず、被覆層自体の物理的破損も起こりやすい。
分解による機械的蒸着で形成されるため、微視的観点か
らの被覆層自体の化学結合等についてはほとんど考慮さ
れておらず、被覆層自体の物理的破損も起こりやすい。
【0006】かような従来の被覆燃料粒子の問題点を解
消するために、本願と同一出願人は、核燃料物質の炭化
物からなる燃料核の外側を多重の籠状炭素クラスターで
被覆した被覆核燃料粒子を開発し既に特許出願した(特
開平7−218674号)。多重籠状炭素クラスター
は、炭素原子が網目状に結合した多面体型の一種の分子
カプセルであり、このカプセル内に核燃料物質の炭化物
からなる燃料核が包み込まれた構造となっている。
消するために、本願と同一出願人は、核燃料物質の炭化
物からなる燃料核の外側を多重の籠状炭素クラスターで
被覆した被覆核燃料粒子を開発し既に特許出願した(特
開平7−218674号)。多重籠状炭素クラスター
は、炭素原子が網目状に結合した多面体型の一種の分子
カプセルであり、このカプセル内に核燃料物質の炭化物
からなる燃料核が包み込まれた構造となっている。
【0007】核燃料物質の炭化物を多重籠状炭素クラス
ターで被覆した上述の先願発明による被覆核燃料粒子
は、従来の被覆燃料粒子のような核燃料物質の酸化物と
被覆層の炭化物との化学反応が起こることがないため、
燃料核移動等による化学破損が少なく、さらには、被覆
層を機械的蒸着で形成せずに多重籠状炭素クラスター内
に包み込むため、被覆層の物理的破損も少なく、核分裂
生成ガスの閉じ込めも効果的になされる。
ターで被覆した上述の先願発明による被覆核燃料粒子
は、従来の被覆燃料粒子のような核燃料物質の酸化物と
被覆層の炭化物との化学反応が起こることがないため、
燃料核移動等による化学破損が少なく、さらには、被覆
層を機械的蒸着で形成せずに多重籠状炭素クラスター内
に包み込むため、被覆層の物理的破損も少なく、核分裂
生成ガスの閉じ込めも効果的になされる。
【0008】一方、可燃性反応度制御物質であるガドリ
ニウムを核燃料物質に含有させて使用することも従来か
ら行われている。核燃料物質にガドリニウムのごとき反
応度制御物質を含有させことにより、余剰反応度の制御
および局所ピーキング係数の低減を行うことができ、そ
れにより核燃料物質の燃焼度を向上させることができ
る。
ニウムを核燃料物質に含有させて使用することも従来か
ら行われている。核燃料物質にガドリニウムのごとき反
応度制御物質を含有させことにより、余剰反応度の制御
および局所ピーキング係数の低減を行うことができ、そ
れにより核燃料物質の燃焼度を向上させることができ
る。
【0009】従来のガドリニウム含有核燃料としては、
UO2 またはMOX(UとPuの混合酸化物)中に酸化
ガドリニウムを固溶させた均一ペレットや、UO2 また
はMOXペレットの中心部だけに酸化ガドリニウムを固
溶させた二重ペレットが用いられている。
UO2 またはMOX(UとPuの混合酸化物)中に酸化
ガドリニウムを固溶させた均一ペレットや、UO2 また
はMOXペレットの中心部だけに酸化ガドリニウムを固
溶させた二重ペレットが用いられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た均一ペレットや二重ペレットからなるガドリニウム含
有核燃料は、ガドリニウムを含有しない核燃料に比べて
製造方法が複雑で、製造コストも掛かるという問題があ
る。さらには、UO2 やMOXへの酸化ガドリニウムの
固溶には限界があるため、核燃料の性能に合わせた最適
なガドリニウム濃度を選択することが不可能である。
た均一ペレットや二重ペレットからなるガドリニウム含
有核燃料は、ガドリニウムを含有しない核燃料に比べて
製造方法が複雑で、製造コストも掛かるという問題があ
る。さらには、UO2 やMOXへの酸化ガドリニウムの
固溶には限界があるため、核燃料の性能に合わせた最適
なガドリニウム濃度を選択することが不可能である。
【0011】そこでこの発明は、多重籠状炭素クラスタ
ーで核燃料物質の炭化物を被覆してなる上述の先願発明
による被覆核燃料粒子の有する優れた特性をそのまま具
備するとともに、反応度制御物質であるガドリニウムを
含有せしめて反応度抑制効果も兼ね備えた新規かつ改良
された被覆核燃料粒子を提供すること、さらには、従来
のガドリニウム含有核燃料の製造方法に比べて簡単で、
しかも所望の濃度でガドリニウムを含有させることがで
きるガドリニウム含有被覆核燃料粒子の製造方法を提供
することを目的としてなされたものである。
ーで核燃料物質の炭化物を被覆してなる上述の先願発明
による被覆核燃料粒子の有する優れた特性をそのまま具
備するとともに、反応度制御物質であるガドリニウムを
含有せしめて反応度抑制効果も兼ね備えた新規かつ改良
された被覆核燃料粒子を提供すること、さらには、従来
のガドリニウム含有核燃料の製造方法に比べて簡単で、
しかも所望の濃度でガドリニウムを含有させることがで
きるガドリニウム含有被覆核燃料粒子の製造方法を提供
することを目的としてなされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明による
被覆燃料粒子は、核燃料物質炭化物およびガドリニウム
炭化物からなる燃料核の外側を多重の籠状炭素クラスタ
ーで被覆してなることを特徴とするものである。
被覆燃料粒子は、核燃料物質炭化物およびガドリニウム
炭化物からなる燃料核の外側を多重の籠状炭素クラスタ
ーで被覆してなることを特徴とするものである。
【0013】さらに、この発明によるガドリニウム含有
被覆核燃料粒子の製造方法は、グラファイト棒を陰極と
し、核燃料物質の酸化物または炭化物とガドリニウム酸
化物とを充填したグラファイト棒を陽極として不活性ガ
ス雰囲気中でアーク放電させることによって、陰極部先
端に陽極から移行した堆積部分を生成させ、この堆積部
分を粉砕して磁気分離することによりガドリニウム含有
被覆核燃料粒子を不定形グラファイトから分離回収する
ことを特徴とするものである。
被覆核燃料粒子の製造方法は、グラファイト棒を陰極と
し、核燃料物質の酸化物または炭化物とガドリニウム酸
化物とを充填したグラファイト棒を陽極として不活性ガ
ス雰囲気中でアーク放電させることによって、陰極部先
端に陽極から移行した堆積部分を生成させ、この堆積部
分を粉砕して磁気分離することによりガドリニウム含有
被覆核燃料粒子を不定形グラファイトから分離回収する
ことを特徴とするものである。
【0014】この発明による被覆核燃料粒子は、核燃料
物質の炭化物とガドリニウムの炭化物とが多重籠状炭素
クラスター内に包み込まれた構造であり、核燃料物質の
炭化物のみを多重籠状炭素クラスターで被覆した先願発
明による被覆核燃料粒子の特性をそのまま備えるもので
ある。加えて、反応度制御物質であるガドリニウムを含
有するため、余剰反応度の抑制や局所出力ピーキング係
数の低減を行わせて、核燃料物質の燃焼度の向上を図る
ことができる。
物質の炭化物とガドリニウムの炭化物とが多重籠状炭素
クラスター内に包み込まれた構造であり、核燃料物質の
炭化物のみを多重籠状炭素クラスターで被覆した先願発
明による被覆核燃料粒子の特性をそのまま備えるもので
ある。加えて、反応度制御物質であるガドリニウムを含
有するため、余剰反応度の抑制や局所出力ピーキング係
数の低減を行わせて、核燃料物質の燃焼度の向上を図る
ことができる。
【0015】さらに、この発明の製造方法によれば、装
置的にも比較的簡単なアーク放電装置を使用して簡単か
つ迅速に被覆核燃料粒子を製造することが可能となるだ
けでなく、陽極のグラファイト棒に充填する核燃料物質
/ガドリニウムの割合を100/1〜100/10とい
った範囲で自由に変化させることにより、多重籠状炭素
クラスターに内包されるガドリニウムの量を調節でき、
その結果、核燃料の性能に合わせた最適なガドリニウム
濃度を選択することが可能となる。
置的にも比較的簡単なアーク放電装置を使用して簡単か
つ迅速に被覆核燃料粒子を製造することが可能となるだ
けでなく、陽極のグラファイト棒に充填する核燃料物質
/ガドリニウムの割合を100/1〜100/10とい
った範囲で自由に変化させることにより、多重籠状炭素
クラスターに内包されるガドリニウムの量を調節でき、
その結果、核燃料の性能に合わせた最適なガドリニウム
濃度を選択することが可能となる。
【0016】また、多重籠状炭素クラスター内に核燃料
物質炭化物と共存しているガドリニウム炭化物は、常磁
性でありながら、有効磁気モーメントが8.3μB と極
めて大きい磁気特性を示す。ガドリニウム炭化物の有す
るかような磁気特性を利用して、この発明の方法におい
ては、陰極部先端に生成する堆積部分を粉砕して磁気分
離法を用いて分離処理によって、98%以上の分離効率
で、目的生成物であるガドリニウム炭化物を内包する被
覆核燃料粒子と不定形グラファイトとを効果的かつ迅速
に分離することが可能となる。
物質炭化物と共存しているガドリニウム炭化物は、常磁
性でありながら、有効磁気モーメントが8.3μB と極
めて大きい磁気特性を示す。ガドリニウム炭化物の有す
るかような磁気特性を利用して、この発明の方法におい
ては、陰極部先端に生成する堆積部分を粉砕して磁気分
離法を用いて分離処理によって、98%以上の分離効率
で、目的生成物であるガドリニウム炭化物を内包する被
覆核燃料粒子と不定形グラファイトとを効果的かつ迅速
に分離することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の被覆燃料粒子の
製造方法に使用するアーク放電装置の概略図である。こ
の装置は、通常のグラファイト棒を陰極とし、U、Pu
等の核燃料物質の酸化物とガドリニウム酸化物を充填し
たグラファイト棒を陽極としてチャンバー内に取り付け
た基本構造を有するものである。電極内部には冷却水を
流すことにより、アーク放電時に電極のチャック部やチ
ャンバーのシール面を熱から保護する。チャンバーは真
空ポンプにより排気され、ガス導入系からヘリウムガス
のごとき不活性ガスをチャンバー内に導入してチャンバ
ー内を不活性ガス雰囲気とする。チャンバー内を排気す
るのは、被覆燃料粒子の収率を向上させるためである。
製造方法に使用するアーク放電装置の概略図である。こ
の装置は、通常のグラファイト棒を陰極とし、U、Pu
等の核燃料物質の酸化物とガドリニウム酸化物を充填し
たグラファイト棒を陽極としてチャンバー内に取り付け
た基本構造を有するものである。電極内部には冷却水を
流すことにより、アーク放電時に電極のチャック部やチ
ャンバーのシール面を熱から保護する。チャンバーは真
空ポンプにより排気され、ガス導入系からヘリウムガス
のごとき不活性ガスをチャンバー内に導入してチャンバ
ー内を不活性ガス雰囲気とする。チャンバー内を排気す
るのは、被覆燃料粒子の収率を向上させるためである。
【0018】陽極のグラファイト棒は、図1の部分拡大
図に示したように、その先端部をドリルで穿孔し、孔の
中に核燃料物質の酸化物とガドリニウム酸化物を充填す
る。核燃料物質/ガドリニウムの混合比率は、100/
1〜100/10の範囲で所望の比率とすることがで
き、これにより、多重籠状炭素クラスターに内包される
ガドリニウム含有量を調節することができる。充填する
核燃料物質は炭化物でもよいが、酸化物の方が取扱いが
容易で入手もしやすい。
図に示したように、その先端部をドリルで穿孔し、孔の
中に核燃料物質の酸化物とガドリニウム酸化物を充填す
る。核燃料物質/ガドリニウムの混合比率は、100/
1〜100/10の範囲で所望の比率とすることがで
き、これにより、多重籠状炭素クラスターに内包される
ガドリニウム含有量を調節することができる。充填する
核燃料物質は炭化物でもよいが、酸化物の方が取扱いが
容易で入手もしやすい。
【0019】電極に直流電源から直流を通電して電極間
でアーク放電させると、陽極の炭素はガス化して陰極に
引き寄せられ、陽極に充填した核燃料物質酸化物は下記
式により二炭化物となって陰極へ移行し、陰極先端部表
面に降り積もったように堆積する。 (U,Pu)O2 + 3C → (U,Pu)C2 +
CO2
でアーク放電させると、陽極の炭素はガス化して陰極に
引き寄せられ、陽極に充填した核燃料物質酸化物は下記
式により二炭化物となって陰極へ移行し、陰極先端部表
面に降り積もったように堆積する。 (U,Pu)O2 + 3C → (U,Pu)C2 +
CO2
【0020】同様に充填したガドリニウム酸化物も二炭
化物となって陰極へ移行し、陰極先端部表面に堆積す
る。陰極先端部表面に堆積する堆積部分には、燃料物質
炭化物とガドリニウム炭化物が多重籠状炭素クラスター
内に内包された被覆核燃料粒子と、不定形グラファイト
とが混在しており、堆積部分に含まれる被覆核燃料粒子
の割合は通常50〜80%である。なお、陰極先端部に
堆積しない超微粒子は、超微粒子捕集系により捕集され
る。
化物となって陰極へ移行し、陰極先端部表面に堆積す
る。陰極先端部表面に堆積する堆積部分には、燃料物質
炭化物とガドリニウム炭化物が多重籠状炭素クラスター
内に内包された被覆核燃料粒子と、不定形グラファイト
とが混在しており、堆積部分に含まれる被覆核燃料粒子
の割合は通常50〜80%である。なお、陰極先端部に
堆積しない超微粒子は、超微粒子捕集系により捕集され
る。
【0021】陰極先端の堆積部分を回収し、その内部の
コア部分を粉砕した後、ガドリニウム炭化物の磁気特性
を利用して磁気分離を行う。磁気分離は、例えば図2に
示すような簡単な装置で行うことができる。この装置
は、一部分に外側からNd−B磁石のごとき小型の強力
磁石により数千Gの磁場をかけたガラス管から構成する
ことができる。ガラス管入口から陰極堆積部分の粉砕物
を少量ずつ流すと、磁場をかけたガラス管内側にガドリ
ニウム含有被覆燃料粒子が付着し、不定形グラファイト
は磁場を通過してガラス管出口から排出される。ガラス
管内側に付着した粒子を回収し、この操作を複数回繰り
返すことにより、98%以上の分離効率でガドリニウム
含有被覆核燃料粒子と不定形グラファイトとを分離する
ことができる。
コア部分を粉砕した後、ガドリニウム炭化物の磁気特性
を利用して磁気分離を行う。磁気分離は、例えば図2に
示すような簡単な装置で行うことができる。この装置
は、一部分に外側からNd−B磁石のごとき小型の強力
磁石により数千Gの磁場をかけたガラス管から構成する
ことができる。ガラス管入口から陰極堆積部分の粉砕物
を少量ずつ流すと、磁場をかけたガラス管内側にガドリ
ニウム含有被覆燃料粒子が付着し、不定形グラファイト
は磁場を通過してガラス管出口から排出される。ガラス
管内側に付着した粒子を回収し、この操作を複数回繰り
返すことにより、98%以上の分離効率でガドリニウム
含有被覆核燃料粒子と不定形グラファイトとを分離する
ことができる。
【0022】[実施例]図1の装置を用いて、ウラン炭
化物およびガドリニウム炭化物を多重籠状炭素クラスタ
ーに内包せしめた被覆核燃料粒子の製造例を以下に説明
する。先ず、酸化ウランと酸化ガドリニウムを充填した
陽極グラファイト棒を次のようにして製造する。直径1
3mm、長さ100mmのグラファイト棒の長手方向に
直径7mm、深さ50mmの孔をドリルで穿孔し、孔の
中に酸化ウランおよび酸化ガドリニウムを充填する。陽
極グラファイト棒の一般的組成は、グラファイト粉末5
0重量%、アスファルト20重量%、酸化ウランと酸化
ガドリニウムの混合物30重量%である。グラファイト
棒に酸化ウランと酸化ガドリニウムを充填した後、これ
を窒素雰囲気下で400℃1時間仮焼し、さらに100
0℃で2時間程度の熱処理を行う。
化物およびガドリニウム炭化物を多重籠状炭素クラスタ
ーに内包せしめた被覆核燃料粒子の製造例を以下に説明
する。先ず、酸化ウランと酸化ガドリニウムを充填した
陽極グラファイト棒を次のようにして製造する。直径1
3mm、長さ100mmのグラファイト棒の長手方向に
直径7mm、深さ50mmの孔をドリルで穿孔し、孔の
中に酸化ウランおよび酸化ガドリニウムを充填する。陽
極グラファイト棒の一般的組成は、グラファイト粉末5
0重量%、アスファルト20重量%、酸化ウランと酸化
ガドリニウムの混合物30重量%である。グラファイト
棒に酸化ウランと酸化ガドリニウムを充填した後、これ
を窒素雰囲気下で400℃1時間仮焼し、さらに100
0℃で2時間程度の熱処理を行う。
【0023】グラファイト棒からなる陰極と上記で得ら
れた陽極とをチャンバー内にセットした後、真空ポンプ
によりチャンバー内を10-4Torr 以下まで排気し、こ
の時のリーク量を10-6 atm.cc/sec(He換算)以下
とする。次いで、ヘリウムガスをガス導入系より400
〜500 Torr 程度チャンバー内に導入する。次いで、
電極間隔が2mmとなるように陽極を移動させながら電
極間に150〜200A、25Vの電圧を直流電源によ
り印加して約10分間アーク放電させる。
れた陽極とをチャンバー内にセットした後、真空ポンプ
によりチャンバー内を10-4Torr 以下まで排気し、こ
の時のリーク量を10-6 atm.cc/sec(He換算)以下
とする。次いで、ヘリウムガスをガス導入系より400
〜500 Torr 程度チャンバー内に導入する。次いで、
電極間隔が2mmとなるように陽極を移動させながら電
極間に150〜200A、25Vの電圧を直流電源によ
り印加して約10分間アーク放電させる。
【0024】1回約10分間のアーク放電により陰極先
端部には約5gの堆積物が生成される。放電終了後、こ
の堆積部分を回収し、その内部のコア部分を粉砕する。
直径5mmのガラス管の一部分に外側からNd−B磁石
により約3000Gの磁場をかけた図2に示した装置を
用いて粉砕物の磁気分離を行い、粒子径約200〜20
00オングストロームの被覆燃料粒子を不定形グラファ
イトから分離回収する。
端部には約5gの堆積物が生成される。放電終了後、こ
の堆積部分を回収し、その内部のコア部分を粉砕する。
直径5mmのガラス管の一部分に外側からNd−B磁石
により約3000Gの磁場をかけた図2に示した装置を
用いて粉砕物の磁気分離を行い、粒子径約200〜20
00オングストロームの被覆燃料粒子を不定形グラファ
イトから分離回収する。
【0025】得られた被覆燃料粒子の高分解能透過電子
顕微鏡写真を図3に示す。この写真から、燃料核(X)
が多重籠状炭素クラスター(Y)内に内包されているこ
とが観察される。またこの被覆燃料粒子のEDX分析
(エネルギー分散型X線微小分析)結果を図3に示す。
この分析結果から、燃料核(X)には炭化ウランと炭化
ガドリニウムが共存していることがわかる。
顕微鏡写真を図3に示す。この写真から、燃料核(X)
が多重籠状炭素クラスター(Y)内に内包されているこ
とが観察される。またこの被覆燃料粒子のEDX分析
(エネルギー分散型X線微小分析)結果を図3に示す。
この分析結果から、燃料核(X)には炭化ウランと炭化
ガドリニウムが共存していることがわかる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したところからわかるようにこ
の発明の被覆燃料粒子は、燃料核が炭化物であり、その
外側を覆うのが多重籠状炭素クラスターであるため、従
来の例えばTRISO型被覆燃料粒子でみられたような
燃料核の酸化物と被覆層の炭化物との化学反応は起こら
ず、その結果、燃料核移動等による化学的破損が少なく
なる。
の発明の被覆燃料粒子は、燃料核が炭化物であり、その
外側を覆うのが多重籠状炭素クラスターであるため、従
来の例えばTRISO型被覆燃料粒子でみられたような
燃料核の酸化物と被覆層の炭化物との化学反応は起こら
ず、その結果、燃料核移動等による化学的破損が少なく
なる。
【0027】また、多重籠状炭素クラスターは一種の分
子カプセルであるため、蒸着により形成していた従来の
被覆層でみられたような物理的破損等の問題も解消でき
るとともに、核分裂生成ガスもその内部に確実に閉じ込
めることができる。従来の核燃料に比べて熱伝導率の向
上が期待でき、さらには耐熱温度も約2000℃でグラ
ファイトに類似しているため、核燃料の高燃焼度化や安
全性の向上も期待できる。
子カプセルであるため、蒸着により形成していた従来の
被覆層でみられたような物理的破損等の問題も解消でき
るとともに、核分裂生成ガスもその内部に確実に閉じ込
めることができる。従来の核燃料に比べて熱伝導率の向
上が期待でき、さらには耐熱温度も約2000℃でグラ
ファイトに類似しているため、核燃料の高燃焼度化や安
全性の向上も期待できる。
【0028】さらにまた、この発明の被覆燃料粒子は、
核燃料物質とともに反応度制御物質であるガドリニウム
も含有しているため、反応度抑制効果も具備している。
特に被覆燃料粒子を製造するに際して、ガドリニウム炭
化物の有する磁気特性を利用した磁気分離によって、被
覆燃料粒子と不定形グラファイトとの分離を簡単かつ効
果的に行うことができる。
核燃料物質とともに反応度制御物質であるガドリニウム
も含有しているため、反応度抑制効果も具備している。
特に被覆燃料粒子を製造するに際して、ガドリニウム炭
化物の有する磁気特性を利用した磁気分離によって、被
覆燃料粒子と不定形グラファイトとの分離を簡単かつ効
果的に行うことができる。
【図1】この発明の被覆燃料粒子の製造方法に使用する
アーク放電装置の一例を示す概略説明図。
アーク放電装置の一例を示す概略説明図。
【図2】この発明の被覆燃料粒子の製造方法に使用する
磁気分離装置の一例を示す概略説明図。
磁気分離装置の一例を示す概略説明図。
【図3】この発明の被覆燃料粒子の高分解能透過電子顕
微鏡写真。
微鏡写真。
【図4】この発明の被覆燃料粒子のEDX分析結果を示
すグラフ。
すグラフ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−218674(JP,A) 船坂英之他,「フラーレン研究」,動 燃技報,第91巻,第58−70頁(1994) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21C 3/62 JICSTファイル(JOIS)
Claims (2)
- 【請求項1】 核燃料物質炭化物およびガドリニウム炭
化物からなる燃料核の外側を多重の籠状炭素クラスター
で被覆してなることを特徴とするガドリニウム含有被覆
核燃料粒子。 - 【請求項2】 グラファイト棒を陰極とし、核燃料物質
の酸化物または炭化物とガドリニウム酸化物とを充填し
たグラファイト棒を陽極として不活性ガス雰囲気中でア
ーク放電させることによって、陰極部先端に陽極から移
行した堆積部分を生成させ、この堆積部分を粉砕して磁
気分離することによりガドリニウム含有被覆核燃料粒子
を不定形グラファイトから分離回収することを特徴とす
るガドリニウム含有被覆核燃料粒子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10206147A JP2960721B1 (ja) | 1998-07-22 | 1998-07-22 | ガドリニウム含有被覆核燃料粒子およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10206147A JP2960721B1 (ja) | 1998-07-22 | 1998-07-22 | ガドリニウム含有被覆核燃料粒子およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2960721B1 true JP2960721B1 (ja) | 1999-10-12 |
JP2000039489A JP2000039489A (ja) | 2000-02-08 |
Family
ID=16518579
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10206147A Expired - Fee Related JP2960721B1 (ja) | 1998-07-22 | 1998-07-22 | ガドリニウム含有被覆核燃料粒子およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2960721B1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5145551B2 (ja) * | 2006-10-17 | 2013-02-20 | 国立大学法人 名古屋工業大学 | 炭化物内包カーボンナノカプセルの製造方法 |
-
1998
- 1998-07-22 JP JP10206147A patent/JP2960721B1/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
船坂英之他,「フラーレン研究」,動燃技報,第91巻,第58−70頁(1994) |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000039489A (ja) | 2000-02-08 |
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |