JP2853847B2 - NOx 含有呼気ガスの除害方法 - Google Patents
NOx 含有呼気ガスの除害方法Info
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Description
(一酸化窒素)吸入療法を行うに際し、人工呼吸器の呼
気弁より排出されるNOx (つまりNOおよびNO2 )
ガスを、呼吸回路内圧に影響を与えることなく除害する
方法に関するものである。
関する研究が盛んに行われ、人工呼吸器を用いてNOを
患者に供給する方式が数多く報告されている。(たとえ
ば、「実験医学、Vol. 9, No. 11, p1347-1351 (1991)
」の「血管弛緩因子としてのNO」と題する記事を参
照。)
より、人工呼吸器や麻酔器で薬剤を投与するときに麻酔
器から排出されるハローセンや笑気を余剰麻酔ガス排出
装置を用いて安全に室外へ排出し、医療従事者に影響を
与えないようにすることがなされている。この余剰麻酔
ガス排出装置について、以下にさらに説明する。
イプと間欠式タイプとがあり、いずれの場合も呼気弁を
開閉させることにより呼気ガスを排出している。この呼
気弁に接続されたチューブより排出されたガスは、吸引
ポンプにより吸引され、室外へ排出される。この排出時
に排出抵抗がかかると、患者の呼吸回路内圧が変動し
て、呼吸仕事量の増加を招いたり、人工呼吸器の換気設
定値に影響を与えたりするなどのトラブルを生じ、適切
な呼吸管理ができなくなる。そこで外気導入口より同時
に大気を吸引するようにすると共に、バッファタンクを
置くことにより、圧力変動を緩衝するようにしている。
このようにして、呼気ガスは呼吸回路内圧に影響を与え
ることなく室外へ排出される。
ガス排出装置にあっては、手術室やICU(集中治療
室)から、人工呼吸器からの排出ガスを呼吸回路内圧に
影響を与えることなく安全に排出することが可能であ
る。しかしながら、この装置は余剰麻酔ガスを室外へ排
出することを目的としており、余剰ガス自体を無毒化す
る機能は有していない。そのためこの装置を本発明が目
的とするようなNOx 含有呼気ガスに適用するときに
は、大気中にNOx ガスが放出されることになり、NO
x の濃度が産業上の許容濃度(NO:25ppm 、NO
2 : 5ppm )内にあるとは言え、環境汚染を生ずるおそ
れがある。
に、吸着剤として活性炭を用いたNOx 除害装置が知ら
れている。この活性炭吸着方式は、NOx を吸着するこ
とは可能であるものの、活性炭の再生時にNOx を再脱
離するため、完全無害化するためには別の処理装置を要
し、本発明が目的とするような室内設置用の小型除害装
置には不適当である。
出装置において、バッファタンクの下流に活性炭を用い
たカラムを接続して大気放出の前にNOx を吸着除去す
る方法についても検討したが、活性炭自体の圧力抵抗の
ため外気導入口からの大気吸引量と排出ガスの量とのバ
ランスが崩れ、呼吸回路内圧が上昇するというトラブル
を生じた。また活性炭は再生時NOx を再脱離するた
め、環境へのNOx 削減策として不充分である。
工呼吸器より排出されるNOx 含有呼気ガスを吸引手段
により吸引して外部に排気するにあたり、NOx 含有呼
気ガスを無毒化すると共に、その際に呼吸回路内圧に影
響を与えないように工夫したNOx 除害システムを提供
することを目的とするものである。
ガスの除害方法は、人工呼吸器より排出されるNOx含
有呼気ガスを吸引手段により吸引して外部に排気するに
あたり、NO除去用化学吸着剤充填層とNO2 除去用化
学吸着剤充填層とからなる多重充填層を有するカラムを
排気系統の途中に設けると共に、そのカラムの入口手前
にバッファタンクを設け、前記のNOx 含有呼気ガスを
大気を同時吸引させながら前記カラムに供給することを
特徴とするものである。
れるNOx 含有呼気ガスを吸引手段により吸引して外部
に排気するにあたり、NO除去用化学吸着剤充填層とN
O2除去用化学吸着剤充填層とからなる多重充填層を有
するカラムを排気系統の途中に設ける。
ミナなどの多孔質担体にNOを無害成分にまで変性しう
る添着剤を担持させた化学吸着剤が用いられる。添着剤
の代表例は、酸化剤、殊に過マンガン酸カリウムであ
る。呼気ガス中のNOは、このNO除去用化学吸着剤充
填層を通過する間に酸化され、次式のように無害なKN
O3 にまで変換された状態でその充填層に固定される。 NO + KMnO4 + H2O → KNO3 + MnO2 +H2O
担体にNO2 を無害成分にまで変性しうる添着剤を担持
させた化学吸着剤が用いられる。このときの多孔質担体
としては、活性炭と金属酸化物とで構成された合成活性
炭が特に好ましく、添着剤としては、NO2 を中和する
能力を有するアルカリ物質が好適に用いられる。呼気ガ
ス中のNO2 は、このNO2 除去用化学吸着剤充填層を
通過する間に中和され、その充填層に固定される。
2 除去用化学吸着剤充填層とは、カラム内に多重(通常
は二重)充填層となるように充填される。この場合、呼
気ガス中のNOx の中ではNOの方が量が多く、しかも
NOはNO2 に酸化されやすいので、通常はNO除去用
化学吸着剤充填層の方をガス流の上流側に配置しかつそ
の充填量を多くする。
除去用化学吸着剤は、NO、NO2を吸着変性すると変
色するのでインジケータ作用を有し、従って取り替え時
機を視覚的に決定することができる。また上記の両吸着
剤は不燃性であるという利点もある。
前にバッファタンクを設けると共に、前記のNOx 含有
呼気ガスを大気を同時吸引させながら前記カラムに供給
するようにする。カラム入口手前に設けたバッファタン
クの容積と、カラム下部より大気を導入する導入口のサ
イズを可変とすることにより、大気吸引量と排出ガスの
バランスをコントロールすれば、カラムを設けることに
より生ずる圧力抵抗は呼吸回路内圧に影響を与えないよ
うになる。
だけでなく、マスク等による自発呼吸下におけるNO連
続吸入時においても採用することが可能である。
は、吸引手段により吸引されて外部に排気されるが、そ
の途中に設けたNO除去用化学吸着剤充填層とNO2 除
去用化学吸着剤充填層とからなる多重(通常は二重)充
填層を有するカラムを通過する間に、NOおよびNO2
は吸着および変性を受けてそれぞれの吸着剤に固定され
る。またその吸着固定により吸着剤は変色するので、吸
着剤の取り替え時機を誤ることがない。
ンクが設けられ、またNOx 含有呼気ガスを大気を同時
吸引させながらカラムに供給するようにしてあるので、
カラムを設けることにより生ずる圧力抵抗は呼吸回路内
圧に影響を与えない。
る。
した説明図である。
(3) を介して、カラム(5) の下部接続部(5a)の入口手前
に設けたバッファタンク(4) の接続部(4a)に接続され
る。
されており、その一方はバッファタンク(4) の接続部(4
a)に接続され、他方は外部に連通して外気導入口(5b)を
形成し、大気を吸引できる構造となっている。
剤、上段にNO2 除去用吸着剤が充填され、NO除去用
化学吸着剤充填層(x) とNO2 除去用化学吸着剤充填層
(y)とからなる二重充填層が形成されている。
ミナからなる多孔質担体に添着剤として過マンガン酸カ
リウムを担持させた化学吸着剤を用い、NO2 除去用化
学吸着剤としては、活性炭と金属酸化物とで構成された
合成活性炭に添着剤としてアルカリ物質を担持させた合
成活性炭系化学吸着剤を用いた。
られないが(というのは、NO吸入療法における供給N
O濃度が変化し、また酸素濃度によりNO2 発生量が変
化するため、呼気ガス中のそれぞれの濃度を断定するこ
とが難しいので)、NO吸入療法では5〜20ppm 前後
のNOを酸素濃度21〜100%の範囲で供給するケー
スが多く、これよりNO2 の発生割合はNOの20%が
平均値であるので、それに基きそれぞれの化学吸着剤の
充填量を決定することができる。
填した化学吸着剤の変色を確認できるように、アクリル
樹脂や塩化ビニル樹脂製の透明な材質のカラムを用い、
不測のスルー(破過)が起こらないようにした。
吸引するため、人工呼吸器(1) から排出されるNOx 濃
度の1/3〜1/4程度となる。
たガスは、カラム(5) 内の両充填層(x), (y)を通って上
部接続部(5c)に至り、図1に付したiのルートに従っ
て、その上部接続部(5c)からチューブ(6) を経て吸引ポ
ンプ(7) に吸引され、除害されたガスとして外部に排気
される。なお既存の吸引アウトレット(8) (手術室やI
CUなど室内に設置されている吸引アウトレット)を利
用するときは、図1に付したiiのルートに従って、カラ
ム(5) の上部接続部(5c)からチューブ(6')を経て吸引ア
ウトレット(8) から外部に排出される。
たときの条件と結果を以下に示す。
1回換気量600cc、呼吸回数13回/分、I/E比
1:2に設定し、調節呼吸に同期してNO/N2 混合ガ
ス(800ppm )を15cc/回供給するシステムを利用
し、供給NO濃度を20ppm とした。このときの供給酸
素濃度は21%とした。
トル/分に設定した。バッファタンク(4)の容積は5
00cc、カラム(5)のサイズは、内径50mm×長
さ500mmとした。
吸着剤の充填量は、それぞれ400g、100gとし、
図1のa、b、cのポイントにおいて、定電位電解式N
Oモニター「TM−100」およびNO2 モニター「T
M−1002」(いずれも大陽酸素株式会社製)にて連
続的に測定した。
タンク(4) がない場合には、呼気弁(2) が開き呼気ガス
が導入されると7mmH2O の静圧を生じたが、500ccの
バッファタンク(4) を設けると静圧はほぼ0となった。
すなわち、上記条件下では500ccの容積を持つバッフ
ァタンク(4) を外気導入口(5b)の1次側に配置すること
により、呼吸回路内圧に影響を与えず排出することが可
能であった。
cのポイントにおけるNOおよびNO2 の濃度を連続的
にモニターしたが、下記の表1のように定常的にほぼ一
定の濃度を示した。
階で、吸着剤の色の変化がカラムの約2/3に達した
が、このときのポイントcの濃度は、NO、NO2 とも
0であり、未だ吸着能を有していた。
ィスサイズについては、3種類の大きさのもの(5mm
φ、10mmφ、18mmφ)を、使用条件(排出ガス流
量)により選択し、容易に交換できる構造とした。
/分程度のガスが定常的に排出されており、この場合は
小さなオリフィス(約5mmφ)にて大気の吸い込み量を
落として排出ガスとのバランスをとることにより、圧力
抵抗を緩衛することが可能である。
既存の吸引アウトレット(8) を吸引ポンプ(7) の代りに
利用するときは、吸引アウトレット(8) の吸引圧が30
0〜500mmHgと高いので、このまま除害システムに持
続すると、カラム(5) 内を流れるガスの流量が多すぎて
充分な吸着性能が発揮されず、スルーすることが考えら
れる。
合は、その吸引流量を調節できる絞り機構を設けて、カ
ラム(5) の適正流量である30リットル/分に調節して
使用することにより、吸引ポンプ(7) を使用する場合と
同様の効果を得ることができる。
より排出されるNOx 含有呼気ガスを吸引手段により吸
引して外部に排気するにあたり、NOx 含有呼気ガスを
無毒化することができる。またその際に呼吸回路内圧に
影響を与えることもない。
着剤が変色するので、吸着剤の取り替え時機を誤ること
もない。
示した説明図である。
部、 (6), (6') …チューブ、 (7) …吸引ポンプ、 (8) …吸引アウトレット、 (x) …NO除去用化学吸着剤充填層、 (y) …NO2 除去用化学吸着剤充填層、 a, b, c …NOおよびNO2 濃度モニター用のポイン
ト、 i, ii…ルート
Claims (2)
- 【請求項1】人工呼吸器より排出されるNOx 含有呼気
ガスを吸引手段により吸引して外部に排気するにあた
り、NO除去用化学吸着剤充填層とNO2 除去用化学吸
着剤充填層とからなる多重充填層を有するカラムを排気
系統の途中に設けると共に、そのカラムの入口手前にバ
ッファタンクを設け、前記のNOx 含有呼気ガスを大気
を同時吸引させながら前記カラムに供給することを特徴
とするNOx 含有呼気ガスの除害方法。 - 【請求項2】NO除去用化学吸着剤およびNO2 除去用
化学吸着剤が、NOまたはNO2 を無害成分にまで変性
しうる添着剤を多孔質担体に担持させた化学吸着剤から
なることを特徴とする請求項1記載のNOx 含有呼気ガ
スの除害方法。
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---|---|---|---|
JP6207997A JP2853847B2 (ja) | 1994-08-08 | 1994-08-08 | NOx 含有呼気ガスの除害方法 |
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JP6207997A JP2853847B2 (ja) | 1994-08-08 | 1994-08-08 | NOx 含有呼気ガスの除害方法 |
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JP6207997A Expired - Fee Related JP2853847B2 (ja) | 1994-08-08 | 1994-08-08 | NOx 含有呼気ガスの除害方法 |
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-
1994
- 1994-08-08 JP JP6207997A patent/JP2853847B2/ja not_active Expired - Fee Related
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