JP2875805B2 - 楽器の自動調律装置 - Google Patents

楽器の自動調律装置

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JP2875805B2 JP63305106A JP30510688A JP2875805B2 JP 2875805 B2 JP2875805 B2 JP 2875805B2 JP 63305106 A JP63305106 A JP 63305106A JP 30510688 A JP30510688 A JP 30510688A JP 2875805 B2 JP2875805 B2 JP 2875805B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、楽器の調律に関する。特に、本発明は、楽
器の自動調律技術に関する。別の観点からいえば、本発
明は、弦楽器の自動調律の技術および装置に関する。
[従来の技術] 楽器の調律は、演奏家にとつて困難で面倒な、しかも
極めて必要度の高い仕事である。2つまたはそれ以上の
楽器を同時に演奏するために調律しなくてはならない時
には、特にそうである。例えば、オーケストラまたは楽
団内の演奏家の楽器は相互に調子が合つていなくてはな
らず、正しく調子を合わせた後にのみそれらの人々は一
緒に音楽を演奏することができる。演奏家が異なつた基
本音程関係を有する調性(Keys)へ、またはその調性か
ら変化しようとする時には、さらに大きい複雑さが発生
する。
ときどき、演奏家のグループが演奏を開始した後にグ
ループの一員の楽器の調子合せが必要であつたことがわ
かる。その場合は、調子が合わないまま演奏を続ける
か、または演奏を中止して楽器の調子を合わせてから演
奏を再開するかを決定しなくてはならない。これが聴衆
の前で起こると、極めて面倒である。もちろん、調子を
合わせ直しても、同調状態が改善される保証はない。さ
らに、調子を合わせ直すために失われる時間は、全ての
人をいらだたせる。
ある楽器は、相異なる多くの方法で調律される。例え
ば、ギターでは十数種類の異なる「開放調律」を行なう
ことができ、そのそれぞれがある歌の演奏に対し特別の
利点を有する。演奏者は通常演奏中に再調律することを
望まないので、用いようとするそれぞれの開放調律によ
るギターをステージに持参する。それぞれのそのような
ギターは別個に調律されなくてはならず、また演奏され
る時まで調律状態に保たれなくてはならない。いくつか
の異なつた開放調律が存在するため、この方法をとると
いくつかの異なつたギターをもつていることが必要にな
る。そのため大変な経費がかかり、かつ演奏家は演奏中
にギターを取換えるための時間を要する。
さらに、弦楽器の調律は演奏中に狂うことが十分にあ
りうる。これは、湿度、温度、および演奏中弦に対して
連続的に加わる応力、などのさまざまな要因によつて起
こる。
ある演奏家は、他の演奏家よりも調律にすぐれてい
る。その結果、ある演奏家は、適度の時間内に楽器を正
しく調律しうるが、他の演奏家(例えば未熟な演奏家)
は調律に長時間を要しながら、完全に正確にこれを行な
いえない。
これまでに、弦楽器の音の高さを電気的に検出する調
律装置が提案されている(例えば、米国特許第4,088,05
2号参照)が、そのような装置は楽器を自動的に調律す
ることはできない。さらに、そのような装置は、一時に
1弦を調律しうるのみである。また、装置の機械的部分
により導入される誤差の可能性もある。さらに、その装
置は固有の限界をもつアナログフイルタ作用を使用して
いる。
また、調律されている弦は、全調律過程を通じて振動
せしめられている必要がある。この装置のもう1つの限
界は、例えばギターの調律中にネツクの曲がりなどの効
果を補償しえないことである。
他の形式の調律装置は、以下の特許に開示されてい
る:米国特許第4,196,652号(Raskin)、米国特許第4,2
07,791号(Murakami)、米国特許第4,313,361号(Deutc
h)、米国特許第4,327,623号(Mochida)、米国特許第
4,426,907号(Scholz)、および米国特許第4,584,923号
(Minnick)。
しかし、従来の装置はそれぞれさまざまな欠点および
限界を有する。従来装置の主たる欠点は、楽器から発生
する周波数を決定するのに、妨害信号のアナログフイル
タ作用を利用していることである。これは極めて正確で
あるとはいえない。さらに、アナログ装置においては、
全調律過程を通じて周波数が励振されていなくてはなら
ない。
これらの従来装置は全て、調律を行なうのに比較的に
時間がかかる。一時に1弦を調律する装置は、非直線成
分を補償するために数回の反復使用を要する。また、そ
のような装置はいずれもナツトまたはブリツジにおける
摩擦に対する備えがない。ギターなどにおける摩擦の場
所は、ブリツジおよび/またはナツトおよび調律用糸巻
きに存在する。ブリツジまたはナツトにおいては、弦は
静摩擦係数と動摩擦係数との差によつて短く急激に運動
する。すなわち、いつたん弦が運動を始めると、それは
調律中に所望されるよりも多く運動する。調律用糸巻き
機構は、かなりの摩擦を有する。
さらに、従来装置はいずれも非直線効果を補償しえな
い。非直線効果には、温度変化およびネツクの曲がりな
どの因子が含まれる。さらに、従来装置はいずれも、い
くつかの楽器に同時に共用されるよう拡張できるだけの
適応性をもたない。
例えば、これらの装置のいくつかは、一時に1弦を調
律しうるのみである。また、ある装置は等分平均律に対
する調律のみが可能であり、ある装置は所定周波数に対
する調律のみが可能で変化させえない。また、ある装置
の使用においては、使用者に起因する誤差の可能性がな
お存在する。
ある装置は、弦が十分な振幅で振動して、その装置内
に含まれる電子的諸要素の要求範囲内にある時にのみ、
その弦の調律を行ないうる。信号の振幅が関連する電子
的諸要素を十分に動作させうるほど大きくない場合は、
その弦は再び励振されるまで調律されえない。
さらに、ある装置は不適当なフイルタ技術を用いてい
る。アナログフイルタは、フイルタされた周波数に位相
誤差が入る。基準周波数がフイルタされた周波数と比較
されるとき、2つの信号に位相差があるために誤差を発
生しうる。
さらにもう1つの観点から見ると、ある装置は機械的
に複雑であるために高価であり、かつ機構的故障を生じ
ると信頼性を失いがちである。
1つの従来装置は、周波数を変化させる手段としての
弦の引張力を検出する。この技術はいくつか固有の欠点
を有する。毎秒の振動数は、弦の長さと、弦の太さとに
反比例する。また、それは弦が受ける引張力の平方根に
比例する。最後に、振動数は弦の密度の平方根に反比例
する。弦の太さ、すなわち断面積は、その性質上、主と
して演奏中に弦に加わる応力によつて変化する。断面積
の変化のために、周波数は引張力に対して完全な直線的
関係にはない。従つて、引張力を検出するこの方法は劣
つている。
従来の調律装置はいずれも、本発明の装置および技術
が有する利点をもつていない。
[発明の要約] 本発明は、楽器から発生する楽音の周波数を変化させ
る調節装置を有する、楽器の自動調律装置を提供する。
この装置は、 (イ) 該楽器から発生する楽音を検出して信号を発生
するための検出装置と、 (ロ) 該信号をデイジタル信号に変換するための変換
装置と、 (ハ) 該デイジタル信号を周波数信号に変換するため
の処理装置と、 (ニ) 該周波数信号を所定の周波数値と比較して電気
信号を発生するための比較器装置と、 (ホ) 該電気信号によつて作動せしめられるモータ装
置であつて、前記調節装置に動作上結合されていること
により前記周波数を調節して前記所定値に一致せしめる
ようになつている前記モータ装置とを備えている。
本発明の装置はまた、曲がり、温度、および湿度など
の、楽器の非直線的効果を補償するための補償装置を備
えている。この補償装置は、直線的効果をも補償するこ
とができる。
本発明の調律装置は、弦楽器および非弦楽器を含む広
範囲の楽器に対して有用である。例えば、この調律装置
は、ギター、ハープ、ピアノ、ホルン、などを調律する
のに有用である。
この調律装置は、楽器の全ての弦を同時に、速やか
に、かつ効果的に、自動的に調律できる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明す
る。添付図面においては、いくつかの図を通じ同一部品
には同一参照番号を用いてある。
[実施例] 弦楽器のような楽器の調律に際しては、それぞれの弦
をぴんと張つて、弦が振動した時特定の周波数信号を生
じるようにする。それぞれの弦から発生することが所望
される正確な周波数は、実施される調律の形式による。
例えば、ある楽器は、「真」音階に対して、または「平
均」音階に対して調律されうる。これらの異なる音階の
それぞれにおける、それぞれの弦の間の周波数間隔は異
なるが、それにも拘らずそれらは相互に特定の比によつ
て関連している。
ある楽器が正しく調律されていないといわれる場合、
それは、1つまたはそれ以上の弦が正しい、すなわち意
図された周波数で振動していないことを意味する。真音
階における基本周波数間の比は、小さい整数であると考
えられる。1つまたはそれ以上の弦が正しく調律されて
いない場合は、楽器から生じる音は不協和であるといわ
れる。これは極めて不快な感じを与え、諸弦の調律状態
が著しく悪い場合は特にそうである。
本発明の自動調律装置においては、例えば、開放調律
の状態において楽器から発生する諸周波数がサンプリン
グされ、決定される。次に、その楽器の正しい諸周波数
の表すなわち関係を用いて、楽器から発生したそれぞれ
の周波数の誤差が決定される。誤差信号が電気機械的装
置へ印加され、次にこの装置がそれぞれの弦を新しい調
律状態にする。非弦楽器に対して、電気機械的装置は、
例えばスライドを移動させて周波数を変化せしめる。
楽器から発生する周波数のサンプリング過程は、補償
装置をして直線的および非直線的効果を補償せしめるの
に必要な回数だけ繰返される。補償装置は、調律中の楽
器の任意の直線的または非直線的反応に関するそれぞれ
のサンプリング中に更新されるコンピユータアルゴリズ
ムを有する。アルゴリズムが完全に更新されると、電気
機械的装置は諸弦の周波数を変更することを要求され、
それによつて何らかの異なつた所定の調律状態が実現さ
れる。楽器の調律状態に影響を及ぼす事実上任意のパラ
メータは、その楽器に対するコンピユータに基づく状態
方程式内に含ませることができる。例えば、戸外におけ
る長時間の演奏中においての温度変化の効果を決定し
て、調律装置に用いることができる。本発明の装置は、
開放調律に用いられうるのみでなく、平均音階調律また
は真音階調律にも用いられうる。
ここに説明される装置は、多くの楽器に対して適用さ
れうる。
第1図には、本発明の自動調律装置が示されている。
1例として、この装置が、ギターなどの弦楽器に対して
使用される場合を考える。諸弦がいつたん励振される
と、磁気ピツクアツプなどのトランスジユーサが、ギタ
ーから発生する楽音を検出して対応する混合信号を発生
し、この信号は通常のアナログ−デイジタル変換器によ
つてデイジタル信号に変換される。次に、このデイジタ
ル信号はコンピユータへ転送され、コンピユータは高速
フーリエ変換(FFT)を用いて信号処理を行なつて、こ
の信号を周波数信号に変換する。次に、コンピユータ
は、この周波数信号を所定の周波数値と比較して、対応
する電気信号を発生する。次に、それぞれの電気信号
は、調節装置に動作上連結されたモータ(例えば、ステ
ツプモータ)を作動せしめ、対応する弦の周波数を調節
して前記所定値に一致せしめる。この調律装置は、弦楽
器の全ての弦を同時に調律することができる。
代表的な応用例としては、ここでは適切と考えられる
ギター用の装置を詳細に説明する。この装置は楽器上の
振動弦の周波数を、楽器に結合せしめられたトランスジ
ユーサから集められたデータを用いて弦の引張力を変化
させることにより、自動的に調節する。この装置はさら
に、 (1) 楽器の諸周波数をコンピユータ解析のために変
換する適宜のトランスジユーサ装置と、 (2) コンピユータ解析の結果を変換して楽器の周波
数または諸周波数を調節するための適宜のトランスジユ
ーサ装置と、 を備えていることによつて、任意の楽器の周波数または
諸周波数を調節できるようになつている。
従つて、本発明の調律装置は、例えば、ホルン、たは
ハープ、またはピアノなどの他の楽器に対しても使用す
ることができる。これも第1図に図示されている。例え
ば、ホルンは、ホルンから発生する楽音の周波数を変化
させるためのスライド機構を有しうる。また、調律装置
はハープまたはピアノに対しても使用できる。
楽器から発生する楽音を検出して、対応するアナログ
信号を発生するためには、さまざまな検出装置を使用す
ることができる。例えば、任意の通常のトランスジユー
サが使用されうる。すなわち、ある形式の楽器に対して
は磁気ピツクアツプが、また、マイクロホン、圧電ピツ
クアツプ、光学式装置、なども使用できる。これらの形
式のトランスジユーサは、全てある状況において有用で
ある。
以下、6弦ギターの自動調律に関して、本発明の装置
の説明を行なう。
データ収集 標準的な6弦ギター用の磁気ピツクアツプからの信号
は、アナログ−デイジタル変換器(ADC)へ供給され
る。この信号は、磁気ピツクアツプとADCとの間で、以
下の一般的要求に従つて増幅されフイルタされる必要が
ある。
(1) 信号はデータ収集中において、ADCの最大示度
と最大示度の半分との間になくてはならない。
(2) 最高音を発する弦の基本周波数より大きい周波
数は効果的に減衰せしめられなくてはならない。通常こ
れは329Hzの周波数を有するE4に調律された#1弦であ
る。実用に際しては、本発明の装置は392HzのG4にある1
2弦ギターの#5弦を調節することを要求される。
適正増幅の信号を供給するためには、もし必要なら
ば、特殊なリミツタを使用する。最高弦周波数の10%上
の点から開始される1オクターブにつき12ないし24dbの
ロールオフを有するフイルタ作用が適切である。
コンピユータ解析 全ての弦が「弾奏」によつて運動状態にされてから間
もなく、データが収集され始められる。可能な最高周波
数より10%大きい収集ウインドウを収容するためには、
392Hz+39Hz=431Hzが要求される。正弦波を画定するた
めには、1サイクルにつき最少2点を得る必要がある
(ナイキストのサンプリング定理)。431Hzを2倍して8
62点/秒とすると、データ収集速度は1.16ミリ秒/点と
なる。1024点のデータアレイを収集するのに、ちようど
1秒を要する速度が適切である。
データ収集が終了すると、コンピユータによる変換に
よつて、データは、(それが収集された)時間領域から
周波数領域へ移される。時間領域においては、それぞれ
の弦に関する周波数情報は、他の全ての弦に関する周波
数増情報と複雑に組合わさつている。たとえ可能であつ
たとしても、コンピユータによつて時間領域情報から弦
の調節中に要求される決定のために必要な情報を抽出す
ることは実際的ではない。時間領域データを周波数領域
内へ変換すれば、それぞれの弦に関する周波数データ
は、他の諸弦の周波数データから、コンピユータがそれ
ぞれの弦の周波数を容易に決定しうるように取出され
る。この変換は、1965年にCooleyおよびTukeyによつて
発展せしめられた高速フーリエ変換(FFT)と呼ばれる
ものである。周波数データの解析には、少なくとも431H
z/4096点=0.105Hz/点の分解能を与える少なくとも4096
点のアレイが必要である。この大きさのアレイを実現す
るためには、得られた1024個のデータ点を4096個になる
ように「ゼロ補充」する。その結果、それぞれの弦に対
する「ピーク」を定める点が多くなり、周波数決定過程
が一層正確になる。
FFTに続いて、コンピユータはそれぞれの弦の周波数
を決定し、この値をその弦にその時要求されている値と
比較し、もし加えるべき補正があればそれを決定する。
この補正とは、ステツプモータに指示すべきステツプ数
および回転方向の形式のものである。ステツプモータの
輪は、歯車またはレバー減速装置を経て、「調律用糸巻
き」の軸に連結されている。これは、第2図、第3図、
および第4図に示されている。
すなわち、図示されている電気機械的装置10は、別個
の弦の長さを選択的に調節することにより、その周波数
を調節するためにギター内に組込まれるべきものであ
る。ブリツジ構体12は、ギターの上面に固定されてい
る。この構体は、いくつかの個々のローラ16を担持して
いる。それぞれのローラは、ギターの単一の弦17を末端
において支持する。これらのローラ16は自由に回転する
ので、弦がきつく締めつけられたり、あるいは暖められ
たりするときの弦の運動に対し極めて小さい摩擦しか与
えない。
緒止め、すなわち調律用レバー構体20は、ギターの凹
領域内に固定されている。構体20は、それぞれの端部に
キングポスト22とキングポスト台23とを有し、これらは
ドエルピン24を支持する。ドエルピン24上には、6つの
個々のレバーアーム26および自由回転ローラ27が支持さ
れている。
それぞれのレバーアーム26の上端部は、ドエルピン24
上において自由に旋回できる。それぞれのレバーアーム
の下端部は、ステツプモータ32により制御されるねじ切
りされた軸30に係合するピン継手28を有する。それぞれ
のステツプモータは、スラスト軸受31を有する。取付板
34を含む取付構体34Aは、それぞれのステツプモータに
固定されており、それぞれのモータをギターの凹領域内
の可傾取付台35に、モータが、わずかに旋回しうるよう
に取付ける装置として用いられる。それぞれの弦の端部
は、それぞれのレバーアーム26上のホルダ25内に保持さ
れる拡大部分(図示されていない)を有する。
このようにして、コンピユータからの電気信号を受け
ると、それぞれのステツプモータは対応軸30を回転せし
めてレバーアーム26を旋回させる。これにより、対応弦
17は要求に応じて暖められるか、または締付けられ、所
望周波数に調節される。
意志決定過程には汎用コンピユータ装置が使用される
ので、諸弦が調律されている時の弦間相互作用などに関
する情報を考慮することができる。この1例は、調律さ
れつつある弦の引張力の変化によつて起こる「ネツクの
湾曲」である。これは調律されつつない弦の引張力を変
化せしめることによつて、それらの弦の周波数に望まし
くない変化を与える。これらの種類の相互作用は全て、
多くの人々がそれらの効果を記述する完全な方程式を作
りうるほど十分に、音楽の文献に記載されている。この
情報を利用すれば、以前に用いられていた冗長な「試行
錯誤」法よりも速やかに、直ちに全ての弦を正しい周波
数まで移行せしめうる。
これらの、および他の、アルゴリズムの詳細な考慮を
不必要にするために、本装置は、コンピユータ装置をし
て全ての存在しうる効果を測定せしめることにより、そ
れぞれの演奏の前にギターの「校正」を行なう。コンピ
ユータにより制御された小「弾奏」を用いることが可能
であり、コンピユータをして、データ収集を準備し、
「弾奏」を行ない、データを集め、全アルゴリズムを更
新し、次に解析を行なわしめることによつて、自動的に
一連の試験を行なわしめ、それによつて校正すなわち較
正過程を完了する。その後、校正アルゴリズムを用いる
と、再校正を必要とせずに、ギターの「調律」を任意の
所定状態に変化させうる。例としては、12種類の音高の
「開放」調律、等分平均音階調律があり、まず音声を正
確に調律した後、これらの調律旋法の任意のものの音高
を歌の演奏中に4つの半音だけ上下に変化せしめる。
弦の調節 それぞれの弦は、機械加工された軸に巻きつけられ、
適宜の歯車箱を経てステツプモータに連結される。これ
によつて、弦の周波数に一定の変化を与えるために必要
なステツプ数の間に、ある関係が確立される。もし、コ
ンピユータが使用前に「較正」しうるようになつていれ
ば、それぞれのモータがどのように「ステツプ」を「周
波数変化」に変換するかの詳細は、コンピユータアルゴ
リズム内に全て含めることができる。これにより、本装
置の性能の機械ステツプへの依存度は、再現可能性のみ
が要求される段階まで低下せしめられる。
ステツプモータへの接続は、多くのコンピユータに共
通な、極めて簡単なデイジタルパルスインタフエースに
よつて行なわれる。本装置がそれぞれのモータに対する
正しいステツプ数を決定すると、これらのステツプは、
標準的なトランジスタ−トランジスタ論理(TTL)技術
を用い、TTLレベルパルスとして、デイジタル線路を経
てそれぞれのモータへ送られる。本装置は、まずパルス
カウントを全てのモータ制御装置内に「ロード」した
後、「ゴー(go)」指令を出して全てのモータを一斉に
動かすための装置を備えている。
ステツプモータおよび機械的装置 本発明の装置を6弦ギターの調律に適用する場合の機
械的装置を以下に詳述する。表Iは、6弦の移動および
引張力の最悪の場合の値を示している。
表 I ブリツジにおける諸弦の最悪の場合の引張力および移動 弦 弦移動 弦引張力 1 2.794mm(0.110インチ) 9.07kg(20ポンド) 2 1.600 (0.063 ) 11.34 (25 ) 3 0.889 (0.035 ) 17.24 (38 ) 4 1.499 (0.059 ) 16.33 (36 ) 5 1.194 (0.047 ) 14.97 (33 ) 6 0.889 (0.035 ) 12.70 (28 ) 弦移動:600セント、正常調律の2フレツト上から4フレ
ツト下まで。 鋼弦:0.229,0.279,0.406,0.610,0.941,1.067(mm)
(0.009,0.011,0.016,0.024,0.036,0.042(インチ)) 燐青銅弦:0.254,0.356,0.584,0.762,0.991,1.194(m
m)(0.010,0.014,0.023,0.030,0.039,0.047(イン
チ)) 図面には、ギター上の弦の引張力の調節のための機械
的構造が示されている。それぞれの弦は湾曲した硬金属
表面、すなわち弦ホルダに取付けられ、これは該湾曲表
面と同心的な軸上で回転する。弦の装置への連結が簡単
であるため、弦を1つまたはそれ以上の滑車に掛けると
いうような、弦の複雑な径路作りの必要はなくなる。こ
の配置によれば、力が最大になるこの領域における摩擦
は最小値になる。
弦ホルダには「レバー」が連続されており、このレバ
ーは装置の最初の機関的利得を与える。弦ホルダの表面
の半径を「a」として、レバーの有効長を「b」とする
と、レバーの理想的な機械的利得はb/aとなる。この比
をb/a=10とすると、これから2つの有用な関係が決定
される。すなわち、 レバー端部における力=引張張力/10 レバー端部の移動=弦移動×10 である。
レバー端部は、ステツプモータに連結された親ねじに
より駆動される。この構造の詳細を以下に記載する。
親ねじ:15.7ねじ山/cm(40ねじ山/インチ) モータステツプ数/回転:48(Airpax #K82201−P2) 動的モータトルク:43.2g−cm(0.60オンス−インチ)
(Airpax #K82201−P2) 保持モータトルク:100.8g−cm(1.4オンス−インチ)
(Airpax #K82201−P2) これを用いると、ブリツジにおける弦の移動は75.6ステ
ツプ/cm(192ステツプ/インチ)で行なわれ、ブリツジ
において弦に作用する動的力は42.7kg(94.2ポンド)に
なり、ブリツジにおいて弦に作用する保持力は130kg(2
87ポンド)になる。表IIは、それぞれの弦に対して得ら
れる可能な整定値を示す。
第2図および第3図は、弦、レバー、親ねじ、および
ステツプモータの機械的配置を示す。ステツプモータ
は、適宜のケーブルを経てデイジタルコンピユータ/論
理インタフエースのパルス出力に標準的様式で接続され
る。
前述の「弾奏器」は、同様のコンピユータインタフエ
ースに接続され、コンピユータからの指令によつてギタ
ーの諸弦を励振する。
最後に、ギターの増幅器からの出力は、プログラム可
能フイルタを経て、コンピユータ内の標準的アナログ−
デイジタル変換器へ供給される。アナログ−デイジタル
変換の周波数は、コンピユータによりナイキストのサン
プリング定理に従つて制御され、それによつてデータの
「錯誤化」が防止される。一般に変換周波数は、処理さ
れる信号の最大周波数の2倍より大でなくてはならな
い。さらに、フイルタの限界周波数は、処理される最大
周波数より上(生じるスペクトルの縁付近においてフイ
ルタから位相問題が発生しないように通常10%が選ばれ
る)に整定されなくてはならない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の調律装置を示すブロツク図、第2図
は、6弦ギターに組込まれた本発明の自動調律装置の1
実施例を示す斜視図、第3図は、第2図に示されている
調律装置の側面図、第4図は、第2図および第3図に示
されている調律レバー装置の正面図である。 符号の説明 17……弦、20……調律用レバー構体、 32……ステツプモータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−32185(JP,A) 特開 昭59−136787(JP,A) 実開 昭62−69292(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G10G 7/02

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弦楽器を自動的に調律するための装置であ
    って、各弦が楽器によって発生する楽音の周波数を変化
    させるための楽器に付設された引張手段を有する装置に
    おいて、 前記楽器によって発生された楽音を検出し、周波数信号
    を発生するようにされた検出手段と、 前記周波数信号を予め決まった周波数値と比較し、電気
    信号を発生するための比較器手段と、 前記引張手段に連動可能に接続され、前記電気信号に応
    答して前記周波数を調整して前記予め決まった値に一致
    するようにするモータ手段とを備え、 全ての調律対象の弦が同時に調律されることを特徴とす
    る自動調律装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の調律装置において、前記検
    出手段は磁気ピックアップを有し、さらに高速フーリエ
    変換を用いている、前記調律装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の調律装置において、前記比
    較器手段は較正アルゴリズムを用いている前記調律装
    置。
  4. 【請求項4】請求項3記載の調律装置において、前記較
    正アルゴリズムはモータ位置と弦周波数との関係を用い
    ている前記調律装置。
  5. 【請求項5】請求項3記載の調律装置において、前記較
    正アルゴリズムによって、歌曲の演奏中に1組の予め決
    まった周波数から別の組の予め決まった周波数に楽器の
    調律が変えられるようにする前記調律装置。
  6. 【請求項6】弦楽器を自動的に調律するための装置であ
    って、各弦が楽器によって発生する楽音の周波数を変化
    させるための楽器に付設された引張手段を有する調律装
    置において、 前記楽器によって発生された楽音を検出し、周波数信号
    を発生するようにされた検出手段と、 前記周波数信号を予め決まった周波数値と比較し、電気
    信号を発生するための比較器手段と、 前記引張手段に連動可能に接続され、前記電気信号に応
    答して前記周波数を調整して前記予め決まった値に一致
    するようにするモータ手段とを備え、 前記比較器手段は較正アルゴリズムを用いていることを
    特徴とする自動調律装置。
  7. 【請求項7】請求項6記載の調律装置において、前記較
    正アルゴリズムはモータ位置と弦周波数との関係を用い
    ている前記調律装置。
  8. 【請求項8】請求項6記載の調律装置において、前記較
    正アルゴリズムによって、歌曲の演奏中に1組の予め決
    まった周波数から別の組の予め決まった周波数に楽器の
    調律が変えられるようにする前記調律装置。
  9. 【請求項9】弦楽器を自動的に調律するための装置であ
    って、各弦が楽器によって発生する楽音の周波数を変化
    させるための楽器に付設された引張手段を有する調律装
    置において、 前記楽器によって発生された楽音を検出し、周波数信号
    を発生するようにされた検出手段と、 前記周波数信号を予め決まった周波数値と比較し、電気
    信号を発生するための比較器手段と、 前記引張手段に連動可能に接続され、前記電気信号に応
    答して前記周波数を調整して前記予め決まった値に一致
    するようにするモータ手段と、 歌曲の演奏中に1組の予め決まった周波数から別組の予
    め決まった周波数に楽器の調律を変えるための較正手段
    とを備えたことを特徴とする自動調律装置。
  10. 【請求項10】請求項9記載の調律装置において、前記
    較正手段はモータ位置と弦周波数との関係を用いている
    前記調律装置。
  11. 【請求項11】弦楽器の全ての弦を同時に調律するため
    の方法であって、 前記弦の各の周波数を検出すること; 前記弦の各に対して、検出された周波数を予め決まった
    周波数値と比較すること;及び 弦の引張力を電気機械的に同時に調整すること、 の諸段階を含む前記調律方法。
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