JP2846297B2 - レーザ切断方法 - Google Patents

レーザ切断方法

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JP2846297B2
JP2846297B2 JP9025154A JP2515497A JP2846297B2 JP 2846297 B2 JP2846297 B2 JP 2846297B2 JP 9025154 A JP9025154 A JP 9025154A JP 2515497 A JP2515497 A JP 2515497A JP 2846297 B2 JP2846297 B2 JP 2846297B2
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長 松本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザビームの照
射によって金属厚板などの被加工物を切断するレーザ切
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば廃炉解体などに際して、炉
内構造物の金属厚板をレーザビームによって切断する場
合、図4に示すような方法がとられている。すなわち、
レーザ切断ヘッド1において図示しないレーザ光源から
レーザビーム2を出射し、レーザ切断ヘッド1にレンズ
ホルダ3を介して取付けられた集光レンズ4により主ノ
ズル5の先端で集光して、被加工物6に照射することに
より、被加工物6の切断すべき箇所を加熱溶融する。
【0003】また、このレーザビーム2の照射と同時
に、被加工物6の切断すべき箇所に主ノズル5からアシ
ストガス7(通常、O2 を用いる)を供給してガウジン
グすると共に、主ノズル5とは別個の補助ノズル(タン
デムノズル)8によって、高圧ガス(通常、O2 を用い
る)を供給することにより、溶融部分を吹飛ばしたり、
あるいは残存板厚を溶融して切断を行う。ここで、従来
のレーザ切断方法では補助ノズル8は主ノズル5に対し
て切断方向後方に取り付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のレーザ
切断方法では、図4に示すように切断方向(レーザビー
ム2の進行方向)に対して角度α傾いたドラグライン9
が生じる。このため、レーザビーム2は被加工物6上の
レーザ照射部から発生する金属蒸気等のプルームにより
吸収されて減衰し、切断効果が低下してしまう。
【0005】図5は切断速度とドラグライン9の角度α
の関係を示している。同図に示すように、切断速度を上
げるに従いドラグライン9の角度αは増大する。また、
この種のレーザ切断方法においては、アシストガス7の
圧力を十分高めることが要求されるが、集光レンズ4の
耐圧力が小さいため、アシストガス7は一般的に約3k
gf/cm2 以下でしか使用できない。そこで、アシス
トガス7とは別に、レーザビーム2とは同軸でない補助
ノズル8により高圧ガスを供給することで、厚板の切断
を行っている。
【0006】しかしながら、補助ノズル8により供給さ
れる高圧ガスは、レーザビーム2と同軸でないため、補
助ノズル8を小型化(小径化)したとしても、被加工物
6の板厚方向とは、ある程度の角度が付いてしまうこと
になる。このため、補助ノズル8から供給される高圧ガ
スによる溶融金属吹飛ばし効果を最大限に発揮すること
ができない。
【0007】さらに、従来のレーザ切断方法では補助ノ
ズル8が主ノズル5に対して切断方向後方に取り付けら
れているため、補助ノズル8による切断は二方向のみし
かできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点を解決するためになされたもので、その目
的とするところは被加工物のレーザ照射部から発生する
金属蒸気等のブルームによる減衰を防ぐと共に、補助ノ
ズルにより被加工物にほぼ垂直に高圧ガスを噴射するこ
とにより、切断効率をあげ、かつ、二方向以上の方向に
おいて切断を行うことができるレーザ切断方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係るレーザ切断方法は、レーザビームと同
軸的に配置され、レーザビームの照射と同時にアシスト
ガスの噴射を行う主ノズルと、この主ノズルの周囲に該
主ノズルに対して傾けて配置された高圧ガスの噴射を行
う複数個の補助ノズルを用い、主ノズルからのレーザビ
ームを被加工物に対し前進角をつけて入射させると同時
に、補助ノズルから噴射される高圧ガスを被加工物にほ
ぼ垂直に噴射することを特徴とする。
【0010】このようにレーザビームの照射と同時にア
シストガスの噴射を行う主ノズルの周囲に、高圧ガスの
噴射を行う複数個の補助ノズルを主ノズルに対して傾け
て配置し、主ノズルからのレーザビームを被加工物に対
し前進角をつけて入射させることにより、被加工物のレ
ーザ照射部から発生する金属蒸気等のブルームによる減
衰を防ぐと共に、補助ノズルから噴射される高圧ガスを
被加工物にほぼ垂直に噴射することにより切断効率をあ
げ、かつ、主ノズルの切断方向後方またはその近傍のみ
の補助ノズルから高圧ガスを噴射することで、レーザ切
断装置に対する被加工物の相対移動方向によらず、高圧
ガスを被加工物の切断溝内に照射して、二方向以上の切
断を可能とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態を説明す
るための図であり、レーザ切断装置の要部と被加工物の
断面図を示している。同図に示すように、レーザ切断ヘ
ッド11において図示しないレーザ光源からレーザビー
ム12を出射させ、レーザ切断ヘッド11にレンズホル
ダ13を介して取付けられた集光レンズ14により主ノ
ズル15の先端で集光し、被加工物16にある前進角θ
をもって入射させる。この前進角(入射角)θは、被加
工物16の板厚および切断速度によって決まるドラグラ
インの角度α以内に選定される。こうして被加工物16
に照射されたレーザビーム12は、被加工物16の切断
すべき箇所を加熱溶融する。
【0012】ここで、レーザビーム12の入射方向は、
被加工物16に対して垂直面からθなる角度だけ傾くこ
とになるため、レーザビーム12は被加工物16のレー
ザ照射部から発生する金属蒸気等のプルームにより妨げ
られて減衰することがなく、またレーザビーム12の切
断時の溶融境界面での吸収が促進される。従って、レー
ザビーム12が被加工物16に効率よく照射され、かつ
効率よく吸収されることにより、被加工物16が金属厚
板の場合でも、容易に切断ができる。
【0013】一方、このレーザビーム12の照射と同時
に、切断すべき箇所にレーザビーム12と同軸に主ノズ
ル15からアシストガス17(例えばO2 ガス)を供給
すると共に、主ノズル15とは別個にレーザ切断ヘッド
11と機械的に一体に設けられた補助ノズル18から、
被加工物16に対してほぼ垂直に高圧ガス(例えばO2
ガス)を供給する。ここで、アシストガス17はノズル
15を被加工物16から跳ね返るスパッタ粒子等から防
護する。
【0014】補助ノズル18からの高圧ガスは、被加工
物16の溶融部分を吹飛ばす作用をなすが、被加工物1
6に対してほぼ垂直方向に最短距離で射されるため
に、その吹飛ばし効果は従来技術に比較して格段に大き
い。これにより切断限界速度の向上、切断板厚の増大お
よび切断面品質の向上を図ることができる。
【0015】図2は、本発明の他の実施形態におけるレ
ーザ切断装置の断面図である。このレーザ切断装置は、
主ノズル15の周囲の円周上に複数個この例では8
個)の補助ノズル18を配置し、これらの補助ノズル1
8からそれぞれ選択的に高圧ガスを噴出させ、図示しな
い被加工物に射するように構成されている。
【0016】この実施形態においても、先の実施形態と
同様にレーザビーム12を集光レンズ14により主ノズ
ル15の先端で集光し、被加工物16にある前進角をも
って入射させることによって、被加工物16のレーザ照
射部から発生する金属蒸気等のプルームによる減衰を防
ぐと共に、レーザビーム12の切断時の溶融境界面での
吸収を促進させることで、切断効率を上げると同時に、
補助ノズル18により、被加工物16にほぼ垂直に高圧
ガスを射することにより、溶融金属を効果的に吹飛ば
すことができる。
【0017】そして、この実施形態では更に複数の補助
ノズル18を主ノズル15の周囲に傾けて配置し、主ノ
ズル1の切断方向後方またはその近傍のみの補助ノズ
18から高圧ガスを噴出させることで、レーザ切断装
置に対する被加工物16の相対移動方向によらず、高圧
スを被加工物16の切断溝内に射することができ
る。
【0018】例えば、この相対移動方向が図3(a)に
示す方向の場合は、補助ノズル18のうちの「イ」か
ら、また同図(b)に示す方向の場合は「ハ」から、さ
らに同図(c)に示す方向の場合は「ロ」または「ハ」
からという様に、レーザ切断ヘッド11の進行方向(切
断方向)に対して後方、または後方近くの補助ノズル1
8から高圧ガスを被加工物16の切断溝内に噴射するこ
とにより、いずれの進行方向の場合も切断が可能とな
る。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、レーザビームの照射と
同時にアシストガスの噴射を行う主ノズルの周囲に、高
圧ガスの噴射を行う複数個の補助ノズルを主ノズルに対
して傾けて配置し、主ノズルからのレーザビームを被加
工物に対し前進角をつけて入射させることにより、被加
工物のレーザ照射部から発生する金属蒸気等のブルーム
による減衰を防ぐと共に、補助ノズルから噴射される高
圧ガスを被加工物にほぼ垂直に噴射することにより切断
効率をあげ、かつ、レーザ切断装置に対する被加工物の
相対移動方向によらず、高圧ガスを被加工物の切断溝内
に照射して、二方向以上の切断を可能とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための断面図
【図2】本発明の他の実施形態を説明するための断面図
および平面図
【図3】図3は図2の実施形態の作用を説明するための
【図4】従来のレーザ切断方法を説明するための断面図
【図5】図4に示した方法における切断速度とドラグラ
イン角度の関係を示す図
【符号の説明】
11…レーザ切断ヘッド 12…レーザビーム 13…レンズホルダ 14…集光レンズ 15…主ノズル 16…被加工物 17…アシストガス 18…補助ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 26/00 - 26/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザビームを照射して被加工物を切断す
    るレーザ切断方法において、 レーザビームと同軸的に配置され、レーザビームの照射
    と同時にアシストガスの噴射を行う主ノズルと、この主
    ノズルの周囲に該主ノズルに対して傾けて配置された高
    圧ガスの噴射を行う複数個の補助ノズルを用い、 前記主ノズルからのレーザビームを被加工物に対し前進
    角をつけて入射させると同時に、 前記補助ノズルから噴射される高圧ガスを被加工物にほ
    ぼ垂直に噴射することを特徴とするレーザ切断方法
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