JP2811945B2 - 地熱坑井における噴出流量の予測方法 - Google Patents

地熱坑井における噴出流量の予測方法

Info

Publication number
JP2811945B2
JP2811945B2 JP26451090A JP26451090A JP2811945B2 JP 2811945 B2 JP2811945 B2 JP 2811945B2 JP 26451090 A JP26451090 A JP 26451090A JP 26451090 A JP26451090 A JP 26451090A JP 2811945 B2 JP2811945 B2 JP 2811945B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow
pressure
well
fluid
geothermal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26451090A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04143397A (ja
Inventor
康宏 窪田
和春 有木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP26451090A priority Critical patent/JP2811945B2/ja
Publication of JPH04143397A publication Critical patent/JPH04143397A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2811945B2 publication Critical patent/JP2811945B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Volume Flow (AREA)
  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は地熱発電等の地熱エネルギーの利用に係わ
り、地熱蒸気の噴出流量を事前に予測・評価して坑井の
適正な開発・設計を行う際に有効な地熱坑井における噴
出流量の予測方法に関するものである。
[従来の技術] 地球の地下深部では、地下水が地熱によって加熱さ
れ、高温の熱水となって貯留されていることが知られて
いる。例えば、地域によっては、2000〜3000mの深度で2
00℃以上の熱水の貯留層(レザーバー)が存在する。そ
こで、このレザーバーに向かって地表より坑井を掘削し
て熱水および蒸気を抽出し、これを発電等に利用する地
域エネルギーの利用が、熱源が無尽蔵でエネルギーコス
トが安いところから、近年特に注目を集めている。
第15図は、このような地熱坑井の一例を示す概略図で
あり、地表1から不浸透性地層2を経て熱水貯留層(レ
ザーバー)3にまで、ケーシング4を介して坑井5が掘
削されている。このレザーバー3のなす岩盤には通常、
無数の亀裂6…が形成されており、掘削された坑井5の
内周面には、これらの亀裂6…が露出している。
そして、レザーバー3に保持された熱水7は、この亀
裂6…を通って坑井5内に滲出し、坑井5を上昇するに
つれて熱水7と蒸気8から成る二相流体9となって地表
1に噴出する。坑井4の噴出口のケーシング4には、噴
出する二相流体9を制御するバルブ10が設けられてお
り、このバルブ10を介して二相流体9を噴気設備(図示
略)に供給することにより、地熱エネルギーを抽出して
利用することが可能となる。
ところで、このような地熱坑井ではレザーバーより噴
出する蒸気と熱水とからなる二相流体、あるいはいずれ
かの単相流体の噴出流体を事前に予測し、その坑井の有
用性、利用性通の坑井特性を勘案した上で設備を構築す
る必要がある。
このようなレザーバー内の流体の流動に関しては、ダ
ルシー則およびこれから導かれる定常放射状流の式があ
り、また、坑井内の流体に関しては、垂直管の気液二相
流に関する諸式があり、従来はこの二者を種々に組み合
わせることにより、噴出流量を求めていた。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前記の諸式が適用される気液二相の流
動する範囲は坑井内に限定されており、地熱レザーバー
内に二相の生じる点については考慮されていなかった。
さらに近年高温の地熱レザーバーの開発が進むにつれ
て、地熱流体が坑井内でフラッシュする状況からレザー
バー内でフラッシュする状況に変化することとなった。
これに伴い、地熱レザーバー内に気液二相が生じると、
各相の流量はそれぞれの相対浸透率に規定され、噴出蒸
気量および坑井特性は地熱流体が坑井内でフラッシュす
る場合に比べ、大きく異なることが判明した。
従って、温度、圧力、浸透率、および坑径等の条件か
ら坑井の噴出蒸気流量を始めると坑井特性を予測・評価
する技術が要求されるに至ったが、従来技術では相対浸
透率を導入する余地がなく、このような予測・評価は不
可能とされていた。
[課題を解決するための手段] 本発明は前記の課題を解決するためになされたもので
あり、地熱レザーバーから地熱坑井内に流入する蒸気と
熱水との少なくとも一方からなる流体が、前記地熱坑井
内を流動しつつ上昇して地表に噴出する際の地熱坑井に
おける噴出流量の予測方法において、前記流体を、該流
体の状態により単相流、気泡流、スラグ流、中間流、お
よびミスト流に区分してそれぞれの状態における密度お
よび摩擦損失を求めるとともに、噴気中のフィード位置
での圧力PWを、坑井の微少区間の前記摩擦損失による圧
力と、前記密度と区間長の積からなる流体圧力との和と
して噴気中のフィード位置での圧力PWを算出し、前記地
熱レザーバーから坑井内に流入する流体を定常放射状流
とし、前記地熱レザーバーの圧力と、前記フィード位置
での圧力PWとの差に比例するものとして前記地熱レザー
バーから坑井内に流入する流体の流量Qを算出し、前記
フィード位置での圧力PWから前記地熱レザーバー内の二
相流の液相の飽和率を求め、この液相の飽和率から相対
浸透率曲線を選択して前記二相流の各相の流量を規定
し、これらの算出工程から前記フィード位置での圧力PW
が一致する条件を見い出し、この条件における前記地熱
レザーバーから坑井内に流入する流体の流量Qを算出す
ることを特徴とするものである。
[作用] 地熱坑井における流体の産出と坑井内の流れは、概念
的には第15図に示した通りであり、地熱流体が沸騰して
坑井内の圧力が低下することによって、レザーバーから
流体が坑内に連続的に流入する。この時のフィードポイ
ント(フィード位置)における圧力PWは種々のパターン
をとる垂直二相流体の流れとその流量によって規定さ
れ、また、レザーバー内の流れはダルシーの法則に従
う。
さらにフィード位置の圧力PWが流体の飽和圧力以下に
下がると、坑井の周辺には気相域が発生し、気相および
液相の流量は各々の相対浸透率に規定される。
ここで前記レザーバー内の流れは、質量保存則とダル
シーの法則を円柱座標系について解いた定常放射状流の
流動方程式から導かれ、この時の地熱レザーバーから坑
井内に流入する流量Qは、レザーバー圧力と噴気坑底圧
力(フィード位置での圧力)PWとの差に比例するものと
みなすことができる。
一方、前記垂直二相流の流れについては、フィード位
置の圧力PWは、坑井内の微少区間の摩擦損失による圧力
と、密度と区間長の積からなる流体圧力(液相において
は水柱圧力に等しい)との和とすることができる。ただ
し、この垂直二相流の流れは単相流、気泡流、スラグ
流、中間流およびミスト流に区分され、それぞれの流れ
の型によってホールドアップが異なり、これに伴って密
度も異なることが知られている。
さらに、噴気坑井内の前記フィード位置での圧力PW
坑井近傍のレザーバー圧力を代表させ、その圧力からレ
ザーバー内の二相流の得相の飽和率を求めることができ
る。
ところで気液二相流体がある通路を流れる時には、気
相と液相の容積比によってそれぞれの流量が異なり、一
般に一方が多くなると他方の流れは減少するという、い
わゆるjamin効果が発生することが知られている。そし
て、このjamin効果により液相の飽和率が増加するにつ
れて、気相の相対浸透率が小さくなり、液相の相対浸透
率は大きくなる。ここで、このような相対浸透率のパタ
ーンについては幾つかの相対浸透率曲線が公表されてい
るが、フィード位置での圧力PWから液相の飽和率が明ら
かになると、これらの相対浸透率曲線の中から最も適正
なものを選択することが可能となる。
このように、垂直二相流の流れ、レザーバー内の流
れ、およびフィード位置での相対浸透率は、フィード位
置での圧力PWをパラメーターとして非線形に相互に連動
するものであるので、これらを繰り返し計算して解析す
ることにより、パラメーターであるフィード位置での圧
力PWが一致する条件を見い出すことができる。そして、
このフィード位置での圧力PWから地熱流体の噴出流量を
始めとする坑井特性を示す種々の数値を算出することが
可能となる。
[実施例] 第1図は本発明の一実施例を示すフローチャートであ
る。
この図に示されるように本発明の地熱坑井における噴
出流量の予測方法は、坑井内垂直二相流を解析する工程
と、フィード位置の相対浸透率を解析する工程、および
レザーバーから坑井に流れる流量を解析する工程とから
構成されている。そしてこれらの工程にあっては、掘削
長、掘削径、ケーシングプログラム、坑井の傾斜、フィ
ード位置、各フィードのレザーバー温度、圧力、および
浸透率層厚積、相対浸透率曲線の選択、噴気坑口圧力等
のデータを入力することにより、パラメーターとしてフ
ィード位置での圧力PWを得ることができる。
ここで各解析工程は相互に非線形に連動するものであ
るので、これらの解析工程を繰り返し計算することによ
り、各解析工程における前記フィード位置での圧力PW
一致する条件を算出することができる。そして、この条
件により各フィード毎、また坑口圧力毎に噴出蒸気流量
Qを始めとして、噴出熱水流量、噴出流体の比エンタル
ピー、噴気坑井内の温度および圧力、坑井内の流動パタ
ーン等の、いわゆる坑井特性が出力される。
なお、前記の各工程は、マイクロプロセッサのプログ
ラムにおいて実行することができる。
そこで以下に、各解析工程で実行される具体的な解析
手法について説明する。
(レザーバーから坑井に流れる流量の解析) まず、レザーバーから坑井に流れる流量の解析につい
て説明する。
レザーバー内の流れは定常放射状流として規定され、
この定常放射状流の流動方程式、質量保存則とダルシー
の法則を円柱座標系について解くことにより、次式のよ
うに表わされる。
ここで、 Q:容積流量(m3/s) Kh:浸透率層厚積(m2) Pe:レザーバー圧力(Pa) PW:噴気中のフィード位置での圧力(Pa) ΔPskin:スキンによる圧力降下(Pa) μ:流体の粘性係数(Pa・s) re:圧力Peまでの半径(m) rw:坑井の半径(m) である。
(1)式において、Khには坑井仕上時の実測値を、Pe
には坑井仕上時または噴気直前に計測される値を、μに
はレザーバーの温度から求めた純水の値を、そしてrwに
は掘削径を入力する。またΔPskinについては、注水試
験の実測値、あるいはフィールドの特性値を入力する。
さらに噴気中のフィード位置での圧力PWは、後述する
坑井内流動解析の出力値を入力するものとし、両者の圧
力が等しくなった時、求める流量Qが得られるものとし
た。
(地熱坑井内垂直二相流の解析) 次に、地熱坑井内の垂直二相流の解析について説明す
る。
垂直二相流の圧力損失については、フィードポイント
での圧力P1と坑口圧P2の圧力差として次式で与えられ
る。(Ryley,D.J The mass discharge of a geofluid f
rom a geothermal reservoir−well sysytem with fla
shing flow inthebore.Geothermics,9.221〜235 1980) ここで、 g :重力加速度(m/ssec2) u :流速(m/sec) D :管径(m) ρ :密度(kg/m3) f :摩擦係数 z :流れの位置(m) であり、添字1,2はそれぞれフィードポイント坑口条件
を示す。
ここで、(2)式の第1項は加速による項、第2項は
摩擦による項、第3項は重力による項であるが、第1項
は極く微小なので無視することができ、これにより次式
が与えられる。
一方、二相流体のみかけの流速Utは、 であたえられる。ただし、ここで Q :容積流量(m3/sec) A :流路の断面積(m2) U :みかけ流速(m/sec) θ :傾斜角 であり、添字t,g,lはそれぞれ混合流体、気相、液相を
示し、また添字Sは滑りを示す。
ところで二相流体は、坑井を上昇するにつれてその状
態が単相流、気泡流、スラグ流、中間流、およびミスト
流という幾つかの流れの型(フローパターン)に区分さ
れ、それぞれの流れの型によってホールドアップが異な
り、これに伴って摩擦損失も異なってくる。そこで、こ
こでは以下のように流れの型を判別するものとした。
気泡流 :LB≧Qg/Qt …(5) スラグ流:LB<Qg/Qt(密度について) …(6) LS>RN(摩擦損失について) …(7) 中間流 :LS≦RN≦LM …(8) ミスト流:LM>RN …(9) ここで、 LB=1.071−0.7277Ut2/D (ただし、LB≧0.13) …(10) RN=Usg×(103×ρ1/σ・g)0.25 …(11) N=Usl×(103×ρ1/σ・g)0.25 …(12) LS=50+36・N …(13) LM=75+84・N0.85 …(14) である。こうして判別された流れの型のそれぞれについ
て、ホールドアップH1から密度ρmを算出する。
まず、流れが液相のみの単相流の場合はホールドアッ
プを考慮する必要はない。
次に気泡流の場合は、ホールドアップH1は次式によ
る。
US=0.4663×{10-3×σ・g(ρl−ρg)/ρl20.25 …(15) また、この時の二相流体の密度ρmは次式で与えられ
る。
ρm=ρ1・H1+ρg(1−H1) …(17) 流れがスラグ流の場合においては、液相スラグの中心
部の流速が全流速Utに等しいので、相対気泡上昇速度Ub
はレイノルズ数(Re)t>6000の時、次式で示される。
Ub=0.2Ut+0.0109(g・D)0.5 …(18) 従って、 H1=(Us1+Ub)/(Ut+Ub) …(19) ρm=ρ1・H1+ρg(1−H1) …(20) である。
流れがミスト流の場合は、滑りは生じないので、ホー
ルドアップは次式で示される。
H1=Q1/Qt …(21) 従って、平均密度ρmは、次式で示される。
ρm=ρ1×H1+ρg(1−H1) …(22) さらに、中間流はスラグ流とミスト流の漸移域であ
り、平均密度ρmは次式による補間法で求める。ここで
ρmSおよびρmMはそれぞれスラグ流とミスト流の平均密
度であり、 となる。
(フィード位置の相対浸透率の解析) 最後に、フィード位置の相対浸透率の解析について説
明する。
相対浸透率については前述したように、一般に気相と
液相からなる二相流体では、J amin効果によって、液相
の飽和率が増加するにつれて、気相の相対浸透率が小さ
くなり、液相の相対浸透率が大きくなることが知られて
いる。このような相対浸透率を求める場合については、
液相の飽和率に対する気相および液相の相対浸透率を示
す幾つかの曲線が提案されている。
第2図および第3図はそれぞれ、これらの一例を示す
ものであり、第2図はGudmundssonらによるもので、次
式で与えられる。(Gudmundsson,J.S,Menzies,a.J.and
Horne,R.N.:Streamtube relative permeability functi
on for flashing steam−water flow in fractures.SPE
11686,199−206 1983) Srw≧0.4:Krw=Srw0.6krs=1−krw …(24) 0.2<Srw<0.4:krw=Srw0.7krs=1−krw …(25) Srw≦0.2:krw=Srw0.77krs=1−krw …(26) また、第3図は、新エネルギー・産業技術総合開発機
構(NEDO)のプロジェクトの一つである「地熱貯溜層評
価手法開発」の中で妥当とされた相対浸透率曲線であ
り、Xカーブと称され、次式で与えられる。(昭和62年
度 地熱開発促進調査−地熱貯留層評価手法開発−澄川
地域総合解析報告書,新エネルギー総合開発機構,198
8) krs=(1−S−Srw)/(1−Srw) S≦(1−Sr
w) …(27) krs=0 S>(1−Sr
w) …(28) krs=(S−Srs)/(1−Srs) S≧Srs …(29) krs=0 S<Srs …(30) ただし、(24)式ないし(30)式において、 krw,krs:液相および気相の相対浸透率 S :ボイド率 Srw,Srs:液相および気相の飽和ボイド率 である。
これらの二つの例のうち、Gudmundssonの例はXカー
ブに比べ流量が多目に算出され、Xカーブの場合には少
な目に算出される。そこで過大評価を避けるため、本実
施例では特に断りのない限りXカーブを用いて計算す
る。
なお、相対浸透率は本来レザーバーを流れる流路のす
べてに連続して存在するが、ここでは坑底における圧力
で飽和した時の二相流体について適用されるものとす
る。
摩擦係数fは、管壁の相対粗度をεとすると、第4図
に示すムーディ線図により表され、乱流の領域では次式
によって近似できる。
F=1/(1.14−21ogε) …(31) この時の相対粗度は第5図によるものとし、本実施例
ではケーシング管の相対粗度をε=0.00001、裸坑およ
びストレーナーの相対粗度をε=0.01とした。またミス
ト流の時は、液相が管壁にフィルムを形成することによ
り相対粗度を大きくすると考えられるので、次式によっ
て相対粗度を求めた。
NW=4.52×10-7(Usg・U1/σ)・ρg/ρ1…(32) NW≦0.005の時、 ε=34×10-3・σ/(ρg・Usg2・D) …(33) NW>0.005の時、 ε=174.8×10-3・σNW 0.302/(ρg・Usg2・D) …(34) また、ε>0.05の時、 f=1/[4{log(0.27・ε/D)}]+0.268・ε1.73 …(35) である。但しここで、σは表面張力(mN/m)である。
本実施例は以上のような解析手法によって構成されて
おり、これに入力値を入力することにより、坑井の噴出
流量および坑井特性を予測することが可能である。
[実験例] 次に、実験例として前記実施例を実際の坑井に適用
し、計算値と実測値との比較を行う。
ここでは、秋田県澄川−大沼地区において開発中の地
熱発電用坑井について前記実施例から予測される噴出流
量等を算出した。但し、これに入力する入力値について
は以下の通りである。
まず、本実施例で取り扱う二相流体は純水で近似でき
るものとし、その温度、圧力、密度、粘性、係数、比エ
ンタルピー、表面張力等は蒸気表によった。また、本実
施例では10℃毎にこれらの値を読み込むものとし、その
間の任意の値は、その上下の値から補間法により求め
た。圧縮水の密度についても飽和蒸気表によっている。
次にレザーバー圧力Peまでの半径reについては、直接
これを明らかにすることは不可能であり、また浸透率層
厚積khが異なることによっても変わってくると思われる
が、大沼地区の圧力の低下が近傍の地区にまで及んでい
ないこと、澄川地区の蒸気噴出に伴う圧力変化の一部が
北方に約1km離れた位置にある坑井にみられることもあ
る等の経験的事実から一律に、 re=500m とした。
また、スキンの影響については考慮せず、 ΔPskin=0 とした。
さらに、後述する坑内圧力を実測値と比較検討するに
当たって、dz=0.1mとdz=10mの場合について検討した
ところ、2325mのフィードにおける圧力は、後者で65kPa
小さかった。しかし、この程度の差は計算の許容範囲と
考えられ、以下特に断りのない限り、dz=10mとして計
算した。
また、摩擦係数fについては、蒸気井のようにレイノ
ルズ数が大きい場合は(31)式で示した値よりやや小さ
くなり、管壁が滑らかな時は大きくなるが、ここでは
(31)式を一律に用いる。
最後に熱伝導については、地熱流体の流れる通路と直
交する方向に温度差があるとき、熱伝導により流体の熱
エネルギーの一部が奪われる。地熱井の場合には浅部で
温度差が大きくなるが、ここでは坑井周辺の岩盤は流体
の移動に伴って直ちに温められて温度差はなくなるもの
として、その影響は無視した。
一方この坑井では、主バルブを全開した状態における
安定した噴出流量として、次の第1表に示すような値が
得られている。
このように多量の流体が噴出するため、測定の安全を
考慮し、噴出沖の坑内の検層は坑口圧力を18・5〜19・
8atgに上げ、また流量を安定時の0.18〜0.34に減少させ
た状態で実施した。第6図および第2表は、この実測値
を示すものである。
第6図および第2表に示す通り、測定結果では深度19
70m,2045m,および2325mの3箇所にフィードゾーンがあ
り、それらから坑内に流入した高温流体は上方に流れ、
深度1200m付近でフラッシュしている。平衡状態の坑内
温度は深度1970m付近で307℃の高温を示すが、深度2325
m付近では逆に246℃に低下しており、噴気中の坑内温度
は両者の混合した値(266℃)として示される、なお、
坑井の仕様は、961mまでは18−3/8インチ、961m以浅は1
3−3/8インチのケーシングとなっている。
この坑井の噴気坑口圧力、坑井径、流量および比エン
タルピーを入力して坑内圧力・温度を計算した結果を、
坑口圧力が1932kPaの場合を実験例1、また坑口圧力が1
814kPaの場合を実験例2として、実測値とともに第3表
に示し、第6図の検層図に圧力について打点する。但し
第6図において、打点●は実験例1の計算値を示し、打
点○は実験例の計算値を示す。
実測値と計算値とを比較すると、坑口圧力1932kPa、
蒸気流量7.31kg/sの時には、深度2325mで計算値の方が
0.33MPa高く、また、坑口圧力1814kPaで蒸気流量13.78k
g/sの時には、計算値の方が0.75MPa高い結果が得られ
た。実測値が13.92MPaおよび13.40MPaであるから、計算
値の方が3〜6%高いことになるが、蒸気流量の測定値
にもばらつきがあること、流体が複数の異なるフィード
ポイントから流出しているにもかかわらず流体の温度を
280kcal/kgに固定して蒸気流量を計算していることなど
を考慮すると、実測値と計算値は満足できる範囲で一致
していると見なされる。また、計算値の方が実測値より
僅かでも高いことは、噴出流量の予測値が過大評価では
ないことを示している。
次に、前記実験例1,2と同様の計算を前記澄川−大沼
地区の他の坑井について行った。この結果を、坑口圧力
が1977kPaの場合を実験例3、また255kPaの場合を実施
例4として第4表に示すとともに、それぞれ第7図およ
び第8図に示す。
但し、第7図および第8図において、打点○は圧力に
ついての計算値を示し、打点□は温度についての計算値
を示すものである。
第8図に示した坑口圧力が255kPaの場合には、掘削長
1000m付近で圧力についての実測値と計算値との差は300
kPa程度となり、計算値の方が小さくなっているもの
の、坑底および坑口付近では誤差は小さく略実測値と一
致することが分かる。また第7図に示した坑口圧力が19
77kPaの場合では、全掘削長を通して実測値と計算値が
よく一致しており、坑底における実測値と計算値との差
は10kPaにすぎない。
これらの結果は、本発明の有効性を十分に立証するも
のであると考えられる。
ところで地熱流体の噴出流量は、レザーバーの温度、
圧力、浸透率層厚積、および掘削長によって異なること
が知られている。そこで次に、前記の計算値より、以下
の条件の下における地熱流体の噴出流量の予測値を算出
した。この結果を第9図ないし第12図に示す。但し、第
9図ないし第12図において、図中の曲線上に付された数
値は蒸気噴出流量(kg/s)を表す。
温度:200〜350℃ 圧力:1.6〜20MPa 坑口圧力:500kPa 浸透率層厚積:2.0×10-12m3 および5.0×10-12m3 掘削長:1500mおよび2000m 坑井仕様:1200mまで9−5/8インチケーシング設置、 1200m以深8−1/2インチ裸坑 但し、第9図および第10図は、ともに掘削長が1500m
で、浸透率層厚積がそれぞれ2.0×10-12m3および5.0×1
0-12m3の場合を示すものであり、また第11図および第12
図は掘削長がともに2000mで、浸透率層厚積がそれぞれ
2.0×10-12m3および5.0×10-12m3の場合を示すものであ
る。さらに、これらの図中の最右端の曲線Sは、純水の
飽和温度−圧力曲線を示すものであり、この飽和温度−
圧力曲線の右側は気相、左側は液相であることを示して
いる。
これらの図によれば、レザーバーの圧力分布が必ずし
も明らかとなっていない場合でも、噴出流量が予測して
生産性の高い坑井を掘削することが可能となる。
例えば本実験例の坑井では、蒸気噴出流量の大きい坑
井を得るには前述の飽和温度−圧力曲線Sより数10℃程
度低温の領域を目標として掘削するのがよいことが分か
る。また多量の蒸気を得るにはレザーバー温度の高い領
域を目標とするべきであるが、浅部で高温域を求めるに
は限度があり、深部掘削によって高温流体を求める必要
があることも理解できる。
また、このような坑井においては、掘削坑径および地
下温度によっても噴出流量および坑井特性が異なること
が知られている。
そこで、本実験例の地下温度−圧力のモデルに沿って
温度が220℃、280℃、320℃の三つの場合について掘削
坑径による噴出流量と各々の坑井特性を求めた。この結
果に各温度の噴出蒸気の比エンタルピーを添えて第13図
および第14図に示す。ここで温度が220℃の場合は低温
域からの噴出特性を、また280℃の場合は高温域からの
噴出流体の特性を、そして320℃の場合は高比エンタル
ピーの流体の噴出特性をそれぞれ代表するものである。
但し、坑井の設計は以下のような条件の下で行なわれ
た。
温度:220℃,280℃,320℃ 浸透率層厚積kh:5.0×10-12m3 噴出位置:標高−1000mrsl(従って掘削長は温度により
やや異なり、1920m〜2120mとなる。) 坑径:1200mまで9−5/8インチケーシング、坑底まで8
−1/2インチの裸坑、 および1200mまで13−3/8インチケーシング、坑底まで12
−1/4インチの裸坑 ここで、第13図は坑径が前者の場合、第14図は坑径が
後者の場合を示す。また、これらの図中において、打点
●および打点○は、地下温度が220℃の時の蒸気および
熱水を、また打点▲および打点△は、地下温度が280℃
の時の蒸気および熱水を、さらに打点■および打点□
は、地下温度が320℃の時の蒸気および熱水を、それぞ
れ示すものである。
これらの図によれば、掘削坑径および地下温度に対す
る噴出流量および坑井特性について解析することが可能
となり、より効果的に坑井の設計および掘削を行うこと
ができる。
例えば本実験例の坑井においては、地下温度が高い
程、要求されるタービン入口圧力が多少高くても最大蒸
気流量に近いものを供給できるが、地下温度が低い場合
には最大蒸気流量のかなりの部分を有効利用できないこ
とが分かる。また、掘削坑径が大きい時、比較的低比エ
ンタルピーの熱水型(地下温度が220℃および280℃)の
場合には蒸気流量の増大が得られるものの、高比エンタ
ルピー流体の噴出する条件では必ずしも蒸気流量の増大
につながるわけではないことが理解される。
このように本実験例は、本発明によって坑井の噴出流
量および坑井特性を予測することが可能であることを示
しており、生産性の高い坑井の掘削を設計するに当たっ
て極めて有効であることを実証するものである。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明は坑井内垂直二相流の解
析とレザーバー内の流体の定常放射状流の解析に相対浸
透率の解析を加え、繰り返し計算によってパラメーター
が一致する条件を求めることにより、掘削する坑井の流
体の噴出流量および坑井特性を、事前に、かつ比較的正
確に予測することが可能となる。
これにより、地下温度、圧力、浸透率等の入力値が予
め求められている場合には、坑径の大きさ、ケーシング
パイプの設置位置、掘削工法等の選択などについて十分
検討することができ、最大の蒸気流量の得られる生産性
の高い坑井を設計することが可能となる。
また、坑井掘削時に地下温度等が得られた場合でも、
噴気設備を予め設計することができ過小あるいは過大な
設備投資を不用とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例を示すフローチャートであ
り、第2図および第3図はそれぞれ、この実施例に用い
る相対浸透率曲線を示すものである。 また、第4図は管壁の相対粗度と摩擦係数の関係を示す
ムーディ線図であり、第5図は実用管の相対粗度を示す
ものである。 さらに第6図および第7図、第8図は、それぞれ本発明
の実験例を示す噴出流体の圧力および温度を示すもので
あり、図中の曲線は実測値を表し、打点は計算値を表
す。また第9図ないし第12図は、この実験例において異
なる掘削長および浸透率層厚積の条件の下の蒸気流量を
示すものであり、第13図および第14図は、異なる掘削坑
径および地下温度における噴出流量および坑井特性を示
すものである。 最後に第15図は、本発明に係わる地熱坑井と、これを流
れる地熱流体を示す概略図である。 1……地表、2……不浸透性地層、 3……レザーバー、4……ケーシング、 5……坑井、6……亀裂、7……熱水、 8……蒸気、9……二相流体、 10……バルブ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地熱レザーバーから地熱坑井内に流入する
    蒸気と熱水との少なくとも一方からなる流体が、前記地
    熱坑井内を流動しつつ上昇して地表に噴出する際の地熱
    坑井における噴出流量の予測方法において、 前記流体を、該流体の状態により単相流、気泡流、スラ
    グ流、中間流、およびミスト流に区分してそれぞれの状
    態における密度および摩擦損失を求めるとともに、噴気
    中のフィード位置での圧力PWを、坑井の微少区間の前記
    摩擦損失による圧力と、前記密度と区間長の積からなる
    流体圧力との和として噴気中のフィード位置での圧力PW
    を算出し、 前記地熱レザーバーから坑井内に流入する流体を定常放
    射状流とし、前記地熱レザーバーの圧力と、前記フィー
    ド位置での圧力PWとの差に比例するものとして前記地熱
    レザーバーから坑井内に流入する流体の流量Qを算出
    し、 前記フィード位置での圧力PWから前記地熱レザーバー内
    の二相流の液相の飽和率を求め、この液相の飽和率から
    相対浸透率曲線を選択して前記二相流の各相の流量を規
    定し、 これらの算出工程から前記フィード位置での圧力PWが一
    致する条件を見い出し、この条件における前記地熱レザ
    ーバーから坑井内に流入する流体の流量Qを算出するこ
    とを特徴とする地熱坑井における噴出流量の予測方法。
JP26451090A 1990-10-02 1990-10-02 地熱坑井における噴出流量の予測方法 Expired - Fee Related JP2811945B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26451090A JP2811945B2 (ja) 1990-10-02 1990-10-02 地熱坑井における噴出流量の予測方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26451090A JP2811945B2 (ja) 1990-10-02 1990-10-02 地熱坑井における噴出流量の予測方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04143397A JPH04143397A (ja) 1992-05-18
JP2811945B2 true JP2811945B2 (ja) 1998-10-15

Family

ID=17404248

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26451090A Expired - Fee Related JP2811945B2 (ja) 1990-10-02 1990-10-02 地熱坑井における噴出流量の予測方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2811945B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04143397A (ja) 1992-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10533387B2 (en) Apparatus and method for well operations
CN100535380C (zh) 用于控制地层压力的系统和方法
US8463585B2 (en) Apparatus and method for modeling well designs and well performance
US8321190B2 (en) Flow simulation in a well or pipe
Edmunds et al. Review of phase A steam-assisted gravity-drainage test
Guo et al. Well productivity handbook
Holmes Modeling advanced wells in reservoir simulation
CN109057757A (zh) 一种天然气水合物开采方法及装置
Surjaatmadja et al. Unconventional multiple fracture treatments using dynamic diversion and downhole mixing
Small Steam-Injection Profile Control Using Limited-Entry Perforations
RU2347889C2 (ru) Способ и устройство для поддержания или снижения уровня жидкостей в забое газовой скважины
Dinata et al. A methodology of end-of-tubing location optimization for horizontal shale gas wells with and without deliquification
Ouyang et al. An experimental study of single-phase and two-phase fluid flow in horizontal wells
JP2811945B2 (ja) 地熱坑井における噴出流量の予測方法
Gaither et al. Single-and two-phase fluid flow in small vertical conduits including annular configurations
Taghavi et al. The Impact of Autonomous Inflow Control Valve on Improved Oil Recovery in a Thin-Oil-Rim Reservoir
Shadizadeh et al. A successful experience in optimization of a production well in a southern iranian oil field
Kiran et al. Wellbore fluid sonic conditions during blowouts
CN103104245A (zh) 用于测量泥浆密度和质量流量的传感器
JP2956284B2 (ja) 地熱坑井の最大締切圧力および最高温度の予測法
Coutinho et al. A Procedure for Liquid-Assisted Gas Lift Unloading Using a Transient Flow Simulator
Hosnaroudi et al. The Impact of Autonomous Inflow Control Valve on Improved Oil Recovery in a Thin-Oil-Rim Reservoir
Shulyupin et al. A MATHEMATICAL MODEL TO CALCULATE STEAM-WATER FLOWS IN WELLS IN THE INDIVIDUAL ZONE OF THE FEEDING AQUIFER
Lea et al. Production optimization using a computerized well model
MI et al. Russell James, DSIR, Wairakei, Taupo, New Zealand.

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees