JP2930124B2 - 規則的分子配向性をもつ化合物薄膜を使用した物質分離膜 - Google Patents
規則的分子配向性をもつ化合物薄膜を使用した物質分離膜Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリフルオロアルキル化合物薄膜の規則性
に優れた分子配向性を利用して、たとえば酸素富化空気
を得ることに使用される物質分離膜に関する。
に優れた分子配向性を利用して、たとえば酸素富化空気
を得ることに使用される物質分離膜に関する。
[従来の技術] 気体から特定のガス成分を選択的に取り出し、そのガ
ス成分の濃度を高めた気体を得るために、選択ガス透過
性を備えた物質分離膜がこれまで種々提案されている。
たとえば、暖房器具,自動車用エンジン,ボイラー等の
燃焼エネルギーを利用した装置においては、この物質分
離膜で酸素濃度が高められた空気を使用すると、不完全
燃焼に起因した環境汚染等の問題が解消されるばかりで
なく、燃焼効率自体も向上する。
ス成分の濃度を高めた気体を得るために、選択ガス透過
性を備えた物質分離膜がこれまで種々提案されている。
たとえば、暖房器具,自動車用エンジン,ボイラー等の
燃焼エネルギーを利用した装置においては、この物質分
離膜で酸素濃度が高められた空気を使用すると、不完全
燃焼に起因した環境汚染等の問題が解消されるばかりで
なく、燃焼効率自体も向上する。
この種の物質分離膜としては、シリコーンゴムが従来
から使用されている。しかし、シリコーンゴムは、選択
透過膜として必要な透過係数が高いものの分離係数が低
い。そこで、透過係数及び分離係数共に優れた膜素材の
開発が行われている。
から使用されている。しかし、シリコーンゴムは、選択
透過膜として必要な透過係数が高いものの分離係数が低
い。そこで、透過係数及び分離係数共に優れた膜素材の
開発が行われている。
また、均質膜中を透過する気体の量は、一般に次式で
表される。
表される。
R=(P×Δp×A)/ ただし、Rは気体の透過速度[cc(STP)/秒],Pは
気体の透過係数[cc(STP)・cm/cm2・秒・cmHg],Δ
pは膜の両側の分圧差[cmHg],Aは膜面積[cm2],
は膜厚[cm]を示す。
気体の透過係数[cc(STP)・cm/cm2・秒・cmHg],Δ
pは膜の両側の分圧差[cmHg],Aは膜面積[cm2],
は膜厚[cm]を示す。
したがって、透過膜の膜厚を極限まで薄くすること
により、膜素材の透過係数Pが同じであっても、透過速
度Rを大きくすることができる。そこで、透過係数がほ
どほどであっても、分離係数が高く且つ超薄膜に形成し
易い性質をもつ膜素材の開発が行われており、また、超
薄膜の作製方法が検討されている。
により、膜素材の透過係数Pが同じであっても、透過速
度Rを大きくすることができる。そこで、透過係数がほ
どほどであっても、分離係数が高く且つ超薄膜に形成し
易い性質をもつ膜素材の開発が行われており、また、超
薄膜の作製方法が検討されている。
たとえば、水面キャスト法によって作製した有機ポリ
マーの超薄膜を多孔質支持体で担持した気体分離膜が特
開昭57−71605号公報,特開昭51−89564号公報等で紹介
されている。また、特開昭62−74406号公報では、ポリ
アミン化合物とシロキサン含有イソシアネート化合物か
ら界面反応によって多孔質支持体上に形成させた選択性
透過薄膜が提案されている。
マーの超薄膜を多孔質支持体で担持した気体分離膜が特
開昭57−71605号公報,特開昭51−89564号公報等で紹介
されている。また、特開昭62−74406号公報では、ポリ
アミン化合物とシロキサン含有イソシアネート化合物か
ら界面反応によって多孔質支持体上に形成させた選択性
透過薄膜が提案されている。
[発明が解決しようとする課題] ところが、従来の気体分離膜において、支持体上に活
性層として形成された薄膜は、最も薄いものでも0.1μ
m程度が実際的な限界である。これ以上薄い薄膜を従来
の製膜方法により作製しようとすると、薄膜の機械的な
強度が極端に低下するため、薄膜としての形状を保持で
きなくなる。また、均一な膜厚をもった薄膜を得ること
が困難になり、作製された薄膜がピンホール等の欠陥を
含むものとなる。仮に、製膜方法の改善によって精度よ
く薄膜を作製することができたとしても、従来の材料で
は分子配向が不規則であるため、分子レベルの厚みにま
で薄膜化したとき、膜の形状を維持して安定に存在する
ことを期待できない。
性層として形成された薄膜は、最も薄いものでも0.1μ
m程度が実際的な限界である。これ以上薄い薄膜を従来
の製膜方法により作製しようとすると、薄膜の機械的な
強度が極端に低下するため、薄膜としての形状を保持で
きなくなる。また、均一な膜厚をもった薄膜を得ること
が困難になり、作製された薄膜がピンホール等の欠陥を
含むものとなる。仮に、製膜方法の改善によって精度よ
く薄膜を作製することができたとしても、従来の材料で
は分子配向が不規則であるため、分子レベルの厚みにま
で薄膜化したとき、膜の形状を維持して安定に存在する
ことを期待できない。
一方、ある種の両親媒性化合物は、規則的な分子配向
をとることで、単分子膜や二分子膜として自己組織的に
形成され、安定に存在することが知られている。たとえ
ば、生体脂質は、その代表的なものであり、機能性蛋白
等を含む二分子膜を形成して、生体内で高度な選択透過
機能を担っている。また、人工的に細孔内に形成された
脂質二分子膜が水溶液中の溶質に対して選択透過性を示
すことも知られている。これらの薄膜においては、分子
自体が持つ膜形成能によって機械的な強度不足や製膜に
おける精度的限界等の問題が克服されているといえる。
をとることで、単分子膜や二分子膜として自己組織的に
形成され、安定に存在することが知られている。たとえ
ば、生体脂質は、その代表的なものであり、機能性蛋白
等を含む二分子膜を形成して、生体内で高度な選択透過
機能を担っている。また、人工的に細孔内に形成された
脂質二分子膜が水溶液中の溶質に対して選択透過性を示
すことも知られている。これらの薄膜においては、分子
自体が持つ膜形成能によって機械的な強度不足や製膜に
おける精度的限界等の問題が克服されているといえる。
そこで、生体脂質類似化合物で気体に対して選択透過
性が高い物質、たとえば酸素透過性の高いジエタノール
アミン型ポリフロオロ化合物を使用し、これを有機超薄
膜形成法の一つであるLB法によって多孔質支持体上に形
成することにより、高速透過性の酸素分離膜が得られる
[Polym.J.,Vol.19,No.2,p289(1987)及び高分子論文
集Vol.43,No.11,p761(1986)参照]。
性が高い物質、たとえば酸素透過性の高いジエタノール
アミン型ポリフロオロ化合物を使用し、これを有機超薄
膜形成法の一つであるLB法によって多孔質支持体上に形
成することにより、高速透過性の酸素分離膜が得られる
[Polym.J.,Vol.19,No.2,p289(1987)及び高分子論文
集Vol.43,No.11,p761(1986)参照]。
しかしながら、この種の化合物から作製されたLB膜
は、単分子層レベルでは分離膜として機能し得る均一性
に不足し、実用上十分な酸素分離機能を発揮させるため
には76分子層程度を累積することが必要とされる。その
ため、従来の薄膜化の限界を超えるには至っていない。
LB膜は、一般に結晶性が高く、単結晶の無欠陥膜を作製
する手法も検討されている。しかし、この手法は未だ技
術的に確立されていないことから、通常は多くの欠陥を
含む微結晶ドメインの集合体となっている。このような
欠陥は、気体に対してピンホールとなり易い。また、気
体は高密度の結晶中をほとんど透過し得ないことから、
主に欠陥中を気体が通過することになり、選択透過が行
われなくなる。
は、単分子層レベルでは分離膜として機能し得る均一性
に不足し、実用上十分な酸素分離機能を発揮させるため
には76分子層程度を累積することが必要とされる。その
ため、従来の薄膜化の限界を超えるには至っていない。
LB膜は、一般に結晶性が高く、単結晶の無欠陥膜を作製
する手法も検討されている。しかし、この手法は未だ技
術的に確立されていないことから、通常は多くの欠陥を
含む微結晶ドメインの集合体となっている。このような
欠陥は、気体に対してピンホールとなり易い。また、気
体は高密度の結晶中をほとんど透過し得ないことから、
主に欠陥中を気体が通過することになり、選択透過が行
われなくなる。
すなわち、従来の生体脂質類似化合物を用いた気体分
離膜では、生体二分子膜にみられる高度の自己組織性を
もつ状態になっていないので、膜に欠陥が生じ易く、こ
の欠陥を補うために少なくとも50層以上の多層累積が必
要とされる。その結果、膜厚の増加が避けられない。
離膜では、生体二分子膜にみられる高度の自己組織性を
もつ状態になっていないので、膜に欠陥が生じ易く、こ
の欠陥を補うために少なくとも50層以上の多層累積が必
要とされる。その結果、膜厚の増加が避けられない。
そこで、本発明は、このような問題を解消すべく案出
されたものであり、自己組織的な膜形成能が極めて高い
ポリフルオロアルキル化合物を使用することにより、欠
陥のない均質な分子膜の形成を容易にすると共に、1〜
50分子層をもつ極めて薄く、且つ透過係数及び分離係数
にも優れた物質分離膜を提供することを目的とする。
されたものであり、自己組織的な膜形成能が極めて高い
ポリフルオロアルキル化合物を使用することにより、欠
陥のない均質な分子膜の形成を容易にすると共に、1〜
50分子層をもつ極めて薄く、且つ透過係数及び分離係数
にも優れた物質分離膜を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明の分離膜は、その目的を達成するため、次の一
般式で表されるポリフルオロ化合物から作製された選択
製化合物薄膜を活性層とし、この活性層を多孔質支持体
に担持させたものである。
般式で表されるポリフルオロ化合物から作製された選択
製化合物薄膜を活性層とし、この活性層を多孔質支持体
に担持させたものである。
2(R−X−Q−Y また、上記一般式におけるコネクターQとしては、グ
ルタミン酸残基を有する次の化合物が特に好ましい。
ルタミン酸残基を有する次の化合物が特に好ましい。
グルタミン酸に変わるコネクターとしては、アスパラ
ギン酸,ジエタノールアミン,等が掲げられる。
ギン酸,ジエタノールアミン,等が掲げられる。
この物質分離膜における活性層は、自己組織的に単分
子膜として形成される。或いは、より厚い膜が目的に叶
う場合には、単分子層の積層膜として形成することも出
来る。
子膜として形成される。或いは、より厚い膜が目的に叶
う場合には、単分子層の積層膜として形成することも出
来る。
製膜の方法としては、LB法,吸着法等が採用される。
しかし、キャスト法,水面キャスト法,界面反応法,蒸
着法等の何れかの方法によって、薄膜を作製することも
出来る。
しかし、キャスト法,水面キャスト法,界面反応法,蒸
着法等の何れかの方法によって、薄膜を作製することも
出来る。
多孔質支持体は、活性層を力学的に支持して補強する
ものである限り、特にその材質が限定されるものではな
い。この支持体の基材としては、たとえばガラス,金
属,セラミックス等の無機材料や、セルロース誘導体,
ポリスチレン,ビニルブチラール.ポリスルホン,ポリ
塩化ビニル,ポリエステル,ポリアミド,ポリカーボネ
ート等の有機ポリマー材料が掲げられる。なかでも、表
面の孔の大きさが10〜100Å程度で且つ有効空孔面積が
大きなもの、また内部の空隙率が高い非対称構造を持つ
ものを使用することが好ましい。すなわち、表面に分子
レベルの大きさの空孔をもち、しかも透過度のなるべく
大きなものが好適な基材である。しかし、使用する基材
がこれに限定されるものではない。活性層の膜強度が許
す限り、孔の大きさは更に大きくても良い。また、透過
度についても、最終的な膜の用途に応じて十分なもので
あればよい。
ものである限り、特にその材質が限定されるものではな
い。この支持体の基材としては、たとえばガラス,金
属,セラミックス等の無機材料や、セルロース誘導体,
ポリスチレン,ビニルブチラール.ポリスルホン,ポリ
塩化ビニル,ポリエステル,ポリアミド,ポリカーボネ
ート等の有機ポリマー材料が掲げられる。なかでも、表
面の孔の大きさが10〜100Å程度で且つ有効空孔面積が
大きなもの、また内部の空隙率が高い非対称構造を持つ
ものを使用することが好ましい。すなわち、表面に分子
レベルの大きさの空孔をもち、しかも透過度のなるべく
大きなものが好適な基材である。しかし、使用する基材
がこれに限定されるものではない。活性層の膜強度が許
す限り、孔の大きさは更に大きくても良い。また、透過
度についても、最終的な膜の用途に応じて十分なもので
あればよい。
なお、ポリフルオロアルキル化合物の自己組織性を阻
害しない範囲であれば、膜の力学的強度,化学的強度等
の改善を図るため、また透過物質の移動を促進させるた
め、ポリマー,架橋剤,可塑剤,酸素キャリア,イオン
キャリア等を活性層薄膜に添加混合することも出来る。
害しない範囲であれば、膜の力学的強度,化学的強度等
の改善を図るため、また透過物質の移動を促進させるた
め、ポリマー,架橋剤,可塑剤,酸素キャリア,イオン
キャリア等を活性層薄膜に添加混合することも出来る。
[作用] 本発明で使用するポリフルオロアルキル化合物は、生
体脂質類似化合物として報告されている物質、及び本発
明者等が開発し、すでに特許平2−59019号として出願
している物質である。後者の化合物は、フルオロアルキ
ル基と共に十分な鎖長の炭化水素基を合成脂質の疎水部
に結合させたものである。このように疎水部のフルオロ
カーボン鎖Rとコネクタ部Qとの間に長い炭化水素鎖,
二重結合,三重結合,エーテル結合等を導入することに
よって、本来剛直で結晶性が非常に高いフルオロカーボ
ン鎖に柔軟性を与えることができる。また、長鎖の炭化
水素基は、分子配向性の向上にも寄与する。
体脂質類似化合物として報告されている物質、及び本発
明者等が開発し、すでに特許平2−59019号として出願
している物質である。後者の化合物は、フルオロアルキ
ル基と共に十分な鎖長の炭化水素基を合成脂質の疎水部
に結合させたものである。このように疎水部のフルオロ
カーボン鎖Rとコネクタ部Qとの間に長い炭化水素鎖,
二重結合,三重結合,エーテル結合等を導入することに
よって、本来剛直で結晶性が非常に高いフルオロカーボ
ン鎖に柔軟性を与えることができる。また、長鎖の炭化
水素基は、分子配向性の向上にも寄与する。
疎水部のフルオロカーボン鎖とコネクタ部との間に導
入される基の選択は、脂質におけるフルオロカーボン鎖
長と親水基の種類,膜への添加物,支持基板の材質,透
過物質の種類や温度等の使用条件等により変化する膜の
結晶性等を考慮して行われる。たとえば、柔軟性が高過
ぎる場合には、液膜化して自己支持性が低下するので、
好ましい薄膜が得られない。
入される基の選択は、脂質におけるフルオロカーボン鎖
長と親水基の種類,膜への添加物,支持基板の材質,透
過物質の種類や温度等の使用条件等により変化する膜の
結晶性等を考慮して行われる。たとえば、柔軟性が高過
ぎる場合には、液膜化して自己支持性が低下するので、
好ましい薄膜が得られない。
導入された炭化水素基による柔軟性の調節によって、
膜の欠陥形成が防止される。そのため、本物質を使用し
て1〜50層の極めて少ない分子層に累積した超薄膜を作
製したとき、得られた化合物薄膜は、自己組織性及び自
己支持性が高く、ピンホール等の欠陥をもたないものと
なる。そのため、優れた透過性及び分離性を呈し、しか
も取扱いが容易なものとなる。
膜の欠陥形成が防止される。そのため、本物質を使用し
て1〜50層の極めて少ない分子層に累積した超薄膜を作
製したとき、得られた化合物薄膜は、自己組織性及び自
己支持性が高く、ピンホール等の欠陥をもたないものと
なる。そのため、優れた透過性及び分離性を呈し、しか
も取扱いが容易なものとなる。
この化合物は、次のようにして合成される。
先ず、2当量のアルコールR−X−OH(I)とLグル
タミン酸とをp−トルエンスルホン酸,硫酸等の触媒の
存在下で加熱脱水縮合させることにより、L−グルタミ
ン酸ジエステル(II)を得る。この反応においては、ト
ルエン,ベンゼン,1,2−ジメトキシエタン,クロロベン
ゼン等の不活性溶媒中、反応温度60〜170℃、好ましく
は70〜120℃程度の反応雰囲気を維持することが望まし
い。
タミン酸とをp−トルエンスルホン酸,硫酸等の触媒の
存在下で加熱脱水縮合させることにより、L−グルタミ
ン酸ジエステル(II)を得る。この反応においては、ト
ルエン,ベンゼン,1,2−ジメトキシエタン,クロロベン
ゼン等の不活性溶媒中、反応温度60〜170℃、好ましく
は70〜120℃程度の反応雰囲気を維持することが望まし
い。
次に、化合物(II)の−NH2基の活性水素を各種の親
水基Yに転化することによって、目的とするポリフルオ
ロ化合物が容易に合成される。親水基Yとして採用され
る置換基としては、第4級アンモニウム塩等のカチオン
系,カルボン酸等のアニオン系,ポリエチレンオキサイ
ド等のノニオン系,或いはベタイン型のような両性のも
の等の広範囲にわたる置換基が掲げられる。この場合の
転化反応としては、特に限定されるものではなく様々な
手段が採用される。たとえば、次のような合成ルートを
例示することができる。ただし、Aは、p−トルエンス
ルホナートイオン,硫酸イオン等を示す。
水基Yに転化することによって、目的とするポリフルオ
ロ化合物が容易に合成される。親水基Yとして採用され
る置換基としては、第4級アンモニウム塩等のカチオン
系,カルボン酸等のアニオン系,ポリエチレンオキサイ
ド等のノニオン系,或いはベタイン型のような両性のも
の等の広範囲にわたる置換基が掲げられる。この場合の
転化反応としては、特に限定されるものではなく様々な
手段が採用される。たとえば、次のような合成ルートを
例示することができる。ただし、Aは、p−トルエンス
ルホナートイオン,硫酸イオン等を示す。
本発明の化合物の具体例としては、第1表に列挙した
ものがある。これらの化合物は、NMRスペクトル,元素
分析等によって確認されている。しかし、第1表は化合
物の具体例を示したものであって、本発明を限定するも
のでないことは勿論である。
ものがある。これらの化合物は、NMRスペクトル,元素
分析等によって確認されている。しかし、第1表は化合
物の具体例を示したものであって、本発明を限定するも
のでないことは勿論である。
次に、本発明の化合物を用いて薄膜を製造する場合、
化合物薄膜における均質膜形成能は化合物の分子構造に
由来する自発的なものであるから、採用した製膜法によ
って膜形成能が本質的に影響されることはない。この点
で、各種製膜法から、目的に応じた方法を採用すること
が好ましい。
化合物薄膜における均質膜形成能は化合物の分子構造に
由来する自発的なものであるから、採用した製膜法によ
って膜形成能が本質的に影響されることはない。この点
で、各種製膜法から、目的に応じた方法を採用すること
が好ましい。
たとえば、LB法は、薄膜の厚さ,分子層数,成分比
率,密度等の精密な制御が可能である利点を備えてい
る。しかし、製膜可能な化合物が得られる。この点、本
発明で使用しているポリフルオロ化合物は、LB法による
製膜材料としても適している。すなわち、適当な溶媒を
使用してポリフルオロ化合物をLB法トラフ中の純水上に
展開した後、テフロンバー等で二次元的に圧縮すると、
分子が規則的に配列した安定な単分子膜が水面に形成さ
れる。この水面単分子膜を一層ずつ支持基板上に移し取
ることにより、1〜50層のLB累積膜が得られる。
率,密度等の精密な制御が可能である利点を備えてい
る。しかし、製膜可能な化合物が得られる。この点、本
発明で使用しているポリフルオロ化合物は、LB法による
製膜材料としても適している。すなわち、適当な溶媒を
使用してポリフルオロ化合物をLB法トラフ中の純水上に
展開した後、テフロンバー等で二次元的に圧縮すると、
分子が規則的に配列した安定な単分子膜が水面に形成さ
れる。この水面単分子膜を一層ずつ支持基板上に移し取
ることにより、1〜50層のLB累積膜が得られる。
第1表の化合物1,12等のイオン性の親水基を有する物
質においては、逆の電荷を有する多価のイオン性物質と
塩形成させることにより、更に分子膜の安定性を増すこ
とができる。LB法においては、予め本発明の脂質化合物
と塩形成を行ったものを水面上に展開してもよく、或い
は過剰量のイオン性物質を溶解させた水面上に脂質化合
物を展開して塩形成を行うことも可能である。
質においては、逆の電荷を有する多価のイオン性物質と
塩形成させることにより、更に分子膜の安定性を増すこ
とができる。LB法においては、予め本発明の脂質化合物
と塩形成を行ったものを水面上に展開してもよく、或い
は過剰量のイオン性物質を溶解させた水面上に脂質化合
物を展開して塩形成を行うことも可能である。
イオン性物質としては、Cd2+,Ca2+,Ba2+,Mg2+,A3+
等の無機イオンや、カルボキシメチルセルロース,アル
ギン酸,ペクチン酸,ポリビニルスルホン酸,ポリスチ
レンスルホン酸,ヘパリン等のイオン性高分子等から選
択される。これらイオン性物質の二種以上を組合せて使
用することも出来る。たとえば、好ましい組合せとし
て、化合物12とアルギン酸が一例として掲げられる。
等の無機イオンや、カルボキシメチルセルロース,アル
ギン酸,ペクチン酸,ポリビニルスルホン酸,ポリスチ
レンスルホン酸,ヘパリン等のイオン性高分子等から選
択される。これらイオン性物質の二種以上を組合せて使
用することも出来る。たとえば、好ましい組合せとし
て、化合物12とアルギン酸が一例として掲げられる。
更に、膜の用途によって、物質キャリア等の特定の物
質を混合することが好ましい場合がある。本発明で使用
するポリフルオロ化合物は、極めて高い自己組織的な膜
形成能をもっているので、混合膜となっても分子配向性
が高い安定な単分子膜を形成することができる。たとえ
ば、サレンとコバルトとの錯体であるサルコミンのピリ
ジン配位物は、高い酸素親和性を有することが知られて
いるが、これとポリフルオロ化合物とを水面上に混合展
開することによって、安定な単分子膜を得ることができ
る。
質を混合することが好ましい場合がある。本発明で使用
するポリフルオロ化合物は、極めて高い自己組織的な膜
形成能をもっているので、混合膜となっても分子配向性
が高い安定な単分子膜を形成することができる。たとえ
ば、サレンとコバルトとの錯体であるサルコミンのピリ
ジン配位物は、高い酸素親和性を有することが知られて
いるが、これとポリフルオロ化合物とを水面上に混合展
開することによって、安定な単分子膜を得ることができ
る。
このように本発明の脂質化合物を特定の物質と組み合
わせる場合、膜の結晶性が変化する。LB法においては、
この結晶性の変化は、水面単分子膜の二次元的な圧縮過
程における膨張・凝縮挙動に反映されるので、容易に感
知される。したがって、適切な結晶性を有し、欠陥が発
生していない膜を調製することが容易となる。たとえ
ば、水面単分子膜の凝縮性が高過ぎる場合には、より柔
軟性の高い化合物を使用する。逆に膨張性が高過ぎる場
合には、より結晶性の高い剛直な化合物を使用する。こ
の調整は、脂質化合物の疎水部のフルオロカーボン鎖と
コネクタ部との間の導入基によって行えるため、膜の他
の構成部分の自由度に影響を与えることがない。たとえ
ば、第1表の化合物2,9,13,10において、炭化水素基の
長鎖化,二重結合の導入,エーテル結合の導入等によ
り、順に水面単分子膜の膨張性が高められる。
わせる場合、膜の結晶性が変化する。LB法においては、
この結晶性の変化は、水面単分子膜の二次元的な圧縮過
程における膨張・凝縮挙動に反映されるので、容易に感
知される。したがって、適切な結晶性を有し、欠陥が発
生していない膜を調製することが容易となる。たとえ
ば、水面単分子膜の凝縮性が高過ぎる場合には、より柔
軟性の高い化合物を使用する。逆に膨張性が高過ぎる場
合には、より結晶性の高い剛直な化合物を使用する。こ
の調整は、脂質化合物の疎水部のフルオロカーボン鎖と
コネクタ部との間の導入基によって行えるため、膜の他
の構成部分の自由度に影響を与えることがない。たとえ
ば、第1表の化合物2,9,13,10において、炭化水素基の
長鎖化,二重結合の導入,エーテル結合の導入等によ
り、順に水面単分子膜の膨張性が高められる。
薄膜生成方法として吸着法を採用した場合、特殊な装
置や技術を必要とすることなく、極めて容易に且つ短時
間で単分子膜を支持基板上に形成することができる。そ
のため、吸着法は、実用上の利点が大きな製膜法であ
る。また、本発明のポリフルオロ化合物は、自己組織性
が高く且つ自発的な膜形成能をもっていることから、こ
の吸着法に適した物質であるといえる。すなわち、ポリ
フルオロ化合物の希薄溶液に基板を10〜1000秒浸漬する
だけの操作によって、自発的に規則配列した吸着単分子
膜を形成することができる。
置や技術を必要とすることなく、極めて容易に且つ短時
間で単分子膜を支持基板上に形成することができる。そ
のため、吸着法は、実用上の利点が大きな製膜法であ
る。また、本発明のポリフルオロ化合物は、自己組織性
が高く且つ自発的な膜形成能をもっていることから、こ
の吸着法に適した物質であるといえる。すなわち、ポリ
フルオロ化合物の希薄溶液に基板を10〜1000秒浸漬する
だけの操作によって、自発的に規則配列した吸着単分子
膜を形成することができる。
更に、本発明のポリフルオロ化合物がキャスト法にも
適した物質であることは、特願平1−309923号及び特願
平2−59019号で説明されている通りである。そして、L
B膜に類似した分子積層膜が容易に得られるため、実用
性の上で極めて有利である。
適した物質であることは、特願平1−309923号及び特願
平2−59019号で説明されている通りである。そして、L
B膜に類似した分子積層膜が容易に得られるため、実用
性の上で極めて有利である。
本発明に従って得られた薄膜は、その優れた透過特性
を利用して、各種の物質の分離に使用される。特に、フ
ルオロカーボンが酸素親和性をもつものであるので、空
気中の酸素を濃縮する装置に組み込み、燃焼炉,エンジ
ン等の燃焼効率を向上させたり、呼吸器疾患患者の治療
器として用いられる。また、水素,一酸化炭素,二酸化
炭素,二酸化イオウ等のガス分離に使用することも可能
である。或いは、溶液中の物質分離も可能である。しか
も、分離物質や使用環境に応じ膜に添加される添加物質
を自由に選択することができるため、得られた薄膜の用
途は広く、また有用性が極めて大きい。
を利用して、各種の物質の分離に使用される。特に、フ
ルオロカーボンが酸素親和性をもつものであるので、空
気中の酸素を濃縮する装置に組み込み、燃焼炉,エンジ
ン等の燃焼効率を向上させたり、呼吸器疾患患者の治療
器として用いられる。また、水素,一酸化炭素,二酸化
炭素,二酸化イオウ等のガス分離に使用することも可能
である。或いは、溶液中の物質分離も可能である。しか
も、分離物質や使用環境に応じ膜に添加される添加物質
を自由に選択することができるため、得られた薄膜の用
途は広く、また有用性が極めて大きい。
[実施例] 以下、実施例によって、本発明を具体的に説明する。
実施例1(LB累積膜) 化合物12を、次のように合成した。
C10F21CH=CH(CH2)9OH 26.7g,L−グルタミン酸2.2
g,p−トルエンスルホン酸・水和物3.9g,トルエン300ml
を500ml容積のナスフラスコに入れ、7時間加熱還流
下、Dean−Stark trapを用いて水をトルエンと共沸さ
せた。室温まで放冷した後、固形物を濾別し、トルエン
で洗浄した。そして、エタノールから再結晶し13.4gの
ジエステル体を得た。
g,p−トルエンスルホン酸・水和物3.9g,トルエン300ml
を500ml容積のナスフラスコに入れ、7時間加熱還流
下、Dean−Stark trapを用いて水をトルエンと共沸さ
せた。室温まで放冷した後、固形物を濾別し、トルエン
で洗浄した。そして、エタノールから再結晶し13.4gの
ジエステル体を得た。
200ml容積のナスフラスコにジエステル体3.0g,テトラ
ヒドロフラン100mlを入れて、撹拌しながらトリエチル
アミン0.8gを加えた。氷冷下、5−ブロモペンタノイル
クロリド1.0gのテトラヒドロフラン溶液20mlを20分かけ
て滴下した。一夜、撹拌の後、溶媒を留去し、残渣をジ
エチルエーテルに溶解し、水洗した。その後、無水硫酸
ナトリウムによって乾燥した。ジエチルエーテルを留去
し、残渣をn−ヘキサンから再結晶させアミド体を1.2g
を得た。
ヒドロフラン100mlを入れて、撹拌しながらトリエチル
アミン0.8gを加えた。氷冷下、5−ブロモペンタノイル
クロリド1.0gのテトラヒドロフラン溶液20mlを20分かけ
て滴下した。一夜、撹拌の後、溶媒を留去し、残渣をジ
エチルエーテルに溶解し、水洗した。その後、無水硫酸
ナトリウムによって乾燥した。ジエチルエーテルを留去
し、残渣をn−ヘキサンから再結晶させアミド体を1.2g
を得た。
200ml容積のナスフラスコにテトラヒドロフラン100ml
を入れ、アミド体1.2gを溶解し、撹拌しながらトリメチ
ルアミンガス3gを吹き込んだ。密栓をして6日間撹拌の
後、溶媒を留去し、残渣をエタノールから再結晶させて
化合物12を1.0g得た。
を入れ、アミド体1.2gを溶解し、撹拌しながらトリメチ
ルアミンガス3gを吹き込んだ。密栓をして6日間撹拌の
後、溶媒を留去し、残渣をエタノールから再結晶させて
化合物12を1.0g得た。
他の脂質化合物1〜11及び13〜21も、同様にして合成
した。
した。
次に、化合物12の多層累積膜を、次の手順でLB法によ
って作製した。
って作製した。
化合物12の10mgをベンゼン9部,エタノール1部の混
合溶媒10mlに溶解させることにより、展開溶液を調製し
た。この溶液0.150mlを、20℃に保ったラングミュアト
ラフ中のアルギン酸ナトリウム希薄水溶液上に展開し、
10分間放置して溶媒を蒸発させた後、表面圧30mN/mまで
圧縮し、化合物12のアルギン酸塩の安定な水面単分子膜
を形成させた。
合溶媒10mlに溶解させることにより、展開溶液を調製し
た。この溶液0.150mlを、20℃に保ったラングミュアト
ラフ中のアルギン酸ナトリウム希薄水溶液上に展開し、
10分間放置して溶媒を蒸発させた後、表面圧30mN/mまで
圧縮し、化合物12のアルギン酸塩の安定な水面単分子膜
を形成させた。
次いで、テフロン板に固定したポリカーボネート多孔
質膜(孔径0.015μm)上に垂直浸漬法によってZ型25
層の分子膜を積層した。
質膜(孔径0.015μm)上に垂直浸漬法によってZ型25
層の分子膜を積層した。
得られた分子膜の25℃における気体透過特性を測定し
たところ、酸素透過速度が有効孔面積換算で1.0×10-3c
c/cm2・秒・cmHg,酸素と窒素の選択性が酸素透過速度/
窒素透過速度で2.5であった。
たところ、酸素透過速度が有効孔面積換算で1.0×10-3c
c/cm2・秒・cmHg,酸素と窒素の選択性が酸素透過速度/
窒素透過速度で2.5であった。
実施例2〜4(LB単分子膜) 化合物12の単分子層積層膜を、次の手順でLB法によっ
て作製した。
て作製した。
テフロン板に固定したポリカーボネート多孔膜(孔径
0.015μm)上に真空蒸着法によって膜厚200Åのアルミ
ニウムを積層し、表面を平坦化した。
0.015μm)上に真空蒸着法によって膜厚200Åのアルミ
ニウムを積層し、表面を平坦化した。
次に、実施例1と同様に、ラングミュアトラフ中のア
ルギン酸ナトリウム希薄水溶液上に、化合物12の安定な
単分子膜を形成した。次いで、上記の多孔膜上に、垂直
浸漬法によって化合物12の単分子膜を一層だけ積層し
た。
ルギン酸ナトリウム希薄水溶液上に、化合物12の安定な
単分子膜を形成した。次いで、上記の多孔膜上に、垂直
浸漬法によって化合物12の単分子膜を一層だけ積層し
た。
得られた分子膜の25℃における気体透過特性を測定し
たところ、酸素透過速度が有効孔面積換算で2.1×10-2c
c/cm2・秒・cmHg,酸素と窒素の選択透過性は酸素透過速
度/窒素透過速度で3.2であった。
たところ、酸素透過速度が有効孔面積換算で2.1×10-2c
c/cm2・秒・cmHg,酸素と窒素の選択透過性は酸素透過速
度/窒素透過速度で3.2であった。
以下、第2表に掲げた化合物を用いて同様の操作によ
り、LB単分子膜を作製した。気体分離性能の測定結果
を、カルボキシメチルセルロースを付加物として使用し
た比較例Cfと共に第2表に示す。なお、第2表における
膜分離性能のうち、酸素透過速度RO2は25℃で測定した
値[cc/cm2・秒・cmHg×10-3]で表し、選択性は酸素透
過速度と窒素透過速度との比で表した。また、付加物の
うち、PSSはポリスチレンスルホン酸を示し、CMCはカル
ボキシメチルセルロースを示す。
り、LB単分子膜を作製した。気体分離性能の測定結果
を、カルボキシメチルセルロースを付加物として使用し
た比較例Cfと共に第2表に示す。なお、第2表における
膜分離性能のうち、酸素透過速度RO2は25℃で測定した
値[cc/cm2・秒・cmHg×10-3]で表し、選択性は酸素透
過速度と窒素透過速度との比で表した。また、付加物の
うち、PSSはポリスチレンスルホン酸を示し、CMCはカル
ボキシメチルセルロースを示す。
第2表から明らかなように、本実施例の薄膜2〜4
は、極限的な膜厚を持つものであるため、酸素透過速度
が極めて高く、実施例1と比較しても更に約20倍ほど高
い値を示している。また、選択性も優れていることか
ら、単分子膜であるにも拘らず、ほとんどピンホール等
の欠陥を生じていない薄膜が得られていることが判か
る。このような長所は、使用する化合物の高い自己組織
的な分子膜形成能に由来するものである。
は、極限的な膜厚を持つものであるため、酸素透過速度
が極めて高く、実施例1と比較しても更に約20倍ほど高
い値を示している。また、選択性も優れていることか
ら、単分子膜であるにも拘らず、ほとんどピンホール等
の欠陥を生じていない薄膜が得られていることが判か
る。このような長所は、使用する化合物の高い自己組織
的な分子膜形成能に由来するものである。
また、実施例3においては、十分に長い炭化水素鎖及
び二重結合を化合物12に導入していることによって、柔
軟性が付与され、且つ分子配向性が向上している。その
ため、何らの付加物や添加物を加える必要なく、良好な
透過特性を呈する薄膜となっている。
び二重結合を化合物12に導入していることによって、柔
軟性が付与され、且つ分子配向性が向上している。その
ため、何らの付加物や添加物を加える必要なく、良好な
透過特性を呈する薄膜となっている。
これに対し、短い炭化水素鎖を導入した化合物1で
は、比較例Cfに示されるように選択性を全く示さない場
合がある。これは、使用した化合物の結晶性が高過ぎ、
膜に多数の欠陥が生じていることに由来する。
は、比較例Cfに示されるように選択性を全く示さない場
合がある。これは、使用した化合物の結晶性が高過ぎ、
膜に多数の欠陥が生じていることに由来する。
しかし、化合物1とポリスチレンスルホン酸とを組合
せて使用するとき、水面単分子膜の膨張挙動から膜の結
晶性が低下していることが推測される。実施例4は、こ
の推測を裏付けるものであって、短い炭化水素鎖を導入
した化合物を脂質として使用しているにも拘らず、良好
な透過特性をもつ薄膜が得られている。
せて使用するとき、水面単分子膜の膨張挙動から膜の結
晶性が低下していることが推測される。実施例4は、こ
の推測を裏付けるものであって、短い炭化水素鎖を導入
した化合物を脂質として使用しているにも拘らず、良好
な透過特性をもつ薄膜が得られている。
なお、比較例の組合せで実施例1と同様に累積膜を作
製して気体透過性を測定したところ、20分子層では酸素
と窒素の選択性を示さず、50分子層で1.8の選択性を示
した。
製して気体透過性を測定したところ、20分子層では酸素
と窒素の選択性を示さず、50分子層で1.8の選択性を示
した。
実施例5(混合膜) 化合物2の10mgを、サルコミン及びポリビニルピリジ
ンそれぞれ1/2等量と共に、ベンゼン3部及びメタノー
ル2部の混合溶液10mlに溶解して、展開溶液を調製し
た。この溶液0.15mlをラングミュアトラフ中のカルボキ
シメチルセルロース希薄水溶液上に展開し、10分間放置
して溶媒を蒸発させた後、表面圧30mN/mまで圧縮し、安
定な水面単分子膜を形成させた。
ンそれぞれ1/2等量と共に、ベンゼン3部及びメタノー
ル2部の混合溶液10mlに溶解して、展開溶液を調製し
た。この溶液0.15mlをラングミュアトラフ中のカルボキ
シメチルセルロース希薄水溶液上に展開し、10分間放置
して溶媒を蒸発させた後、表面圧30mN/mまで圧縮し、安
定な水面単分子膜を形成させた。
次いで、実施例1と同様に垂直浸漬法によってY型20
層の分子膜を積層した。得られた薄膜の25℃における気
体透過特性を特定したところ、酸素透過速度は有効孔面
積換算で9.1×10-4cc/cm2・秒・cmHg,酸素と窒素との選
択透過性は酸素透過速度/窒素透過速度で2.7であっ
た。
層の分子膜を積層した。得られた薄膜の25℃における気
体透過特性を特定したところ、酸素透過速度は有効孔面
積換算で9.1×10-4cc/cm2・秒・cmHg,酸素と窒素との選
択透過性は酸素透過速度/窒素透過速度で2.7であっ
た。
また、実施例2と同様に垂直浸漬法によって単分子膜
一層を積層し、25℃での気体透過特性を測定したとこ
ろ、酸素透過速度は有効孔面積換算で1.9×10-2cc/cm2
・秒・cmHg,酸素と窒素の選択性は1.8であった。
一層を積層し、25℃での気体透過特性を測定したとこ
ろ、酸素透過速度は有効孔面積換算で1.9×10-2cc/cm2
・秒・cmHg,酸素と窒素の選択性は1.8であった。
実施例6(吸着法単分子膜) 化合物12から、次の手順で吸着法によって単分子層積
層膜を作製した。
層膜を作製した。
テフロン板に固定したポリカーボネート多孔膜(孔径
0.015μm)上に真空蒸着法によって膜厚200Åのアルミ
ニウムを積層し、表面を平坦化した。次いで、化合物12
の1mgをn−ヘキサデカン9部、1,1,2−トリクロロ−1,
2,2トリフルオロエタン1部の混合溶媒5mlに溶解して、
希薄溶液を調製した。この溶液に上記の多孔膜を1分間
浸漬した後、引き上げ、80℃で30分間の加熱乾燥を行っ
た。
0.015μm)上に真空蒸着法によって膜厚200Åのアルミ
ニウムを積層し、表面を平坦化した。次いで、化合物12
の1mgをn−ヘキサデカン9部、1,1,2−トリクロロ−1,
2,2トリフルオロエタン1部の混合溶媒5mlに溶解して、
希薄溶液を調製した。この溶液に上記の多孔膜を1分間
浸漬した後、引き上げ、80℃で30分間の加熱乾燥を行っ
た。
得られた単分子吸着膜の25℃における気体透過特性を
測定したところ、酸素透過速度は有効孔面積換算で1.6
×10-2cc/cm2・秒・cmHg,酸素と窒素の選択性は2.7であ
った。
測定したところ、酸素透過速度は有効孔面積換算で1.6
×10-2cc/cm2・秒・cmHg,酸素と窒素の選択性は2.7であ
った。
以上説明したように、本発明においては、合成2分子
膜形成脂質の疎水部として疎水性に優れたフルオロカー
ボン鎖と共に適切な導入基を同時にもつフルオロアルキ
ル化合物から作製された薄膜を選択透過性の活性層とす
ることによって、単分子膜の累積層数を従来の活性薄膜
に比較し大幅に少なくすることができると共に、透過係
数及び分離係数が優れた物質分離膜が得られる。そのた
め、得られた物質分離膜は、優れた特性をもつ高機能薄
膜として、酸素富化,溶質抽出等の各種分野における使
用が期待される。
膜形成脂質の疎水部として疎水性に優れたフルオロカー
ボン鎖と共に適切な導入基を同時にもつフルオロアルキ
ル化合物から作製された薄膜を選択透過性の活性層とす
ることによって、単分子膜の累積層数を従来の活性薄膜
に比較し大幅に少なくすることができると共に、透過係
数及び分離係数が優れた物質分離膜が得られる。そのた
め、得られた物質分離膜は、優れた特性をもつ高機能薄
膜として、酸素富化,溶質抽出等の各種分野における使
用が期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 275/16 C07C 275/16 (72)発明者 伊丹 康雄 福岡県久留米市合川町1567 コーポ岡本 202 (72)発明者 国武 豊喜 福岡県粕屋郡志免町桜丘1―19―3 (56)参考文献 特開 平3−261750(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B01D 71/06 C07C 233/47 C07C 235/12 C07C 235/52 C07C 237/12 C07C 275/16
Claims (2)
- 【請求項1】一般式 2(R−X−Q−Y で表されるポリフルオロ化合物から作製された選択透過
性化合物薄膜と該化合物薄膜を担持する多孔質支持体と
を備えていることを特徴とする規則的分子配向性をもつ
化合物薄膜を使用した物質分離膜。 - 【請求項2】一般式 で表されるポリフルオロ化合物から作製された選択透過
性化合物薄膜と該化合物薄膜を担持する多孔質支持体と
を備えていることを特徴とする規則的分子配向性をもつ
化合物薄膜を使用した物質分離膜。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2174968A JP2930124B2 (ja) | 1990-07-02 | 1990-07-02 | 規則的分子配向性をもつ化合物薄膜を使用した物質分離膜 |
EP91305991A EP0465219A1 (en) | 1990-07-02 | 1991-07-02 | Polyfluoroalkyl compounds, their production and uses |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2174968A JP2930124B2 (ja) | 1990-07-02 | 1990-07-02 | 規則的分子配向性をもつ化合物薄膜を使用した物質分離膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0463120A JPH0463120A (ja) | 1992-02-28 |
JP2930124B2 true JP2930124B2 (ja) | 1999-08-03 |
Family
ID=15987888
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2174968A Expired - Fee Related JP2930124B2 (ja) | 1990-07-02 | 1990-07-02 | 規則的分子配向性をもつ化合物薄膜を使用した物質分離膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2930124B2 (ja) |
-
1990
- 1990-07-02 JP JP2174968A patent/JP2930124B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0463120A (ja) | 1992-02-28 |
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