JP2874785B2 - 密度を高めた領域の規則的パターンを有するティシューウエブ - Google Patents

密度を高めた領域の規則的パターンを有するティシューウエブ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 化粧紙のようなティシュー製品を製造する上で、ティ
シュー製造者は彼等の製品の品質の改善及び消費者の受
入れを絶えず争っている。最大の努力は、充分な強さを
保ちつつ軟かさを増すことに向けられている。かさ及び
吸収性のような他の特性の関心事である。しかし視覚特
性が、ティシューが軟らかであると感ずる使用者の知覚
に影響し得ることが周知であるにも拘わらず、視覚的な
訴えには殆んど努力が払われなかった。多くの場合、産
業界の普通の知恵は、より均一な組成を有するティシュ
ーを製造することによってこの面に注意を向けることで
あった。
〔発明の概要〕
ティシューウエブに、繊維が高密度に集中した個々の
光学的に密度を高めた領域の規則的なパターンを付与す
ることによって、ティシューウエブの願わしさを改善で
きることを発見した。これらの個々の密度を高めた領域
は、ティシューウエブの初期形成中に作られ、後述する
ように個々の密度を高めた領域の規則的な明確なパター
ンは、繊維を保持する形成用織物の高排水率ゾーンのパ
ターンに対応させることができる。これらの個々の密度
を高めた領域は一連の或はそれ以上の連の規則的に離間
した並行破線に配列され、各連は個々の密度を高めた領
域を真珠に見たてると、複数の列の真珠のネックレスに
やゝ類似した外観となる。複数連の規則的に離間した破
線（以下に“破線パターン”と呼ぶ）の少なくとも１つ
の連は、ウエブの機械方向と配列した破線に並んでい
る。各破線をなしている個々の密度を高めた領域が低質
量濃度の繊維を有する領域によって互いに離間されてい
て各破線が不連続の外観を有するために“破線”と呼ぶ
のである。結果として得られた破線パターンは、クレー
プの後においても完成品内に見出すことができる。個々
の密度を高めた領域自体は無頓着な観察者には容易に認
知されないかも知れないが、破線パターンはティシュー
により心地よい外観を与え、ルノメータ試験（後述）に
よって検出可能である。機械方向破線パターンには少な
くとも１つの斜方向破線パターン及び横機械方向破線パ
ターンの両者或は何れか一方を付随させることが好まし
く、これらのパターンは機械方向破線パターンと組合っ
てティシューをリネンハンカチーフに類似した織物状な
らしめる、視覚的には機械方向破線パターンが目立つ
が、その外観は他の破線パターンの存在によって軟らげ
られる。何れの場合にも、個々の密度を高めた領域が存
在するために下流のクレーピング操作にも影響が現われ
て、本発明のティシュー製品はクレープ角（後述）の標
準偏差が小さいことによって証明されるように従来の製
品に対して独特な且つより均一なクレープ構造を有する
ようになる。得られたより均一なクレープ構造はティシ
ューウエブに改善された軟かさと向上した消費者の好み
とを与える。
一つの面において、本発明は繊維が高密度に集中し且
つティシューウエブの初期形成中に作られる個々の密度
を高めた領域の少なくとも１本の破線パターンを有する
ティシューウエブに関し、このウエブはウエブの機械方
向におけるルノメータ試験に対して明確な応答を呈し、
またクレープ角の正弦に関する標準偏差は0.18或はそれ
以下である。好ましい実質例においては、機械方向に走
る個々の光学的に密度を高めた領域の破線は、中心間距
離を約0.76mm（0.03インチ）離間させることが好まし
い。密度を高めた領域自体の巾は約0.25mm（0.01イン
チ）であり、長さは約0.3乃至1mmである。しかし、個々
の密度を高めた領域の寸法及び形状、及び破線の間隔
は、後述するように形成用織物の繊維及び織り方に依存
しよう。本発明のティシューウエブのクレープ構造は、
クレープ角の標準偏差が小さいことに加えて、クレープ
角の正弦が約0.6乃至約0.5であることを特徴とすること
が好ましい。クレープ脚長は約100乃至約120マイクロメ
ートルであることが好ましく、最も好ましいのは約110
マイクロメートルであって、標準偏差は約50或はそれ以
下である。クレープ振巾は約50乃至60マイクロメートル
であることが好ましく、最も好ましいのは約55マイクロ
メートルであって標準偏差は約20或はそれ以下である。
別の面において、本発明はティシューウエブの初期形
成中に作られる繊維が高密度に集中した個々の光学的に
密度を高めた領域の少なくとも２つの破線パターンを有
するティシューウエブに関し、このティシューウエブは
その機械方向及び斜方向におけるルノメータ試験に対し
て明確な応答を呈する。またこのティシューはウエブの
横機械方向におけるルノメータ試験に対しても明確な応
答を呈し得る。
更に別の面において、本発明はティシューウエブの製
造方法に係り、本方法は、（ａ）製紙用繊維の水性スラ
リを縦糸及びシュート糸からなるエンドレス形成用織物
上に連続的に沈積させ、（ｂ）形成用織物を通してスラ
リから排水し、製紙用繊維がウエブの機械方向に平行で
且つ形成用織物の縦糸の平均間隔距離よりも大きく離間
した破線に配列された個々の密度を高めた領域の破線パ
ターンとして形成用織物上に保持された脱水されたウエ
ブを形成させ、（ｃ）脱水されたウエブを乾燥させ、
（ｄ）ウエブをクレープする諸段階からなる。製紙用繊
維は、１つの破線パターンからウエブの機械方向に平行
な破線を含み、別の破線パターンからウエブの機械方向
に対して斜方向に或はウエブの機械方向に平行に整列さ
れた破線を含む少なくとも２つの破線パターンを呈する
ように、形成用織物上に保持されることが好ましい。
本発明による製品は、少なくとも部分的に、事前に選
択された方向における規則的な光学的線パターンの存在
を検出するルノメータ（商品名、後述）試験に対して明
確な応答を呈することを特徴とすることができる。ルノ
メータ試験は繊維産業で使用されている周知の装置であ
るルノメータを使用する。ルノメータは織物の細目即ち
カウントを特性を表わし、その機能はモアレの原理とし
て知られている自然発生現象に基づく。ルノメータは単
に透き通ったプラスチック製矩形板からなり、一連の細
い黒線を含む。若干の型のルノメータではこれらの黒線
は平行ではあるが漸進的に間隔が異なっており、他の型
では徐々に発散している。両型共、板の長縁に沿って対
応する数の目盛りが印刷されている。規則的な線パター
ンを有する試験表面の上にルノメータを配置すると。ル
ノメータの線を通過する光が試験表面の線パターンと干
渉して可視波パターンを発生する。波パターンの対称の
線がルノメータの数目盛りと交又する点（１つ或は複数
の）（図参照）が線パターン周波数を表わし、以下にル
ノメータ指数と呼ぶ。本発明の目的からルノメータ指数
は、機械方向、斜方向或は横機械方向におけるティシュ
ーのインチ当りの個々の密度を高めた領域の破線の数を
表わすこととする（斜方向は機械方向と横機械方向との
間にある何れかの方向である）。本発明のティシューウ
エブは、機械方向において約70或はそれ以下のルノメー
タ指標を有することが好ましく、最も好ましくは約35乃
至65である。また本発明のティシューウエブは、斜方向
において約60或はそれ以下のルノメータ指標を有するこ
とがより好ましく、最も好ましいのは約15乃至約45であ
る。
ルノメータ試験に使用するルノメータは約70線／イン
チ或はそれ以下のパターンを検出可能でなければならな
い。適当なルノメータは、ニューヨーク州シラキュース
私書箱6992のジョン・Ａ・エバリー社から入手可能なモ
デルＦであり、このルノメータは25〜60線／インチを検
出することができる。もしティシューが60線／インチ以
上或は25線／インチ以下の密度を高めた領域を含んでい
れば、60を超える或は25より少ない目盛りを有するルノ
メータが必要であろう。
ルノメータ試験を行うためには、試験するティシュー
ウエブの単一の層を水浴内で弛緩させ、存在するクレー
プ即ち浮き出しパターンを除去する。弛緩は、試験する
ティシューの単一の層を50℃の消イオン水浴の表面に10
分間浮かべることによって達成する。次でティシューを
浴から注意深く取り出し、乾燥させる。この目的のため
に有用であることが分った特定の機器は、30.5×43.2cm
（12×17インチ）の水の容器、ステンレス鋼製網スクリ
ーン（100×100メッシュ、ワイヤ直径0.114mm（0.0045
インチ））で覆われた27.9×38.1cm（11×15インチ）の
レキサン（商品名）フレーム、25.4×35.6cm（10×14イ
ンチ）の青銅ワイヤスクリーン（90×90メッシュ、ワイ
ヤ直径0.127mm（0.005インチ）、及び約40.6×40.6cm
（16×16インチ）の凸乾燥面と40.6cm（16インチ）長で
3675gの錘によって抑えつけられるキャンバスカバーと
を有するバレー蒸気乾燥機（ハンドシート乾燥機）を含
む。ステンレス鋼スクリーンで覆われたレキサンフレー
ムは、スクリーンが水面下50.8mm（２インチ）に位置す
るように水浴内に配置する。沈没する試料に対しては、
スクリーン上の水深は試料を一時的に浮かせるのに必要
な最小値とすべきである（約6.35〜12.7mm（1/4〜1/2イ
ンチ）。スクリーン表面の下に捕えられた空気は解放さ
せる。青銅ワイヤスクリーンはステンレス鋼スクリーン
の上に配置する。ステンレス鋼スクリーンはこの工程中
の黄銅スクリーン及びティシューを支持し、安定させ
る。次でティシュー試料を10分間水浴表面上に浮かせ
る。この時点でフレーム、青銅ワイヤスクリーン及びテ
ィシュー試料を平らに且つ注意深く水から持上げる。青
銅ワイヤスクリーンによって支持されているティシュー
を乾燥機の表面上に置き、青銅スクリーンは湿れたティ
シューが曲ったり或はカールするのを避ける位置に保
つ。ティシューが乾燥機に転送された後、ティシューを
錘付きキャンバスで覆い、乾燥機表面温度100℃（212゜
F）で１分間乾燥する。次で青銅ワイヤスクリーンをテ
ィシューから取り除く。乾燥したティシュー試料は初期
に形成された時のティシューウエブを表わし、クレーピ
ング或は浮き出しに伴う構造変化は除去されている。
弛緩及び乾燥後、ティシュー試料を充分に照明された
室内の卓上のような平坦な表面上に置く。変形として、
ティシュー試料を照明卓上に置き、下方から照明するこ
とができる。ルノメータをティシューの上に平らに置
く。この際ルノメータの線は試料の機械方向に平行に位
置定めする。次で、陰影の波のパターンが現われるまで
ルノメータをティシューの横機械方向にゆっくりと移動
させる。本発明においては、何等かのこのような波パタ
ーンの存在を、選択した方向におけるルノメータ試験に
対する“明確な応答”と呼ぶ。上記の場合はティシュー
の機械方向における明確な応答であり、ティシューがそ
の機械方向に平行に走る規則的に離間した平行線のパタ
ーンを含むことを表わす。斜方向ルノメータ指数を決定
するためには同じ手順を遂行するが、この場合にはルノ
メータを機械方向の右或は左の何れかに０゜から90゜ま
で回転させてティシューの選択された斜方向にルノメー
タ線を整列させる。次いでルノメータを試料の選択され
た斜方向に直角にゆっくりと移動させる。斜方向は０゜
乃至±90゜のどこかにあるから、探知するには若干の試
行錯誤を必要としよう。しかし多くの場合、訓練された
眼は斜線パターンを容易に検出しよう。典型的には、斜
方向は機械方向の左右に約30゜乃至約60゜であろう。
本説明書においては“ティシュー”は化粧紙、バステ
ィシュー、ナプキン或は紙タオルに使用するのに適した
クレープされたウエブである。これらのウエブのクレー
プされていない乾坪量は約４〜40lbs/2880ft2とするこ
とができ、積層することも或は均質とすることもでき
る。クレープされたウエブの密度は約0.1乃至約0.3g/cm
3である。機械方向のクレープされた引張り強さは約100
乃至約2000g/インチ巾とすることができ、好ましくは約
200乃至約350g/インチ巾である。横機械方向のクレープ
された引張り強さは約50乃至約1000g/インチ巾とするこ
とができ、好ましくは約100乃至約250g/インチ巾であ
る。これらのウエブは硬木、軟木及び非木材種のような
天然セルロース繊維源から製造することが好ましいが、
かなりの量の合成繊維を含むこともできる。
本発明のティシュー製品を製造するのに適した形成用
織物はカイ・Ｆ・チウ等が示しており、リンゼイ・ワイ
ヤ・ウイービング社が製造しているが、本発明の製品は
本説明書に記載するようにして繊維を沈積せしめる他の
適当な繊維或は他の形成手段によっても製造することが
可能である。詳述すれば、これらの形成用織物は、自己
支持編組構造の上側層と、これも自己支持編組構造の下
側層と、これら２つの層を相互に接続して製紙機の湿端
において織物上に沈積させるパルプスラリからの排水の
用に供する制御された多孔性を有する一体構造とするバ
インタフィラメントを有する多層構造からなる。これら
の形成用織物は上側層の網組構造を特徴とする。即ち上
側層においては機械方向（MD）のフィラメントが複数の
群に配置されて編み込まれ、群間の間隔は機械方向に伸
びる巾広い排水路を提供するのに充分であり、１つの群
内のフィラメント間の間隔はこれも機械方向に伸びる狭
い排水路を提供するようになっている。形成用織物を通
る水の流れは上側層と下側層との組合わせによって更に
制御される。即ち、下側層は、形成用織物を通る排水を
制御するように上側層の各排水路の下に位置する多孔性
構造を提供する。これらの織物の好ましい実施例におい
ては層間のバインダフィラメントは上側層のMDフィラメ
ントを群内に維持するように共働し、また下側層内のMD
フィラメントを上側層の巾広い排水路間に位置決めする
ように共働して排水路を通る水の排除率を更に制御す
る。形成用織物にはその上面に少なくとも１つの斜文織
りパターンを設けることも好ましく、このパターンは織
物上に形成されるシートに、シート内の個々の光学的に
密度を高めた領域によって与えられる機械方向の線と相
補的な一連の斜めに伸びる線或は一連よりも多い連の斜
めに横切る線の目立った外観を与え、それによって布状
の外観を強調する。形成用織物は約60或はそれよりも大
きい上層メッシュ（上層の縦糸／インチ巾）と、約90或
はそれよりも大きい上層カウント（上層シュート及びパ
インダ繊維支持糸／長さ（インチ））を有することが好
ましい。最も好ましくは、織物は約70乃至140のメッシ
ュと、約120乃至約200のカウントを有する。
〔実施例〕
以下に添附図面に基いて本発明を詳細に説明する。
第１図は本発明によるティシュー製造工程の概要流れ
図である。前述のように流出箱１は製紙用繊維の水性ス
ラリをエンドレス形成用繊物２上に連続的に沈積させ
る。スラリからの水は形成用織物を通して導びかれ排水
される、残されたウエブ上に繊維が高密度に集中した密
度を高めた領域の少なくとも１つの破線パターンを形成
する。新たに形成された即ち初期ウエブ３はピックアッ
プシュー５を用いて或は用いずにフェルト４へ転送さ
れ、更に脱水される。次で脱水されたウエブ６は滑らか
な圧力ロール８を用いてヤンキー乾燥機７へ転送され、
ドクターブレート９を使用してクレープさせる。クレー
ピング接着材は噴霧ブーム10を用いてヤンキー表面に均
一に塗布される。１或はそれ以上の通り抜け乾燥機のよ
うな別の乾燥方法をヤンキー乾燥機の代りに、或はヤン
キー乾燥機に加えて使用することができる。クレーピン
グの後に、クレープされたウエブ11は親ロール12上に巻
き取られ、後に化粧紙、タオル等に変換される。
第２図乃至第４図は本発明のティシュー製品を製造す
るために有用な適当な形成用織物をより詳細に示す。形
成用織物はいわゆる３層織物であることが好ましい。最
上層15は自己支持編組構造であり、所与の直径のモノフ
ィラメント縦糸（MDフィラメントとも呼ぶ）21と、シュ
ート糸（CDフィラメントとも呼ぶ）22とが選択された編
組パターンに相互に織り合わされている。最下層16も縦
糸23とシュート糸24とによって自己支持編組構造に作ら
れている。相互接続層はバインダ糸25からなり、これら
の糸はそれぞれ最上層及び最下層と相互に織り合わされ
て複合３層織物を形成する。
上側層15は複数のMDフィラメント21を渡る細長い横切
り方向（CD）ナックルのアレイが作られ、中断された３
杼道斜文パターン（第２図では中断された１×２斜文）
を描くCDナックルが優勢な上面を形成するように設計さ
れている。第２図及び第３図に示すように、MDフィラメ
ント21は２本ずつ集群された比較的直線状に整列された
モノフィラメントからなり、２本の間に32で示す狭い排
水路を有する。最初の３本の上側CDフィラメント22a、2
2b及び22cは隣り合う２本のMDフィラメント21の上を通
り、第３のMDフィラメント21の下を通って斜文パターン
を形成している。第４の上側CDフィラメント25（以下に
まとめ用バインダ糸と呼ぶ）は斜文パターンに追随して
いるが、一つおきのナックル点において中断されてい
る。即ちCDフィラメント25は２本の上側MDフィラメント
21の上を通り、２対の下側縦糸41の下を通り、再び２本
の上側MDフィラメント21の上を通っている。このような
編組路を通ることによって、このCDフィラメント25は、
（１）繊維支持のための部分的な上側長ナックル、
（２）上側層と下側層とを結ぶバインダ糸、（３）２本
の上側縦糸21を対ならしめる集群糸、及び（４）上側層
縦糸21によって形成される巾広い排水路に対して下側縦
糸の位置を制御する（後述）位置決め糸として機能す
る。図示の如く、フィラメントのこの編組は、機械方向
にフィラメントに通常張力を加えて織った時、MDフィラ
メント21が比較的直線状に且つ平行に配置されている織
物を生ずる。一方CDフィラメント22aは直線でよく、CD
フィラメント22b、22cはジグザグパターンを描いてMDフ
ィラメント21を横切って行く。第２図に示すように、MD
フィラメントは２本ずつの群26に配列されており、これ
らの群26の間に比較的巾広の排水路31が、また群26をな
しているMDフィラメント21間に狭い排水路32が作られて
いる。CDナックルは相隣するCDフィラメント23間で距離
を異ならせつつ巾広い排水路を渡る。
上側層15をこのような配列にしてあるために、形成用
織物が毎分約914乃至1981m（3000〜6500フィート）の速
度で流出箱の下を走行するにつれて、流出箱によって沈
積されるスラリはスラリの繊維分を沈積させCDナックル
を横切って支持することが可能になり、スラリの水をMD
フィラメント21間に導くことが可能になる。巾広い排水
路31が狭い排水路32よりも巾が広いことから、スラリは
巾広い排水路を通って流れるように導びかれ、繊維の大
部分を輸送して巾広い排水路上に横たわるナックルにま
たがって沈積させる。繊維は狭い排水路32上に横たわる
ナックル上にも或る程度沈積されるが、巾広い排水路上
の繊維の密度は狭い排水路上の繊維の密度よりも大きく
なる。ナックルの斜方向パターンは形成用繊維の表面領
域全体に亘って戦域のための比較的均一な支持格子を提
供するが、これらのナックルの下に横たわる排水路は巾
広い排水路上に横たわるMD帯内の表面上に繊維の濃度に
寄与する。
第２図に示す上側層15にあっては、上方から見た巾広
い排水路31の巾は狭い排水路32の巾の３倍程度である。
MDフィラメントを集群させて排水路31の巾を排水路32の
巾よりも少なくとも50％大きくすると、より高い繊維密
度の帯を作る上で有効であるものと考えられる。また巾
広い排水路の巾が狭い排水路の巾の６倍以上になると、
巾広い排水路内の繊維の濃度が紙の完全性を損う程狭い
排水路内の濃度よりも大きくなるものと考えられる。従
って、巾広い排水路巾と狭い排水路巾との比の範囲は1.
5乃至６の範囲内にあるものと考えられる。
形成用織物の最下層は、最上層の巾広い排水路及び狭
い排水路を通るスラリからの水の流れを制御するように
共働する。この目的のために、本実施例における最下層
はその縦糸23が単独ではなく対41になって動作するよう
な１×２斜分パターンをなしている。最上層内の相接し
て対をなす縦糸の図示した配列は、繊維の厚さを犠牲に
することなく、繊維の耐摩耗性を高めるために、合衆国
特許第4,705,601号に記載されているような単一の卵形
（或はいわゆる平）繊糸を使用することによって、或は
２本以上の小径丸フィラメントを使用することによって
変更することができる。
上側層と下側層とに織り合わされているまとめ用バイ
ンダ糸25の編組パターンは複合形成用織物の多孔性に影
響する。第２図及び第３図に示すように、まとめ用バイ
ンダ糸25は、横方向に伸び上層の群26内の縦糸21上を通
るシュート糸であり、上層内のMDフィラメント21の集群
を補強するように共働する。第３図においてはバインダ
ー糸25は、上側層の群26を上方に向って通過する前に下
側層の相隣る２本の縦糸41の対の下を通過して、第１の
群26から２つの排水路を離間させている。第３図に示す
ように、これによってバインダ糸は下側層の対をなした
MDフィラメント間の排水路33を上側層の排水路31と垂直
方向に整列せしめて形成用織物を通る局地化された排水
を増大させる。
第４図は変形編組配列を示す。第４図の実施例の上側
層15aは第３図の層15と同一であり、下側層16aの編組構
造も層16と同一である。この３層織物の実施例ではまと
め用バインダ糸45は下側層16a内のMDフィラメント41の
単一対の下を伸びて上側排水路31と下側排水路42とをず
らせ、織物を通って流れる排水に対しやゝ異なる制御を
行う。
何れの場合にも、形成用織物を通る排水の制御は、主
として上側層内の縦糸の群26間に設けられた排水路によ
って決定される。縦糸の集群化は、編組が織物である場
合、編組操作中に縦糸及びシュート糸に加えられる張力
が糸間の間隔を制御して所望の機械方向排水路を作るよ
うに、編組パターンを適当に選択することによって遂行
することができる。通常はフィラメントはポリエステル
或はナイロンであるから、製紙機上に設置した時に所望
の間隔と維持するように加熱固定される。編組パターン
及び張力による間隔の制御に加えて、この間隔は形成用
織物と織るための織機に、集群されたMDフィラメント21
を担持している上側層の“おさ”の間に空の“おさ”を
設けることによっても制御することができる。熟練した
編組構造の設計者ならば、形成用織物に望ましく集群さ
れたMDフィラメントを得るために種々の特色を組合せる
ことができよう。更に、織物の目コボレを正規の斜文目
こぼれに使用してもよいし、或は望むならばアトラス目
こぼれを使用してもよい。
最下層においては、形成用織物が製紙機を通って走行
する時の摩耗の可撓性を与え、しわ寄せを最小にして形
成用織物を交換するまでに長期に亘って使用可能ならし
める安定性特性を与えるように、形成用織物の機械側に
比較的大きいCDシュートを使用することが一般的であ
る。
形成用織物の上面では、MDナックルの方がCDナックル
よりも長さが短かくまた上側層内により深く埋没するか
ら、CDナックルの方が優位を占めることに注目された
い。CDナックルをMDナックルの上へ突出させることによ
って、形成用織物を検査する時にCDナックルの斜文パタ
ーンが目立つようになる。斜めに配置されたこのCDナッ
クルのパターンは形成用織物によって形成されるシート
に浮き出し効果の知覚を与える傾向にあり、このパター
ンは形成用織物によって製造されるティシューシート材
料の布状外観を強調する。
第５図はルノメータ試験への応答を決定し、ルノメー
タ指数を決定するために使用されるルノメータの一つの
型を示す。図示のルノメータは、一連の収束する細い黒
線52を含む透明な矩形板51である。この特定モデルで
は、細い黒線は一方の端に収束しており、ルノメータの
一方の端から他方の端まで効果的に間隔を変化させてい
る。また数値目盛りも設けてあり、その読みがルノメー
タ指数を決定する。
第６図は本発明のティシュー61上に第５図のルノメー
タを配置した時に現われる典型的な干渉パターンを示
す。干渉パターンは一連の陰影波62からなり、その対称
軸はほぼ37でルノメータ目盛りと交又しているが、これ
がこのティシュー試料のルノメータ指数である。
第７図は第６図に類似するが、ルノメータ試験に対す
る明確な応答を顕在化させるために異なる型のルノメー
タが使用されている。即ち、このルノメータは一連の平
行な細い黒線71を含み、それらの間隔はルノメータの一
方の端から他方の端に向って漸減している。第５図及び
第６図と同様に、第７図のルノメータにもルノメータ指
数を決定するための目盛りが施されている。図示のよう
に、この型のルノメータの干渉パターンは、目盛りに依
存して、若干異なって現われ得る。即ち、干渉パターン
の波は同心円のセグメントの形状である。対称軸（収束
波によって形成される円の直径）はルノメータ指数値に
おいてルノメータ目盛りと交又する。第７図に示すルノ
メータ指数値は約40である。干渉パターンの形状には関
係なく、常にルノメータ指数値に関連する対称軸が存在
する。
第8A図は、典型的なクレープされたティシューウエブ
81の断面図であって、クレープ構造の山頂82と谷83を示
す。
第8B図は、第8A図に示すクレープ構造の山頂と谷とを
直線で結んで得た参画形シミュレーションを示す。これ
らの各直線は“クループ脚長”を表わし、長さ“L"を有
している。個々のクレープ脚長の平均値がこのティシュ
ーのクレープ脚長である。これらの三角形を構成するた
めに、クレープ構造の谷に対応するクレープ脚長の端を
基破線85で結んで各三角形を完成させてある。クレープ
脚長と角三角形の基線とがなす２つの各鋭角がクレープ
角である。各クレープ角θの正弦関数（sin θ）をティ
シューの全てのクレープ角に関して平均し、この平均が
sin θ即ちティシューのクレープ角の正弦として報告さ
れる。同様に、各三角形の振巾“A"は角三角形の基線か
ら相隣るクレープ脚長によって形成される頂までの垂直
距離である。全てのクレープ振巾の平均がそのティシュ
ーのクレープ振巾である。上述の各クレープ特性の標準
偏差は平均からの個々のクレープ特性の変化性を表わ
し、これらの値を横断綿試料の代表数に亘って平均化す
ることによって決定することができる。本明細書におけ
る平均値及び標準偏差は各ティシュー試料毎に約150或
はそれ以上の個々のクレープ構造、即ち三角形を解析す
ることによって決定した。この目的のためには画像解析
技術が極めて有用であるが、もし画像解析装置が利用で
きなければ計算を人手によって行うことができる。
〔例〕
例1:化粧紙の製造 本発明による化粧紙を第１図に示す工程によって約76
2m/分（2500フィート／分）の速度で製造した。流出箱
への原料は70重量％のユーカリ繊維と30重量％の軟木ク
ラフト繊維とからなっていた。形成用織物は、第２図及
び第３図に示した型のリンゼイ・ワイヤ・ウィービング
社のCCW（複合共役縦糸）72×136形成用織物であった。
新たに形成されたウエブはフェルトに転送され、約40％
の濃度まで脱水された後、繊維１トン当り約0.45〜0.68
kg（１〜1.5lb）のポリビニルアルコール、繊維１トン
当り約0.45kg（1lb）のキメン（kymene）、及び繊維１
トン当り約0.23kg（0.5lb）のクエーカ2008M解放材から
なるポリビニルアルコールを基とするクレープ用接着材
を用いてヤンキー乾燥機に均一に接着した。ヤンキー乾
燥機の温度は約100℃（230゜F）であった。乾燥したウ
エブは、約85゜のクレーピングポケット角と約10゜の角
度に研いだドクターブレードを使用してクレープした。
約1.45のクレープ比を有する製造されたウエブは巻き取
られ、9.25lbs/2880ft2/層の仕上げ乾秤量を有する２層
化粧紙に変換された。
得られた化粧紙はルノメータ試験に対して明確な応答
を呈し、機械方向におけるルノメータ指数は約40であり
斜方向におけるルノメータ指数は約20であった。クレー
プ脚長は103マイクロメートルであり、標準偏差は44で
あった。クレープ振巾は53マイクロメートルであり、標
準偏差は18.9であった。クレープ角の正弦は0.55、標準
偏差は0.175であった。
対照のために、第１図に示す工程に従って化粧紙を製
造した。但し、リンゼイ・ワイヤ・ウィーピング社のCC
W成形用織物の代りに80×92メッシュの単層３杼道形成
用織物を使用した。得られたティシューはルノメータ試
験に対して明確な応答を呈さなかった。クレープ脚長は
98.7であり、標準偏差は38.1であった。クレープ振巾は
55マイクロメートルであり、標準偏差は21.0であった。
クレープ角の正弦は0.60であり、標準偏差は0.19であっ
た。
対照品と本発明の製品のクレープを比較した結果、本
発明の製品はより均一なクレープ構造を有し、これがウ
エブの形成中に作られる個々の密度を高めた領域の規則
的な線パターンに寄与している。
例2:使用者の好み 82人のプレミアム化粧紙の使用者を独立代理業者が雇
って、例１に記載した対照ティシューと本発明のティシ
ューの視認及び職手試験に参加させた。彼等にはそれぞ
れ１対のティシュー（一方が対照用、一方が本発明の
品）が与えられ、これらは使用者がティシューを見るこ
とができないように箱の下に置かれた。使用者に、各テ
ィシューに触れて好む方のティシューを拾うように依頼
した（触覚のみの試験）。次で使用者に新らしい対のテ
ィシューを手に取って貰い、それらを見て触れた後にど
ちらのティシューを好むかを尋ねた（触覚及び視覚試
験）。試験の結果を表にまとめると以下の通りである。
この結果は、本発明の製品の方が好まれていることを
明白に示している。
等業者ならば、上記実施例は説明のためのもるであ
り、本発明の範囲を限定するものではないことは理解さ
れよう。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明のティシュー製品を製造するために有用
な典型的なティシュー製造工程の概要流れ図、 第２図は本発明のティシュー製品の製造に使用するのに
適した形成用織物の平面図、 第３図は第２図の３−３矢視断面図、 第４図は形成用織物の適当な変形編組を示す第３図と類
似の断面図、 第５図はルノメータ指数を決定するために使用されるル
ノメータの平面図、 第６図はティシュー試験試料上に位置決めされたルノメ
ータの平面図であって、ルノメータ試験に対する明確な
応答を表わす干渉パターンの形状を示し、 第７図は異なるルノメータの平面図であって、異なる干
渉パターンを示し、 第8A図はクレープされたティシューに見られる典型的な
クレープ構造を示すティシューウエブの横機械方向から
見た概要断面図、 第8B図は本明細書において使用されている“クレープ脚
長”、“クレープ角”、及び“クレープ振巾”なる語の
意味を説明するための第8A図のクレープ構造の“接触参
画形”シミュレーション。 １……流出箱、２……エンドレス形成用織物、３……初
期ウエブ、４……フェルト、５……ピックアップシュ
ー、６……脱水されたウエブ、７……ヤンキー乾燥機、
８……圧力ロール、９……ドクターブレード、10……噴
霧ブーム、11……クレープされたウエブ、12……親ロー
ル、15……最上（上側）層、16……最下（下側）層、2
1,23,41……縦糸（MDフィラメント）、22,24……シュー
ト糸（CDフィラメント）、25,45……バインダ糸、26…
…縦糸群、28……CDナックル、31……巾広い排水路、32
……狭い排水路、33,42……下側層の排水路、51……透
明矩形板、52,71……細い黒線、61……ティシュー、62
……陰影波、81……ティシューウエブ、82……山頂、83
……谷。
フロントページの続き (72)発明者 ジェイムズ シグウォード ルゴースキ ー アメリカ合衆国 ウイスコンシン州 54915 アップルトン キャメロット コート 2124 (72)発明者 バーンハート エドワード クレッスナ ー アメリカ合衆国 ウイスコンシン州 54911 アップルトン ノース ベイト マン ストリート 531 (72)発明者 カイ エフ チュー アメリカ合衆国 ミシシッピー州 39042 ブランドン カーディナル サ ークル 107

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】ティシューウェブの初期形成中に作られる
    繊維が高密度に集中した個々の密度を高めた領域が少な
    くとも１つの破線パターンに並んでいるクレープされた
    ティシューウェブであって、該ティシューウェブが少な
    くともその機械方向におけるルノメータ試験に対して明
    確な応答を呈し、またクレープ角の正弦に関する標準偏
    差が0.18或いはそれ以下であるティシューウェブ。
  2. 【請求項２】ウェブの機械方向において約70或いはそれ
    以下のルノメータ指数を有する請求項１記載のティシュ
    ーウェブ。
  3. 【請求項３】ウェブの機械方向において約30乃至約65の
    ルノメータ指数を有する請求項２記載のティシューウェ
    ブ。
  4. 【請求項４】ティシューウェブの初期形成中に作られる
    繊維が高密度に集中した個々の密度を高めた領域が少な
    くとも２つの破線パターンに並んでいるクレープされた
    ティシューウェブであって、該ティシューウェブがその
    機械方向及び斜方向におけるルノメータ試験に対する明
    確な応答を呈するティシューウェブ。
  5. 【請求項５】２つの斜方向におけるルノメータ試験に対
    して明確な応答を有する請求項４記載のクレープされた
    ティシューウェブ。
  6. 【請求項６】ウェブの機械方向において約70或いはそれ
    以下のルノメータ指数を有する請求項４記載のクレープ
    されたティシューウェブ。
  7. 【請求項７】ウェブの斜方向において約60或いはそれ以
    下のルノメータを指数を有する請求項６記載のクレープ
    されたティシューウェブ。
  8. 【請求項８】ウェブの斜方向において約15乃至約45のル
    ノメータ指数を有する請求項７記載のクレープされたテ
    ィシューウェブ。
  9. 【請求項９】クレープ角の正弦の標準偏差が0.18或いは
    それ以下である請求項４記載のクレープされたティシュ
    ーウェブ。
  10. 【請求項１０】クレープ角の平均正弦が約0.5乃至約0.6
    であり、標準偏差が0.18或いはそれ以下であるクレープ
    されたティシューウェブ。
  11. 【請求項１１】平均クレープ脚長が約100乃至120マイク
    ロメートルである請求項10記載のティシューウェブ。
  12. 【請求項１２】平均クレープ振巾が約50乃至60マイクロ
    メートルである請求項10記載のティシューウェブ。
  13. 【請求項１３】（ａ）製紙用繊維の水性スラリを、縦糸
    及びシュート糸からなるエンドレス形成用織物上に連続
    的に沈積させ、 （ｂ）形成用織物を通してスラリから排水し、製紙用繊
    維がウェブの機械方向に平行で且つ形成用織物の縦糸の
    平均間隔距離よりも大きく離間した破線に配列された個
    々の密度を高めた領域の破線パターンとして形成用織物
    上に保持された脱水されたウェブを形成させ、 （ｃ）脱水されたウェブを乾燥させ、 （ｄ）ウェブをクレープする 諸段階からなるティシューウェブの製造方法。
  14. 【請求項１４】形成用織物が少なくとも27.6本/cm（70
    本／インチ）の上側層縦糸を有し、脱水されたウェブが
    27.6本/cm或いはそれ以下の個々の密度を高めた領域の
    破線に並び、前記破線が機械方向に伸びている請求項13
    記載の方法。
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