JP2830964B2 - 広帯域ランダム周波数超音波発生装置 - Google Patents

広帯域ランダム周波数超音波発生装置

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JP2830964B2
JP2830964B2 JP4198015A JP19801592A JP2830964B2 JP 2830964 B2 JP2830964 B2 JP 2830964B2 JP 4198015 A JP4198015 A JP 4198015A JP 19801592 A JP19801592 A JP 19801592A JP 2830964 B2 JP2830964 B2 JP 2830964B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広帯域ランダム周波数
の超音波を発生する装置に係わり、特に、装置の小型化
と低消費電力化に好適な広帯域ランダム周波数超音波発
生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】パルス超音波を水中に放射し、標的(水
底、魚群など)からの反射音波を受信して標的の有無、
距離、方向などを検出する水中超音波応用装置がある。
通常、これらの装置に使用される超音波は、装置ごとに
異なる特有の単一周波数のものが用いられるが、このほ
か単一周波数だけではなく、2周波数とか3周波数など
複数の周波数の超音波を用いる装置も利用されており、
また、周波数変調を行う場合もある。
【0003】一方、以上に述べた特有周波数を取り扱う
装置だけでなく、広帯域周波数の超音波を発生させる装
置も利用されている。この場合、規定された周波数帯域
にわたって単一周波数のスペクトラムを時間的に均一化
したものとなるようランダム周波数の超音波を発生させ
る。これらの装置は、広帯域雑音発生を目的に利用され
たり、また、受信周波数の異なる多数の受信装置への同
時情報伝達のために利用される。
【0004】超音波を発生する方法については、例えば
文献「やさしい超音波工学(川端昭著、工業調査会発
行)」などに詳しく述べられているが、以下に簡単に説
明する。なお、振動子材料としては、チタン酸バリウ
ム、ジルコン酸・チタン酸鉛などの圧電セラミック材料
が多用されている。図4に示すように、圧電セラミック
を使用した圧電振動子9の電気的等価回路は、容量10
0(Cd)、容量102(C1)、インダクタンス101
(L1)及び抵抗103(R1)により表すことができ
る。圧電振動子9の2端子間アドミッタンス特性は、詳
しくは前述の文献等に述べられているが、例えば図5に
示すようになる。すなわち、圧電振動子9の2端子間ア
ドミッタンスが最大及び最小となる周波数(それぞれ共
振周波数、反共振周波数と呼ぶ)が存在し、図において
frが共振周波数、faが反共振周波数である。これらに
対応した角周波数をωr,ωaとすると、ωr,ωaは次式
により求められる。
【0005】
【数1】
【0006】
【数2】
【0007】この圧電振動子9を駆動する方法として
は、図4の電気的等価回路に示した容量100(Cd)
と共振する共振型駆動回路方式が多用されている。この
とき、その共振周波数は当然faとするのが駆動回路と
しては効率的である。これにより、単一周波数の超音波
が発生する。
【0008】しかしながら、本発明が係わる広帯域な周
波数の超音波を発生させる方法としては、上記した図5
に示される共振特性は障害となる。すなわち、対象とす
る周波数帯域内にfr,faが存在すると、発生する超音
波の音圧レベルの周波数に対する変動が大きくなるとい
う問題が生じる。また、対象とする周波数帯域外にf
r,faがくるようにすると、共振周波数帯域より遠くは
ずれる帯域における音圧レベルが小さくなり、特に、発
生する周波数が広帯域の場合には、これが顕著になると
いう問題がある。この問題の解決策の一つとして、振動
子の構成方法を工夫して広帯域化する方法が考えられて
いる(例えば、「音響整合板を有する広帯域ハイパワー
水中超音波トランスジューサ」、海洋音響研究会論文
集、昭和63年5月)。ただし、この方法による広帯域
化には限界があり、使用周波数範囲が限られる。
【0009】また別の解決策の一つとして、広帯域周波
数超音波発生装置をそれぞれ共振周波数の異なる複数個
の振動子を用いて構成し、これらの振動子を同時に駆動
するという公知の技術がある。この技術を具体化した装
置の例を図6に示す。図6において、ランダム周波数信
号発生器104にて広帯域な周波数成分をもつ信号を発
生させ、この信号をバンドパスフィルタ111〜114
により周波数帯域分割して、対応する帯域の駆動回路1
21〜124に加え、振動子131〜134より広帯域
な超音波を発生させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のうち、
音響整合板による広帯域化は、例えば20kHzから6
0kHzと高域と低域の帯域幅比が3程度を限界とす
る。従って、この比が3以上を必要とする場合には、こ
の技術では対応ができない。
【0011】一方、従来の複数個の振動子を備えて構成
した超音波発生装置においては、複数の駆動回路を同時
に動作させるため、必要とする電力が大きくなるという
問題がある。すなわち、周波数帯域が広がると、それに
比例して駆動回路数が増え、それに伴って必要とする電
力及び電力消費量が増えることになる。このことは、装
置の小型化と低消費電力化を進めるに際し障害となるの
で、この障害を取り除くことが大きな課題となる。
【0012】本発明の目的は、上記課題を解決し、装置
の小型化と低消費電力化が可能な広帯域ランダム周波数
超音波発生装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、複数個の振動子を備えた広帯域ランダム周
波数の超音波を発生する装置において、該複数個の振動
子を時分割にて駆動するようにしたものである。
【0014】
【作用】上記構成により、時分割によって分割された時
間内においてランダム周波数帯域を狭くすることが可能
となり、超音波発振のエネルギーは周波数帯域が狭くな
った分だけ小さくなるため、駆動回路の消費電力は小さ
くなる。以下に、その理由を説明する。説明を簡単にす
るため、帯域全域でスペクトラムレベルが同一と考え、
このスペクトラムレベルをSPL(dB)とすると、周
波数帯域幅W(Hz)の帯域レベルBL(dB)は次式で
表される。
【0015】
【数3】
【0016】ただし、音圧レベルの0dBは1μPaを基
準とする。式(3)から、周波数帯域幅Wを小さくする
と、音圧(レベル)パワーがそれに伴って減少すること
は明らかである。
【0017】一方、分割された時間単位では、周波数帯
域の狭い超音波が発生することになるが、このことは、
この分割時間間隔が狭ければ、実用上なんら障害とはな
らない。その理由は、一般的に、超音波を受信するシス
テムにおいては、ある時間間隔に受信した超音波エネル
ギーを積分して、その有無を弁別する方式をとっている
ためである。すなわち、この受信システムの受信時間長
よりも短い時間内においてすべての帯域の超音波が発生
するように分割時間を設定しておけば、実用上の問題は
発生しない。一般的に、この受信時間は100ミリ秒〜
1秒であるので、上記の設定は通常の技術で十分実現可
能である。
【0018】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。図1は該実施例の広帯域ランダム周波数超音波発
生装置の構成を示すブロック図である。図において、ラ
ンダム周波数信号発生器1から広帯域な周波数成分をも
つ信号を発生させ、この信号をバンドパスフィルタ21
〜24により周波数帯域を分割する。そして、バンドパ
スフィルタ21〜24の後段にそれぞれスイッチ31〜
34を設け、このスイッチ31〜34を時分割にて開閉
させて、帯域ごとの信号を順次対応する駆動回路41〜
44に加え、振動子51〜54によりランダム周波数の
超音波を発生させる。なお、図中、6はスイッチの選択
開閉制御を行うタイミング制御回路である。
【0019】図2に、上記スイッチの開閉のタイミング
の一例を示す。まず、スイッチ31(Sw(1))が閉
じることにより、振動子51がf11〜f12の帯域のラン
ダム周波数の超音波を発生する。次いで、スイッチ31
が開放すると同時にスイッチ32(Sw(2))が閉
じ、振動子52がf21〜f22の帯域のランダム周波数の
超音波を発生する。以下同様に、スイッチ33(Sw
(3))、スイッチ34(Sw(n))が順次閉じてい
く。この様子を時間軸で表したのが図2である。
【0020】上記の関係を周波数領域で示すと、例えば
図3のようになる。図3は、広帯域超音波の周波数の下
限をf11、上限をfn2とし、f11〜fn2の間をn分割し
た例である。例えば、図2の例で示すSw(1)の閉じ
ている間に、1/n帯域幅、すなわち図3に示すf11
12の超音波を発生させ、以下順次、f21〜f22,f31
〜f32,……,fn1〜fn2の超音波を時分割で発生させ
ることにより、f11〜fn2の帯域の超音波を実用上問題
のない時間内で発生させることができる。なお、上記の
例えばf11〜f12の帯域幅は、必要な全体帯域幅f11
fn2のちょうどn等分の1でなくてもよく、実用範囲内
で、例えばf11〜f12とf21〜f22,……,fn1〜fn2
を異なる帯域幅とすることもできる。
【0021】前述の図1に示した構成は、本発明の一つ
の実施例を示したものであり、これ以外の構成もいろい
ろと考えられる。例えば、スイッチ31〜34を置く位
置については、図1に示す位置のほか、バンドパスフィ
ルタ21〜24の前段に置くことや、駆動回路41〜4
4の後段に置くことも可能であり、いずれの場合も全く
同じ機能が得られる。
【0022】また、図1において、各スイッチ31〜3
4はタイミング制御回路6により決められた切換えタイ
ミングで開閉するが、そのタイミングは図2に示す順番
どおりのもののみに限定されるものではなく、このタイ
ミング順序もランダムとすることができる。さらに、同
一時刻において開閉するスイッチを一つだけに限定する
必要はなく、同時に二つあるいは三つなど複数のスイッ
チの開閉を行うことも可能である。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、ランダム周波数帯域を
複数に分割し、複数個の振動子を用いて超音波を発生さ
せることによって、従来の単一振動子の広帯域化だけで
は達成できない広帯域なランダム周波数の超音波を発生
できるとともに、ランダム周波数帯域を時分割化して超
音波を発生させることにより、装置の小型化と消費電力
の低減に顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による広帯域ランダム周波数超音波発生
装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すスイッチ31〜34の開閉のタイミ
ングの一例を示す図である。
【図3】該実施例における広帯域超音波の音圧レベル・
周波数特性の一例を示す図である。
【図4】圧電振動子及びその電気的等価回路を示す図で
ある。
【図5】圧電振動子のアドミッタンス・周波数特性を示
す図である。
【図6】従来の広帯域ランダム周波数超音波発生装置の
構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…ランダム周波数信号発生器 21〜24…バンドパスフィルタ 31〜34…スイッチ 41〜44…駆動回路 51〜54…振動子 6…タイミング制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−113098(JP,A) 特開 平4−250390(JP,A) 特開 平3−107204(JP,A) 特開 平4−301783(JP,A) 特開 昭53−35571(JP,A) 特開 平1−308987(JP,A) 特開 平2−40582(JP,A) 特開 平2−238386(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01S 3/80 - 3/86 G01S 5/18 - 5/30 G01S 7/52 - 7/64 G01S 15/00 - 15/96

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】広帯域ランダム周波数信号を発生する信号
    発生器と、該信号発生器からの信号の周波数帯域を複数
    に分割する手段と、分割された各周波数帯域ごとに設け
    られた、その帯域に適した超音波発生振動子と、各超音
    波発生振動子にそれぞれ接続された対応する駆動回路
    と、前記超音波発生振動子を時分割にて駆動する手段と
    で構成されたことを特徴とする広帯域ランダム周波数超
    音波発生装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の広帯域ランダム周波数超
    音波発生装置において、超音波発生振動子を時分割にて
    駆動する手段が、超音波発生振動子と対応する駆動回路
    とを含む回路中にそれぞれ設けられた複数のスイッチ
    と、該複数のスイッチを選択開閉制御する手段とからな
    ることを特徴とする広帯域ランダム周波数超音波発生装
    置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の広帯域ランダム周波数超
    音波発生装置において、スイッチを選択開閉制御する手
    段により、超音波の周波数帯域成分の組み合わせ及び発
    生タイミングを選択制御することを特徴とする広帯域ラ
    ンダム周波数超音波発生装置。
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