JP2881479B2 - 放電電極 - Google Patents

放電電極

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、蛍光灯等に用いられる放電電極に関する。
(従来の技術) 従来、蛍光灯等の放電灯は管内に希ガス及び水銀蒸気
等を封入し、低圧気体中の放電現象を利用した放電管
で、特にグロー放電を利用して点灯させる冷陰極放電灯
と呼ばれる放電灯に用いられる電極材料としてはニッケ
ル等の金属電極が用いられていた。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、金属電極を用いた放電灯にあっては、
電子の放射性が悪く、したがって放電開始電圧を高くし
なければならず、また、管電圧が高くなるので消費電力
が高くなるという欠点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、グロー放電等による予熱の必要がなく
電子の放射性が良好で、放電開始電圧及び管電圧が低
く、電流密度の大きな且つ消費電力の小さい放電電極を
提供しようとするものである。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 上記目的を達成するため本発明の放電電極は、希ガス
及び/または水銀蒸気等を封入したガラス管内に所定間
隔をおいて設けられたリード線と、これらのリード線の
先端部に固定され一方が開放口となる孔部を有する円筒
状の半導体磁器よりなり、この電極部の前記孔部内に小
塊状または粒状の半導体磁器が空隙を多く含む状態で収
納されていることを特徴とするものである。
また、前記円筒状の半導体磁器がBa(Zr,Nb)O3系半
導体磁器としたことを特徴とするものである。
(作 用) 上記構成になる本発明の放電電極は、孔部に収納され
た小塊状または粒状の半導体磁器から豊富に電子の放出
が行われるとともに、熱伝導率を小さくできるので、電
子放射が始まるとともに高温になりやすく安定な温度状
態を保つことができる。したがって、高温であればある
ほど電子の放射性が良好になることから、豊富な電子を
安定して放射し高い電流密度が得られる。このような小
塊状または粒状の半導体磁器は、水銀イオン及びアルゴ
ン(Ar),ネオン(Ne),キセノン(Xe),クリプトン
(Kr)等の希ガスイオン等のイオン衝撃に弱く、イオン
の衝突によってスパッタリングをおこして電子放出特性
が劣化するおそれもあるが、これらの半導体磁器は、高
融点で耐スパッタリング性の良好な材料であるBa(Zr,N
b)O3系からなる円筒状半導体磁器の孔部に収納してイ
オン衝撃より防止するように構成してある。これによ
り、電子放射特性に優れイオン衝撃に対抗力のある放電
電極が得られる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を第1図乃至第5図によって
説明する。
第1図は本発明の放電電極を用いた放電管の断面図
で、第2図は放電電極の断面図である。図において1は
アルゴンガスを封入したガラス管で、2は放電電極であ
る。ガラス管1は断面円筒型の細長い容器で、ガラス管
1の左右側端部にはそれぞれ導体のリード線3が設けて
あり、このリード線3と平行に水銀ゲッター4が設けて
あって、ガラス管1内にはアルゴンガス5が所定量封入
されてある。前記水銀ゲッター4は一般的な放電灯製造
方法として知られているもので、高周波誘導加熱装置等
により加熱することで水銀蒸気をガラス管1内に充満さ
せるものである。前記リード線3はガラス管1の外部よ
り内部へ挿通された導電性材料で形成され、先端部には
放電電極2を取付けるための取付部3aが設けてある。こ
の取付部3aは弾性のある導電性材料で形成され放電電極
2の外周を弾性的に挾持するように構成されている。
放電電極2は第2図に示すように、一方が開放口とな
る有底円筒状の電極部6と、この電極部6内に空隙を多
く含む状態で挿入収納される小塊状または粒状の半導体
磁器7とにより構成されている。前記電極部6は高融点
で耐スパッタリング性の良好な半導体磁器、例えばBa
(Zr,Nb)O3系の半導体磁器が用いられ、特に磁器表面
上にNb系層を形成してスパッタリング防止層としてい
る。
このような電極部6の前記有底円筒状の孔部8内に空
隙を多く含む状態で挿入収納される小塊状または粒状の
半導体磁器7は、電子放射性良好な半導体磁器、例えば
BaTiO3系半導体磁器の組成物を造粒して電極部6の有底
円筒状の孔部8に収容(充填)して焼成し、孔部8内に
空隙を多く含む状態で小塊状または粒状の半導体磁器を
保持したものを用いる。このBaTiO3系半導体磁器は、電
子放射性が良好であるが、これを小塊状または粒状にす
ることにより、熱伝導率を小さくすることができるの
で、放電開始と同時により高温で安定な温度状態を保
ち、電流密度も高く取れて安定な放電を行うことができ
る。
一方、放電に伴って発生する水銀イオン等は、対向電
極の方向から電極部6に飛来し、耐スパッタリング性の
良好な半導体磁器の電極部6に衝突するがこの電極部の
耐スパッタリング性良好な電極部により劣化は防止さ
れ、電極部内に収納された半導体磁器7には衝突するこ
となく豊富な電子放出を継続することができる。
次に、第3図乃至第5図により本発明の放電電極の実
験結果について述べる。実験にはガラス管径10mm,全長2
00mmの放電管で、周波数30KHzのDC−ACインバータによ
り起動したものである。そして、第3図は管電流に対す
る放電開始電圧、第4図は管電流に対する管電流、第5
図は管電流に対する管電力を示したものである。なお、
図中Aは本発明の放電電極、Bは従来のニッケル電極に
よるものである。
第3図において、放電電極(A)の放電開始電圧は40
0Vになり、ニッケル電極(B)の放電開始電圧550Vより
も150Vも低いことから電子放射性の優れていることが判
る。
第4図において、放電電極(A)によるものは管電流
の増加とともに管電圧は低下するが、ニッケル電極
(B)の場合は管電流の増加に対しても一定値を示して
おり、管電流20mAにおいては約190Vrms低下しているこ
とが判る。これにより消費量が少ないことが理解される
であろう。
第5図において、放電電極(A)によるものは管電流
の増加に対して管電力の増加率は小さく、ニッケル電極
(B)によるものは増加率が大であることから、本発明
の電極を用いた放電灯の管電圧が低く、これに伴って本
発明に係る放電電極を用いた放電灯の方が電力消費が小
さい(省エネルギー)ことが判る。
以上のことから、本発明による放電電極は従来のニッ
ケル電極に比較して、電子放射性が良好で、放電開始電
圧及び管電圧が低く消費電力の小さい放電灯を得ること
ができる。また、予熱が不要で且つ構造上小型化が可能
であることから管径の細い放電灯を得ることができる。
[発明の効果] 以上説明したように本発明の放電電極は、希ガスや水
銀蒸気等を封入したガラス管内に所定間隔をおいて設け
られたリード線と、このリード線の先端部に固定され一
方が開放口となる孔部を有する円筒状の半導体磁器より
なり、この電極部の前記孔部内に小塊状または粒状の半
導体磁器を空隙を多く含む状態で収納したので、グロー
放電等による予熱の必要がなく電子の放射性が優れ、放
電開始電圧及び管電圧が低く、電流密度の大きな且つ消
費電力の小さい省エネルギー化された放電電極が得られ
るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第5図は本発明の一実施例で、第1図は放電
灯の断面図、第2図は放電電極の断面図、第3図は管電
流と放電開始電圧との関係図、第4図は管電流と管電圧
との関係図、第5図は管電流と管電力との関係図であ
る。 1……ガラス管、2……放電電極、3……リード線、 6……電極部、7……半導体磁器、8……孔部
フロントページの続き (72)発明者 福田 勝 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−77857(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 61/067

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】希ガス及び/または水銀蒸気等を封入した
    ガラス管内に所定間隔をおいて設けられたリード線と、
    これらのリード線の先端部に固定され一方が開放口とな
    る孔部を有する円筒状の半導体磁器よりなり、前記孔部
    内には小塊状または粒状の半導体磁器が空隙を多く含む
    状態で収納されていることを特徴とする放電電極。
  2. 【請求項2】前記円筒状の半導体磁器がBa(Zr,Nb)O3
    系半導体磁器であることを特徴とする請求項1記載の放
    電電極。
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