JP2904196B2 - 直交周波数分割多重信号のダイバーシティ受信装置 - Google Patents

直交周波数分割多重信号のダイバーシティ受信装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は直交周波数分割多重
信号のダイバーシティ受信装置に係り、特に多値QAM
による直交周波数分割多重信号(OFDM:Orthgonal
Frequency Division Multiplex)を受信するときに、直
接波に対し伝達経路の異なる間接波との干渉により生じ
る伝送信号の減衰を、複数のアンテナを用いて補償受信
するダイバーシティ受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】無線により信号を伝送するとき、送信側
より直接に伝送路を伝搬して受信側で受信される直接波
だけでなく、伝送路中にある反射物体により反射された
間接波が生じ、これが直接波に干渉して伝送特性が変動
する。このマルチパス環境下での伝送特性は、特に移動
体送受信ではマルチパスを伴う伝送状態が時間と共に変
化し、受信される信号もそれに応じて変化する。その影
響を少なくするため、空間的に伝送周波数の半波長以上
の距離をおいて設置される複数のアンテナのうち、受信
状態の良い方のアンテナを選択するように切り替えなが
ら受信するダイバーシティ受信が知られている。従来よ
り知られている通常のダイバーシティ受信では、複数の
アンテナのうち、最も信号強度の大きいアンテナを選択
するように切り替えて受信する。
【0003】例えば、特開平5−29992号公報記載
の移動通信用時分割多元−周波数交互通信方式における
ダイバーシティ回路では、複数のアンテナからの信号を
多数の受信機で受信し、各々の受信における信号の誤り
率を検出し、その誤り率が最小となるようにアンテナ切
替器を切り替え、選択しつつ送信、受信を行う。
【0004】また、特開平8−65222号公報記載の
同一周波数チャネル時分割双方向伝送方式では、複数の
アンテナ、受信機を用いながら信号を受信する複数の装
置群を有し、装置群の選択は最大の平均受信電力、また
は最小の波形歪みを与える装置群に切り替えながら通信
を行っている。
【0005】また、特開平5−183540号公報記載
の同相合成スペースダイバーシティ受信装置では、複数
のキャリア周波数を用いて行う通信方式で、複数の周波
数変換器を用いて、位相比較回路における異なるキャリ
アの中心周波数を共通化し、周波数変換された受信信号
を一定比率で加算合成し、マルチパスによる信号の歪み
を平均化処理により少なくしている。更に、この受信装
置ではこのとき、帯域フィルタ、自動利得制御増幅器、
電圧比較器は各周波数の異なる受信信号に対しても共通
に用いられるように工夫している。
【0006】一方、情報信号を複数の搬送波(キャリ
ア)に分割して伝送する方法として、直交周波数分割多
重変調(OFDM)信号伝送方式が知られている。この
OFDM信号伝送方式は、多数のキャリアを用いて情報
信号を伝送するため、各キャリアで伝送する情報の速度
を遅くでき、また、周波数領域内の伝送スペクトラムを
矩形にできるなど伝送周波数帯域の効率を高くできる等
の特徴を有する伝送方式である。
【0007】通常、OFDM信号を構成するキャリア
は、直交位相変調(QPSK)方式で変調されるが、更
に帯域の利用率を上げるため、各キャリアを多値QAM
で変調する方法もとられる。しかしながら、変調信号を
多値化して通信を行うときは、伝送路を高品質に保つ必
要があり、そのための工夫が必要となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】マルチパス信号により
伝送歪みが伴う伝送系の改善にダイバーシティ受信方式
を用いることができる。しかし、複数のアンテナのうち
受信状態の最も良いアンテナの受信信号に切り替えて受
信するダイバーシティ受信方式を、多値QAMで変調さ
れた多数のキャリアが周波数分割多重されているOFD
M信号の受信にそのまま適用する場合、アンテナ切り替
え時の信号レベルの変化が多値QAMによる受信では問
題となり、その解決が必要となる。
【0009】一例として、256QAMによるOFDM
信号伝送方式におけるQAM復調器に要求される信号の
安定性は、次のように考えられる。すなわち、各キャリ
アによる情報の伝送は、16×16の信号点配置面内に
定義して行う。そのため、16×16の各信号点配置の
ユニットの中央に配置される情報点は、1/32の誤差
によって、隣の信号点との境界に配置されてしまう。従
って、伝送路の特性(安定性)は、更にその1/2であ
る1/64程度のレベル変動に抑え込まれている必要が
ある。
【0010】しかし、実際には、伝送路の特性を上記の
ように1/64程度のレベル変動に抑え込むのは難し
い。そこで、本出願人は先に特願平7−336322号
公報にて、各キャリアに対してキャリブレーションを行
いつつ(伝送特性を補正しつつ)、多値QAM波の復調
を行っていく方法を開示した。この本出願人の提案方法
によれば、情報信号を伝送するキャリブレーションキャ
リアと共に、QAM復号用の参照キャリアを伝送し、受
信装置内の復号回路において、受信信号を高速フーリエ
変換(FFT)演算して得た各周波数毎の実数部、虚数
部の各信号レベルと参照キャリアの復調出力とを比較
し、ディジタル情報伝送用キャリブレーションキャリア
で伝送される量子化されたディジタル信号のレベルを求
め、ディジタル情報を復号する。この本出願人の提案に
なる受信装置によれば、遅い速度の移動受信時における
伝送特性の補正ができる。
【0011】ここで、移動受信時は、到来する直接波の
他に伝送路中の種々の物体に反射されて到来する間接
波、すなわち時間的に変化するマルチパス信号成分が加
算され、到来電波はこれらの複数の経路を通過する時間
差のある、すなわち、位相量が変動する複数の信号の合
成波として受信される。例えば、256QAMにより伝
送される信号は、その復号を行うためには、QPSKに
よる伝送に比し、18dB良好なC/N比が要求され
る。
【0012】ところが、上記の直接波とマルチパス信号
との位相関係が同相関係にあるときは良いが、逆相関係
にあるときはお互いに打ち消し合い、到来する電波の信
号強度も非常に弱くなり、上記の所要のC/N比が得ら
れなくなり、上記の参照キャリアの復調出力も低下し、
更に自然界、受信機内で生じている雑音電圧(熱雑音)
のため、受信信号に対する良好な信号対雑音電力比(S
/N比)を確保できなくなり、受信困難となる。
【0013】復号できない信号を誤り補償回路により訂
正する方法も考えられるが、直接波を間接波が打ち消し
て信号レベルが低下する場合の時間は比較的長いので、
その間に伝送できない信号をエラー訂正回路により補償
するには長いインターリーブ長が必要になる。長いイン
ターリーブ長は、送信から受信までの遅延時間を増加さ
せてしまう。その面でもエラー訂正手法の使用が事実上
困難である。
【0014】そこで、OFDM信号の受信にも半波長以
上設置場所の異なる受信アンテナを複数用い、ダイバー
シティ受信によりこの課題を解決する。マルチパス信号
が多く存在する受信環境において、受信アンテナ近傍の
電界強度の分布は大きく変動するが、伝送されるキャリ
アに対し、1/2波長以上異なる位置では、直接波と間
接波の位相関係も異なり、片方のアンテナの受信強度が
大きく減衰していても、他方のアンテナでは適度の信号
強度が得られる場合が多い。
【0015】それは空間的に、キャリア周波数に対し、
その半波長以上の距離を異ならしめて配置されるアンテ
ナには、片方が直接波と間接波とが打ち消し合って受信
されるようなときでも、他方のアンテナの位置では、直
接波と間接波の位相関係が異なった状態になっており、
到来する信号がちょうど打ち消される状態になる確率が
低いからである。従って、例えば受信アンテナが2つあ
る場合、一方の受信アンテナには第1のOFDM信号復
調器を接続し、他方の受信アンテナには第2のOFDM
信号復調器を接続し、両者の復調出力を補正した後合成
することにより、マルチパスの影響を最小限にした、誤
りの少ない復号データを得ることができる。
【0016】しかしながら、多値QAM受信装置には、
更に別の課題がある。すなわち、多値QAMのOFDM
受信装置は、マルチパスなどにより生じる伝送特性の補
償をフィードバック方式による補正回路を用いて行って
いる(特願平8−43854号)。一方、多値QAMの
OFDM受信装置では、信号が入力されてから同期状態
となり、復号を行いつつ伝送特性の補償回路を適応的に
動作させるためには、かなりの時間(試作例では数十秒
間)を必要とする。受信点においてマルチパス信号が変
動しているときには、信号レベルが所定値以下となり、
受信装置の同期状態が外れると受信不能となるが、良好
なOFDM信号が入力されてからも同期捕捉動作から開
始し、受信装置を正規な状態にまで保つようにするには
かなり長い時間を必要とし、すなわち、受信装置が同期
状態、伝送特性の適応的な補償回路が正常に動作するま
でのこの長い時間の間は受信入力信号の復号ができな
い。
【0017】このように、多値QAMのOFDM信号の
受信装置におけるダイバーシティ受信では、常に受信装
置の同期状態、伝送特性の補正追従を途絶えることな
く、連続的に確保しておく必要がある。
【0018】本発明は以上の点に鑑みなされたもので、
適応的にQAM復号回路を動作させ、良好な誤りの少な
い復号動作を行い得る直交周波数分割多重信号のダイバ
ーシティ受信装置を提供することを目的とする。
【0019】また、本発明の他の目的は、複数のアンテ
ナにそれぞれ個別のOFDM信号復号器を接続し、両復
号器から得られる同期信号を論理回路により合成し、又
は入力状態の良い方の復調回路の同期信号出力を両者の
OFDM信号復号器に用いることにより、入来する電波
に対して連続的な復号動作を行い得る直交周波数分割多
重信号のダイバーシティ受信装置を提供することにあ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、少なくとも受信する直交周波数分割多重信
号の中心キャリアの半波長以上異なる場所に隣接して設
置された複数のアンテナと、複数のアンテナに対応して
設けられ、これら複数のアンテナでそれぞれ受信して得
られた直交周波数分割多重信号を別々に復調する複数の
復調器と、複数の復調器から出力された各復調信号のレ
ベルに応じて、複数の復調器における増幅利得を同じ値
に可変制御する出力レベル検出器と、複数の復調器から
出力された各復調信号を加算合成する加算合成器と、加
算合成器の出力合成信号を自己適応型復号テーブルを用
いて復号する復号手段とを有する構成としたものであ
る。
【0021】本発明では、設置場所の異なる複数のアン
テナにより受信した直交周波数分割多重信号を、複数の
復調器で別々に復調した信号を合成してから復号するよ
うにしているため、仮に或るアンテナにおいて直接波と
間接波(マルチパス信号)とが逆相関係にあり、打ち消
される場合でも別のアンテナにおいては良好な状態で直
交周波数分割多重信号を受信できる。
【0022】また、本発明では、複数の復調器の出力復
調信号レベルに応じて、複数の復調器における増幅利得
を同じ値に可変制御するようにしているため、或る復調
器において良好な状態で受信復調をしているときは、他
の復調器の状態に関係なく必要以上に増幅利得を増加さ
せないようにできる。
【0023】 また、本発明は、上記の目的を達成する
ため、複数の復調器によりそれぞれ直交検波された信号
から受信直交周波数分割多重信号中の特定キャリアにて
伝送されてきた同期用パイロット信号を復号し、その復
号信号に基づいて同期信号を発生する、複数の復調器に
それぞれ設けられた同期信号発生手段と、複数の同期信
号発生手段からの同期信号をそれぞれ入力信号として受
ると共に、復調器に入力される信号レベルに対応する
レベルの信号を入力信号として受け、復調器に入力され
る信号レベルが所定値以上である復調器の同期信号発生
手段からの同期信号のみを合成し、合成した同期信号に
基づいて直交検波後の信号の復調動作をする同期信号合
成手段を有する。これにより、本発明では、複数の復
調器のうちの或る復調器の同期信号レベルが不足すると
きでも、別の復調器の良好なレベルの同期信号に基づい
て復調できる。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面と共に説明する。図1は本発明になる直交周波数
分割多重信号のダイバーシティ受信装置の一実施の形態
のブロック図を示す。同図において、この実施の形態
は、本出願人が先に特願平8−43854号にて提案し
た、直交周波数分割多重信号伝送方式により送信された
OFDM信号を受信する受信装置である。すなわち、こ
の本出願人の提案になる直交周波数分割多重信号伝送方
式では、送信側で既知の基準データとして参照信号をO
FDM信号中に挿入して送信し、受信側でこの参照信号
に基づいて、I信号とQ信号の誤差を示す伝送路特性を
検出し、自己適応型復号テーブルを参照して補正式を求
めて伝送路特性を補正するものである。
【0025】ここでは、OFDM信号を構成する複数の
キャリアのうち、中心キャリアに対してクロストークの
影響のある、互いに対称な高域側の一のキャリアと低域
側の一のキャリアとを組として、これらのキャリアの組
で参照信号を伝送する。更に、ここでは参照信号を挿入
するキャリアの組をシンボル番号で指定し、かつ、キャ
リアの組を一定時間毎に切り替えることにより、すべて
のキャリアについての伝送路特性をも検出するものであ
る。
【0026】送信装置から送信された多値QAM(例え
ば256QAM)のOFDM信号は、伝送路を経て第1
及び第2のアンテナにより受信される。ここで、これら
第1及び第2のアンテナは、上記の高周波数帯のOFD
M信号の中心キャリア(例えば、百数十MHz)の半波
長以上互いに離れた位置に設置されている。これらの第
1及び第2のアンテナにより別々に受信された高周波数
帯のOFDM信号は、端子1a、1bを介して対応して
別々に設けられた後述の第1及び第2のOFDM復調器
2a、2bにそれぞれ供給されて、復調される。
【0027】OFDM復調器2a、2bによりそれぞれ
復調された復調信号は、一部が分岐されて出力レベル検
出器3に供給されて加算合成された出力レベルが検出さ
れる。出力レベル検出器3は、OFDM復調器2a、2
b内の自動利得制御回路(AGC)を備えた増幅器に対
して、検出レベルに応じた信号を利得制御信号として供
給して、共通の利得に制御する。また、図1には図示し
ていないが、OFDM復調器2a、2bは、生成した同
期信号を互いに比較し合い、常に良好な方、あるいは合
成した同期信号を用いるように工夫している。
【0028】また、OFDM復調器2a、2bによりそ
れぞれ復調された復調信号は、加算合成器4に供給さ
れ、ここで加算合成された後、QAM復号器5及び自己
適応型復号テーブル6にそれぞれ供給される。自己適応
型復号テーブル6は、前述したように、特定のキャリア
にシンボル番号が挿入され、シンボル番号に対応した一
組のキャリアに既知の参照信号(基準データ)が挿入さ
れたOFDM信号を復調して得られた信号から、シンボ
ル番号と参照信号とに基づいて自己適応型復号テーブル
6の補正式を参照して出力し、QAM復号器5に復号さ
せる。
【0029】この自己適応型復号テーブル6及びQAM
復号器5の動作は、本発明の要旨ではないので詳細な説
明は省略するが、前述した本出願人の提案になる特願平
8−43854号に記載した方法と同じ方法で復号を行
う。これにより、QAM復号器5において、移動体通信
などで発生するマルチパス環境等の比較的高速に変化す
る伝送路特性が、シンボル毎に最適に補正され、それに
より得られた復号データが出力端子7へ出力される。
【0030】図2は本発明になる直交周波数分割多重信
号のダイバーシティ受信装置の要部の一実施の形態のブ
ロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一
符号を付し、その説明を省略する。図2において、第1
のOFDM復調器2a及び第2のOFDM復調器2bは
それぞれ同一構成であるので、第1のOFDM復調器2
aのみ代表して詳細ブロックが記載してある。すなわ
ち、第1のOFDM復調器2aは、高周波増幅器11、
周波数変換器12、局部発振器13、中間周波増幅器1
4、直交検波器15、中間周波発振器16、同期信号復
号器17、同期信号発生器18、A/D変換器19及び
高速フーリエ変換(FFT)回路20より構成されてお
り、出力レベル検出器3、中間周波合成器21及び同期
信号合成器22より各種の信号が入力されて動作が制御
される。
【0031】次に、この実施の形態の動作について説明
するに、第1のアンテナにより受信された高周波数帯
(VHF帯又はUHF帯)のOFDM信号は、高周波増
幅器11により高周波増幅された後、平衡変調器等で構
成された周波数変換器12に入力され、ここで局部発振
器13からの所望の受信チャネルに応じた局部発振周波
数信号を用いて周波数変換し、中間周波信号を得る。な
お、ここでは、局部発振器13は第2のOFDM復調器
2bにも共用されている。
【0032】 周波数変換器12から取り出された中間
周波信号は、中間周波増幅器14で周波数選択及びAG
C機能を有する増幅が行われる。すなわち、出力レベル
検出器3により第1及び第2のOFDM復調器2a及び
2bの復調出力信号を加算合成した信号のレベルに応じ
た利得制御信号が取り出されて中間周波増幅器14に供
給され、その利得が可変制御される。この場合、出力レ
ベル検出器での合成信号レベルが所定値以上であると
き、上記の利得が減少するように制御される。従って、
2つのアンテナのうち、一方のアンテナにより受信しよ
うとする信号に対して大きな入力レベルがあるときは、
たとえ他方の回路に入力される信号レベルが小さくと
も、回路の利得を必要以上に上昇させるような動作は行
わない。
【0033】中間周波増幅器14より取り出された中間
周波数のOFDM信号は2分岐され、一方は直交検波器
15に供給され、他方は中間周波発振器16に供給され
る。中間周波発振器16は、入力された中間周波数のO
FDM信号の中心周波数で発振するように、電圧制御型
水晶発振器(VCXO)などをフィードバックループ中
に用いる位相同期ループ(PLL)回路により構成され
ており、これにより入力された中間周波数のOFDM信
号の中心キャリアに正確に同期して発振する。この中間
周波発振器16の出力信号は、同様にして第2のOFD
M復調器2b内の中間周波発振器から出力された信号と
中間周波合成器21で合成された後、直交検波器15に
復調用搬送波として入力される。
【0034】直交検波器15は、中間周波合成器21よ
りの信号に基づき、中間周波増幅器14から出力された
中間周波数のOFDM信号を直交検波し、振幅変調波成
分と角度変調波成分とに分けて検波、出力する。このよ
うにして得られた両信号成分は、同期信号復号器17、
A/D変換器19及び同期信号合成器22にそれぞれ入
力される。
【0035】 同期信号復号器17は、入力された検波
信号からOFDM信号の所定キャリアにて伝送されてき
た同期用パイロット信号を復号して同期信号発生器18
に入力し、ここでA/D変換器用サンプルクロック信号
と、FFT回路20を駆動するためのサンプルクロック
信号及びシンボル同期信号をそれぞれ発生させる。こ
らの同期信号は、同期信号合成器22に供給され、ここ
で第2のOFDM復調器2b内の同期信号発生器から同
様にして出力された同期信号等と合成される。
【0036】直交検波器15から出力された振幅復調信
号と角度復調信号とは、A/D変換器19に入力されて
同期信号合成器22よりのサンプルクロック信号に基づ
いて、ディジタル信号に変換されてFFT回路20に入
力される。FFT回路20は、入力された振幅復調信号
及び角度復調信号のそれぞれに対して、複素FFTの演
算処理(複素離散的フーリエ変換の演算処理を含む)を
行い、演算結果を復調信号として出力する。この復調信
号出力は、図1に示した加算合成器4に供給されて、他
方の第2のOFDM復調器2bの復調信号出力と加算合
成された後、自己適応型の復号を行う多値QAM復号回
路に供給され、伝送特性の補償を行いつつ、受信データ
の復号が行われる。
【0037】多値QAMを用いるOFDM信号は、多値
がどのレベルであるかを予め送信する参照信号を基にし
て演算し、復号動作を行うが、移動による送信、受信で
は、伝送特性が常に変動しているため、参照信号のレベ
ルも常に変動する。参照信号の送出を多くすると、それ
に応じて受信される参照信号の頻度も多くなり、伝送特
性の変動も検出し易くなるが、それに応じて伝送できる
情報量が減少し、周波数利用効率の面で好ましくない。
【0038】更に、マルチパスによる信号のレベルが大
きい場合は、移動に対する入力信号のレベル変動幅も大
きく、場合によっては入力信号が復号限界レベルよりも
低下してしまう場合もある。この場合、定常的に動作し
ていた回路の動作条件が失われ、再度、同期信号の引き
込み、参照信号の捕獲、入力信号の変動に対する自己等
化追尾といった一連の動作を行った後に入力信号の復号
が可能となる。これらの一連の動作状態に達するまで
に、参照信号が各キャリアの状態を送出し、一巡するた
めに、実施の形態では500シンボル以上の期間を必要
としている。回路が定常状態になる前に復調回路への入
力信号が復号限界よりも低下してしまう場合には、復号
状態に達することができない。
【0039】この実施の形態では、第1及び第2のアン
テナより入来する信号のレベルが変動する場合に、両方
の信号レベルが復調限界レベルよりも低下しないように
お互いに動作を補間しつつ復調を行い、自己適応型の復
号テーブル作成を継続的に行い、復号動作を連続的に行
うことを目的としている。すなわち、OFDM復調器2
aは、第1のアンテナより入力される信号を復調する
が、その復調出力は入力される信号により変動する。第
2のアンテナより入力される信号に対しても同様であ
る。ここで、仮に中間周波増幅器14が個別の入力信号
に対して動作し、個々の出力信号が一定になるように動
作する場合は、入力信号レベルが低下した時にそれを補
償するように動作するため、所定の信号レベルが得られ
るようになるまで回路の利得を増加させる。
【0040】しかし、他方のアンテナにはより大きなS
/N比の良い信号が得られているにもかかわらず、両者
の信号を加算合成すると、信号の質が低下する。そこ
で、この実施の形態では、他方のOFDM復調器に良質
な入力信号が得られているときには必要以上に回路の利
得を増加させないように動作させることで、加算合成し
た信号S/N比を劣化させないように動作する。
【0041】 次に、回路の同期動作について説明す
る。それぞれのOFDM復調器2a及び2bは、それぞ
れに同期信号発生器18を有し、それぞれにより生成さ
れた同期信号は、同期信号合成器22に入力される。同
期信号合成器22は、それぞれの復調器に入力される信
号レベルを直交検波器15の出力信号に基づいて常に監
視し、復調器に入力される信号レベルが所定値以下とな
るときはそちらの復調器より生成された同期信号は使用
しないようにする。
【0042】図3は上記の動作を実現する本発明の要部
である同期信号合成器22の他の実施の形態のブロック
図を示す。同図において、信号レベル検出器32は中間
周波増幅器14の出力信号レベル、ないしは直交検波器
15の出力レベルを監視しており、そのレベルが所定値
以下となった時にスイッチ回路31をオフとするスイッ
チング信号をスイッチ回路31へ出力する。スイッチ回
路31は同期回路出力部に設けられており、これらの出
力信号レベルが所定値以下となった時の信号レベル検出
器32の出力スイッチング信号により、同期信号発生器
18よりの信号を同期信号合成器22にある本回路によ
りオフとされ、入力同期信号を出力端子へ通過させず、
遮断する。スイッチ回路31は中間周波増幅器14、あ
るいは直交検波器15の出力信号レベルが所定値よりも
大きい時のみ、入力同期信号を次段へ転送する。
【0043】このように、OFDM復調器は当該OFD
M復調器の信号レベルが不足するときでも、他方のOF
DM復調器より良好な同期信号を得つつ復調するため、
同期が乱れるために信号の復調動作も乱れるといったよ
うな不都合を生じさせないで、復調動作を継続すること
ができる。
【0044】なお、以上の実施の形態では、2つのアン
テナと2つのOFDM復調器2a、2bを用いる場合の
ダイバーシティ受信方式について説明したが、本発明は
以上の実施の形態に限定されるものではなく、3以上の
アンテナ、OFDM復調器を用いる場合にも同様に適用
できる。3以上のアンテナを用いる場合は、隣接するア
ンテナの設置距離を2つのアンテナを用いる場合よりも
更に大きくできるため、隣接するアンテナのうち、一方
のアンテナにおける受信電力が不足する場合でも、他方
のアンテナより正常な受信電力を得る期待値をより増大
できる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
設置場所の異なる複数のアンテナにより受信した直交周
波数分割多重信号を、複数の復調器で別々に復調した信
号を合成してから復号することで、仮に或るアンテナに
おいて直接波と間接波(マルチパス信号)とが逆相関係
にあり、打ち消される場合でも別のアンテナにおいては
良好な状態で直交周波数分割多重信号を受信できるた
め、復号を継続的に行うことができる。
【0046】また、本発明によれば、複数の復調器の出
力復調信号レベルに応じて、複数の復調器における増幅
利得を同じ値に可変制御することにより、或る復調器に
おいて良好な状態で受信復調をしているときは、他の復
調器の状態に関係なく必要以上に増幅利得を増加させな
いようにしたため、S/N比の悪い入力信号レベルの低
い復調信号を加算合成することによる加算合成復調信号
のS/N比の低下を防止できる。
【0047】また、本発明によれば、或る復調器の同期
信号レベルが不足するときでも、別の復調器の良好なレ
ベルの同期信号に基づいて復調するようにしたため、同
期が乱れるために信号の復調動作も乱れるといった不都
合を生じさせることなく、復調動作を継続することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明の要部の一実施の形態のブロック図であ
る。
【図3】図2の要部の他の実施の形態のブロック図であ
る。
【符号の説明】
1a、1b 受信OFDM信号入力端子 2a、2b OFDM復調器(第1、第2の復調器) 3 出力レベル検出器 4 加算合成器 5 QAM復号器 6 自己適応型復号テーブル 7 出力端子 12 周波数変換器 13 局部発振器 14 中間周波増幅器 15 直交検波器 16 中間周波発振器 17 同期信号復号器 18 同期信号発生器 19 A/D変換器 20 FFT回路 21 中間周波合成器 22 同期信号合成器 31 スイッチ回路 32 信号レベル検出器

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも受信する直交周波数分割多重
    信号の中心キャリアの半波長以上異なる場所に隣接して
    設置された複数のアンテナと、 前記複数のアンテナに対応して設けられ、これら複数の
    アンテナでそれぞれ受信して得られた前記直交周波数分
    割多重信号を別々に復調する複数の復調器と、 前記複数の復調器から出力された各復調信号のレベルに
    応じて、前記複数の復調器における増幅利得を同じ値に
    可変制御する出力レベル検出器と、 前記複数の復調器から出力された各復調信号を加算合成
    する加算合成器と、 前記加算合成器の出力合成信号を自己適応型復号テーブ
    ルを用いて復号する復号手段とを有することを特徴とす
    る直交周波数分割多重信号のダイバーシティ受信装置。
  2. 【請求項2】 前記直交周波数分割多重信号は、多値Q
    AM変調された複数のキャリアが周波数分割多重される
    と共に、中心キャリアに対して対称な2つのキャリアで
    既知の値の参照信号を伝送し、かつ、前記参照信号を伝
    送する2つのキャリアを定期的に切り替わる構成の信号
    であり、前記復号手段は受信した前記参照信号に基づき
    前記自己適応型復号テーブルを参照して前記合成信号を
    QAM復号することを特徴とする請求項1記載の直交周
    波数分割多重信号のダイバーシティ受信装置。
  3. 【請求項3】 前記複数の復調器によりそれぞれ直交検
    波された信号から受信直交周波数分割多重信号中の特定
    キャリアにて伝送されてきた同期用パイロット信号を復
    号し、その復号信号に基づいて同期信号を発生する、前
    記複数の復調器にそれぞれ設けられた同期信号発生手段
    と、複数の前記同期信号発生手段からの同期信号をそれ
    ぞれ入力信号として受けると共に、前記復調器に入力さ
    れる信号レベルに対応するレベルの信号を入力信号とし
    て受け、前記復調器に入力される信号レベルが所定値以
    である復調器の前記同期信号発生手段からの同期信号
    のみを合成し、合成した同期信号に基づいて前記直交検
    波後の信号の復調動作をする同期信号合成手段を有す
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の直交周波数分
    割多重信号のダイバーシティ受信装置。
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