JP2883571B2 - 超音波骨評価装置 - Google Patents

超音波骨評価装置

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JP2883571B2
JP2883571B2 JP8012248A JP1224896A JP2883571B2 JP 2883571 B2 JP2883571 B2 JP 2883571B2 JP 8012248 A JP8012248 A JP 8012248A JP 1224896 A JP1224896 A JP 1224896A JP 2883571 B2 JP2883571 B2 JP 2883571B2
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    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2291/00Indexing codes associated with group G01N29/00
    • G01N2291/04Wave modes and trajectories
    • G01N2291/048Transmission, i.e. analysed material between transmitter and receiver

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  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波を用いて骨
組織の評価を行う超音波骨評価装置に関し、特に超音波
の送受波によって得られる受信信号の時間波形に基づき
骨評価を行う超音波骨評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】老年人口の急激な増加とあいまって、骨
粗鬆症や骨軟化症などの骨疾患を持つ人が増加してお
り、骨の状態を評価する効果的な評価方法・評価装置が
要望されている。
【0003】この要望に応えるため、従来よりX線や超
音波を利用した骨評価装置が種々提案されている。この
うち、超音波を利用した骨評価装置は、一対の超音波振
動子で被検体(例えば踵骨)を挟んで超音波を送受波
し、骨を透過した超音波を受信した受信信号から骨中の
音速や透過超音波のスペクトルを求め、これらに基づき
骨の評価値を求めるものが一般的であった。
【0004】これに対して、本出願人らは、特願平7−
84325号において、透過超音波のスペクトルではな
く、透過超音波を受信して得た受信信号の時間波形から
直接的に骨の評価値を求める装置を提案した。この装置
は、受信信号の時間波形の所定の波の半値幅や波の面積
などを求め、これらに基づき骨の超音波透過特性に関す
る評価値を算出する。この装置は、透過超音波スペクト
ルに基づく手法よりも評価値の再現性がよく、またフー
リエ変換などの複雑な演算処理が不要なため高速処理が
可能であるという利点があった。
【0005】一方、周知のように、超音波診断において
は、超音波振動子と被検体との間に空気層が介在する
と、超音波の反射・減衰が生じ測定誤差の増大を招く。
この問題に対し、本出願人は、特願平6−7010号に
おいて、超音波振動子の前面に柔軟性の高いカップリン
グバルーンを設け、このカップリングバルーン内部に音
響整合材の機能を有するカップリング液を満たした超音
波骨評価装置を提案した。この装置によれば、カップリ
ングバルーンが被検体に対して無理なく密着するので、
超音波振動子と被検体との間に空気層ができるのを防止
することができた。
【0006】従って、最初に例示した受信信号時間波形
から骨評価値を求める装置においても、カップリング液
を満たしたカップリングバルーンにて覆われた超音波振
動子を用いることにより測定誤差を改善していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来装置においては、測定環境、特に温度や気圧の
変化によってカップリング液の特性が変化し、ひいては
評価結果に誤差を生じさせるおそれががあった。
【0008】例えば、カップリング液の温度は、測定環
境の気温の高低によって影響を受けるので、診断を行う
場所や時期の違いによってカップリング液の温度が大き
く異なるおそれがある。また、カップリング液の温度は
測定時の被検体からの伝熱によっても変化するので、例
えば集団検診などにおいて最初の被検者と最後の被検者
とでカップリング液の温度が大きく異なってくるおそれ
もある。このようなカップリング液の温度の変化は、カ
ップリング液内の音速などの諸特性の変化をもたらす。
例えば、カップリング液としてひまし油を用いた場合、
室温付近では1℃の温度変化に対して音速は約3m/s
変化する。そして、このようなカップリング液の諸特性
の変化は、受信信号の波の形を変化させる。従って、カ
ップリング液の温度変化は、受信信号の時間波形に基づ
き求められる骨評価値の誤差要因となる。
【0009】温度のほかに気圧の変化も、カップリング
液に溶け込んだ気体を膨脹あるいは収縮させるなど、カ
ップリング液の超音波透過特性に変化をもたらす。この
変化は受信信号の波形に影響を与え、最終的な評価値に
誤差をもたらす。このほかカップリング液やカップリン
グバルーンの材質の経年的な変化も、評価結果の誤差要
因となる。
【0010】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、骨を透過した超音波の受信信号
の時間波形から骨の超音波透過特性の評価値を求める骨
評価装置において、測定環境の影響による評価結果の誤
差を補正し、正確な評価値を求められるようにすること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明に係る超音波骨評価装置は、超音波振動子
とその前面側に設けられたカップリング液を収容するカ
ップリングバルーンとを有する対向配置された一対の振
動子ユニットを有し、前記一対の振動子ユニット同士を
直接接触させた状態で超音波の送受波を行う校正送受波
工程と、前記一対の振動子ユニットによって被検体を挟
んだ状態で超音波の送受波を行う被検体送受波工程と、
が実行される超音波骨評価装置において、前記校正送受
波工程を実行して得られた受信信号の時間波形に基づい
て装置の透過特性Ta0を求める手段と、前記被検体送受
波工程を実行して得られた受信信号の時間波形に基づい
て被検体の透過特性Tm を求める手段と、前記校正送受
波工程でのカップリング液の温度ha と前記被検体送受
波工程でのカップリング液の温度hm とを求める温度セ
ンサと、前記二つの工程間での温度差(hm −ha )に
基づいて前記透過特性Ta0を補正し、前記被検体送受波
工程を実行した時点での装置の透過特性Ta1を推定する
手段と、前記透過特性Tm を前記透過特性Ta1で補正
し、真の被検体の透過特性を求める手段と、を含むこと
を特徴とする。
【0012】この構成では、まず校正送受波工程での受
信信号の時間波形から装置の透過特性Ta0を求める。こ
こでいう透過特性は、例えば受信信号時間波形の所定番
目の波の半値幅や面積などの値である。この透過特性T
a0は、カップリング液や超音波振動子、信号処理回路の
性能など当該骨評価装置自体に依存する特性である。次
に、本構成では、被検体送受波工程での受信信号の時間
波形から被検体の透過特性Tm を求める。この被検体の
透過特性Tm は、被検体の状態だけでなく装置自体の性
能などにも依存する。従って、本発明では、この被検体
の透過特性Tmを装置の透過特性を用いて補正すること
により、装置自体の影響を除去した真の被検体の透過特
性Tを求める。ただし、測定環境の変化などによって校
正送受波工程と被検体送受波工程とでカップリング液の
温度に差がある場合があり、被検体送受波工程における
測定値であるTm の補正において、校正送受波工程での
測定値であるTa0をそのまま用いたのでは、評価結果に
温度差による誤差が生じてしまう。そこで、本発明で
は、温度センサにて両工程でのカップリング液の温度を
検出し、両工程の温度差を用いて校正送受波工程におけ
る装置の透過特性Ta0を補正することにより、被検体送
受波工程における装置の透過特性Ta1を推定する。そし
て、このTa1によって被検体の透過特性Tm を補正する
ことにより、両工程の温度差の影響が除去された真の被
検体の透過特性Tを算出する。このときの補正演算の方
法としては、例えば被検体の透過特性Tm から装置の透
過特性Ta1を減算するなどの方法がある。
【0013】このような構成により、測定環境の影響に
よる評価結果の誤差が補正された正確な評価値を求める
ことができる。
【0014】なお、上記構成において、前記一対の振動
子ユニットを移動させる移動手段と、前記移動手段から
前記振動子ユニットに加えられる駆動力を所定値以下に
制限する駆動力制限手段とを設け、前記両工程において
カップリングバルーンに対して作用する圧力を実質的に
等しくすることにより、より正確な測定が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る超音波骨評価
装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】[受信信号時間波形に基づく骨評価]背景
技術となる受信信号の時間波形に基づく骨評価の手法に
ついて簡単に説明する。なお、この手法は、本出願人ら
が特願平7−84325号にて提案したものである。
【0017】超音波骨評価装置では、対向した送波振動
子及び受波振動子により被検体を挟み、送波振動子から
超音波パルスを送波し、被検体を透過した超音波を受波
振動子で検出する。送波振動子は、図7(a)に示すよ
うな急峻な送信パルスにより駆動され、急峻な、すなわ
ち広帯域の周波数成分を有する超音波パルスを送出す
る。骨組織は、透過する超音波の特に高周波成分を遮断
・吸収しやすい性質を有している。従って、送波振動子
から送波された急峻な超音波パルスは、骨を透過する際
に高周波成分を除去された後、受波振動子によって受波
される。そして、受波振動子からは図7(b)に示すよ
うななだらかな波形の受信信号が出力される。この波形
は、図7(a)の送信パルスを用いた場合の受信信号の
時間波形として一般的なパターンである。
【0018】一般に、骨組織が密なほど超音波の高周波
成分は遮断・吸収されやすいという性質があり、骨が密
な健常人は受信信号の時間波形がなだらかとなり、骨粗
鬆症などの疾患を持つ非健常人は受信信号の時間波形が
鋭くなる傾向がある。受信信号の時間波形に基づく骨評
価は、この性質を利用したものであり、受信信号の時間
波形自体から、その波形の鋭さを示す指標値を求め、そ
の指標値を骨の超音波透過特性に関する評価値として用
いる。このような透過特性としては、受信信号波形の第
1極大値ピークの半値幅W(図8(a)参照)や、第1
極大値ピークと第2極小値ピークの波高比A/B(図8
(b)参照)、第1極大値ピークと第2極小値ピークの
面積比S/Tなどが考えられる。本出願人らは、骨に疾
患を有する非健常人ほどこれら透過特性の値が大きくな
ることを実験により確認している。
【0019】以上説明した手法によれば、骨を透過した
超音波の受信信号時間波形から簡単な信号処理で直接的
に骨の超音波透過特性を求めることができる。
【0020】[実施形態]まず、本発明に係る超音波骨
評価装置の機械部分の構成を、図2を用いて説明する。
図2において、一対の振動子ユニット10a,10b
は、各々の超音波振動子12a,12bが対向するよう
に配置されている。超音波振動子12a,12bの前面
には、ポリウレタンシートなど柔軟で超音波透過性に優
れた材質の薄膜からなるカップリングバルーン14a,
14bが設けられており、このカップリングバルーン1
4a,14bには、ひまし油など音響整合材からなるカ
ップリング液16a,16bが満たされている。超音波
振動子12a、12bは、コード20a,20bを介し
て装置本体の電気回路系に接続されている。また、これ
ら超音波振動子及びカップリングバルーンは、振動子ケ
ース18a,18bにて保持されている。
【0021】振動子ユニット10a,10bは、それぞ
れアーム22a、22bで支持されている。アーム22
a、22bの下端のネジ受け部24a,24bには、送
りネジ30が挿通されている。送りネジ30は中央部分
を境に逆ネジとなっているので、ハンドル34を回して
送りネジ30を回転させると、これにより一対の振動子
ユニット10a,10bは互いに遠ざかるかあるいは近
づくかする。ハンドル34はトルクリミッタ32を介し
て送りネジ30に接続されており、振動子ユニット10
に所定値を越える力が伝わらないようになっている。従
って、この構成によれば、被検体が過大な力で挟み込ま
れることがない。
【0022】なお、図2には示していないが、本実施形
態では、振動子ユニットにカップリング液の温度を検出
する温度センサが設けられる。図3は、温度センサ19
を備えた振動子ユニット10の構成を示している。図に
おいて、温度センサ19のセンサ部分がカップリング液
16内に挿入されており、その先端部分は、診断時にカ
ップリングバルーン14が押しつぶされて変形した場合
にもカップリングバルーン14を突き破ることがないよ
う、振動子ケース18の前端よりも振動子側に配置され
ている。本実施形態では、一対の振動子ユニットのうち
少なくとも一方として、このような温度センサ19を備
えた振動子ユニットを用いる。
【0023】次に、本実施形態の装置の全体構成を図1
を参照して説明する。図1は、一対の振動子ユニット1
0a,10bで被検体70を挟んだ状態を例示してい
る。図1において、被検体70は、骨72と軟組織74
から構成されている。また、骨72は、内部の海綿骨と
その外側を覆う皮質骨とで構成され、例えば踵骨は海綿
骨の部分が大きく、骨の疾病による変化が現れやすい。
【0024】振動子制御部46は、送信アンプ40に対
して送信トリガ信号を与える。送信アンプ40は、この
トリガ信号に応じて急峻な送信パルスを生成し、超音波
振動子12aに供給する。超音波振動子12aは、この
送信パルスにより励振され、広帯域の超音波パルスを放
射する。この超音波パルスは、被検体70を透過したの
ち、超音波振動子12bで受信される。超音波振動子1
2bは、受波した超音波を電気的な信号(受信信号)に
変換して出力する。この受信信号は、受信アンプ42で
増幅された後、A/D変換器44でデジタル信号に変換
される。このようにしてデジタル化された受信信号は、
振動子制御部46を介して特性演算部48に入力され
る。特性演算部48は、入力された受信信号の時間波形
に基づき、被検体の超音波透過特性に関する評価値(以
下、超音波透過特性に関する評価値のことを、単に「透
過特性」という)を求める。ここで求められる透過特性
は、例えば前述した波形のピークの半値幅などの値であ
る。
【0025】ここで、被検体70を測定した場合に得ら
れる透過特性Tm は、純粋な被検体のみの特性を表すも
のではなく、カップリング液や超音波振動子、信号処理
回路の性能など骨評価装置自体の装置特性の影響が含ま
れた値となっている。そこで、本実施形態では、特性演
算部48にて求められる被検体の透過特性Tm を補正演
算部56にて補正し、装置特性の影響が除去された真の
被検体の透過特性Tを算出する。
【0026】この補正演算は、装置の透過特性なる値を
用いて行われる。装置の透過特性とは、振動子ユニット
10a,10bを互いに押し付け合い、カップリングバ
ルーン同士を直接接触させた状態で超音波を送受波した
際に、特性演算部48にて求められる透過特性である。
本実施形態では、あらかじめ装置の透過特性Ta0が測定
され、これが基準値記憶部54に記憶されている。この
ように、振動子ユニット同士を直接接触させた状態で超
音波の送受波を行い、装置の透過特性Ta0を求める工程
のことを校正送受波工程と呼ぶ。なお、これに対して、
振動子ユニット間に被検体を挟んで送受波を行い、被検
体の透過特性Tm を求める工程のことを被検体送受波工
程と呼ぶ。特性演算部48で求められた被検体の透過特
性からこの装置の透過特性を減算するなどの補正演算を
行うことにより、真の被検体の透過特性が求められる。
【0027】ただし、装置の透過特性Ta0の測定時点
(校正送受波工程)と被検体の透過特性Tm の測定時点
(被検体送受波工程)とで、測定環境の変化などにより
カップリング液16の温度が異なる場合があり、この場
合基準値記憶部54に記憶された装置の透過特性Ta0を
そのまま補正演算に用いると、補正結果に温度差に起因
する誤差が残ることになる。そこで、本実施形態では、
このような温度差による誤差を低減するために、装置特
性推定部52にて被検体送受波工程における装置の透過
特性Ta1を推定する。このため、本実施形態では、振動
子ユニット10aにカップリング液16aの温度を検出
する温度センサ19が設けられ、温度検出部50がこの
温度センサ19の検出信号に基づきカップリング液16
aの温度を求めて装置特性推定部52に入力する。ここ
で、基準値記憶部54にはあらかじめ校正送受波工程に
おいて測定されたカップリング液の温度ha が格納され
ている。従って、装置特性推定部52は、被検体送受波
工程において温度センサ19にて求められた温度hm と
基準値記憶部54に記憶されている温度ha との温度差
に基づき、基準値記憶部54に格納されている校正送受
波工程における装置の透過特性Ta0を補正することによ
り、被検体送受波工程における装置の透過特性Ta1を推
定する。そして、補正演算部56では、装置特性推定部
52で求められたTa1を用いて被検体の透過特性Tm を
補正することにより、真の被検体の透過特性Tを算出す
る。
【0028】次に、図4のフローチャートを用いて、本
実施形態の処理手順をさらに詳しく説明する。
【0029】図4に示すように、本実施形態の処理は、
校正送受波工程と被検体送受波工程とに大きく分けられ
る。
【0030】校正送受波工程では、ハンドル34を回し
て一対の振動子ユニット10a,10bを互いに近付
け、カップリングバルーン14a,14b同士を互いに
押し付け合う(S100)。この時、トルクリミッタ3
2が作動するところまでハンドル34を回す。この操作
により、カップリングバルーン14a,14bに作用す
る圧力が、トルクリミッタ32によって規定される所定
の値となる。図5は、この時の装置の状態を示してい
る。そして、この状態で、超音波を送受波することによ
り特性演算部48にて装置の透過特性Ta0を求め、かつ
温度センサ19によりカップリング液の温度ha を測定
する(S102)。求められたTa0及びhaは、基準値
記憶部54に格納される。
【0031】次に、被検体送受波工程では、振動子ユニ
ット10a,10b間に被検体70を配置してハンドル
34を回し、両振動子ユニットによって被検体70を挟
み込む(S104)。このとき、トルクリミッタ32が
作動するところまでハンドル34を回すことにより、カ
ップリングバルーン14a,14bに作用する圧力が校
正送受波工程における圧力とほぼ等しくなる。図6は、
この時の装置の状態を示している。そして、この状態で
超音波を送受波することにより特性演算部48にて被検
体の透過特性Tm を求め、かつ温度センサ19によりカ
ップリング液の温度hm を測定する(S106)。
【0032】次に、被検体送受波工程におけるカップリ
ング液の温度hm と、基準値記憶部54に格納されてい
る校正送受波工程における装置の透過特性Ta0及びカッ
プリング液の温度ha とから、装置特性推定部52にて
次式により被検体送受波工程における装置の透過特性T
a1を推定する(S108)。
【0033】Ta1=Ta0+B(hm −ha ) …(1) ここで、Bは、1℃当たりのカップリング液の透過特性
変化率である。例えば、透過特性として受信信号波形の
第1極大値ピークの半値幅を採用し、Ta0及びTa1の単
位をμsとした場合には、Bの単位はμs/℃である。
この場合において、カップリング液にひまし油を用いた
場合は、Bは6.5×10-4(μs/℃)程度の値とな
る。ちなみに、この条件における装置の透過特性Ta0の
値は、個々の装置の構造によって異なってくるが、本出
願人の製作した装置では0.76〜0.78μs程度の
値である。上記(1)式において、工程間の温度差によ
る透過特性の変化量B(hm −ha )は、一見したとこ
ろ装置の透過特性Ta0に比してかなり小さい値である
が、受信信号時間波形から求める透過特性には非常に高
い精度が要求されるので、正確な透過特性を算出するた
めにはこのような精密な補正が必要となる。
【0034】そして、推定された被検体送受波工程にお
ける装置の透過特性Ta1を用いて、補正演算部56にて
被検体の透過特性Tm を補正することにより、真の被検
体の透過特性Tを算出する(S110)。透過特性とし
て受信信号波形のピークの半値幅を採用した場合には、
補正演算式として例えば次式(2)を用いることができ
る。
【0035】T=Tm −Ta1 …(2) このようにして求められた透過特性Tは、装置自体の影
響や測定環境の影響が低減されており、被検体自体の評
価値としてより適切なものとなっている。
【0036】なお、図4では、校正送受波工程と被検体
送受波工程とを一連の手順として説明したが、個々の被
検体の測定において校正送受波工程と被検体送受波工程
の両方を行う必要はない。校正送受波工程は、日に1回
や月に1回などというように定期的に行えばよく、個々
の被検体の測定においてはそのときに基準値記憶部54
に格納されたデータを用いて処理を行えばよい。
【0037】このように、本実施形態によれば、測定環
境の変化によるカップリング液などからの影響を補正し
ており、正確な被検体の透過特性Tを求めることができ
る。
【0038】なお、以上の説明では、受信信号時間波形
の所定ピークの半値幅を透過特性とした場合を例示した
が、本実施形態の手法は、受信信号時間波形から求めら
れる他の種類の透過特性についても有効である。また、
補正演算部56で用いる補正式も上記(2)式に限られ
るものではなく、透過特性の種類に応じて適切なものを
用いればよい。他の補正式としては、例えば以下に示す
ものが挙げられる。
【0039】T=Tm −αTa1(αは定数) T=Tm /Ta1
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波骨評価装置の全体構成を
示すブロック図である。
【図2】 本発明に係る超音波骨評価装置の機械部分の
構成を示す図である。
【図3】 温度センサを有する振動子ユニットの構造を
示す図である。
【図4】 本発明に係る超音波骨評価装置の処理手順を
示すフローチャートである。
【図5】 校正送受波工程における装置の状態を示す図
である。
【図6】 被検体送受波工程における装置の状態を示す
図である。
【図7】 超音波骨評価装置における送信パルスと受信
信号の時間波形の一例を示す図である。
【図8】 受信信号の時間波形に基づく骨評価値の例を
示す図である。
【符号の説明】
10a,10b 振動子ユニット、12a,12b 超
音波振動子、14a,14b カップリングバルーン、
16a,16b カップリング液、18a,18b 振
動子ケース、19 温度センサ、30 送りネジ、32
トルクリミッタ、34 ハンドル、40 送信アン
プ、42 受信アンプ、44 A/D変換器、46 振
動子制御部、48 特性演算部、50 温度検出部、5
2 装置特性推定部、54 基準値記憶部、56 補正
演算部。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波振動子とその前面側に設けられた
    カップリング液を収容するカップリングバルーンとを有
    する対向配置された一対の振動子ユニットを有し、前記
    一対の振動子ユニット同士を直接接触させた状態で超音
    波の送受波を行う校正送受波工程と、前記一対の振動子
    ユニットによって被検体を挟んだ状態で超音波の送受波
    を行う被検体送受波工程と、が実行される超音波骨評価
    装置において、 前記校正送受波工程を実行して得られた受信信号の時間
    波形に基づいて装置の透過特性Ta0を求める手段と、 前記被検体送受波工程を実行して得られた受信信号の時
    間波形に基づいて被検体の透過特性Tm を求める手段
    と、 前記校正送受波工程でのカップリング液の温度ha と前
    記被検体送受波工程でのカップリング液の温度hm とを
    求める温度センサと、 前記二つの工程間での温度差(hm −ha )に基づいて
    前記透過特性Ta0を補正し、前記被検体送受波工程を実
    行した時点での装置の透過特性Ta1を推定する手段と、 前記透過特性Tm を前記透過特性Ta1で補正し、真の被
    検体の透過特性Tを求める手段と、 を含むことを特徴とする超音波骨評価装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超音波骨評価装置であっ
    て、 前記一対の振動子ユニットを移動させる移動手段と、 前記移動手段から前記振動子ユニットに加えられる駆動
    力を所定値以下に制限する駆動力制限手段と、 を有し、 前記2つの工程におけるカップリングバルーンに対して
    作用する圧力を実質的に等しくしたことを特徴とする超
    音波骨評価装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の超音波骨評
    価装置において、 前記透過特性Ta0及びTm は、受信信号の時間波形の所
    定番目の波に基づいて求められることを特徴とする超音
    波骨評価装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の超音波
    骨評価装置において、 前記真の透過特性Tは、前記被検体の透過特性Tm から
    前記被検体送受波工程を実行した時点での装置の透過特
    性Ta1を減算することにより求めることを特徴とする超
    音波骨評価装置。
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