JP2810083B2 - 組合せ最適解を求めるデータ処理装置及び方法 - Google Patents

組合せ最適解を求めるデータ処理装置及び方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、データ処理装置及び方法に関し、特に組合
せ最適化問題を求めるのに好適なニユーロコンピユータ
(ニユーラルネツト)に関する。
〔従来の技術〕 ニユーロコンピユータの研究開発が近年活発化し、ニ
ユーロコンピユータの代表的モデルとして、ホツプフイ
ールド型とラメルハート型が知られている。
ニユーロコンピユータは、人間の脳をモデル化したも
ので、入力がある閾値に達するまでは不活性状態で、閾
値を越えると活性化するという2つの状態をとるニユー
ロン(神経細胞)が、例えば何百億も結合して動作する
ことにより、現状のコンピユータが不得手とする組合せ
最適化問題や認識処理を行なおうとするものである。
ここで、先に述べたホツプフイールド型は組合せ最適
化問題を解くのに適しているが、組合せ最適化問題と
は、1と0というようにとびとびの値しかとらない物を
ある条件を最小(あるいは最大)にする組合せを求める
ものである。従来この問題を解く一般的な方法が知られ
ていないために、問題の規模が大きくなると解くことが
極めて難しかつた。
これに対して、米国特許第4660166号などにおいて、
ホツプフイールド氏が組合せ問題の中で最も解くのが難
しいとされている巡回セールスマン問題をニユーロコン
ピユーテイングにより高速かつ最適解に近い解を求めら
れることを示した。ここで巡回セールスマン問題とは、
各々の都市を一度だけ通るという制約のもとで、n都市
を最小の距離で巡回する径路を求めるもので、n都市に
対してn!/2n=n(n−1)‥2・1/2n組の組合せがあ
り、nの数が大きくなると爆発的に組合せの数が増える
ため、最適な解を求めるのが極めて難しくなる。
ホツプフイールド氏は、n都市の各々にn個のニユー
ロンを対応させ(従つて全体でn2個のニユーロンを用い
ている)、各都市のi番目のニユーロンが活発化したと
きに、i番目にその町を訪れるという意味を持たせた。
また各ニユーロンの間の結合は、各都市を一度だけ通る
という制約条件と距離の最小化条件によつて決め、これ
らの条件の和をエネルギーと定義して、ニユーロンの動
作を、このエネルギーが時間の経過とともに小さくなる
ようにモデル化した。これにより各ニユーロンに活性状
態(1)と不活性状態(0)の間の適用な値を設定する
と、時間とともにエネルギーが減少して、局所的にエネ
ルギーが最小となるところで停まることになりn2個のニ
ユーロンのうちn個が活性化して、制約条件を満たし距
離が最小値に近い解を求めることができたものである。
ここで、エネルギー関数を用いて上記内容を説明する
と、エネルギー値Eが で与えられるとする。ここでx,T,bは各々n次元変数ベ
クトル、n×n次元係数行列、n次元入力ベクトル、t
は転置を示す記号で とする。またTは対称行列即ちTij=Tjiとする。このエ
ネルギーEをxが0または1、あるいは−1、または1
の値を取るとき、Eを極小化するxは、次の微分方程式
を解くことによつて得られていることが示されている。
x1=tanh ui(−1xi1のとき) …(3) x1=1+tanh ui/2 (0xi1のとき) …(4) ここでニユーロンとの対応は以下のとおりである。n
個のニユーロンのうち、i番目のニユーロンの出力はxi
で、入力は、定数入力bi,i番目のニユーロンからの入力
が、Tijxj、また自分の出力の自分への入力はTiixiであ
る。従つてTijは、j番目のニユーロンからi番目のニ
ユーロンへの入力の結合の強さを示しており、特にTij
はi番目のニユーロンの出力の自分自身の入力への結合
の強さを示している。
大規模組合せ最適化問題を解く方法としては、従来あ
まり効果率のよい方法が知られておらず、大規模な問題
を解くときは、極めて時間を要していたので、(2)を
解くことにより簡単に最適解に近い解を得ることができ
るようになつたのである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら上記従来技術で得られる解は、あくまで
も極小値であり、最小値ではない。またその収束の特性
は、電子情報通信学会技術研究報告PRU88−6(1988)
(pp7−14)において多小論じられてはいるが、解明さ
れるまでには至つておらず、どのようにニユーロコンピ
ユータを制御してよいかは試行錯誤の状態であつた。
本発明の目的は、上記問題点を解決し、どのような問
題に対しても、最小値あるいはそれに近い解を高速に与
えることのできるニユーロコンピユータを用いたデータ
処理装置及び方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、(イ)エネルギー関数の表現,(ロ)重み
の決定,(ハ)積分の初期値の選択,(ニ)収束解の改
善,(ホ)積分方式,(ヘ)境界に収束した解、などに
特徴を有するものであり、これらの独立した手段,方法
のみならず、種々な組合せにも夫々特徴がある。
以下、問題点を解決するための手段の一例を理論的に
説明する。
(イ)エネルギー関数の表現 組み合わせ問題が−1,1の2値をとるか0,1の2値をと
るかにより、(2),(3)式を解くか、(2),
(4)式を解くかが決まる。各々の微分方程式は、時間
がたつに従い、エネルギーが減少してゆく特性を持ち物
理現象を表現したものということができる。ここで時間
が経過した後に−1,1あるいは0,1に達するということ
は、これらの点が物理現象でいう安定点であるからであ
る。まず(2),(3)式により、−1,1問題の端点の
安定性について述べる。(2),(3)式よりuを消去
すれば、 となる。これにより(5)式の特異点、即ち時間が経過
してもその点に初期値が与えられればその点で停留する
点は、(5)式の右辺=0とおいて、 xi=±1 i=1,…,n Tx+b=0を満たすx 及び上記を組み合せた条件を満たす解 となる。
ここで超立方体上の端点c=(c1,…,cn)ci=±1
i=1,…,nの固有値を求める。
x=y+c として(5)式に代入すると 端点ではci 2=1であるから上式で線形項だけとり出
すと、 となる。但し である。従つて端点cの固有値λc,iは、 λc,i=2ci(Tic+bi) …(7) i=1,…,n となる。端点cは、λc,i<0(i=1,…,n)のとき安
定で、近傍の初期値からその点へ収束する。
次に(2),(4)式の0,1問題について固有値を求
める。前の場合と区別するために(2)式を とする。これに(4)式を代入すると 超立方体上の端点をd=(di,…,dn),di=1,0,i=1,
…,nとして、 x=y+d を(a)式に代入すると di(1−di)=0に着目して、上式を線形化すると、 となる。従つて端点dの固有値λd,iは、 λd,i=2(2di−1)(Sid+a1) i=1,…,n …(11) となる。但し、 Si=(Si1,……,Sin) である。端点dは、λd,i<0(i=1,…,n)のとき安
定である。
ここで0,1問題と−1,1問題の関係を調べるため、
(5)式のxに を代入する。(この変換により、(5)式は−1,1問題
から、0,1問題となる。) 従つて、 (13)式の端点dの固有値は、(11)式より、 となるが、端点dに対する(5)式の端点cは、 c=2d−1 で与えられるから、(14)式に代入すると、 λc,i=2ci(Tic+bi)i=1,…,n であるから、これは、(7)式と一致する。従つて(1
2)式により−1,1問題を0,1問題に変換しても固有値は
変わらず、従つて安定な端点は安定のままである。
次に固有値とエネルギーの関係を明らかにする。ここ
で端点c(d)に対して、端点c(i)(d(i))を
次のように定義する。
c(i)=(c1,…,ci1,−ci,cii,…cn) d(i)=(d1,…,di1,(1−di), di1,…dn) 即ちc(i),d(i)は、c,dに隣接した端点であ
る。このとき、隣接した端点c,c(i)あるいはd,d
(i)のエネルギーEc,Ec)あるいはEd,Ed)と
固有値には次の関係がある。
それは次のようにして分かる。
また、 (15)式の関係は、エネルギーが隣接点より低くい時
は、対応する固有値の値も小さいことを意味している。
更にTii=0(i=1,…,n)とすると、 Ec<Ec) …(16) i=1,…,n あるいはEd<Ed) となる端点cあるいはdは微分方程式(5)あるいは
(9)式の安定点となる。
これは、 とTii=0により、λc,i=−λ),i となり、また(15)式によりλc,i<λ),iであ
るから、 λc,i<0 i=1,…,n …(17) となる。これより端点cは安定点である。
また、 とTii=0により、λd,i=−λ),iとなり、(1
5)式よりλd,i<λ),iであるから λd,i<0 i=1,…,n …(18) となる。
このことは、Tii=0とすれば、隣接した端点よりも
エネルギーの低い端点は全て安定点となり、その近辺に
初期値を与えれば、微分方程式の解として得られること
を示している。即ち全ての極小値が安定となるために
は、Tii=0となれば良いことが分かる。ここで−1,1問
題では、Tiiの値を0としても各端点のエネルギー値
は、一様に上昇あるいは、下降するので問題はないが、
0,1問題では、1の点では、エネルギー値が変わるが0
の点では変わらない。このため0,1問題では、biに1/2T
iiの値を加えて、Tiiを0とすることが必要である。
(ロ)重みの決定 エネルギー関数を最小化する時、ある制約条件のもと
で評価関数を最小化することが必要となることがある。
その例として、米国特許No.4,660,166で開示された巡回
セールスマン問題を考える。巡回セールスマン問題と
は、n個の町を、1つの町を一度だけ通るという条件の
もとでn個の町を巡回する距離を最小化する問題であ
る。町xに対して、ベクトルVxi(i=1,…,n)を持
ち、Vxiが1のとき町xをi番目に訪問することを示
す。このときのエネルギー関数は次のように定義でき
る。
(19)式の第1項は、1つの町を1回しか訪問しない
という条件であり、第2項は、一度に1つの町しか訪問
できないという条件である。第3項のdxyはx町とy町
との距離で、巡回する距離を計算する評価関数である。
ここでA,B,Dは重みでこの重みをどう決めるかの方法が
分かつておらず従来は試行錯誤で決めていた。
ここで制約条件が複数個あるときは、各制約条件全て
を満足しなければならないため、特定の制約条件がよく
きくように重みつければ、制約条件を満足しない解が求
まる可能性がある。各制約条件が同等にきくようにする
ためには、解が制約条件を逸脱したときに各制約条件の
値の増加が等しくなるように重みを決めれば良い。(1
9)式の第1,2項では、第1項で、あるxについて、Vxi
=0 i=1,…,nあるいはVxi=Vxj=1 j≠jそれ以
外は0とすると、第1項の制約条件はA/2となる。また
第2項で同様にあるiについてVyi=0、すべてのyあ
るいはVyi=Vzi=1 j≠zそれ以外では0とすると、
制約条件はB/2となる。従つて A=B …(20) とすれば第1項と第2項の制約条件の効果を同一にする
ことができる。
次に制約条件と評価関数の間の重みは、制約条件を逸
脱することによる制約条件の増加分が、制約条件を満た
さなくなることによる評価関数の減少分より大きくして
おけば、制約条件からはずれた解が求まる可能性がなく
なる。(19)式の第1,2,3項の重みに関しては、第1,2項
が制約条件を満たしていた解から、1つ1から0になつ
たとする。このとき第1,第2項は、A=Bであるから A/2+B/2=A …(21) だけ上昇する。これに対して第3項は、経路が2つなく
なること、及びx,y両方で距離を計算しているから、 だけ減少することになる。従つて訪問する町の数が少な
くなつたものが最適解とならないようにするためには、 とすれば良いことが分かる。
なおこのように制約条件を満たす解に対して1つだけ
1から0として重みを決めてよいのは、(イ)で示した
ように求まつた解は、隣接した解よりもエネルギーが低
いという理論的保証があるからである。
(ハ)積分の初期値の選択 組合せ最適化問題を積分により求める場合、多数の安
定点の中から最適解を求めるためには、変数xの初期値
の選択が極めて重要である。
ここで、Tx+b=0(−1xi1)の根、あるいは
Sy+a=0(0yi1)の根即ち特異点が、x,yの領
域内に存在しないときには、孤立した2つ以上の極小点
は存在せず、従つて領域内の任意の点から最小値に収束
することが言える。しかしながらこのような場合は、実
際の問題では、ほとんどないと考えてよい。
特異点が領域内に存在し、かつ端点に安定点があると
すると(この条件はTii=0,i=1,…,nとすれば満足され
る。)、この特異点は不安定となることを示すことがで
きる。従つてこの特異点のまわりに初期値を設定すれ
ば、安定な端点への収束は保証されるが、この特異点か
らは全ての安定点への経路が存在するため最適解からは
遠い解が求まる可能性もある。前述の電子情報通信学会
技術研究報告では、原点のできるだけ近くに初期値を選
択すれば、最小値が求まりうることを実験的に示してい
るが、どのように近くの値を与えれば良いかについては
分かつていない。
ここで1,0問題、1,−1問題で変数の初期値をその変
化する範囲の中点に設定したときの効果について考え
る。中点とは1,0問題では1/2,1,−1問題では0であ
る。ここで の簡単なモデルを考える。このとき特異点が領域内に現
われる場合は|b1|<1,|b2|<1の場合である。このとき
b1=b2とすると、特異点S=(−b1,−b2)=(−b1,−
b1)であり各端点の固有値は次のようになる。
これより(1,−1),(−1,1)とも安定でどちらも
エネルギー値は等しくどちらに収束してもよい。第2図
にb1=b2=1/2としたときに原点付近に初期値を与えた
ときの解の動きを示す。原点を初期値にすると、特異点
S=(−1/2,−1/2)に収束するが、y>xとなるよう
に初期値を与えれば、(−1,1)へ、y<xとすれば
(1,−1)に収束する。
次に|b1|<1,|b2|<1,b1≠b2とすると、前と同様にb1
<b2の時(1,−1)が最小値に、b1>b2の時は、(−1,
1)が最小値となる。第3図に としたときの原点まわりの解の動きを示す。このときは
(1,−1)が最小値となるが原点に初期値を与えれば安
定点に収束する。
1,0問題は、1,−1問題に(12)式の変換を行なえば
よいので、1,0問題では、1/2の点が1,−1の原点に対応
する。
上記の例は、最小値が1個しか存在しない場合は、最
小値に収束する初期値領域は、変数の変化範囲の中点を
含むことを示しており、従つて中点を初期値として選べ
ばよいことを示している。これに対し最小値が複数個存
在する場合中点から出発しても端点に到達しない場合が
ある。このようなときは、中点の値から少しずれた値に
初期値を設定すればよい。
ここで1,0問題で N1 N2 ……Nm={1,2,…,n} かつ N1 N2 ……Nm=φ とする。但し、∪,∩は集合の和,積を示す演算を示
し、φは、空集合を表わすとする。このときNl(l=1,
…,m)に含まれるi,j(i≠j)について、 でかつ |ω(0)i|=|ω(0)j|,|Sω(0)i|=Sω
(0)j| となるω(0)がとれ、ω(0)i,(Sω(0))i, に対応するω(0)i,(Sω(0))j, の各符号が同じか、逆とする。
とする。このとき に初期値を選ぶと、系はn次元からm次元に縮退し、も
との系のTx+b=0を満たす特異点が不安定でも、縮退
した系の対応する特異点が安定となる場合が生じる。従
つてこの場合、x(0)を初期値にすると、この特異点
に収束する。
これは次のようにして分かる。(9)式に を代入すると、 となる。ω=ω(0)とすると仮定よりNlに含まれるi
に対応する全てのωの絶縁値は、t0以降全く同じ
に変化する。即ち、Nlに含まれるiに対するωの動き
は、1つのωの動きで代表される。従つてn個の変数
の系がm個の変数の系に縮退することになる。このとき
縮退した系の微分方程式で、Nlに含まれるiでNlを代表
させるとすると、この系の係数Sii′は、 (但しj∈Nlは、jがNlに含まれることを示す)とな
る。従つてもとの方程式ではSii=0でも、縮退した系
では、Sii′>0となる場合が生じ、これにより後で述
べるように端点が不安定となり内部の特異点が安定とな
る場合が生じる。このとき と初期値を設定すると内部の特異点に収束する。
1,−1問題でも同様に、i,j∈Nlにおいて |bi|=|bj| かつ |ω(0)i|=|ω(0)j|,|(Tω(0))i|=|T
ω(0))j| となるω(0)がとれ、ω(0)i,(Tω(0))i,bi
に対応するω(0)j,(Tω(0))j,bjに対応する符
号が一致するか逆となるとき、x(0)=ω(0)に初
期値を選ぶと、内部の特異的に収束する場合が生じる。
以上の縮退をさけるためには、縮退の可能性があると
きは最低限あるNl(l=1,…,s)についてi,j∈N2とな
るあるi,jについて |ω(0)|i≠|ω(0)|j とする必要がある。より確実には、 |ω(0)|i≠|ω(0)|j i≠j,i,j∈N2 l=1,…,s とするか、 |ω(0)|i≠|ω(0)|j i≠j, i,j=1,…,n とすればよい。
(ニ)収束解の改善 中点に初期値を与えたとしても最小限に収束する保証
はない。従つて解が求まつた時、更にエネルギー値が下
がる解がないか解の改良を図かることが必要となる。
ここで1,−1問題に対して次の性質がある。
Tiiの値をαだけふやせば、各端点cのエネルギー
は、αだけふえ、固有値λc,iも2αだけふえる。
これは次のようにして分かる。(1)式よりTiiに関
するエネルギーは、1/2xi 2Tiiであるから、Tiiの値をα
だけ増やせば、端点においてエネルギーはα/2だけ増え
る。また であるから、固有値λc,iは2αだけふえる。
0,1問題に対しては、次の性質がある。
Siiの値をαだけふやしaiの値をα/2だけへらせば、
各端点のエネルギーは変わらないが、端点dの固有値λ
d,iはαだけふえる。
これは次のようにして分かる。
(1)式よりSii,aiに関するエネルギーは、 であるからSiiをαふやし、a1をα/2へらすとすると、 となる。また固有値λd,iであるからSiiをαふやし、a1をα/2へらすと固有値
は、 となる。
従つて1,−問題、0,1問題とも、TあるいはSの対角
要素を上記の条件を守つてふやしてゆけば、安定点を不
安定化できることが分かる。
また求まつた解が最小値でないとき、その解よりエネ
ルギーの低い解との固有値の間に次の関係がある。
1,0問題において端点e,fのエネルギーEeとEfの差は固
有値により となる。
S={i|i=1,…,n,ei≠fi} (29)式は、1,−1問題のときは右辺の係数は1/2と
なる。0,1問題に対して成立することを示す。
e=(e1,…,ei,ei1,…en f=((1−e1),…,(1−ei),ei1, …en とすると、 従つて(29)式が成立することが分かる。
積分を行なうことによつて端点fが求まつたとき、端
点fよりエネルギーの低い安定な端点eがあつたとする
と(29)式より でかつλe,if,iとも固有値は負または0であるか
ら、Sに含まれるiのうち λe,i<λf,i …(33) が成立するiがある。
これより、積分によるある端点が求まつたとき、(3
3)式が成立するiについてTii(Sii)の値を増やすこ
とにより、 λe,i<0<λf,i …(34) とすることができる。これにより端点fが不安定となり
端点eを求めることが可能となる。このとき(33)式を
満たすiは、前もつては知ることができないためいくつ
かの方式が考えられる。
その方法として以下のものが考えられる。
(i)固有値の絶対値の小さいものを選び、それに対応
するT(あるいはS)の対角要素をふやす。
(ii)求まつた解のうち1が立つている要素に対応する
T(あるいはS)の対角要素をふやす。
(iii)固有値の絶対値の小さいものを選び、それに対
応する初期値の要素を増やす(あるいはへらす)。
(iv)求まつた解のうち1が立つている要素に対応する
初期値の要素を増やす(あるいはへらす)。
(iii),(iv)は、対角要素をふやすかわりに対応
する初期値を変えるもので同等の効果がある。
(ホ)積分方式 (2),(3)式、あるいは(2),(4)式をデイ
ジタル方式で積分するとすると次のようになる。
unew=uold−(Txold+b)Δt …(35) xnew=f(unew) …(36) 但し、unew,uold,xnew,xoldは時間刻みΔtの後と前
のu,xのベクトルでfは、(3)あるいは(4)式の関
数とする。ここで時間が経過するに従いエネルギーが減
少する特性があるため、時間刻み幅ΔTが適切に選ばれ
ているか確かめることができる。即ち Exnew>Exold …(37) となつたときΔtが大きすぎることを検出することがで
きまた Exnew<Exold …(38) のときは、Δtを大きくできる可能性があることが分か
る。このようにエネルギー値を監視することにより積分
の時間刻みを適正化できる。
ここで1,0問題では初期値は 近傍で、1,−1問題では、原点近傍であるから、 あるいは unew=−bΔt となる。Δtが大きく設定されると、unewの絶対値が大
きくなり、(36)式のfに含まれるtanhの値が1あるい
は−1となり、不安定な解が求まる可能性がある。この
ため あるいは max|bi|Δt<umax …(40) となるようにΔtを決めればよい。このときumaxは、5
〜10程度に設定する。
(ヘ)境界上に収束した解 行列T(s)の対角要素が0でないとき、端点以外の
境界上の点に収束する場合がある。このとき次の性質が
ある。
端点c,c(i)のエネルギーが Ec<Ec) …(41) のとき、Tii>0でかつλc,i>0のときはcとc(
の中点とcとの間に特異点が存在する。
これは次のようにして分かる。どちらの場合も同じで
あるため1,−1問題で考える。(41)式と条件より λ),i>λc,i>0 …(42) である。このとき (c1,…ci1,yi,ci1,…cn) に対する(3)式の微分方程式は、 となる。従つて特異点は yi=±1 及び ここで(40)式より 0<2(Tii−Tiiciyi)<2(Tii−Tiiciyi) 従つて Tii>Tiiciyi>0 で Tii>0より 1>ciyi>0 これによりyiはciと同符号であり、特異点は中点とcと
の間にあることがわかる。
以上の性質より、Tii>0で端点以外の境界の点が求
まつたときは、近い方の端点をとれば、エネルギーの低
い解が得られることが分かる。Ec=Ec()の時は、c
とc()を結ぶ線上全てが安定点となる可能性がある
が、このときはどちらの解をとつてもよい。
〔作用〕
(イ)エネルギー関数の表現 係数行列TあるいはSの対角要素を0とすることによ
り、極小値の端点が全て安定点となり、極小値への収束
を可能にする。
(ロ)重みの決定 制約条件間の重みを、各々の制約条件が、制約を逸脱
したとき同じエネルギーの増加をとなるように設定し、
また制約条件と評価関数の間の重みは、制約条件をはず
れたときの制約条件のエネルギーの増加が、評価関数の
エネルギーの低下よりも大きくすることにより、制約条
件を満たす解が極小値となるようにすることができる。
(ハ)積分の初期値の選択 変数の増加する領域の中点に初期値を選ぶことによ
り、最小値あるいは最小値に近い極小値を求めることが
できる。
また中点の値に絶対値の値が異なる値を加えたものを
初期値とすることにより、領域の内部に収束することを
防止することができる。
(ニ)収束の改善 一度求まつた解に対して対角要素の値を増やしてその
解を不安定にして、再度解を求めることにより、よりエ
ネルギー値の近い解を求めることができる。
(ホ)積分方式 時間刻みΔt後のエネルギーの値が前のエネルギーの
値に対して減小するか否かを調べ、それによりΔtの大
きさを調整することにより、安定な収束を保つことがで
きる。
Δtの初期値を、 あるいはbの絶対値の最大値に応じて決めることによ
り、エネルギーが極小値でない解が求まらないようにす
ることができる。
(ヘ)境界に収束した解 境界に解が収束したとき、T(S)の対角関素が正の
とき、近い方の端点を解とすることによりエネルギー値
の低い解を選択することができる。
〔実施例〕
以下本発明の実施例を第4図を用いて説明する。図に
おいて1はCPU、2はメモリ、3は組合せ最適化問題を
解くプログラム、4はプログラム3が使用するデータエ
リアである。組合せ問題を解くときは、プログラム3を
起動すると、プログラム3は、入力データに従つてデー
タエリア4を用いて計算を実行し、結果を出力する。
第1図にプログラム3の動作手順を示す。第1図にお
いて、100は、重みを決定するステツプ、200は、係数行
列を決定するステツプ、300は、積分の初期値を選択す
るステツプ、400は積分を実行するステツプ、500は収束
解を判定するステツプ、600は、500の結果に従つて処理
を終了して良い場合は、終了し、そうでない場合は、70
0へ進む処理を行なうステツプ、700は500の判定結果に
従つて、初期値を変更する場合は、300へ進み、そうで
ない場合は800へ進む処理を行なうステツプで、800は係
数行列の変更を行なうステツプである。
以下各ステツプを詳細に説明する。重みを決定するス
テツプ100は、第5図のようになる。エネルギーが E=ω0f+ω1g1+……+ωngn …(44) で表現されるとする。ここでfは評価関数、g1〜gnは制
約条件、ω〜ωは重みである。
このとき第5図において 101…制約条件を1つ分だけ満たさないときの、制約条
件g1〜gnの増分値を計算する。
102…101で求まつたg1〜gnに対する増分値をΔg1〜Δgn
とするとωΔg1〜ωΔgnの値が等しくなるようにω
〜ωの比を決定する。これにより、制約項が ω(g1+α2g2+…+αngn) …(45) と決まつたとする。α〜αは定数ωは以下の処理
で決まる。
103…(43)式に従つて制約条件を1つ分だけ満たさな
いときの制約条件の増分を計算しこれをωΔgとす
る。またこのときの評価関数の微小分を計算(これを、
ωΔfとする)。
104…ωΔg>ωΔfとなるようにω1の値を
決める。
次に係数行列を決定する200のステツプを第6図によ
り説明する。
201…エネルギー関数Eより、 となるn×n次係数行列T及びn次入力ベクトルbを決
定する。
202…0,1問題のときは、203へ進み、そうでないとき
は、204へ進む。
203…入力ベクトルの要素biを bi←bi+Tii/2 と修正し、それに伴ないTiiを0にする。
204…係数行列Tの対角要素、Tiiを0とする。
次に初期値の選択ステツプ300を第7図を用いて説明
する。
301…ステツプ700からきたときは、303へそうでないと
きは302へ進む。
302…変数xの変化する領域の中点に初期値を設定す
る。0,1問題では(1/2…1/2)の点−1,1問題では原点で
ある。
303…もとの初期値のある要素(1つでも複数個でもよ
い)に微小量を加える。但し複数個に加えるときは絶対
値が異なるようにする。この微小量の大きさは、小さけ
れば小さい方がよい。
積分の実行ステツプ400を第8図を用いて説明する。
401…積分の刻みΔtを決める。
この値は、1,0問題では、(39)式、即ち 1,−1問題では、(40)式即ち となるようにΔtを決める。umaxは、5〜10の範囲とす
ればよい。
402…(35),(36)式によりunew,xnewの値を計算す
る。
403…微小量εにより、xnewとxoldの対応する各要素の
差の絶対値が全てεより小さければ終了し、そうでなけ
れば404へ進む。
404…xnew,xoldに基づいたエネルギー値Exnew,Exold
差が負ならば405へそうでなければ407へ進む。
405…Δtを増加させる場合は、406へそうでない場合
は、402へ進む。ここでΔtを増加させるか否かの決定
は、以前Δtを減小したか等により決める。
406…Exnew−Exold<0の成立する範囲でΔtを増加さ
せる。このときは、(35)式のΔtをふやしてunew,x
newを計算し、上記条件を満足していることを確かめ
る。
407…Δtを減小させてExnew−Exold<0が成立するよ
うにする。
収束の判定ステツプ500を第9図を用いて説明する。
501…端点に収束していれば502へそうでなければ505へ
進む。
502…既にステツプ800を実行しているときは、503へそ
うでないときは504へ進む。
503…再度計算する必要がないときは、これまで求まつ
た解のうちエネルギーの最も低い解を求まつた解とし
て、508へ進む。そうでないときは、504へ進む。ここで
再計算するか否かは、後で述べる係数行列の変更処理を
再度するか否かによつて決まる。
504…再積分計算を指示して終了する。
505…内点に収束した場合は、507へそうでない場合は、
506へ進む。
506…領域の端点でない表面に収束したときは、端点に
対応しないxiに対しTii>0のときは、xiに近い端点の
値をとり、Tii=0のときは、どちらかの端点の値をと
る。
507…初期値変更指示を出して終了する。
508…積分終了指示を出して終了する。
第10図を用いて係数行列の変更ステツプ800を説明す
る。
801…修正が一番最初のときは802へ、そうでないときは
806へ進む。
802…修正を固有値の大小でやるときは803へそうでない
ときは807へ進む。
803…解の固有値を(7)あるいは(11)式で計算し、8
04へ進む。
804…固有値の絶対値の小さいものからm個選び記憶す
る。このうちの1つを選んで805へ進む。ここでmは1
から最大nまで選ぶことができる。
805…対角要素あるいは初期値を第11図で示す手順で行
なう。
806…前回805で修正した対角要素あるいは初期値をもと
に戻し、804で記憶したものから1個とり出し、805へ進
む。
807…解xの要素がxi=1のものを記憶しするととも
に、この中から1つ選ぶ805へ進む。
次に第11図を用いて805の手順を説明する。
808…804,806,807で選ばれたものがi番目であつたとす
る。
809…対角要素を変更する場合は、810へ、対角要素の変
更と等価な初期値の変更の場合は、813へ進む。
810…1,0問題のときは、811へ、1,−1問題のときは812
へ進む。
811…i番目の対角要素及び入力ベクトルを各各 Tii←Tii+2ΔTii bi←bi−ΔTii と変更する。
812…i番目の対角要素を Tii←Tii+2ΔTii で変更する。
813…変数ベクトルのi番目の要素の初期値を xi←xi+Δxi と変更する。ここでΔxiは、1,0問題では、 0<xi+Δxi<1 1,−1問題では、 −1<xi+Δxi<1 とする。
811,812のΔTiiは、 0<ΔTii<γ|λc,i|+ε の範囲で設定すればよい。但しγは1,0問題では1,1,−
1問題では2で、εは微小量である。これ以上の値にΔ
Tiiを大きく設定すると、最初に求まつた解は不安定と
なるためである。
なお以上の手順では、ΔTii,Δxiは一度だけ設定する
方法を示しているが、ΔTii,Δxiのいくつかの組合せに
ついて調べることもできる。また一度変更した対角要素
あるいは初期値をもとに戻して次の修正を行なつている
が、それをそのままにして解を改善してゆくことも可能
である。
ここで具体的な一例で説明を加える。工業上の多岐に
渡る分野で組合せ最適化問題を解くことが必要とされて
いる。その1つに輸送問題がある。輸送問題では、中継
点と中継点を結ぶ輸送路で構成され、各輸送路には、そ
れを通るときのコストが決められており、ある中継点か
ら別の中継点へ行くのにコスト最小となる輸送路を決め
る問題である。第12図はその例を示す。図において、90
0−1〜900−6は中継点で、900−12〜900−56は輸送路
で、各輸送路には、コストが決められており、例えば中
継点900−1から中継点900−6にゆくのにコスト最小と
なる輸送路を求めるものである。
通信改選網で言えば、ある中継点から別の中継点にデ
ータ輸送をするときに、通信コストを最小にする通信回
線を選択する問題であり、貨物の輸送システムで言え
ば、ある中継点から、別の中継点に輸送コスト最小で送
れるルートを求める問題となる。
この輸送問題に対するエネルギーEは、 となる。但し、第1項は各中継点において、出入りする
輸送量は0である制約で Ii :i番目の中継点に外部から注入あるいは、外
部に出る輸送量で、出発点のとき、Ii=1,終点のときIi
=−1、それ以外のときは0とする。
bij :i番目の中継点からi番目の中継点に輸送さ
れるとき1,輸送されないとき0となる変数。
N():中継点iに接続した中継点の集合 n:中継点の総数 A:重み また第2項は、中継点iとjは、iからjあるいはj
からiへの輸送があるか、ないかのどれかである制約
で、Bは重みである。
第3項は、輸送の総コストを示しており、 cij:中継点iとjの間で輸送があつたときの、コスト D:重み である。
上記輸送問題の解は、第1図の手順に従つて求めるこ
とができる。
まず重みは、第5図に従い次のようにして決まる。A,
Bは制約条件に対する重みであり、制約条件を1つ分だ
け満たさないときの第1,第2項の増分値は、A及びBで
あるから、 A=B …(47) となる。また制約条件を1つ分だけ満たさないときの制
約条件の増加分は2Aで、第3項の微小分の最大値は、 であるから となるように、A,Dを決めればよい。
次に係数行列の決定は、第6図に従つて行うことがで
きる。Eの定数項を省略すると、 において、 となる。0,1問題であるから、Tの対角要素をふやし
て、対応するbの要素を修正すると、T,bは次のように
なる。
初期値は第7図より、1/21に設定する。積分は第8図
により行なう。このとき積分刻みΔtは、 となるようにΔtを決める。
ここで第12図で I1=1,I6=−1,I2〜I5=0 C12=C21=1.1 C13=C31=2.2 C24=C42=1.3 C25=C52=2.1 C35=C53=2.5 C46=C64=2.0 C56=C65=0.5 とする。このとき重みは(48)式を満たすようにとれば
良いが、例えば D=1,A=12 とする。
また(44)式より、左辺の最大値は、18.5Δtとなる
ため、umax=10として、Δt=0.5とする。
このとき固有値が全て負となる。即ち安定な端点は、
第13図の4種類と、全てが0になる端点となるが、 に初期値を設定すると、この問題では縮退が生じないた
め、第14図(a)のコスト最小の解を求めることができ
る。従つて第1図の700において、初期値の変更は不要
で、800の係数行列を変更しても、解の改善は生じな
い。
以上、説明した本発明の実施例の効果を説明する。
(イ)エネルギー関数の表現 係数行列TあるいはSの対角要素を0とする効果は、
例えば(19)式のエネルギー関数で示される巡回セール
スマン問題で、 n=2,A=B=2.5,D=1 dxy=1 とした時、対角要素を0にすると、安定な端点は(110
0),(1010),(0101),(0011)(1001),(011
0) となる。このうち後2つの端点が制約を満たす解であ
る。それに対して対角要素を0にしないと上記の安定な
端点は全て不安定な端点となり、解が求まらなくなつて
しまう。このように係数行列の対角要素を0とすること
は、安定解を求める上で極めて有効であることが分か
る。
(ロ)重みの決定 (イ)の例でdxy=1であるからA=Bとすると(2
3)式より A>2D と設定することが必要である。これに対しA=1.5,D=
1とすると端点の安定点は、 (1000),(0100),(1100),(0010),(1010),
(0001),(0101),(0011) となり、制約条件を満たす端点が安定点とならない。従
つて本発明で述べた重みの決定は、極めて有効であるこ
とが分かる。
(ハ)積分の初期値の選択 (イ)のn=2の巡回セールスマン問題において、Δ
t=1としたとき初期値をかえたときの収束の様子を第
14図に示す。図に示す初期値は、1/2からの変分を示し
ており、+/−は1/2+0.0025及び1/2−0.0025であるこ
とを示している。(1/2…1/2)の点からは、内部の不安
定点に収束している。これに対し、ある一つの要素に微
小量を加えるあるいは引いた値を初期値としたときは、
制約を満たす解に収束しているが、全ての要素に微小量
を加えるか引くかした場合は、制約を満たさない解に収
束している。このように初期値は、中点に設定しそれが
収束しないとき、いくつかの初期値に微小量を加えるこ
とが効果あると言える。
(ニ)収束の改善 (ハ)で示したn=2の巡回セールスマン問題では、
与えられた初期値のうち、(+000)と(−000)につい
てしか制約を満たす解に収束しなかつたが、求まつた解
に対してその解を不安定化する処理により、(1/2…1/
2)の初期値以外の初期値の場合は制約条件を満足する
解に収束した。また(1/2…1/2)の解も初期値のある要
素に微小量を加えるあるいは引くことにより制約条件を
満たす解に収束した。
(ホ)積分方式 10都市,13都市に対して対角要素を増やして解を改善
した例を第15図,第16図に示す。10都市では、101/20=
181,440通りの解の組み合わせがあるが、 x1=1/2+0.03,xi=1/2, i=2,…,100 と初期値を選定したとき、エネルギーが−9.92の解が求
まつた。第15図はこのときxi=1となつたiについて順
次対角要素の値を増やしていつたときの解を示してい
る。T77,77を0.8ふやしたときエネルギー−10.47の解が
得られたがこれは、全ての組合せを調べることにより、
最小値であることが確かめられた。増加分を0.2,0.4と
したときも、最小値に近い解が求まつていることが分か
る。
13都市では、組合せの数は、239,500,800通りもあ
る。これに対して、第16図は、 x1=1/2+0.03,xi=1/2,i=2,…,169 として解を改善していつた結果を示す。最小値は組合せ
を全て調べる方法により、−133.67であることが確かめ
られたが、T42,112を0.2ふやした時に最小値が求まつて
いる。また3.0でも−133.67で最小値に極めて近い。
対角要素をふやす方法に対して、初期値を変えた結果
を第17図に示す。図は、10都市の場合で、初期値とし
て、 x1=xi=1/2+Δx(Δx=0.03,0.04)として、iは
図中の初期値の番号に設定した。このときx49=1/2+0.
04で最小値が求まつている。
このように収束を改善することにより、少ない手順で
は求めることが不可能と言われていた最小値が求められ
る。
第18図にn=2の巡回セールスマン問題で n=2,A=B=2.5,D=1 dxy=1 として、積分刻みΔtをかえたときの収束特性を示す。
これを見るとΔtがエネルギーの単調収束性が満たされ
る範囲で大きくした方が、制約条件を満たす解が求まる
可能性が高くなり、積分刻みΔtを変えることが有効で
あることが分かる。
(ヘ)境界に収束した解 従来方式では解が端点以外の境界面上に収束したとき
その意味を解釈することができなかつたが本発明を実施
することにより、端点の解に変換することが可能となつ
た。
本発明を輸送問題等産業上の種々なシステムに適用す
る際、各種の定数が試行錯誤を行なうことなく決めるこ
とができるため、容易に適用でき、またネツトワークの
接続関係などの構成が変わつても簡単に対応ができる。
また本発明により最適解もしくは、最適解に近いものが
得られるため、システム運用コストを削減できる効果が
ある。
具体的なアプリケーシヨンの一例を以下説明する。
家庭に電気を供給している配電線は、道路に沿つて網
目状に張りめぐらされ、適当な間隔にスイツチを配置
し、その一部を切つておいて巡回路(ループ)を作らな
いよう運用されており、この配電線のどこかで工事を行
うときは、このスイツチをうまく切替えて、電気の流れ
を変え、どこにも停電が起きないようにする必要がある
が、これは大規模な組合せ問題となる。
また、計算機の構成単位であるLSIチツプを設計する
際、そのチツプ上に実装するLSIモジユールと呼ばれる
論理の集まりを効率良く配置しなければならない。その
ためには、LSIモジユール間の全配線長を最小する配置
を決定する必要があるが、これもまた大規模な組合せ問
題となる。本発明を適用することにより、現在製品レベ
ルである約10kゲート規模のLSIモジユールの最適配置を
ニユーロコンピユータで解くことが可能となる。勿論こ
れらの具体例に限定されず種種な組合せ最適化問題に適
用可能である。
上記2つの問題は、巡回セールスマン問題に置き直し
てみれば、100〜1000都市の問題に相当し、組合せの数
は天文学的な数となりニユーロコンピユータをつかわな
い方法で妥当な解を求めるのに長い時間を要した。また
ニユーロコンピユータを用いるにしても、従来の試行錯
誤の方法では対応しきれない規模となる。これに対して
本発明により試行錯誤の部分が解消できるため実用規模
の問題に対してもニユーロコンピユータの適用が可能と
なる。更に発明と、並列処理計算機等のハードウエアの
技術の組合せにより、大規模組合せ問題が、一層高速に
解くことが可能となる。
〔発明の効果〕
本発明は、組合せ問題を解いて種々な産業上のシステ
ムに適用する際に、各種の定数が試行錯誤を行なうこと
なく高速に最適解もしくは、最適解に近いものが得られ
るという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す図、第2図,第3図は
初期値の収束に与える影響を説明した図、第4図は本発
明の一実施例にかかる全体構成図、第5図〜第11図は第
1図の手順を更に詳細に説明した図、第12図は輸送問題
を説明した図、第13図は輸送問題の解のパターンを示し
た図、第14図は初期値の収束値に与える影響を示した
図、第15図〜第17図は収束の改善の効果を示した図、第
18図は、積分刻みの収束値に与える影響を示した図であ
る。 100……重みの決定、200……係数行列の決定、300……
初期値の選択、400……積分の実行、500……収束解の判
定、600……終了してよいかの判定、700……初期値変更
要かの判定、800……係数行列の変更。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G06F 15/18 JICST化学技術文献データベース

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のニューロンが結合され、それらのニ
    ューロンが活性化することにより動作するニューラルネ
    ットを用いて最適解を求めるデータ処理方法において、 予め与えられた制約条件を満たす解に対して、ニューロ
    ンの状態を活性から不活性にした解のエネルギーが前記
    制約条件を満たす解のエネルギーよりも大きくなるよう
    に各ニューロン間の結合の強さを決め、 予め定めた初期値を用い、各ニューロン間の結合の強さ
    にもとづいて全てのニューロンが安定となる解を一旦求
    め、 前記各ニューロン間の結合の強さは維持したままで、ニ
    ューロンの出力をフィードバックして自分の入力にする
    結合の強さを順次大きくしていくことにより、さらにエ
    ネルギーの低い解を求める組合せ最適解を求めるデータ
    処理方法。
  2. 【請求項2】エネルギー関数が最小となるように係数行
    列T、入力ベクトルb、変数ベクトルxの微分方程式を
    積分することにより最適解を求めるデータ処理装置にお
    いて、 係数行列Tと入力ベクトルbと変数ベクトルxの積分初
    期値x0から決まるベクトルT×x0+bの最大値があらか
    じめ指定された値以内になるように積分の刻み幅を決め
    る手段を備えた組合せ最適解を求めるデータ処理装置。
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木村 正行著「システム工学基礎論」第2版 丸善株式会社 昭和56年3月30日p76〜174
西川、三宮、茨木 岩波講座 情報科学−19「最適化」岩波書店 1982.9.10

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