JP2008232772A - 鋳物のx線残留応力測定方法 - Google Patents

鋳物のx線残留応力測定方法 Download PDF

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雅英 古川
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Abstract

【課題】鋳物にX線を照射してその残留応力を測定する方法にあって、信頼性の高い残留応力測定値を得ることができる鋳物のX線残留応力測定方法を提案する。
【解決手段】微細化ショット処理工程により鋳物1の表層部2の粗大結晶粒を微細化し、次の人工時効処理工程により該微細化ショット処理工程により生じた残留応力を除去した後、当該鋳物表層部2にX線を照射して残留応力を測定するようにした残留応力測定方法である。この方法によれば、粗大な結晶粒からなる鋳物1の樹枝状晶組織を、その表層部2で微細化することができるため、X線の回折現象を良好に生じさせることができ、正しい残留応力を安定して求めることができ得る。
【選択図】図3

Description

本発明は、鋳物の残留応力をX線を用いて測定する鋳物のX線残留応力測定方法に関するものである。
例えば自動車にあっては、軽量化でき、かつ製造時の成形性が良好である等の利点を有するアルミニウム合金が好適に用いられている。アルミニウム合金からなる自動車の構成部材として、ホイール(以下、自動車ホイールと言う)が良く知られている。そして、アルミニウム合金製の自動車ホイールは、鋳造成形により生産されるものが主流である。このようなアルミニウム合金の鋳物製品(例えば、自動車ホイール)には、その耐久性(疲労寿命)の向上を目的として、ショットピーニング加工等により残留応力を付与することが行われている。
ところで、上記のように残留応力を付与した場合にあって、該残留応力は耐久性を示す能力値として用いることができるため、残留応力を正確に測定することが求められている。残留応力の測定方法としては、例えば、実際の製品(以下、実製品と言う)に多数の歪ゲージを貼り付けた後に、当該自動車ホイールを切断することで解放される歪みを測定することにより行っている。この測定方法は、上記した自動車ホイールなどで適用されている。かかる測定方法は、多数の歪ゲージを貼り付けるため準備作業や実製品を切断する作業に比較的多くの作業時間を要すること、実製品を切断してしまうために製品ロスを生じること等の問題点がある。また、実製品を切断して壊してしまうことから、製品に応じて定められている耐久性試験による経時変化に伴う連続測定ができない。
上述した測定方法の他に、X線を用いた残留応力の測定方法が知られている(例えば、特許文献1)。このX線を用いた残留応力測定方法は、X線を照射し、その回折X線を検出することにより残留応力を測定する方法であるため、実製品を破壊することなく残留応力を測定できる所謂非破壊測定方法である。そのため、近年、製品の生産ラインで品質管理を行うための手段として利用されるようになってきている。
ここで、X線を用いた残留応力の測定方法としては、被測定対象物に、互いに異なる複数の入射角でX線を照射し、各入射角(ψ)毎に回折X線の最も高い強度(強度ピーク)となる回折角(2θ)を検出する。そして、回折角(2θ)と入射角(ψ)から換算したsinψとの関係を2θ−sinψ線図として表し、その傾きから残留応力を演算して求める。ここで、各入射角(ψ)毎の回折X線の強度を示す回折強度分布図(図1参照)に比較的鋭い凸状勾配の曲線が表れる場合には、その強度ピークとなる回折角(2θ)とsinψとを描く2θ−sinψ線図で、各入射角(ψ)毎のプロット点がほぼ直線状に列ぶ(図2参照)。この場合には、2θ−sinψ線図の傾きから適正な残留応力を求めることができる。
特許2833675号公報
ところが、上記した自動車ホイールのようにアルミニウム合金を鋳造成形してなる鋳物に対して、上述したX線を用いた残留応力の測定方法を実施した場合には、各入射角(ψ)毎の回折強度を示す回折強度分布図に凸状勾配を有する曲線が表れず(上記特許文献1の図2参照)、その強度ピークとなる回折角(2θ)の検出が難しい。そして、2θ−sinψ線図では、各入射角(ψ)毎のプロット点が散乱して表示されてしまい(図8参照)、直線状とならないために、正しい残留応力を求めることができない。
これは、アルミニウム合金の鋳物は、その鋳造組織が比較的粗大な結晶粒による樹枝状晶組織が主体であり、該組織が成長方向に引き延ばされた方向性を有する集合組織であることが原因である。すなわち、結晶粒が粗大であるためにその粒数も少なく、かつ該結晶が配向性を有していることから、結晶格子面で散乱するX線の回折現象が顕著に生じず、X線入射角に対応する回折X線が乱れてしまうために、回折強度分布図では回折強度の最大値がブロードとなり且つ散乱する(上記特許文献1の図2参照)。
このように鋳物の残留応力をX線を用いて測定しても、正しい残留応力を求めることができず、また、例え2θ−sinψ線図から最小二乗法等を用いて傾きを算出しても(図8参照)、信頼性に乏しい残留応力しか得られない。そのため、X線を用いた残留応力の測定方法を、鋳物の生産ラインで品質管理を行うための手段として利用することができない。しかし、X線を用いた残留応力の測定方法は、上記したように非破壊測定方法であるため、鋳物の残留応力を測定することに適用して、充分に信頼できる測定結果(残留応力の測定値)を得ることが求められている。
本発明は、鋳物の残留応力を測定する方法として、信頼性の高い測定結果を得ることのできる鋳物のX線残留応力測定方法を提案するものである。
本発明は、鋳物の表層部にショット粒を衝突させることにより、前記表層部の樹枝状晶の粗大結晶粒を微細化する微細化ショット処理工程と、前記微細化ショット処理工程により鋳物表層部に生じた残留応力を除去する人工時効処理工程とを行った後に、前記表層部に、X線を互いに異なる複数の入射角度により照射し、各回折X線の強度ピークが示す回折角を夫々検出することにより残留応力を測定するようにしたことを特徴とする鋳物のX線残留応力測定方法である。
かかる方法にあっては、鋳物の表層部にショット粒を衝突させる微細化ショット処理工程を実施することによって、該鋳物表層部の樹枝状晶組織の粗大結晶粒を微細化する。次に、当該鋳物を所定温度に加熱保持する人工時効処理を実施することによって、前記微細化ショット処理工程により鋳物表層部に付与された残留応力のみを除去する。その後に、鋳物表層部にX線を入射し回折X線を測定すると、各入射角毎の回折強度を示す回折強度分布図が比較的鋭い凸状勾配を有する曲線(以下、回折強度曲線)として表現される。この回折強度曲線に明確な強度ピークが表れるため、該強度ピークを示す回折角と入射角とから描いた2θ−sinψ線図では、各入射角毎のプロット点がほぼ直線状に列ぶことから、この傾きから正しい残留応力を演算して求めることができる。このように、回折X線の強度ピークを示す回折角を正確に検出できることから、該回折角から残留応力を正確かつ安定して求めることができ、充分に信頼できる残留応力の測定値を得ることができ得る。
鋳物は、上述したように、その鋳造組織が粗大な結晶粒を配向した集合組織となっている。この鋳物に、微細化ショット処理工程を実施することにより、前記組織の粗大結晶粒を微細化する。このように鋳物表層部の鋳造組織を微細化することによって、X線を照射した際に、上述した集合組織による回折X線が乱れてしまう現象を抑制することができ、結晶格子面で回折現象を良好に生じさせることができ得る。そのため、上記したように、回折強度分布図に比較的鋭い凸状勾配を有する回折強度曲線が表れ、回折強度の強度ピークを示す回折角を正確に検出することができる。
そして、上記した微細化ショット処理工程後に人工時効処理工程を実施して、該微細化ショット処理工程により鋳物表層部に生じた残留応力を除去することにより、その後にX線を用いて残留応力を測定することで、微細化ショット処理工程前に鋳物が有していた残留応力を求めることができる。
上記した微細化ショット処理工程としては、上記した鋳造組織の粗大結晶粒を微細化することができる処理を行うようにしていれば良い。この処理工程の条件として、ショット粒の大きさ(粒径)とショット速度との影響が比較的大きい。ショット粒にあっては、微細なものを使用することにより、鋳物表層部にほぼ均一にショット粒を衝突させることができるため、該表層部の結晶をほぼ均一に微細化することができる。そのため、ショット粒を衝突した領域でほぼ均一な残留応力を測定することができる。逆に、ショット粒が大きくなるに従って、微細化した粒子が不均一に生じ易くなるため、残留応力を測定する安定性が低減する傾向となる。一方、ショット速度を高速とすることにより、表層部の粗大結晶粒を微細化する効果が高くなるため、残留応力の測定精度が向上する。逆にショット速度が低速化するに従って、結晶粒を充分に微細化することができず、残留応力を測定する安定性が低減する傾向となる。以上のことから、微細化ショット処理工程は、微細ショット粒を高速で衝突させる所謂高速微細ショット処理を行う工程とすることが好適に用い得る。
このような高速微細ショット処理を行う工程では、通常のショットブラスト加工に比して、微細なショット粒を高速で衝突するようにしていることから、鋳物の表面に生じる凹凸が極小さく、表面ダメージが小さいという利点も有する。
尚、微細化ショット処理工程のショット粒径やショット速度などの処理条件は、鋳物の金属によって適宜設定され得る。例えば、アルミニウム合金の鋳物にあっては、後述する条件とすることにより、残留応力を正確かつ安定して測定することができる。
本発明にあっては、微細化ショット処理工程を行った領域の残留応力を測定できることから、特定の一部位のみを測定部位としたり、複数部位を測定部位として設定して夫々の残留応力を測定することも可能である。すなわち、製品に応じて残留応力の測定部位を設定することができる。
本発明にあっては、鋳物の残留応力をX線を用いて測定する方法として、信頼性の高い測定結果を得られる方法であり、鋳造製品の生産ラインにあって品質管理をする手段として活用することができ得る。また、本発明は、上述した従来の、実製品に歪ゲージを貼り付けて破壊して残留応力を測定する方法のように、歪ゲージを貼る作業や破壊する作業を必要としないため、前記品質管理にかかる作業性を大きく改善することができ、総じてコスト低減もでき得る。さらに、本発明は非破壊で測定する方法であるから、当然ながら、残留応力の測定するために要する製品ロスがない。また、上記したように微細化ショット処理工程を実施する部位を複数箇所設定することにより、各部位の残留応力を測定できるため、多数部位について測定する場合にも、上記した従来の破壊方法に比して、測定に要する時間を短時間化することができ得る。さらにまた、非破壊で測定するため、耐久性試験を行うことで生じる経時変化を、該経時変化に伴う残留応力を測定することにより確認することが可能である。
上述した鋳物がアルミニウム合金鋳物であって、微細化ショット処理工程は、粒径0.1mm以上かつ1.0mm以下の微細ショット粒を、ショット速度60m/s以上で鋳物表層部に衝突させることにより実施するようにしたX線残留応力測定方法が提案される。
かかる方法の微細化ショット処理工程を実施することにより、アルミニウム合金鋳物の表層部組織を、その結晶粒がほぼ均一に微細化した形態とすることができる。そのため、X線の照射による回折現象が安定して良好に生じ、比較的鋭い凸状勾配を有する回折強度曲線が一層適正に表現される。したがって、X線の回折現象から求める残留応力の測定値を、ばらつき(分散性)も小さく安定して得ることができ、その信頼性も極めて高い。
尚、ショット速度を上げるに従って微細ショット粒を射出するための出力(射出装置の出力容量)が大きくなる傾向にある。そのため、微細化ショット処理工程を効率的に実施するために、ショット速度は200m/s以下とすることが好適である。さらには、鋳物表層部を微細化することを一層効率的に行うために、ショット速度を100m/s以上かつ150m/s以下の範囲とすることが好適に用い得る。
上述した鋳物がアルミニウム合金鋳物であって、人工時効処理工程は、その加熱温度を120℃以上かつ180℃以下とし、該加熱温度で保持する保持時間を30分間以上かつ60分間以下として実施するようにしたX線残留応力測定方法が提案される。
かかる方法の人工時効処理工程を実施することにより、その前工程の微細化ショット処理工程により生じた残留応力のみを安定して除去できる。そのため、その後のX線を用いて残留応力を測定すれば、微細化ショット処理工程前にアルミニウム合金鋳物が有していた残留応力を安定して正確に測定することができ得る。ここで、120℃より低温では、微細化ショット処理工程による残留応力を充分に除去できないと共に、除去量も不安定であるため、残留応力を安定して測定できない。また、180℃より高温では、アルミニウム合金鋳物の析出相が変化してしまい、残留応力が不安定となる。また、処理時間が短くなれば、残留応力を充分に除去できず、逆に処理時間が長くなれば、時効の進行が進み、残留応力が不安定となりやすい。
尚、人工時効処理としては、140℃以上とする場合には処理時間を30分とすることが好ましい。
本発明は、微細化ショット処理工程により鋳物表層部の粗大結晶粒を微細化し、次の人工時効処理工程により該微細化ショット処理工程により生じた残留応力を除去した後、当該鋳物表層部にX線を照射して残留応力を測定するようにした鋳物のX線残留応力測定方法であるから、表層部の微細化した結晶粒によって回折X線が良好に生じるため、回折強度の強度ピークとなる回折角を正確に求めることができ、正しい残留応力を測定することができ得る。このように本発明の方法は、鋳物の残留応力を測定する方法として高い信頼性を有する。また、本発明は、非破壊により残留応力を正しく測定する方法であるから、耐久性試験によって生じる経時変化を、該経時変化に伴う残留応力を測定することにより確認できる。また、鋳造製品の生産ラインにあって品質管理をする一手段として活用することができ、上述した従来の製品を破壊して測定する方法に比して、測定作業の効率化してコスト低減も可能である。さらに、微細化ショット処理工程での処理領域を設定することにより、特定部位の残留応力を測定することが可能である。
鋳物がアルミニウム合金鋳物であって、微細化ショット処理工程は、粒径0.1mm以上かつ1.0mm以下の微細ショット粒を、ショット速度60m/s以上で鋳物表層部に衝突させることにより行うようにした場合には、アルミニウム合金鋳物の表層部組織を、その結晶粒がほぼ均一に微細化した形態とすることができるため、X線の回折現象が良好に生じ、正しい残留応力を安定して求めることができる。
鋳物がアルミニウム合金鋳物であって、人工時効処理工程は、その加熱温度を120℃以上かつ180℃以下とし、該加熱温度で保持する保持時間を30分間以上かつ60分間以下として行うようにした場合には、その前工程の微細化ショット処理工程により生じた残留応力のみを安定して除去できるため、微細化ショット処理工程前にアルミニウム合金鋳物が有していた残留応力を正確かつ安定して測定することができ得る。
本発明の実施例を添付図面を用いて詳述する。
X線による残留応力測定方法は2θ−sinψ法を用いる。この測定方法は、上述したように、被測定対象物に複数の入射角でX線を照射し、各入射角(ψ)毎に回折X線の最も高い強度となる回折角(2θ)を検出し、各回折角(2θ)と入射角(ψ)から換算したsinψとの関係を示す2θ−sinψ線図にプロットして、そのグラフの傾きから残留応力を演算して求める方法である。
上記の2θ−sinψ法には、ゴニオメータを用いる。このゴニオメータは、X線管球を回転走査することにより、複数の入射角でX線を照射し、回折X線を受信する。そして、回折X線から回折強度のピークとなる回折角を求めて、上記した2θ−sinψ線図を得ることにより、残留応力を演算して求める。
ここで、本実施例にあっては、X線管球にはCr−Kαを用い、照射領域3(図3参照)を2×2mmとして設定している。
尚、2θ−sinψ法は、従来から用いられている残留応力を求める手法であり、その詳細については省略する。また、上記したゴニオメータは、一般的に用いられているものを使用することができ、その詳細は省略する。
一方、本実施例では、被測定対象物として、シルミン系のアルミニウム合金を鋳造成形したアルミニウム合金鋳物1(図3参照)を用いている。そして、このアルミニウム合金鋳物1から50mm角の平板状に試験片を切り出し、X線残留応力測定方法に供している。尚ここで、シルミン系のアルミニウム合金は、自動車の様々な部材(製品)に汎用されている材料である。
実施例1は、アルミニウム合金鋳物1(図3参照)から切り出した50mm角の試験片に、微細化ショット処理工程を実施し、次に人工時効処理工程を実施する。その後、上記したゴニオメータによりX線を照射して回折X線を検出し、2θ−sinψ法により残留応力を測定する。
ここで、微細化ショット処理工程は、粒径0.2mmの鋼球(微細ショット粒)を、ショット速度100m/sの高速で射出することにより、上記した試験片の表面に衝突する。鋼球を射出するショット時間は8秒間に設定している。この微細ショット処理工程は、所謂高速微細ショット処理により行う工程である。また、人工時効処理工程は、加熱温度を140℃とし、該加熱温度で保持する保持時間を30分間として設定している。すなわち、人工時効処理工程は、試験片を140℃に設定した加熱炉内に30分間保持しておくことにより熱処理している。
上記したゴニオメータにより測定した回折強度分布図を、図1に示す。この図1には、X線の入射角ψを複数変更した場合にあって、一入射角を代表例としてその回折強度曲線のみを図示している。すなわち、本来の回折強度分布図としては、この回折強度曲線が入射角ψ毎に複数本表示される。図1の回折強度曲線は、比較的鋭い凸状勾配を有しており、回折強度の最も高いピークが明確に表れており、該強度ピークの回折角2θを正確に読み取ることができる。図示しない他の入射角ψにおける回折強度曲線も同様である。そして、各回折強度曲線から回折強度の強度ピークを示す回折角2θを求め、図2に示す2θ−sinψ線図にプロットする。図2では、各入射角ψにおけるプロット点を最小二乗法により直線近似しており、各プロット点がほぼ直線状に列んでいることがわかる。この2θ−sinψ線図から傾きを算出して、残留応力を演算して求める。その結果、残留応力測定値は、18MPaであった。ここで、本実施例では、試験片のn数をn=5としており、各試験片間の測定値のばらつき(分散性)は±2MPaであり、安定していた。尚、各試験片は、同じアルミニウム合金鋳物1から切り出している。
本実施例1にあっては、上述したように、アルミニウム合金鋳物1に微細化ショット処理工程を実施し、次に人工時効処理工程を実施した後に、X線を用いて残留応力の測定を行っている。この微細化ショット処理工程後のアルミニウム合金鋳物1は、図3のように、その表層部2の結晶粒が粒径10μm以下でほぼ均一化している。このように表層部2の組織がほぼ均一に微細化することによって、その後のX線による回折現象を良好に生じさせることができる。尚、表層部2に対して、その内側では、結晶粒の粒径が大きく(0.1mm以上のものが主体)且つ粒径が不均一である。
すなわち、微細化ショット処理工程前では、アルミニウム合金鋳物1はその表層部2まで粒径0.1mm以上の粗大結晶粒が主体の樹枝状晶であり、この状態でX線を照射しても回折X線が散乱し強度ピークが不明確となってしまう。しかし、微細化ショット処理工程を実施することによって、表層部2の粗大結晶粒が微細化されてほぼ均一化するために、回折X線に明確な強度ピークが発現する。そのため、上述したように各入射角ψの強度ピークを示す回折角2θから描く2θ−sinψ線図は、ほぼ直線状となり、正しい残留応力を安定して求めることができる。
また、人工時効処理工程は、微細化ショット処理工程により生じた残留応力のみを除去するために行う。すなわち、微細化ショット処理工程後には、アルミニウム合金鋳物1が有する残留応力は、該微細化ショット処理工程前から有する残留応力と、微細化ショット処理工程により生じた残留応力とが合わさっているため、後者の残留応力のみを人工時効処理工程により除去するようにしている。人工時効処理工程後にX線を用いた残留応力の測定をすることによって、アルミニウム合金鋳物1が微細化ショット処理工程前から有する残留応力を測定できる。
ここで、人工時効処理工程では、140℃に加熱保持した加熱炉内に、上記した微細化ショット処理工程後の試験片を30分間保持することにより行う。これにより、微細化ショット処理工程により生じた残留応力はほぼ無視できる程度に除去できる。
尚、同じアルミニウム合金鋳物1から切り出した同形状の試験片に、歪ゲージを貼りつけて切断し、その切断後の歪から残留応力を測定した。このような従来方法から測定した残留応力は、上述した本実施例1で求めた残留応力とほぼ同じであった。このことから、本実施例1による鋳物のX線残留応力測定方法は、鋳物の残留応力を正しく測定できる方法であることが明らかである。
一方、本実施例1と比較するために、同じアルミニウム合金鋳物1から切り出した試験片に、上記した微細化ショット処理工程と人工時効処理工程とを実施せずに、ゴニオメータによりX線を照射して2θ−sinψ法により残留応力を測定している。この場合の2θ−sinψ線図を図8に示す。この2θ−sinψ線図では、各入射角ψに対応するプロット点が散乱しており、各プロット点は直線状とならない。これは、鋳物の鋳物組織が粗大な結晶粒が配向された集合組織であるために、該鋳物組織でX線の回折現象が乱れ、図示しない回折強度分布図が散乱して強度ピークが不明確となるためである。
この場合にあって、上記した2θ−sinψ線図に示した各プロット点を最小二乗法により直線近似して、その傾きから残留応力を測定すると66MPaとなった。これは、従来の歪ゲージを貼り付けて残留応力を測定した結果と全く異なっていた。さらに、この比較試験でも試験片のn数=5でおこなっており、その測定値のばらつきは±47MPaとなった。このように、上記した微細化ショット処理工程と人工時効処理工程とを実施せずに、アルミニウム合金鋳物1にX線を照射して残留応力を測定しても、正しい残留応力を測定できない。
上述したように、アルミニウム合金鋳物1の残留応力は、微細化ショット処理工程と人工時効処理工程とを順次行った後に、X線を用いて残留応力を測定する2θ−sinψ法により、正確かつ安定して求めることができる。本実施例1では、試験片を切り出して測定を行っているが、X線を用いた残留応力の測定方法は非破壊で行うことができるため、アルミニウム合金鋳物1の製品を破壊することなく、その残留応力を測定することができる。そのため、上述した従来方法のように製品に歪ゲージを貼り切断して残留応力を測定する方法に比して、残留応力の測定作業に要する作業者の負担を軽減することができ、且つ作業時間を短時間化することができる。また、残留応力を測定するための製品ロスも生じない。さらに、非破壊で残留応力を測定できるため、製品に応じた耐久性試験における残留応力の経時変化を測定することも可能である。
さらに、例えばアルミニウム合金鋳物1製の自動車ホイールにあっては、残留応力の測定部位を設定し、その部位にのみ微細化ショット処理工程を実施して、当該測定部位の残留応力を測定できる。尚、当然ながら、複数の測定部位を設定して、夫々の測定部位に微細化ショット処理工程を実施することにより、各測定部位の残留応力を夫々測定することも可能である。また、ドラム試験などの疲労寿命試験で、その経時変化に伴う残留応力の変化を測定することができる。また、微細化ショット処理工程は、通常のショットピーニング加工に比してショット粒が極めて微細であるため、表面の凹凸が小さく該表面のダメージも小さいという利点も有する。
本実施例1にかかる鋳物のX線残留応力測定方法によれば、上述したように、アルミニウム合金鋳物1の残留応力を正確かつ安定して測定することができ、信頼性の高い測定値を得ることができる。而して、鋳物の有する耐久性能(疲労寿命)を適正に推定することが可能である。
実施例2では、上記した微細化ショット処理工程のショット時間による残留応力測定値への影響を調べている。尚、本実施例2にあっては、微細化ショット処理工程を実施した後に、上述した実施例1の人工時効処理工程を実施せず、ゴニオメータによりX線を照射して2θ−sinψ法により残留応力を測定している。これは、人工時効処理工程を実施しないことによって、ショット時間の影響をできるだけはっきりさせるようにしているためである。
微細化ショット処理工程では、微細ショット粒をセラミックショット粒とし、該セラミックショット粒を衝突するショット時間を4秒、8秒、16秒、32秒に夫々設定している。このショット時間を変えた以外は、上述した実施例1と同じ処理条件としている。また、試験片についても、実施例1と同様のものを用いている。ここで、上記ショット時間毎の試験片のn数は、n=5としている。
図4に、ショット時間と残留応力測定値との関係を示す。また、図5に、ショット時間と、残留応力測定値のばらつき(絶対値)との関係を示す。尚、比較のために、上述した微細化ショット処理工程を実施しない場合(所謂、従来方法)についても、図4および図5中に表示している。
これらの結果から、ショット時間を8秒以上とすることにより、残留応力測定値をほぼ同程度の値で安定して得ることができると共に、試験片間の測定値のばらつきも±2MPaと極めて小さくなっている。このことから、微細化ショット処理工程のショット時間を8秒以上に設定することにより、その後のX線を用いた残留応力の測定によって高い信頼性を有する残留応力測定値を求めることが可能である。
ここで、ショット時間を8秒以上で行った後の試験片は、上述した実施例1と同様に、その表層部2の結晶粒が粒径約10μm以下となっており、ほぼ均一に微細化されている(図3参照)。すなわち、当該ショット時間を設定した微細化ショット処理工程を実施することによって、アルミニウム合金鋳物1の表層部2の結晶粒をほぼ均一に微細化できる。そのため、上述したように、この鋳物表層部2にX線を照射して得られる回折強度曲線が、比較的鋭い凸状勾配を成す曲線となり(図1参照)、その強度ピークが明確となるため、2θ−sinψ線図から残留応力を正確かつ安定して求めることからでき得る。
尚、ショット時間が4秒以下であると残留応力測定値の信頼性が低くなっているが、4秒を超えると、信頼性が高くなる傾向であると考えられる。そのため、ショット時間が4秒より長く8秒より短い範囲であっても、充分な信頼性を有する測定ができる可能性がある。特に、ショット粒径やショット粒の射出速度の条件を変更することにより、ショット時間が4秒より長く8秒より短い範囲であっても、結晶粒をほぼ均一に微細化できる場合もあり得る。
また、実施例2では、微細化ショット処理工程後に人工時効処理工程を実施していないが、上述したように人工時効処理工程が微細化ショット処理工程により生じた残留応力のみを除去するために行う処理であるから、該人工時効処理工程を実施しても、上記と同様のショット時間を設定することにより、X線を用いて残留応力を測定することによって充分に信頼できる残留応力の測定値を求めることができる。
実施例3では、微細化ショット処理工程における微細ショット粒のショット粒径による残留応力測定値への影響を調べている。尚、上述した実施例2と同様に、微細化ショット処理工程を実施した後に、人工時効処理工程を実施せず、ゴニオメータによりX線を照射して2θ−sinψ法により残留応力を測定している。
微細化ショット処理工程は、微細ショット粒をセラミックショット粒とし、そのショット粒径を0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.7mm、1.0mmに夫々設定している。このショット粒径を変えた以外は、上述した実施例1と同じ処理条件としている。また、試験片についても、実施例1と同様のものを用いている。また、各ショット粒径毎の試験片のn数は、n=5としている。
図6に、ショット粒径と、残留応力測定値のばらつき(絶対値)との関係を示す。この結果、ショット粒径が0.05mmの場合には測定値のばらつきが大きく、0.1mm以上で測定値のばらつきが小さく且つ安定していることがわかる。そして、ショット粒径1.0mm以上では、ばらつきが大きくなることがわかる。これは、ショット粒径を0.1mm〜0.7mmとすることにより、鋳物表層部2の結晶粒を粒径約10μmでほぼ均一に微細化することができるためである(図3参照)。このように結晶粒をほぼ均一に微細化できることから、回折強度曲線が比較的鋭い凸状勾配を成す曲線となり、強度ピークが明確となるため、2θ−sinψ線図から正しい残留応力を安定して演算することができる。したがって、微細化ショット処理工程は、ショット粒径を0.1mm〜0.7mmの範囲で使用することにより、X線を用いて残留応力を測定することによって充分に信頼できる残留応力測定値を求めることができる。
これに対して、ショット粒径が0.05mm以下および1.0mm以上の場合では、鋳物表層部の結晶粒が粒径10〜100μmで不均一であり、不揃いな組織となっているために、残留応力の測定値が安定しない。
尚、各ショット粒径における残留応力測定値は、いずれもほぼ同等の値であった(図示省略)。しかし、ショット粒径が0.05mm以下と1.0mm以上の各場合では、回折X線が乱れやすく、回折強度曲線の強度ピークが不明確となるため、上記のように残留応力測定値のばらつきが大きくなってしまう。
ここで、ショット粒径は、1.0mm以上となると残留応力測定値の信頼性が低くなるが、0.7mm〜1.0mmの範囲であっても、充分な信頼性を有する測定ができる可能性がある。また、ショット時間やショット粒の射出速度を変えることにより、結晶粒をほぼ均質に微細化するために必要なショット粒径の範囲も若干変わると考えられる。以上のことから、ショット粒径としては0.1mm以上かつ1.0mm以下の範囲とすることが良いと言える。さらには、ショット粒径を0.1mm以上かつ0.6mm以下の範囲が好適であり、一層信頼性の高い測定をすることができる。
この実施例3では、微細化ショット処理工程後に人工時効処理工程をおこなっていないが、上述した実施例2と同様、該人工時効処理工程を実施しても、同様にショット粒径を設定することにより、充分に信頼できる残留応力の測定値を求めることができる。
実施例4では、微細化ショット処理工程のショット速度による残留応力測定値への影響を調べている。尚、上述した実施例2と同様に、微細化ショット処理工程を実施した後に、人工時効処理工程を実施せず、ゴニオメータによりX線を照射して2θ−sinψ法により残留応力を測定している。
微細化ショット処理工程では、微細ショット粒として粒径0.2mmの鋼球を用い、ショット時間を60秒に設定している。そして、ショット速度を50m/s、60m/s、100m/s、150m/s、200m/sに夫々設定している。試験片については、上述した実施例1と同様のものを用いている。また、各ショット速度毎の試験片のn数は、n=5としている。
各ショット速度による微細化ショット処理工程後に残留応力を測定した結果、ショット速度が60m/s以上の場合は、残留応力の測定値は安定しておりかつ試験片間の測定値のばらつきも±2MPaであり極めて小さくなっていた(図示省略)。これに対して、50m/sの場合には残留応力の測定値が安定せず大きくばらついていた。このショット速度が60m/sの場合と50m/sの場合との表層部を比較すると、60m/sでは結晶粒が粒径10μ以下でほぼ均一な組織となっており、また、50m/sでは粒径10〜100μmで不均一であり且つ不揃いな組織となっている(図示省略)。このため、60m/sでは正しい残留応力を求めることができ、50m/sでは正しい残留応力を求めることが難しいと判断できる。
ここで、ショット速度が200m/sを超える範囲では試験を行っていないが、ショット速度が高くなるにしたがって、結晶粒を微細化できると考えられるため、200m/s以上でも正しい残留応力を求めることができる。
以上のことから、微細化ショット処理工程では、そのショット速度を60m/s以上として設定することにより、鋳物表層部2の結晶粒をほぼ均一に微細化することができるため、正しい残留応力を求めることができ得る。さらには、ショット速度を100m/s以上かつ150m/s以下の範囲とすることが好適に用い得る。これにより、表層部2の結晶粒の微細化をより適正にすることができると共に、微細化ショット処理工程を実施する際に微細ショット粒を射出するための出力(射出装置の射出力)を抑制でき、効率的に処理を行うことができる。
この実施例4では、微細化ショット処理工程後に人工時効処理工程を実施していないが、上述した実施例2と同様に、人工時効処理工程を行っても同様にショット速度を設定することにより、充分に信頼できる残留応力の測定値を求めることができる。
実施例5は、微細化ショット処理工程により生じた残留応力のみを除去するための、人工時効処理工程の熱処理条件を調べている。すなわち、上述した実施例2〜4は、微細化ショット処理工程により生じた残留応力が付加された状態で、X線を照射して残留応力を測定していたため、アルミニウム合金鋳物1(試験片)が微細化ショット処理工程(本発明にかかる鋳物のX線残留応力測定方法)の実施前に有している残留応力を測定していることになっていない。そのため、人工時効処理工程により微細化ショット処理工程で生じた残留応力のみを除去し、表層部の結晶粒を微細化しただけの状態として、該微細化ショット処理工程前の残留応力を測定する。
本実施例では、微細化ショット処理工程の処理条件を、微細ショット粒を粒径0.2mmのセラミックショット粒とし、ショット速度を100m/sとし、ショット時間を8秒とするように設定している。また、試験片については、上述した実施例1と同様のものを用いている。また、上述した実施例1と同様に、人工時効処理の後に、ゴニオメータによりX線を照射して2θ−sinψ法により残留応力を測定している。
一方、人工時効処理工程としては、所定加熱温度に保持した加熱炉内に、微細化ショット処理工程を実施した試験片を所定時間保持することにより行う。ここで、本実施例では、加熱温度を80℃、100℃、120℃、140℃、180℃の夫々に設定し、各加熱温度に保持する保持時間を30分間として設定している。さらに、加熱温度を120℃とし、保持時間を60分間とした場合についても調べている。尚、人工時効処理工程の各処理条件に供した試験片のn数は、n=5としている。
人工時効処理工程後に、X線を用いて残留応力を測定した結果を図7に示す。この結果から、加熱温度が120℃〜180℃の範囲では、残留応力の測定値が安定して求められている。そして、この範囲の残留応力の測定値は、上述した従来の歪ゲージを貼り付けた後に切断して応力を解放して測定した残留応力の値とほぼ同じとなった。また、120℃で60分間とした場合にあっても、同様の結果となった。このことから、加熱温度が120℃以上且つ180℃以下の範囲とし、処理時間を30分間として設定した人工時効処理工程を実施することによって、微細化ショット処理工程により生じた残留応力のみを除去できることがわかる。また、120℃で60分間とした場合にも、同様の結果を示している。
ここで、加熱温度が高くなるに従って、アルミニウム合金鋳物1では、その組織構成内の時効素を含めた析出相の変化が活発化する傾向にある。そのため、180℃を超える加熱温度で熱処理すると、アルミニウム合金鋳物1の残留応力測定値が安定し難くなる。また、保持時間が長くなっても同様の傾向となる。また、加熱温度を低くすれば、保持時間を長くしなければ、残留応力を除去する効果を充分に発揮できない。そのため、本発明のX線残留応力方法により鋳物製品の品質管理を行う場合を想定すれば、その測定を迅速に行うことが求められることから、人工時効処理工程の加熱時間は120℃以上とすることが良い。これらのことから、人工時効処理工程の処理条件としては、加熱温度を120℃以上且つ180℃以下とし、保持時間を30分間以上且つ60分間以下としている。尚、120℃の場合にも180℃と同様に微細化ショット処理工程で生じた残留応力のみを除去できることから、加熱温度120℃で保持時間30分〜60分間とする条件が好適に用いられる。
このように微細化ショット処理工程によりアルミニウム合金鋳物1の表層部2の樹枝状晶をほぼ均一に微細化し、次に人工時効処理工程により該微細化ショット処理工程で生じた残留応力のみを除去できることから、その後にゴニオメータでX線を照射して2θ−sinψ法により残留応力を測定することによって、鋳物の残留応力を正確かつ安定して測定することができ、上述した実施例1で示した作用効果が適正に発揮され得る。したがって、当該鋳物の有する耐久性能(疲労寿命)を適正に推定することが可能である。
本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の範囲内で適宜変更することは勿論可能である。例えば、アルミニウム合金鋳物1の他に、銅鋳物やニッケル鋳物などのように他の金属鋳物にも適用可能である。
実施例1の、微細化ショット処理工程と人工時効処理工程とを順次実施した後に測定した回折X線の回折強度曲線を例示する測定図である。 実施例1の2θ−sinψ線図である。 微細化ショット処理工程後の、アルミニウム合金鋳物1の表層部2の拡大断面写真である。 実施例2の、微細化ショット処理工程のショット時間と残留応力の測定値との関係を示す測定図である。 実施例2の、微細化ショット処理工程のショット時間と残留応力測定値のばらつきとの関係を示す測定図である。 実施例3の、微細化ショット処理工程のショット粒径と残留応力測定値のばらつきとの関係を示す測定図である。 実施例5の、人工時効処理の処理温度と残留応力の測定値との関係を示す測定図である。 微細化ショット処理工程を実施せずに、アルミニウム合金鋳物にX線を照射して得た2θ−sinψ線図である。
符号の説明
1 アルミニウム合金鋳物(鋳物)
2 表層部
3 照射領域

Claims (3)

  1. 鋳物の表層部にショット粒を衝突させることにより、前記表層部の樹枝状晶の粗大結晶粒を微細化する微細化ショット処理工程と、
    前記微細化ショット処理工程により鋳物表層部に生じた残留応力を除去する人工時効処理工程とを行った後に、
    前記表層部に、X線を互いに異なる複数の入射角度により照射し、各回折X線の強度ピークが示す回折角を夫々検出することにより残留応力を測定するようにしたことを特徴とする鋳物のX線残留応力測定方法。
  2. 鋳物がアルミニウム合金鋳物であって、
    微細化ショット処理工程は、粒径0.1mm以上かつ1.0mm以下の微細ショット粒を、ショット速度60m/s以上で鋳物表層部に衝突させることにより実施することを特徴とする請求項1に記載の鋳物のX線残留応力測定方法。
  3. 鋳物がアルミニウム合金鋳物であって、
    人工時効処理工程は、その加熱温度を120℃以上かつ180℃以下とし、該加熱温度で保持する保持時間を30分間以上かつ60分間以下として実施することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋳物のX線残留応力測定方法。
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