JP2952921B2 - ジメチルホルムアミドの除去方法 - Google Patents

ジメチルホルムアミドの除去方法

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JP2952921B2 JP1033590A JP1033590A JP2952921B2 JP 2952921 B2 JP2952921 B2 JP 2952921B2 JP 1033590 A JP1033590 A JP 1033590A JP 1033590 A JP1033590 A JP 1033590A JP 2952921 B2 JP2952921 B2 JP 2952921B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ジメチルホルムアミドを含有する液中のジ
メチルホルムアミドを分解、除去する方法に関し、さら
に詳細には、ジメチルホルムアミドを含有する液中のジ
メチルホルムアミドを細菌を利用して分解、除去する方
法に係わる。
[従来の技術、発明が解決しようとする問題点] ジメチルホルムアミドは、親水性であり、熱に対して
安定であり、極性が大きく、かつ、多くの有機化合物お
よび無機化合物に対して大きい溶解力を有しており、優
れた溶剤であることから、近年、その使用量が著しく増
大しつつある化合物である。
しかして、その主たる用途は、合成繊維製造時および
合成皮革製造時のそれぞれの溶剤、アクリル系合成樹脂
およびビニル系合成樹脂のそれぞれの溶剤、医薬原料な
らびに塗料および顔料のそれぞれの溶剤などである。こ
れらの用途に使用された後のジメチルホルムアミドを含
有するこれらの廃液は、魚類などの水棲動物、微生物お
よび藻類などに対して有害であるので、環境衛生上、無
害化処理を施してから放流しなければならない。
しかしながら、ジメチルホルムアミドは、一般に、微
生物に対する毒性が大きいために、従来の活性汚泥処理
により無害化することができなかった。
一方、ジメチルホルムアミドを含有する廃液中のジメ
チルホルムアミドを分解、除去する方法として、例え
ば、特公昭54−1792号公報に記載されている方法があ
る。この方法は、ミクロコッカス属に属する微生物の菌
体中の酵素を用いて分解する方法であるが、その処理能
力は、実用に供するには不充分である。
この、安定で、分解され難いジメチルホルムアミドを
効率よく資化乃至分解し得る微生物を見出すことができ
れば、この微生物を用いてジメチルホルムアミドを含有
する廃液を効率よく無害化することが可能となる。
[問題点を解決するための手段、作用] 本発明者らは、自然界を広く探索した結果、ジメチル
ホルムアミドを旺盛に資化し得るか、乃至は、強力に分
解し得る微生物を見出し、この微生物を使用する本発明
を完成した。
すなわち、本発明は、ジメチルホルムアミドを含有す
る液と、パラコッカス属に属しジメチルホルムアミドを
資化、分解し得る細菌の菌体および/または該細菌の菌
体処理物とを接触させて、該液中のジメチルホルムアミ
ドを分解、除去することを特徴とするジメチルホルムア
ミドの除去方法である。
本発明に用いられる細菌は、パラコッカス属に属し、
ジメチルホルムアミドを効率よく資化、分解する能力を
有する菌株であればよく、特に制限はない。
これらの菌株の代表例としては、パラコッカスアミノ
フィルス(Paracoccus aminophilus)DM−15およびパラ
コッカス アミノボランス(Paracoccus aminovorans)
DM−82などがある。
なお、これらの菌株は、本発明者らが、土壌から分離
した菌株である。
パラコッカス アミノフィルス(Paracoccus aminoph
ilus)DM−15(微工研菌寄第10225号)の菌学的性質を
下記する。
1.形態 肉汁液体培地および肉汁寒天培地のそれぞれで30℃で
1日間培養した。
(1)細胞の形状および大きさ 球状または短桿状 幅0.5〜0.9μm,長さ0.5〜2.0μm 集団、単細胞または双細胞となる。
(2)運動性 なし。
(3)胞子の有無 生産されない。
(4)グラム染色 グラム陰性。
(5)抗酸性 陰性。
(6)細胞外粘着物 生産されない。
2.次の各培地における生育状態 (特に断わらなければ30℃で3日間の培養) (1)肉汁寒天平板培地 コロニーの形態および形状: 外形−円形,大きさ−2〜3mm, 隆起−半球状,構造−均質,表面−平滑, 辺縁−平滑で全縁,色−白色または黄白色, 透明度−不透明,硬度−バター質。
(2)モノメチルアミン含有寒天平板培地 肉汁寒天平板培地におけると同じ。
(3)肉汁寒天斜面培地 接種線に一様に旺盛に生育する。
隆起−中程度,表面−平滑,辺縁−平滑, 色−白色または黄白色,透明度−不透明, 硬度−バター質。
(4)モノメチルアミン含有寒天斜面培地 肉汁寒天斜面培地におけると同じ。
(5)肉汁液体培地 全体に生育する。沈澱あり。菌環を形成しない。
(6)ペプトン水液体培地 全体に弱く生育する。沈澱あり。菌環を形成しない。
(7)モノメチルアミン含有液体培地 全体に生育する。沈澱あり。菌環を形成しない。
(8)肉汁寒天穿刺培養 小乳頭状に一様に生育する。培地表面では直径2〜4m
m位の円状に生育する。
(9)モノメチルアミン含有寒天穿刺培養 小乳頭状に一様に生育する。培地表面では直径2〜4m
mの円状に生育する。
(10)肉汁ゼラチン高層培養 20℃で10日間培養。
菌の生育はみられるが、ゼラチンは液化されない。
(11)リトマスミルク培養 30℃で4週間培養 菌の生育はみられるが、アルカリは生成されない。旺
盛に生育する。
3.生理学的性質 (1)硝酸塩の還元 硝酸塩を亜硝酸塩に還元する。
(2)MRテスト 陰性。
(3)VPテスト 陰性。
(4)インドールの生成 陰性。
(5)硫化水素の生成 陰性。
(6)でん粉の加水分解 陰性。
(7)くえん酸の利用(コーザーKoser培地とクリステ
ンセンChristensen培地を併用)利用しない。
(8)窒素源の利用 アンモニウム塩およびペプトンを窒素源としてそれぞ
れ利用する。
(9)色素の生成 生成しない。
(10)ウレアーゼ 陰性。
(11)カタラーゼ 陽性。
(12)アンモニアの生成 生成する。
(13)生育の範囲 pH6〜9の範囲で生育する。pH6.5〜8.0の範囲が好ま
しい。
温度5〜30℃で生育する。37℃では生育しない。25〜
30℃が好ましい。
(14)酸素に対する態度 好気性。
(15)オキシダーゼ反応 陽性。
(16)O−Fテスト(ヒュー ライフソンHugh Leifson
法による。) 糖を酸化的に分解するが、発酵的に分解しない。
(17)糖類の資化性ならびに酸の生成およびガスの生成 (18)糖類以外の炭素源の資化性 (19)耐塩性 3重量%NaCl含有培地で弱く生育する。
(20)ビタミン要求性 チアミンを絶対的に要求する。
(21)脱窒反応 陰性。
(22)GC(グアニン+シトシン)含量 62.6mol% (23)主要な菌体脂肪酸組成 モノ不飽和脂肪酸 C18:1 (24)主要なヒドロキシ酸 3−ヒドロキシ酸 C10:0,C14:0 (25)キノン・タイプ ユビキノンQ10 (26)分離源 土壌 パラコッカス アミノフィルス DM−15は、非運動性
の短桿菌あるいは球形菌で、グラム陰性のモノメチルア
ミン資化性細菌であり、主要な菌体脂肪酸組成がC18:1
であり、3−ヒドロキシ酸C10:0,C14:0を主要なヒドロ
キシ酸とし、かつ、キノン・タイプがユビキノンQ10
あることから、浦上と駒形とによる分類〔J.Gen.Appl.M
icrobiol.32,317〜341,(1986)〕の「グループ8」の
パラコッカス デニトリフィカンス(Paracoccus denit
rificans)に近似するものと思われる。
しかしながら本菌株とパラコッカス デニトリフィカ
ンスとは、脱窒能,キシロース,D−マンノース,D−フラ
クトース,D−ソルビトール,D−マンニトール,トレハロ
ース,イノシトール,メタノール,エタノール,水素,
ジメチルアミン,トリメチルアミンおよび特にジメチル
ホルムアミドなどの資化性およびGC含量の点において異
なる。
従って、本発明者らは、本菌株のパラコッカスアミノ
フィルス(Paracoccus aminophilus)と命名した。
パラコッカス アミノボランス(Paracoccus aminovo
rans)DM−82(微工研菌寄第10226号)の菌学的性質を
下記する。
1.形態 肉汁液体培地および肉汁寒天培地のそれぞれで30℃で
1日間培養した。
(1)細胞の形状および大きさ 球状または短桿状。
幅0.5〜0.9μm,長さ0.5〜2.0μm 集団、単細胞または双細胞となる。
(2)運動性 なし。
(3)胞子の有無 生産されない。
(4)グラム染色 グラム陰性。
(5)抗酸性 陰性。
(6)細胞外粘着物 生産されない。
2.次の各培地における生育状態 (特に断わらなければ30℃で3日間の培養) (1)肉汁寒天平板培地 コロニーの形態および形状: 外形−円形,大きさ−2〜3mm, 隆起−半球状,構造−均質,表面−平滑, 辺縁−平滑で全縁,色−白色または黄白色, 透明度−不透明,硬度−バター質。
(2)モノメチルアミン含有寒天平板培地 肉汁寒天平板培地におけると同じ。
(3)肉汁寒天斜面培地 接種線に一様に旺盛に生育する。
隆起−中程度,表面−平滑,辺縁−平滑, 色−白色または黄白色,透明度−不透明, 硬度−バター質。
(4)モノメチルアミン含有寒天斜面培地 肉汁寒天斜面培地におけると同じ。
(5)肉汁液体培地 全体に生育する。沈澱あり。菌環を形成しない。
(6)ペプトン水液体培地 全体に弱く生育する。沈澱あり。菌環を形成しない。
(7)モノメチルアミン含有液体培地 全体に生育する。沈澱あり。菌環を形成しない。
(8)肉汁寒天穿刺培養 小乳頭状に一様に生育する。培地表面では直径2〜4m
m位の円状に生育する。
(9)モノメチルアミン含有寒天穿刺培養 小乳頭状に一様に生育する。培地表面では直径2〜4m
m位の円状に生育する。
(10)肉汁ゼラチン高層培養 20℃で10日間培養 菌の生育はみられるが、ゼラチンは液化されない。
(11)リトマスミルク培養 30℃で4週間培養。
菌の生育はみられるが、アルカリは生成されない。旺
盛に生育する。
3.生理学的性質 (1)硝酸塩の還元 硝酸塩を亜硝酸塩に還元する。
(2)MRテスト 陰性。
(3)VPテスト 陰性。
(4)インドールの生成。 陰性。
(5)硫化水素の生成。 陰性。
(6)でん粉の加水分解 陰性。
(7)くえん酸の利用(コーザーKoser培地とクリステ
ンセンChristensen培地を併用)利用しない。
(8)窒素源の利用 アンモニウム塩およびペプトンを窒素源としてそれぞ
れ利用する。
(9)色素の生成 生成しない。
(10)ウレアーゼ 陰性。
(11)カタラーゼ 陽性。
(12)アンモニアの生成 生成する。
(13)生育の範囲 pH6〜9の範囲で生育する。pH6.5〜8.0の範囲が好ま
しい。
温度5〜37℃で生育する。42℃では生育しない。25〜
35℃が好ましい。
(14)酸素に対する態度 好気性。
(15)オキシダーゼ反応 陽性。
(16)O−Fテスト(ヒュー ライフソンHugh Leifson
法による。) 糖を酸化的に分解するが、発酵的に分解しない。
(17)糖類の資化性ならびに酸の生成およびガスの生成 (18)糖類以外の炭素源の資化性 (19)耐塩性 3重量%NaCl含有培地で弱く生育する。
(20)ビタミン要求性 チアミンを絶対的に要求する。
(21)脱窒反応 陰性。
(22)GC(グアニン+シトシン)含量 67.0mol% (23)主要な菌体脂肪酸組成 モノ不飽和脂肪酸 C18:1 (24)主要なヒドロキシ酸 3−ヒドロキシ酸 C10:0,C14:0 (25)キノン・タイプ ユビキノンQ10 (26)分離源 土壌 パラコッカス アミノボランスDM−82は、非運動性の
短桿菌あるいは球形菌で、グラム陰性のモノメチルアミ
ン資化性細菌であり、GC含量が67.0mol%であり、主要
な菌体脂肪酸組成がC18:1であり、3−ヒドロキシ酸C
10:0およびC14:0を主要なヒドロキシ酸とし、かつ、キ
ノン・タイプがユビキノンQ10であることから、浦上と
駒形とによる分類〔J.Gen.Appl.Microbiol.32,317〜34
1,(1986)〕の「グループ8」のパラコッカス デニト
リフィカンス(Paracoccus denitrificans)に近似する
ものと思われる。
しかしながら本菌株とパラコッカス デニトリフィカ
ンスとは、脱窒能,トレハロース,イノシトール,メタ
ノール,エタノール,水素,ジメチルアミン,トリメチ
ルアミンおよび特にジメチルホルムアミドなどの資化性
の点において異なる。
従って、本発明者らは、この細菌をパラコッカス ア
ミノボランス(Paracoccus aminovorans)と命名した。
本発明において、菌学的性質を調べるための実験方法
は、「バージィズ マニュアル オブ システマティッ
ク バクテリオロジー (Bergey's Manual of Systema
tic Bacteriology)第1巻 編集者 クリーグ(Krie
g)およびホルト(Holt):ウイリアムズ アンド ウ
ィルキンス(Williams & Wilkins)社,(1984)」、
医化学研究所学友会編「細菌学実習提要」(1958)およ
び長谷川 武治編著「微生物の分類と同定」(1975)に
準拠した。
モノメチルアミン含有寒天平板培地およびモノメチル
アミン含有寒天斜面培地は次の如くにして調製された。
すなわち、(NH42SO43g,KH2PO41.4g,Na2HPO42.1g,MgS
O4・7H2O0.2g,CaCl2・2H2O30mg,FeC6H5O7・XH2O30mg,Mn
Cl2・4H2O5mg,ZnSO4・7H2O5mg,CuSO4・5H2O0.5mg,酵母
エキス0.2gおよびモノメチルアミン塩酸塩5gを純水1
に添加し、pH7.1に調整した後、さらに寒天15g/を添
加し、これを加温溶解した後、次いで、1kg/cm2Gで20分
間殺菌した。
モノメチルアミン含有液体培地としては、前記の組成
において、寒天を添加しない培地を用いた。
また、ジメチルホルムアミド含有寒天平板培地および
ジメチルホルムアミド含有寒天斜面培地は次の如くにし
て調整された。
すなわち、(NH42SO43g,KH2PO41.4g,Na2HPO42.1g,M
gSO4・7H2O0.2g,CaCl2・2H2O30mg,FeC6H5O7・XH2O30mg,
MnCl2・4H2O5mg,ZnSO4・7H2O5mg,CuSO4・5H2O0.5mgおよ
び酵母エキス0.2gを純水1に溶解し、pHを7.1に調整
した後に、さらに寒天15g/を添加し、これを加温溶解
した後、これにジメチルホルムアミド5g/を添加し、
ついで1kg/cm2Gで20分間殺菌した。
ジメチルホルムアミド含有液体培地としては、前記の
組成において、寒天を添加しない培地を用いた。
土壌からのこれらの細菌の分離は、前記のジメチルホ
ルムアミド含有培地を用いて常法で行なった。
ジメチルホルムアミドを含有する液(以下 被処理液
と記すこともある)を無害化するためには、被処理液
に各種の栄養成分を添加して、これを培地として、パラ
コッカス属に属し、ジメチルホルムアミドを資化,分解
し得る細菌(以下 本細菌 と記す)を培養するとの方
法がある。
すなわち、被処理液に添加される栄養成分は、使用さ
れる本細菌が資化し得る物質であればよく、特に制限は
なく、炭素源、窒素源、無機成分およびその他の成分が
ある。
炭素源としては、被処理液中のジメチルホルムアミド
のみでもよいが、使用される本細菌が資化し得る他の炭
素源−たとえば、L−アラビノース,D−グルコースおよ
びD−ガラクトースなどの糖類、グリセロールなどの糖
アルコール類、酢酸などの有機酸類ならびにモノメチル
アミン,ジメチルアミンおよびトリメチルアミンなどの
メチルアミン類など−を併用することもできる。
窒素源としては、たとえば、アンモニウム塩などの無
機窒素化合物および/またはたとえば、アルキルアミン
類、コーン・スティープリカー、カゼイン、ペプトンお
よび肉エキスなどの有機窒素含有物が用いられる。
なお、ジメチルホルムアミドは、窒素化合物であるの
で、他の窒素源を特に添加しなくても、本細菌はいずれ
も充分に生育,増殖し、ジメチルホルムアミドを資化,
分解することができる。
また、無機成分としては、たとえば、カルシウム塩、
マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、りん酸
塩、マンガン塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、モリブデン塩、
コバルト塩、ほう素化合物およびよう素化合物などが用
いられる。
さらにビタミンなどの栄養物質を要求する菌株を使用
する場合には、その菌株が要求する栄養物質を添加す
る。
被処理液中のジメチルホルムアミドの濃度は、使用さ
れる本細菌が資化,分解できるような濃度であればよ
く、特に制限はないが、通常は、3wt%以下が好まし
く、2wt%以下が特に好ましい。
培養条件は、使用される細菌が生育,増殖できる条件
であればよいが、一般には、たとえば、温度は5〜37
℃、好ましくは、10〜35℃とされ、pHは6〜9、好まし
くは、6.5〜8.0とされる。
このような条件で本細菌を好気的に培養することによ
り、ジメチルホルムアミドは分解され、被処理液中のジ
メチルホルムアミドは、減少乃至消失するとともに本細
菌は順調に増殖する。
従って、培養による分解処理時の被処理液の菌体濃度
は一概に特定し得ないが、菌体濃度が高い程、ジメチル
ホルムアミド分解速度は大きくなるが、実用上は、被処
理液中のジメチルホルムアミドの含有量(重量)の1/5
以上(乾燥菌体換算)とすることが好ましい。
また、培養による分解処理時の溶存酸素濃度は、本細
菌が生育,増殖できるような溶存酸素濃度であればよ
く、特に制限はなく、通常の細菌類の培養における溶存
酸素濃度と同様である。
所望の溶存酸素濃度とするためには、通気ガス量を調
節したり、撹拌したり、通気ガスとして酸素ガスまたは
酸素と空気との混合ガスを使用したり、また、培養槽内
の圧力を高めるための通常の手段が採用される。
本細菌の生育,増殖が比較的悪くなり、ジメチルホル
ムアミド類の除去,分解の効率が相対的に低下するが、
これらの条件をはずして処理することを妨げない。
また、処理方法は、回分、連続または半連続のいずれ
でもよい。
前記のような被処理液を培地として本細菌を培養する
ことにより、被処理液中のアルキルホルムアルデヒドを
無害化するとの方法の他に、予め培養された本細菌の菌
体ならびに本細菌の菌体処理物−たとえば、本細菌の菌
体を含有する培養液、本細菌の菌体の破砕物および本細
菌の菌体を合成樹脂などで固定化した固定化菌体−(こ
れらを総称して、以下 菌体類 と記することもある)
などを被処理液に接触させることもできる。
たとえば、(イ)菌体類を被処理液に添加する(ロ)
前記の菌体、培養液および菌体の破砕物などが混入され
た活性汚泥と被処理液とを接触させるおよび(ハ)固定
化菌体が充填されたカラム中を被処理液を通過させるな
どの方法がある。(イ)(ロ)の方法において、使用す
る菌体量に特に制限はないが、処理を短時間で行なうた
めには、実用上、通常は、被処理液1に対し、0.1g
(乾燥菌体換算 以下同様)以上、好ましくは0.1〜10g
程度とされる。
また、培養液あるいは菌体破砕物を用いる場合は、前
記の菌体量に相当する量が用いられる。
(ハ)の方法において、酵素あるいは菌体の固定化
は、担体結合法,架橋法および包括法などの常法で行な
われる。処理をより効率よく行なうためには、固定化菌
体を用いるのがより好ましく、この場合、コラーゲン,
カラギーナン,ポリウレタンなどの高分子ゲル,コロジ
オン,リン脂質などのマイクロカプセルあるいは限外濾
過膜内へ菌体を閉じ込める方法が行なわれる。
(イ)(ロ)および(ハ)のいずれの場合にも、被処
理液中のジメチルホルムアミド濃度ならびに温度および
pHなどの処理条件は、培養による分解処理の場合と同様
とされる。
なお、ジメチルホルムアミドを含有している廃液に
は、他の物質も含有している場合が多いので、このよう
な廃液の処理には、他の物質を分解し得る微生物を本細
菌とともに併用することができ、かつ、好ましい。
分解処理終了後、被処理液中のジメチルホルムアミド
の濃度が許容濃度以下にまで減少せしめられた処理液
は、そのまま、または、必要に応じて菌体および/また
は菌体処理物を除去した後、放流される。
[実施例] 実施例によって、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、本発明は、実施例に限定されるものではない。
実施例1 純水1あたり、(NH42SO43g,KH2PO41.4g,Na2HPO4
2.1g,MgSO4・7H2O0.2g,CaCl2・2H2O30mg,FeC6H5O7・XH2
O30mg,MnCl2・4H2O5mg,ZnSO4・7H2O5mg,CuSO4・5H2O0.5
mgおよび酵母エキス0.2gを添加し、pH7.1に調整した培
地を基礎培地とし、この基礎培地に、所定量のジメチル
ホルムアミドを添加して、培地を作成した。これらの培
地のそれぞれに、パラコッカス アミノフィルスDM−15
あるいはパラコッカス アミノボランスDM−82をそれぞ
れ接種し、30℃で7日間培養して、ジメチルホルムアミ
ド類の資化・分解性を調べた。
第1表から、ジメチルホルムアミドの濃度が高い被処
理液でも、本発明によって効率よく無害化できることが
判る。
実施例2 純水1あたり、(NH42SO43g,KH2PO41.4g,Na2HPO4
2.1g,MgSO4・7H2O0.2g,CaCl2・2H2O30mg,FeC6H5O7・XH2
O30mg,MnCl2・4H2O5mg,ZnSO4・7H2O5mg,CuSO4・5H2O0.5
mg,酵母エキス0.2gおよびジメチルホルムアミド5gを添
加し、pH7.0に調整された培地200mlを1容三角フラス
コに入れ、120℃で20分間殺菌した。
この培地に、これと同様な培地で予め培養して得られ
たパラコッカス アミノフィルス DM−15の前培養液
(菌体濃度O.D.610nm 1.3)を、1vol%となるように接
種して、30℃で30時間培養した。
得られた培養液は、そのpHが8.0であり、本細菌の菌
体を培養液1当たり約1.2g含有していた。また、培養
上澄液からジメチルホルムアミドは検出されなかった。
なお、世代時間は、約2.4時間であった。
実施例3 実施例2と同様にして、パラコッカス アミノボラン
ス DM−82を培養してジメチルホルムアミドを分解し
た。
得られた培養液は、そのpHが8.0であり、本細菌の菌
体を培養液1当たり約1.1g(乾燥菌体換算 以下同
様)含有していた。また、培養上澄液からジメチルホル
ムアミドは検出されなかった。
なお、世代時間は、約2.6時間であった。
実施例4 実施例1の基礎培地1.5を3容ジャーファメンタ
ーに入れ、120℃で20分間殺菌した後、ジメチルホルム
アミド15gを無菌的に添加し、これを培地とした。
これに、実施例2と同様な培地を用いて30℃で24時間
前培養されたパラコッカス アミノフィルムDM−15を含
む培養液を1容量%接種して培養し、培養期間中の培養
液のpHが7.0に維持されるように1N塩酸水溶液を添加し
ながら30℃で通気撹拌培養を行なった。
2時間の増殖誘導時間の後、対数増殖期となり、この
培養液中のジメチルホルムアミドは消費され、減少し
た。
培養開始18時間後には、KH2PO41.5g,MgSO4・7H2O0.5
g,CaCl2・2H2O30mg,FeC6H5O7・XH2O30mg,MnCl2・4H2O5m
g,ZnSO4・7H2O5mg,CuSO4・5H2O0.5mg,酵母エキス0.2g,
ジメチルホルムアミド10gを全重量が1kgとなるように工
業用水に溶解し、殺菌した被処理液を平均滞留時間が10
時間(希釈率D=0.1hr-1)になるように処理槽へ供給
し、かつ、これと等量の処理液を処理槽より抜き出しつ
つ、ジメチルホルムアミドの分解処理を行なった。
なお、処理槽中の被処理液のpHが7.0になるように2N
塩酸水溶液を添加した。処理液からは、ジメチルホルム
アミドは検出されなかった。また、処理液に含有されて
いた本細菌の菌体量は、処理液1当たり約3.1gであ
り、処理液から菌体を除去した上澄液のCOD値は190ppm,
TOC値は200ppmであった。
その後、前記の被処理液を平均滞留時間が5時間(希
釈率D=0.2hr-1)になるように処理槽へ供給し、か
つ、これと等量の処理液を処理槽から抜き出しつつジメ
チルホルムアミドの分解処理を行なった。
処理液からは、ジメチルホルムアミドは検出されなか
った。また、処理液に含有されていた本細菌の菌体量は
処理液1当たり約3.4gであり、処理液から菌体を除去
した上澄液のCOD値は200ppm,TOC値は200ppmであった。
なお、この分解処理において、処理液の溶存酸素濃度
は約2〜4ppmに保たれた。
実施例5 実施例4と同様にして、パラコッカス アミノフィル
スDM−15を用いて、平均滞留時間10時間で、ジメチルホ
ルムアミドを主炭素源として連続処理を行なった。この
処理液を遠心分離して回収した分離菌体を−20℃で凍結
保存した。
50mMリン酸緩衝液(pH7.0)にジメチルホルムアミド
を1wt%になるように添加して得られた被処理液1
に、前記の凍結菌体を乾燥重量として0.2g入れ、30℃で
ジメチルホルムアミドの分解処理を行なった。
被処理液中のジメチルホルムアミドは、時間の経過に
伴ってほぼ直線的に減少し、反応開始8時間後には、検
出されなくなった。
菌体1g当りのジメチルホルムアミドの処理速度は、約
7g/hrであった。
実施例6 ジメチルホルムアミドを1wt%含有する工場廃液1
のpHを7.0に調整し、これに実施例5と同様にして得ら
れた凍結菌体を乾燥菌体重量として0.5g添加し、30℃で
ジメチルホルムアミドの分解処理を行なった。
反応開始8時間後には、ジメチルホルムアミドはまっ
たく検出されなかった。
なお、前記の各実施例において、液中のジメチルホル
ムアミドの量は、ガスクロマトグラフィーにより分析し
た。
機 種:Shimadzu 7AGC(FID) カ ラ ム:Unisole 30T 5% Uniport HP 80/100 Glass Column(3φ×2m) カラム温度:70℃ 流 速:N2(標準状態)30ml/min. [発明の効果] 本発明により、安定で分解され難く、有害な物質であ
るジメチルホルムアミドを効率よく分解,除去すること
が可能となり、以て、ジメチルホルムアミドを含有する
有害な廃液を効率よく無害化することができ、環境衛生
保全上の価値は極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−49576(JP,A) 特開 平2−72864(JP,A) 特開 平2−72865(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 3/34 C12N 1/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジメチルホルムアミドを含有する液とパラ
    コッカス属に属しジメチルホルムアミドを資化、分解し
    得る細菌の菌体および/または該細菌の菌体処理物とを
    接触させて、該液中のジメチルホルムアミドを分解、除
    去することを特徴とするジメチルホルムアミドの除去方
    法。
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