JP2823904B2 - 光入力半導体デバイス - Google Patents

光入力半導体デバイス

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JP2823904B2 JP1288163A JP28816389A JP2823904B2 JP 2823904 B2 JP2823904 B2 JP 2823904B2 JP 1288163 A JP1288163 A JP 1288163A JP 28816389 A JP28816389 A JP 28816389A JP 2823904 B2 JP2823904 B2 JP 2823904B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はメモリー効果を持つ光入力の半導体デバイス
に関し、特にメモリー用電荷の蓄積の仕方が新規な構造
を有する光入力半導体デバイスに関するものである。
〔従来の技術〕
メモリー効果を持つ半導体デバイスとしてはスタティ
ックメモリーがあり、このスタティックメモリーの典型
的なものはRAMに見られ、フリップフロップ回路がその
基本となっている。フリップフロップの構成法にはいろ
いろと考えられているが、FETやトランジスタなどを2
〜4個形成する必要がある。
また、CCDデバイスに応用されているポテンシャル井
戸に電荷を溜める方式のメモリーもある。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記従来のフリップフロップを用いて
構成されたメモリーの場合には、1個のメモリーを形成
するのにも多数の微細加工プロセスを必要とする。ま
た、光入力のメモリーを形成するためには、上記各フリ
ップフロップの入力に別途光センサが必要になり、さら
に、1μm〜1.7μmの光のみで作用させるためには、
特殊な光センサあるいは波長選択用のフィルタを必要と
する。
また、上記従来のポテンシャル井戸を用いたメモリー
の場合には、電荷は再結合による寿命で消滅する。この
ため、室温では分のオーダ、液体窒素温度では1時間程
度のオーダで、再度書き込み直す必要がある。また、こ
のメモリーの場合には光入力が可能となるが、長波長光
のみで書き込みを行うためには波長フィルタが必要にな
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明はこのような課題を解消するためになされたも
ので、Γ−L遷移が可能で、ガス発振条件のnl積を満た
さない低キャリア密度の半導体の両端に電極を構成し、
1000V/cm以上の電界印加の下で、入射光により発生した
キャリアの増加が誘導した高電界ドメインが陽極にトラ
ップされることによって生じる内部コンダクタンスの増
加を利用するものである。
〔作用〕
情報を記憶するためのメモリー用電荷は、陽極にトラ
ップされた高電界ドメインに蓄積される。消去は高電界
を断つことによって行なわれる。
〔実施例〕
第1図は本発明の一実施例による光入力メモリーを示
す。
1はΓ−L遷移が可能でガン発振しない程度の低キャ
リア濃度の半導体基板、例えば半絶縁性GaAs半導体基板
である。2は光入射面に構成された書き込み光に透明な
薄膜電極またはメッシュ状の薄膜電極である。また、3
は光入射側の電極2とは反対の面に形成された電極であ
る。
この半導体デバイスの動作原理を以下に説明する。平
均電界として1000V/cm以上の電界を印加する。高抵抗素
子であるために素子を流れる電流は小さい。今、このデ
バイスに半導体のエネルギーギャップ(この例では1.4e
V)より高いエネルギーの光hνが照射されたとする。
まず、半導体基板1に照射された光は半導体基板1中の
キャリアを増加させ、光電子は電極2へと走行する。こ
の状況で光刺激を取り去っても素子の内部電流は残留
し、電極電圧を切断するまでメモリー効果がある。この
現象は本発明者によって初めて発見されたものであっ
て、その新規な現象は物理的に新しい解釈を必要とす
る。
従来のいわゆるガン効果等はキャリア密度の大きい場
合についてのみ詳細に検討されており、本発明における
ような絶縁性材料については本来ガン発振が起きないた
めに見逃されてきていた。また、欠陥、トラップによっ
て抵抗率が増加した材料におけるドメイントラップの現
象は調べられているが、本発明におけるような特に欠陥
を導入しない材料については研究された例は未だ無く、
本現象は全く新規なものである。
現在想定されている本実施例の動作機構においては、
半導体内部で発生した光電子は印加されている電界によ
って加速される。この時、光照射下で流れる電流値がエ
ントロピー最小原理で定まる電流値以上になっている
時、高電界のドメインを形成することが可能となる。こ
のエントロピー最小原理とは、電子デバイスにおいては
発熱最小状態と等価であり、力学における最小作用の法
則に相当する。ガン効果を示す材料では、この原理に従
うと、同じ端子電圧に対して高抵抗化するほうが好まし
いので、高電界高抵抗層のドメインが発生することにな
る。これは、通常のガン効果をエントロピー表現に変換
したに過ぎず、基本的には公知のことである。
このとき、通常のガン効果において形成しきい値電界
は3000V/cmといわれている。形成したあとは、負性抵抗
によって1000V/cmが維持電界となるのが通常である。
しかし、本発明のように、光入力によってのみドメイ
ンを発生させようとするときは、3000V/cmを必要とせ
ず、維持電界の1000V/cm以上を印加しておくだけでよ
い。これに光入力があるとドメインが発生する。一旦、
ドメインが形成されると、このドメインは時間ととも
に、エントロピー最小の原理で決まる電流分布状態に落
ち着く。ドメインは陽極2へと走行し、そこに達する。
陽極2ではドメインは消滅しようとするが、素子に印加
されている電圧が一定の下では消滅は先の電流分布を壊
すため、エントロピー最小原理に反することになり、壊
れずに安定に存在し続ける(ドメインのトラップ)。本
発明者の研究によると、エントロピー最小原理によって
このことは解釈可能であることがわかった。
陽極2にトラップされたドメインは陽極2付近での電
界強度を高くするため、正孔の注入を促進する。注入さ
れた正孔は陰極3に向かって走行するが、この正孔の流
れは高電界ドメインで速く、その外側では遅いので、結
果的に、高電界ドメインの外側の陰極3付近には正孔が
溜まる。この正孔の溜まりは陰極3付近にも高電界を形
成し、電子の注入を促進する。このフィードバック系は
定常状態を形成し、最初の光電子が注入される前より電
流が多い状態に落ち着く。この状態ではもはや光電子の
注入は必要ない。すなわち、光照射トリガによるメモリ
ー作用を成している。ところで、半導体基板1のキャリ
アの増加は、半導体のエネルギーギャップを利用するこ
とに限ることはない。すなわち、電極2を薄膜のショッ
トキー電極にすることで、このショットキー障壁を利用
した内部電子放射によって光電子を半導体基板1へと注
入しても良い。
次に、従来のメモリーとの関係から、本発明の光入力
メモリーについての特徴を説明する。本発明のメモリー
は、光に感じる部分をメモリー素子自身に持っているこ
と、および素子の構造が非常に簡単であり、微細構造を
必要としないことに特徴がある。また、光感度も、通常
のPN接合ダイオードのバンド間遷移による光電子の発生
ではなく、ショットキー接合電極からの内部電子放射に
よる光電子の発生によっても差支えないことも特徴であ
る。
本願では特にnl積を満たさない低キャリア密度の材
料、すなわちnl<1011cm(たとえばl=0.1cmとする
と、n<1012cm-3)を用いるが、現実に作りやすい例は
n〜108cm-3程度の半絶縁性GaAsなので、これについて
説明する。このような半絶縁性半導体においてはキャリ
ア濃度を減らすため、クロム、酸素などの深い不純物が
添加されているので、そのフェルミレベルはエネルギー
ギャップのほぼ中央に固定されている。
入射光の波長がエネルギーギャップの半分相当、すな
わち1500nmよりも短ければ光キャリアを励起できる。こ
のキャリア密度が上記nl積を満足するときドメインが発
生する。
そこで既に述べたように、ドメインが走行しはじめる
ことが起こり電極にトラップされるのである。これは新
規な現象であり、こうして、赤外光にのみ動作する半絶
縁性基板の意義が見出だされた。
従来のメモリー素子では、スタティックなメモリーは
それ自身には光に感じて状態を変える機能がないため、
光信号を入力をしようとする場合には、光電変換素子を
別途付加させる必要があった。しかし、本発明の素子で
はこの必要が無い。さらに、ショットキー電極からの内
部エミッションによる光電子の発生は、素子半導体のエ
ネルギーギャップで決まる限界波長より長波長まで光電
子を発生することができる。従って、本発明のメモリー
素子は高抵抗の半絶縁性基板を用いる必要があるが、室
温で安定な半絶縁性GaAs(エネルギーギャップ1.4eV,限
界波長900nm)を用いても、さらに長波長の1500nm程度
の光まで感じる光入力メモリーを形成することができ
る。
また、第2図はGaAsの半絶縁性基板を用いて赤外光に
のみ動作する光入力メモリーを構成した本発明の他の実
施例を示す。1は半絶縁性のGaAs半導体基板、2は書き
込み光に対して透明な薄膜電極あるいはメッシュ状の薄
膜電極、4は光電子を発生させるためのショットキー電
極である。上述のメモリーの構成を半導体の厚み方向に
形成し、光電子注入のためのショットキー電極を光入力
面とは異なる面に形成することで、ショットキー電極に
照射される光のうちエネルギーギャップより高いエネル
ギーの光をカットすることができ、長波長光のみで作用
するデバイスにすることができる。
本メモリーの構造を形成するためには、Γ−L遷移を
有する高抵抗の半導体に1000V/cm以上の電界が印加で
き、陽極4からトラップドメインによる正孔の注入があ
る構造であればよく、電極形成だけの工程で作製するこ
とができる。このことも多素子化、および他の素子との
複合にとって有利な構造をしている。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、微細な構造を有
することなく、直接、光で情報を書き込むことのできる
スタティックメモリーを提供することができ、光情報処
理を行えるデバイスとして産業上大いに役立つものとな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はGaAsの半絶縁性基板を用いて縦形に構成された
本発明の一実施例による光入力メモリーの構成図、第2
図はGaAsの半絶縁性基板を用いて赤外光にのみ動作する
光入力メモリーの構成図である。 1……半絶縁性のGaAs基板、2……透明またはメッシュ
状の薄膜電極、3……電極、4……光電子を発生させる
ためのショットキー電極。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Γ−L遷移が可能で、ガス発振条件のnl積
    を満たさない低キャリア密度の半導体の両端に電極を構
    成し、1000V/cm以上の電界印加の下で、入射光により発
    生したキャリアの増加が誘導した高電界ドメインが陽極
    にトラップされることによって生じる内部コンダクタン
    スの増加を利用することを特徴とするメモリー効果を持
    つ光入力半導体デバイス。
  2. 【請求項2】光照射によるキャリアの発生の機構とし
    て、一方の電極から半導体へ電子を光励起によって内部
    放出させることを用いた、半導体のエネルギーギャップ
    より小さいエネルギーの光でも作用する請求項1記載の
    光入力半導体デバイス。
  3. 【請求項3】光照射によるキャリアの発生の機構として
    一方の電極から半導体へ電子を光励起によって内部放出
    させる構成を半導体の厚み方向に形成し、光入射面には
    透明またはメッシュ電極を形成し、光励起による内部放
    出を行わせる為の電極を光入射面とは異なる面に形成す
    ることで、半導体基板自身を波長フィルタとして用い
    た、半導体のエネルギーギャップより長く裏面電極での
    内部エミッション限界波長よりも短波長の光でのみ作用
    する請求項1記載の光入力半導体デバイス。
  4. 【請求項4】GaAsを主な成分とする半導体を用いた請求
    項1または請求項2または請求項3記載の光入力半導体
    デバイス。
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