JP2850069B2 - 超小型衛星の打ち上げ方式 - Google Patents

超小型衛星の打ち上げ方式

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JP2850069B2 JP3350449A JP35044991A JP2850069B2 JP 2850069 B2 JP2850069 B2 JP 2850069B2 JP 3350449 A JP3350449 A JP 3350449A JP 35044991 A JP35044991 A JP 35044991A JP 2850069 B2 JP2850069 B2 JP 2850069B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、数十〜200 kg程度の
超小型衛星を低軌道へ投入する超小型衛星の打ち上げ方
式に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、種々のタイプの人工衛星が打ち上
げられ実用に供せられているが、世界の衛星需要をみる
と、大型衛星と共に小型衛星の需要も増大傾向にあり、
このような状況に対応して、我が国においても、低軌道
に約1ton の衛星の打ち上げ能力をもつJ−1型ロケッ
トの開発が進められようとしている。
【0003】しかしながら、更に小型の例えば数十〜20
0 kg程度の超小型衛星の低軌道への打ち上げに対して
は、現在我が国においては準備がなされていない。この
ような超小型衛星の打ち上げに対しては、現在次の2種
類の方式が用いられている。 自力型 米国で開発されたスカウト(Scout )と称される小型の
ロケットによる打ち上げ方式、あるいはペガサス(Pega
sus )と称される衛星を搭載した小型ロケットを航空機
に装着し、該航空機より空中発射方式で打ち上げる方
式。 他力型 大型ロケットのフェアリングの中に、本来の大型衛星の
他に余剰ペイロードとして小型衛星を搭載する、いわゆ
るPiggy-back方式で搭載して打ち上げる方式。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、現在利用さ
れている上記超小型衛星の打ち上げ方式には、次のよう
な問題点がある。すなわち自力型の打ち上げ方式におい
ては、スカウトのようなロケットを打ち上げるために射
場が必要であり、打ち上げ機数が少ない場合、射場維持
費の負担が多大になるという問題点がある。またペガサ
スと称されるロケットを航空機から発射する空中発射方
式は、航空機が必要であり、これまた打ち上げ機数が少
ない場合は、航空機の運用費が大きな負担となる。
【0005】一方、他力型の打ち上げ方式は、余剰ペイ
ロードがあることが大前提であるが低コストではある。
しかし大型衛星との分離機構などを含むインタフェース
が複雑で、容量的にも制限があり、調整に多大な時間を
必要とするという問題点がある。
【0006】本発明は、従来の超小型衛星の打ち上げ方
式における上記問題点を解消するためになされたもの
で、インタフェースも簡単で低コストの超小型衛星の打
ち上げ方式を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】上記問題点を解
決するため、本発明に係る超小型衛星の打ち上げ方式
は、大型衛星を搭載したメインロケットの第1段ブース
タの外側面下部に、超小型衛星を搭載した小型ロケット
を装着し、メインロケットをリフト・オフしたのちメイ
ンロケットの第1段ブースタの燃焼終了の直前又は直後
に前記小型ロケットをメインロケットから切り離し、該
小型ロケットから超小型衛星を所定軌道へ投入すること
を特徴とするものである。
【0008】このような打ち上げ方式においては、超小
型衛星を搭載した小型ロケットは、第1段ブースタの燃
焼終了までメインロケットにぶらさげられ、いわば只乗
りするヒッチ・ハイク方式であり、燃焼終了後は小型ロ
ケットがメインロケットより切り離され、自らの動作で
超小型衛星を低軌道へ投入する。すなわち、推進薬を最
も多く消費するロケットの第1段目を、大型衛星を搭載
したメインロケットの第1段ブースタに寄生装着して省
いた、推進薬消費の少ない2/3段目に相当する小型ロ
ケットにより、該小型ロケットに搭載した超小型衛星を
メインロケットに搭載した大型衛星とは異なる軌道に効
率よく到達させることができる。つまり、小型ロケット
に負担をかけずに簡易に超小型衛星を軌道傾斜角や高度
が大型衛星とは大幅に異なる所定軌道に投入することが
可能となる。したがって、小型ロケットはハイカーと称
することができ、そしてメインロケットの第1段ブース
タの外側面に単に装着されるだけなので、メインロケッ
トのインタフェースが容易であり、低コストで超小型衛
星の打ち上げが可能となる。
【0009】
【実施例】次に実施例について説明する。図1は、本発
明に係る超小型衛星の打ち上げ方式の一実施例を説明す
るためのメインロケットに小型ロケットを装着した態様
を示す概略図である。図1において、1はJ−1型等の
メインロケットで、2は第1段ブースタ、3は第2段ブ
ースタ、4はメインロケットの大型衛星等のペイロード
を搭載したフェアリング部であり、5は超小型衛星を搭
載した小型ロケットで、メインロケット1の第1段ブー
スタ2の外側面下部に装着されており、この実施例では
小型ロケット5を2機装着したものを示している。な
お、この小型ロケットの装着部分は通常補助ブースタの
装着部分である。
【0010】図2は、小型ロケット5の構成を示す概略
図で、5-1は第1段ロケット、5-2は第2段ロケットで
あり、運用の容易さを考慮して固体推進系を用いてい
る。5-3は超小型衛星を搭載するペイロード部であり、
全備重量を約4ton とした場合、直径が約1mで全長が
約7mとなる。
【0011】次に、このように構成された小型ロケット
5を装着したメインロケット1により超小型衛星を打ち
上げる動作を説明する。まずメインロケット1の第1段
ブースタ2の燃焼開始により、メインロケット1を小型
ロケット5と共にリフト・オフする。第1段ブースタ2
の燃焼終了直前あるいは直後に小型ロケット5を切り離
す。なお小型ロケット5の切り離しを、第1段ブースタ
2の燃焼終了直前か直後にするかは、ロケットの制御方
式に応じて設定される。
【0012】その後、メインロケット1は通常通り、第
1段と第2段の分離を行ったのち、第2段ブースタ3の
燃焼を開始し、その燃焼終了後フェアリング部4より衛
星を軌道に投入する。一方、切り離された小型ロケット
5は、第1段ロケット5-1及び第2段ロケット5-2を順
次点火燃焼させたのち、搭載していた超小型衛星を所定
の低軌道へ投入する。
【0013】上記実施例では、メインロケット1に小型
ロケット5を2機装着したものを示したが、装着の本数
は自由であり、図3に示すように、小型ロケット5を1
機のみ装着することもできる。なおこのように小型ロケ
ット5を1機のみメインロケット1に装着した場合は、
非対称な構成になり、メインロケット1の重心が若干セ
ット・オフする。このため迎角による空力荷重の増大に
基づく構造強度上、あるいは制御上の考慮を払う必要が
ある。
【0014】次にJ−1型ロケットをメインロケットと
し、小型ロケットを2機装着した場合の性能、及び1機
装着した場合の性能を、小型ロケットの全備重量に対す
るペイロード重量の関係を示す図4及び図5の特性図に
基づいて説明する。図4において、曲線aは装着小型ロ
ケット(1機分)のペイロード、曲線bはメインロケッ
トのペイロード、曲線cはメインロケットペイロードと
小型ロケットペイロード(2機分)とを加えた特性を示
しており、図5において、曲線aは装着小型ロケットの
ペイロード、曲線bはメインロケットのペイロード、曲
線cはメインロケットペイロードと小型ロケットペイロ
ードとを加えた特性を示している。なお小型ロケットの
性能は、第1段ロケットの真空比推力を280 秒、構造効
率を0.80とし、第2段ロケットの真空比推力を285 秒、
構造効率を0.88と仮定し、最適な速度配分により算出し
た。
【0015】図4からわかるように、例えば全備重量40
00kgの小型ロケット2機装着の場合、メインロケットの
ペイロードは1000kgから740 kgへと約260 kg能力が減少
するが、1機当たりの小型ロケットのペイロードは約18
0 kgとなり、超小型衛星重量として十分な値となる。
【0016】一方、全備重量8000kgの小型ロケット1機
装着の場合、図5に示すように、メインロケットのペイ
ロード能力は同様に260 kg減少するが、小型ロケットの
ペイロードは約360 kgと上記2機装着の場合の約2倍と
なり、超小型衛星重量としては十二分なものとなる。
【0017】またメインロケットペイロードと小型ロケ
ットペイロードを合計した値は、全小型ロケット全備重
量が4000kgを越えると、1000kg(メインロケットのみの
ペイロード重量に対応)以上になり、トータル的に全ペ
イロードを増加させることが可能となる。
【0018】本発明においては、小型ロケットはメイン
ロケットの第1段ブースタの燃焼終了直前あるいは直後
に切り離すようにしているので、万一何らかの不都合に
より分離ができなかった場合でも、メインロケットに影
響を与える可能性は少ない。
【0019】またメインロケットの種類により第1段ブ
ースタ燃焼終了時の増速分は大きく異なる。例えば、J
−1型ロケットでは約2km/s、H−II型ロケットでは
約5km/sであるので、装着小型ロケットの大きさ/ペ
イロードの値、またメインロケットのペイロードの減少
の度合いも、ロケットの種類に大きく依存する。このた
め全てのメインロケットに共通的な装着小型ロケットと
することは困難であるが、何種類かの大きさの小型ロケ
ットを用意することによって、種々のメインロケットに
対応できるようにすることが可能である。
【0020】またメインロケットから装着小型ロケット
が切り離された後、同時に2機以上のロケットを追跡管
制する必要が生じるが、この解決策としては、2個所の
管制(例えば種子島の管制及び宇宙研究所の管制)を使
えばよく、あるいはまたペガサスの場合のように、小型
ロケットに対しては簡易追跡装置を設け追跡するように
してもよい。
【0021】次に本発明による超小型衛星の打ち上げ方
式のコストについて説明する。メインロケットのペイロ
ードは、ミッションにより異なるが、常に限度いっぱい
というわけではないので、余剰があるときは、殆ど無料
に近い形で小型ロケットを装着することが可能である。
また従来の他力本願型のように、能力的にもインタフェ
ース的にも100 %メインロケットに負担をかけるわけで
はないので、装着するメインロケットを選定し易くな
る。
【0022】装着する小型ロケットの構成は簡単であ
り、超小型衛星の打ち上げの際、この小型ロケットを射
場に持ち込むだけと考えれば、射場費は基本的にメイン
ロケット側が負担することになり、極めて低コストで打
ち上げることができる。
【0023】また小型ロケットのアビオニクス(Avioni
cs)をペイロードである衛星のものと極力共通化を図
り、衛星側に搭載することで、小型ロケットのペイロー
ド重量の増加及びコスト低減を図ることができる。
【0024】
【発明の効果】以上実施例に基づいて説明したように、
本発明によれば、ヒッチ・ハイク方式で超小型衛星を打
ち上げるようにしているため、従来のスカウトあるいは
ペガサスによる場合より低コストで打ち上げ可能であ
り、またPiggy−back方式に比べ余剰ペイロー
ドを見つけ易く、インタフェースも簡単化することがで
きる。また、大型衛星を搭載したメインロケットに寄生
させて装着することにより、推進薬を最も多く消費する
ロケットの1段目を省いた、推進薬の消費の少ない2/
3段目に相当する小型ロケットにより、該小型ロケット
に搭載した超小型衛星をメインロケットに搭載した大型
衛星とは異なる軌道に簡易に投入することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超小型衛星の打ち上げ方式の一実
施例を説明するための小型ロケットを装着したメインロ
ケットの構成を示す概略図である。
【図2】装着小型ロケットの構成例を示す概略図であ
る。
【図3】小型ロケットを1機装着したメインロケットの
構成を示す概略図である。
【図4】メインロケットへ小型ロケットを2機装着した
場合の性能を示す特性図である。
【図5】メインロケットへ小型ロケットを1機装着した
場合の性能を示す特性図である。
【符号の説明】
1 メインロケット 2 第1段ブースタ 3 第2段ブースタ 4 フェアリング部 5 装着小型ロケット 5-1 第1段ロケット 5-2 第2段ロケット 5-3 ペイロード部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大型衛星を搭載したメインロケットの第
    1段ブースタの外側面下部に、超小型衛星を搭載した小
    型ロケットを装着し、メインロケットをリフト・オフし
    たのちメインロケットの第1段ブースタの燃焼終了の直
    前又は直後に前記小型ロケットをメインロケットから切
    り離し、該切り離した小型ロケットを点火燃焼させたの
    ち搭載した超小型衛星を所定軌道へ投入することを特徴
    とする超小型衛星の打ち上げ方式。
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