JP2892591B2 - 消防自動車および消防システム - Google Patents

消防自動車および消防システム

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JP2892591B2
JP2892591B2 JP6204542A JP20454294A JP2892591B2 JP 2892591 B2 JP2892591 B2 JP 2892591B2 JP 6204542 A JP6204542 A JP 6204542A JP 20454294 A JP20454294 A JP 20454294A JP 2892591 B2 JP2892591 B2 JP 2892591B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、消防自動車ならびに複
数の消防自動車から構成される消防システムに関する。
【0002】
【従来の技術】図10に示すように、従来の消防自動車
100は、消火用流体の吐出用主ポンプ101と、その
主ポンプ101の駆動用エンジン102と、その主ポン
プ101の吸引側に並列に接続されて選択的に使用され
る2種類の消火用流体導入口103、104と、その導
入口103、104の開閉コック105、106と、そ
の主ポンプ101の吐出側に接続される消火用流体の放
射口107と、その放射口107の開閉コック108
と、その主ポンプ101の吸引側圧力を示す圧力計10
9と、その吐出側圧力を示す圧力計110とを備える。
一方の導入口103は、消火栓111あるいは他の消防
自動車112等における消火用流体送り出し口にホース
配管等113を介し接続され、他方の導入口104は河
川や池等119にホース配管等114を介し接続され、
その放射口107は放射ノズル115にホース配管等1
16を介し接続される。
【0003】その放射ノズル115から放射される消火
用流体の流量は、そのノズル口径や主ポンプ101の吐
出側圧力あるいは吐出側流量に応じ変化することから、
必要とされる放射流量に応じノズル口径を変化させた
り、主ポンプ101の吐出側圧力あるいは吐出側流量を
エンジン102の回転数制御等により変化させること等
により制御される。
【0004】図11に示すように、消火用流体が化学薬
品等の消火剤原液と水等の希釈液との混合液である化学
消防自動車120は、その消火剤原液の吐出用補助ポン
プ121を備える。その補助ポンプ121の吐出側は主
ポンプ101の吸引側と導入口103、104との間に
配置され、原液タンク122から補助ポンプ121によ
り吸引される消火剤原液は、主ポンプ101の吸引側に
導入される希釈液に混入される。その補助ポンプ121
はエンジン102により主ポンプ101に対し一定の回
転比で駆動される。なお、図11における消防自動車1
20において図10の消防自動車100と同一構成は同
一符号で示す。
【0005】図12は、例えば石油コンビナート火災等
の大規模火災用の消防システムを示すもので、第1の消
防自動車100′と第2の消防自動車120′と消火剤
原液のタンク車130とを備える。その第1の消防自動
車100′は、ノズル115の上下移動用ブーム117
を有する以外は図10に示した消防自動車100と同様
の構成である。その第2の消防自動車120′は、ノズ
ル115を備えていない以外は図11に示した化学消防
自動車と同様の構成である。図13に示すように、その
第1の消防自動車100′の主ポンプ101の吸引側に
第2の消防自動車120′の主ポンプの101の吐出側
がホース配管等131を介し接続される。その消火剤原
液のタンク車130は、第2の消防自動車120′の原
液タンク122に消火剤原液を供給する。なお、図1
2、図13において図10、図11の消防自動車10
0、120と同一構成は同一符号で示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記主ポンプ101の
吸引側に河川や池等119から消火用流体を導く場合、
その消火用流体は負圧であるため真空ポンプ等の呼び水
装置(図示省略)を用いて導く必要があるが、導かれた
後は、その主ポンプ101の吐出側圧力や吐出側流量は
エンジン102の制御等により所望の値に設定できる。
【0007】一方、その主ポンプ101の吸引側に消火
栓111あるいは他の消防自動車112等から消火用流
体を導く場合、その消火用流体は正圧であるため呼び水
装置は必要とされない。しかし、主ポンプ101の吐出
側圧力は吸引側圧力よりも低くできないため、主ポンプ
101の制御により所望の放射流量を得るためには、そ
の主ポンプ101の吸引側圧力を吐出側圧力よりも低く
する必要がある。また、消火栓111あるいは他の消防
自動車112等から送られる消火用流体の圧力は常に一
定ではなく変動があり、さらに、主ポンプ101の吐出
流量が変化すると圧力損失が変動することから、主ポン
プ101の吸引側における消火用流体の圧力は常に変動
する。所望の放射流量が得られず、ノズル115からの
放射流量が変動すると、ノズル115を保持する人員が
過大な放射反力を受けたり、消火目標に流体を放射でき
なくなる。また、主ポンプ101の吐出側流量に対し吸
引側圧力が低過ぎる場合、主ポンプ101に吸引される
消火用流体に気泡が生じてキャビテーションにより主ポ
ンプ101を破損させることがある。そのため、主ポン
プ101の吸引側圧力を、圧力計109の指示値に応
じ、消火栓111のバルブ開度を調整したり、他の消防
自動車112の消火用流体の吐出圧力を調整したり、あ
るいは導入口103の開閉コック105の開度を調整す
ることで、常に適正範囲に保持する必要があった。すな
わち、その主ポンプ101の吸引側圧力の調整のための
人員と作業とが必要であった。さらに、消火栓111が
複数の配管接続口を有する場合に、それまで接続されて
いた配管以外に新たな配管が急に接続されたような場合
や、主ポンプ101の吸引側への配管の破損等が生じた
ような場合、それまで接続されていた配管における水圧
が急激に低下する。そのような場合、主ポンプ101の
吐出側流量に対し吸引側圧力が低過ぎる状態になり、主
ポンプ101に吸引される消火用流体に気泡が生じてキ
ャビテーションにより主ポンプ101を破損させること
があることから、主ポンプの回転数を低下させる必要が
あり、そのための人員と作業とが必要であった。
【0008】また、従来の化学消防自動車120におい
て、主ポンプ101の吐出側における必要圧力に対し主
ポンプ101の吸引側圧力が高い場合や、その吐出側と
吸引側の圧力差が小さい場合、主ポンプ101の駆動回
転数を高くする必要がないため、補助ポンプ121の駆
動回転数も低くなる。そうすると、消火剤原液の吐出圧
力を主ポンプ101の吸引側の希釈液に混入するのに必
要な圧力まで充分に大きくできず、希釈液と消火剤原液
とを適正な比で混合できなくなる。これによっても、主
ポンプ101の吸引側圧力を圧力計109を見ながら常
に適正値に調整する必要があった。
【0009】また、従来の消防システムでは、第1の消
防自動車100の主ポンプ101の吐出側流量と、第2
の消防自動車120の主ポンプ101の吸引側圧力とを
適正値に調整するため、例えば第1の消防自動車100
のエンジンスロットルの開度を調整する人員135と、
第2の消防自動車100の導入口103に接続される消
火栓111のバルブ開度の調整を行なう人員136とが
必要であった。さらに、石油コンビナート火災等の大規
模火災では、第1の消防自動車100は火災現場に可及
的に近付けて配置されるため、そのような第1の消防自
動車100の主ポンプ101の吐出側流量を調整する人
員は危険な火災現場の近くで作業を行なう必要がある。
【0010】本発明は、上記課題を解決することのでき
る消防自動車および消防システムを提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本件第1発明の消防自動
車は、消火用流体の吐出用主ポンプと、その主ポンプの
吸引側圧力の検出手段と、その吸引側に正圧の消火用流
体が導入される場合に吸引側圧力を調節可能な圧力制御
弁と、その圧力制御弁を吸引側圧力の検出値と入力され
る設定値との差に応じて調節する手段とを備えている。
その主ポンプの吐出側圧力の検出手段と、その吐出側圧
力の検出値と入力される設定値との差に応じて、その主
ポンプの回転数を制御する手段とを備え、その吐出側圧
力の設定値は吸引側圧力の設定値よりも高い値に設定さ
れるのが好ましい。その主ポンプの吸引側圧力の検出値
が、前記設定値よりも小さい予め設定される許容最小値
以上か否かを判断する手段と、その吸引側圧力の検出値
が許容最小値未満である場合に、その主ポンプの回転数
をキャビテーションが生じることのない回転数にする手
を備えるのが好ましい。あるいは、消火用流体の吐
出用主ポンプと、その主ポンプの吸引側圧力の検出手段
と、その吸引側圧力の調節手段と、その吸引側圧力を吸
引側圧力の検出値と入力される設定値との差に応じ制御
する手段と、その主ポンプの吐出側流量の検出手段と、
その主ポンプの吸引側圧力に対する吐出側流量の許容最
大値の関係を記憶する手段と、その吐出側流量の調節手
段と、その吐出側流量を、吸引側圧力の検出値に対する
許容最大値を超えないように、吐出側流量の検出値と入
力される設定値との差に応じ制御する手段とを備えるの
が好ましい。その消火用流体は消火剤原液と希釈液との
混合液とされ、その主ポンプの吸引側に希釈液導入口が
設けられ、その吸引側圧力調節手段は主ポンプと希釈液
導入口との間に配置され、その消火剤原液の吐出用補助
ポンプの吐出側が前記主ポンプの吸引側と吸引側圧力調
節手段との間に接続されるのが好ましい。
【0012】本件第2発明の消防自動車は、消火用流体
の吐出用主ポンプと、その主ポンプの吐出側流量の検出
手段と、その主ポンプの吸引側圧力の検出手段と、その
吸引側圧力に対する吐出側流量の許容最大値の関係を記
憶する手段と、その吐出側流量の調節手段と、その吐出
側流量を、吸引側圧力の検出値に対する許容最大値を超
えないように、吐出側流量の検出値と入力される設定値
との差に応じ制御する手段とを備える。
【0013】本発明の消防システムは、消火用流体の吐
出用第1主ポンプと、その第1主ポンプの吐出側流量の
検出手段とを有する第1の消防自動車と、消火用流体の
吐出用第2主ポンプと、その第2主ポンプの吐出側圧力
の検出手段と、その第2主ポンプの吐出側圧力の調節手
段と、その第2主ポンプの吸引側圧力の検出手段と、そ
の第2主ポンプの吸引側圧力の調節手段と、その吸引側
圧力を第2主ポンプの吸引側圧力の検出値と入力される
設定値との差に応じ制御する手段とを有する第2の消防
自動車と、その第1主ポンプの吸引側に第2主ポンプの
吐出側を接続する手段と、その第1主ポンプの吐出側流
量に対する第2主ポンプの吐出側圧力の適正値の関係を
記憶する手段と、その第2主ポンプの吐出側圧力を、第
2主ポンプの吐出側圧力の検出値と第1主ポンプの吐出
側流量の検出値に対する第2主ポンプの吐出側圧力の適
正値との差に応じ制御する手段とを備える。その第1主
ポンプの吸引側圧力の検出値と予め設定される許容最小
値との比較結果に応じ、その第1主ポンプの回転数を制
御する手段を備えているのが好ましい。その第1主ポン
プの吐出側流量の調節手段と、その第1主ポンプの吸引
側圧力の検出手段と、その第1主ポンプの吸引側圧力に
対する吐出側流量の許容最大値の関係を記憶する手段
と、その第1主ポンプの吐出側流量を、第1主ポンプの
吸引側圧力の検出値に対する許容最大値を超えないよう
に、第1主ポンプの吐出側流量の検出値と入力される設
定値との差に応じ制御する手段とを備えるのが好まし
い。その消火用流体は消火剤原液と希釈液との混合液と
され、その第2主ポンプの吸引側に希釈液導入口が設け
られ、その第2主ポンプの吸引側圧力調節手段は第2主
ポンプと希釈液導入口との間に配置され、その消火剤原
液の吐出用補助ポンプの吐出側が第2主ポンプの吸引側
と吸引側圧力調節手段との間に接続されるのが好まし
い。
【0014】
【発明の作用および効果】本件第1発明の消防自動車に
よれば、主ポンプの吸引側圧力を検出値と入力される設
定値との差に応じ制御することで、その吸引側圧力を常
に適正範囲に保持できる。その制御は、例えば、その吸
引側圧力の検出値が設定値より大きければ設定値まで減
圧し、その検出値が設定値以下であれば減圧も昇圧も行
なわない制御とすることができる。また、その制御は、
その吸引側圧力の検出値が設定値より大きければ設定値
まで減圧し、その検出値が設定値以下であれば設定値ま
で昇圧する制御であってもよい。これにより、主ポンプ
の吸引側圧力を適正範囲に調整するための人員と作業と
が不要になる。
【0015】その主ポンプの吐出側圧力を検出値と入力
される設定値との差に応じ制御し、その設定値を吸引側
圧力の設定値よりも高い値に設定することで、その吐出
側圧力の設定値の変更や放射ノズルの開度調整等により
所望の放射流量を得ることができる。
【0016】その主ポンプの吸引側圧力の許容最小値
を、その主ポンプの吸引側圧力が許容最小値以上であれ
ば吸引される消火用流体に気泡が生じてキャビテーショ
ンにより主ポンプを破損させるおそれがないように予め
設定し、その許容最小値と主ポンプの吸引側圧力の検出
値との比較結果に応じ主ポンプの回転数を制御すること
で、その主ポンプの吸引側圧力が低くなり過ぎた場合で
もキャビテーションにより主ポンプが破損するのを防止
できる。例えば、その主ポンプの吐出側圧力を検出値と
入力される設定値との差に応じ制御する場合に、その吐
出側圧力の検出値が8kg/cm2 で設定値が10kg
/cm2 であり、その吸引側圧力の検出値が許容最小値
以上であれば、その吐出側圧力が設定値になるように主
ポンプの回転数を増速し、一方、その吸引側圧力の検出
値が許容最小値未満であれば、その吐出側圧力が設定値
より小さい場合であっても主ポンプの増速を行なわず、
さらに、その吸引側圧力の検出値が許容最小値未満であ
る時間が予め設定した時間を超えると主ポンプの回転数
を減速する。また、その主ポンプの吐出側流量を検出値
と入力される設定値との差に応じ制御する場合に、その
吐出側流量の検出値が3000リットル/分で設定値が
3500リットル/分であり、その吸引側圧力の検出値
が許容最小値以上であれば、その吐出側流量が設定値に
なるように主ポンプの回転数を増速し、一方、その吸引
側圧力の検出値が許容最小値未満であれば、その吐出側
流量が設定値より小さい場合であっても主ポンプの増速
を行なわず、さらに、その吸引側圧力の検出値が許容最
小値未満である時間が予め設定した時間を超えると主ポ
ンプの回転数を減速する。
【0017】その主ポンプの吐出側流量を検出値と入力
される設定値との差に応じ制御することで、所望の放射
流量を得ることができる。また、主ポンプの吸引側圧力
を適正範囲に制御することで、吐出側流量に対し吸引側
圧力が低くなり過ぎることはなく、主ポンプに吸引され
る消火用流体に気泡が生じてキャビテーションにより主
ポンプを破損させてしまうのを防止できる。さらに、そ
の吸引側圧力の制御に遅れがあって吐出側設定流量に対
し吸引側検出圧力が低過ぎる状態になっても、その吐出
側流量が吸引側圧力の検出値に対する許容最大値を超え
ないように制御することで、主ポンプに吸引される消火
用流体に気泡が生じてキャビテーションにより主ポンプ
を破損させてしまうのを防止できる。すなわち、その吸
引側圧力の検出値に対する吐出側流量の許容最大値は、
キャビテーションにより主ポンプを破損させるおそれが
ないように予め設定される。
【0018】その消火用流体が消火剤原液と希釈液との
混合液である場合に、その吸引側圧力調節手段を主ポン
プと希釈液導入口との間に配置し、その消火剤原液の吐
出用補助ポンプの吐出側を主ポンプの吸引側と吸引側圧
力調節手段との間に接続することで、主ポンプの吸引側
圧力が補助ポンプの吐出側圧力よりも高くなったり、主
ポンプの吐出側における必要圧力と吸引側圧力との差が
小さくなるのを防止し、補助ポンプの吐出側圧力を主ポ
ンプの吸引側の希釈液に混入するのに充分な大きさと
し、希釈液と消火剤原液とを適正な比で混合することが
可能になる。
【0019】本件第2発明の消防自動車によれば、主ポ
ンプの吐出側流量を検出値と入力される設定値との差に
応じ制御することで、所望の放射流量を得ることがで
き、その際、その吐出側設定流量に対し吸引側検出圧力
が低過ぎる状態になっても、その吐出側流量が吸引側圧
力の検出値に対する許容最大値を超えないように制御す
ることで、主ポンプに吸引される消火用流体に気泡が生
じてキャビテーションにより主ポンプを破損させてしま
うのを防止できる。
【0020】本発明の消防システムによれば、第2の消
防自動車においては本件第1発明の消防自動車と同様に
第2主ポンプの吸引側圧力を常に適正範囲に保持でき
る。また、第1の消防自動車における第1の主ポンプの
吸引側は第2の消防自動車における第2の主ポンプの吐
出側に接続され、その第2主ポンプの吐出側圧力は、第
2主ポンプの吐出側圧力の検出値と第1主ポンプの吐出
側流量の検出値に対する第2主ポンプの吐出側圧力の適
正値との差に応じ制御されるので、その第1の主ポンプ
の吸引側圧力を常に適正範囲に保持できる。すなわち、
第1の消防自動車における第1の主ポンプの吐出側流量
と、第2の消防自動車における第2の主ポンプの吸引側
圧力とを適正範囲に調整するための人員と作業とが不要
になり、また、第1の消防自動車の主ポンプの吐出側流
量を危険な火災現場の近くで調整する必要もなくなる。
【0021】その第1主ポンプの吸引側圧力の許容最小
値を、その第1主ポンプの吸引側圧力が許容最小値以上
であれば吸引される消火用流体に気泡が生じてキャビテ
ーションにより第1主ポンプを破損させるおそれがない
ように予め設定し、その許容最小値と第1主ポンプの吸
引側圧力の検出値との比較結果に応じ第1主ポンプの回
転数を制御することで、その第1主ポンプの吸引側圧力
が低くなり過ぎた場合でもキャビテーションにより第1
主ポンプが破損するのを防止できる。
【0022】その第1の主ポンプの吐出側流量を検出値
と入力される設定値との差に応じ制御することで、所望
の放射流量を得ることができる。また、第2の主ポンプ
の吐出側圧力を適正範囲に制御することで第1の主ポン
プの吸引側圧力を適正範囲に制御する場合に、第1の主
ポンプの吸引側圧力が適正範囲になるまでに遅れがあっ
て第1の主ポンプの吐出側流量に対し第1の主ポンプの
吸引側圧力が低過ぎる状態になっても、第1の主ポンプ
の吐出側流量が第1の主ポンプの吸引側圧力の検出値に
対する許容最大値を超えないように制御することで、第
1の主ポンプに吸引される消火用流体に気泡が生じてキ
ャビテーションにより第1の主ポンプを破損させてしま
うのを防止できる。
【0023】その消火用流体が消火剤原液と希釈液との
混合液である場合に、第2の主ポンプの吸引側圧力調節
手段を第2の主ポンプと希釈液導入口との間に配置し、
その消火剤原液の吐出用補助ポンプの吐出側を第2の主
ポンプの吸引側と吸引側圧力調節手段との間に接続する
ことで、本件第1の発明と同様に希釈液と消火剤原液と
を適正な比で混合することが可能になる。
【0024】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0025】図1に示す第1実施例の消防自動車1は、
消火用流体の吐出用主ポンプ2と、その主ポンプ2の駆
動用エンジン3と、その主ポンプ2の吸引側に並列に接
続されて選択的に使用される2種類の消火用流体導入口
4、5と、その導入口4、5の開閉コック6、7と、そ
の主ポンプ2の吐出側に接続される消火用流体の放射口
8と、その放射口8の開閉コック9とを備える。その主
ポンプ2としては一般にタービンポンプが用いられ、大
型の場合はインボリュートポンプが用いられるが、その
種類は特に限定されない。一方の導入口4は、消火栓1
1あるいは他の消防自動車12等における消火用流体送
り出し口にホース配管等13を介し接続され、他方の導
入口5は河川や池等19にホース配管等14を介し接続
され、その放射口8は放射ノズル15にホース配管等1
6を介し接続される。
【0026】その放射ノズル15から放射される消火用
流体の流量は、そのノズル口径や主ポンプ2の吐出側圧
力あるいは吐出側流量に応じ変化することから、必要と
される放射流量に応じノズル口径を変化させたり、主ポ
ンプ2の吐出側圧力をエンジン3の制御等より変化させ
ることが行なわれる。
【0027】その主ポンプ2の吸引側と各導入口4、5
とを接続する配管途中に、その主ポンプ2の吸引側圧力
の検出用圧力センサー20が設けられている。その圧力
センサー20と一方の導入口4とを接続する配管途中
に、その主ポンプ2の吸引側圧力の調節用電磁圧力制御
弁22が設けられている。その主ポンプ2の吐出側と放
射口開閉コック9とを接続する配管途中に、その主ポン
プ2の吐出側圧力の検出用圧力センサー23が設けられ
ている。各圧力センサー20、23と圧力制御弁22は
コントローラー21に接続されている。そのコントロー
ラー21は、入出力インターフェイスと中央処理装置と
記憶装置とを有するコンピューターにより構成できる。
また、そのコントローラー21は前記エンジン3のスロ
ットル開度調節用アクチュエータ(図示省略)と入力装
置25とに接続される。
【0028】上記消防自動車1において、消火栓11あ
るいは他の消防自動車12等から消火用流体を一方の導
入口4を介し導入する場合、コントローラー21の記憶
装置に記憶されたプログラムに基づき、エンジン3と圧
力制御弁22とが制御される。その制御手順を図2のフ
ローチャートを参照して説明する。
【0029】まず、入力装置25からコントローラー2
1に主ポンプ2の吸引側圧力の設定値Paと吐出側圧力
の設定値Pbとが入力される(ステップ1)。各設定値
Pa、Pbはコントローラー21の記憶装置に記憶され
る。その吐出側圧力の設定値Pbは吸引側圧力の設定値
Paよりも大きい値とされる。次に、その主ポンプ2の
吸引側圧力のセンサー20による検出値Pa′が許容最
小値Pmin以上か否かを判断する(ステップ2)。そ
の吸引側圧力の許容最小値Pminは設定値Paよりも
小さい値であり、その値よりも吸引側圧力が大きければ
キャビテーションにより主ポンプ2が破損しないように
予め設定され、プログラムの一部として記憶装置に記憶
される。その検出値Pa′が許容最小値Pmin以上で
あれば、次に、その主ポンプ2の吸引側圧力のセンサー
20による検出値Pa′と入力された設定値Paとの差
ΔPaを求め(ステップ3)、その差ΔPaが零になる
ように圧力制御弁22を調節する(ステップ4)。次
に、その主ポンプ2の吐出側圧力のセンサー23による
検出値Pb′と入力された設定値Pbとの差ΔPbを求
め(ステップ5)、その差ΔPbが零になるようにエン
ジン3の回転数をスロットル制御により変化させる(ス
テップ6)。しかる後にステップ1に戻る。前記ステッ
プ2において吸引側圧力のセンサー20による検出値P
a′が許容最小値Pmin未満であれば、ステップ6に
おいてエンジン回転の増速制御がなされる場合でもその
増速をキャンセルする(ステップ7)。次に予め設定し
た時間Taが経過したか否かを判断する(ステップ
8)。その時間Taは、その時間の経過前であればキャ
ビテーションにより主ポンプ2を破損させるおそれがな
いように予め設定され、プログラムの一部として記憶装
置に記憶される。その時間Taが経過すれば、主ポンプ
2の吸引側圧力のセンサー20による検出値Pa′が許
容最小値Pmin以上か否かを判断し(ステップ9)、
その検出値Pa′が許容最小値Pmin以上であれば前
記ステップ3に戻り、その検出値Pa′が許容最小値P
min未満であればエンジン3の回転数を主ポンプ2に
キャビテーションが生じることのない回転数、例えばア
イドリング回転数まで減速して制御を終了する(ステッ
プ10)。
【0030】上記構成によれば、主ポンプ2の吸引側圧
力を常に適正範囲に保持でき、その吸引側圧力を適正範
囲に調整するための人員と作業とが不要になる。また、
主ポンプ2の吐出側圧力を吸引側圧力の設定値Paより
も高い設定値Pbに保持でき、その吐出側圧力の設定値
Pbの変更や放射ノズル15の開度調整等により所望の
放射流量を得ることができる。さらに、その主ポンプ1
2の吸引側圧力の許容最小値Pminと吸引側圧力の検
出値Pa′との比較結果に応じ主ポンプ2の回転数を制
御することで、その主ポンプ2の吸引側圧力が低くなり
過ぎた場合でもキャビテーションにより主ポンプ2が破
損するのを防止できる。
【0031】図3は、第1実施例の第1変形例の消防自
動車1′を示す。第1実施例の圧力制御弁22に代え
て、導入口4の開閉コックが電磁圧力制御弁6′とさ
れ、その圧力制御弁6′の開度が主ポンプ2の吸引側圧
力と検出値Pa′と設定値Paとの差ΔPaに応じ制御
されることで、その吸引側圧力が調節される。また、主
ポンプ2の吐出側とセンサー23との間に、その主ポン
プ2の吐出側圧力の調節用電磁圧力制御弁26が設けら
れ、エンジン3のスロットルの開度に代えて、その圧力
制御弁26の開度が、主ポンプ2の吐出側圧力の検出値
Pb′と設定値Pbとの差ΔPbに応じ制御されること
で、その吐出側圧力が調節される。他は第1実施例と同
様で同一部分は同一符号で示す。
【0032】図4は、第1実施例の第2変形例の消防自
動車1″を示す。第1実施例との相違は、消火用流体が
化学薬品等の消火剤原液と希釈液との混合液である化学
消防自動車とされている点にある。すなわち、その消火
剤原液のタンク27と、そのタンク27から吸引した消
火剤原液を吐出する容積形補助ポンプ28とを備え、そ
の希釈液は導入口4、5から導入される水とされる。そ
の補助ポンプ28の吐出側は主ポンプ2の吸引側と圧力
制御弁22との間に接続される。また、その主ポンプ2
の吐出流量検出用流量センサー29と、その補助ポンプ
28の吐出流量検出用流量センサー30と、その補助ポ
ンプ28の吐出流量調節用電磁流量制御弁31とが設け
られている。その第2変形例によれば、主ポンプ2の吸
引側圧力は常に適正範囲に保持され、主ポンプ2の吐出
側圧力は吸引側圧力の設定値Paよりも高い設定値Pb
に保持されるので、主ポンプ2の吸引側圧力が補助ポン
プ28の吐出側圧力よりも高くなったり、主ポンプ2の
吐出側圧力と吸引側圧力との差が小さくなるのを防止で
きる。これにより、補助ポンプ28の吐出側圧力を主ポ
ンプ2の吸引側の希釈液に混入するのに充分な大きさと
し、希釈液と消火剤原液とを適正な比で混合することが
可能になる。その希釈液と消火剤原液との混合に際して
は、予め設定した混合比を入力装置25によりコントロ
ーラー21に入力して記憶させておき、主ポンプ2の吐
出流量のセンサー29による検出値と補助ポンプ28の
吐出流量のセンサー30による検出値とから実際の混合
比をコントローラー21により演算し、その設定値と演
算値との差が零になるように制御弁31を制御する。他
は第1実施例と同様で同一部分は同一符号で示す。
【0033】図5に示す第2実施例の消防自動車41
は、消火用流体の吐出用主ポンプ42と、その主ポンプ
42の駆動用エンジン43と、その主ポンプ42の吸引
側に並列に接続されて選択的に使用される2種類の消火
用流体導入口44、45と、その導入口44、45の開
閉コック46、47と、その主ポンプ42の吐出側に接
続される消火用流体の放射口48と、その放射口48の
開閉コック49とを備える。その主ポンプ42としては
タービンポンプが一般に用いられ、大型の場合はインボ
リュートポンプが用いられるが、その種類は特に限定さ
れない。一方の導入口44は、消火栓11あるいは他の
消防自動車12等における消火用流体送り出し口にホー
ス配管等53を介し接続され、他方の導入口5は河川
や池等19にホース配管等54を介し接続され、その放
射口48は上下移動用ブーム70に取り付けられた放射
ノズル55にホース配管等を介し接続される。
【0034】その放射ノズル55から放射される消火用
流体の流量は、ノズル開度を変化させたり主ポンプ42
の回転数を変化させること等により制御される。
【0035】その主ポンプ42の吸引側と各導入口4
4、45とを接続する配管途中に、その主ポンプ42の
吸引側圧力の検出用圧力センサー60が設けられてい
る。その圧力センサー60と一方の導入口44とを接続
する配管途中に、その主ポンプ42の吸引側圧力の調節
用電磁圧力制御弁62が設けられている。その放射口開
閉コック49と放射ノズル55とを接続する配管途中
に、その主ポンプ42の吐出側流量の検出用流量センサ
ー63が設けられている。その圧力センサー60と流量
センサー63と圧力制御弁62はコントローラー61に
接続されている。そのコントローラー61は、入出力イ
ンターフェイスと中央処理装置と記憶装置とを有するコ
ンピューターにより構成できる。また、そのコントロー
ラー61は前記エンジン43のスロットル開度調節用ア
クチュエータ(図示省略)と入力装置65とに接続され
ている。
【0036】上記消防自動車41において、消火栓11
あるいは他の消防自動車12等から消火用流体を一方の
導入口44を介し導入する場合、コントローラー61の
記憶装置に記憶されたプログラムに基づき、エンジン4
3と圧力制御弁62とが制御される。その制御手順を図
6のフローチャートを参照して説明する。まず、入力装
置65からコントローラー61に主ポンプ42の吸引側
圧力の設定値Paと吐出側流量の設定値Fbとが入力さ
れる(ステップ1)。各設定値Pa、Fbはコントロー
ラー61の記憶装置に記憶される。次に、その主ポンプ
42の吸引側圧力のセンサー60による検出値Pa′と
入力された設定値Paとの差ΔPaを求め(ステップ
2)、その差ΔPaが零になるように圧力制御弁62を
調節する(ステップ3)。次に、その主ポンプ42の吐
出側流量の設定値Fbが、吸引側圧力の検出値Pa′に
対する許容最大値F(Pa′)maxを超えるか否かを
判断する(ステップ4)。なお、その主ポンプ42の吸
引側圧力に対する吐出側流量の許容最大値の関係は、そ
の吐出側流量が許容最大値未満であればキャビテーショ
ンにより主ポンプ42が破損しないように予め設定さ
れ、例えば関数の形でプログラムの一部として記憶装置
に記憶される。その吐出側流量の設定値Fbがその許容
最大値F(Pa′)max以下であれば、その主ポンプ
42の吐出側流量のセンサー63による検出値Fb′と
入力された設定値Fbとの差ΔFbを求め(ステップ
5)、その差ΔFbが零になるようにエンジン3の回
転数をスロットル制御により変化させ(ステップ6)、
ステップ1に戻る。そのステップ4において、その吐出
側流量の設定値Fbが吸引側圧力の検出値Pa′に対す
る許容最大値を超えている場合、その吐出側流量が許容
最大値になるようにエンジン3の回転数をスロットル
制御により変化させ(ステップ7)、ステップ1に戻
る。以上の制御を繰り返す。
【0037】上記第2実施例の構成によれば、主ポンプ
42の吸引側圧力を常に適正範囲に保持でき、その吸引
側圧力を適正範囲に調整するための人員と作業とが不要
になる。また、主ポンプ42の吐出側流量を検出値F
b′と設定値Fbとの差に応じ制御することで、所望の
放射流量を得ることができる。また、主ポンプ42の吸
引側圧力を適正範囲に制御することで、吐出側流量に対
し吸引側圧力が低くなり過ぎるのを防止でき、主ポンプ
42に吸引される消火用流体に気泡が生じてキャビテー
ションにより主ポンプ42を破損させてしまうのを防止
できる。さらに、その吸引側圧力の制御に遅れがあって
吐出側設定流量Fbに対し吸引側検出圧力Pa′が低過
ぎる状態になっても、その吐出側流量が吸引側圧力の検
出値Pa′に対する許容最大値F(Pa′)maxを超
えないように制御することで、主ポンプ42に吸引され
る消火用流体に気泡が生じてキャビテーションにより主
ポンプ62を破損させてしまうのを防止できる。
【0038】図7、図8は、例えば石油コンビナート火
災等の大規模火災用の消防システムを示すもので、第1
の消防自動車71と第2の消防自動車72と消火剤原液
のタンク車73とを備える。
【0039】その第1の消防自動車71の構成は、上記
第2実施例の消防自動車41の構成から主ポンプ42の
吸引側における圧力制御弁62を取り除き、コントロー
ラー61と入力装置65とを無線で接続するようにした
構成と同一であり、同一部分は同一符号で示す。その第
2の消防自動車72の構成は、上記第1実施例の第2変
形例の消防自動車1″からノズル15を取り除き、消火
剤原液のタンク27に開閉用コック81により開閉され
る補給口82と液面センサー83とを付加した構成と同
一であり、同一部分は同一符号で示す。その第1の消防
自動車71の第1主ポンプ42の吸引側の導入口44
に、第2の消防自動車72の第2主ポンプ2の吐出側の
放射口8が、ホース配管等84を介し接続される。その
第1の消防自動車71のコントローラー61と第2の消
防自動車72のコントローラー21とが信号線99を介
し接続される。その信号線99はホース配管等84に一
体化してもよい。
【0040】その消火剤原液のタンク車73は、消火剤
原液のタンク90と、そのタンク90から消火剤原液を
吸引して送り出すためのポンプ91と、そのポンプ91
の駆動用エンジン92と、そのポンプ91の吐出側の送
り出し口94と、その送り出し口94の開閉用電磁コッ
ク93と、その電磁コック93と入力装置95とレベル
表示装置96と第2の消防自動車72の液面センサー8
3とに接続されるコントローラー97とを備える。その
第2の消防自動車72のタンク27の補給口82は、ホ
ース配管等98を介しタンク車73の送り出し口94に
接続される。
【0041】上記システムの第2の消防自動車72にお
いて、消火栓11あるいは他の消防自動車12等から消
火用流体を一方の導入口4を介し導入する場合、各コン
トローラー21、61の記憶装置に記憶されたプログラ
ムに基づき、各エンジン23、43と圧力制御弁22と
が制御される。その制御手順を図9のフローチャートを
参照して説明する。
【0042】まず、第1の消防自動車71の入力装置6
5からコントローラー61に第1主ポンプ42の吐出側
流量の設定値Fbが予め入力され、また、第2の消防自
動車72の入力装置25からコントローラー21に第2
主ポンプ2の吸引側圧力の設定値Paが入力される。各
設定値Fb、Paは第1の消防自動車71のコントロー
ラー21の記憶装置に記憶される。(ステップ1)。
【0043】次に、第2の消防自動車72のコントロー
ラー21は、その第2主ポンプ2の吸引側圧力のセンサ
ー20による検出値Pa′が許容最小値Pmin以上か
否かを判断する(ステップ2)。その吸引側圧力の許容
最小値Pminは設定値Paよりも小さい値であり、そ
の値よりも吸引側圧力が大きければキャビテーションに
より第2主ポンプ2が破損しないように予め設定され、
プログラムの一部として記憶装置に記憶される。その検
出値Pa′が許容最小値Pmin以上であれば、次に、
その第2主ポンプ2の吸引側圧力のセンサー20による
検出値Pa′と入力された設定値Paとの差ΔPaを求
め(ステップ3)、その差ΔPaが零になるように圧力
制御弁22を調節する(ステップ4)。次に、第2主ポ
ンプ2の吐出側圧力の検出値Pb′と第1主ポンプ42
の吐出側流量の検出値Fb′に対する第2主ポンプ2の
吐出側圧力の適正値P(Fb′)との差(Pb′−P
(Fb′)=ΔPb)を求める(ステップ5)。その第
1主ポンプ42の吐出側流量に対する第2主ポンプ2の
吐出側圧力の適正値の関係は、プログラムの一部として
コントローラー21の記憶装置に記憶される。次に、そ
の差ΔPbが零になるように第2の消防自動車72のエ
ンジン3の回転数をスロットル制御により変化させる
(ステップ6)。
【0044】次に、第1の消防自動車71のコントロー
ラー61は、その第1主ポンプ42の吸引側圧力のセン
サー60による検出値Pa″が許容最小値Pmin′以
上か否かを判断する(ステップ7)。その吸引側圧力の
許容最小値Pmin′は、その値よりも吸引側圧力が大
きければキャビテーションにより第1主ポンプ42が破
損しないように予め設定され、プログラムの一部として
記憶装置に記憶される。その検出値Pa″が許容最小値
Pmin′以上であれば、次に、その第1主ポンプ42
の吐出側流量のセンサー63による検出値Fb′と入力
された設定値Fbとの差ΔFbを求め(ステップ8)、
その差ΔFbが零になるように第1の消防自動車71の
エンジン43の回転数をスロットル制御により変化させ
(ステップ9)、ステップ1に戻る。
【0045】第2の消防自動車72のコントローラー2
1は、前記ステップ2において第2主ポンプ2の吸引側
圧力のセンサー20による検出値Pa′が許容最小値P
min未満であれば、ステップ6においてエンジン回転
の増速制御がなされる場合でもその増速をキャンセルす
る(ステップ10)。次に予め設定した時間Taが経過
したか否かを判断する(ステップ11)。その時間Ta
は、その時間の経過前であればキャビテーションにより
第2主ポンプ2を破損させるおそれがないように予め設
定され、プログラムの一部として記憶装置に記憶され
る。その時間Taが経過すれば、第2主ポンプ2の吸引
側圧力のセンサー20による検出値Pa′が許容最小値
Pmin以上か否かを判断し(ステップ12)、その検
出値Pa′が許容最小値Pmin以上であれば前記ステ
ップ3に戻り、その検出値Pa′が許容最小値Pmin
未満であればエンジン3の回転数を第2主ポンプ2にキ
ャビテーションが生じることのない回転数、例えばアイ
ドリング回転数まで減速して制御を終了する(ステップ
13)。
【0046】第1の消防自動車71のコントローラー6
1は、前記ステップ7において第1主ポンプ42の吸引
側圧力のセンサー60による検出値Pa″が許容最小値
Pmin′未満であれば、ステップ9においてエンジン
回転の増速制御がなされる場合でもその増速をキャンセ
ルする(ステップ14)。次に予め設定した時間Ta′
が経過したか否かを判断する(ステップ15)。その時
間Ta′は、その時間の経過前であればキャビテーショ
ンにより第1主ポンプ42を破損させるおそれがないよ
うに予め設定され、プログラムの一部として記憶装置に
記憶される。その時間Ta′が経過すれば、第1主ポン
プ42の吸引側圧力のセンサー60による検出値Pa″
が許容最小値Pmin′以上か否かを判断し(ステップ
16)、その検出値Pa″が許容最小値Pmin′以上
であれば前記ステップ8に戻り、その検出値Pa″が許
容最小値Pmin′未満であればエンジン43の回転数
を第1主ポンプ42にキャビテーションが生じることの
ない回転数、例えばアイドリング回転数まで減速して制
御を終了する(ステップ17)。
【0047】また、第2の消防自動車72における消火
剤原液のタンク27の液面が、予め設定したレベル以下
になると、センサー83がタンク車73のコントローラ
ー97に信号を送り、そのコントローラー97はレベル
表示装置96によりランプ等によって警告表示をする。
入力装置95からコントローラー97に原液補給信号を
入力すると電磁コック93が開かれ、タンク車73から
第2の消防自動車72に原液の補給が行なわれる。
【0048】上記消防システムによれば、第2の消防自
動車72においては第1実施例の第2変形例の消防自動
車1″と同様に第2主ポンプ2の吸引側圧力を常に適正
範囲に保持できる。また、第1の消防自動車71におけ
る第1主ポンプ42の吸引側は第2の消防自動車72に
おける第2主ポンプ2の吐出側に接続され、その第2主
ポンプ2の吐出側圧力は、第2主ポンプ2の吐出側圧力
の検出値Pb′と第1主ポンプ42の吐出側流量の検出
値Fb′に対する第2主ポンプ2の吐出側圧力の適正値
Paとの差ΔPbに応じ制御されるので、その第1の主
ポンプ42の吸引側圧力を常に適正範囲に保持できる。
すなわち、第1の消防自動車71における第1主ポンプ
42の吐出側流量と、第2の消防自動車72における第
2主ポンプ2の吸引側圧力とを適正範囲に調節するため
の人員と作業とが不要になる。また、第1の消防自動車
71のコントローラー61と入力装置65とを無線で接
続し、その入力装置65により上下移動用ブーム70の
上下動等も行なえるようにすることで、第1の消防車7
1を遠隔操作することが可能になる。なお、第1の消防
自動車71のコントローラー61の入力装置65を第2
の消防自動車72のコントローラー21に有線接続し、
第1の消防自動車71のコントローラー61を遠隔操作
するようにしてもよい。これにより、第1の消防自動車
71を危険な火災現場の近くで制御する必要がなくな
る。その第1の主ポンプ42の吐出側流量を検出値F
b′と入力される設定値Fbとの差に応じ制御すること
で、所望の放射流量を得ることができる。また、各主ポ
ンプ2、42は吸引側圧力が低過ぎる状態になってもキ
ャビテーションにより破損するのが防止される。その消
火用流体が消火剤原液と希釈液との混合液である場合
に、第1実施例の第2変形例の消防自動車1″と同様に
希釈液と消火剤原液とを適正な比で混合することが可能
になる。
【0049】なお、第1の消防自動車71における第1
主ポンプ42のキャビテーションによる破損を防止する
ため、第2実施例と同様に、その第1主ポンプの吐出側
流量を、第1主ポンプの吸引側圧力の検出値に対する許
容最大値を超えないように、第1主ポンプの吐出側流量
の検出値と入力される設定値との差に応じ制御してもよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の消防自動車の構成説明図
【図2】第1実施例の消防自動車の制御手順を示すフロ
ーチャート
【図3】第1実施例の消防自動車の第1変形例の構成説
明図
【図4】第1実施例の消防自動車の第2変形例の構成説
明図
【図5】第2実施例の消防自動車の構成説明図
【図6】第2実施例の消防自動車の制御手順を示すフロ
ーチャート
【図7】本発明の実施例の消防システムの斜視図
【図8】その消防システムの構成説明図
【図9】その消防システムの制御手順を示すフローチャ
ート
【図10】従来例の消防自動車の構成説明図
【図11】別の従来例の消防自動車の構成説明図
【図12】従来例の消防システムの斜視図
【図13】従来例の消防システムの構成説明図
【符号の説明】
1、1′、1″、71、72 消防自動車 2、42 主ポンプ 3、43 エンジン 6′、22、26、62 圧力制御弁 20、23、60 圧力センサー 21、61 コントローラー 28 補助ポンプ 63 流量センサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 昌彦 大阪府大阪市生野区小路東五丁目5番20 号森田ポンプ株式会社内 (72)発明者 山崎 雅義 大阪府大阪市生野区小路東五丁目5番20 号森田ポンプ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−131765(JP,A) 特開 平3−33495(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A62C 27/00 501

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消火用流体の吐出用主ポンプと、 その主ポンプの吸引側圧力の検出手段と、 その吸引側に正圧の消火用流体が導入される場合に吸引
    側圧力を調節可能な圧力制御弁と、 その圧力制御弁を吸引側圧力の検出値と入力される設定
    値との差に応じて調節 する手段とを備える消防自動車。
  2. 【請求項2】 その主ポンプの吐出側圧力の検出手段
    と、その吐出側圧力の検出値と入力される設定値との差に応
    じて、その主ポンプの回転数を制御する手段とを備え、 その吐出側圧力の設定値は吸引側圧力の設定値よりも高
    い値に設定される請求項1に記載の消防自動車。
  3. 【請求項3】 その主ポンプの吸引側圧力の検出値が、
    前記設定値よりも小さい予め設定される許容最小値以上
    か否かを判断する手段と、 その吸引側圧力の検出値が許容最小値未満である場合
    に、その主ポンプの回転数をキャビテーションが生じる
    ことのない回転数に する手段を備える請求項1または
    2に記載の消防自動車。
  4. 【請求項4】 消火用流体の吐出用主ポンプと、その主
    ポンプの吸引側圧力の検出手段と、その吸引側圧力の調
    節手段と、その吸引側圧力を吸引側圧力の検出値と入力
    される設定値との差に応じ制御する手段と、その主ポン
    プの吐出側流量の検出手段と、その主ポンプの吸引側圧
    力に対する吐出側流量の許容最大値の関係を記憶する手
    段と、その吐出側流量の調節手段と、その吐出側流量
    を、吸引側圧力の検出値に対する許容最大値を超えない
    ように、吐出側流量の検出値と入力される設定値との差
    に応じ制御する手段とを備える消防自動車。
  5. 【請求項5】 その消火用流体は消火剤原液と希釈液と
    の混合液とされ、その主ポンプの吸引側に希釈液導入口
    が設けられ、その吸引側圧力調節手段は主ポンプと希釈
    液導入口との間に配置され、その消火剤原液の吐出用補
    助ポンプの吐出側が前記主ポンプの吸引側と吸引側圧力
    調節手段との間に接続される請求項に記載の消防自動
    車。
  6. 【請求項6】 消火用流体の吐出用主ポンプと、その主
    ポンプの吐出側流量の検出手段と、その主ポンプの吸引
    側圧力の検出手段と、その吸引側圧力に対する吐出側流
    量の許容最大値の関係を記憶する手段と、その吐出側流
    量の調節手段と、その吐出側流量を、吸引側圧力の検出
    値に対する許容最大値を超えないように、吐出側流量の
    検出値と入力される設定値との差に応じ制御する手段と
    を備える消防自動車。
  7. 【請求項7】 消火用流体の吐出用第1主ポンプと、そ
    の第1主ポンプの吐出側流量の検出手段とを有する第1
    の消防自動車と、消火用流体の吐出用第2主ポンプと、
    その第2主ポンプの吐出側圧力の検出手段と、その第2
    主ポンプの吐出側圧力の調節手段と、その第2主ポンプ
    の吸引側圧力の検出手段と、その第2主ポンプの吸引側
    圧力の調節手段と、その吸引側圧力を第2主ポンプの吸
    引側圧力の検出値と入力される設定値との差に応じ制御
    する手段とを有する第2の消防自動車と、その第1主ポ
    ンプの吸引側に第2主ポンプの吐出側を接続する手段
    と、その第1主ポンプの吐出側流量に対する第2主ポン
    プの吐出側圧力の適正値の関係を記憶する手段と、その
    第2主ポンプの吐出側圧力を、第2主ポンプの吐出側圧
    力の検出値と第1主ポンプの吐出側流量の検出値に対す
    る第2主ポンプの吐出側圧力の適正値との差に応じ制御
    する手段とを備える消防システム。
  8. 【請求項8】 その第1主ポンプの吸引側圧力の検出値
    と予め設定される許容最小値との比較結果に応じ、その
    第1主ポンプの回転数を制御する手段を備える請求項7
    に記載の消防システム。
  9. 【請求項9】 その第1主ポンプの吐出側流量の調節手
    段と、その第1主ポンプの吸引側圧力の検出手段と、そ
    の第1主ポンプの吸引側圧力に対する吐出側流量の許容
    最大値の関係を記憶する手段と、その第1主ポンプの吐
    出側流量を、第1主ポンプの吸引側圧力の検出値に対す
    る許容最大値を超えないように、第1主ポンプの吐出側
    流量の検出値と入力される設定値との差に応じ制御する
    手段とを備える請求項7に記載の消防システム。
  10. 【請求項10】 その消火用流体は消火剤原液と希釈液
    との混合液とされ、その第2主ポンプの吸引側に希釈液
    導入口が設けられ、その第2主ポンプの吸引側圧力調節
    手段は第2主ポンプと希釈液導入口との間に配置され、
    その消火剤原液の吐出用補助ポンプの吐出側が第2主ポ
    ンプの吸引側と吸引側圧力調節手段との間に接続される
    請求項7〜請求項9のいずれかに記載の消防システム。
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