JP2927839B2 - 燃料供給点火装置及び該装置を利用した内燃機関 - Google Patents

燃料供給点火装置及び該装置を利用した内燃機関

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は成層燃焼方式に適用する燃料の供給点火装置
及びこの燃料の供給点火装置を利用した内燃機関を提供
するものである。
[従来技術] 内燃機関の気筒内に濃混合気層と希薄混合気層を形成
し、濃混合気層に着火した火炎を希薄混合気層に伝播し
て全体として希薄な混合気を燃焼する成層燃焼方式は種
々の方式が提案されている。
この成層燃焼方式を達成する内燃機関の1つとして、
いわゆるMAN−FMと称する機関があり、自動車、内燃機
関の分野において著名な技術文献であるSAE820760及びS
AE690255にMAN−FM方式の機関が説明されている。
このMAN−FM機関では、第18図に示すように、ピスト
ン700のピストンヘツド702の中央部に燃焼室710を形成
したものである。この燃焼室710は球形に近似した形状
をしており、この燃焼室710に向けて燃料噴射ノズル720
と点火プラグ730が設けてある。吸気は燃焼室710内に矢
印Xで示すスワールが発生するように行われ、燃料噴射
ノズル720から燃焼室710の壁面715に向けて燃料が噴射
される。この吸気スワールによつて半径方向に成層化さ
れた混合気が形成される。点火プラグ730は放電時間の
長さ火花の燃焼室710の壁面715に近い部分に形成される
最適混合気層に与え、着火させる。燃焼は燃焼室710の
壁面715からの燃料の蒸発とスワールによる混合気形成
の速度で制御される。
以上のような従来の内燃機関における成層燃焼を達成
する燃料の供給及び点火装置にあつては、燃焼室710内
に激しいスワールが発生するので点火プラグ730に到達
する混合気の空燃比が変動し、点火時期に必ずしも適正
空燃比とはならず、着火不良等の着火性能が不安定とな
る問題がある。また、燃料を燃焼室710の球形の内壁面7
15に向けて噴射し、スワールによつて内壁面715に沿つ
て燃料を引き伸ばすために、燃料膜が形成されてしま
い、未燃焼ガスが発生するために排ガス成分中のHCが多
くなる不具合がある。さらに、高圧の燃料噴射ノズル72
0から燃焼室710の内壁面に燃料を噴射するために、大部
分の燃料が内壁面715に付着してしまい、燃料の微粒化
が悪いといつた問題点もある。
[発明が解決しようとする課題] そこで本発明は内燃機関において良好な成層燃焼を達
成する燃料の供給点火装置であつて、燃料室内の液体燃
料を高エネルギ火花によつて気筒内に噴出させて同時に
点火する成層燃焼方式に適用し得る燃料の供給点火装置
及び内燃機関を提供するものである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、燃焼室(50)と、該燃焼室(50)に隣接し
て配設する燃料室(80)と、該燃料室(80)の垂直上方
位置に形成されて前記燃焼室(50)に向けて開口するキ
ヤビテイ(62)と、前記燃料室(80)の底部に配設され
て該燃料室(80)と燃料供給ライン(7)との連通をス
プリング(74)の力で常時閉じている弁体(72)を有す
る燃料供給弁(70)と、前記燃料室(80)の内部に配設
され適宜の間隙(G)をおいて配置される放電電極(8
2、86)と、燃料を軽量して前記燃料供給ライン(7)
に供給する計量装置(6)と、前記燃料供給弁(70)に
前記燃料供給ライン(7)を介して前記計量して燃料を
圧送して前記燃料室(80)内に燃料を圧入する燃料ポン
プ(4)とを備え、前記放電電極(82、86)を高電圧コ
ード(21)を介して高エネルギ発生装置(20)に連通す
る構成を基本的手段として、この手段を内燃機関に適用
することで新規な内燃機関を構成するものである。
〔作用〕
以上の構成を備えることにより、燃料ポンプ(4)に
より、計量装置(6)で計量した燃料を燃料供給ライン
(7)を介して燃料室(80)内に圧入すると、燃料は計
量された量だけ圧送され、燃料室(80)と燃料供給ライ
ン(7)とをスプリング(74)の力で常時閉じている弁
体(72)をこじあけて圧入され、燃料室(80)の底部か
ら該燃料室(80)の内部に溜る。その時、放電電極(8
2、86)に高電圧コード(21)を介して高エネルギ発生
装置(20)により高エネルギ放電を発生せしめると、こ
の高電圧により放電電極(82、86)の間隙(G)で高エ
ネルギ放電が発生し、該間隙(G)に急激にエネルギが
放出され、周囲の気体を急激に膨張せしめ、この膨張に
より燃料室(80)内の燃料が押し下げられ、燃料室(8
0)内の燃料はキヤビテイ(62)の周壁面に沿って微細
に粉砕されて上方に吹き上げられ、燃焼室(50)内の空
気と混じって微粒子と成って燃焼室(50)内に噴出し、
燃焼室(50)内で全て燃焼する。この際に、燃料室(5
0)内の燃料の間近に放電電極(82、86)が存在するの
で、着火不良等が発生することがない。
なお、上述の( )内の符号は図面と対照するもので
あるが、なんら構成を限定するものではない。
[実施例] 以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
第1図は本発明のシステムを示す説明図であつて、燃
料タンク3内の燃料は燃料ポンプ4とプレツシヤレギユ
レータ5により所定の燃料圧力に調整され、計量装置6
へ送られる。
計量装置5は制御装置であるECU2により制御され、エ
ンジンの状態に応じて供給する燃料量を制御している。
計量された燃料はライン7を介して燃料供給点火装置1
へ送られる。
ECU2は、イグニツシヨンスイツチ11,水温センサ12,バ
キユームセンサ13,スロツトルセンサ14,第1のクランク
角センサ15,第2のクランク角センサ16等からの情報を
受けてエンジンの運転状態を検知し、計量装置6及び高
エネルギ発生装置20へ信号を送つている。
高エネルギ発生装置20は例えば第17図に示す回路構造
を持ち、第1直流電源201から供給される電力はバツフ
アゲート回路203を介して大容量のコンデンサ202(C1
に送られ、所定の電圧に貯えられる。バツフアゲート回
路203はECU2により制御され、ECU2の出力がLレベルで
導通し、Hレベルで非導通となる。一方、別の第2直流
電源208はコンデンサ210(C2)を充電し、ECU2からの信
号がライン205のトリガー回路に投入されるとイグニツ
シヨンコイル206の1次側へ放出される。イグニツシヨ
ンコイル206の2次側に発生する高電圧は大容量コンデ
ンサ202(C1)に貯えられていた電圧とともに高圧コー
ド21を介して燃料供給点火装置1の放電電極へ送られ、
ギヤツプGの絶縁を破壊して高エネルギ放電を発生す
る。
放電電極のギヤツプGを空気中に設ける場合にはライ
ン中にギヤツプを1個設けるが、後述するように放電電
極を燃料中に設ける場合もあり、この際には更に1個の
ギヤツプを空気中に設けてリークを防止する。
第2図及び第3図は本発明の燃料供給点火装置1を水
平対向型のエンジン30に実施した場合を示しており、シ
リンダブロツク31内には水平方向に摺動するピストン36
が挿入され、コンロツド34を介してクランクシヤフト32
に連接されている。ピストンヘツド38に対向してシリン
ダヘツド40がとりつけられ、シリンダヘツド40には吸気
孔42や吸気バルブ46が配設され、ピストンヘツド38との
間に燃焼室50が形成される。シリンダブロツク31とシリ
ンダヘツド40の間にはシリンダヘツドの一部を構成する
基板52を挿入し、この基板52内に燃料供給点火装置1を
装着する。
第3図は燃料供給点火装置1の構成を示しており、燃
料供給点火装置1は基板52に設けた孔に嵌装される基材
60を備えている。この基材60はセラミツク等の耐熱性か
つ絶縁性をもつ部材で構成され、燃焼室50へ向けて開口
するキヤビテイ(窪み)62を形成してある。このキヤビ
テイ62の燃焼室50とは反対側に燃料供給弁70を挿入し、
プレート64を介してボルト66で基板52に固定する。燃料
供給弁70は先端部に外側に開く弁体72を備え、常時スプ
リング74で閉方向に付勢されている。燃料供給弁70の要
所にはシール材76,78を配設し、弁体72とキヤビテイ62
は共同して燃料室80を形成する。
燃料室80には燃料供給ライン7を介して計量装置6か
ら一定量の燃料が供給されるが、燃料の液面80aの直上
に1対の放電電極82,86を配設する。一方の電極82は絶
縁材料83により基板52との間を絶縁されており、絶縁材
でつくられた基材60内に挿入する電極84を介して高エネ
ルギー発生装置20からの高圧コード21に結ばれる。他方
の電極86は導電性材料87を介して固定されるとともに基
板52に導通され、シリンダブロツク31を介してアース側
に連結される。キヤビテイ62と電極82,86との位置関係
は第4図に示してあり、電極82,86の間隙G1はキヤビテ
イ62の中央に配設される。
なお、燃料室80内に供給する燃料の液面は第3図の仮
想線80bで示すように、放電電極82,86が燃料中に没する
ように構成してもよい。
本発明の燃料供給点火装置は以上のような基本的構成
を備えるが、次にその作用を第1図乃至第4図で説明す
る。
ピストン36の吸入工程内でECU2からの信号を受けて計
量装置6が燃料を計量し、所定の燃料量を燃料供給ライ
ン7を介して燃料供給点火装置1の燃料供給弁70へ送
る。燃料供給弁70へ導入された燃料は、その圧力により
弁体72をスプリング74に抗して押し開けて燃料室80内に
流入する。したがつて、燃料圧力が高圧の場合には、ピ
ストン36が圧縮工程内であつても燃料を供給することは
可能である。
次に、ピストン36の圧縮工程内のあるクランク角度位
置でECU2が信号を高エネルギ発生装置20に送り、これを
受けて高エネルギ発生装置20が高電圧を発生し、高電圧
コード21を介して放電電極82へ送る。この高電圧により
放電電極82と86の間隙G1で高エネルギ放電が発生し、電
極82,86の間隙G1に急激にエネルギが放出され、周囲の
気体を急激に膨張せしめる。この膨張により放電電極8
2,86より下方にある燃料室80内の燃料が押下され、燃料
はキヤビテイ62の周壁面に沿つて上方へ吹き上げられ、
燃焼室50内へ噴出する。
放電電極82,86が燃料中に没している場合には、高エ
ネルギにより燃料が急激に膨張し、同様の経緯をたど
る。
放電直後に、燃料室80内の燃料の上層部は高エネルギ
火花のエネルギにより蒸発し、燃焼しながら空気又は希
薄混合気を封入した燃焼室50内に拡がつていき、これが
点火源となつて後から噴射した燃料が燃焼し、爆発行程
に移行する。
以上に示した燃料噴出および点火の過程は高速度直接
写真により確認している。
次に、第5図乃至第7図を用いてキヤビテイと放電電
極に関する種々の実施例を説明する。
第5図は第3図,第4図に示した実施例に比べて放電
電極の位置を変更したもので、燃料供給点火装置の基材
160,161に底部が半球状をしたキヤビテイ162を形成し、
弁体172と共同して燃料室180を構成することは先の実施
例と同様である。一方の放電電極182を点火装置に連結
し、他方の放電電極186をアース側に連結する。1対の
放電電極182,186の間の間隙G2をキヤビテイ180の中心か
ら偏心させて設けてある。
そこで、放電電極182,186の間隙G2で高エネルギ放電
が行われると、燃料室180内の燃料F1はそのエネルギに
より押圧され、キヤビテイ162の間隙G2から離れた側の
壁面に沿つて上昇し、燃焼室150内に霧状の燃料粒子F2
となつて噴出する。同時にこの燃料粒子F2は着火され、
燃焼室150内に拡散する。
次に第6図に示す本発明の他の実施例では、基材260,
261に形成するキヤビテイ262の平面形状を矩形して、弁
体272と共同して燃料室を構成するものである。キヤビ
テイ262内に配設する放電電極282,286の間隙G3の位置を
キヤビテイ262の中心から偏心せしめてあるのは、第5
図で説明したと同様な燃料の噴出効果を発揮させるため
のものである。
第7図の実施例では、基材360,361に形成するキヤビ
テイ362の平面形状を矩形として、弁体372と共同して燃
料室を構成するとともに、該燃料室80の上方位置に形成
されるキヤビテイ362の開口部の一部を、該燃料室80を
燃焼室50から隔てる隔壁として機能する被覆部363によ
つて覆い、該キヤビテイ362の前記燃焼室50に開口する
開口部を狭くしてある。そして、この被覆部363の内側
のキヤビテイ362内に放電電極382,386の間隙G4を配設す
る。
本実施例においては、放電電極382,386の間隙G4の上
部は被覆部363で覆われているので、放電エネルギはキ
ヤビテイ362の下方に向けて放出され、燃料をキヤビテ
イ362の被覆部363とは反対側の壁面に沿つて上昇せし
め、開口部から燃焼室に向けて噴射する。
なお、本願出願人は、キヤビテイの形状及びキヤビテ
イの燃焼室への開口部の形状に関して、さらに研究開発
を進めたところ、次のような結果を得た。
第8図(a),(b)は、実験に使用したキヤビテイ
400の幾何形状を示し、R=5.5mm,W=2.2mm,L=5.4mm,D
=4.2mmの寸法をもつ。このキヤビテイ400を容量199cc
のシリンダに連結し、正オクタンを燃料として放電によ
る成層燃焼の圧力上昇を測定した。
第9図に示す装置は、キヤビテイ400の中央部に電極4
10,420を配設したもので、この型式をA0型と称する。
第10図に示す装置は、電極410,420を片寄せて配設
し、キヤビテイの開口比L0を100%としたもので、この
型式をA1型と称する。
第11図に示す装置は、電極410,420のを配設してある
キヤビテイ400の上部を、該キヤビテイを燃焼室から隔
てる隔壁として機能する板材430によつて覆い、キヤビ
テイ400の前記燃焼室に開口する開口部を狭くして、キ
ヤビテイの開口比L1を75%としたもので、この型式をA2
型と称する。
第12図に示す装置は、電極410,420を配設してあるキ
ヤビテイ400の上部を、該キヤビテイを燃焼室から隔て
る隔壁として機能する板材440によつて覆い、キヤビテ
イ400の前記燃焼室に開口する開口部を狭くして、キヤ
ビテイの開口比L2を50%としたもので、この型式をA3
と称する。
第13図に示す装置は、電極410,420を配設してあるキ
ヤビテイ400の上部を、該キヤビテイを燃焼室から隔て
る隔壁として機能する板材450によつて覆い、キヤビテ
イ400の前記燃焼室に開口する開口部を狭くして、キヤ
ビテイの開口比L3を25%としたもので、この型式をA4
と称する。
第14図のグラフは、これらの各型式のキヤビテイを用
いて、放電エネルギーの値を変えたときのシリンダ内の
圧力上昇の変化を示す。放電エネルギーが小さい場合で
もA4型では高い圧力上昇を得ることができる。
シリンダ内に予混合気を充填して点火した場合にも圧
力上昇は得られるが、圧力上昇が最大値に達するまでの
時間に著しい差がある。
第15図のグラフは、横軸に時間を、たて軸に圧力上昇
をとつたときに、本発明の成層燃焼方式によるカーブC1
と、予混合気の燃焼によるカーブC2とを示すものであ
る。
カーブC1では圧力上昇が最大に達するまでの時間T
1は、約10ミリ秒であるのに対して、カーブC2において
はT2は約60ミリ秒となり、本発明の点火装置が高速回転
内燃機関に適することが明らかである。
以上のように、キヤビテイの形状とキヤビテイの燃焼
室への開口部の形状、及び放電電極の間隙の配設構造を
種々に選択することにより、最も効率のよい燃料供給と
点火装置を構成することができる。
次に、本発明を直立型のシリンダを備えたエンジンに
実施する例を第16図に示す。
直立型エンジン500のシリンダブロツク505のシリンダ
内にはピストン510が挿入され、シリンダブロツク505の
上部には基材550を挟んでシリンダベツド520がとりつけ
られる。シリンダヘツド520には吸気孔526が形成され、
吸気弁530が配設される。ピストン510のピストンヘツド
512とシリンダヘツド520の間には燃焼室540が形成され
る。
シリンダブロツク505とシリンダヘツド520との間に挟
持される基材550には室522を形成し、この室522内に弁
体570を配設してある。室522の上方にはキヤビテイ580
を設け、このキヤビテイ580は開口部582を介して燃焼室
540に連通している。キヤビテイ580の底部は室522と連
通しているが、この部分に弁体570を介在させ、弁体570
をスプリング572で常時閉じる方向に付勢しており、キ
ヤビテイ580の下部に燃料室586を形成する。基材550と
シンリンダヘツド520との間にはオイルシールリング588
を配設して燃料室586の液密性を保つ。室522の底部には
埋栓524を挿入し、シリンダブロツク505との間を隔離す
る。室522は基材550の外周に向けて開口し、この開口部
に燃料供給用のプラグ560をねじ込む。プラグ560は第1
図で示した燃料供給用のライン7に連結される。
一方、キヤビテイ580内の燃料室586の液面より上方に
は、点火プラグ600がとりつけられる。この点火プラグ6
00はセラミツク等の絶縁材でつくられた本体と1対の放
電電極602,606を備え、中心部の電極602は本体内を貫通
してターミナル604と連通し、他方の電極606はシリンダ
ヘツド520にアースされる公知の態様のものである。そ
して、点火プラグ600は第1図に示す高圧コード21に連
結される。
次に、本実施例の作用を第1図と第16図に基いて説明
する。
ピストン510の吸入行程内でECU2からの信号を受けて
計量装置6が燃料を計量し、所定の燃料量を燃料供給ラ
イン7を介してプラグ560に送り、室522内に供給する。
供給された燃料はその圧力によりスプリング572に抗し
て弁体570を押し上げ、燃料室586に流入する。したがつ
て、燃料圧力が高圧の場合には、ピストン510が圧縮行
程内であつても燃料を供給することは可能である。
次に、ピストン510の圧縮行程内のあるクランク角度
位置でECU2が信号を高エネルギ発生装置20に送り、これ
を受けて高エネルギ発生装置20が高電圧を発生し、高電
圧コード21を介して点火プラグ600へ送る。高電圧はタ
ーミナル604から放電電極602へ送られ、他方の放電電極
606との間で高エネルギ放電を発生する。この放電エネ
ルギにより周囲の気体が急激に膨張し、燃料室586内の
燃料を圧下し、キヤビテイ580の開口部582から燃焼室54
0内に噴出せしめる。この際に、燃料の一部は放電エネ
ルギにより着火され、後から噴射した燃料に燃焼が拡大
する。
本実施例でも以上のように、燃料の供給及び点火燃焼
を効率よく達成することができる。
なお、上述した実施例では燃料圧力の低い低圧システ
ムの場合を説明したが、燃料圧力の高い高圧システムの
場合でも同様なシステムを構成することができる。ま
た、燃料の計量装置6を電気的な手段により制御してい
るが、機械的な計量装置を用いてもよい。
[発明の効果] 本発明は以上のように、高エネルギ放電によつて電極
近傍の燃料を吹き上げると同時に着火するので、常に安
定した着火性能が確保できる。また、急激な放電エネル
ギの放出に伴なう膨張により燃料が急速に燃焼室内へ吹
き上げられるために、燃料粒子の微細化が改善でき、燃
料の燃料室内壁への付着の割合も低減できるので、燃焼
効率を大幅に改善する効果を発揮する。
さらに、本発明の燃料供給点火装置を内燃機関に適用
することによつて、内燃機関の性能向上と排気ガス中の
HC成分の低減をはかることができる。また、空燃比をオ
ーバーリーンに設定した状態で燃焼を達成することがで
きるので。NOxの大幅な低減をはかる効果も有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のシステムを示す説明図、第2図は本発
明の実施例を示す断面図、第3図は第2図のA−A断面
図、第4図はキヤビテイと放電電極の位置の関係を示す
説明図、第5図はキヤビテイと放電電極の他の例を示す
説明図、第6図はキヤビテイと放電電極の更に他の例を
示す説明図、第7図はキヤビテイと放電電極の更に他の
例を示す説明図、第8図は実験に使用したキヤビテイの
寸法を示す説明図、第9図はキヤビテイの中央部に放電
電極を配設した例を示す説明図、第10図は放電電極を片
寄せて配設した例を示す説明図、第11図はキヤビテイの
開口比を75%とした例を示す説明図、第12図はキヤビテ
イの開口比を50%とした例を示す説明図、第13図はキヤ
ビテイの開口比を25%とした例を示す説明図、第14図は
実験結果を示すグラフ、第15図は実験結果を示す他のグ
ラフ、第16図は本発明の他の実施例を示す断面図、第17
図は高エネルギ発生装置の回路図、第18図は従来例を示
す斜視図である。 1……燃料供給点火装置、 2……ECU、 4……燃料ポンプ、 6……計量装置、 7……燃料供給ライン、 20……高エネルギ発生装置、 21……高圧コード、 30……水平対向エンジン、 31……シリンダブロツク、 36……ピストン、 40……シリンダヘツド、 50……燃焼室、 62……キヤビテイ、 70……燃料供給弁、 72……弁体、 80……燃料室、 82,86……放電電極、 500……直立型エンジン、 505……シリンダブロツク、 510……ピストン、 520……シリンダヘツド、 540……燃焼室、 570……弁体、 580……キヤビテイ、 586……燃料室、 600……点火プラグ、 602,606……放電電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 立松 正人 愛知県大府市共和町1丁目1番地の1 愛三工業株式会社内 (72)発明者 須田 幸市 愛知県大府市共和町1丁目1番地の1 愛三工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭50−36808(JP,A) 特開 昭50−50523(JP,A) 特開 昭49−77042(JP,A) 特開 昭48−72528(JP,A) 特開 昭62−251465(JP,A) 特開 昭63−280849(JP,A) 実開 昭57−42162(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02B 1/00 - 23/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃焼室と、該燃焼室に隣接して配設する燃
    料室と、該燃料室の垂直上方位置に形成されて前記燃焼
    室に向けて開口するキヤビテイと、前記燃料室の底部に
    配設されて該燃料室と燃料供給ラインとの連通をスプリ
    ングの力で常時閉じている弁体を有する燃料供給弁と、
    前記燃料室の内部に配設され適宜の間隙をおいて配置さ
    れる放電電極と、燃料を計量して前記燃料供給ラインに
    供給する計量装置と、前記燃料供給弁に前記燃料供給ラ
    インを介して計量した燃料を圧送して前記燃料室内に燃
    料を圧入する燃料ポンプとを備え、前記放電電極を高電
    圧コードを介して高エネルギ発生装置に連通して成るこ
    とを特徴とする燃料供給点火装置。
  2. 【請求項2】前記燃料室の前記燃焼室側のキヤビテイに
    隔壁を設けることによつて前記燃料室内に配設する前記
    放電電極を覆うとともに、前記燃料室の開口部の開口比
    を調節自在に構成することを特徴とする請求項1記載の
    燃料供給点火装置。
  3. 【請求項3】シリンダブロツクと、シリンダブロツクに
    挿入するピストンと、シリンダブロツク上部に配設する
    シリンダヘツドを備え、ピストンとシリンダヘツドによ
    り形成される燃焼室に請求項1又は2の燃料供給点火装
    置を設けたことを特徴とする内燃機関。
JP1289438A 1988-11-28 1989-11-07 燃料供給点火装置及び該装置を利用した内燃機関 Expired - Lifetime JP2927839B2 (ja)

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