JP2833675B2 - 金属部材の応力測定方法 - Google Patents

金属部材の応力測定方法

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JP2833675B2
JP2833675B2 JP3234866A JP23486691A JP2833675B2 JP 2833675 B2 JP2833675 B2 JP 2833675B2 JP 3234866 A JP3234866 A JP 3234866A JP 23486691 A JP23486691 A JP 23486691A JP 2833675 B2 JP2833675 B2 JP 2833675B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線を用いる金属部材
の残留応力測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時例えば車両の軽量化または小型化が
進み、アルミニウム合金またはエンジニアリングプラス
チック等の軽量材が活用され、特にアルミニウム合金鋳
物が強度部材として多く使用されるようになってきてい
る。
【0003】こうした中で、アルミニウム合金材料の疲
労強度(耐久性)を如何にして向上させるかについて種
々の検討が行われ、材料の合金成分または熱処理等の改
善が多くなされている。
【0004】ショットピーニング加工によって金属部材
表面部に圧縮残留応力を生成させることも、耐久性の向
上に有効な手段として注目されている。
【0005】さらに、このような残留応力の生成により
金属部材、特にその表面部を強化して耐久性を向上させ
る作用をより効果的に行うには、生成する残留応力を精
緻に測定し、その測定にもとづいて疲労強度を求めなけ
ればならない。
【0006】疲労強度を求めるためには、対象となる金
属部材の実体部品または図7に示されるような残留応力
生成部1を有する切出し試験片2を用い、機械部品に掛
る応力形態に相応した装置により疲労強度試験が行われ
ている。
【0007】しかし、前記疲労強度試験は、破壊試験で
あること、実体部品の測定必要部位の特定が困難なこと
および長時間を要し経費が嵩むこと等の難点があり、改
善が望まれている。
【0008】これに対して、X線を利用する残留応力の
測定方法は、局部的な残留応力の存在位置に照射される
X線の回折X線によって残留応力値を非破壊的に測定で
きるという利点がある。
【0009】したがって、非破壊試験であるX線応力測
定法は、前述したような難点を改善するものとして広く
用いられ、最近ではX線応力測定装置は、例えば量産ラ
インにおける部品の品質管理等を目的として多く利用さ
れるようになっている。
【0010】前述したようなX線応力測定装置を用いて
行われる金属部材の応力測定方法では、被測定金属部材
の残留応力生成部に照射されるX線は互に異なる複数の
角度から入射し、各X線入射角ごとにすべての回折X線
の強度ピークをそれぞれ検出し、これらの各検出値を総
合した総合値から残留応力が測定されるようになってい
る。
【0011】したがって、図1(A)に例示されるよう
に、各X線入射角における各回折X線に、生成した残留
応力に対応するシャープな立上がり勾配を有する強度ピ
ークが検出される時は、図1(B)に示されるようなX
線の入射角分布と面間隔のずれ(2θ)との関係を表わ
すグラフにおいて、上記検出される強度ピークの検出強
度値は各X線入射角のものにおいてほぼ等しい値を示
し、グラフは直線状となる。
【0012】このように、各回折X線の各強度ピークの
検出強度値が均斉して検出される時は、これらの各強度
値が各X線入射角にわたって総合され、その結果にもと
づいて残留応力が測定されることになって測定の有意性
が認められることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、X線応
力測定に際して、被測定金属部材のX線入射位置にオイ
ル、ゴミ等の異種材が付着している場合、或いは合金中
の成分が特定の挙動を示す場合には、各X線入射角にそ
れぞれ対応する各回折X線が良好な状態で得られない。
【0014】すなわち、図2(A)に例示されるよう
に、各X線入射角における各回折X線には強度ピークが
顕著に表れず、強度ピークはブロードとなり、強度ピー
クも散乱してその強度値の検出が困難となる。このよう
な時には、図2(B)に示されるように、X線の入射角
分布と面間隔のずれ(2θ)との関係を示すグラフは強
度ピークの強度値を示すことができず、このグラフから
面間隔のずれを読みとることができないため、残留応力
の測定が不可能となる。
【0015】しかるに、従来法においては、被測定金属
部材の残留応力生成部に対する各X線入射角ごとにすべ
ての回折X線の強度ピークを検出し、これらの各検出値
を総合した総合値から残留応力を測定しようとするもの
であるから、前記回折X線の強度ピークが適正に検出さ
れていない時でも、総合値により残留応力が測定されよ
うとするまでの,有意性が乏しい過程が実行されるとい
う問題があった。
【0016】さらに、前述したような有意性の乏しい測
定を最初から最後まで実行すること、並びにこのような
操作を繰返し行うことは、測定時間の増加を招くことに
なり、測定効率の悪化が避けられないという問題点もあ
った。
【0017】上記に鑑みて、本発明は、X線により金属
部材の残留応力を測定するに際し、この金属部材の表面
状態、或いは合金成分によりもたらされる影響を最低限
に抑止することにより信頼性の高い測定値が得られ、且
つ測定時間の効率化を可能とする金属部材の応力測定方
法の提供を目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】前述したような目的を達
成するために、請求項1の発明は、X線による応力測定
においてX線入射を入射角度が異る複数点から行い、各
回折X線の強度ピークの強度値およびブロードを検出
し、その検出値の一定条件のもとにおける適用により効
率よく被測定金属部材の残留応力を測定しようとするも
のである。
【0019】具体的に請求項1の発明が講じた解決手段
は、外力に起因して金属部材の表面部に生ずる残留応力
をX線の照射により測定する金属部材の応力測定方法で
あって、X線入射を互に異なる複数の角度から行い、且
つ上記複数の角度からのX線入射における各回折X線の
強度ピークを検出し、各角度ごとの回折X線の強度ピー
クが示す複数の検出強度値および検出ブロードを、予め
設定された設定強度値および設定ブロードとそれぞれ比
較し、上記複数の検出強度値のうち設定強度値以上のも
のが所定数以上あり、且つ検出ブロードが設定ブロード
未満である場合のみ残留応力を演算する構成となってい
る。
【0020】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
の応用性を拡大するためのものであって、具体的には請
求項1の構成に、残留応力が測定される金属部材はアル
ミニウム製合金部材であり、測定される残留応力から疲
労強度の向上値を求めることにより疲労強度を算定する
構成を付加するものである。
【0021】さらに、請求項3の発明では、X線の照射
条件として、被測定金属部材の測定領域に対応した照射
面積が得られるコリメータを選択し、そのコリメータに
よる照射面積に相応したパルス数のX線を設定するもの
とする。
【0022】
【作用】請求項1の発明の構成により、被測定金属部材
の残留応力の存在部位には、互に異なった複数の入射角
度となるようにX線が照射される。
【0023】したがって、各入射X線の各回折X線はそ
れぞれ回折角度が異なったものとなることにより、金属
部材面の異種材の付着または金属部材の合金成分の挙動
によって一部のX線入射角の回折X線が良好なものとな
らず典型的な強度ピークが得られなくても、他の角度か
らの入射X線の回折X線については残留応力の存在によ
る結晶状態に対応した回折面にもとづく強度ピークが得
られることもある。
【0024】これらの回折X線が示す各強度ピークを、
それぞれ検出して予め設定された強度ピークのレベルと
比較し、検出された各強度ピークの検出強度値の大きさ
がいずれも上記予め設定されたレベルの60%を超す設
定強度値よりも大であるか、または前記予め設定された
レベルに対して一定の量的および数的条件を満たす場合
には、強度ピークの存在により、被測定金属部材の残留
応力は前記結果にもとづいて演算可能であると判断され
る。
【0025】一方、入射X線の回折X線の強度ピークに
ついては、その強度ピークの表れ方がシャープでない、
いわゆるブロードの場合には、結晶状態における回折面
が不整であって、残留応力の存在が明定され難い状態で
あることを示している。
【0026】したがって、各入射X線の各回折X線のぞ
れぞれの強度ピークについて検出ブロードを予め設定さ
れた設定ブロードと比較し、いずれのX線入射角度に対
応する回折X線の強度ピークにおいても、上記設定ブロ
ード未満のものであることを確認した上で残留応力の演
算をすることにより、残留応力測定の有意性が保持され
る。
【0027】その結果、各回折X線が示す強度ピークに
含まれる検出強度値および検出ブロードは、予め設定さ
れた設定強度値および設定ブロードに対比して許容され
る値を有する被測定金属部材についてのみ、データ処理
を行って残留応力値を演算すればよいことになる。
【0028】各回折X線が示す強度ピークの検出強度値
が一定の条件を満足しない場合、または強度ピークが設
定ブロード以上の状態であるものは、データ処理される
に至らず直ちに再測定に戻されることにより効率化がも
たらされる。
【0029】そして、請求項2の発明では、残留応力が
測定される金属部材はアルミニウム合金製部材とされる
ことにより、アルミニウム合金に慣用される金属元素、
例えば銅、ケイ素等が合金成分として含まれる場合であ
っても、それらの挙動の影響を受けることを軽減した条
件でアルミニウム合金の残留応力の測定が効率よく行わ
れる。
【0030】また、この残留応力の測定値と疲労強度の
向上値とは、アルミニウム合金に関しては直線的な関係
にあることにより、疲労強度の向上値を精度良く求める
ことができる。
【0031】次いで、所定のアルミニウム合金製部材に
ついて知られている疲労特性曲線から、所望の繰返し数
におけるその材料本来の疲労強度を求め、この材料本来
の疲労強度に残留応力により向上した疲労強度の向上値
を加算することにより、得られた残留応力値における疲
労強度が算定可能となるのである。
【0032】さらに、請求項3の発明では、最適条件に
設定されたX線の照射が可能となるので、残留応力の良
好な測定データを得ることができる。
【0033】
【実施例】次に、本発明の一実施例につき図面を参照し
つつ説明する。
【0034】実施例1 自動車の各部に汎用されるシルミン系のアルミニウム合
金(アルミニウムを主成分とし、主な合金成分として
6.5〜7.5wt%のケイ素が含有されている)を金属
部材とし、この金属部材にショットピーニング加工を施
すことにより部材表面部に圧縮残留応力を生成させた。
【0035】このように、表面部に残留応力が生成され
たアルミニウム合金製部材を被測定金属部材として、本
発明の応力測定方法により、その残留応力を測定した。
【0036】測定方法は、図3のフローチャートに示さ
れるように、以下のステップを経ることにより行われ
る。
【0037】ステップA: このステップにおいては、残留応力が存在する被測定金
属部材の表面部に照射されるX線を、被測定金属部材の
状況に対応して好適な状態に設定する。なお、このステ
ップAにおける設定の条件は後述するとおりである。
【0038】ステップB: このステップにおいては、本発明方法が行われるX線応
力測定装置に、被測定金属部材としてのアルミニム合金
製部材を試料としてセットする。
【0039】ステップC: このステップにおいては、各X線入射角にそれぞれ対応
する回折X線の強度ピークを測定する。
【0040】本実施例においては、X線入射角度は被測
定金属部材試料面の法線に対して5度から45度に至る
5度間隔とし、計9点からX線を照射した。
【0041】したがって、1個の試料につき各回折X線
に対応する9回の強度ピークの測定を行い、各強度ピー
クの状態を記憶する。
【0042】ステップD: このステップにおいては、各X線入射角について各回折
X線の強度ピークの検出強度値が、予め設定されたレベ
ルの60%を超える設定強度値を超しているか否かにつ
いてそれぞれ比較する。
【0043】前記各強度ピークの検出強度値が、すべて
予め設定されたレベルの60%を超しているときはステ
ップFに進む。
【0044】前記各強度ピークの検出強度値のすべて
が、予め設定されたレベルの60%以下のときはステッ
プEに進む。
【0045】ステップE: このステップにおいては、各X線入射角についての各回
折X線の強度ピークのうち、その検出強度値が予め設定
されたレベルの40〜60%となるものが、X線入射角
度位置9点のうち4点以上存在するか否かについて判断
する。
【0046】前記強度ピークの検出強度値のうち、予め
設定されたレベルの40〜60%となるものがX線入射
角度位置9点のうち4点以上あればステップFに進む。
【0047】前記強度ピークの検出強度値のうち、予め
設定されたレベルの40〜60%となるものがX線入射
角度位置9点のうち3点以下であれば、データはステッ
プBに戻され、X線の条件が再設定され、且つ再度強度
ピークが測定される。
【0048】ステップF: このステップにおいては、ステップDおよびステップE
において、検出強度値が予め設定されたレベルにもとづ
く条件を満したと判断された各回折X線の強度ピークの
各検出ブロードについて、X線入射角度9点のすべての
ものの立上り勾配がシャープで、明確に強度ピークと認
められるか否かを、予め設定された設定ブロードと比較
する。
【0049】強度ピークの検出ブロードが設定ブロード
以上になっていると判断されるものが、X線入射角度9
点のうち1点もなければステップHに進む。
【0050】強度ピークの検出ブロードが設定ブロード
以上になっていると判断されるものが、X線入射角度9
点のうち1点でもあれば、データ処理は無用となりステ
ップGに進む。
【0051】ステップG: このステップにおいては、視覚または聴覚による警告を
発して強度ピークに設定ブロード以上のものがある旨を
オペレータに知らせ、同時にデータはステップBに戻さ
れ、X線の条件が再設定され、且つ再度強度ピークが測
定される。
【0052】ステップH: このステップにおいては、各回折X線の強度ピークが予
め設定されたレベル条件を満たす検出強度値を有し、且
つ設定ブロード以上のものが皆無であることにより、X
線入射角度9点の各測定値はデータ処理され演算され
る。
【0053】ステップI: このステップにおいては、ステップHにおいて演算され
た被測定金属部材の残留応力が測定結果として出力され
る。
【0054】ステップJ: このステップにおいては、ステップAからステップIに
至る各段階の処理または判断を、同一試料または他の試
料に継続して行うか否かを判断する。
【0055】なお、図3に示されるフローチャートにて
表される実施例では、各回折X線の強度ピークについて
先づ検出強度値を知り、しかる後設定ブロード以上のも
のの存否を検認しているが、この実施例の変形として、
図3に示されるフローチャートにおけるステップDおよ
びEとステップFとを互換し、強度ピークの検出ブロー
ド中に設定ブロード以上となるものの存否を先づ検認
し、しかる後強度値のデータが予め設定されたレベルに
対して前記条件を満たすか否かについて判断するものと
してもよい。
【0056】実施例2 図3のフローチャートに示されるような本発明の実施例
において、被測定金属部材の残留応力生成部位に照射さ
れるX線は、測定のパラメータとなる回折X線の強度ピ
ークの発生および強度ピークの状態に大きな影響を及ぼ
す。
【0057】したがって、本発明においてX線により残
留応力を測定するに際しては、測定が最適条件で行える
ようにX線の照射条件、すなわちX線のパルス数および
コリメータの選択によるX線の照射面積を設定しなけれ
ばならない。
【0058】X線の照射面積は測定領域の部材形状によ
り、例えば平面または彎曲面等の場合は直径2mm程
度、歯型材の底部等の場合は直径0.5mm程度の円が
適当とされている。このようなX線の照射面積に対応す
るX線のパルス数が、もしも任意に選択されるものであ
るとすればX線勢力が前述したような測定に最適な条件
に特定されることが困難である。
【0059】したがって、残留応力の良好な測定データ
を得るためには、先づ被測定金属部材の測定領域に対応
した照射面積が得られるコリメータを選択し、次いでそ
のコリメータによる照射面積に相応したパルス数のX線
とすることにより最適条件に設定されたX線の照射が可
能となる。
【0060】この実施例は、実施例1の金属部材の応力
測定方法に、前述したようなX線の最適条件の設定手段
を付加したものとなっている。
【0061】図3に示されるフローチャートのステップ
Aにおいて行われるX線の設定は、図4に示されるフロ
ーチャートに表されるようにして行われる。X線応力測
定装置におけるX線照射部の操作をステップごとに説明
する。
【0062】ステップa1 : このステップにおいては、被測定金属部材の形状に応じ
てその測定領域に相応するX線照射面積が得られるコリ
メータが装着されているか否かを判断する。
【0063】測定領域の形状に対し、適当な照射面積が
得られるコリメータである時はステップa3 に進む。
【0064】コリメータが不適当で適正な照射面積が得
られない時はステップa2 に進む。 ステップa2 : このステップにおいては、不適当なコリメータから、測
定領域の形状に対し適当な照射面積が得られるコリメー
タに交換し、ステップa3 に進む。
【0065】ステップa3 : このステップにおいては、ステップa1 またはステップ
2 において選択されたコリメータにより与えられる照
射面積について、残留応力の測定が最適条件のもとに行
えるX線のパルス数となっているか否かを判断する。
【0066】このステップa3 における判断は、X線の
パルス数と、被照射体に印加されるX線勢力の定常状態
に対するバラツキの大きさとの関係により好適パルス数
を知ることにより行われる。
【0067】図5に示されるような、上記パルス数とバ
ラツキの大きさとの関係を表すグラフを用いることによ
り、バラツキがほぼ一定値に収斂するパルス数を、選択
されたコリメータの直径(X線の照射面積)のカーブに
したがって求めることになる。 図5に示されるカーブ
によれば、コリメータの直径が0.5mmの時は700
0パルス以上、コリメータの直径が1mmの時は600
0パルス以上、コリメータの直径が2mmの時は100
0〜2000パルス以上のパルス数のX線を用いること
が好ましい。
【0068】ステップa3 において、パルス数が適当で
あると判断された場合は、前述したような実施例1のX
線セットが適正に行われていることとなり、以後は図3
に示されるフローチャートが表すステップにしたがって
残留応力が測定される。
【0069】パルス数が適当でないと判断された場合は
ステップa4 に進む。
【0070】ステップa4 : このステップにおいては、使用されるコリメータにより
得られる照射面積に対し、所要のX線勢力が印加される
ようにX線のパルス数がセットされる。適正なパルス数
のX線がセットされると、以後は図3に示されるフロー
チャートが表すステップにしたがって残留応力が測定さ
れることになる。
【0071】実施例1または実施例2に例示されるよう
なステップによる金属部材の残留応力を測定する方法で
は、複数の角度、例えば9点からの入射X線の回折X線
の強度ピークが設定ブロード以上であったり所定レベル
に対して一定の強度値条件を満さない時には、データ処
理することなく次の測定に入ることになるから、残留応
力の測定に要する総時間は著しく短縮できる。
【0072】実施例3 本発明の金属部材の応力測定方法によれば、被測定金属
部材の残留応力を測定し、その測定値に基づいて金属部
材の疲労強度を算定することが可能となる。
【0073】特に金属部材がアルミニウム合金製部材で
ある時には、残留応力による疲労強度の算定を精度よく
行うことが可能である。
【0074】被測定金属部材として、鍛造材(A606
1)、鋳造材(AC4C)、急冷凝固粉末合金および複
合剤(SiC分散強化)の4種類のアルミニウム合金製
部材を選択した。これらの合金はそれぞれの特性上、ア
ルミニウム合金の全般的な傾向を代表するものである。
【0075】これらの各アルミニウム合金製部材に、シ
ョットピーニング(アークハイト量0.1〜0.2m
m)加工を施し、各表面部に残留(圧縮)応力を生成さ
せた。各部材は電解研磨法により表面から20μmの深
さまで研磨し、その部位における残留応力を実施例1ま
たは2の方法により測定する。
【0076】ところで、残留圧縮応力と疲労強度の向上
値とは互に相関関係があることが知られているが、特
に、アルミニウム合金の場合には図6に示すように、残
留圧縮応力と疲労強度の向上値とには直線的な関係が存
在する。
【0077】したがって、このようなアルミニウム合金
製部材が有する特性により、残留応力の測定値から疲労
強度の向上値USが容易に得られる。
【0078】一方、各アルミニウム合金製部材について
は、その部材ごとに疲労特性曲線が実測にもとづいて既
知となっていることから、この曲線により算定しようと
する繰返し数におけるその材料本来の疲労強度OSが得
られる。
【0079】その結果、次式により、例えばショットピ
ーニング加工により表面部を硬化したアルミニウム合金
製部材の疲労強度SSを算定することが可能である。
【0080】SS=OS+US なお、この実施例における、残留応力の測定にもとづく
疲労強度の算定の精度は、残留応力が最大値となる部位
において残留応力が測定される場合に最も向上すること
が明らかとなった。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜3の発
明に係る金属部材の応力測定方法によると、各回折X線
が示す強度ピークに含まれる検出強度値および検出ブロ
ードが、予め設定された設定強度値および設定ブロード
に対比して許容される被測定金属部材についてのみデー
タ処理を行うことにより、複数の角度からの入射に対応
する各回折X線の強度ピーク中に、設定ブロード以上の
ものが1点でもある時および設定レベルに対して一定条
件を満す検出強度値のものが限定数以上ない時はデータ
処理から排除される。したがって、回折X線の強度ピー
クの状態に拘らず、すべてのデータにつき演算すること
がないから測定を効率良く行うことができ、且つ信頼性
の高い測定ができる。
【0082】測定時の回折X線の強度ピークの測定デー
タの動向により、測定時における被測定金属部材への異
物付着を検知できる効果も併せ有する。
【0083】特に、請求項2の発明によると、金属部
材、特に車両強度部材として有用されるアルミニウム合
金部材の耐久性を精度良く算定することが可能となり、
車両等の軽量化または小型化に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】各X線入射角における回折X線の強度ピークが
良好な状態を示す図で、(A)は強度ピークがシャープ
な状態、(B)はその場合の強度値が均斉した状態をそ
れぞれ示す図である。
【図2】各X線入射角における回折X線の強度ピークが
不良な状態を示す図で、(A)は強度ピークがブロード
な状態、(B)はその場合の強度ピークの強度値が捕捉
できない状態をそれぞれ示す図である。
【図3】本発明の一実施例を示すフローチャートであ
る。
【図4】本発明の一実施例における要部の操作を示すフ
ローチャートである。
【図5】照射されるX線の各照射面積について、X線の
パルス数とX線勢力のバラツキとの関係を示すグラフで
ある。
【図6】アルミニウム合金製部材における残留圧縮応力
と疲労強度の向上値との関係を示すグラフである。
【図7】従来例における疲労強度測定用試験片の正面図
である。
【符号の説明】
1 残留応力生成部 2 切出し試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01L 1/00 G01N 23/20 G01L 1/25

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外力に起因して金属部材の表面部に生ず
    る残留応力をX線の照射により測定する金属部材の応力
    測定方法であって、X線入射を互に異る複数の角度から
    行い、且つ上記複数の角度からのX線入射における各回
    折X線の強度ピークを検出し、各角度ごとの回折X線の
    強度ピークが示す複数の検出強度値および検出ブロード
    予め設定された設定強度値および設定ブロードとそ
    れぞれ比較し、上記複数の検出強度値のうち設定強度値
    以上のものが所定数以上あり、且つ検出ブロードが設定
    ブロード未満である場合のみ残留応力を演算すること
    を特徴とする金属部材の応力測定方法。
  2. 【請求項2】 上記残留応力が測定される金属部材
    ルミニウム合金製部材であり、測定される残留応力から
    疲労強度の向上値を求めることにより疲労強度を算定す
    ることを特徴とする請求項1に記載の金属部材の応力測
    定方法。
  3. 【請求項3】 X線の照射条件として、被測定金属部材
    の測定領域に対応した照射面積が得られるコリメータを
    選択し、そのコリメータによる照射面積に相応したパル
    ス数のX線を設定することを特徴とする請求項1に記載
    の金属部材の応力測定方法。
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