JP2901957B2 - ロール及びロールの製造方法 - Google Patents

ロール及びロールの製造方法

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英司 澤
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、緻密で均一な気泡を有
し、柔軟で、水分による膨潤性が小さく、寸法安定性が
良い、導電性ポリウレタンフォームのロール及びロール
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】導電性ポリウレタンフォームは、その弾
力性、多孔質性を利用して電子部品の梱包材、電子遮蔽
材等に利用されている。また最近、複写機、プリンター
などの静電気コントロール用ロールとしても多く用いら
れているが、これらの用途においては緻密で均一な気
泡、寸法安定性及び耐久性が求められており、従来これ
らの要求をすべて満足させる導電性ポリウレタンフォー
ムはなかった。
【0003】従来の導電性ポリウレタンフォームの製造
法としては、発泡樹脂材料にあらかじめ導電性炭素粒子
を配合し、フォーム生成時にマトリックス樹脂中に導電
性炭素粒子を分散させることにより導電性ポリウレタン
フォームを得る方法が知られているが、この方法では配
合液の粘度が上昇し、発泡がスムーズに行われないこ
と、したがって出来たフォームは気泡が粗大となり、配
合する導電性炭素粒子の量も微量に限られるため、電気
抵抗値が10オーム・cm以下のフォームは作りにくい
等の欠点があった。
【0004】このような問題を解決する為、ポリオキシ
エチレン含有量が60〜100重量%のポリオキシエチ
レン−ポリオキシプロピレン共重合ポリエーテル系ポリ
オールとイソシアネートを反応させた、いわゆる親水性
プレポリマーと、導電性炭素粒子を含む水分散液を化学
当量的に水過剰の条件で混合反応させる技術(特開昭4
9−69794、特公昭61−2086)が既に開示さ
れている。これらの方法で得られた導電性ポリウレタン
フォームは、導電性炭素粒子を多量にポリウレタン樹脂
中に分散できることから所望の導電性は得られるが、し
かしマトリックス樹脂成分が親水性であるため発泡後の
水分蒸発に伴う寸法収縮が大きく、また圧縮永久歪が大
きい等の問題があり、ロール等の用途には適さない。
【0005】かかる問題点を解決するためには、使用す
るポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合ポ
リエーテル系ポリオールのポリオキシエチレン含有量を
減らすことが効果的であるが、ポリオキシエチレン含有
量の低下は原料ポリオール及びそれを用いたプレポリマ
ーの親水性を低下させ、化学当量的に過剰の水を用いた
発泡では発泡時にフォームの崩壊、セル荒れ、クラック
等の現象を起こすので、良好なフォームが得られない欠
点があった。
【0006】またこれとは別に、あらかじめ作られたポ
リウレタンフォームに導電性塗料を含浸コーティングす
る技術(特公昭57−24371)があるが、この方法
では導電性物質がポリウレタンフォームの気泡を構成す
る樹脂骨格に付着しているだけであるため、繰り返し圧
縮、摩耗等で脱落し導電性が低下するという問題があ
る。また求めるフォームが緻密な気泡である場合、フォ
ームの中まで導電性塗料液を含浸させることが難しく、
実質的にこの方法で緻密な気泡の、安定した導電性ポリ
ウレタンフォームを得ることは出来ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、緻密で均一
な気泡を有し、柔軟で、水分による膨潤性が小さく、寸
法安定性が良い、導電性ポリウレタンフォームのロール
及びロールの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のロールは、ウレ
タンプレポリマーに、そのイソシアネート基に対して化
学当量的に過剰の水量を供給する量の導電性炭素粒子の
水分散液を加えて混合・発泡した導電性ポリウレタンフ
ォームを有するロールにおいて、ウレタンプレポリマー
がポリオキシエチレン連鎖含有量が全ポリオール量の3
0重量%以下であるポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレン共重合ポリエーテル系ポリオールを化学当量的
に過剰のイソシアネート成分と反応させることにより得
られたものであることを特徴とする。また本発明に関わ
るロールの製造方法は、ウレタンプレポリマーに、その
イソシアネート基に対して化学当量的に過剰の水量を供
給する量の導電性炭素粒子の水分散液を加えて混合・発
泡した導電性ポリウレタンフォームを有するロールの製
造方法において、ウレタンプレポリマーがポリオキシエ
チレン連鎖含有量が全ポリオール量の30重量%以下で
あるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合
ポリエーテル系ポリオールを化学当量的に過剰のイソシ
アネート成分と反応させることにより得られたものであ
り、かつ、混合後の発泡を大気圧下で自由発泡した場合
のフォーム体積よりも小さい内容積を有するモールド内
で成形することを特徴とする。
【0009】上記ウレタンプレポリマーの調製に使用す
るポリオールは、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスルトール、ソルビトール等の多価アル
コールやアミン類等、2個以上の活性水素を含有する化
合物の一種又は二種以上に、エチレンオキサイドやプロ
ピレンオキサイドを付加して作られるが、最終的に得ら
れるポリオール中、エチレンオキサイドの付加により形
成されるポリオキシエチレン連鎖が全ポリオール量の分
子量中の30%重量以下であるポリオール単独、あるい
はポリオキシエチレン連鎖を有するポリオールとそれを
有しないポリオールをブレンドして作成されたポリオー
ル全量に対するポリオキシエチレン連鎖の量が30重量
%以下になるよう調整したポリオールを用いる。
【0010】本発明で用いるウレタンプレポリマーは、
上記ポリオールに化学当量以上のイソシアネート成分を
反応させ過剰のイソシアネート成分を含むよう調製され
たもので、ウレタンプレポリマー中のNCO基含有率が
3〜30重量%であるものが望ましい。ウレタンプレポ
リマーのNCO基含有率が3重量%未満では系の粘度が
上昇して取扱が難しくなり、また発生するガス量が少な
くなることから発泡体の密度のコントロールも難しくな
る。またNCO基含有率が30重量%を越えるものでは
発生するガス量が多すぎて緻密なセルが得難く実用的で
はない。
【0011】ウレタンプレポリマー調製に用いるイソシ
アネートとしては、トリレンジイソシアネート、(TD
I)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、
ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシ
アネート、シクロヘキシル−メタンジイソシアネート、
キシリレンジイソシアネート、ポリメチルポリフェニル
イソシアネート、粗TDI、粗MDI、変性MDI等が
挙げられる。
【0012】導電性炭素粒子を含む水分散液はカーボン
ブラック又はグラファイト等の導電性炭素粒子を界面活
性剤等と共に水に分散したもので、分散性、水分散液の
粘度等の観点から炭素粒子の含有量が5〜50重量%の
ものが好ましく、カーボンブラックの種類としてはファ
ーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラッ
ク、アセチレンブラック、カラーブラック等のいずれで
も良い。
【0013】本発明においては、ウレタンプレポリマー
と導電性炭素粒子の水分散液のほかに、第3成分として
シリコン系整泡剤、アミン系、錫系の触媒、それに必要
に応じて低沸点の溶剤も補助発泡剤として用いることが
できるが、その種類等に関しては一般的なポリウレタン
発泡体製造用のものが用いられ、特に制限はない。ウレ
タンプレポリマーと導電性炭素粒子の水分散液の混合比
率は、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対し
化学当量的に過剰の水量となる量の導電性炭素の水分散
液を加えなければならない。それ以下では最終的なウレ
タンフォームに十分な導電性を付与するだけの導電性炭
素粒子を混入することが難しく、また発泡倍率が上昇し
て本発明が目標とする緻密なセルが得られない。水量の
上限に特に制限はないが、ウレタンプレポリマーのイソ
シアネート基に対し化学当量的に300倍以上の水量は
ウレタンプレポリマーとの相溶性の面から均一混合が難
しくなり好ましくない。
【0014】使用するモールドは密閉型のものが好まし
く、モールド内容積は少なくとも大気圧下での自由発泡
で得られるフォーム体積よりも小さいものとする。この
ようなモールドを使用すれば、成形時にはモールド内は
必然的に大気圧より高圧となるので、大気圧下自由発泡
ではセル荒れ、クラック等が発生するものが、モールド
内で加圧成形されることによりセルが安定化するものと
推測される。
【0015】大気圧下での自由発泡体積に対するモール
ド内容積の比率であるが、少なくとも1より小さく、好
ましくは0.5〜0.9の範囲が良い。0.5以下では
発泡時にモールドにかかる圧力が高くなるので型の設計
が難しくなることと、製品のセルが独立気泡になりモー
ルドの圧力を抜くのに時間がかかる等生産性に難が生
じ、0.9以上ではセルが粗になる傾向がある。
【0016】
【実施例1】グリセリンにプロピレンオキサイドとエチ
レンオキサイドを付加して最終的にポリオキシエチレン
連鎖の含有量を20重量%とした分子量5000のポリ
エーテル系ポリオール100gと、トリレンジイソシア
ネート(2,6異性体量20%:日本ポリウレタン
(株)製:TDI80)25gを反応させてNCO含有
量7.5重量%のウレタンプレポリマーを得た。このウ
レタンプレポリマー100gに、導電性カーボンブラッ
ク8重量%を含む導電性カーボン水分散液(ライオン
(株)製:W−311N)25gと、反応活性化触媒と
してNメチルモルフォリン1g及びトリエチルアミン
0.3g、それにシリコン系界面活性剤(日本ユニカー
(株)製:L−520)1.5gを秤量添加し、8秒間
撹拌混合した後直ちに内容積900cmのモールド内に
注入した。この場合、ウレタンプレポリマーのイソシア
ネート基に対して添加された水量は化学当量で12倍で
あった。なお同一配合、同一量の原料を大気圧下で自由
発泡した場合の体積は1125cmであった。その後発
泡液が硬化するに要する時間(約10分)後に圧力を抜
き発泡体を取り出したところ、表1の物理特性値を有す
る緻密なセルを持つ良好な導電性ポリウレタンフォーム
が得られた。
【0017】
【実施例2】ポリウレタン発泡用発泡機を用いて実施例
1で使用したのと同じ配合の原料組成物6200gを幅
550mm、奥行550mm、高さ150mmのアルミ
ニウム製モールドに入れ密閉して発泡させ、約15分後
に取り出した導電性ポリウレタンフォームの物性を表1
に示す。フォームはクラック等の発生がない良好なフォ
ームであった。
【0018】
【表1】
【0019】
【比較例1】実施例2と同じ方法で同じモールド内に実
施例2で使用したのと同じ配合で同量の原料組成物を幅
550mm、奥行550mm、高さ300mmで上部が
開放状態のモールドに入れ大気圧下で自由発泡させたと
ころ、15分後に取り出されたフォームはクラックが発
生、気泡も荒れており、しかも抵抗値は1×10オーム
・cm以上で、導電性ポリウレタンフォームとして種々
の用途に耐えるようなものではなかった。
【0020】
【比較例2】実施例1で調製したのと同じウレタンプレ
ポリマーに、実施例1で使用した導電性カーボンブラッ
ク水分散液に用いられたものと同じ導電性カーボンブラ
ック(ライオンアクゾ社製:ケッチェンブラックEC)
微粉末2g(ウレタンプレポリマーに対するカーボンの
添加量は実施例1と同量)を添加して発泡を試みたが、
ウレタンプレポリマーの粘度が上がり撹拌発泡できる状
態ではなかった。
【0021】
【比較例3】グリセリンにプロピレンオキサイドとエチ
レンオキサイドを付加して最終的にポリオキシエチレン
連鎖の含有量を60重量%とした分子量5000のポリ
エーテル系ポリオール100gを実施例1と同様にトリ
レンジイソシアネート25gを反応させて得たNCO含
有量7.5重量%のウレタンプレポリマーを用いたほか
は実施例1と同じ配合で、混合発泡するに当たり常圧下
で自由発泡させたところ、クラック、セル荒れのない良
好なフォームが得られたが、得られたフォームの水膨潤
度は13%と大きく、水分による寸法安定性にも問題が
あり、また圧縮永久歪も23%で、複写機等のロール用
としては使用に耐えないものであった。
【0022】
【比較例4及び実施例3】グリセリンにプロピレンオキ
サイドとエチレンオキサイドを付加して最終的にポリオ
キシエチレン連鎖の含有量を10重量%から100重量
%まで変化させた分子量5000のポリエーテル系ポリ
オール100gを実施例1と同様にトリレンジイソシア
ネート25gを反応させて得たNCO含有量7.5重量
%のウレタンプレポリマーを用いたほかは実施例1と同
じ配合で、大気圧下で自由発泡した場合(比較例)の特
性を表2に、また実施例1と同様にモールド成形した場
合の特性を表3に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】ロール用途としては圧縮永久歪10%以
下、水膨潤性10%以下であることが必要であるが、ポ
リオキシエチレン連鎖含有量が全ポリオール量の30重
量%以下であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピ
レン共重合ポリエーテル系ポリオールを用いた実施例は
いずれもこの要件を満たしている。
【0026】
【実施例4】グリセリンにプロピレンオキサイドのみを
付加して得られた分子量4500のポリオール100g
に、グリセリンにエチレンオキサイドのみを付加して得
られた分子量5000のポリエーテル系ポリオール50
gをブレンドして全ポリオール量に対するポリエチレン
オキサイド連鎖の量を30重量%としたブレンドポリオ
ールを作成して、このポリオール100gとトリレンジ
イソシアネート25gを反応させてウレタンプレポリマ
ーを得た。このウレタンプレポリマーを用いて実施例1
と同様の操作でモールド成形された導電性ウレタンフォ
ームは表4に示す特性を持つフォームであった。
【0027】
【表4】
【0028】
【発明の効果】緻密で均一な気泡を有し、柔軟で、水分
による膨潤性が小さく、寸法安定性が良い導電性ポリウ
レタンフォームのロール及びロールの製造方法を提供し
得る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 75/04 C08L 75/04 G03G 15/00 G03G 15/00 // B29K 75:00 B29L 31:32 (56)参考文献 特開 昭59−84914(JP,A) 特開 平2−209962(JP,A) 特開 昭57−185602(JP,A) 特開 昭58−157854(JP,A) 特開 平1−292041(JP,A) 特開 昭60−32852(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 9/00 - 9/42 C08G 18/00 - 18/87 C08K 3/00 - 3/04 C08L 75/00 - 75/16 B29C 39/00 - 39/44 G03G 15/00 B29K 75:00 B29L 31:32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウレタンプレポリマーに、そのイソシア
    ネート基に対して化学当量的に過剰の水量を供給する量
    の導電性炭素粒子の水分散液を加えて混合・発泡した導
    電性ポリウレタンフォームを有するロールにおいて、ウ
    レタンプレポリマーがポリオキシエチレン連鎖含有量が
    全ポリオール量の30重量%以下であるポリオキシエチ
    レン−ポリオキシプロピレン共重合ポリエーテル系ポリ
    オールを化学当量的に過剰のイソシアネート成分と反応
    させることにより得られたものであることを特徴とする
    ロール。
  2. 【請求項2】 ウレタンプレポリマーに、そのイソシア
    ネート基に対して化学当量的に過剰の水量を供給する量
    の導電性炭素粒子の水分散液を加えて混合・発泡した導
    電性ポリウレタンフォームを有するロールの製造方法に
    おいて、ウレタンプレポリマーがポリオキシエチレン連
    鎖含有量が全ポリオール量の30重量%以下であるポリ
    オキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合ポリエー
    テル系ポリオールを化学当量的に過剰のイソシアネート
    成分と反応させることにより得られたものであり、か
    つ、混合後の発泡を大気圧下で自由発泡した場合のフォ
    ーム体積よりも小さい内容積を有するモールド内で成形
    することを特徴とするロールの製造方法。
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