JP2841651B2 - ガス感応素子 - Google Patents

ガス感応素子

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、各種のガスを識別するためのガス感応素子
に関するものであり、特に有機超薄膜を感応膜とするガ
ス感応素子に関するものである。
〔発明の概要〕
本発明は、有機超薄膜へのガスの吸着においてもハン
シュ(Hansh)−藤田の式が成立するとの仮定に基づい
て、有機超薄膜群の疎水性パラメータ,電子的パラメー
タ,立体効果のパラメータを変えることで活性(ここで
は吸着量)を変化させ、各種のガスを高感度で識別する
ガス感応素子を提供しようとするものである。
〔従来の技術〕
近年、ガスセンサに関する研究が各方面で進められて
おり、例えば表面弾性波素子上あるいは水晶振動子上に
成膜された有機薄膜への化学物質の吸着量を測定する技
術が報告されている。
具体的には、ある種のにおい物質を吸着する高分子膜
をコーティングにより水晶振動子の表面に形成したもの
〔電子情報通信学会技術研究報告OME−87−56,1988
年〕、スルホン酸ポリマーと4級アミンの複合体からな
るポリイオンコンプレックス型脂質の2分子膜をキャス
ト法により形成したもの〔ラングミュア(Langmuir),1
987年,3,第1171頁〜第1172頁〕等である。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、これまでの技術は、特定の有機薄膜に特定
のガスが選択的に吸着することを利用したものが大部分
で、識別可能なガスの種類は前記高分子膜,脂質膜の種
類によって制約されている。したがって、におい物質等
のように多岐にわたるガスを系統的に識別することはほ
とんど不可能に近かった。
本発明は、かかる従来の実情に鑑みて提案されたもの
であって、多種のガスを系統的に識別することができ、
しかも高感度を有するガス感応素子を提供することを目
的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、前記目的を達成せんものと、あらゆる
角度から実験を重ねた結果、有機薄膜におけるガス吸着
性においてもハンシュ−藤田の式が当てはまるとの結論
を得、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明のガス感応素子は、疎水性パラメー
タ,電子的パラメータあるいは立体効果のパラメータが
異なる有機超薄膜群からなることを特徴とするものであ
る。
薬物の分野においては、薬物の構造と活性の関係は次
のハンシュ(Hansh)−藤田の式(I)で表されること
が知られている。
P=aπ+ρσ+δEs+C ・・・(I) P:活性 π:疎水性パラメータ σ:電子的パラメータ Es:形状(立体効果)のパラメータ C:定数 a,ρ,δ:係数 この式がガスの感応膜への吸着においても成立すると
考えると、感応膜の疎水性パラメータ,電子的パラメー
タ,立体効果のパラメータを変化させれば活性(すなわ
ち吸着量)が変化するものと考えられる。
そこで本発明では、これら疎水性パラメータ,電子的
パラメータ,立体効果のパラメータのうちの少なくとも
1種が異なる有機超薄膜群によりガス感応素子を構成す
ることとする。
本発明において、ガス感応膜として用いられる有機超
薄膜としては、μm以下のオーダーの膜厚を有するもの
が好適で、例えばラングミュア・ブロジェット膜(以
下、LB膜と称する。)やプラズマ重合膜、分子エピタキ
シー膜等が挙げられる。
これら有機超薄膜の疎水性パラメータは、例えば膜を
構成する材料の疎水基(アルキル基等)の長さや不飽和
結合の数等を変えることでコントロールされる。あるい
はエステル化によって親水基の親水性を減少させたり、
複数の膜形成分子を組み合わせることにより、膜全体と
しての親水性あるいは疎水性を制御してもよい。
電子的パラメータとしては、電気陰性度や分極率,ハ
メットのσ値,タフトのσ値等があるが、これら電子
パラメータは、例えばカルボキシル基の水素に変えて種
々のイオンを導入し、その電気陰性度の違い等によって
コントロールすることができる。あるいは、イオン性を
有する分子の膜全体に占める割合を変化させ、膜全体の
イオン性をコントロールしてもよい。
立体効果のパラメータは、膜厚や特にLB膜における累
積単分子膜の層数,積層の型等によってコントロールさ
れる。例えば、LB膜は、気水界面に展開した単分子膜に
バリアによって一定の表面圧を加え、次に該気水界面を
垂直に横切るように適当な基板を上下させて上記単分子
膜を基板表面に移し取ることによって形成され、最も安
定なLB膜は2分子層をひとつの単位とするいわゆるY型
と呼ばれるものであるが、基板の浸漬時にのみ単分子膜
が移行するX型、あるいは基板の引き上げ時にのみ単分
子膜が移行するZ型と呼ばれるものもあり、これらの型
の違いによっても立体効果が異なる。
あるいは、例えばLB膜を単分子膜掃引法で作成する際
に、単分子膜にタンパク質を吸着させ、これを基板上に
累積することでタンパク質を含有したLB膜を得ることが
できるが、このとき単分子膜材料とタンパク質を選ぶこ
とでLB膜の疎水性や電子的性質を自由にコントロールす
ることができる。また、タンパク質の吸着によって生ず
る構造変化は立体的性質にも影響を及ぼし、立体効果の
パラメータもコントロールすることができる。
上述の手法により疎水性パラメータ,電子的パラメー
タ,立体効果のパラメータをコントロールした有機超薄
膜のガスに対する吸着性は、有機超薄膜の各パラメータ
とガス分子の性質によって左右されるため、これらパラ
メータの異なる一連の有機超薄膜群を用意すれば多種の
ガスを識別できることとなる。例えば、疎水性パラメー
タ,電子的パラメータ,立体効果のパラメータのいずれ
かを段階的に変化させた有機超薄膜群を用い、ガスの吸
着性をガスの種類毎にパターン化しておけば、そのパタ
ーンによってガスが識別される。
これら有機超薄膜をガス感応膜とする場合、表面弾性
波素子や水晶振動等の周波数変換素子を使用して重量変
化を測定してもよいし、他の任意の手段によって検出す
るようにしてもよい。例えば、有機超薄膜が形成された
周波数発振素子を適当な発振回路に組み込み、必要に応
じて増幅器等を介してユニバーサル・カウンタ等の周波
数カウンタに接続すれば、有機超薄膜に対するガス分子
の吸着量に応じて発振周波数の変化を検出することがで
きる。
〔作用〕
有機超薄膜の疎水性パラメータ,電子的パラメータ,
立体効果のパラメータを変化させると、当該有機超薄膜
においてもハンシュ−藤田の式が成立し、ガス分子に対
する活性,すなわち吸着性が変化する。
ここで生物の嗅覚を考えてみると、生体膜がガス感応
膜として働いているが、この生体膜におけるガス吸着は
特異的なレセプターによって発現するものではなく、や
はり生体膜の疎水性や電子的性質,立体構造等によって
決まっていると考えられる。
したがって、前述の疎水性パラメータ,電子的パラメ
ータ,立体効果のパラメータの異なる有機超薄膜群から
構成されるガス感応素子は、前記生体膜を模倣したもの
と言え、多種にわたるガスが識別される。
また、有機超薄膜は、膜厚が非常に薄いのでガスの吸
着,脱着に鋭敏であり、感度も高い。
〔実施例〕
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
実施例1 本実施例は、有機超薄膜(ここではLB膜)の疎水性を
変えることでガスの吸着性を制御した例である。ガスの
吸収量の定量には、表面弾性波素子を用いた。
第1図にガスの吸着量を表面弾性波素子の発振周波数
変化で定量するためのセンサの構成を示す。
このセンサは、表面弾性波を遅延線として利用する表
面弾性波素子(1)と、高周波増幅器(2)及び周波数
カウンタ(3)を主な構成要素とする。ここで、表面弾
性波素子(1)は、水晶基板(4)上に蒸着及びエッチ
ングにより一対のトランスデューサー,すなわち入力変
換器(5)と出力変換器(6)が所定の間隔をもって形
成されたものである。また、これらの入力変換器(5)
及び出力変換器(6)は、具体的には蒸着とエッチング
により形成されたアルミニウム電極(7)であり、その
形式は高周波帯において電気音響効率に優れた交差指状
電極(すだれ状電極)である。上記アルミニウム電極
(7)の幅及び弾性波の伝播方向(図中矢印Xで表
す。)に沿って見た電極間のスペースは共に10μmであ
り、したがってこの交差指状電極の周期は40μmであ
る。
また、上記入力変換器(5)と出力変換器(6)間の
距離は12mmであり、これらの間にLB膜(8)が形成され
ている。
上記入力変換器(5)と出力変換器(6)には各々2
個ずつの端子が設けられており、入力変換器(5)の一
方の端子と出力変換器(6)の一方の端子は増幅率40dB
の高周波増幅器(2)を介して結線されて発振周波数7
8.9MHzのループを形成し、さらに周波数カウンタ(3)
に接続されている。上記ループの形成に使用されなかっ
た他方の各端子は接地用である。
このような構成のセンサにおいては、入力信号は入力
変換器(5)により表面弾性波に変換され、これが水晶
基板(4)の表面を伝播し、所望の遅延時の距離だけ離
れた出力変換器(6)によって電気信号に戻される。い
ま、LB膜(8)に異種の化学物質(ガス分子)が取り込
まれると、膜全体の重量が増加するために表面弾性波の
位相速度が遅くなり、吸着量に比例してループの発振周
波数が低下する。ガス分子が脱着すれば、発振周波数は
元に戻る。したがって、前記発振周波数の変化を周波数
カウンタ(3)で測定すれば、LB膜(8)に対するガス
分子の吸着量をモニタすることができる。
上記構成のセンサを基本単位とし、表面を疎水化処理
した表面弾性波素子(1)上に疎水性の異なる単分子膜
よりなるLB膜をそれぞれ累積して複数のセンサ群を用意
した。各センサにおいてLB膜はいずれも2層Y型に累積
したが、単分子膜の材料は下記の通りである。
アラキン酸:CH3(CH218COOH トリコサン酸:CH3(CH221COOH 22−トリコセン酸:CH2=CH(CH220COOH 22−トリコシン酸:CH2≡CH(CH220COOH アラキン酸メチル:CH3(CH218COOCH3 これらセンサをガス雰囲気中に100秒間曝し、空気で
パージした後、ガスの吸着を測定した。測定したガス
は、ヘキサン,ブタノール,プロピオン酸である。これ
らのガスは、相当する有機溶媒を200CCMの空気でバブリ
ングして得た。
各LB膜への吸着量を第2図〜第4図に周波数変化で示
す。すなわち、第2図はヘキサンの吸着量を、第3図は
ブタノールの吸着量を、第4図はプロピオン酸の吸着量
をそれぞれ示すものである。各図面において、横軸には
LB膜を構成する単分子膜の疎水性をとった。疎水性は、
レオ(Leo)等の方法(Journal of Medicinal Chemistr
y,18,865−868,1987)により、1−オクタノール・水系
の分配係数(logP)として求めた。前記分配係数(log
P)は、アラキン酸で9.64、トリコサン酸で11.26、22−
トリコセン酸で10.92、22−トリコシン酸で10.46であ
る。
前記単分子膜のうち、アラキン酸,トリコサン酸,22
−トリコセン酸,22−トリコシン酸はいずれもカルボン
酸であり、しかもアルキル基部は直鎖である。したがっ
て、ハンシュ−藤田の式におけるσ(電子的パラメー
タ)やEs(立体効果のパラメータ)の変化はこれら4種
の間では小さく、π(疎水性パラメータ)のみが違うも
のと考えられる。
ここで、疎水性パラメータの1種である分配係数(lo
gP)と吸着量は比例するものと予想されるが、前記第2
図〜第4図を見ると、予想に違わず分配係数(logP)と
吸着量は比例関係にあることがわかる。このことは、疎
水性パラメータをコントロールしたLB膜群で疎水性の異
なる各種のガスを識別できることを意味する。
アラキン酸メチルは、前記アラキン酸のメチルエステ
ルでありσ(電子的パラメータ)やEs(立体効果のパラ
メータ)はアラキン酸に類似しているものと推定され
る。そこでアラキン酸メチルの分配係数(logP=10.1
3)と吸着量を第2図〜第4図にプロットすると、図中
□印で示すように、カルボン酸群の回帰直線に近似し
た。これにより、有機超薄膜を構成する材料を化学的に
修飾することによっても多種の感応膜を得ることができ
ることがわかった。
次に、疎水化処理していない表面弾性波素子(1)上
にアラキン酸,トリコサン酸,22−トリコセン酸,22−ト
リコシン酸,アラキン酸メチルからなる単分子膜を1層
累積し、これらセンサ群についても同様の手法によりガ
ス吸着量を周波数変化として測定した。結果を第5図に
示す。
この場合には、吸着量(周波数変化)は直線にはのら
ず、最適分配係数(logP)を有する2次曲線を描いた。
これは、ハンシュ−藤田の式におけるaπ項をaπ
bπと拡散すれば説明がつく。なお、このときにもアラ
キン酸メチルは前記曲線に近似することができた。
実施例2 本実施例は、有機超薄膜(ここではLB膜)の電子的パ
ラメータを変えることでガスの吸着性を制御した例であ
る。ガスの吸収量の定量には、ここでも表面弾性波素子
を用いた。
センサの基本的構成は先の実施例1と同様とし、表面
を疎水化処理した表面弾性波素子(1)上にアラキン酸
の単分子膜を2層累積してLB膜を形成した。このとき、
下層液を10-4mol/の塩化物水溶液(BaCl2,MgCl2また
はCdCl2)または純水とし、それぞれ2価の陽イオン(B
a2+,Mg2+,Cd2+)を含有したアラキン酸のLB膜(ただ
し、下層が純水のときにはアラキン酸のみのLB膜)とし
た。
このようにして作成した4種類のセンサ(感応膜がそ
れぞれバリウム−アラキン酸LB膜,マグネシウム−アラ
キン酸LB膜,カドミウム−アラキン酸LB膜,アラキン酸
LB膜)を先の実施例1と同様にガス系に100秒間曝し、
ガス吸着量を周波数変化として測定した。
測定値を代表的な電子的パラメータのひとつである電
気陰性度(出典はポーリング「化学結合論(改訂版)」
共立出版,昭和37年)で整理し、陽イオンの電気陰性度
(ただし、アラキン酸のみのLB膜では水素の値を用い
た。)と吸着量(周波数変化)の関係を調べた。結果を
第6図に示す。
本実施例において測定したガス系は、先の実施例1と
同様ヘキサン,ブタノール,プロピオン酸であるが、こ
こでヘキサンは無極性分子,ブタノールは極性分子,プ
ロピオン酸は酸性分子で極性が大きいものである。
第6図を見ると明らかなように、ガスの吸着量と電気
陰性度の間に1次の関係が見出される。これは吸着量が
電子的パラメータに依存することを示しており、ガスの
種類によってグラフの傾きが異なることから、これらセ
ンサ群によってガスの極性の違いを識別できることがわ
かる。
以上の実験により、電子的パラメータの異なる感応膜
群を用いても各種ガスを識別可能であることが実証され
た。
実施例3 本実施例では、立体効果のパラメータとしてLB膜にお
ける単分子膜の累積層数を変え、このときの吸着性の変
化について調べた。
センサの基本的構成は先の実施例1と同様とし、表面
を疎水化処理した表面弾性波素子(1)上にアラキン酸
の単分子膜を累積してLB膜を形成した。各LB膜における
アラキン酸単分子膜の層数は、それぞれ2層(膜厚約5n
m),4層(膜厚約10nm),8層(膜厚約20nm),16層(膜厚
約40nm)である。次いで、実施例1と同様の手法により
ガス系に100秒間曝し、ガス吸着量を周波数変化として
測定した。測定したガスは、エタノール,ヘキサン,ブ
タノール,プロピオン酸の4種類である。
第7図はエタノールにおける測定結果を、第8図はヘ
キサンにおける測定結果を、第9図はブタノールにおけ
る測定結果を、第10図はプロピオン酸における測定結果
をそれぞれ示すものである。各図面において、横軸はLB
膜における単分子膜の累積層数である。
LB膜は超薄膜であるため膜厚に応じて吸着量が増加し
続けるものと予想されたが、予想に反してガスの種類に
よっては吸着量が膜厚(層数)に比例せず飽和するとい
う現象が見られた。
すなわち、エタノール(第7図)及びプロピオン酸
(第10図)では、16層までの範囲で累積層数に応じて吸
着量が比例関係で増加したが、ヘキサン(第8図)では
4層で、ブタノール(第9図)では8層で吸着量が飽和
した。
このような現象はこれまで報告されたことのない特異
的なものであるが、膜厚を変えた感応膜群では、グラフ
の傾きのみならず、その飽和を観測することで容易にガ
スを識別できるものと考えられる。
実施例4 本実施例では、LB膜にタンパク質を吸着させることで
各パラメータを変え、このときの吸着性の変化について
調べた。
センサの基本的構成は先の実施例1と同様とし、単分
子掃引法で単分子膜に各種タンパク質を吸着させ、これ
を表面弾性波素子(1)上にLB法に従って累積した。
タンパク質を含有したLB膜は、タンパク質と両親媒性
膜分子とからなる複合体であり、生体膜と類似したもの
であるが、タンパク質や単分子膜材料を変えることでガ
スに対する吸着性が変化するものと考えられる。
そこで、第1表〜第3表に示すようにタンパク質や単
分子膜材料の疎水性,電荷,極性を変え、それぞれ疎水
性の強い有機ガス分子,電荷負の有機ガス分子,極性の
大きい有機ガス分子に対する吸着の度合いを調べた。な
お、表中の記号◎,○,△,×はガスに対する吸着性を
示すもので、吸着性は◎>○>△>×である。
これら表を見ても明らかなように、タンパク質や単分
子膜材料に疎水性の大きいものを用いれば疎水性の大き
いガスを吸着し易く、極性の大きいものを用いれば極性
の大きいガスを吸着し易いという傾向が確認された。
したがって、これらを組み合わせれば多種類のガスを
識別することが可能であり、また生体を模倣したもので
あるため生体の持つ優れた識別能を実現することが可能
である。
本実施例のガス感応素子では、LB膜に導入されるタン
パク質が変性しても性能は劣化せず、固体であるので空
気中での使用が可能である等、実用性の点でも有利であ
る。
〔発明の効果〕
以上の説明からも明らかなように、本発明のガス感応
素子においては、感応膜として有機超薄膜を用いている
ので、ガスの吸着,脱着に鋭敏であり、非常に高感度で
ガスを検出することが可能である。また、有機超薄膜の
疎水性パラメータ,電子的パラメータ,立体効果のパラ
メータを変えることでガスを識別するようにしているの
で、多種類のガスを系統的に識別することが可能であ
る。
さらに、本発明のガス感応素子においては、識別可能
なガスの種類が感応膜である有機超薄膜の材料の種類に
よって制約されることはなく、作成も容易で製造コスト
の点でも有利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は表面弾性波素子を利用したセンサの構成を模式
的に示す平面図である。 第2図ないし第4図は2層単分子膜からなるLB膜の疎水
性によるガスの吸着量変化(周波数変化)を示す特性図
であり、第2図はヘキサンの吸着量の変化を、第3図は
ブタノールの吸着量の変化を、第4図はプロピオン酸の
吸着量の変化をそれぞれ示す。第5図は1層単分子膜か
らなるLB膜の疎水性によるヘキサンの吸着量変化を示す
特性図である。 第6図はアラキン酸LB膜に含まれる陽イオンの電気陰性
度によるガスの吸着量の変化を示す特性図である。 第7図ないし第10図はLB膜の単分子膜層数によるガスの
吸着量変化を示す特性図であり、第7図はエタノールの
吸着量の変化を、第8図はヘキサンの吸着量の変化を、
第9図はブタノールの吸着量の変化を、第10図はプロピ
オン酸の吸着量の変化をそれぞれ示す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】疎水性パラメータが異なる有機超薄膜群か
    らなるガス感応素子。
  2. 【請求項2】電子的パラメータが異なる有機超薄膜群か
    らなるガス感応素子。
  3. 【請求項3】立体効果のパラメータが異なる有機超薄膜
    群からなるガス感応素子。
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