JP2862565B2 - 半導体装置およびその製法 - Google Patents

半導体装置およびその製法

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JP2862565B2 JP1151398A JP15139889A JP2862565B2 JP 2862565 B2 JP2862565 B2 JP 2862565B2 JP 1151398 A JP1151398 A JP 1151398A JP 15139889 A JP15139889 A JP 15139889A JP 2862565 B2 JP2862565 B2 JP 2862565B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、成形性、特に成形時の高熱に対する強度
特性および高温雰囲気下における機械強度に優れた封止
樹脂により封止された半導体装置に関するものである。
〔従来の技術〕
ダイオード,トランジスタ,IC,LSI等の半導体素子
は、通常、エポキシ樹脂を主成分とした封止樹脂により
樹脂封止され、半導体装置化されている。上記エポキシ
樹脂は、電気特性,機械特性,耐薬品性等に優れてお
り、かつ安価で経済性にも優れていることから、信頼性
の高い絶縁材料として半導体装置の封止等に広く利用さ
れている。
また、上記エポキシ樹脂を主成分とする組成物中に
は、硬化促進剤として、一般に三級アミン類,リン系化
合物,イミダゾール類等が用いられている。なかでも、
上記三級アミン類としては、トリエチレンジアミン、2,
4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フエノール、1,8−
ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が用いら
れている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記三級アミン類は、高温ないし高湿
下での絶縁抵抗に関しては優れた特性を示すが、成形時
の高熱に対する強度および硬度においては他のリン系化
合物に劣るという欠点を有している。また、高温時の機
械特性、特に曲げ強度等においても他の硬化促進剤に比
較してやや低く、高温保持時のパツケージの信頼性を損
なう可能性を有している。
このような成形性における問題点の対応方法として、
従来から、成形時間すなわち成形サイクルを長くすると
いう方法がとられている。また、高温時の機械強度をあ
げる方法としても、後硬化(アフターキユア)の温度を
高くしたりこの時間を長くするという方法がとられてい
る。しかし、前者の場合パツケージ内部の内部応力が大
きくなるという問題やあまり高い温度のため樹脂成分が
劣化するという問題を有し、また後者の成形サイクルを
長くする手法をとると生産性に劣るという問題を有して
いる。
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、
封止樹脂のばりの発生が抑制されるとともに、成形性、
特に熱時強度および硬度に優れ、かつ高温雰囲気下にお
ける機械強度に優れた半導体装置の提供をその目的とす
る。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明の半導体装置
は、下記の(A)〜(D)成分を含有するエポキシ樹脂
組成物を用いて半導体素子を封止するという構成をと
る。
(A)エポキシ樹脂。
(B)フエノール樹脂。
〔ただし、上記(A)成分のエポキシ樹脂および(B)成分のフエノール樹脂の少なくとも一方が下記の一般式(I)で表されるオルガノポリシロキサンと反応している〕
(C)1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5およ
びその誘導体の少なくとも一方からなる硬化促進剤。
(D)平均粒径が1〜30μmである無機質充填剤。
〔作用〕 すなわち、本発明者は、上記の目的を達成するため一
連の研究の研究を重ねた。その結果、硬化促進剤として
従来から用いられている1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,
0)ウンデセン−7の代わりに1,5−ジアザ−ビシクロ
(4,3,0)ノネン−5(以下「DBN」と略す)およびその
誘導体の少なくとも一方と、特定範囲の平均粒径である
無機質充填剤を用いるとともに、上記エポキシ樹脂およ
びフエノール樹脂の少なくとも一方と上記一般式(I)
で表されるオルガノポリシロキサンが反応したものを用
いると、所期の目的を達成することができることを見出
しこの発明に到達した。
この発明に用いるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹
脂(A成分)と、フエノール樹脂(B成分)と、特定の
硬化促進剤(C成分)と、特性範囲の平均粒径を備えた
無機質充填剤(D成分)と、上記A成分およびB成分の
少なくとも一方と反応させるオルガノポリシロキサンを
用いて得られるものであり、通常、粉末状もしくはそれ
を打錠したタブレツト状になつている。
上記エポキシ樹脂組成物のA成分となるエポキシ樹脂
としては、特に制限するものではなく、フエノールノボ
ラツク型エポキシ樹脂,クレゾールノボラツク型エポキ
シ樹脂,ビスフエノールA型エポキシ樹脂等、従来より
用いられている各種のエポキシ樹脂があげられる。これ
らのエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、併用しても
よい。
上記エポキシ樹脂の中でも好適なエポキシ樹脂として
は、エポキシ当量170〜300のノボラツク型エポキシ樹脂
であり、例えばフエノールノボラツク型エポキシ樹脂,
クレゾールノボラツク型エポキシ樹脂等があげられる。
上記B成分のフエノール樹脂は、上記A成分のエポキ
シ樹脂の硬化剤として作用するものであり、フエノール
ノボラツク樹脂,クレゾールノボラツク樹脂等が好適に
用いられる。これらのフエノール樹脂は、軟化点が50〜
110℃,水酸基当量が70〜150であることが好ましい。
上記A成分のエポキシ樹脂とB成分のフエノール樹脂
との相互の使用割合は、エポキシ樹脂のエポキシ当量と
の関係から適宜に選択されるが、エポキシ基に対するフ
エノール性水酸基の当量比が0.5〜1.5の範囲内になるよ
うに設定することが好ましい。すなわち、フエノール性
水酸基の当量比が上記範囲を外れると、得られるエポキ
シ樹脂組成物硬化体の耐熱性が低下する傾向がみられる
からである。
そして、上記のようなエポキシ樹脂およびフエノール
樹脂は片方または双方が、下記の一般式(I) で表されるオルガノポリシロキサンと反応しているもの
を用いる。このような変性エポキシ樹脂あるいは変性フ
エノール樹脂を単独でもしくは併用することによつて、
耐クラツク性,耐ヒートサイクル性が一層向上する。こ
の場合、上記オルガノポリシロキサンの含有量は、エポ
キシ樹脂組成物中の有機成分総量に対して、オルガノポ
リシロキサンが3〜30重量%(以下「%」と略す)にな
るよう設定することが好適であり、より好適なのは3〜
15%である。すなわち、上記オルガノポリシロキサンの
含有量が3%を下回ると充分な低応力効果がみられなく
なり、逆に30%を上回ると樹脂強度が低下するからであ
る。
上記C成分の特性の硬化促進剤としては、DBNおよび
その誘導体の少なくとも一方が用いられる。そして、上
記DBNの誘導体としては、フエノール塩,2−エチルヘキ
サン酸塩,炭酸塩等が好適に用いられる。そして、上記
C成分の配合量は、A成分のエポキシ樹脂とB成分のフ
エノール樹脂の合計量100重量部(以下「部」と略す)
に対して1〜3部の割合に設定するのが好ましい。すな
わち、C成分の配合量が上記範囲を外れると得られるエ
ポキシ樹脂組成物の成形性,曲げ強度等の機械強度が低
下するからである。
上記D成分の特性の無機質充填剤としては、アルミ
ナ,溶解シリカ,結晶シリカ,ガラス,水酸化アルミニ
ウム,水和アルミナ等があげられ、等に平均粒径が1〜
30μmのものを用いる必要がある。すなわち、上記平均
粒径が30μmを超えると封止樹脂のばりが問題となり、
1μmを下回るとエポキシ樹脂組成物の流動性が低下す
るという問題が生じるからである。
このようなD成分の無機質充填剤の含有量は、エポキ
シ樹脂組成物全体中50%以上になるように設定すること
が好ましい。すなわち、D成分の無機質充填剤の含有量
が50%を下回ると、得られるエポキシ樹脂組成物の機械
強度が低下し、成形性(熱時強度および硬度)が損なわ
れるからである。
また、この発明に用いられるエポキシ樹脂組成物に
は、上記A〜D成分およびオルガノポリシロキサン以外
にも、必要に応じて従来より用いられているその他の添
加剤を含有することができる。
上記その他の添加剤としては、例えば離型剤,着色
剤,シランカツプリング剤等があげられる。
上記離型剤としては、従来公知のステアリン酸,パル
ミチン酸等の長鎖カルボン酸、ステアリン酸亜鉛,ステ
アリン酸カルシウム等の長鎖カルボン酸の金属塩、カル
ナバワツクス,モンタンワツクス等のワツクス類を用い
ることができる。
この発明に用いるエポキシ樹脂組成物は、例えばつぎ
のようにして製造することができる。すなわち、上記A
〜D成分ならびに上記その他の添加剤を適宜配合し、こ
の混合物をミキシングロール機等の混練機に掛け加熱状
態で混練して溶融混合し、これを室温に冷却したのち公
知の手段により粉砕し、必要に応じて打錠するという一
連の工程により、目的とするエポキシ樹脂組成物を得る
ことができる。
このようなエポキシ樹脂組成物を用いての半導体素子
の封止は、特に制限するものではなく、通常のトランス
フアー成形等の公知のモールド方法により行うことがで
きる。
このようにして得られる半導体装置は、上記特定の硬
化促進剤および特定の無機質充填剤を含有しているた
め、成形時の熱時強度および強度に優れ、かつ高温雰囲
気下における機械強度に優れたものであり、性能的に問
題がない。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明の半導体装置は、硬化促進剤
としてDBNおよびその誘導体の少なくとも一方(C成
分)と特定範囲の平均粒径を有する無機質充填剤(D成
分)を含有するとともに、上記エポキシ樹脂およびフエ
ノール樹脂の少なくとも一方と特定のオルガノポリシロ
キサンとを反応させたものを含有する特殊なエポキシ樹
脂組成物を用いて封止されており、その封止樹脂が成形
性、特に熱時強度および硬度に優れているため、高温雰
囲気下での機械強度に優れた特性を備えている。また、
上記無機質充填剤を用いているために、封止樹脂のばり
の発生が抑制され、エポキシ樹脂組成物の流動性に関し
て優れたものが得られるようになる。したがつて、この
発明の半導体装置は極めて高い信頼性を有している。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〜2、比較例1〜4〕 まず、下記の第1表に示すシリコーン化合物および破
砕溶融シリカ粉末A,αを準備した。
つぎに、上記シリコーン化合物および溶融シリカ粉末
A,αを用いて、下記の第2表に示すような原料を準備
し、これら原料を同表に示す割合で配合し、ミキシング
ロール機で混練して冷却粉砕した後、目的とするエポキ
シ樹脂組成物を得た。
このようにして得られたエポキシ樹脂組成物を用いて
スパイラルフロー,成形性,曲げ強度を測定して後記の
第3表に示した。
なお、第3表において、各特性の評価は下記に示す方
法により測定し行つた。
スパイラルフロー 得られたエポキシ樹脂組成物を用いてEMML−1−66に
準じた金型で成形したときの流れ値を測定した。
ばり 温度175℃で120秒間の成形条件で成形した後、流動長
さを測定し評価した。
熱時強度 温度175℃で90秒間の成形条件で成形した直後の硬化
体をプツシユプルゲージにて測定した。
熱時硬度 温度175℃で90秒間の成形条件で成形した直後の硬化
体をシヨア−θ硬度計にて測定した。
曲げ強度 エポキシ樹脂組成物の硬化体をテンシロン万能試験機
(東洋ボールドウイン社製)にて測定した。
第3表の結果から、実施例品は比較例品に比べてばり
特性,成形性(熱時強度,熱時硬度等)および曲げ強度
の全てにおいて優れていることがわかる。また、平均粒
径が1〜30μmの範囲を外れた破砕溶融シリカ粉末を用
いた比較例4品では、特にばり特性に関して著しく劣つ
ている。そして、上記エポキシ樹脂組成物を用いてトラ
ンスフアーモールドにより半導体装置を作製したが、実
施例で得られたエポキシ樹脂組成物を用いて樹脂封止さ
れたものは信頼性に優れたものであつた。さらに、無機
質充填剤として平均粒径が1μm未満のものを用いた場
合は、得られるエポキシ樹脂組成物の流動性が悪くトラ
ンスフアー成形が行えず、結果、成形性評価および曲げ
強度測定用のサンプルを作製することができなかつた。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の(A)〜(D)成分を含有するエポ
    キシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導
    体装置。 (A)エポキシ樹脂。 (B)フエノール樹脂。 〔ただし、上記(A)成分のエポキシ樹脂および(B)
    成分のフエノール樹脂の少なくとも一方が下記の一般式
    (I)で表されるオルガノポリシロキサンと反応してい
    る〕 (C)1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5およ
    びその誘導体の少なくとも一方からなる硬化促進剤。 (D)平均粒径が1〜30μmである無機質充填剤。
  2. 【請求項2】上記オルガノポリシロキサンの含有量が、
    エポキシ樹脂組成物中の有機成分総量に対して3〜30重
    量%の範囲に設定されている請求項(1)記載の半導体
    装置。
  3. 【請求項3】(D)成分の含有量がエポキシ樹脂組成物
    全体の50重量%以上に設定されている請求項(1)また
    は(2)記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】(D)成分である無機質充填剤が、破砕溶
    融シリカ粉末である請求項(1)〜(3)のいずれか一
    項に記載の半導体装置。
  5. 【請求項5】下記の(A)〜(D)成分を含有する半導
    体封止用エポキシ樹脂組成物。 (A)エポキシ樹脂。 (B)フエノール樹脂。 〔ただし、上記(A)成分のエポキシ樹脂および(B)
    成分のフエノール樹脂の少なくとも一方が下記の一般式
    (I)で表されるオルガノポリシロキサンと反応してい
    る〕 (C)1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5およ
    びその誘導体の少なくとも一方からなる硬化促進剤。 (D)平均粒径が1〜30μmである無機質充填剤。
  6. 【請求項6】下記の(A)〜(D)成分を含有する半導
    体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて、トランスフアー
    成形法により半導体素子を封止して半導体装置を製造す
    ることを特徴とする半導体装置の製法。 (A)エポキシ樹脂。 (B)フエノール樹脂。 〔ただし、上記(A)成分のエポキシ樹脂および(B)
    成分のフエノール樹脂の少なくとも一方が下記の一般式
    (I)で表されるオルガノポリシロキサンと反応してい
    る〕 (C)1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5およ
    びその誘導体の少なくとも一方からなる硬化促進剤。 (D)平均粒径が1〜30μmである無機質充填剤。
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