JP2835175B2 - 潤滑油の溶剤抽出 - Google Patents

潤滑油の溶剤抽出

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、石油誘導潤滑油原料を溶剤精製して、芳香
族成分に乏しいラフィネートを得ることに関する。より
詳細には、本発明は、第一のラフィネートから粘度指数
の高い潤滑油を製造する一方、第二のラフィネートから
流動接触分解用原料を製造することに関する。
[従来の技術] 潤滑油原料を品質改善することは当技術において周知
である。品質改善は、通常、これらの原料を選択性を示
す溶剤で処理し、比較的芳香族性の画分を比較的パラフ
ィン性の画分から分離することを伴う。このような処理
における好ましい構成は、軽質の潤滑油相が向流抽出塔
の中央部又は底部に導入される向流抽出工程を含む。油
相は、抽出塔中を上に向かって通過し、抽出塔の上部に
導入された、下へと流れる溶剤と接触する。比較的パラ
フィン性の画分、すなわちラフィネートは、抽出塔の頂
部から回収され、比較的芳香族性の画分、すなわち抽出
物は、塔の底部から回収される。
また、ラフィネート相又は抽出相のいずれか、あるい
は、それらの両方を、繰り返し抽出して所望の特性を高
める多段式溶剤抽出方法が公知である。
パラフィン系原料は、溶剤抽出と、それに続く、水素
添加触媒の存在下、650゜F〜850゜F(343℃〜454℃)程
度の温度及び比較的高い水素分圧下の水素添加によって
品質改善がなされてきた。
そのような方法の記載は、H.C.Henryらへの米国特許
第3,806,445号に見られ、パラフィン系画分を改質改善
して、粘度指数(VI)を向上させ、紫外線(UV)に対す
る光安定性を改善する方法を記載している。この方法で
は、潤滑油原料を溶剤抽出して芳香族成分を除去し、さ
らにこれを、水素の存在下、穏やなら水素添加分解条件
の下で接触分解し、再び抽出する。
F.W.Schumacherへの米国特許第2,305,038号は、鉱油
の溶剤抽出方法を記載している。この方法によると、抽
出溶剤中に残留する油を比較的沸点の高い油で処理する
ことによって除去する。混合物を蒸留し、塔頂生成物と
しての抽出溶剤と、釜残生成物としての油とを分離させ
る。
J.L.Franklin,Jr.への米国特許第2,261,799号は、鉱
油を溶剤抽出し、溶剤をラフィネートから除去する方法
を記載している。この方法によると、抽出油を、鉱油よ
りも主溶剤に対して優先的な選択性を示す第二の溶剤で
再抽出する。こうして、溶剤量が減少したラフィネート
が得られる。
W.J.D.Van Dijckらへの米国特許第2,081,721号は、溶
剤抽出法における改良を記載している。
A.sequeira,Jr.への米国特許第4,328,092号は、炭化
水素油を溶剤抽出する方法を教示している。この方法で
は、N−メチル−2−ピロリドンが抽出溶剤である。炭
化水素油を溶剤抽出して二つの相、すなわち二次抽出相
及び二次ラフィネート相を形成する。そして二次ラフィ
ネート相を抽出域に戻す。その結果、精製油生成物の収
量が増大し、エネルギーの節減が達成される。
A.Sequeira,Jr.への米国特許第4,304,660号は、冷却
油としての使用に適当である潤滑油を開示している。こ
れらの潤滑油は、ナフテン系潤滑油ベースの原料を溶剤
抽出して抽出物を得て、この抽出物を溶剤改質剤と混合
し、冷却してに二次ラフィネート及び二次抽出物を形成
することによって製造される。二次ラフィネートを濃縮
硫酸で処理し、苛性ソーダ中和して冷却油を得る。
[発明の概要] 芳香族成分及び非芳香族成分を含有する石油ベースの
潤滑油油原料を溶剤精製する方法における改良を見い出
した。潤滑油原料を、抽出域中100゜F〜250゜F(38℃〜
121℃)の抽出温度で、原料油を基準として75容量%〜5
00容量%の抽出溶剤と接触させる。芳香族成分を多く含
む一次抽出部及び粘度指数が増大している芳香族成分に
乏しい一次ラフィネートを抽出域から回収する。
改良点は、一次抽出物を、抽出温度を10゜F〜120゜F
(5.6℃〜66.7℃)下回る温度にまで冷却することであ
る。反溶剤約0.0容量%〜10容量%、好ましくは0.5容量
%〜10容量%、もっとも好ましくは3容量%〜5容量%
を、分離域中で一次抽出物に添加する。その結果、芳香
族成分をより多く含む二次抽出物からなる相及び芳香族
成分により乏しい二次ラフィネートからなる二つの相が
形成される。
二次ラフィネート相を分離し、分解条件下、流動接触
分解域に通し、液状燃料生成物を得る。流動接触分解
は、原料、一次ラフィネート又は二次ラフィネートのい
ずれをも予め水素添加分解することなく、実施すること
ができる。
[図面の説明] 本方法の詳細は、本発明の方法を用いる溶剤精製法を
例示する概略流れ図である、添付の図面に開示されてい
る。
図面を参照すると、潤滑油原料はライン2を通って系
に入り、一次抽出塔20に導入されて、この中で抽出溶剤
と緊密に向流接触するに至る。原料は、一次抽出塔20の
ほぼ中央部又は中央部よりも下から塔に導入される。新
鮮な抽出溶剤がライン4を通って工程に加わり、ライン
8を通って一次抽出塔20の上部に入る。再循環された追
加の溶剤を、水除去(図示せず)後、溶剤の導入バラン
スの保持に応じて溶剤蓄積器110から一次抽出塔20に導
入してもよい。
一次抽出塔20では、潤滑油原料は、パラフィン系化合
物よりも芳香族化合物と優先的に親和する抽出溶剤と緊
密に向流接触する。そのような溶剤の一例は、石油精製
業でこの目的に使用されているN−メチル−2−ピロリ
ドンである。抽出溶剤は、潤滑油原料と相関した量で添
加される。百分率では、潤滑油原料の量を基準として約
75容量%〜500容量%の溶剤が添加され、100容量%〜30
0容量%の添加量が通常である。抽出温度は、ほぼ100゜
F〜250゜F(38℃〜121℃)の範囲であり、圧力は0.5気
圧〜1気圧の範囲である。
溶剤抽出の温度及び圧力での向流接触の結果、芳香族
成分に乏しい一次ラフィネートが、一次抽出塔20の頂部
からライン18を通って一次ラフィネート回収系30に通さ
れる。一次ラフィネート回収系30は、残留溶剤からラフ
ィネートを除去するいずれかの方法を含む。これは、例
えば、無用剤ラフィネートを釜残生成物として残し、ラ
イン28を経て貯蔵タンクへと通す蒸留であってもよい。
蒸留による塔頂生成物は、ライン32を介して溶剤蓄積器
110へと通される。あるいは、一次ラフィネート回収系3
0は、鉱油にはごくわずかしか溶けず、鉱油よりも一次
溶剤に対して優先的な選択性を示す第二の抽出溶剤によ
って一次ラフィネートが抽出される、第二の抽出段であ
ってもよい。そのような溶剤除去方法は、本明細書に引
用例として含めたJ.L.Franklin,Jr.への米国特許第2,26
1,799号に記載されている。
抽出溶剤に溶けた、芳香族成分を多く含む一次抽出物
は、一次抽出塔20の底から等い24及びライン48を経て一
次抽出物冷却器50に通される。それと同時に、反溶剤、
例えば水又は湿抽出溶剤0.5容量%〜10容量%が、ライ
ン26及びライン48を経て一次抽出物冷却器50に通され
る。溶剤蓄積器110は湿溶剤の源である。いずれの液流
も、冷却器50内での間接熱交換により、一次抽出塔20内
の温度を10゜F〜120゜F(5.6℃〜66.7℃)下回る温度に
まで冷却される。両液流はともにデカンター60に通さ
れ、そこで二つの相が自然に形成する。上相は、一次抽
出物よりも芳香族成分に乏しい二次ラフィネート相であ
る。下相は、芳香族成分をより多く含む二次抽出相であ
り、溶剤の大部分を占めている。
下側の二次抽出相は、デカンター60からライン62を介
して抽出物回収系100に通される。この抽出物回収系
は、芳香族成分を多く含む抽出物を抽出溶剤から分離す
る手段を含む。この分離手段は、減圧フラッシュ塔及び
ストリッパーからなる。無溶剤芳香族系抽出物は、ライ
ン102を経て貯蔵タンクに通され、その芳香族性に合っ
た使用に備える。抽出物回収系100からの溶剤はライン9
8を経て溶剤蓄積器110に通されて貯蔵され、本方法にお
いて再利用される。
デカンター60からの二次ラフィネート相について4種
の態様を構成することができる。第一の態様は本発明を
含む。第一の態様と代替の態様の組合せは生成物需要に
依存するものであり、態様の融通性は本発明の方法の利
点であり、有用な技術にとって本を貴重なものとしてい
るということが理解される。
第一の態様では、二次ラフィネート相は、ライン58、
ライン76及びライン88を経て溶剤回収系(図示せず)及
び流動接触分解域90に通される。流動接触分解域90で、
二次ラフィネートは、接触反応条件下、流動触媒床中で
接触分解されて、液状燃料の沸点範囲を有する生成物と
なる。
第二の態様では、二次ラフィネート相は、ライン58、
ライン76及びライン78を経て溶剤回収系(図示せず)及
びさらに潤滑油脱ロウ域80に通され、ここで接触脱ロ
ウ、溶剤脱ロウ又はその両方によってロウが除去され、
低〜中の粘度指数を有する潤滑油用基油となる。
第三の態様では、二次ラフィネート相は、ライン58及
びライン22を経て一次抽出塔に通される。A.Sequeira,J
r.への米国特許第4,328,092号に記載のように、二次ラ
フィネートの量は、ライン2を経て一次抽出塔に供給さ
れる潤滑油原料1容量部あたり、0.1〜0.5容量部である
ことが好ましい。この再循環の結果、ライン8を経て一
次抽出塔20に供給される新鮮な原料、すなわち溶剤の添
加量を、定範囲内のうち比較的少ない量にまで減少させ
ることができ、ライン28を経て製造されるラフィネート
の収量が一定の屈折率で増大する。
第四の態様では、二次ラフィネート相は、ライン58及
びライン38を経て二次抽出塔40に通され、ここで二次ラ
フィネート相が、ライン4及びライン6を経て供給され
る抽出溶剤と向流接触することによって再び溶剤抽出さ
れ、ライン44を経て三次ラフィネート相が製造され、こ
れを、溶剤除去後、中間の粘度指数を有する潤滑油用基
油として使用する。
溶剤を多く含む三次抽出物をライン46を介して一次抽
出塔20に戻し、塔に供給する溶剤の一部を補充してもよ
い。あるいは、この三次抽出物をライン42を通して溶剤
除去系(図示せず)に通すことができ、油を燃料として
使用するか、もしくはカーボンブラックの製造に使用す
る、又はライン42Aを経て抽出物回収系100に通すことが
できる。
[好ましい実施態様の詳細な説明] 本発明に従うと、石油ベースの潤滑油原料を経済的に
処理して、水素添加分解又はその他の方法で芳香族成分
含量をさらに減少することなく、流動接触分解用の原料
を得ることができる。
具体的には、本方法は、(a)石油誘導潤滑油原料
を、芳香族成分に対して優先的な可溶性を示す抽出溶剤
で溶剤抽出し、その結果、一次抽出相及び一次ラフィネ
ート相を形成し;(b)一次ラフィネート相を冷却して
反溶剤を混合することによって二次抽出相及び二次ラフ
ィネート相を形成し;(c)二次ラフィネート相を流動
接触分解域で分解して液状燃料生成物を得ることからな
る。
本方法に使用することが適当な原料には、炭化水素、
炭化水素の混合物及び、とりわけ、その主な部分が大気
圧で約500゜F(約260℃)を超える初留点を有する炭化
水素留分がある。有用な加工用原料の例には、パラフィ
ン系もしくはナフテン系の粗原料から減圧によって留出
した原油、すなわち脱歴残油;接触分解循環油、コーカ
ー留出物及び/又は熱分解油の最重質留分;重質減圧軽
油などがある。これらの留分は、石油原油、シェール
油、タールサンド油、石炭水素添加生成物などから誘導
される。好ましい原料には、約930゜F〜1050゜F(約499
℃〜566℃)の初留点及び3未満のコンラドソン法残留
炭素数を示す脱歴石油ならびに約500゜F〜1050゜F(約2
60℃〜566℃)の間で主に沸騰し、210゜F(99℃)で約3
5〜200SUS、好ましくは40〜100SUSの粘度を示す軽油が
ある。
原料は、ASTM試験法D−2270−86によると約0を超え
る、もっとも好ましくは約30を超える粘度指数を有する
ことが好ましい。
抽出操作に使用される特定の溶剤は、いくつかの考慮
すべき点、第一には経済性に依存している。第一の抽出
に使用される溶剤が第二の抽出段階に使用される溶剤と
同じでなければならないという条件はないが、同じであ
ることが経済的であり、その理由からこの実施態様が好
まれる。芳香族成分、とりわけ多環式芳香族成分に対し
て選択的であるいかなる溶剤、例えばフルフラール、ア
セトフェノン、液状SO2、アセトニトリル、フェノー
ル、ニトロベンゼン、アニリン、2,2−ジクロロロジエ
チルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム
アミド、N−メチル−2−ピロリドン及びそれらの混合
物を用いることができる。それに加え、これらの溶剤の
いずれをも、反溶剤、例えば水、湿溶剤、低級アルコー
ル及びグリコールと組み合わせて溶剤抽出段階に使用す
ることができる。原価効率を基準とすると、もっとも好
ましい反溶剤は水である。N−メチル−2−ピロリドン
は、溶剤混合物を基準として水約0.3容量%〜10容量
%、好ましくは0.3容量%〜0.5容量%を含む場合、もっ
とも好ましい溶剤である。溶剤は、約75〜500容量%、
好ましくは100〜300容量%を使用する。
一般に、油原料と溶媒との接触面積を増大するために
抽出方法において慣例的に利用される種々の手段を用い
ることができる。したがって、本発明に使用される装置
は、単一の抽出域又は多数の抽出域を含むことができ
る。抽出域に用いられる装置は決定的ではなく、回転盤
接触器、向流充填床抽出塔、向流トレー接触器及び遠心
接触器を含むことができる。操作は、回分式操作又は連
続式操作として実施することができるが、後者が好まし
い。連続式の向流操作がもっとも好ましい。芳香族成分
に対する選択性を増大する公知の技術を用いることがで
きる。これらの例としては、少量の反溶剤を使用し、抽
出物を溶剤とともに保持し、抽出の目的を実行するに充
分なほど低い温度で操作し、低い溶媒:油の比を使用す
ることである。
抽出の温度及び使用される溶剤の量は相互に依存して
おり、また、抽出されるべき特定の油原料の組成に依存
している。このことを考慮すると、抽出法について以下
の点が銘記される。第一に、抽出温度は、所望の抽出効
果を得て、良好な油収量を伴う高効率の抽出操作を実施
するため、油と溶剤が混和する温度を約40゜F(約4
℃)下回る温度に維持することが好ましい。温度の下限
は、一部には脱ロウされたラフィネート生成物の流動点
によって制御される。原料が脱ロウされていなければ、
抽出の最低温度は、固形分が現れる点によって制御され
る。抽出温度が低過ぎると、抽出の選択性が強すぎ、溶
剤の添加及び抽出段階の追加などの補正が必要となるで
あろう。抽出温度の範囲は、油/溶剤の混和温度に依存
しながらも、一般には約100゜F〜250゜F(約38℃〜121
℃)、好ましくは約120゜F〜200゜F(約24℃〜93℃)の
範囲である。好ましいN−メチル−2−ピロリドン/水
の溶剤の場合、温度は約120゜F〜180゜F(約49℃〜82
℃)の範囲である。
高い溶剤/油の比は、操作効率を低下させる傾向にあ
り、比較的多量のエネルギーを消費するため、回避すべ
きである。したがって、大抵の場合、油を基準とする溶
剤の添加量(油1容量部あたり添加される溶剤の容量部
×100と定める)は、約75〜約500の範囲である。特に好
ましい比は、約100〜約300の範囲である。低品質の潤滑
油用粗原料から誘導される原料、例えばサウス・ルイジ
アナ原油からの減圧軽油及び脱歴油については、通常、
170゜F〜200゜F(77℃〜93℃)の抽出温度を用いること
ができ、油を基準とする溶剤添加量は約150容量%〜400
容量%である。
溶剤での一次抽出後、一次ラフィネート相を一次抽出
塔の頂部から回収する。この一次ラフィネート相は、抽
出溶剤約10〜15容量%を含み、この溶剤を除去して、所
望の流動点にまで脱ロウした後、約75〜100、好ましく
は約85〜96の粘度指数(VI)を示す油を得る。最高120
の粘度指数を有する一次ラフィネートが高品質パラフィ
ン系油から、そして最低10の粘度指数を有する一次ラフ
ィネートが高品質ナフテン油から、それぞれ製造され
た。ナフテン油の場合、溶剤:油の比及び温度をより基
準的に調整し、目的とする粘度指数(VI)を達成するよ
りも、むしろ毒物学的考慮から、多核芳香族成分含量を
3重量%以下にする。
原料よりも芳香族成分を多く含む油及び抽出溶剤の主
要部分を含む一次抽出相を一次抽出塔の底からデカンタ
ーに通す。デカンター中での分離を助長するため、一次
抽出相を反溶剤と混合し、冷却する。溶剤改質剤として
も知られる反溶剤は、パラフィン系鉱油にはごくわずか
しか溶けないとを特徴とし、抽出溶剤には実質的に完全
に可溶性である種類の化合物から選択する。工業的な実
践の場合に好ましい反応剤は水である。その他の反溶剤
としては、アルコール及びグリコールがある。効果的な
反溶剤の具体例には、グリセリン、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ホルムアミド及びメチルア
ルコールがある。
一次抽出物/反溶剤の混合物を、一次抽出塔内の温度
よりも充分に低い温度にまで冷却すると、デカンター中
で分離が生じて不混和性の液相が二つ形成する。一次抽
出物を、抽出塔の底の温度を10゜F〜120゜F(5.6℃〜6
6.7℃)下回る温度にまで冷却すると、二つの液相が形
成し、デカンター中の重力によって互いに分離する。
下相、すなわち二次抽出物は、抽出溶剤、反溶剤及
び、一次抽出相よりも芳香族成分を多く含む油を含有し
ている。二次抽出物から溶剤を除去し、その芳香族成分
を工業的に使用する。例えば、それをゴムエキステンダ
ー油として、又はカーボンブラックを製造するための原
料として使用する。あるいは、これを液状燃料油プール
に回してもよい。従来の処理により、溶剤から二次抽出
物を分離する。例えば、減圧フラッシュ塔中及び蒸気ス
トリッパー中、0.01気圧〜3気圧の圧力下で処理し、釜
残生成物として回収してもよい。任意には、この釜残生
成物を、450゜F〜600゜F(232℃〜316℃)の温度及び0.
01気圧〜1気圧の圧力下、不活性ガスによってストリッ
プし、残る微量の溶剤を除去してもよい。抽出物を抽出
溶剤から遊離させるそのような方法は、本明細書に引用
例として含めた、A.Sequeira,Jrへの米国特許第4,294,6
89号に記載されている。
上相、すなわち二次ラフィネートは、芳香族成分が除
去されているので、溶剤除去(米国特許第4,294,689号
に記載のとおり)後は、水素添加分解法又は他の水素添
加なしで、流動接触分解用原料として適当である。
流動接触分解(FCC)ユニットの操作は、この目的に
特有な微粒子状固形触媒の流動床中で石油留分を接触分
解して液状燃料の沸点範囲を有する生成物とする操作で
ある。通常、石油留出物又は原料の残留留分を接触分解
して、気体炭化水素だけでなくガソリン又は軽油生成物
を得る。流動接触分解は、触媒再生域と循環式に連絡す
るトランスファーライン型反応容器中で実施する。再生
域では、触媒上に付着した、コークスと総称される、分
解による固形生成物が酸化によって除去されることによ
り、触媒の活性が回復する。
流動接触分解ユニットの操作に有用な触媒にはシリ
カ、アルミナなどのケイ素系無機酸化物又はゼオライト
含有分解触媒、例えばクレーなどの多孔質耐火性母体と
接触した結晶質アルミノケイ塩酸ゼオライトがある。こ
れらの種類の触媒に適当であるゼオライトには、ナトリ
ウム含有が低いΧタイプ又はYタイプのゼオライトがあ
る。
触媒を、トランスファーライン型反応容器中、リフト
ガスによって吊り下げるか、流動させる。リフトガス
は、この目的に利用しうる不活性ガスからなる。通常
は、C1〜C4の飽和炭化水素ガス、例えば製油燃料ガスか
らなる。
二次ラフィネートを、接触分解条件下、流動床に導入
する。このラフィネートを唯一の原料として導入しても
よい。あるいは、ラフィネートを、流動接触分解用原料
として使用するために捕集した石油留分のプールに混入
してもよい。接触分解条件には、約600゜F〜約1050゜F
(約316℃〜約566℃)の温度、約1.25気圧〜約2気圧の
圧力、約3〜10の触媒/炭化水素の重量比及び、毎時約
5〜200の重量空間速度がある。これらの分解条件で、
コークス約0.5重量%〜2.5重量%を触媒上に付着させ
る。
コークスによって不活性化された触媒を炭化水素生成
物から分離し、約750゜F〜約1150゜F(約399℃〜約621
℃)の温度で蒸気又は不活性ガスによってストリップ
し、コークスの揮発性成分を除去する。そして、コーク
スによって不活性化された触媒を、触媒再生域、まず
は、約1050゜F〜1300゜F(約566℃〜704℃)の温度を有
する下側の密相触媒床に通し、次に、約1100゜F〜1350
゜F(約593℃〜732℃)の温度を有する上側の希薄相床
に通すと、過剰の酸素の存在下、コークスが酸化されて
一酸化炭素及び二酸化炭素となる。約0.1重量%を残す
以外のすべてのコークスが除去されることによって再活
性化された触媒を、再生触媒立て管に通し、流動触媒分
解域での再利用に備える。
流動接触分解法の特徴は、接触分解域と触媒再生域が
加熱によって統合されることである。反応温度を維持す
るために分解域中で必要な熱は、再生域でのコークスの
酸化によって供給される。逆に、分解域は、触媒再生域
のための冷却用放熱系である。一方の領域の熱の必要条
件が他方の領域によって満たされ、定常状態が維持され
る。したがって、接触分解法の原料は、その原料によっ
て得られるコークスの相対量によって抑制される。具体
的には、芳香族原料は比較的多量のコークスを製造し、
したがって、飽和コークス及び相当するコークスの収量
を、この方法の温度制限内での操作を可能にする量にま
で減少させるための接触水素添加後にのみ、流動接触分
解用原料として有用である。これらの制限は、600゜F〜
1050゜F(316℃〜566℃)のトランスファーライン型反
応容器温度及び1050゜F〜1350゜F(566℃〜732℃)の再
生器温度で、触媒からのコークスを燃焼させてコークス
担持再生触媒0.1重量%以下を製造することを含む。
このように、本出願人は、本発明によって、ASTM D−
2270−86による粘度指数40〜85を有する二次ラフィネー
トがパラフィン系油から製造されるということを実践に
よって見いだした。本方法に従って製造される二次ラフ
ィネートは、流動接触分解に適当な原料である。これら
の原料を、他の従来の流動接触分解用原料、例えばナフ
サ、軽質軽油、重質軽油、残留留分、還元原油、これら
の留分のいずれかから誘導された循環油、さらにはシェ
ール油、タールサンド、アルファルト油、合成油、石炭
水素添加油などから誘導された適当な留分と混合しても
よい。
以下、本発明を実施例によって説明する。
実施例1 サウル・ルイジアナ原油から誘導した300中性留出物
をN−メチル−2−ピロリドン(MP)で抽出した。一次
抽出物を冷却して二つの留分、すなわち二次ラフィネー
トと二次抽出物に分離した。操作に使用した条件ならび
に、溶剤除去及び無溶剤ラフィネートの脱ロウ後の一次
ラフィネート、一次抽出物、二次ラフィネート及び二次
抽出物についての試験結果を以下に示す。
一次抽出物は芳香族成分含量が低過ぎるため、ゴムエ
キステンダー油としては使用できない。これを、中間の
粘度指数を有する二次ラフィネートと二次抽出物に分離
することができる。この二次抽出物は、ゴムエキステン
ダー油として有用であり、それと同時に高い粘度指数を
有する基油を製造する。
流動接触分解の応答を、実験1Aからの一時抽出物及び
実験1Dからの二次ラフィネートについて測定した。この
試験の結果を以下にまとめる。
これらの結果は、二次ラフィネートが一次抽出物より
も優れた流動接触分解用原料であるということを示す。
実施例2 別のサウス・ルイジアナ原油から誘導した300中性留
出物をN−メチル−2−ピロリドン(MP)で精製し、抽
出装置を離れる一次抽出物を冷却又は水を添加しながら
冷却することにより、二次ラフィネートと二次抽出物に
分離した。この試験から得られた結果を以下にまとめ
る。
これらの結果は、水を反溶剤として使用し、温度の低
下のによって得られるよりも高い収量の二次ラフィネー
トと、より芳香族性の抽出物との分離を実施することが
可能であることを示す。この技術は、副産物、例えば飽
和化合物20重量%未満を含むゴムエキステンダー油を、
高い飽和化合物含量を有する抽出物をもたらす高パラフ
ィン系の原料から製造することが望ましい場合、特に有
用である。反溶剤、例えば高芳香族性炭化水素、グリコ
ール、アルコールなどを使用して、目的とする分離を実
施しうることに注目すべきである。しかし、水は、低濃
度でも効果を発揮し、低廉であり、本方法に利用でき、
かつ蒸留によって容易に除去させることから、好ましい
は反溶剤である。
試験方法一覧 流動点 ASTM D−97−87 アニリン点 ASTM D−611−82 硫黄 ASTM D−2622−87 粘度指数(VI) ASTM D−2270−86 引火点、COC(゜F) ASTM D−92−85 API重力(゜API) ASTM D−287 本発明をその特定の実施態様によって説明してきた
が、当然ながら、多数の変更を加えうることから、本発
明はそれらに限定されることはなく、本発明の精神及び
範囲に当該するそのようないかなる変更をも添付の請求
項によって包含しうるということが理解されるであろ
う。
【図面の簡単な説明】
添付の図面は、本発明の方法を用いる溶剤精製方法を例
示する概略流れ図である。 符号の説明 20……一次抽出塔 30……一次ラフィネート回収系 40……二次抽出塔 80……潤滑油脱ロウ域 90……流動接触分解域 100……抽出物回収系 110……溶剤蓄積器

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族成分及び非芳香族成分を含有する炭
    化水素潤滑油原料を抽出溶剤で溶剤精製する方法であっ
    て、 該潤滑油原料を、溶剤抽出域中100゜F〜250゜F(38℃〜
    121℃)の抽出温度で、油を基準として75〜500容量%の
    抽出溶剤と接触させ、芳香族成分を多く含む一次抽出物
    及び芳香族成分に乏しい一次ラフィネートを形成し; 一次抽出物を回収し、これを、該抽出温度を10゜F〜120
    ゜F(5.6℃〜66.7℃)下回る温度にまで冷却し、約0.0
    容量%〜10容量%の反溶剤と混合することによって、芳
    香族成分をより多く含む二次抽出相からなる相及び芳香
    族成分により乏しい二次ラフィネート相からなる二つの
    相を形成し; 該二次ラフィネート相を、水素添加することなる、分解
    条件下で流動接触分解域に通すことにより、液状燃料生
    成物を得ることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】芳香族成分及び非芳香族成分を含有する炭
    化水素潤滑油原料を抽出溶剤で溶剤精製する方法であっ
    て、 該潤滑油原料を、溶剤抽出域中100゜F〜250゜F(38℃〜
    121℃)の抽出温度で、油を基準として75〜500容量%の
    抽出溶剤と接触させ、芳香族成分を多く含む一次抽出物
    及び芳香族成分に乏しい一次ラフィネートを形成し; 一次抽出物を回収し、これを、該抽出温度を10゜F〜120
    ゜F(5.6℃〜66.7℃)下回る温度にまで冷却し、約0.0
    容量%〜10容量%の反溶剤と混合することによって、芳
    香族成分をより多く含む二次抽出相からなる相及び芳香
    族成分により乏しい二次ラフィネート相からなる二つの
    相を形成し; 該二次ラフィネート相を、芳香族成分をさらに減少させ
    ることなく、分解条件下で粒状接触分解域に通すことに
    より、液状燃料生成物を得ることを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】反溶剤の量が0.5容量%〜10容量%である
    請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】反溶剤が、水、グリコール及びアルコール
    からなる群より選択される請求項1〜3のいずれか一項
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】抽出溶剤が、N−メチル−2−ピロリド
    ン、フルフラール、フェノール及びそれらと水の混合物
    からなる群より選択される請求項1〜4のいずれか一項
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】溶剤抽出域中、抽出溶剤を水0.3〜10容量
    %と混合する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】反溶剤が水であり、溶剤抽出域中、抽出溶
    剤を水0.3〜0.5容量%と混合し、該一次抽出物を水3〜
    5容量%と混合する請求項1〜6のいずれか一項に記載
    の方法。
  8. 【請求項8】一次ラフィネートが少なくとも85の粘度指
    数を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 【請求項9】一次ラフィネートが多核芳香族成分3重量
    %以下を含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】該抽出温度が120゜F〜200゜F(49℃〜93
    ℃)であり、油を基準とする溶剤の添加量が100〜300容
    量%である請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
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