JP2851356B2 - ポルフィリン金属複合体とその用途 - Google Patents

ポルフィリン金属複合体とその用途

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明はポルフィリン金属複合体とその用途、特に
放射性診断用担体として有用なポルフィリン金属複合体
および放射性診断剤として有用な放射ポルフィリン金属
複合体に関する。
[従来の技術] 従来、ポルフィリン誘導体が癌組織に対して選択的な
集積性を有することはよく知られている。しかしなが
ら、ポルフィリン誘導体の癌組織に対する選択性は未だ
充分なものとは言い難く、多少とも正常組織に対する集
積を免れない。そして、このように正常組織に集積した
ポルフィリン誘導体は光によって毒性を発揮する。従っ
て、ポルフィリン誘導体を人体に投与した場合にその毒
性の影響を避けるには、投与を受けた患者は正常組織に
集積したポルフィリン誘導体が体外に排泄されるまで長
時間に渡って暗所にに留まることが必要となる。
また、癌を陽性に描出する癌シンチグラフィー用診断
剤の開発は、核医学分野における永年のテーマの一つで
あり、現在臨床的にはクエン酸ガリウム(Ga−67)や塩
化タリウム(Tl−201)がその目的に用いられている。
しかしながら、これらは半減期、γ線エネルギーなどの
物理的性質が必ずしも満足すべきものではなく、また癌
のみならず良性腫瘍および炎症巣にも集積し、さらに読
影に際して妨害となる骨描画が起こるという欠点を有し
ている。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明者らは、癌組織に対する良好な集積性を維持し
たまま光毒性を低減させたポルフィリン誘導体を探索
し、かつこれを適宜の診断用核種と組み合わせて使用す
ることにより、癌のイメージングに適した放射性診断剤
を提供することを目的として、種々の研究を重ねた。
[問題を解決するための手段] その結果、キレート形成能を有する特定の側鎖を結合
させたポルフィリン誘導体のポルフィリン骨格内に非放
射性金属マンガンをキレート結合させて得られるポルフ
ィリン金属複合体が、癌組織に対する優れた集積性と顕
著に低減された光毒性を有する事実を見いだした。該ポ
ルフィリン金属複合体はその強力なキレート形成能を有
する側鎖により容易に放射性金属と錯体化することがで
き、ここに得られた放射性ポルフィリン金属複合体を使
用することにより光毒性を憂慮することなく安全に癌シ
ンチグラフィーを行うことができる。
また、臨床分野における癌シンチグラフィーに対する
要求に対処するため詳細な吟味を行った結果、用いる放
射性核種としてTc−99mが最も良いと判断された。Tc−9
9mは現在の臨床の場でも繁用されており、安価で入手し
易く、γ線エネルギーがγカメラの特性に適しており、
しかも半減期が適当な長さであるため患者の被曝線量も
比較的少なく維持することができ、診断用該種として理
想的である。
しかも、前記ポルフィリン金属複合体の側鎖に放射線
Tc−99mを配位結合させて得られた放射性ポルフィリン
金属複合体は、投与後比較的短時間(たとえば約3時
間)に癌の病態を鮮明に描画でき、従来問題とされた骨
集積性も実質的に認められないという特徴が見いだされ
た。このような特徴は従来の癌シンチグラフィー剤には
ない極めて優れたものである。
[発明の概要] 本発明は上記知見に基づいて完成されたものであっ
て、その要旨は、 式: で示されるポルフィリン化合物またはその塩とそのポル
フィリン骨格内にキレート結合した非放射性金属マンガ
ンからなるポルフィリン金属複合体 および 上記ポルフィリン化合物(I)またはその塩とそのポ
ルフィリン骨格内にキレート結合した非放射性金属マン
ガンとそのキレート形成能を有する側鎖に配位結合した
放射性Tc−99mからなる放射性ポルフィリン金属複合体 に存在する。
本発明の放射性診断剤用担体は、ポルフィリン化合物
(I)またはその塩に対しそのポルフィリン骨格内に非
放射性金属マンガンがキレート結合してなるポルフィリ
ン金属複合体を有効成分とするものであり、本発明の放
射性診断剤は、該ポルフィリン金属複合体に対してその
キレート形成能を有する側鎖に放射性金属Tc−99mが配
位結合してなる放射性ポルフィリン金属複合体を有効成
分とするものである。
[作用] 本発明の放射性診断剤は、その人体に対する適用時点
において前記放射性ポルフィリン金属複合体が存在すれ
ばよい。すなわち、該放射性診断剤は、上記放射性ポル
フィリン金属複合体が存在した状態で市販、提供される
こともあれば、上記ポルフィリン金属複合体と放射性金
属と別個に市販、提供され、用時これらを配合して上記
放射性ポルフィリン金属複合体とすることもある。
本発明の診断剤用担体として使用されるポルフィリン
金属複合体は、通常、前記ポルフィリン化合物(I)ま
たはその塩からキレート形成能を有する側鎖が除外され
た前駆体と非放射性金属マンガンの塩を水性媒体中で処
理して、該前駆体のマンガンキレート結合体を形成して
おき、これを適宜の媒体中で前記側鎖を持った試剤と反
応させることによって得られる。また、反発明の放射性
診断剤として使用される放射性ポルフィリン金属複合体
は、前記ポルフィリン金属複合体と放射性金属Tc−99m
の塩を水性媒体中で処理することにより形成される。
放射性ポルフィリン金属複合体を用時に調整するた
め、ポルフィリン金属複合体をその溶液あるいは凍結溶
液の形で保存しても良いが、通常は凍結乾燥法、低温減
圧蒸留法などにより粉末状態で保存される。分発状態あ
るいは溶液状態のポルフィリン金属複合体には、必要に
応じて医薬的に許容し得る溶解補助剤(たとえば有機溶
媒)、pH調整剤(たとえば酸、塩基、緩衝剤)、安定剤
(たとえばアスコルビン酸)、ふけい剤(たとえばグル
コース)、等張剤(たとえば塩化ナトリウム)などやTc
−99mの原子価状態を調製するための還元剤(たとえば
塩化第一スズ)や酸化剤(たとえば過酸化水素)が配合
されても良い。他方の放射性金属Tc−99mは、通常その
水溶性塩、特に過テクネチウム酸ナトリウムとして使用
され、水または等張なた溶液(たとえば生理食塩液)に
溶解されていても良い。過テクネチウム酸ナトリウムを
含有する水または等張な溶液と上記に示した粉末状態の
ポルフィリン金属複合体、あるいは過テクネチウム酸ナ
トリウムを含有する粉末とポルフィリン金属複合体溶液
を混合することにより、放射性ポルフィリン金属複合体
が容易に短時間で調製される。なお、この時に放射性金
属Tc−99mをその担体であるポルフィリン金属複合体と
の安定な錯体として形成させるには、反応系に還元剤を
存在せしめることが望ましい。還元剤の例としては2価
のスズ塩(たとえばハロゲン化スズ、硫酸スズ、硝酸ス
ズなど)あるいはハイドロジェンサルファイトなどが挙
げられる。上記調製に際して、各試剤の混合順序につい
て格別の制限はないが、通常水性媒体中で最初に第一ス
ズ塩と過テクネチウム酸イオンを混合することは避けた
方が良い。
このように調製されたTc−99m標識放射性ポルフィリ
ン金属複合体が放射性診断剤として有用であるために
は、その医学的目的に充分な放射能量と放射能濃度を有
することが必要である。従って、該Tc−99m標識放射法
ポルフィリン金属複合体の核医学的使用のためには、調
製時にたとえば約1〜20GBqの放射能(溶液量として3
〜9ml)を有することが望ましい。また、該Tc−99m標識
放射性ポルフィリン金属複合体は調製後直ちに投与され
ても良いが、調製後適当時間保存に耐える程度の安定性
を有ることが望ましい。なお、必要に応じてpH調製剤
(たとえば酸、アルカリ、緩衝剤)、安定剤(例えばア
スコビン酸)、等張化剤(例えば塩化ナトリウム)など
が配合されても良い。
Tc−99m標識放射性ポルフィリン金属複合体を核医学
的に使用するときの臨床予定投与量は、マウスおよびラ
ットのLD50値の各々1/300および1/400であり、注射剤と
しての安全性は極めて高い。また、該Tc−99m標識放射
性ポルフィリン金属複合体は、骨集積性が少ないため、
癌イメージングで問題となっている骨描出を防ぐことが
でき、さらに肝臓からの放射能排泄が速いため、腹部腫
瘍の描出も早期に可能となる。従って、該Tc−99m標識
放射性ポルフィリン金属複合体は放射性診断薬として極
めて有用である。
[実施例] 次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
なお、4−[1−[2−[N,N′,N″,N″−テトラキス
(カルボキシメチル)シエチレントリアミノアセチルオ
キシ]エトキシ]エチル]−2−ビニルデューテロポル
フィリンに対するマンガン複合体およびガリウム複合体
を各々ATN−10およびATN−2と以下略す。
実施例1 ATN−10の合成 プロトポルフィリンジメチルエステル4.5gを酢酸45ml
に溶解し、氷冷下30%臭化水素/酢酸5mlを滴下した。
滴下後、徐々に反応温度を室温まで上昇させ一昼夜撹拌
した。ついで、反応溶液を減圧濃縮し、残油状物にエチ
レングリコール27mlを加えて室温下、一昼夜撹拌反応し
た(ポルフィリン誘導体へのエチレングリコール導
入)。水を加えることにより暗紫色沈澱を生成せしめ、
これを濾取した(4.5g)。得られた沈澱物全量をメタノ
ール45mlで溶解し、さらに酢酸マンガン(II)4水和物
9gを含むメタノール溶液(20ml)を加え、3時間還流し
た(エチレングリコール−ポルフィリン誘導体へのマン
ガン導入)。還流終了後、反応液を減圧濃縮し、残油状
物に氷冷下2N水酸化カリウム/メタノール、60mlを滴下
した(ポルフィリン誘導体中のジエステルのケン化)。
滴下後、徐々に反応温度を室温まで上昇させ一昼夜撹拌
し、再び氷冷して1N塩酸で溶液のpHを7に合わせた。中
和後、一昼夜冷蔵庫中で静置することにより暗赤褐色の
沈澱を生成せしめた。沈澱を濾取し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル−メタノール混
液)にて精製して、4−[1−(2−ヒドロキシエトキ
シ)エチル]2−ビニルデューテロポルフィリンのマン
ガン複合体を得た(1.47g)。得られた複合体全量をピ
リジン70mlに溶解し、無水DTPA(1g)を加えて、加熱撹
拌下にて反応した(複合体へのDTPA導入)。反応後、沈
澱物を濾去し、濾液に酢酸エチルを加え目的物の粗結晶
を得た。ついで、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
(溶離液:酢酸エチル−メタノール混液)にて精製を行
い、ATN−10を得た(0.8g、全収率10%) 実施例2 ATN−10の質量分析 ATN−10(式量:1052)を二次イオン質量分析法にて、
本品の質量を測定した。その結果、m/z=1052、1074お
よび1090にピークを認め、各々[M]、[M−H+N
a]および[M−H+K]であり、目的物であるこ
とが確かめられた。
実施例3 ATN−10の元素分析 ATN−10−水和物(C50H59N7O15Mn1・H2O、式量:1071.
01)につきその炭素、水素、窒素原子をCHNコーダに
て、またマンガン原子を誘導結合高周波プラズマ分光分
析器にて元素分析を行った。その結果、下表に示す。
上表より、実測値は論理値とよく一致していた。
実施例4 ポルフィリン化合物によるラット光過敏症 ラットにおける光過敏症を確認するため、以下の飼育
環境を制定した。
自然光に最も近い光を発する蛍光灯(太陽トルライ
ト、商品名)、2本をポリカーボネート製銅育ケージの
長辺側に各々1本づつ密着させ(太陽トルーライトを装
着させた蛍光灯スタンドの傘の底面とポリカーボネート
製飼育ケージの底面と高さを一致させて密着)、側方よ
り光が照射されるように配置した。このとき、ケージ内
の照度はほぼ6000〜12000luxである。温湿度がコントロ
ールされた(温度:23.5±1.5℃、湿度:70±5%)動物
飼育室で、太陽トルーライト装着飼育ケージを、飼育ラ
ック、1段当りに2個づつ合計4個固定した。また、上
段と下段の飼育ケージが互いに光の干渉を受けないよう
にするために白色の段ボールを適宜ラックの周囲に取り
付けた。光照射時間(8:00〜20:00)を制御するため
に、太陽トルーライトの点消灯をタイマーにて行った。
供試した動物はSD系雌性ラット(SPF)とし、6週令
で体重が120〜160gのものを使用した。
被験溶液はATN−2/クエン酸緩衝液およびATN−10/ク
エン酸緩衝液であり、また各溶液の投与量は、約0.5、
約1および約10mg/kg体重であった。
各被験溶液を無麻酔下にラット尾静脈より単回投与し
(一投与群五匹)、つぎに、投与後の観察および検査を
以下と通りに6日間行った。
(1) 体重測定 体重は、観察期間中の一定時刻(8:30〜9:00)に毎日
測定した。
(2) 一般状態 投与直後から10時間までは連続的に、投与翌日からの
光照射期間中は1日数回、一般状態および死亡の有無を
観察した。
(3) 剖検 観察期間中に死亡したラットは、発見後直ちに解剖
し、肉眼的に臓器・組織を観察した。また観察期間終了
時まで生存したラットについては、ラボナール麻酔下、
シリンジを用いて腹大動脈より脱血致死させた後、肉眼
的に臓器、組織を観察した。
(4) 病理学的検査 肉眼的所見による正常あるいは異常に関わらず光過敏
症状が最も顕著に発現される耳殻および剖検にて異常が
認められた臓器、組織について、摘出後直ちに10%中性
ホルマリン溶液で固定した。各検体について、病理標本
作製(HE染色)およびその病理学的検査を行った。
(5) 血清学的検査 (3)にて、シリンジ中に採取した血液のうち約6ml
を採血管に入れ室温にて静置した。各血液について、以
下に示した3項目の血液生化学的検査を実施した。
肝機能検査項目 総蛋白、総ビリルビン、直接ビリルビン、GOT、GPT 腎機能検査項目 尿素窒素、クレアチニン その他 カリウム(急性光過敏症を起こしたラットにおいて上
昇)、過酸化脂質(活性酸素発生の間接的な証明) 投与後観察期間を終了した後、以下の結果が得られ
た。
ATN−2:投与量約1mg/kg体重以上では上記(1)〜
(5)の項目で特記すべき異常を認めなかった。しかし
ながら、約10mg/kg体重では、 (1) 体重推移:投与〜1日目は若干の減少があった
が以後順調に増加した、 (2) 一般状態:全例に投与8時間後より耳殻に紅
斑、腫脹が認められた観察期間中継続した(光過敏症の
病態)、 (3) 剖検:特に異常なし、 (4) 病理学的検査:全例の耳殻に未梢血管の拡張と
皮下織における炎症生細胞湿潤、浮腫を求めた(光過敏
症の病態)、 (5) 血清学的検査:特に異常なし、 などの所見が得られた。
ATN−10:全投与量において上記(1)〜(5)の項目
に特記すべき異常を認めなかった。
異常が認められたATN−2被験溶液の投与群につき、
光の影響によるものかどうかを確認するため光を遮断し
た試験群を別途実施した。その結果、 ATN−2:約10mg/kg体重において上記(1)〜(5)の
項目に特記すべき異常を認めなかった。このことから、
ATN−2:約10mg/kg体重投与の光照射群で認められた異常
所見はATN−2による光過敏症であることが確認され
た。
以上の結果から、ATN−2は投与量約10mg/kgでラット
に対して光過敏症を生じせしめたが、ATN−10では光過
敏症の所見が見当らなかった。
実施例4 ATN−10のマウスおよびラットの静脈内投与における急
性毒性 被験溶液は以下のように調製した。
マウス:ATN−10、0.25gに酢酸緩衝液、10mlを加えて
溶解し、無菌濾過を行って被験液とした。
ラット:ATN−10、2.5gに酢酸緩衝液25mlを加えて溶解
し、無菌濾過を行って被験液とした。
供試した動物種および系統は以下の通り。
マウス(SPF):ICR系(♀)、25週令、体重35〜48g。
ラット(SPF):SD系(♀)、6週令、体重137〜169
g。
被験動物に対する投与量は、マウスでは最高用量を35
0mg/kgとし、以下公比約1.15で減じた4用量群を、また
ラットでは最高用量を700mg/kgとし、以下公比約1.32で
減じた5用量群を設定した。
被験液を用いた投与直前に測定した体重を基準にして
被験動物ごとに投与液量を算出し、尾静脈内より約0.3m
l/minの速度で単回投与した。
その後、マウスおよびラット各群の観察期間中(10日
間)の死亡率から、LD50値およびその95%信頼限界値を
Spearman−Karberの方法により算出した。
その結果を以下に示す。
マウス:死亡例は、投与量が265mg/kg以上の各群にお
いて観察され、何れの場合にも投与直後から2分以内に
発現し、以後観察期間中に死亡例は見られなかった。死
亡数は投与量に依存して増加し、350mg/kg投与量群では
全例が死亡した。また、230mg/kg投与量群では、観察期
間中に死亡例を認めなかった。これらの結果に基づいて
LD50値およびその95%信頼限界値を推定すると299.8(2
77.0〜324.5)mg/kgとなった。
ラット:死亡例は、投与量が304mg/kg以上の各群にお
いて観察された。それらのほとんどは投与直後から7分
以内に発現したが、304mg/kgおよび402mg/kg投与量群で
は投与後2日に、530mg/kg投与量群では投与後1日にそ
れぞれ死亡例が認められ、投与量の増大に従い発現時間
が短縮した。しかし、投与後3日以降では死亡例は見ら
れなかった。死亡数はマウス同様投与量に依存して増加
し、530mg/kg以上の投与量群では全個体の死亡が観察さ
れた。また、231mg/kg投与量群では、観察期間中に死亡
例を認めなかった。以上の結果に基づいてLD50値および
その95%信頼限界値を推定すると363.1(313.8〜420.
0)mg/kgとなった。
実施例5 Tc−99m標識用ATN−10の調製 アスコルビン酸(AA)、35mgを脱酸素水、100mlに溶
解し、AA溶液とした。また、無水塩化第一スズ、190mg
を脱酸素水、100mlに溶解し、スズ溶液とした。氷冷
下、0.2M酢酸緩衝液(pH5.3)に窒素を1時間吹き込む
ことにより脱酸素化した。氷冷、窒素気流下で、この緩
衝液、18mlにAA溶液、1mlさらにスズ溶液、1mlを混合
し、ATN10、33mgを加えて溶解した。ついで、無菌濾過
を行いながら無菌バイアルに0.5mlずつ分注、TC−99m標
識用ATN−10溶液とした。さらに分注後、標識に供する
まで凍結保存した。
実施例6 Tc−99m−ATN−10の調製 Tc−99m標識用ATN−10溶液を解凍後、過テクネチウム
酸ナトリウム[Tc−99m]/生理食塩液、0.3ml(標識時
放射能:322MBq)を加えて、振とう混和しTc−99m−ATN
−10注射液を調製した。
実施例7 Tc−99m−ATN−10注射液の放射化学的純度 実施例6で得られたTc−99m−ATN−10注射液の適量を
シリカゲル薄層板(シリカゲル60W、層厚:0.25mm、メル
ク社)の一端より15mmのところに塗布し、展開溶媒とし
てメタノール−酢酸混液(5:3、容量比)を用いて、塗
布位置より100mm展開した。展開後風乾し、ラジオクロ
マトスキャナで走査した。その結果、放射能ピークをR
f:0.5付近にのみ認めた。一方、過テクネチウム酸ナト
リウム[Tc−99m]溶液につき同様に操作しところ、放
射能ピークを溶媒先端付近に認めた。以上の結果から、
Tc−99m−ATN−10注射液の放射化学純度は100%である
ことが確かめられた。
実施例8 Tc−99m−ATN−10注射液のインビトロでの安定性 Tc−99m−ATN−10注射液の放射化学的純度を経時的に
調べることにより、本剤のインビトロでの安定性を評価
した。実施例6に従って調製されたTc−99m−ATN−10注
射液を室温、遮光下に静置し、本剤調製、0.5、3、
6、12および24時間後に実施例7に準じてTc−99m−ATN
−10注射液の放射化学的純度を測定した。
その結果、各測定点での本剤の放射化学的純度は約10
0%であり、本剤は少なくとも24時間安定であることが
確認された。
実施例9 Tc−99m−ATN−10およびIn−111−ATN−10の担癌動物実
験 Tc−99m−ATN−10あるいはIn−111−ATN−10のルイス
肺癌あるいはコロン26(大腸癌)移植マウスにおける体
内挙動につき検討した。
供試動物は体側部にルイス肺癌を移植したBDF1系雄性
マウス、あるいは体側部にコロン26を移植したCDF1系雌
性マウスであった。Tc−99m−ATN−10あるいはIn−111
−ATN−10(投与量1.03mg/kg)をマウス尾静脈より投与
し、3時間後に撮像した。
添付の第1図および第2図に示すように、Tc−99m−A
TN−10投与によるルイス肺癌(第1図)あるいはコロン
26(第2図)撮像結果から腫瘍描画に成功したことが判
明した。他方、添付の第3図および第4図に示すよう
に、In−111−ATN−10投与によるルイス肺癌(第3図)
およびコロン26(第4図)撮像結果から腫瘍を描画でき
ないことが分かった。
実施例10 Tc−99m−ATN−10およびIn−111−ATN−10の正常動物実
験 Tc−99m−ATN−10あるいはIn−111−ATN−10の正常ラ
ットにおける体内挙動につき検討した。
正常雌性SDラットの尾静脈から、Tc−99m−ATN−10あ
るいはIn−111−ATN−10(投与量1.03mg/kg)を投与
し、投与後代謝ケージ内にて3および24時間飼育した。
その後深麻酔を施行、解剖し、主要臓器を摘出、それら
の湿重量ついで放射能を測定、計数し、体内分布率を算
出した。
体内分布結果を各々表1、2に示す。
投与3時間後において、両錯体間の分布率の相違は腎
臓集積率にのみ認められ、Tc−99m−ATN−10の方がIn−
111−ATN−10よりも約3倍高値を示した。また、投与24
時間後において、分布率の相違は大腸、筋肉、血液、尿
および糞を除いて認められ、相違が認められる臓器の
内、腎臓以外はTc−99m−ATN−10の方が低集積であっ
た。なお、消化関に排泄される放射性化学種が消化管か
ら再吸収されないものとし、各解剖点における肝臓、消
化管および糞への分布率を合計した(肝臓累積集積率、
表3)。表3から、肝臓への総集積率は両錯体間で同等
であることが判明した。両錯体の肝臓への総集積率は変
化しないものの、投与24時間後で肝集積率はTc−99m−A
TN−10の方が低くなった。また、骨への集積はTc−99m
−ATN−10の場合、投与24時間後でIn−111−ATN−10の1
/2以下であった。
これらの数値は次の式より求めた: 肝臓累積集積率(%投与量)= 肝臓(%投与量)+消化管(%投与量)+糞(%投与
量) [発明の効果] 本発明によって提供させるTc−99m標識放射性ポルフ
ィリン金属複合体はインビトロにおいて安定な錯体であ
り、用時にこれを短時間のうちに容易に調製することが
できる。該Tc−99m標識放射性ポルフィリン金属複合体
は、癌親和性を有しながら光毒性を発現しないポルフィ
リン金属複合体と核医学的に理想的な核種であるTc−99
mが配位結合して形成されたものであって、低い被曝線
量により高分解能面像を提供することが可能である。ま
た、癌を病態を投与後僅かな時間で鮮明にかつ迅速に検
査でき、さらに癌診断上問題となっていた骨集積性がほ
とんどない。このような特性に鑑み、該Tc−99m標識放
射性ポルフィリン金属複合体は、放射性医薬品、特に癌
シンチグラフィー用診断剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、Tc−99m−ATN−10投与3時間後のルイス肺癌
移植マウスのシンチグラムの陰画を示す模式図、第2図
は、Tc−99m−ATN−1010投与3時間後のコロン26移植マ
ウスのシンチグラムの陰画を示す模式図、第3図は、In
−111−ATN−10投与3時間後のルイス肺癌移植マウスの
シンチグラムの陰画を示す模式図、および第4図は、In
−111−ATN−10投与3時間後のコロン26移植マウスのシ
ンチグラムの陰画を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪田 功 岡山県笠岡市小平井1766番地の4 (72)発明者 中島 進 北海道旭川市緑が丘五条4丁目4番地の 34 (72)発明者 小清水 弘一 奈良県奈良市法蓮山添西町856番地の10 (72)発明者 鮫島 夏樹 北海道旭川市緑が丘二条3丁目3番地 医大宿舎A―42 (72)発明者 猪原 和海 広島県福山市御門町3丁目9番地の7 (72)発明者 高田 弘之 岡山県浅口郡里庄町里見2098番地 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 487/22 A61K 49/02 CA(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式: で示されるポルフィリン化合物またはその塩とそのポル
    フィリン骨格内にキレート結合している非放射性金属マ
    ンガンからなるポルフィリン金属複合体。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポルフィリン金属複合体か
    らなる放射性診断剤用担体。
  3. 【請求項3】請求項2記載の放射性診断剤用担体と放射
    性Tc−99mとの組み合わせからなる放射性診断剤。
  4. 【請求項4】癌のイメージングに使用される請求項3記
    載の放射性診断剤。
  5. 【請求項5】式: で示されるポルフィリン化合物またはその塩とそのポル
    フィリン骨格内にキレート結合している非放射性金属マ
    ンガンとそのキレート形成能を有する側鎖に配位結合し
    ている放射性Tc−99mからなる放射性ポルフィリン金属
    複合体。
  6. 【請求項6】請求項5記載の放射性ポルフィリン金属複
    合体からなる放射性診断剤。
  7. 【請求項7】癌のイメージングに使用される請求項6記
    載の放射性診断剤。
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