JP2940191B2 - 負荷開閉器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は主回路を刃形の導体バ
ーの回動によって開閉する気中絶縁形の負荷開閉器に関
する。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来の負荷開閉器の構成例を示す
斜視図である。主回路に導電接続される第１, 第２の端
子２, ４が碍子３を介して共通のベース１に固定されて
いる。第１の端子２はヒンジ部６を備え、導体バー５の
片端を回動可能に支持している。第２の端子４はクラン
プ部７ (点線)を備え、導体バー５のもう一方の片端と
接離可能に形成されている。さらに、クランプ部７は絶
縁板８で囲われ、この絶縁体８はＬ字状の金属性のサポ
ート10を介して第２の端子４に固定されている。絶縁板
８の手前側には金属板によってコの字状に成型され、上
方の開口部に行くにしたがって口の広がる放気カバー９
が絶縁板８に取り付けられている。

【０００３】図２において、遮断時は矢印Ｘの方向に導
体バー５が図示されていない駆動装置によって回動駆動
される。導体バー５がクランプ部７から離れる瞬間に開
離アークが発生する。絶縁板８はその間隙部に消弧室を
形成しており、開離アークが広がらないように押える役
目を担う。開離アークの熱によって膨張したガスは放気
カバー９を介して外部へ放出される。絶縁板８および放
気カバー９は、遮断時における導体バー５とクランプ部
７との間の開離アークを短時間で消弧させるためのもの
である。なお、図２には１相分の負荷開閉器しか図示さ
れていないが、ベース１に３相分の負荷開閉器が並設さ
れる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような従来の装置は、耐電圧試験のときに放気カバー
から部分放電が発生するという問題点があった。

【０００５】耐電圧試験の時のように高電圧が端子に印
加されると、放気カバーと第２の端子との間で部分放電
が発生する。そのために、それを取り付けている絶縁板
が部分放電によって劣化するという可能性があった。ま
た、負荷開閉器が雑音の発生源となり、周囲の電子機器
を誤動作させたり、音響機器に雑音を乗せたりするなど
の悪影響を与えていた。

【０００６】この発明の目的は、耐電圧試験時に放気カ
バーから部分放電が発生しないようにすることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明によれば、主回路に導電接続される第１お
よび第２の端子と、この第１の端子にヒンジ機構を介し
て回動可能に支持され第１の端子を支点にして回動する
導体バーと、第２の端子側に設けられ前記導体バーが接
離するクランプ部と、第２の端子に取り付けられ前記ク
ランプ部を囲んで消弧室を形成する絶縁体と、この絶縁
体に取り付けられ消弧室内の開離アークによって熱せら
れたガスを外部に放出させる金属性の放気カバーとによ
り構成され、この放気カバーを第２の端子に導電接続さ
せてなるものとし、かかる構成において、放気カバーを
第２の端子に接続導体を介して導電接続させてなるもの
とする。

【０００８】

【作用】この発明の構成によれば、放気カバーを第２の
端子に導電接続させたことにより、放気カバーと第２の
端子との間が同電位となり部分放電が発生しなくなる。
また、放気カバーを第２の端子に接続導体を介して導電
接続した。接続導体を付加するだけなので、放気カバー
の設計変更が不要である上に、既設装置の放気カバーと
第２の端子との導電接続も容易に実施できる。

【０００９】

【実施例】以下この発明を実施例に基づいて説明する。
図１はこの発明の実施例にかかる負荷開閉器の構成を示
す斜視図である。放気カバー９とサポート10との間に接
続導体となるコの字状の金具11が介装されている。その
他の構成は、従来の装置のそれと同じなので、同じ部分
には同一参照符号を用いることにより詳細な説明は省略
する。

【００１０】図２のような従来の装置においては、放気
カバー９の電位が浮遊していた。そのために第２の端子
４に高電圧が印加されると、静電誘導によって放気カバ
ー９に電位が発生する。放気カバー９と第２の端子４と
の電位差がある限界を超えると、その間に部分放電が発
生することが判った。図１においては、金具11の両端が
放気カバー９とサポート10とにそれぞれボルト締めされ
ている。この導電接続によって放気カバー９の電位がサ
ポート10を介して第２の端子４と同じになり、耐電圧試
験時に発生する部分放電を抑えることができた。

【００１１】放気カバー９を第２の端子４と同電位にす
るためには、放気カバー９に第２の端子４と導電接続可
能な端子板をあらかじめ接合しておき、消弧室組立ての
ときにこの端子板を第２の端子４と導電接続する構成と
してもよい。接続導体を介して放気カバー９と第２の端
子４とを導電接続する構成としておくことにより、従来
の放気カバーの設計変更が不要となる。また、接続導体
を付加するだけなので、既設装置の放気カバーと第２の
端子との導電接続も容易に実施できる。

【００１２】接続導体は図１の実施例では金具11であっ
たが、これは市販の電線やより銅線でもよく、放気カバ
ーと第２の端子との導電接続構成は特定されない。な
お、放気カバーを絶縁物でコの字状に形成する構成とし
部分放電が発生しないようにする構成も考えられる。し
かし、放気カバーを絶縁物にすると、開離アークの消弧
能力が低下する。すなわち、放気カバーを鉄などの金属
製としておくことにより、開離アークで熱せられたガス
を冷却させる効果が発揮され、開離アークを短時間で消
弧できる要因の一つともなっている。

【００１３】

【発明の効果】この発明は前述のように、放気カバーを
第２の端子に導電接続させたことにより部分放電の発生
がなくなった。そのために、消弧室の絶縁体を劣化させ
たり、周囲へ雑音を発信させたりすることのない装置を
提供することができる。

【００１４】かかる構成において、接続導体を介して放
気カバーと第２の端子とを導電接続させた。この構成に
よって、従来の放気カバーの設計変更が不要であるばか
りでなく、既設装置の放気カバーと第２の端子との導電
接続も容易に実施することが可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例にかかる負荷開閉器の構成を
示す斜視図

【図２】従来の負荷開閉器の構成例を示す斜視図

【符号の説明】

１ ベース ２ 第１の端子 ３ 碍子 ４ 第２の端子 ５ 導体バー ６ ヒンジ部 ７ クランプ部 ８ 絶縁板 ９ 放気カバー １０ サポート １１ 金具

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】主回路に導電接続される第１および第２の
   端子と、この第１の端子にヒンジ機構を介して回動可能
   に支持され第１の端子を支点にして回動する導体バー
   と、第２の端子側に設けられ前記導体バーが接離するク
   ランプ部と、第２の端子に取り付けられ前記クランプ部
   を囲んで消弧室を形成する絶縁体と、この絶縁体に取り
   付けられ消弧室内の開離アークによって熱せられたガス
   を外部に放出させる金属性の放気カバーとにより構成さ
   れ、この放気カバーを第２の端子に導電接続させてなる
   ことを特徴とする負荷開閉器。
2. 【請求項２】請求項１記載のものにおいて、放気カバー
   を第２の端子に接続導体を介して導電接続させてなるこ
   とを特徴とする負荷開閉器。