JP2899389B2 - 高速炉の炉心 - Google Patents

高速炉の炉心

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は高速炉に係わり、特に炉心構成要素の流量配
分、出力分布の配分構成を改良した高速炉の炉心に関す
る。
(従来の技術) 一般に高速炉の炉心は、核分裂性物質を装荷した多数
の燃料集合体から構成され、燃料からの熱除去のための
冷却材として主にナトリウムが使用されている。通常、
ナトリウムは蒸発してボイド化されることはないが、万
一の事故を想定して、ナトリウムがボイド化した場合で
も炉心が安全に停止することを確認している。
ナトリウムがボイド化する原因として、冷却材流量が
減少し、ナトリウム温度が上昇、沸騰する場合と、炉心
外で大量の気体が冷却材に混入し炉心に流れ込む場合が
考えられる。
ナトリウムがボイド化した時の応答としては、炉心が
小型の時は中性子の炉心からの洩れが大きいため、負の
反応度が入り、炉心は安全に停止する。しかし、炉心が
大型になると、中性子の漏れが少なくなり、ナトリウム
がボイド化したときの反応度は正となり、炉心が安全に
停止するか否かに関しては、他の反応度要因をも含めた
詳細な解析を行い、その安全性を確認する必要が生じ
る。従って、ナトリウムのボイド反応度を小さくできれ
ば、安全設計上非常に価値がある。
(発明が解決しようとする課題) ところで、プラント設計上からスケールメリットの観
点で炉心出力を極度に小さくすることは好ましくない。
一方、ナトリウムがボイド化したときの炉心の反応度を
負にするには、従来設計では炉心出力を100MWe程度以下
にしなければならず、スケールメリットは生かせなかっ
た。しかし、大出力にするとナトリウムのボイド反応度
は正になるという問題が生じることとなる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであ
り、ナトリウムのボイド反応度を従来炉心より低減する
ことができより大きな出力の炉心を有する高速炉を提供
することを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を構成するための手段) 本発明は、核分裂性物質を装荷した燃料集合体と、前
記燃料集合体の間に配置され、前記燃料集合体から漏洩
する中性子を吸収して発熱する発熱物質を内部に含む先
行ボイドチャンネルであって、前記先行ボイドチャンネ
ル内を流れる冷却材流量に対する前記発熱物質から発生
する出力の比が、前記燃料集合体を冷却する冷却材流量
に対する前記燃料集合体の核反応による発熱で得られる
出力の比よりも大きい先行ボイドチャンネルとを備えて
なることを特徴とする。
(作用) 冷却材流量減少によりボイド化を生じた場合、先行ボ
イドチャンネルは出力/流量の比が大きいため、最初に
ボイド化する。続いて燃料集合体もボイド化するが、先
行ボイドチャンネルがボイド化しているため、燃料集合
体で発生した中性子は先行ボイドチャンネルから炉心上
下方向に漏洩し、負の反応度となる。気体が流入してボ
イド化した場合も、同様の作用となる。
(実施例) 以下本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。
第1図は本発明の実施例を示す縦断面図である。炉心
部7に核分裂性物質を含み、上下に親物質からなる軸ブ
ランケット部6及び核分裂ガスを蓄積するガスプレナム
部を配置した多数の燃料集合体2と燃料集合体2の間に
配置され、内部に発熱物質8を含む複数の先行ボイドチ
ャンネル1とからなる炉心が、親物質を含むブランケッ
ト集合体3及び中性子遮蔽体4により取り囲まれてい
る。
発熱物質8は、炉心部7から漏洩する中性子またはガ
ンマ線と反応して発熱するステンレス、タンタル等の金
属が適当である。そして、先行ボイドチャンネル1の下
部から流入する冷却材流量に対する先行ボイドチャンネ
ル内の出力の比が、燃料集合体における流量に対する核
分裂による出力の比に比べ大きくなるように、先行ボイ
ドチャンネル1の発熱物質の発熱量及び流量が設定され
ている。
次に本実施例の作用について説明する。冷却材流量が
減少した場合、先行ボイドチャンネル1は出力/流量の
比が大きいため最初にボイド化する。続いて燃料集合体
2もボイド化するが、先行ボイドチャンネル1がボイド
化しているため、燃料集合体2で発生した中性子は、先
行ボイドチャンネル1から炉心上下方向に漏洩し、負の
反応度効果を与える。炉心外から気体が流入する場合
は、先行ボイドチャンネル1が燃料集合体2と同時にボ
イド化する。このため、燃料集合体4で発生した中性子
は、先行ボイドチャンネル1から炉心上下方向に漏洩
し、負の反応効果を与える。
この結果、本実施例の炉心のナトリウムボイド反応度
は、先行ボイドチャンネルの無い炉心に比べ低減でき
る。
例えば、炉心高さが60cm、炉心直径が約330cmの場
合、先行ボイドチャンネルが無い場合の365日燃焼後の
炉心高さナトリウムボイド反応度は、約3$であるが、
先行ボイドチャンネルを、第2図の様に配置した場合
の、同一サイズの炉心でのナトリウムボイド反応度は炉
心高さ部ナトリウムボイド反応度は約0$となる。ま
た、先行ボイドチャンネル1が軸ブランケット部までボ
イド化した場合のナトリウムボイド反応度は、約−4$
となる。
本発明の先行ボイドチャンネル1の配置は、上記例に
限られるものでなく、また、先行ボイドチャンネル内の
発熱物質は上記例に限られるものではない。即ち、先行
ボイドチャンネルの配置は、ボイド時にナトリウムボイ
ド反応度をほぼ零または負になるよう配置されれば良
く、発熱物質は発熱量が上記作用を満足するように設定
されていれば良い。
従って、先行ボイドチャンネルとして、従来制御棒チ
ャンネルとして炉心に配置されていたチャンネルを上記
作用を有するように変更しても良い。
〔発明の効果〕
本発明により高速炉炉心のナトリウムボイド反応度
は、先行ボイドチャンネルの無い炉心に比べ低減でき、
安全性、許認可性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明の一実施例を示し、第1図
はその縦断面図、第2図はその横断面図である。 1……先行ボイドチャンネル、2……燃料集合体。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】核分裂性物質を装荷した燃料集合体と、前
    記燃料集合体の間に配置され、前記燃料集合体から漏洩
    する中性子を吸収して発熱する発熱物質を内部に含む先
    行ボイドチャンネルであって、前記先行ボイドチャンネ
    ル内を流れる冷却材流量に対する前記発熱物質から発生
    する出力の比が、前記燃料集合体を冷却する冷却材流量
    に対する前記燃料集合体の核反応による発熱で得られる
    出力の比よりも大きい先行ボイドチャンネルとを備えて
    なる高速炉の炉心。
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