JP2876969B2 - 耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板 - Google Patents
耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板Info
- Publication number
- JP2876969B2 JP2876969B2 JP35102093A JP35102093A JP2876969B2 JP 2876969 B2 JP2876969 B2 JP 2876969B2 JP 35102093 A JP35102093 A JP 35102093A JP 35102093 A JP35102093 A JP 35102093A JP 2876969 B2 JP2876969 B2 JP 2876969B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- enamel
- hairline
- cold
- steel sheet
- firing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は耐ヘアーライン欠陥性
に優れたほうろう用冷延鋼板を提供しようとするもので
ある。
に優れたほうろう用冷延鋼板を提供しようとするもので
ある。
【０００２】
【従来の技術】Ｔｉ添加鋼板は加工性が優れているた
め、ほうろう用鋼板への適用が数多く検討されてきた。
しかしながらＴｉ添加鋼板は、優れた成形性ゆえ厳しい
加工を受けることが多く、板厚が薄く、また、ほうろう
焼成回数が増えた場合、粗大粒の生成から鋼板の強度が
低下し、ヘアーラインと呼ばれる欠陥が発生することが
ある。ヘアーライン欠陥とは、通常、上釉焼成後、さら
にもう一度焼成した後に、下釉が上釉に線状に浮かび上
がる欠陥であり、釉薬、焼成条件などを厳しく管理すれ
ば起こりにくい欠陥であるが、合理化のため鋼板を薄く
する傾向にあることなどから、近年大きな問題と成りつ
つある。
め、ほうろう用鋼板への適用が数多く検討されてきた。
しかしながらＴｉ添加鋼板は、優れた成形性ゆえ厳しい
加工を受けることが多く、板厚が薄く、また、ほうろう
焼成回数が増えた場合、粗大粒の生成から鋼板の強度が
低下し、ヘアーラインと呼ばれる欠陥が発生することが
ある。ヘアーライン欠陥とは、通常、上釉焼成後、さら
にもう一度焼成した後に、下釉が上釉に線状に浮かび上
がる欠陥であり、釉薬、焼成条件などを厳しく管理すれ
ば起こりにくい欠陥であるが、合理化のため鋼板を薄く
する傾向にあることなどから、近年大きな問題と成りつ
つある。
【０００３】なお、特公平１−１８１２４号公報には、
焼成後の強度が高く且つ耐爪とび性に優れたほうろう用
熱延鋼板の製造方法が開示されている。この発明はＣ、
Ｍｎ、Ｎ、Ｔｉ、Ｂを適正な成分範囲に規定した鋼を熱
間圧延した後、２００〜５００℃の温度で巻取ることに
よって、固溶炭素を０．００１ｗｔ％以上含有させるこ
とを特徴とする、焼成後の強度が高く且つ耐爪とび性に
優れたほうろう用熱延鋼板の製造方法である。この発明
では、ほうろう焼成後に強度が低下する原因はＴｉＣが
高温焼成時に成長して、ＴｉＣ自身の強化能が低下する
ことと、ＴｉＣによるフェライト粒の成長抑止能力が低
下することにあるとしている。更に、この発明では、熱
間圧延後２００〜５００℃で巻取ることにより、固溶炭
素を残存させ、この固溶炭素を高温焼成時にＴｉと結合
させて微細なＴｉＣとして折出させることにより、Ｔｉ
Ｃの強化能を引き出し、さらにフェライト粒の成長を抑
制し、上記現象による強度低下を防止するとしている。
焼成後の強度が高く且つ耐爪とび性に優れたほうろう用
熱延鋼板の製造方法が開示されている。この発明はＣ、
Ｍｎ、Ｎ、Ｔｉ、Ｂを適正な成分範囲に規定した鋼を熱
間圧延した後、２００〜５００℃の温度で巻取ることに
よって、固溶炭素を０．００１ｗｔ％以上含有させるこ
とを特徴とする、焼成後の強度が高く且つ耐爪とび性に
優れたほうろう用熱延鋼板の製造方法である。この発明
では、ほうろう焼成後に強度が低下する原因はＴｉＣが
高温焼成時に成長して、ＴｉＣ自身の強化能が低下する
ことと、ＴｉＣによるフェライト粒の成長抑止能力が低
下することにあるとしている。更に、この発明では、熱
間圧延後２００〜５００℃で巻取ることにより、固溶炭
素を残存させ、この固溶炭素を高温焼成時にＴｉと結合
させて微細なＴｉＣとして折出させることにより、Ｔｉ
Ｃの強化能を引き出し、さらにフェライト粒の成長を抑
制し、上記現象による強度低下を防止するとしている。
【０００４】また、Ｔｉ添加鋼にＳｎを添加した特許と
しては特開平２−９３０４７がある。これは、Ｃｕ、
Ｃ、Ｓｎ、Ａｓ、Ｓｂのうち１種または２種以上を添加
し、ほうろう密着性を改善しようとするものである。
しては特開平２−９３０４７がある。これは、Ｃｕ、
Ｃ、Ｓｎ、Ａｓ、Ｓｂのうち１種または２種以上を添加
し、ほうろう密着性を改善しようとするものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】特公平１−１８１２４
号公報では、焼成後の強度が高く且つ耐爪とび性に優れ
たほうろう用熱延鋼板の製造方法が示されているが、こ
の発明は該熱延鋼板をほうろう用途に使用する場合の技
術であり、この発明方法を冷延鋼板に適用した場合、冷
間圧延後の再結晶焼鈍の際に、残存していた固溶炭素が
ＴｉＣとして析出し、再結晶焼鈍後の冷延製品としての
強度が高くなり、プレス加工に供することは困難である
こと、また、焼成時にＴｉＣが成長して、前述した機構
により、ほうろう焼成後の強度が低下することは容易に
推測される。また特開平２−９３０４７号公報では、加
工性、ほうろう密着性に優れたほうろう用鋼板およびそ
の製造方法を開示しているが、耐ヘアーライン欠陥性に
ついては触れられていない。
号公報では、焼成後の強度が高く且つ耐爪とび性に優れ
たほうろう用熱延鋼板の製造方法が示されているが、こ
の発明は該熱延鋼板をほうろう用途に使用する場合の技
術であり、この発明方法を冷延鋼板に適用した場合、冷
間圧延後の再結晶焼鈍の際に、残存していた固溶炭素が
ＴｉＣとして析出し、再結晶焼鈍後の冷延製品としての
強度が高くなり、プレス加工に供することは困難である
こと、また、焼成時にＴｉＣが成長して、前述した機構
により、ほうろう焼成後の強度が低下することは容易に
推測される。また特開平２−９３０４７号公報では、加
工性、ほうろう密着性に優れたほうろう用鋼板およびそ
の製造方法を開示しているが、耐ヘアーライン欠陥性に
ついては触れられていない。
【０００６】以上述べてきたように、耐ヘアーライン欠
陥性に優れたほうろう用冷延鋼板についてはいまだ開発
されていないのが実情である。
陥性に優れたほうろう用冷延鋼板についてはいまだ開発
されていないのが実情である。
【０００７】この発明は上記のような問題点を解決する
ために示されたもので、ほうろう焼成時および焼成後の
鋼板強度に優れ、耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろ
う用冷延鋼板を提供することを目的としている。
ために示されたもので、ほうろう焼成時および焼成後の
鋼板強度に優れ、耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろ
う用冷延鋼板を提供することを目的としている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下、重量％
で、Ｃ≦０．００５％、Ｍｎ＝０．１７％〜０．５％、
Ｐ＝０．００１〜０．０３％、Ｓ＝０．０１％超〜０．
０５％以下、ｓｏｌＡｌ≦０．１％、Ｃｕ＝０．０１〜
０．０５％、Ｔｉ＝０．０６５〜０．１５％、Ｎ＝０．
００５〜０．０１５％、Ｓｎ＝０．０００５〜０．０１
％、残部はＦｅおよび不可避的不純物元素からなること
を特徴とする耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用
冷延鋼板である。
で、Ｃ≦０．００５％、Ｍｎ＝０．１７％〜０．５％、
Ｐ＝０．００１〜０．０３％、Ｓ＝０．０１％超〜０．
０５％以下、ｓｏｌＡｌ≦０．１％、Ｃｕ＝０．０１〜
０．０５％、Ｔｉ＝０．０６５〜０．１５％、Ｎ＝０．
００５〜０．０１５％、Ｓｎ＝０．０００５〜０．０１
％、残部はＦｅおよび不可避的不純物元素からなること
を特徴とする耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用
冷延鋼板である。
【０００９】必要に応じて、更に、重量％で、Ｂ＝０．
０００１〜０．００５％を添加することを特徴とする耐
ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板であ
る。
０００１〜０．００５％を添加することを特徴とする耐
ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板であ
る。
【００１０】
【作用】本発明は前記したような従来技術によるものの
技術的課題を解決することについて検討を重ねた結果、
ヘアーライン欠陥の発生メカニズムを明らかにし、ま
た、Ｔｉ添加鋼に特定量のＳｎ、Ｓなどを添加すること
により、耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延
鋼板を開発したものである。
技術的課題を解決することについて検討を重ねた結果、
ヘアーライン欠陥の発生メカニズムを明らかにし、ま
た、Ｔｉ添加鋼に特定量のＳｎ、Ｓなどを添加すること
により、耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延
鋼板を開発したものである。
【００１１】ヘアーライン欠陥は、上釉焼成後、再度焼
成するまでにほうろう層に鋼板まで届くひびが発生す
る。その後、ひび直下の鋼板が酸化され、反応熱により
下釉の粘性が下がり、毛細管現象により下釉が上釉に突
出するため起こる。よって、その対策としては、ひびの
発生を抑えることと、ひびが発生しても鋼表面の酸化を
抑えることが有効である。ひびは変形によって発生し、
変形は鋼板の高温強度が弱い場合ほど起こりやすい。鋼
の高温強度は粗大粒の生成によって著しく低下する。こ
の粗大粒は主にひずみ粒成長によって起こるが、実際の
ほうろう製品で加工を受けないことは稀である。そこ
で、加工を受けても粗大粒が生成しない対策が有効であ
るとの知見に基づくものである。
成するまでにほうろう層に鋼板まで届くひびが発生す
る。その後、ひび直下の鋼板が酸化され、反応熱により
下釉の粘性が下がり、毛細管現象により下釉が上釉に突
出するため起こる。よって、その対策としては、ひびの
発生を抑えることと、ひびが発生しても鋼表面の酸化を
抑えることが有効である。ひびは変形によって発生し、
変形は鋼板の高温強度が弱い場合ほど起こりやすい。鋼
の高温強度は粗大粒の生成によって著しく低下する。こ
の粗大粒は主にひずみ粒成長によって起こるが、実際の
ほうろう製品で加工を受けないことは稀である。そこ
で、加工を受けても粗大粒が生成しない対策が有効であ
るとの知見に基づくものである。
【００１２】本発明について、まず成分組成の限定理由
を説明すると、以下の様である。以下、重量％で説明す
る。
を説明すると、以下の様である。以下、重量％で説明す
る。
【００１３】Ｃ≦０．００５％ Ｃは、Ｔｉの炭化物を形成し、ほうろう焼成時に粒界の
移動を妨げ、粗大粒の生成を防止することによって、ヘ
アーライン欠陥に対して有効であるが、多くなると加工
性が低下するため、その上限を０．００５％とする。
移動を妨げ、粗大粒の生成を防止することによって、ヘ
アーライン欠陥に対して有効であるが、多くなると加工
性が低下するため、その上限を０．００５％とする。
【００１４】Ｍｎ：０．１７〜０．５％ ＭｎはＳと結合するが、微細なＭｎＳは、粗大粒生成を
抑え、ヘアーライン欠陥に対して有効である。よって、
Ｍｎの下限を０．１７％とする。しかし、Ｍｎが０．５
％を超えると鋼が硬化し、加工性が劣化するので、Ｍｎ
は０．５％以下であることが必要である。
抑え、ヘアーライン欠陥に対して有効である。よって、
Ｍｎの下限を０．１７％とする。しかし、Ｍｎが０．５
％を超えると鋼が硬化し、加工性が劣化するので、Ｍｎ
は０．５％以下であることが必要である。
【００１５】Ｐ：０．００１〜０．０３％ Ｐは鋼を高強度化させ、ほうろう焼成時の変形を抑える
ことにより、ヘアーライン欠陥を防ぐ効果がある。この
効果のためには０．００１％以上のＰの添加が必要であ
る。しかし、多すぎると鋼が脆化する。よって、Ｐ：
０．００１〜０．０３％が良い。
ことにより、ヘアーライン欠陥を防ぐ効果がある。この
効果のためには０．００１％以上のＰの添加が必要であ
る。しかし、多すぎると鋼が脆化する。よって、Ｐ：
０．００１〜０．０３％が良い。
【００１６】Ｓ：０．０１超〜０．０５％ ＳはＴｉ、Ｍｎの酸化物を形成し、ほうろう焼成時に粒
界の移動を妨げ、粗大粒の生成を防止することにより、
ヘアーライン欠陥を防ぐ。この効果には０．０１％を超
えるＳが必要であり、また多すぎると加工性が劣化す
る。このため、Ｓの範囲は０．０１超〜０．０５％が良
い。
界の移動を妨げ、粗大粒の生成を防止することにより、
ヘアーライン欠陥を防ぐ。この効果には０．０１％を超
えるＳが必要であり、また多すぎると加工性が劣化す
る。このため、Ｓの範囲は０．０１超〜０．０５％が良
い。
【００１７】Ｃｕ：０．０１〜０．０５％ Ｃｕは、Ｓｎと複合添加することによって、われ部の鋼
の酸化を抑えるため、Ｃｕは０．０１％以上添加するの
が良い。また、多すぎるＣｕの添加は、前記の効果が飽
和し、加工性が劣化してくるので、０．０５％以下が良
い。
の酸化を抑えるため、Ｃｕは０．０１％以上添加するの
が良い。また、多すぎるＣｕの添加は、前記の効果が飽
和し、加工性が劣化してくるので、０．０５％以下が良
い。
【００１８】Ｔｉ：０．０６５〜０．１５％ Ｔｉは、炭化物、窒化物を形成し、ほうろう焼成時に粗
大粒が生成するのを防ぐ役割をする。このためには、Ｔ
ｉは０．０６５％以上必要であるが、多すぎると製鋼の
際、ノズルづまりを起こしやすく、また、表面欠陥が発
生しやすいため、０．１５％以下とする。
大粒が生成するのを防ぐ役割をする。このためには、Ｔ
ｉは０．０６５％以上必要であるが、多すぎると製鋼の
際、ノズルづまりを起こしやすく、また、表面欠陥が発
生しやすいため、０．１５％以下とする。
【００１９】ｓｏｌ．Ａｌ≦０．１％ Ａｌは、鋼を脱酸するため添加する。しかし、ｓｏｌ．
Ａｌが多いとコスト上昇を招くため、上限を０．１％と
する。
Ａｌが多いとコスト上昇を招くため、上限を０．１％と
する。
【００２０】Ｎ：０．００５〜０．０１５％ ＮはＴｉと窒化物を形成し、粗大粒の生成防止により、
耐ヘアーライン欠陥性に効果がある。この効果のために
は、０．００５％以上の添加が必要であるが、０．０１
５％を超えて添加しても効果が飽和し、成型性が劣化し
てくるので、好ましくない。
耐ヘアーライン欠陥性に効果がある。この効果のために
は、０．００５％以上の添加が必要であるが、０．０１
５％を超えて添加しても効果が飽和し、成型性が劣化し
てくるので、好ましくない。
【００２１】Ｓｎ：０．０００５〜０．０１％ Ｓｎは、Ｃｎと複合添加により、ほうろう焼成時にひび
が入っても、鋼表面が過度に酸化するのを防ぎ、ヘアー
ライン欠陥に対して効果がある。この効果のためには、
０．０００５％以上のＳｎの添加が必要であるが、０．
０１％を超えるＳｎの添加は効果が飽和し、また鋼を脆
化させるだけなので好ましくない。
が入っても、鋼表面が過度に酸化するのを防ぎ、ヘアー
ライン欠陥に対して効果がある。この効果のためには、
０．０００５％以上のＳｎの添加が必要であるが、０．
０１％を超えるＳｎの添加は効果が飽和し、また鋼を脆
化させるだけなので好ましくない。
【００２２】Ｂ：０．０００１〜０．００５％ 本発明鋼においては、鋼中の析出物のため、粗大粒の生
成はある程度抑えられるが、析出物の効果のみでは不十
分な場合、高温強度の改善のため、必要に応じてＢを添
加する。その量が０．０００１％以上でないと効果は出
ず、０．００５％を超える添加はその効果が飽和し、鋼
を硬化させるだけなので、０．０００１〜０．００５％
が良い。
成はある程度抑えられるが、析出物の効果のみでは不十
分な場合、高温強度の改善のため、必要に応じてＢを添
加する。その量が０．０００１％以上でないと効果は出
ず、０．００５％を超える添加はその効果が飽和し、鋼
を硬化させるだけなので、０．０００１〜０．００５％
が良い。
【００２３】次に製造条件について述べる。本発明にお
いて、熱延終了（仕上げ）温度は特に限定しないが、加
工性を考慮して、Ａｒ3 変態点以上にするのが望まし
い。
いて、熱延終了（仕上げ）温度は特に限定しないが、加
工性を考慮して、Ａｒ3 変態点以上にするのが望まし
い。
【００２４】次に熱延巻取り温度であるが、充分な耐ヘ
アーラインを有する為には、鋼中に適度な量、適度なサ
イズの析出物を析出させる必要があるため、５４０℃以
上の温度が望ましい。しかしながら、巻取温度が高すぎ
ると析出物が粗大化し、耐ヘアーライン欠陥性が劣化す
るため、熱延巻取温度は７２０℃以下が望ましい。
アーラインを有する為には、鋼中に適度な量、適度なサ
イズの析出物を析出させる必要があるため、５４０℃以
上の温度が望ましい。しかしながら、巻取温度が高すぎ
ると析出物が粗大化し、耐ヘアーライン欠陥性が劣化す
るため、熱延巻取温度は７２０℃以下が望ましい。
【００２５】冷延条件であるが、これについては特に規
定するものではなく、常法に従い冷間圧延を行えば良好
な特性が得られる。再結晶焼鈍の方法も特に規定するも
のではないが、生産性、歩留りに優れた連続焼鈍が望ま
しい。焼鈍温度は再結晶温度以上、Ａｒ3 変態点以下の
温度範囲とする。
定するものではなく、常法に従い冷間圧延を行えば良好
な特性が得られる。再結晶焼鈍の方法も特に規定するも
のではないが、生産性、歩留りに優れた連続焼鈍が望ま
しい。焼鈍温度は再結晶温度以上、Ａｒ3 変態点以下の
温度範囲とする。
【００２６】なお、本発明鋼板においては、溶解、精錬
は電気炉を使っても問題なく、熱延の粗圧延を省略し、
直接鋳造の薄スラブを直接熱間圧延してもよい。
は電気炉を使っても問題なく、熱延の粗圧延を省略し、
直接鋳造の薄スラブを直接熱間圧延してもよい。
【００２７】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明する。
【００２８】
【表１】
【００２９】表１に示した化学組成よりなる連続鋳造ス
ラブを、熱延仕上温度８９０℃、板厚２．８mmの熱延板
とし、６００℃で巻き取った。酸洗後、冷間圧延を施
し、板厚０．８mmの冷延板とした後、均熱温度８２０℃
にて連続焼鈍し、伸長率０．５％の調質圧延を施した。
ラブを、熱延仕上温度８９０℃、板厚２．８mmの熱延板
とし、６００℃で巻き取った。酸洗後、冷間圧延を施
し、板厚０．８mmの冷延板とした後、均熱温度８２０℃
にて連続焼鈍し、伸長率０．５％の調質圧延を施した。
【００３０】以上のように製造した各冷延鋼板につい
て、以下の考え方、方法で、焼成時の鋼板の強度、耐縦
割れ性、ヘアーライン欠陥の各特性を調査した。
て、以下の考え方、方法で、焼成時の鋼板の強度、耐縦
割れ性、ヘアーライン欠陥の各特性を調査した。
【００３１】焼成時の鋼板の強度は、前述の通り、粗大
粒が生成すると、鋼板強度が低下し、耐ヘアーライン欠
陥性が劣化する。これを以下の試験で評価した。
粒が生成すると、鋼板強度が低下し、耐ヘアーライン欠
陥性が劣化する。これを以下の試験で評価した。
【００３２】各冷延鋼板コイルの長手方向中央部から、
ＪＩＳ５号引張試験片を引張方向が圧延方向と一致する
ように採取し、圧延方向断面の硬さＨｖ（荷重５００
ｇ：繰り返し数ｎ５の平均値）を測定した。〔この時の
ビッカース硬さ（ｎ５平均値）をＨｖ1 とする〕。
ＪＩＳ５号引張試験片を引張方向が圧延方向と一致する
ように採取し、圧延方向断面の硬さＨｖ（荷重５００
ｇ：繰り返し数ｎ５の平均値）を測定した。〔この時の
ビッカース硬さ（ｎ５平均値）をＨｖ1 とする〕。
【００３３】その後、これら引張試験片に５％のひずみ
を加えた後、８３０℃のソルトバスに３分浸漬後空冷す
る操作を３回繰り返して行った後、再度圧延方向断面の
硬さＨｖ（荷重５００ｇ：ｎ＝５平均値）を測定した。
〔この時のビッカース硬さ（ｎ５平均値）をＨｖ2 とす
る〕。
を加えた後、８３０℃のソルトバスに３分浸漬後空冷す
る操作を３回繰り返して行った後、再度圧延方向断面の
硬さＨｖ（荷重５００ｇ：ｎ＝５平均値）を測定した。
〔この時のビッカース硬さ（ｎ５平均値）をＨｖ2 とす
る〕。
【００３４】焼成時の強度の評価は△Ｈｖ＝Ｈｖ1 −Ｈ
ｖ2 、すなわち、焼成後の硬度低下量で評価した。△Ｈ
ｖが小さいほど焼成による強度低下が少なく、△Ｈｖが
大きいほど焼成による強度低下が著しい。この△Ｈｖで
焼成時の強度低下を評価する場合、△Ｈｖが２０を超え
ると焼成時の腰折れにより、ホーロー釉薬に微細なクラ
ックが発生し、ヘアーライン欠陥の原因となるため、実
用上問題となる。一方、△Ｈｖ≦２０であれば実用上何
ら問題はない。
ｖ2 、すなわち、焼成後の硬度低下量で評価した。△Ｈ
ｖが小さいほど焼成による強度低下が少なく、△Ｈｖが
大きいほど焼成による強度低下が著しい。この△Ｈｖで
焼成時の強度低下を評価する場合、△Ｈｖが２０を超え
ると焼成時の腰折れにより、ホーロー釉薬に微細なクラ
ックが発生し、ヘアーライン欠陥の原因となるため、実
用上問題となる。一方、△Ｈｖ≦２０であれば実用上何
ら問題はない。
【００３５】耐縦割れ性は、絞り比２．１でカップ成形
した試験片にポンチを押し込んで破断させ、破断面が延
性から脆性に移る温度を測定した（低い方が耐縦割れ性
は良好である）。
した試験片にポンチを押し込んで破断させ、破断面が延
性から脆性に移る温度を測定した（低い方が耐縦割れ性
は良好である）。
【００３６】ヘアーライン欠陥の評価は、表１に示す組
成の鋼板を各々３枚切り出し、以下の条件でほうろう前
処理、施釉、焼成を行い（２回掛け）、その後引張って
ひびを入れ、更に、もう一度焼成した後の欠陥の発生状
況で判断した。すなわち、３枚ともヘアーライン欠陥が
発生しなかったものを無し、１枚でも発生したものを有
りと判断した。 前処理：脱脂→硫酸酸洗（１５％Ｈ2 ＳＯ4 、７０℃×
１０ｍｉｎ）→Ｎｉめっき（ＮｉＳＯ4 ・７Ｈ2 Ｏ・１
３ｇ／ｌ、ｐＨ２．６、７０℃×５ｍｉｎ）→中和 下釉：施釉：日本フェローＨ釉薬（膜厚：１００μｍ） 焼成：８５０℃×３分 上釉：施釉：日本フェロー１５５３Ｂ（膜厚：１００μ
ｍ） 焼成：８２０℃×３分 ひび入れ後焼成：８２０℃×３分
成の鋼板を各々３枚切り出し、以下の条件でほうろう前
処理、施釉、焼成を行い（２回掛け）、その後引張って
ひびを入れ、更に、もう一度焼成した後の欠陥の発生状
況で判断した。すなわち、３枚ともヘアーライン欠陥が
発生しなかったものを無し、１枚でも発生したものを有
りと判断した。 前処理：脱脂→硫酸酸洗（１５％Ｈ2 ＳＯ4 、７０℃×
１０ｍｉｎ）→Ｎｉめっき（ＮｉＳＯ4 ・７Ｈ2 Ｏ・１
３ｇ／ｌ、ｐＨ２．６、７０℃×５ｍｉｎ）→中和 下釉：施釉：日本フェローＨ釉薬（膜厚：１００μｍ） 焼成：８５０℃×３分 上釉：施釉：日本フェロー１５５３Ｂ（膜厚：１００μ
ｍ） 焼成：８２０℃×３分 ひび入れ後焼成：８２０℃×３分
【００３７】
【表２】
【００３８】表２は、表１の条件で熱間圧延、冷間圧
延、連続焼鈍、調質圧延を施した後、前述の条件での耐
ヘアーライン欠陥性等の評価試験結果を示したものであ
る。
延、連続焼鈍、調質圧延を施した後、前述の条件での耐
ヘアーライン欠陥性等の評価試験結果を示したものであ
る。
【００３９】鋼１〜１６は本発明例であり、耐ヘアーラ
イン欠陥性は良好である。鋼１７〜２３は比較例であ
る。鋼１７〜１９はＭｎ、Ｓ、Ｎの一種以上が低いた
め、ヘアーライン欠陥が発生した。鋼２０、２１はＳｎ
が無添加あるいは低いため、ヘアーライン欠陥が発生し
た。更に、鋼２２は耐ヘアーライン欠陥性は良好である
が、Ｓｎが高い為、耐縦割れ性に劣る。鋼２３はＣｕが
低いため、ヘアーライン欠陥が発生した。
イン欠陥性は良好である。鋼１７〜２３は比較例であ
る。鋼１７〜１９はＭｎ、Ｓ、Ｎの一種以上が低いた
め、ヘアーライン欠陥が発生した。鋼２０、２１はＳｎ
が無添加あるいは低いため、ヘアーライン欠陥が発生し
た。更に、鋼２２は耐ヘアーライン欠陥性は良好である
が、Ｓｎが高い為、耐縦割れ性に劣る。鋼２３はＣｕが
低いため、ヘアーライン欠陥が発生した。
【００４０】また、鋼１２〜１６は本発明例でＢを添加
したものであるが、焼成による強度低下が小さく、耐ヘ
アーライン欠陥性はさらに良好である。
したものであるが、焼成による強度低下が小さく、耐ヘ
アーライン欠陥性はさらに良好である。
【００４１】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、耐ヘ
アーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板を提供す
ることができる。
アーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細谷 佳弘 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 実川 正治 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平２−93047（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−45322（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C22C 38/00 301 C22C 38/16
Claims (2)
- 【請求項１】以下、重量％で、 Ｃ≦０．００５％ Ｍｎ＝０．１７％〜０．５％ Ｐ＝０．００１〜０．０３％ Ｓ＝０．０１％超〜０．０５％以下 ｓｏｌＡｌ≦０．１％ Ｃｕ＝０．０１〜０．０５％ Ｔｉ＝０．０６５〜０．１５％ Ｎ＝０．００５〜０．０１５％ Ｓｎ＝０．０００５〜０．０１％ 残部はＦｅおよび不可避的不純物元素からなることを特
徴とする耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延
鋼板。 - 【請求項２】以下、重量％で、 Ｃ≦０．００５％ Ｍｎ＝０．１７％〜０．５％ Ｐ＝０．００１〜０．０３％ Ｓ＝０．０１％超〜０．０５％以下 ｓｏｌＡｌ≦０．１％ Ｃｕ＝０．０１〜０．０５％ Ｔｉ＝０．０６５〜０．１５％ Ｂ＝０．０００１〜０．００５％ Ｎ＝０．００５〜０．０１５％ Ｓｎ＝０．０００５〜０．０１％ 残部はＦｅおよび不可避的不純物元素からなることを特
徴とする耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延
鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP35102093A JP2876969B2 (ja) | 1993-12-29 | 1993-12-29 | 耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP35102093A JP2876969B2 (ja) | 1993-12-29 | 1993-12-29 | 耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07197191A JPH07197191A (ja) | 1995-08-01 |
| JP2876969B2 true JP2876969B2 (ja) | 1999-03-31 |
Family
ID=18414500
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP35102093A Expired - Fee Related JP2876969B2 (ja) | 1993-12-29 | 1993-12-29 | 耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2876969B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100470056B1 (ko) * | 2000-11-25 | 2005-02-04 | 주식회사 포스코 | 법랑 밀착성이 우수한 직접 법랑용 냉연강판 |
-
1993
- 1993-12-29 JP JP35102093A patent/JP2876969B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH07197191A (ja) | 1995-08-01 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| KR101087871B1 (ko) | 가공성, 파우더링성, 미끄럼 이동성이 양호한 합금화 용융 아연 도금 강판의 제조 방법 | |
| EP3476968A1 (en) | Low-density hot-dipped steel and manufacturing method therefor | |
| US7922837B2 (en) | Steel sheet for vitreous enameling and method for producing the same | |
| KR20010023573A (ko) | 고강도 박강판, 고강도 합금화 용융아연도금 강판 및이들의 제조방법 | |
| KR20010042985A (ko) | 강판, 용융 도금 강판 및 합금화 용융 도금 강판과 이들의제조 방법 | |
| KR100264258B1 (ko) | 건축 재료로서 사용하기 위한 냉간압연 강대 및 용융 도금된 냉간압연 강대 및 그 제조방법 | |
| US5500290A (en) | Surface treated steel sheet | |
| CN110777301B (zh) | 一种冷轧搪瓷钢及其制造方法 | |
| EP0632141B1 (en) | Surface treated steel sheet and method therefore | |
| JP3304747B2 (ja) | 焼付硬化性と延性および常温時効性とのバランスに優れた冷延鋼板ならびにその製造方法 | |
| JP2004143470A (ja) | 塗装焼付硬化性能と常温遅時効性に優れた鋼板およびその製造方法 | |
| JP3238211B2 (ja) | 焼付硬化性と非時効性とに優れた冷延鋼板あるいは溶融亜鉛メッキ冷延鋼板の製造方法 | |
| JP2001192799A (ja) | 加工性に優れた高強度溶融メッキ鋼板とその製造方法 | |
| JP2876969B2 (ja) | 耐ヘアーライン欠陥性に優れたほうろう用冷延鋼板 | |
| JP3435035B2 (ja) | 加工性およびほうろう密着性に優れた連続鋳造ほうろう用鋼板およびその製造方法 | |
| JP2003105513A (ja) | 外観と加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 | |
| JP3347152B2 (ja) | 耐孔あき腐食性に優れた低降伏比冷延高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
| JP2001026843A (ja) | 加工性、耐泡・黒点性およびほうろう密着性に優れた連続鋳造ほうろう用鋼板およびその製造方法 | |
| JP3094804B2 (ja) | 表面性状に優れた焼付け硬化型鋼板 | |
| JP3350096B2 (ja) | 焼付硬化性と成形性とに優れた冷延鋼板あるいは溶融亜鉛メッキ冷延鋼板およびそれらの製造方法 | |
| JP3921101B2 (ja) | 形状凍結性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
| JPH10140237A (ja) | 耐火性に優れた建材用冷延鋼板及び溶融めっき冷延鋼板の製造方法 | |
| JP3716439B2 (ja) | めっき特性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
| JP3247152B2 (ja) | ほうろう焼成後高強度化するほうろう用冷延鋼板およびその製造方法 | |
| JP3399748B2 (ja) | プレス加工性及び化成処理性に優れた冷延鋼板並びにプレス加工性及び耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19981222 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080122 Year of fee payment: 9 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090122 Year of fee payment: 10 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090122 Year of fee payment: 10 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100122 Year of fee payment: 11 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110122 Year of fee payment: 12 |
|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |