JP2918597B2 - 母豚の飼料及び給餌方法 - Google Patents

母豚の飼料及び給餌方法

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JP2918597B2
JP2918597B2 JP2026620A JP2662090A JP2918597B2 JP 2918597 B2 JP2918597 B2 JP 2918597B2 JP 2026620 A JP2026620 A JP 2026620A JP 2662090 A JP2662090 A JP 2662090A JP 2918597 B2 JP2918597 B2 JP 2918597B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は搾乳用家畜(例えば乳牛)などの反芻類家畜
用飼料及びその給餌方法、並びに授乳中の母豚用飼料及
びその給餌方法に関する。
[従来の技術] カカオ系産品、例えばカカオ豆殻(カカオ豆の表面を
包んでいる薄い皮)は、テオブロミンやカフェイン等の
キサンチン誘導体を含んでいる。このようなキサンチン
誘導体を含有するカカオ豆殻を乳牛等に多量に給与する
と、キサンチン誘導体の強心利尿作用のために、飼料摂
取量の減少、体重の減少及び乳生産量の低下が生じた
り、中毒を起こすことが懸念された。そのため、キサン
チン誘導体を含むカカオ豆殻等のカカオ系産品は、一般
には家畜用飼料としては積極的に利用されず、ましてキ
サンチン誘導体を飼料に添加して給与することはなかっ
た。
[発明が解決しようとする課題] 上述の如く、カカオ豆殻等のカカオ系産品はキサンチ
ン誘導体を含有するため、一般には家畜用飼料には不向
きとされていた。しかしながら、本発明者は飼料に関す
る研究においてカカオ豆加工時の副産物であるカカオ豆
殻を相当多く乳牛に給餌することによって搾乳中の乳脂
肪率が増加することを発見した。
そして、その後の試験研究により、山羊や羊等他の反
芻類家畜及び授乳中の母豚に対しても同様の知見を得
た。
従って、本発明の課題の一つは、授乳中の母豚におい
て乳汁中の乳脂肪率を増加させることによって子豚の発
育成績及び育成率を向上させ得る母豚用飼料及びその給
餌方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決するために、請求項1の発明は、母豚
の飼料を提供するものであって、その飼料は、カカオ
豆、その加工品及びその副産物から選ばれた少なくとも
一のカカオ系産品が一般飼料原料に重量割合で0.5〜3
%混合されていることを特徴とする。そして、請求項2
の発明は、授乳期の乳脂肪率を向上させ得る母豚の給餌
方法を提供するものであって、カカオ豆、その加工品及
びその副産物から選ばれた少なくとも一のカカオ系産品
を一般飼料原料に混合した飼料を、授乳期における母豚
に対し、1日に前記カカオ系産品が20g〜150g摂取され
るように給餌することを特徴する。そして、請求項3の
発明は、母豚の飼料を提供するものであって、テオブロ
ミン、カフェイン等のキサンチン誘導体の1種または2
種以上が一般の飼料原料に添加されて含有されているこ
とを特徴とする。
さらに、本発明は、上記課題を解決するものとは別
に、カカオ豆及びその加工品及びその副産物から選ばれ
た少なくとも一のカカオ系産品が一般飼料原料に重量割
合で2〜35%混合されていることを特徴とする牛、山
羊、羊等の反芻類家畜の飼料を提供し、さらには、カカ
オ豆、その加工品及びその副産物から選ばれた少なくと
も一のカカオ系産品をそのままあるいは一般飼料原料に
混合して搾乳期または授乳期における上記反芻類家畜に
対して1日に前記カカオ系産品が200g〜3500g摂取され
るように給餌することを特徴とする反芻類家畜の給餌方
法をも提供する。
ここで、カカオ系産品についてより詳しく説明する
と、一般に知られているようにカカオ豆は比較的硬い外
殻である豆桿の中に複数のものが収容されており、個々
のカカオ豆の表面は前述の薄皮たるカカオ豆殻で被われ
ている。そして、例えばチョコレートやココアの製造工
程では外殻(豆桿)を割って取出した多数のカカオ豆を
加熱・乾燥(ばい焼)して、これを選別機にかけて選別
し、規格外の豆(破砕した豆、極めて小さい豆等)はく
ず豆として排除される。そして選別された規格に適合す
るカカオ豆は皮むき工程で薄皮(カカオ豆殻)が除去さ
れ、更に粉砕されて粉状物となる。この粉状物からココ
アが得られ、あるいはカカオバターが抽出され、そのカ
カオバターが抽出された後の粉状物は1つの固った乾燥
体たるカカオケーキとなり、このカカオケーキを粉砕し
たものがカカオパウダーとなる。また上記カカオバター
を主原料としてチョコレートが製造され、この製造工程
で破砕等したチョコレートは不良品として製品ラインか
ら外される。
上述のカカオ系産品におけるカカオ豆は、薄皮(カカ
オ豆殻)付ばい焼カカオ豆、あるいは皮むきされたばい
焼カカオ豆、さらにはばい焼されていない薄皮付若しく
は皮むきカカオ豆、そして前述のくず豆を含む。また、
その加工品には例えば上述のカカオバター、チョコレー
ト、ココア、カカオケーキ、カカオパウダー等が該当す
る。更に上記副産物としては代表的にはカカオ豆の薄皮
であるカカオ豆殻が該当し、また複数のカカオ豆を内包
する外殻である豆桿も含む。カカオ豆殻はカカオ豆の加
工工程で本来廃棄されるべきものであるから、この利用
はコスト的に有利であるが、カカオ豆やその加工製品
(例えばチョコレート)であっても、規格外の不良品を
利用すれば同じことが言える。
以上のようなカカオ系産品の記述は請求項1のみなら
ず、後述の請求項2の発明についてもあてはまる。
請求項1の発明についてカカオ系産品たるカカオ豆、
その加工品及びその副産物の意義は上述のとおりである
が、それらカカオ系産品のどれを一般飼料原料に混合す
るかについては、それらカカオ系産品から選ばれた一を
単体で混合することもできるし、適宜組合せて混合する
こともできる。
また、上記カカオ系産品を一般飼料原料にどの程度混
合するかについては、本飼料全体に対し重量割合で0.5
〜3%とされる。この混合に基づき、カカオ系産品中に
含まれるキサンチン誘導体(テオブロン、カフェイン
等)により母豚の乳脂肪を向上させ得るのであるが、混
合割合が0.5%以下ではその乳脂肪向上効果がほとんど
得られず、反面、3%を超えると、カカオ系産品中のキ
サンチン誘導体の摂取過多による弊害、例えば強心利尿
作用が強すぎて飼料摂取量の減少、体重の減少、乳生産
量の低下等を生じ易くなるため、混合比は3%を上限と
する。また、上記カカオ系産品の種類によってキサンチ
ン誘導体の含有量がある程度異なるのが一般的であるた
め、その種類に応じてカカオ系産品の混合割合は上記0.
5〜3%の範囲で適宜に定められる。また、請求項2の
発明において、カカオ系産品の1日当りの給餌の下限を
20g、上限を150gとするのは、請求項1の飼料の発明と
同様に、この下限を下回る乳脂肪率向上効果が得られ
ず、上限を越えるとキサンチン誘導体の摂取過多による
弊害が生じ易くなるからである。
なお、請求項1の発明において、カカオ系産品の一般
飼料原料に対する混合割合(0.5〜3重量%)は、上記
反芻類家畜用飼料のそれ(2〜35重量%)に比べると相
対的に低いが、これは牛等の反芻類家畜に比べて母豚は
キサンチン誘導体に対して敏感であり、上述のとおり、
0.5%の混合率でも乳脂肪率を高める効果は得られる反
面、3%を越えるとキサンチン誘導体による上述の弊害
を生じ、また給餌飼料に対する拒絶反応を示し易くなる
からである。また、請求項2の給餌方法において、カカ
オ系産品の1日当りの摂取量が上記反芻類家畜の給餌方
法(200〜3500g)より低く抑えられているのは、上述の
理由と同様に母豚がキサンチン誘導体に対して敏感だか
らである。一方、請求項3の発明はカカオ系産品として
ではなく、テオブロミン、カフェイン等のキサンチン誘
導体の物質そのものを一般の飼料原料に添加して飼料を
構成するものであり、そのキサンチン誘導体はカカオ系
産品から抽出されるものに限らず、他の適宜の公知手法
により得られたものでも差支えない。またテオブロミ
ン、カフェイン等のキサンチン誘導体は各々単独で添加
してもよいし、適宜組合せて添加してもよい。
[作 用] 本発明に係る母豚用飼料及びその給餌方法によると、
キサンチン誘導体の作用により授乳中の母豚の乳汁中の
乳脂肪率を増加させることによって子豚の発育成績及び
育成率を向上させ得る。
[実施例] 次に、本発明の数種の実施例について説明する。
(実施例1) まず第1表のNo.1−0、No.2−0、No.1−1及びNo.2
−1に示す各乳牛用の給餌飼料を用意する。
No.1−0、No.2−0はカカオ豆殻を混合しない給餌飼
料であり、No.1−1、No.2−1はカカオ豆殻を混合した
本発明に係る給餌飼料である。第1表に示されるよう
に、給餌飼料No.1−0とNo.2−0との違い、並びにNo.1
−1とNo.2−1との違いは配合飼料の含有量の差のみで
あり、これは飼料を能える乳牛の体重差に適合させたも
のである。
第1表におけるカカオ豆殻はカカオ豆の表面を被って
いる表皮(薄皮)であって例えばチョコレート生産工場
においてカカオ豆加工時にカカオ豆から副産物として脱
離されるものを用いた。このカカオ豆殻の一般成分及び
キサンチン誘導体の含有量を第2表に示す。なお第2表
に示されていない残りの一般成分は可溶性無チッ素物で
ある。
以後、同様に一般成分を示す表においては可溶性無チ
ッ素物の記載を省略する。
また第1表中の配合飼料は第3表に示す各飼料原料が
配合されてなるものである。
配合飼料の一般成分及びキサンチン誘導体の含有量は
4表に示されるとおりである。第4表より明らかなよう
に、第1表中の配合飼料にはキサンチン誘導体は含有さ
れていない。
さらに、第1表中のチモシー及び稲ワラにも第5表に
示されるとおり、キサンチン誘導体は含有されていな
い。
第2,3,4及び5表から理解されるようにカカオ豆殻以
外の飼料にはキサンチン誘導体は全く含まれていない。
従って、カカオ豆殻を混合しない給餌飼料No.1−0、N
o.2−0とカカオ豆殻を混合した本発明に係る給餌飼料N
o.1−1、No.2−1との成分上の違いはキサンチン誘導
体を含有するか否かにある。
前記第1表に示す給餌飼料に関して以下に説明する試
験を行った。
体重670Kg、5歳の乳牛Aにカカオ豆殻を混合しない
給餌飼料No.1−0(1日当り22.0Kg)を試験第1日目か
ら第3日目までの3日間給与した。次にカカオ豆殻を1.
5Kg混合した給餌飼料No.1−1(1日当り23.5Kg)を試
験第4日目から第6日目までの3日間給与した。続い
て、カカオ豆殻を混合しない給餌飼料No.1−0(1日当
り22.0Kg)を試験第7日目から第9日目までの3日間給
与した。搾乳の乳量及び乳脂肪率を試験期間中、毎日測
定した。
また、体重540Kg、3歳の乳牛Bにはカカオ豆殻を混
合しない給餌飼料No.2−0(1日当り17.0Kg)及びカカ
オ豆殻を15Kg混合した給餌飼料No.2−1(1日当り18.5
Kg)を給与して同様の試験を行った。すなわち、最初に
飼料No.2−0を、次に飼料No.2−1を、続いて、飼料N
o.2−0をそれぞれ3日間給与する試験を行った。錯乳
の乳量及び乳脂肪率を試験期間中、毎日測定した。
そして、上記乳牛A及びBの乳量及び乳脂肪率の測定
値を第6表に示す。
第6表に示されるように、乳牛A及びBにおいてカカ
オ豆殻を混合した給餌飼料No.1−1又はNo.2−1を給与
した試験第4〜6日目において、乳脂肪率の増加が認め
られた。すなわち、1日にカカオ豆殻が1.5Kg摂取され
るように給餌する給餌方法により、言い換えれば一般飼
料原料に対する重量割合に換算するとカカオ豆殻が約6.
4%(給餌飼料No.1−1)又は約8.1%(同No.2−1)混
合されている飼料を給与することにより、乳牛Aにおい
てはカカオ豆殻給与前(試験第1〜3日目)乳脂肪率が
3.1%であったのが、カカオ豆殻給与後(試験第4〜6
日目)には3.3〜3.6%に増加し、乳生Bにおいては同様
に3.6%であったのが3.8〜3.9%に増加した。この増加
現象は、カカオ豆殻を給与した1日目において直ちに認
められ、カカオ豆殻の乳脂肪率増加作用が速効性である
ことが認められた。なお、カカオ豆殻給与によって乳量
は実質的に影響を受けず、乳牛A及びBの体調の異常も
全く認められなかった。
(実施例2) 次に本発明の実施例2について説明する。
実施例1の試験を終えた約15日後に、実施例1におけ
る乳牛A、Bに、第7表に示す給餌飼料No.1−2及びN
o.2−2を、それぞれ実施例1におけるNo.1−1及びNo.
2−1に代えて給与し、実施例1と同様の試験を行っ
た。なお、乳牛A、Bの体重は実施例1と同じであっ
た。
第7表中の配合飼料は実施例1で使用したものと同じ
である。実施例1における本発明に係る給餌飼料No.1−
1、No.2−1にはカカオ豆殻が1.5Kg混合されていたの
に対して、第7表に示す通り、本発明に係る給餌飼料N
o.1−2、No.2−2はその1/3である0.5Kgカカオ豆殻が
混合されたものである。
給餌飼料No.1−2は乳牛Aに1日当り22.5Kgを給与し
た。給餌飼料No.2−2は乳牛Bに1日当り17.5Kgを給与
した。
乳牛A、Bに対する給餌状況と搾乳との関係は第8表
に示す通りであった。
第8表に示されるように、乳牛A及びBにおいて、カ
カオ豆殻を混合した給餌飼料No.1−2又はNo.2−2を給
与した試験第4〜6日目において、乳脂肪率の増加が若
干認められた。すなわち、カカオ豆殻を1日0.5Kg摂取
されるように給餌する給餌方法によって、言い換えれば
一般飼料原料に対する重量割合に換算するとカカオ豆殻
が約2.2%(給餌飼料No.1−2)又は約2.9%(給餌飼料
No.2−2)混合されている飼料の給与により、乳牛Aに
おいてはカカオ豆殻給与前には乳脂肪率が3.1%であっ
たのが、カカオ豆殻給与後には3.2%にまで増加し、乳
牛Bにおいては3.6%から最高3.8%まで増加した。実施
例1と比較して乳脂肪率の増加作用が小さいが、これは
摂取させたカカオ豆殻の量が実施例1の場合の1/3であ
ることに起因すると考えられる。なお、このようなカカ
オ豆殻給与によって乳量は実質的に影響を受けず、乳牛
A及びBの体調の異常も認められなかった。
(実施例3) 次に本発明の実施例3について説明する。
まず第9表に示す給餌飼料No.3−1を用意した。
カカオ豆殻を混合した本発明に係る給餌飼料No.3−1
及び第1表で示したカカオ豆殻を混合しない給餌飼料N
o.1−0を第10表に示す頭数、年齢及び平均体重からな
る乳牛区a,b,c,dに以下に説明するように給与した。す
なわち、実施例3を開始する前にはNo.1−0(1頭につ
き1日当り22.0Kg)のみを給与していた。実施例3を開
始するにあたり、No.1−0(1頭につき1日当り22.0K
g)に加えてNo.3−1(1頭につき1日当り2Kg)を10日
間給与した。その後、No.3−1の給与を中止し、No.1−
0(1頭につき1日当り22.0Kg)のみを給与した。実施
例3の開始前、給餌飼料No.1−0及びNo.3−1給与後5
日目、10日目、給餌飼料No.3−1給与中止後5日目にお
ける搾乳の乳脂肪率及び無脂固形分を測定した。測定値
を第10表の2に示す。
第10表の2より、カカオ豆殻を混合した給餌飼料No.3
−1の給与により、搾乳の乳脂肪率が増加することが認
められた。すなわち、カカオ豆殻を1日1.0Kg摂取され
るように給餌する給餌方法によって、言い換えれば一般
飼料原料に対する重量割合に換算するとカカオ豆殻が約
4.2%混合されている飼料の給与により、乳牛区aにお
いては、カカオ豆殻給与前(No.1−0のみ給与)には乳
脂肪率が3.5%であったのが給与後4.0%(No.1−0及び
No.3−1給与5日後、10日後)に増加した。同様に、乳
牛区bではカカオ豆殻給与前には3.3%であったのが給
与後3.5%に、乳牛区cでは同じく3.8%であったのが4.
1〜4.6%に、乳牛区dでは同じく3.7%であったのが3.9
〜4.0%にそれぞれ増加した。なお、実施例3において
も実施例1、2と同様に、搾乳量に変化はなく、乳牛区
a〜dの各乳牛はいずれも体調に異常を認めなかった。
以上の実施例1〜3より、カカオ豆殻による乳牛の搾
乳の乳脂肪率増加作用が立証された。第3、4及び5表
から理解されるようにカカオ豆殻以外の飼料にはキサン
チン誘導体は全く含まれていない。従って、カカオ豆殻
の給与により乳脂肪率が増加したのは、カカオ豆殻のみ
に含まれるキサンチン誘導体に起因するのではないかと
推察される。
(実施例4) 次に本発明の実施例4について説明する。
まず第11表に示す給餌飼料No.1、2、3を用意する。
第11表中の配合飼料は実施例1で用いたものと同じで
あり、カカオ豆殻を混合していない。第11表中の混合飼
料は第12表に示す各原料が配合されたものである。ま
た、この混合飼料に含有される一般成分及びキサンチン
誘導体を第13表に示す。
第13表に示されるように、第11表中の混合飼料にはキ
サンチン誘導体は含有されておらず、同表中の配合飼料
についても同様(前記第3、4及び5表参照)であるか
ら、第11表の給餌飼料No.1、2、3にはキサンチン誘導
体は含有されていないことが理解される。
前記飼料No.1、2、3を乳牛D、E、Fにそれぞれ給
与して搾乳した。乳牛D、E、Fの体重及び出産の回数
を第14表に示す。
試験方法として、カカオ豆殻に含有されているキサン
チン誘導体の1つであるテオブロミンを単体で第12表に
示した混合飼料100g中に1500mg含まれるように添加した
場合と、全く添加しない場合との搾乳の乳脂肪率を比較
した。
まず、テオブロミンを添加しない混合飼料を0.5Kg与
える給餌を5日間行う。すなわち乳牛D、E、Fにそれ
ぞれ前記飼料No.1、2、3を1日当り、19.5Kg、23.5K
g、23.5Kg給与する。次の5日間、すなわち試験第6日
目から第10日目まではテオブロミンを添加した混合飼料
を0.5Kg与える給餌を行う。すなわち乳牛D、E、Fに
前記飼料No.1、2、3をそれぞれ1日当り、19.5Kg、2
3.5Kg、23.5Kg給与する。前述の含有率から混合飼料0.5
Kg中にはテオブロミンが7.5g(7500mg)添加されてい
る。なお、厳密に言えばテオブロミンの添加により前記
飼料1,2及び3の重量はその分若干増加する。これは後
の説明でも同様である。
続いて次の5日間、すなわち試験第11日目から第15日
目まではテオブロミンを添加した混合飼料を1.0Kg与え
る給餌を行う。具体的には乳牛D、E、Fにそれぞれ前
記飼料No.1、2、3を1日当り、20.0Kg、24.0Kg、24.0
Kg給与する。混合飼料1.0Kg中には前述の含有率からテ
オブロミンが15.0g(15,000mg)添加されている。
そして最終の5日間、すなわち試験第16日目から第20
日目までは試験第1日目から5日目と同様に、混合飼料
0.5Kgにテオブロミンを添加しない各給餌飼料を与える
給餌を行った。試験日第5、10、15、20日目における搾
乳の乳脂肪率及び乳量を測定した。測定値を第15表に示
す。
実施例4におけるテオブロミンの摂取量は、試験日第
5日目から10日目までは、乳牛D,E及びFにつき1日に
体重1Kg当りそれぞれ約13.7mg、11.2mg及び11.4mgであ
り、試験日第10日目から15日目までは乳牛D,E及びFに
つき1日に体重1Kg当りそれぞれ27.4mg、22.3mg及び22.
7mgである。このテオブロミンの摂取によって、第15表
より明らかなように、搾乳の乳脂肪率が増加した。すな
わち、乳牛Dにおいてはテオブロミンを摂取させる前に
は乳脂肪率は3.18%(試験第5日目)であったのが、テ
オブロミンを1日に体重1Kg当り約13.7mgを5日間摂取
させることにより(以下、テオブロミン13.7mg×5のよ
うに記述する)、乳脂肪率は3.20%(試験第10日目)に
増加した。さらに続けてテオブロミンを1日に体重1Kg
当り約27.4mg5日間摂取させることにより(テオブロミ
ン27.4mg×5)、乳脂肪率はさらに3.25%(試験第15日
目)にまで増加した。同様に、乳牛Eにおいてはテオブ
ロミン11.2mg×5により乳脂肪率は3.17%(試験第5日
目)から3.36%(試験第10日目)に増加した。さらにテ
オブロミン22.3mg×5により3.30%(試験第15日目)に
増加した。乳牛Fにおいてはテオブロミン11.4mg×5に
より乳脂肪率は3.36%(試験第5日目)から3.46%(試
験第10日目)に増加した。そしてテオブロミン22.7mg×
5によりさらに3.50%(試験第15日目)にまで増加し
た。ただし、テオブロミンの給与を中止して5日後には
各脂肪率は元の水準に戻った。またこの試験期間の20日
間を通じて乳牛D、E、Fの乳量には実質上の影響は現
れず、試験期間中、体調の異常も認められなかった。
(実施例5) 次に、キサンチン誘導体であるテオブロミン及びカフ
ェインの各単体を併用して乳牛に摂取させた実施例5
と、この場合における、搾乳の乳脂肪率への影響につい
て述べる。
実施例4終了後、実施例4と同じ乳牛D、E、Fを使
用して、第12表に示した混合飼料にテオブロミン及びカ
フェインを、テオブロミンが混合飼料100g中に1,500mg
及びカフェインが同じく250mg含有されるように添加し
た場合と、それらテオブロミン及びカフェインを全く添
加しない場合との搾乳の乳脂肪率及び乳量を比較した。
試験は、実施例4におけるテオブロミン単独を添加し
た混合飼料に代えて、テオブロミン及びカフェインを添
加した混合飼料を用いた以外は前述の実施例4と同様に
行った。試験日第5、10、15、20日目における搾乳の乳
脂肪率及び乳量を測定した。測定値を16表に示す。
実施例5におけるテオブロミンの摂取量は実施例4と
同じであり、乳牛D,E,Fにわたり試験日第5日目から10
日目までは1日に体重1Kg当り約11.2〜13.7mg、試験日
第10日目から15日目までは1日に体重1Kg当り約22.3〜2
7.4mgである。またカフェインの摂取量は乳牛D,E,Fにわ
たって試験日第5日目から10日目までは1日に体重1Kg
当り約1.86〜2.29mgであり、試験日第10日目から15日目
までは1日に体重1Kg当り3.72〜4.57mgである。
以上のテオブロミン及びカフェインの摂取によって、
第16表より明らかなように、搾乳の乳脂肪率が増加し
た。すなわち、乳牛Dにおいてはテオブロミン及びカフ
ェインを1日に体重1Kg当りそれぞれ13.7mg及び2.29mg5
日間摂取させることにより(テオブロミン13.7mg及びカ
フェイン2.29mg×5)、乳脂肪率はテオブロミン及びカ
フェインの摂取前には3.03%(試験第5日目)であった
のが3.13%(試験第10日目)に増加した。さらに続けて
テオブロミン及びカフェインを1日に体重1Kg当りそれ
ぞれ27.4mg及び4.57mg5日間摂取させることにより(テ
オブロミン27.4mg及びカフェイン4.57mg×5)乳脂肪率
はさらに3.41%(試験第15日目)にまで増加した。同様
に、乳牛Eにおいてはテオブロミン11.2mg及びカフェイ
ン1.86mg×5により乳脂肪率は3.23%(試験第5日目)
から3.49%(試験第10日目)に増加した。また、テオブ
ロミン22.3mg及びカフェイン3.72mg×5により3.45%
(試験第15日目)に増加した。乳牛Fにおいてはテオブ
ロミン11.4mg及びカフェイン1.89mg×5により乳脂肪率
は3.40%(試験第5日目)から3.45%(試験第10日目)
に増加した。またテオブロミン22.7mg及びカフェイン3.
79mg×5によりさらに3.57%(試験第15日目)にまで増
加した。実施例4の結果(第15表)と比較すると明らか
なように、テオブロミンを単独に摂取させるよりも、テ
オブロミン及びカフェインを併用して摂取させることに
よる搾乳の乳脂肪率増加作用の方が大きい。そして実施
例4と同様に、乳量には実質上の影響は現れず、試験期
間中、乳牛に体調の異常も認められなかった。
(実施例6) 次に、キサンチン誘導体の1つであるカフェインを単
独で摂取させた実施例6とその場合における搾乳の乳脂
肪率への影響について述べる。
実施例5終了後、実施例5と同じ乳牛D、E、Fを使
用して、第12表に示した混合飼料にカフェインを混合飼
料100g当り500mgとなるように添加した場合と、全く添
加しない場合との搾乳の乳脂肪率及び乳量を比較した。
試験は、実施例4におけるテオブロミンを単独に添加
した混合飼料に代えて、カフェインを単独に添加した混
合飼料を用いた以外は同様に行った。つまり試験第6〜
10日は上記カフェイン添加混合飼料が0.5Kgを占める飼
料1,2,3(第11表参照)、また試験第11〜15日は上記カ
フェイン添加混合飼料が1.0Kgを占める上記飼料1,2,3を
それぞれ乳牛D,E,Fに与え、試験日第5、10、15、20日
目における搾乳の乳脂肪率及び乳量を測定した。測定値
を第17表に示す。
実施例6におけるカフェインの摂取量は試験日第5日
目から10日目までは乳牛D,E,F(第14表参照)にわたっ
て1日に体重1Kg当り約3.72〜4.57mgであり、試験日第1
0日目から15日目までは同じく1日に体重1Kg当り7.44〜
9.14mgである。このカフェインの摂取によって、第17表
より明らかなように、搾乳の乳脂肪率が増加した。すな
わち、乳牛Dにおいてはカフェインを1日に体重1Kg当
り4.57mg5日間摂取させることにより(カフェイン4.57m
g×5)カフェイン摂取前には乳脂肪率は2.96%(試験
第5日目)であったのが3.05%(試験第10日目)に増加
した。さらに続けてカフェインを1日に体重1Kg当り9.1
4mg5日間摂取させることにより(カフェイン9.14mg×
5)乳脂肪率はさらに3.10%(試験第15日目)にまで増
加した。同様に、乳牛Eにおいてはカフェイン3.72mg×
5により乳脂肪率は3.20%(試験第5日目)から3.27%
(試験第10日目)に増加した。そしてカフェイン7.44mg
×5により乳脂肪率はさらに3.32%(試験第15日目)ま
で増加した。乳牛Fにおいては、カフェイン3.79mg×5
により乳脂肪率は3.20%(試験第5日目)から3.32%
(試験第10日目)に増加した。そして、カフェイン7.58
mg×5により乳脂肪率は3.25%(試験第15日目)に増加
した。そして乳量には実質上の影響は現れず、試験期間
中、乳牛に体調の異常も認められなかった。しかし、テ
オブロミン及びカフェインを併用した実施例5の場合の
方が搾乳の乳脂肪率増加作用は大きかった。
(実施例7) 次に母豚への実施例について説明する。
まず第18表に示す各成分が配合されてなる給餌飼料I
及びIIを用意した。
給餌飼料Iはカカオ豆殻を混合しない従来品であり、
給餌飼料IIはカカオ豆殻を混合した本発明品である。給
餌飼料Iの一般成分を第19表に示す。
第19表に示されるようにカカオ豆殻を混合しない給餌
飼料Iにはキサンチン誘導体は含有されていない。
前記給餌飼料I及びIIを体重約170Kg前後の出産後の
母豚G、H、Iに以下に説明するように給餌した。すな
わち、出産後第9日目から第13日目までは給餌飼料Iを
1日1頭当り5Kg給与した。次に出産後第14日目から第1
8日目まではカカオ豆殻を含む給餌飼料IIを1日1頭当
り5Kg給与した。続いて、出産後第19日目から第23日目
までは給餌飼料Iを1日1頭当り5Kg給与した。出産後
第13、18、23日目における乳脂肪率を測定した。測定値
を第20表に示す。
給餌飼料IIにはカカオ豆殻は一般飼料原料に対する重
量割合では1.96%混合されているのであるから、実施例
7におけるカカオ豆殻の摂取量は、1日に約98gとな
る。このカカオ豆殻の摂取量によって、第20表より明ら
かなように、母豚の授乳中の乳の乳脂肪率が増加するこ
とが認められた。すなわち、カカオ豆殻が一般飼料原料
に重量割合で1.96%混合されている飼料IIを出産後第14
日目から第18日目まで給与することによって、言い換え
れば1日にカカオ豆殻が98g摂取されるように給餌する
給餌方法を出産後第14日目から第18日目まで実施するこ
とによって、母豚Gにおいては、カカオ豆殻給与前には
乳脂肪率は6.55%(出産後第13日目)であったのが7.21
%(出産後第18日目)に増加した。同様に母豚Hにおい
ては7.30%(出産後第13日目)から7.66%(出産後第18
日目)に、母豚Iにおいては7.27%(出産後第13日目)
から7.42%(出産後第18日目)にそれぞれ増加した。カ
カオ豆殻の給与中止によって乳脂肪率増加作用は消失し
た。なお実施例7において母豚G、H、Iの体調の異常
は認められず、子豚の発育も良好であった。
[発明の効果] 本発明に係る母豚用飼料及びその給餌方法によると、
授乳中の母豚の乳汁中の乳脂肪率を増加させることによ
って子豚の発育成績及び育成率を向上させ得る。そして
キサンチン誘導体の副作用は認められず母豚の体調も良
好である。
なお、カカオ豆殻などのカカオ豆加工時の副産物を用
いた場合には、低廉な給餌源となり、経済的で都合が良
い。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カカオ豆、その加工品及びその副産物から
    選ばれた少なくとも一のカカオ系産品が一般飼料原料に
    重量割合で0.5〜3%混合されていることを特徴とする
    母豚の飼料。
  2. 【請求項2】カカオ豆、その加工品及びその副産物から
    選ばれた少なくとも一のカカオ系産品を一般飼料原料に
    混合した飼料を、授乳期における母豚に対し、1日に前
    記カカオ系産品が20g〜150g摂取されるように給餌する
    ことを特徴とする母豚の給餌方法。
  3. 【請求項3】テオブロミン、カフェイン等のキサンチン
    誘導体の1種または2種以上が一般の飼料原料に添加さ
    れて含有されている母豚の飼料。
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