JP2945929B2 - 可燃性ガスの光識別検知方法および光吸収検知材 - Google Patents

可燃性ガスの光識別検知方法および光吸収検知材

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JP2945929B2
JP2945929B2 JP5106926A JP10692693A JP2945929B2 JP 2945929 B2 JP2945929 B2 JP 2945929B2 JP 5106926 A JP5106926 A JP 5106926A JP 10692693 A JP10692693 A JP 10692693A JP 2945929 B2 JP2945929 B2 JP 2945929B2
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昌儀 安藤
哲彦 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、可燃性ガスの識別
検知方法に関するものである。さらに詳しくは、この発
明は、COおよび2 間での両可燃性ガスの識別検知に
有用な、新しい光識別検知方法とそのための光吸収検知
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】CO、H2 あるいは炭化水素
ガス等のいわゆる可燃性のガスを適切に、かつ効果的に
検知することは、各種産業、社会システム、あるいは家
庭等において、中毒の防止、爆発の防止、火災防止等の
環境上の問題として、そして安全性や産業プロセスおよ
び施設における自動制御等の課題として極めて重要なも
のである。
【0003】このため、これまでにも化学反応や電気信
号利用等による各種のガスセンサーやガスセンシングシ
ステムが提案されてきており、そのための手法の一つと
して光学的にガス検知するための方法も提案されてい
る。この光学的ガス検知方法としては、被検ガスそのも
のに光照射してその透過・反射光から識別検知する方法
とともに、ガスに接触する固体物質の吸光度変化によっ
て可燃性ガスを検知する方法も知られている。この後者
の方法は、より簡便で、かつ精度の良い検知を可能とす
る方法として注目されてもいる。
【0004】しかしながら、これまでの固体物質の吸光
度変化によって光学的にガスを検知する方法において
は、依然として解決すべき課題が残されているのが実状
であった。すなわち、たとえば、空気中のCOおよび
2 を光学的に検知するために、Ni、Co、Mn、C
u、もしくはRuの酸化物からなる検知材料、さらに
は、その検知感度向上のために貴金属をこれら酸化物に
複合化した検知材料の吸光度の変化を観察する方法(特
開平3−89162号)が知られている。しかしなが
ら、この方法の場合には、可燃性ガスとしてのCOおよ
2 の存在は検知することができるものの、CO可燃
性ガスであるのかH 2 可燃性ガスであるのかを識別する
ことはできないという欠点があった。
【0005】また、Pd/WO3 を用いて、その吸光度
変化からH2 を検知する方法が知られているが、この場
合には、Hx WOy の生成による光吸収変化を利用して
いるため、COを検出することができない。さらには、
シリカ上に担持したAg微粒子の吸光度変化によってC
Oおよび微量の酸素を検出する方法(Jpn.J.Ap
pl.Phys.,27,L164(1988))も提
案されているが、この方法では、1vol%以上の酸素
が存在するとAg2 Oが生成されるため、空気中では使
用できないという欠点がある。このため、従来の技術、
もしくはそれらの組み合わせによっては、空気中等の酸
素の存在下においてCO可燃性ガスとH 2 可燃性ガスと
の識別検知を可能とすることはできなかった。
【0006】そこで、この発明は、以上の通りの従来技
術の欠点を解消し、空気中等の酸素存在下においても、
CO可燃性ガスとH 2 燃性ガスとの識別検知を精度よ
く、かつ簡便な操作によって可能とする新しい可燃性ガ
スの識別検知方法と、これに用いる光吸収検知材を提
供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、被検ガスを酸素の存在下に光吸
収検知材に接触させ、この光吸収検知材に光照射してそ
の吸収率からCO可燃性ガスとH 2 可燃性ガスとの識別
検知を行う方法であって、Au微粒子からなるプラズモ
ン吸収検知材をCo酸化物からなる可視・近赤外吸収検
知材に担持させてなる微粒子担持酸化物を光吸収検知材
とし、CO可燃性ガスおよびH 2 可燃性ガスに対する当
光吸収検知材の吸収特性が互いに異なるプラズモン吸
収帯波長とそれ以外の波長との少なくとも2波長での吸
収によってCO可燃性ガスとH 2 可燃性ガスとの識別検
を行うことを特徴とする可燃性ガスの光識別検知方法
を提供する。
【0008】そして、この発明は、前記の光吸収検知材
として、 (a)Auの微粒子からなるプラズモン吸収検知材、 (b)Coの酸化物からなる可視・近赤外吸収検知材
担持されてなる微粒子担持酸化物も提供する。
【0009】
【作用】すなわち、この発明は、これまでに知られてい
る固体物質の光吸収度の変化よってガス検知する方法を
さらに発展させ、これまで実現されてこなかったCO可
燃性ガスとH 2 可燃性ガスの識別をも空気中等の酸素
存在下において可能とする全く新しい方法を提案するも
のである。
【0010】この方法は、被検ガスに含まれているCO
可燃性ガスおよびH 2 可燃性ガスが、酸素存在下で表面
活性を示す固体物質であってこれらの可燃性ガスの種類
と濃度に対応して光吸収率の変化を生じさせる光吸収検
知材と接触する場合には、波長によって特異的に異なる
吸収特性を示すとの知見に基づいている。特にこの吸収
特性の差異は、CO可燃性ガスおよびH 2 燃性ガスの
場合で顕著であることがプラズモン吸収帯波長とその他
波長との間で確認されてもいる。
【0011】この特異的に異なる吸収特性を示すための
波長と、光吸収検知材の選択については、もちろん様々
に可能であるが、少くとも特定の2波長による光吸収
率の変化によってCO可燃性ガスとH 2 可燃性ガス
識別検知することは、この発明によってはじめて実現さ
れたものである。すなわち、COとH2 については、
ラズモン吸収帯波長とその他波長とを効果的に採用する
ことができる。そして、この場合には、前記の通り、 (a)Auの微粒子からなるプラズモン吸収検知材、 (b)Coの酸化物からなる可視・近赤外吸収検知材に
担持されてなる微粒子担持酸化物が有効に用いられる
である
【0012】このうちの(b)の可視・近赤外吸収検知
材は、空気中のCOおよび2 により可視・近赤外の広
い波長域で吸光度変化を生じる酸化物であって、すでに
従来技術として知られていもいる(特開平3−8916
2号)。また、(a)に属する貴金属は、この酸化物の
応答速度を向上させるものであるとも考えられている。
しかしながら、この従来技術によってはCOとH2 との
識別は全くなされていない。どうしても、この発明の方
法によって、上記(a)プラズモン吸収検知材としての
使用が必要となる。
【0013】つまり、空気中のH2 の識別検知のために
は、上記(a)のAuの微粒子からなるプラズモン吸収
検知材の使用が有効である。また、COについては、H
2 とともに、上記(b)のCoの酸化物からなる可視・
近赤外吸収検知材の使用によって識別・検知されること
になる。
【0014】この(a)(b)の検知材については、
(b)Co酸化物からなる可視・近赤外吸収検知材に、
(a)Au微粒子からなるプラズモン吸収検知材のAu
微粒子を担持して使用する。たとえば、ガラス等の透明
基板(基体)上に(b)Co酸化物からなる可視・近赤
外吸収検知材の酸化物を薄膜、粒子等として配設し、こ
の上に、(a)Au微粒子からなるプラズモン吸収検知
材のAu微粒子を担持することができる。このような担
持が有効であることの理由は、Au微粒子を、たとえば
ガラス基板上に担持しただけでは、水素による吸光度変
化を生じにくいことによる。これは、測定温度(たとえ
ば約200℃以上)によっては、Au微粒子が熱的に凝
集してしまい、粒径が大きくなるため水素に感応しにく
くなることや、酸素の活性点を生じるような酸化物を用
いていないと考えられる。
【0015】検知材(a)のAuの微粒子については、
その粒径を500nm以下とすることが好ましく、ま
た、その使用量は、前記検知材(b)のCo酸化物の金
属に対して、原子比で1〜200%程度とするのが好
ましい。粒径が500nmを超える場合には充分な感度
を得ることが難しくなる。
【0016】た、検知材(a)(b)は、その形状に
対応して各種の方法による製造が可能であり、Au微粒
子については、スパッタリング法等の気相成長法等が、
またCo酸化物についても同様に、従来公知の各種方法
が採用できる。担持についても同様である。
【0017】なお、測定方法については、光源、その波
長に特に限定はないが、通常は300〜2000nmの
ものが、また、測定温度にういては、応答速度を上げる
ためにも、100〜500℃程度とするのが好ましい。
この発明の方法では、識別対象としての可燃性ガスはC
および2 であり、酸素の存在下において、これら
ガスと接触した際の光吸収検知材の光吸収率を、Au
粒子のプラズモン吸収帯の波長と、プラズモン吸収帯か
ら離れた波長の2波長で測定すればよく、光吸収率の測
定方法としては公知の方法を適用することができる。た
とえば、透過法(薄膜)、拡散反射法(粉末、ペレッ
ト)、光導波路上に形成等である。
【0018】以下、実施利を示し、さらに詳しくこの発
明の方法について説明する。
【0019】
【実施例】実施例1 ガラス基板上(片面)にオクチル酸コバルト膜をスピン
コート法で形成し、380℃で2時間焼成し、厚み約5
0nmの酸化コバルト薄膜を調整した。この酸化コバル
ト薄膜上にスパッタ法で金微粒子を担持後300℃で1
時間焼成して金微粒子担持酸化コバルト薄膜を調整し
た。
【0020】金微粒子担持酸化コバルト薄膜を200℃
に保ち、(A)標準空気(21%酸素+79%窒素)、
(B)1%の水素を含む空気、(C)1%の一酸化炭素
を含む空気のいずれかの中で、透過光の可視光吸収スペ
クトルを測定した。その結果を示したものが図1であ
る。図1の(A)と(B)および(C)の比較により、
空気中の水素により波長600nm付近の金微粒子担持
酸化コバルト薄膜の吸光度は増大するが、一酸化炭素に
よっては吸光度は変化しないことがわかる。一方、波長
800nm以上では、空気中の水素、一酸化炭素のいず
れによっても金微粒子担持酸化コバルト薄膜の吸光度が
減少することがわかる。したがって、たとえば、波長6
00nmと波長800nmの2波長で吸光度変化を測定
比較することにより、空気中の水素と一酸化炭素を識別
検知することができる。すなわち、波長600nmの光
と波長800nmの光を金微粒子担持酸化コバルト薄膜
に照射した際、波長600nmに対する吸光度が標準吸
光度よりも増大し、波長800nmに対する吸光度が標
準吸光度よりも減少する場合には、空気中に一酸化炭素
ではなく水素が存在することを識別検知することがで
き、一方、波長600nmに対する吸光度は標準吸光度
と同じで、波長800nmに対する吸光度のみが減少す
る場合には、空気中に水素ではなく一酸化炭素が存在す
ることを識別検知することができる。このように、この
発明によって、空気中において一酸化炭素と水素との識
別検知を実現することができる。なお、ここでの吸光度
の比較基準となる標準吸光度とは、標準空気(21%酸
素+79%窒素)中において金微粒子担持酸化コバルト
薄膜に波長600nm光および波長800nm光を照射
した場合それぞれのその吸光度をいう。
【0021】また、金微粒子担持酸化コバルト薄膜を2
00℃に保ち、雰囲気を標準空気から1%の水素を含む
空気に切り換え、3分経過後に再び標準空気に戻したと
きの、波長595nmの光および波長900nmの光に
対する金微粒子担持酸化コバルト薄膜の吸光度の変化を
調べた。その結果を示したものが図2である。空気中の
水素の有無により、可逆的に金微粒子担持酸化コバルト
薄膜の吸光度が変化する。すなわち、波長595nmの
光と波長900nmの光を金微粒子担持酸化コバルト薄
膜に照射した際、波長595nmに対する吸光度と波長
900nmに対する吸光度とが可逆的に変化した場合に
は、空気中に一酸化炭素ではなく水素が存在することを
識別検知することができる。実施例2 実施例1の光吸収検知材を用い、 (A)0.5%(容量)のCOを含む空気 (B)0.5%(容量)のH2 を含む空気 (C)0.5%COおよび0.5%H2 を混合して含む空気 について同様に吸光度を測定した。
【0022】また、同時に、 (D)1%のCOを含む空気 (E)1%のH2 を含む空気 についても測定した。このときの吸光度(ガス)−吸光
度(空気)の差を、波長との関係で示したものが図3
(A、B、C)および図4(D、E)である。
【0023】この図3および図4からは、COおよび
2 の識別検知が、可燃性ガス含有量に応じて可能である
ことがわかる。
【0024】
【発明の効果】この発明によって、以上詳しく説明した
通り、空気中等の酸素存在下における可燃性ガスのCO
とH 2 の精度の良い識別検知が可能となる。また、操
作も簡便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としての吸光度スペクトル図である。
【図2】吸光度の時間変化を示した図である。
【図3】吸光度(ガス)と吸光度(空気)の差を示した
図である。
【図4】吸光度(ガス)と吸光度(空気)の差を示した
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 特許法第30条第1項適用申請有り 2.上記1に相当す るThe PROCEEDINGS OF THE C HEMICAL SENSORS,pv 93−7に文書 を以て発表 (56)参考文献 特開 平3−89162(JP,A) 特開 平6−120235(JP,A) Jpn.Appl.Phisics, Vol.27,L164−L166(1988) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01N 21/00 - 21/01 C01N 21/17 - 21/61 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検ガスを酸素の存在下に光吸収検知材
    に接触させ、この光吸収検知材に光照射してその吸収率
    からCO可燃性ガスとH 2 可燃性ガスとの識別検知を行
    方法であって、Au微粒子からなるプラズモン吸収検
    知材をCo酸化物からなる可視・近赤外吸収検知材に担
    持させてなる微粒子担持酸化物を光吸収検知材とし、C
    O可燃性ガスおよびH 2 可燃性ガスに対する当該光吸収
    検知材の吸収特性が互いに異なるプラズモン吸収帯波長
    とそれ以外の波長との少なくとも2波長での吸収によっ
    CO可燃性ガスとH 2 可燃性ガスとの識別検知を行う
    ことを特徴とする可燃性ガスの光識別検知方法。
  2. 【請求項2】 プラズモン吸収波長とそれ以外の波長の
    光照射による光吸収率から、酸素存在下のCO可燃性ガ
    スとH 2 可燃性ガスとの識別検知を行うための光吸収検
    知材であって、 (a)Au微粒子からなるプラズモン吸収検知材が、 (b)Co酸化物からなる可視・近赤外吸収検知材に担
    持されてなる微粒子担持酸化物であることを特徴とする
    可燃性ガスの光吸収検知材。
  3. 【請求項3】 光識別検知材が透明基体上に配設されて
    いる請求項2の光吸収検知材。
  4. 【請求項4】 プラズモン吸収検知材のAu微粒子の粒
    径が500nm以下である請求項2または3の光吸収検
    知材。
  5. 【請求項5】 プラズモン吸収検知材のAu微粒子が可
    視・近赤外吸収検知材のCo酸化物に対して原子比で1
    0〜200%配設されている請求項2ないし4のいずれ
    かの光吸収検知材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0672876B2 (ja) * 1989-08-31 1994-09-14 工業技術院長 可燃性ガス検知材料、及び可燃性ガス検知方法
JPH04286917A (ja) * 1991-03-15 1992-10-12 Hitachi Cable Ltd 多点型光センサシステム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Jpn.Appl.Phisics,Vol.27,L164−L166(1988)

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