JP2874504B2 - ヘリコバクター ピロリの検出方法 - Google Patents
ヘリコバクター ピロリの検出方法Info
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- JP2874504B2 JP2874504B2 JP3666193A JP3666193A JP2874504B2 JP 2874504 B2 JP2874504 B2 JP 2874504B2 JP 3666193 A JP3666193 A JP 3666193A JP 3666193 A JP3666193 A JP 3666193A JP 2874504 B2 JP2874504 B2 JP 2874504B2
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- Japan
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- helicobacter pylori
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物の検出方法に関
し、更に詳しくはヘリコバクター ピロリ(Helic
obacter pylori;以下、Hpと称するこ
とがある。)の検出方法に関する。
し、更に詳しくはヘリコバクター ピロリ(Helic
obacter pylori;以下、Hpと称するこ
とがある。)の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Hpは、ヒト活動性慢性胃炎の粘膜から
高率に検出され、猿胃内に接種されると定着してヒト類
似の活動性胃炎を発生することなどから、胃病変に密接
に関連することが知られている。近年は、この細菌が胃
癌発生に関する幾つかの因子の一つにも挙げられている
[Am.J.Gastroenterol.,第84
巻,第775〜781(1989年),Cancer,
第66巻,第2569〜2574(1990年)な
ど]。
高率に検出され、猿胃内に接種されると定着してヒト類
似の活動性胃炎を発生することなどから、胃病変に密接
に関連することが知られている。近年は、この細菌が胃
癌発生に関する幾つかの因子の一つにも挙げられている
[Am.J.Gastroenterol.,第84
巻,第775〜781(1989年),Cancer,
第66巻,第2569〜2574(1990年)な
ど]。
【0003】従来、Hpの同定は、胃粘膜より採取した
組織を培養し、これをWarthium Starry
の銀染料、ギムザ、ヘマトキシリン、エオシンあるいは
アクリジンオレンジのいずれかにて染色ののち、顕微鏡
検査によって確認される。また、Hpは大量のウレアー
ゼを産生するため、ウレアーゼの存在を探知することに
よってHpを検出する方法が検討されている。さらに、
胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃癌などの胃疾患、就中胃癌
患者で疫学的にHpの感染を明らかにするには、血清学
的に抗体の存在を証明する方法が採用されている。
組織を培養し、これをWarthium Starry
の銀染料、ギムザ、ヘマトキシリン、エオシンあるいは
アクリジンオレンジのいずれかにて染色ののち、顕微鏡
検査によって確認される。また、Hpは大量のウレアー
ゼを産生するため、ウレアーゼの存在を探知することに
よってHpを検出する方法が検討されている。さらに、
胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃癌などの胃疾患、就中胃癌
患者で疫学的にHpの感染を明らかにするには、血清学
的に抗体の存在を証明する方法が採用されている。
【0004】しかしながら、直接染色法、ウレアーゼ活
性法はいずれも長時間を要し、かつ満足できる感度及び
特異性はいまだ示されていない。抗体の存在を証明する
方法においても、Hpの抗原性は極めて多用で、現在既
に開発されている欧米のキットを用いても充分な特異性
が得られず、数%の偽陰性と30%近くの偽陽性が発現
する。
性法はいずれも長時間を要し、かつ満足できる感度及び
特異性はいまだ示されていない。抗体の存在を証明する
方法においても、Hpの抗原性は極めて多用で、現在既
に開発されている欧米のキットを用いても充分な特異性
が得られず、数%の偽陰性と30%近くの偽陽性が発現
する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特異
的かつ簡便にHpを検出する方法を提供することにあ
る。
的かつ簡便にHpを検出する方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的に
鑑みHpの産生物質について鋭意検討した結果、Hpよ
り11−メトキシ脂肪酸が産生されることを初めて見出
した。これまでメトキシ脂肪酸はMycobacter
iumのある種の細菌にのみ発見されていたが、Hpの
場合のメトキシ基の位置はMycobacterium
のそれとは異なるものであった。従って11−メトキシ
脂肪酸の存在はHp分類学上の特性を示している。
鑑みHpの産生物質について鋭意検討した結果、Hpよ
り11−メトキシ脂肪酸が産生されることを初めて見出
した。これまでメトキシ脂肪酸はMycobacter
iumのある種の細菌にのみ発見されていたが、Hpの
場合のメトキシ基の位置はMycobacterium
のそれとは異なるものであった。従って11−メトキシ
脂肪酸の存在はHp分類学上の特性を示している。
【0007】本発明はかかる知見に基づいて完成された
ものであり、以下本発明を説明する。本発明は、ヘリコ
バクター ピロリを含有する試料を酸メタノリシスし、
式
ものであり、以下本発明を説明する。本発明は、ヘリコ
バクター ピロリを含有する試料を酸メタノリシスし、
式
【0008】
【0009】(式中、nは5または7である。)で表さ
れる11−メトキシ脂肪酸メチルエステルを同定するこ
とからなるヘリコバクター ピロリの検出方法である。
以下、順を追って本発明を詳細に説明する。本発明にお
いて、HPを含有する試料とは、高等動物の胃粘膜、胃
液などであり、これらは場合により培養される。培養
は、Hpを増殖するものであればいずれの方法でもよ
い。たとえば、深見の方法[検査と技術,第17巻,第
1389〜1394頁(1989年)]、brucel
la寒天培地を用いる方法などがある。次いで、培養物
から、常法により、培養した細菌を集め、洗浄、遠心分
離して菌体を得ることができる。
れる11−メトキシ脂肪酸メチルエステルを同定するこ
とからなるヘリコバクター ピロリの検出方法である。
以下、順を追って本発明を詳細に説明する。本発明にお
いて、HPを含有する試料とは、高等動物の胃粘膜、胃
液などであり、これらは場合により培養される。培養
は、Hpを増殖するものであればいずれの方法でもよ
い。たとえば、深見の方法[検査と技術,第17巻,第
1389〜1394頁(1989年)]、brucel
la寒天培地を用いる方法などがある。次いで、培養物
から、常法により、培養した細菌を集め、洗浄、遠心分
離して菌体を得ることができる。
【0010】本発明において、酸メタノリシスする試料
は、その脂質成分を抽出したものを用いるのが好まし
い。脂質を抽出するためには、たとえば、胃液を適宜な
溶媒によって抽出する方法、前述の菌体をクロロホルム
−メタノールの混合溶媒を用いて室温に一晩放置するな
ど方法などによって行うことができるが、本発明はこれ
に限定されるものではない。抽出溶媒としては、上記以
外に塩化メチレン、酢酸エチル、エチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、エタノールなどの脂質と反応しない溶
媒を単独または混合して用いることができる。抽出条件
は溶媒によっては加温することもあり、数分間〜数時間
行うこともある。
は、その脂質成分を抽出したものを用いるのが好まし
い。脂質を抽出するためには、たとえば、胃液を適宜な
溶媒によって抽出する方法、前述の菌体をクロロホルム
−メタノールの混合溶媒を用いて室温に一晩放置するな
ど方法などによって行うことができるが、本発明はこれ
に限定されるものではない。抽出溶媒としては、上記以
外に塩化メチレン、酢酸エチル、エチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、エタノールなどの脂質と反応しない溶
媒を単独または混合して用いることができる。抽出条件
は溶媒によっては加温することもあり、数分間〜数時間
行うこともある。
【0011】酸メタノリシスは、好ましくは5%無水メ
タノール−塩酸混合物を用い、60〜100℃で、1〜
4時間加熱または還流することによって行われる。酸メ
タノリシス後、通常の化学的手段と同様に、たとえばヘ
キサンなどの溶媒で抽出することによって脂肪酸メチル
エステルを含む粗生成物を得る。
タノール−塩酸混合物を用い、60〜100℃で、1〜
4時間加熱または還流することによって行われる。酸メ
タノリシス後、通常の化学的手段と同様に、たとえばヘ
キサンなどの溶媒で抽出することによって脂肪酸メチル
エステルを含む粗生成物を得る。
【0012】なお、他のアルコールで酸アルコリシスす
ることが可能である。11−メトキシ脂肪酸メチルエス
テルの同定には、たとえばガス液体クロマトグラフィー
(GLC)、ガス・クロマトグラフィー質量分析(GC
−MS)、赤外線スペクトル、NMRなどの科学機器に
よる分析のほか、酵素法、化学反応分析法などが用いら
れるが、本発明はこれらの手段に限定されない。
ることが可能である。11−メトキシ脂肪酸メチルエス
テルの同定には、たとえばガス液体クロマトグラフィー
(GLC)、ガス・クロマトグラフィー質量分析(GC
−MS)、赤外線スペクトル、NMRなどの科学機器に
よる分析のほか、酵素法、化学反応分析法などが用いら
れるが、本発明はこれらの手段に限定されない。
【0013】
【発明の効果】本発明により、従来法に比べ極めて特異
的かつ簡便にHpを検出する方法が提供された。
的かつ簡便にHpを検出する方法が提供された。
【0014】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明する。
【0015】実施例 Hpの標準株(ATCC43504)を10%CO2,
10%O2,80%N2条件下、抗生物質を含まない10
%馬血清添加brucella寒天培地中37℃で5日
間培養した。培養した細菌を集め、生理食塩水で洗浄
し、15分間遠心分離(9×103g)して1.6gの
菌体を得た。
10%O2,80%N2条件下、抗生物質を含まない10
%馬血清添加brucella寒天培地中37℃で5日
間培養した。培養した細菌を集め、生理食塩水で洗浄
し、15分間遠心分離(9×103g)して1.6gの
菌体を得た。
【0016】混合比(体積/体積)2:1,1:1,
1:2のクロロホルム−メタノール混合物各50mlを
用いて、前記菌体を室温にて一晩放置して脂質の抽出を
行った。各抽出液を合わせて、回転エバポレーター中で
蒸発乾固し、次いでこれを蒸留水10ml中に懸濁し、
蒸留水に対して透析を行い、最終的に蒸発乾固物(粗脂
質)40mgを得た。このうち1mgについて、5%無
水メタノール−塩酸混合物1mlを用いて、100℃で
3時間かけてメタノリシスを行った。反応液をヘキサン
1.5mlを用いて抽出を3回行い、ヘキサン層を合わ
せ、窒素気流中で蒸発乾固した(検体1)。
1:2のクロロホルム−メタノール混合物各50mlを
用いて、前記菌体を室温にて一晩放置して脂質の抽出を
行った。各抽出液を合わせて、回転エバポレーター中で
蒸発乾固し、次いでこれを蒸留水10ml中に懸濁し、
蒸留水に対して透析を行い、最終的に蒸発乾固物(粗脂
質)40mgを得た。このうち1mgについて、5%無
水メタノール−塩酸混合物1mlを用いて、100℃で
3時間かけてメタノリシスを行った。反応液をヘキサン
1.5mlを用いて抽出を3回行い、ヘキサン層を合わ
せ、窒素気流中で蒸発乾固した(検体1)。
【0017】また、そのうち一部は、5:2:1(体積
比)のピリジン/ヘキサメチルジシラザン/トリメチル
クロロシランの混合物とともに60℃で20分間攪拌し
て、トリメチルシリル化を行った(検体2)。
比)のピリジン/ヘキサメチルジシラザン/トリメチル
クロロシランの混合物とともに60℃で20分間攪拌し
て、トリメチルシリル化を行った(検体2)。
【0018】GLCおよびGC−MSによる同定;検体
1および検体2をヘキサンの0.1mlに溶解し、DB
−1溶融シリカカラム(0.25mm×25m,J&W
Scientific,California,U.
S.A.)にて180℃から250℃まで5℃/min
で昇温させてGLC分析した。
1および検体2をヘキサンの0.1mlに溶解し、DB
−1溶融シリカカラム(0.25mm×25m,J&W
Scientific,California,U.
S.A.)にて180℃から250℃まで5℃/min
で昇温させてGLC分析した。
【0019】検体1の分析結果を図1に示した。図1に
よれば、構造不明のピークAおよびBが見いだされた。
本ピークはトリメチルシリル化した検体2においては、
変化が見られなかった。
よれば、構造不明のピークAおよびBが見いだされた。
本ピークはトリメチルシリル化した検体2においては、
変化が見られなかった。
【0020】ピークはAおよびBについて、Shima
zu QP−1000(京都)質量分析計(Carri
er gas:N2)によりGC−MS分析を行った。
それぞれの結果を図2および図3に示した。AおよびB
のGC−MS分析結果は、これらが典型的な11−メト
キシ脂肪酸メチルエステルであることを示している。
zu QP−1000(京都)質量分析計(Carri
er gas:N2)によりGC−MS分析を行った。
それぞれの結果を図2および図3に示した。AおよびB
のGC−MS分析結果は、これらが典型的な11−メト
キシ脂肪酸メチルエステルであることを示している。
【0021】
【図1】検体1のGLC分析結果を示す。
【図2】ピークAのGC−MS分析結果を示す。
【図3】ピークBのGC−MS分析結果を示す。
Claims (1)
- 【請求項1】 ヘリコバクター ピロリを含有する試料
を酸メタノリシスし、式 (式中、nは5または7である。)で表される11−メ
トキシ脂肪酸メチルエステルを同定することからなるヘ
リコバクター ピロリの検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3666193A JP2874504B2 (ja) | 1993-02-25 | 1993-02-25 | ヘリコバクター ピロリの検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3666193A JP2874504B2 (ja) | 1993-02-25 | 1993-02-25 | ヘリコバクター ピロリの検出方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06245793A JPH06245793A (ja) | 1994-09-06 |
JP2874504B2 true JP2874504B2 (ja) | 1999-03-24 |
Family
ID=12476048
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3666193A Expired - Lifetime JP2874504B2 (ja) | 1993-02-25 | 1993-02-25 | ヘリコバクター ピロリの検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2874504B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3042890B2 (ja) * | 1994-11-21 | 2000-05-22 | ファイザー製薬株式会社 | フタリド化合物及びその製法 |
-
1993
- 1993-02-25 JP JP3666193A patent/JP2874504B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06245793A (ja) | 1994-09-06 |
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