JP2949217B2 - 微小基準電極およびこれを備えた微小複合電極、それらの製造方法ならびに液絡方法 - Google Patents

微小基準電極およびこれを備えた微小複合電極、それらの製造方法ならびに液絡方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、微小基準電極お
よびこれを備えた微小複合電極ならびにそれらの製造方
法に関する。さらに詳しくは、この発明は、あらゆる電
気化学的検出器、環境分析用センサ、病理検査用セン
サ、および生体系や食品等の無害、無毒性が厳しく要求
される検出用プローブ電極等に用いられる基準電極の微
小化のために液絡部を微小化した基準電極およびそのよ
うな液絡方法、並びにそのような微小電極を対極と複合
化した微小複合電極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バイオ系の電気化学的計測法の分野にお
いて、近年急速に、微小電極を検出手段とする微小領
域、微少量の迅速分析法が必要とされるようになってき
たが、細胞レベルでの選択性が非常に高く、高感度な測
定を可能とするためには、電位を制御して計測すること
が重要である。ところが、カーボンファイバや貴金属の
微細線を電極とする微小作用電極は、研究段階では、微
小電極が常用されるようになってきたにもかかわらず、
電位を制御するための基準電極の微小化は、原理的には
可能であっても、実用レベルの電極の製造方法は困難で
あり、既存技術による市販基準電極の先端は、細くても
2mmφ以上のものが多く、μm級の作用極に比べ非常
に太い。
【0003】しかし、水素イオンおよび金属イオン濃度
を測定する際の、比較的大型(2〜10mmφ)の基準
電極やそれをイオン電極と複合化した複合電極が実現さ
れているのを除いて、微小電極や微小センサ電極におい
ては、技術的困難さのために微小の基準電極が実現され
ていない。微少量試料や微小領域での測定を目指すこの
分野で、太い基準電極を使用するのでは、微小電極の価
値が半減する。
【0004】また、近年、このような特定の物質を感度
よく検出可能なセンサ電極を用いて生体系等の局所で、
例えば、細胞レベルでの生理学的情報を生きたまま(i
nvivo)、その場(in situ)で、得ること
が大変重要となってきた。この目的のためには、電極を
生体の目的細胞の近傍に配置するか、刺入して、物理
的、化学的、電気的に刺激を与えて放出される応答物質
や化学変化の結果生成する特定の物質を選択して測定可
能であることが要求される。この目的のためにも微小の
基準電極やその複合化は意義のある技術といえる。
【0005】従来、このような複合型計測用電極として
は、先にも述べたように、水素イオンを計測するpH
計、ナトリウムイオン等の無機イオンを検出するイオン
センサ等が実用化されているが、微小作用電極に比べ大
変太い。
【0006】ところが、pH計、無機イオンセンサ、滴
定用金属(主に白金)電極などの大型(〜10mmφ)
の複合電極を除いて、ほとんどが長期使用に耐えず、寿
命の短い難点があった。特に1mmφ以下の基準電極や
それの複合化された複合電極で実用に耐えるものは大変
少ないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】直径がmm級以下の基
準電極作製とその複合化が困難である理由の一つは、安
定な微小基準電極を作製するための技術が必要であるこ
とと、もう一つは、その微小基準電極を保持して、電気
化学的に適した液絡抵抗を持つ微小な液絡部分を備えた
細い電極管が必要であることにあった。これらの技術が
可能になるとき、微小電極の複合化も実現する。
【0008】先に、安定な微小電極を作製するための技
術について、スパッタ、蒸着技術などを用いて、微小作
用電極を、作用極部分を残して、絶縁被覆し、その被覆
表面に銀を積層させて成膜し、その一部を塩化銀に化学
反応させて作成した基準電極を複合した二極一体型微小
電極と、その表面をさらに絶縁被覆して、その表面に対
極を構成した三極一体型微小複合電極とすることによ
り、基準電極の微小化と複合化を試みた(特開平5−2
6840号)。これで上記の微小基準電極部分は可能に
なったが、その微小基準電極を保持して、電気化学的に
適した液絡抵抗を持つ微小な液絡部分を備えた細い電極
管を作製するには、市販の既存液絡に使用されている既
に固化された多孔性ガラスやセラミックススリーブを液
導通部に装着する方法では困難であった。
【0009】この微小基準電極の液絡部分の問題を解決
するために、安価な素材で容易な方法で作成可能な抵抗
の高い液絡部を考案し、使い捨ても可能な、安定な電位
を示す基準電極を作製できれば、寿命の問題も解消す
る。
【0010】従って、本発明の第一の目的は、安価な素
材を用いて容易な方法で作成可能な最適抵抗値を示す細
い液絡部を有し、使い捨ても可能な、安定な電位を示す
微小基準電極を提供することにある。
【0011】本発明の第二の目的は、そのような微小基
準電極と対極を一体に構成した微小複合電極を提供する
ことにある。
【0012】本発明の第三の目的は、そのような微小基
準電極の製造方法を提供することにある。
【0013】本発明の第四の目的は、そのような微小複
合電極の製造方法を提供することにある。
【0014】本発明の第五の目的は、そのような微小基
準電極の液絡方法を提供することにある。
【0015】本発明の第六の目的は、そのような微小複
合電極の液絡方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
した結果、 (1)微小領域、微小局所において、安定に電圧を計測
可能な液絡部を持つ、微小基準電極を作製、さらに対極
と複合化すること、 (2)計測系を被毒しないこと(もし、生体内に残存し
ても安全であること)、また、食品検査にも使用できる
基準電極であること、 (3)生体および食品などに刺して、極微小(微量)部
分の電気化学的検出を可能とする機械的強度を具備する
こと、 (4)電極特性にばらつきが少なく、データの再現性が
あり、信頼性ある計測が可能であること、 (5)安価で使い捨てができることなどの条件を損なわ
ずに特定物質の検出を行うための電位制御を可能とする
微小基準電極、およびそれを母体とした微小複合電極を
提供するために鋭意研究した結果、その開発に成功し
た。
【0017】すなわち、請求項1の発明に係る微小基準
電極は、液絡液を収容する電極管体と、この電極管体内
に配置された基準電極と、前記電極管体の先端部に液絡
部形成材料溶液を固化した液絡部を設け、さらに液絡部
を貫通して、液絡部の両方に突出した繊維性部材と液絡
部形成材料溶液とを固化した材料とを含む液導通部を設
けたものである。
【0018】請求項の発明に係る微小基準電極は、請
求項1の微小基準電極の繊維性部材を糸、ファイバー
束、フェルト切片から選ばれた少なくとも一種としたも
のである。
【0019】請求項の発明に係る微小基準電極は、請
求項1、2のいずれかの微小基準電極の液絡部形成材料
溶液を樹脂オリゴマー液、セラミック前駆液から選ばれ
た少なくとも一種としたものである。
【0020】請求項の発明に係る微小複合電極は、請
求項1〜のいずれかの微小基準電極に、基準電極を内
部に配置する電極管体を包囲する外管を設け、前記電極
管体もしくは前記外管に対極を装着し、前記電極管体も
しくは前記外管の外側に対極を設け、または前記外管自
体を対極としたものである
【0021】請求項の発明に係る微小基準電極の製造
方法は、基準電極を収容する電極管体の先端部内に所定
長の繊維性部材の一部を挿入し、先端部繊維性部材に液
絡部形成材料溶液に導入侵漬して、液絡部形成材料溶液
を繊維性部材および液絡部に含浸させた後、液絡部形成
材料溶液を十分に固化させて、繊維性部材を含む液導通
部および電極管の先端部内に液導通部の中間部分を包埋
担持する液絡部を形成させたものである。
【0022】請求項の発明に係る微小基準電極の製造
方法は、請求項の製造方法において、繊維性部材とし
て糸、ファイバー束、フェルト切片から選ばれた少なく
とも一種を用いて製造するものである。
【0023】請求項の発明に係る微小基準電極の製造
方法は、請求項5又は6の製造において、液絡部形成材
料溶液として樹脂オリゴマー液を用い、触媒重合して固
化するものである。
【0024】請求項の発明に係る微小基準電極の製造
方法は、請求項5又は6の製造において、液絡部形成材
料溶液としてセラミック前駆液を用い、乾燥後さらに加
熱乾燥して固化するものである。
【0025】請求項の発明に係る微小複合電極の製造
方法は、請求項5〜8のいずれかの微小基準電極の製造
に、電極管体の外側に導電性材料の対極を装着して製造
するものである。
【0026】請求項10の発明に係る微小基準電極又は
複合電極の液絡方法は、微小基準電極を構成する電極管
体の先端に、繊維性部材と液絡部溶液を固化した材料
を含む液導通部の両端の繊維性部材を十分残して中間部
分を包埋担持するため液絡部形成溶液で固化した液絡部
を設け、電極管体内に収容された液絡液を液導通部を通
して導通液絡させるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】基準電極の液絡部として必要な条
件は、基準電極本体の電極電位が (1)同一温度で安定な電位を示すこと、 (2)電位計測の再現性がよく、できれば繰り返し使用
可能であること、 (3)電極電位に個体差がないこと、 (4)取り扱い、保存が容易であること、 (5)生体系などが汚染されやすい系での再使用を避け
るため、使い捨てられるほど安価であること、 (6)測定系を被毒しないこと、 (7)液絡部の抵抗が高く、電流がほとんど流れないこ
となどの条件を満たす必要がある。
【0028】以下に、本願発明の微小基準電極およびそ
れを複合化した微小複合基準電極の構成を説明し、それ
らの製造方法について述べる。
【0029】まず、本願発明の基本的部分は、基準電極
の液絡を実現する液絡部とその作成方法に関する。
【0030】図1(A)は本発明の液絡部を有する基準
電極の基本構成を示す部分断面図である。図1(A)に
示すように、微小電極1を電極管体である管2内に配置
し、内部に液絡液(基準電極用電解液)3を満たし、管
2の先端部に液絡部4を設けてある。液絡部4は液絡液
3の自由な流出を阻止するが、液導通部5を有し、これ
を通じて液が管2の外部と導通し、液絡を形成する。こ
の微小電極1は図1(B)に示すように複数個の単位微
小電極1を束ねた微小電極束6であってもよい
【0031】微小電極1および微小電極束6の単位微小
電極1はそれぞれ銀線からなり、その表面の一部(例え
ば、先端部)が化学反応により塩化銀に変化した構造を
持つ。銀線の基部は、図示しないリード線に接続されて
いる。
【0032】管2は、例えばガラス、プラスチック、セ
ラミックなどの通常微小電極に使用し得る材料からな
る。
【0033】液絡液3としては、例えば塩化カリウム溶
液が使用できる。
【0034】液絡部4は、樹脂オリゴマー液(例えばシ
ロキサンのアルコール溶液)、セラミック前駆液、寒天
液、ゼラチン液などの液絡部形成材料溶液を固化した液
絡部材料からなる。
【0035】液導通部5は、糸(フィラメント)、ファ
イバー束、フェルト切片などの液絡液を保持し、導通す
ることができるとともに液絡部形成材料となじみがよ
く、含浸しやすい材料であればよい。すなわち、液絡部
4が液絡液3の自由な流通を阻止するが、液導通部5の
みを伝わって液絡液が内部と外部とを連絡するようにで
きる材料であればよい。具体的には、絹糸、木綿糸など
の撚糸、藺草(い草)などの植物繊維、ガラス繊維、中
空ガラスファイバ、炭素繊維などの無機ファイバ束、植
物性フェルト、動物性フェルトなどの切片がある。
【0036】液絡部4の作成は、上述の液導通部用の材
料、例えば絹糸、木綿糸、い草、ガラス繊維、炭素繊
維、フェルト切片などを樹脂オリゴマー液、セラミック
前駆液、寒天液、ゼラチン液などの液絡部形成材料溶液
と共に、液絡必要部分に一部の糸、ファイバ束、フェル
ト切片などを必要量充填した後、加熱あるいは触媒重合
などにより十分固化して構成される。図1(A),図1
(B)に示すように、導通部用材料が液絡部4を貫通
し、両端が液絡部4から内側および外側に向かって突き
出している。
【0037】その液導通部5は具体的には、次のように
して作成する。すなわち、上述の液導通部用の材料を、
所望の直径のガラス管などの管に挿入した後、例えばシ
ロキサンなどの樹脂オリゴマー液などの液部形成材料溶
液に所望の長さを浸漬して、十分に液を液導通部用材料
に含浸させた後、液絡部に引き上げる。
【0038】これらの含浸部分を、寒天を使用した場合
はそのまま室温固化し、その他の材料を使用した場合は
室温で乾燥する。レジン類を使用した場合は、乾燥後、
例えば200℃にて加熱乾燥させるか触媒重合させる。
固化した液絡部を室温に戻し、液絡先端部を測定対象に
深く浸漬すれば、液が糸などを伝って液絡が完成する。
液絡完成後は液絡部を乾燥させないように、塩化銀を飽
和した測定対象液から塩化銀を飽和した飽和塩化カリウ
ム液中に保存しておく。
【0039】この微小な液絡部は、電流はほとんど流さ
ないが電圧応答が可能な程度の導通が望まれる。具体的
には、抵抗値が1kΩ〜50kΩである、十分固化した
液導通部であることが望ましい。
【0040】微小領域、微小局所において、また、細胞
などの内部や近傍での計測に使用し得るようにするに
は、その微小先端部が望ましくは刺入に耐えられる強さ
である必要がある。微小基準電極を作成し、さらに対極
と複合化するために、本発明の微小基準電極の電解液保
持のための素材については、いずれも細いガラス管、金
属管またはプラスチック管を用い、管(内管)2の外側
に外管7を設けた2重管の構成とする(図2(A),
(B)および(C))。
【0041】次に、一本あるいは二本以上の銀線の一部
を塩化カリウム溶液中などで、電気化学的に塩化銀に変
化させた後、銀−塩化銀末端を持つ銀線の他端露出部を
微小の導線で銀ペーストなどによりリード線と結合導通
させ、接着部分は絶縁性のシリコーン接着剤などで絶縁
する。
【0042】このようにして作成した、銀−塩化銀末端
を持つ銀線を先に作成した液絡部を持つ管中に望ましく
は塩化銀を飽和した液絡液と共に、先端に作成した塩化
銀と銀線部分を液中に浸漬する。
【0043】作成した微小基準電極は、飽和塩化カリウ
ム溶液中で、信頼性のある飽和カロメル電極(SCE)
(図示しない)の電位と比較することにより、電位の確
認を行う。このSCEとの電位差は、25℃で42mV
とされているので、作成した微小基準電極との電位差
は、この値の前後10mV以内にあることが望ましい。
【0044】基準電極を生体系などに刺入して使用する
場合には、管の先端部を所定の細さに搾り、管の中に液
絡液を入れて使用するとよい。
【0045】次に、この基準電極を対極との複合化した
電極として作成するには、補強のために使用するガラス
管あるいはポリマー管を利用して、内管(管2)の外部
(図2(A))あるいは外管7に対極8(図2(B)、
(C))を装着するか、導電性の金属細管、例えば白金
細線、そのもので覆ってそれを対極(図2(D))とす
る構成、すなわち外管兼対極を有する構成、にする(特
開平5−26840号)こともできる。図2(A)のよ
うに内管外部に対極8を作成した場合、外管7を短くし
たり外管7に切り込みを入れるなど、また、図2(B)
のように、外管7の内部に対極8を作成した場合、外管
7を内管2よりも長くするなどして反応しやすくする。
これらの構造により、対極7を保護することができる。
【0046】複合電極の対極7は絶縁した管の内、外側
に例えば白金のような金属、合金、炭素の線、フィルム
を卷くか、あるいは各素材の薄膜を作成し、その端部に
導線を接続して、製作する。
【0047】
【実施例】(実施例1)微小基準電極の液絡部の作成
に、ガラス管と木綿糸、ガラスレジン(昭和電工社製、
ガラスレジンGR−100)を使用した。
【0048】まず、直径1mmの市販のガラス芯入りガ
ラス管(英国クラーク社製、GC100F−10)の先
端部に木綿糸を挿入する。ガラス管の先端部が予め細か
く引いてあれば先細の基準電極が作成できる。挿入する
糸の長さは、液絡部の長さを超えるように配慮して切断
する。糸の長さは管径や管の材質、液絡作成のための樹
脂オリゴマー液の粘性などによって異なる。その理由
は、細い液絡部への樹脂オリゴマー液などの導入には毛
管現象などを利用するからである。本実施例では、ガラ
スレジンオリゴマー50−75重量%をエタノールに溶
解した液を使用した。
【0049】糸の周りのガラスレジン液が乾くまで室温
に放置してガラスレジン液を糸と共に固化した。これを
十分に乾燥した後、200℃に熱した電気炉中で数時間
加熱重合させた。
【0050】室温に戻した後、飽和塩化カリウム溶液な
ど、基準電極中に保持する液絡液を管内に導入した。こ
れで、簡易基準電極の液絡部が出来上がる。この液絡部
付ガラス管の保存は、塩化銀を飽和した飽和塩化カリウ
ム溶液など、液絡液と同一の電解液中に保持することに
よって行う。
【0051】基準Ag/AgCl作成用の銀線は、0.
1mmφ、長さ50mmのものを使用した。この銀線の
一部を1モル/リットル(M)塩化カリウム溶液に浸漬
し、SCEを基準電極として0.34Vでゆっくりと塩
化銀を析出させた銀線を、実施例1で作製した液絡部を
持つガラス管中に液絡液と共に挿入し、微小基準電極を
作成した。この微小基準電極は図1(A)に示すような
構造である。
【0052】この微小基準電極の電位をSCEを基準と
して測定した。このときの電位差は48mVで基準値の
±5mVにあったが、この値は上述の望ましい電位領域
内にあるので、簡易型として十分な基準電極が作成でき
たと判断された。このとき作成した微小基準電極の液絡
部の抵抗は5kΩであり、望ましい液絡抵抗値の範囲内
であった。
【0053】この複合電極を用いて塩化カリウム溶液中
のフェロシアンイオン(1M KCl−0.05M K
4 Fe(CN)6 )の電流電位曲線を求めた結果を図3
に示す。
【0054】本発明による基準電極参照により、本作用
極上で上記フェロシアンイオンの酸化還元電位は0.2
26Vであり、SCE参照の場合の0.245Vと比較
して19mVの電位差を示したが、この電位差は1M塩
化カリウム溶液中での正常電位差であると判断された。
【0055】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明により、
微少量の試料や多くの生体試料や食品などの中の特定物
質検出のための、生きたまま(in vivo)測定
や、その場測定(in situ)向きの使い捨ての微
小電極を提供することができる。
【0056】すなわち、先に作用電極を細くしたことに
より、微小領域や微少量試料中での計測が可能となった
ものの、基準電極や対極が太いため、これまで、十分に
そのメリットが活かされなかった微小電極が、本発明に
より作成した微小基準電極と微小複合基準電極により、
その不都合が解消され、微小電極を必要とする種々の実
験がより有効に、かつ容易に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】微小基準電極の構成を示す部分断面図であり、
(A)は単一の銀・塩化銀電極を有する場合の構成、
(B)は銀・塩化銀電極を複数本有する場合の構成を示
す。
【図2】微小銀・塩化銀電極を基準電極とした複合基準
電極の部分断面図であり、(A)は内管の外側に対極を
付けた場合の構成、(B)は外管内側に対極をつけた場
合の構成、(C)は外管外側に対極を付けた場合の構
成、(D)は外管が対極の場合の構成、をそれぞれ示
す。
【図3】図2の微小基準電極を対極として、1M塩化カ
リウム−0.005Mフェロシアン化カリウム溶液を用
いて得られた電流電位曲線図である。
【符号の説明】
1 微小電極 2 電極管体(内管) 3 液絡液 4 液絡部 5 液導通部 6 微小電極束 7 外管 8 対極 9 外管兼対極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−29842(JP,A) 特開 昭56−27644(JP,A) 実開 昭60−159362(JP,U) 実開 平1−168863(JP,U) 特公 昭29−2400(JP,B1) 実公 昭45−23995(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/401 G01N 27/30 311

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液絡液を収容する電極管体と、この電極
    管体内に配置された基準電極と、前記電極管体の先端部
    に液絡部形成材料溶液を固化した液絡部を設け、さらに
    液絡部を貫通して、液絡部の両方に突出した繊維性部材
    と液絡部形成材料溶液を固化した材料とを含む液導通部
    を設けたことを特徴とする微小基準電極。
  2. 【請求項2】 繊維性部材が糸、ファイバー束、フェル
    ト切片から選ばれた少なくとも一種であることを特徴と
    する請求項1の微小基準電極。
  3. 【請求項3】 液絡部形成材料溶液が樹脂オリゴマー
    液、セラミック前駆液から選ばれた少なくとも一種であ
    ることを特徴とする請求項1又は2のの微小基準電極。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の微小基準電極に、基準電
    極を内部に配置する電極管体を包囲する外管を設け、前
    記電極管体もしくは前記外管に対極を装着し、前記電極
    管体もしくは前記外管の外側に対極を設け、または前記
    外管自体を対極とすることを特徴とする微小複合電極。
  5. 【請求項5】 基準電極を収容する電極管体の先端部内
    に所定長の繊維性部材の一部を挿入し、前記先端部繊維
    性部材に液絡部形成材料溶液を導入侵漬して、前記液絡
    部形成材料溶液を前記繊維性部材および液絡部に含浸さ
    せた後、前記液絡部形成材料溶液を十分に固化させて、
    前記繊維性部材を含む液導通部および前記電極管の先端
    部内に前記液導通部の中間部分を包埋担持する液絡部を
    形成したことを特徴とする微小基準電極の製造方法。
  6. 【請求項6】 繊維性部材が糸、ファイバー束、フェル
    ト切片から選ばれた少なくとも一種であることを特徴と
    する請求項5の微小基準電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 液絡部形成材料溶液として樹脂オリゴマ
    ー液を用い、触媒重合して固化することを特徴とする請
    求項5又は6の微小基準電極の製造方法。
  8. 【請求項8】 液絡部形成材料溶液としてセラミック前
    駆液を用い、乾燥後さらに加熱乾燥して固化することを
    特徴とする請求項5又は6の微小基準電極の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項5〜8のいずれかの微小基準電極
    の製造方法に、さらに電極管体の外側に導電性材料の対
    極を装着する工程を追加することを特徴とする微小複合
    電極の製造方法。
  10. 【請求項10】 微小基準電極を構成する電極管体の
    端に、繊維性部材と液絡部形成溶液を固化した材料と
    含む液導通部の両端の繊維部材を十分残して中間部分を
    包埋担持するため液絡部形成溶液で固化した液絡部を設
    けた微小電極又は微小複合電極において、電極管体内に
    収容された液絡液を液導通部を通じて導通させることを
    特徴とする微小基準電極又は微小複合電極の液絡方法。
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