JP2806336B2 - 窒素含有焼結硬質合金およびその製造方法 - Google Patents

窒素含有焼結硬質合金およびその製造方法

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JP2806336B2
JP2806336B2 JP711796A JP711796A JP2806336B2 JP 2806336 B2 JP2806336 B2 JP 2806336B2 JP 711796 A JP711796 A JP 711796A JP 711796 A JP711796 A JP 711796A JP 2806336 B2 JP2806336 B2 JP 2806336B2
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圭一 津田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば施削工
具、フライス工具、ドリル、エンドミルなどの切削用工
具材料に適し、特に鋼の過酷な条件下での断続切削、高
切込み、高送りなどの重切削および高速切削に最適な汎
用性に富んだ窒素含有焼結硬質合金およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、TiC基切削工具(サーメット)
としては、N(窒素)を含有している窒素含有焼結硬質
合金が主流となってきている。これは、窒素含有焼結硬
質合金がN無添加焼結硬質合金に比べ耐塑性変形性およ
び靱性に優れる傾向にあるためである。しかしながら窒
素含有焼結硬質合金では、焼結工程における脱Nが原因
で金属成分を主成分とするシミダシ層が表面に生じ、そ
のシミダシ層直下の合金内部より結合相が貧化した高硬
度な領域ができる。この高硬度領域が生じることによ
り、切削性能上、耐摩耗性は向上するが耐チッピング性
が劣化するという問題がある。
【0003】また最近では、TiC基窒素含有焼結硬質
合金の合金組織にWCやMo2 Cを析出させ、靱性強
化、さらなる耐摩耗性強化を図った窒素含有焼結合金
が、特開平7−179978号公報、特開平7−252
578号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平2−93036
号公報には、表面から50μmの間にヴィッカース硬度
2000以上の部位が存在することを特徴とするTiC
N基サーメットが開示されている。
【0005】同公報に開示のTiCN基サーメットは鋳
鉄用切削工具として提案されており、このTiCN基サ
ーメットで鋼の重切削を行なうと切れ刃にチッピングが
生じるという問題がある。
【0006】また、特公平7−26173号公報には、
表面部の結合相の相対濃度を内部の平均的結合相濃度に
比べて減少させ、かつ表面に圧縮残留応力を残存させる
ことにより、耐熱衝撃性を高めるとともに、耐摩耗性お
よび耐欠損性をバランスよく高めた高靱性サーメットが
開示されている。
【0007】同公報に開示の高靱性サーメットは切れ刃
近傍部においても結合相が減少している。このため、切
れ刃近傍部が脆弱となり、鋼の重切削、特に断続切削や
高送りの過酷な条件下ではチッピングが生じる。また刃
先近傍部にも圧縮残留応力が残存していることからチッ
ピング部を起点に自らの応力で大破に至ってしまうとい
う問題がある。
【0008】さらに特公平4−55801号公報には、
工具断面における最高硬さが最表面から2〜50μmの
範囲内の深さ位置にあり、さらに最表面が前記最高硬さ
の60〜90%に相当する硬さを有することを特徴とす
る耐欠損性に優れた耐摩耗性サーメット製切削工具が開
示されている。
【0009】同公報に開示の耐欠損性に優れた耐摩耗性
サーメット製切削工具では、良好な耐欠損性および耐摩
耗性の両立が可能である。しかし、切屑が当たり擦過す
るすくい面において耐クレーター性に劣り、特に高速切
削の場合にクレーター摩耗が激しくなり、クレーター部
分を起点に欠損が生じるという問題がある。
【0010】それゆえ、本発明の1の目的は、良好な耐
チッピング性と耐クレーター性とを有する窒素含有焼結
硬質合金およびその製造方法を提供することである。
【0011】また本発明の他の目的は、良好な耐チッピ
ング性と耐クレーター性とを有するとともに優れた耐摩
耗性を有する窒素含有焼結硬質合金およびその製造方法
を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは鋼の過酷
な条件下での断続切削、高切込み、高送りなどの高切削
および高速切削に対しバランスよく性能を向上させるた
めに、窒素含有焼結硬質合金の合金構造を検討した結
果、次の知見を得た。
【0013】第1の知見は、すくい面および逃げ面中央
部の硬度に対して切刃近傍部の硬度を低くすることで、
窒素含有焼結硬質合金の耐チッピング性と耐クレーター
性とを同時に向上させることができることである。
【0014】また第2の知見は、すくい面および逃げ面
中央部の硬度を特定範囲内とし、かつ切刃近傍部の硬度
を特定範囲内割合ですくい面および逃げ面中央部の硬度
より低くすることで、耐チッピング性と耐クレーター性
と耐摩耗性とを向上させることができることである。
【0015】本願発明者らは、この第1および第2の知
見に基づいて本願発明を完成するに至った。
【0016】それゆえ、本発明の窒素含有焼結硬質合金
は、Ti(チタン)とW(タングステン)、Mo(モリ
ブデン)、Cr(クロム)の中の少なくとも1種と窒素
と炭素とを含有してなる炭化物、窒化物、炭窒化物の硬
質相が75重量%以上95重量%以下で、残部が鉄系金
属を主成分とした結合相と不可避不純物とからなる窒素
含有焼結硬質合金であって、以下の要件を備えている。
【0017】硬質相はB−1型硬質相を有している。T
iの含有量はTiN、またはTiNとTiCとに換算し
て35重量%以上85重量%以下、W、Mo、Crの合
計含有量はWC、Mo2 C、Cr3 2 に換算して10
重量%以上60重量%以下である。焼結硬質合金の逃げ
面に対して垂直かつ合金中央部を通る断面において、逃
げ面中央部における表面から10μmの深さ位置での硬
度をxとし、ホーニング処理部と逃げ面との接点から逃
げ面中央部に向かって0.5mmの位置における表面か
ら10μmの深さ位置での硬度をyとしたとき、x>y
の関係が満たされる。
【0018】本発明においてB−1型硬質相とは、具体
的にはTiC、TiN、TiCN、(Ti、M)C、
(Ti、M)CN(ただしMはW、Mo、Crの少なく
とも1種)を指す。また、これらの硬質相の他に、B−
1型硬質相として、周期律表5a族金属および/または
周期律表4a族金属(ただしTiを除く)を含有した炭
化物、窒化物、炭窒化物であるB−1型硬質相、具体的
にはTaC、NbC、VC、ZrC、HfC、TaN、
NbN、VN、ZrN、HfN、TaCN、NbCN、
VCN、ZrCN、HfCN、(Ti、M′)C、(T
i、M′)N、(Ti、M)CN、(M、M′)C、
(M、M′)CNを挙げることができる(ただしM′は
Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、V(バナジウ
ム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)の少
なくとも1種)。
【0019】さらに窒素含有焼結合金の硬質相として上
述のB−1型硬質相の他にWC、Mo2 CおよびCr3
2 が析出していても本発明の効果は変わらない。
【0020】この硬質相の他に本発明の窒素含有焼結硬
質合金を構成している結合相は、Fe(鉄)、Ni(ニ
ッケル)、Co(コバルト)を主成分とし、他に硬質相
を構成している元素を固溶して形成されている。もちろ
ん、結合相にAl(アルミニウム)、B(ホウ素)など
の微量添加を行なっても本発明の効果に変わりないこと
は言うまでもない。
【0021】本発明における硬質相は95重量%を超え
ると結合相が相対的に減少することから靱性面で不足す
る。また75重量%未満になると逆に結合相が増加しす
ぎ耐塑性変形性が維持できなくなる。このため硬質相の
量は75重量%以上95重量%以下である。
【0022】本発明における窒素含有焼結硬質合金にお
けるTi含有量は、合金窒素量のすべてをTiNになる
ものと換算し、この換算量でもTiが残存する場合には
TiCになるものと換算して、TiN、またはTiNと
TiCとで合金全体の35重量%以上85重量%以下に
なるものである。35重量%未満となると耐摩耗性が維
持できなくなり、85重量%を超えるとその他の成分が
少なくなり耐欠損性が低下する。
【0023】W、Mo、Crの合計含有量はWC、Mo
2 C、Cr3 2 の炭化物に換算して、換算合計量が合
金全体の10重量%以上60重量%以下である。この換
算量が10重量%未満となると硬質相そのものの靱性が
不足し耐欠損性が低下する。また60重量%を超えると
合金に含有されるTi量が減少するため耐摩耗性が劣化
する。
【0024】Ta、Nb、Vの含有量はTaC、VC、
NbCの炭化物に換算して、換算合計量が合金全体の3
0重量%以下である。30重量%を超えると硬質相の結
晶粒度が粗大化するため耐摩耗性が低下する傾向があ
る。しかしながら、適度にTa、Nb、Vの少なくとも
1つを含有させることは結合相を強化し耐塑性変形性が
向上することから好ましいことである。
【0025】Zr、Hfの合計含有量はZrC、HfC
の炭化物に換算して、換算合計量が合金全体の5重量%
以下である。5重量%を超えると合金中にポアが増加
し、耐欠損性が低下する。しかしながら、Zr、Hfの
結合相を固溶強化する働きを持っていることから合金中
に含有させておくことは好ましいことである。
【0026】本発明の窒素含有焼結硬質合金のN量はC
(炭素)量との相関が非常に重要である。つまり重量%
の比率で、N/(N+C)が0.2以上0.8以下の間
にあると耐摩耗性と耐欠損性のバランスがうまく釣り合
う。すなわち0.2未満となると合金そのものが高硬度
化し耐欠損性が著しく低下し、0.8を超えると低硬度
化し耐摩耗性が著しく劣化する。
【0027】本発明の窒素含有焼結硬質合金は、焼結合
金の逃げ面に対して垂直でかつ合金中央部を通る断面に
おいて、逃げ面中央部における表面から10μmの深さ
位置の硬度をxと、ホーニング処理部と逃げ面との接点
から逃げ面中央部に向かって0.5mm位置における表
面から10μmの深さ位置の硬度yとによって管理され
る。
【0028】なお、耐クレーター性の管理ということで
すくい面側で管理するのが直接的でよい。しかし、最近
の切削チップでは、すくい面に切屑処理のための3次元
ブレーカーがあり、品質管理上、硬度測定位置を決定す
るのに困難を極める。フラットである逃げ面側で硬度を
管理する方法は簡便でありかつ測定値の精度が高まり、
かつ本発明品のすくい面における耐クレーター性の能力
は逃げ面側の管理で十分予想できる。
【0029】上述のように規定された硬度がx>yの関
係を満たすと、耐チッピング性と耐クレーター性とを同
時に向上させることが可能となる。
【0030】x≦yの関係になると、刃先部近傍の硬度
が高くなり耐チッピング性が劣化し、切削時に切屑が擦
過するクレーター部の硬度が低くなる。このため、クレ
ーター部を起点とした欠損が起こりやすくなり、切削性
能は著しく低下する。
【0031】硬度x、yは、1800<x<2600、
かつ0.7x<y<0.98xの関係を満たすことが好
ましい。硬度x、yがこの関係を満たすと、耐チッピン
グ性、耐クレーター性に加え耐摩耗性も向上させること
ができる。
【0032】本発明の窒素含有焼結硬質合金の製造方法
では、まずTiの炭化物、窒化物、炭窒化物の少なくと
もいずれかと、周期律表の6a族金属の炭化物と、Ti
を除く周期律表4a族金属および5a族金属の炭化物、
窒化物、炭窒化物の少なくともいずれかとを有する出発
物質を鉄系金属を主成分とする結合相成分と混合し、成
形して成形体が得られる。そして成形体を焼結温度まで
昇温し、焼結温度で所定時間保持することにより焼結し
て焼結体が得られる。この成形体の焼結は、成形体の液
相出現温度(1300℃以上1380℃以下)から焼結
温度における保持終了までは100Torr以上500
Torr以下の窒素ガス雰囲気中で行なわれる。そして
焼結体が、焼結温度から1300℃以上1380℃以下
の固定温度まで真空内で冷却される。そして固定温度で
100Torr以上500Torr以下の窒素ガス雰囲
気中で焼結体が5分以上10分以下の間保持される。そ
して焼結体が、真空中で固定温度から室温まで冷却され
る。
【0033】本発明の窒素含有焼結硬質合金は、たとえ
ば刃先近傍部のみ硬度の低い組成の圧粉体を圧着した
後、焼結する方法などによっても得られる。しかし、本
発明の窒素含有焼結硬質合金の製造方法では、均一組成
の圧粉体を焼結工程のみで作製しているため、製造コス
ト上非常に好ましい。
【0034】液相出現温度(1300℃以上1380℃
以下)から焼結温度における保持終了までの工程におい
て窒素ガスの圧力が100Torr未満だと脱Nに起因
すると思われるポアが合金最表面に発生し表面粗さが著
しく悪化する。また500Torrを超えると合金内部
に遊離炭素が生じ耐欠損性の劣化が生ずる。
【0035】本発明の製造方法の重要な点は冷却工程に
ある。すなわち結合相の液相固化開始温度である130
0℃以上1380℃以下の固定温度まで真空で冷却し、
同温度にて窒素分圧100Torr以上500Torr
以下になるように窒素を再導入し、5〜10分間保持
し、保持後は再び真空とし室温まで冷却することで硬度
x>yの関係が得られる。これは焼結温度から1300
℃以上1380℃以下の固定温度までの真空工程で、合
金の表面部のみに脱Nが起こり、従来通り合金表面全体
の高硬度化が起こる。その後、短時間窒素ガスを再導入
することで表面積の大きい刃先近傍部のみに窒素が加え
られて軟化が起こり、硬度x>yの関係が生じるものと
考えられる。
【0036】再導入する窒素分圧が100Torr未満
では刃先近傍部の窒化が不十分でx>yの関係が得られ
ない。また500Torrを超えると、合金全体が窒化
されx>yの関係が得られない。
【0037】また窒素再導入の時間が5分未満では刃先
近傍部の窒化が不十分でx>yの関係が得られない。ま
た10分を超えると合金全体が窒化されx>yの関係が
得られない。
【0038】ここで液相固化開始温度が1300℃以上
1380℃以下までの幅を持っているのは、液相固化温
度が出発組成によって変動するためであり、原料組成が
決まれば一義的に決まる温度である。しかしながら、い
かなる組成であっても1300℃未満では完全に液相が
固化してしまって窒化による軟化の効果はなく、また1
380℃より高い温度では脱Nが不十分で合金全体の高
硬度化が得られない。
【0039】
【実施例】実施例1 市販の平均粒径の出発物質を以下の表1に示す重量比率
で配合した後、湿式混合を行なった。ただしC/(C+
N)については焼結中に脱C、脱Nが起こるため焼結後
の分析値を示している。また、その他の組成成分は焼結
後も変化がなかったため、焼結合金の組成は省略した。
【0040】
【表1】
【0041】それぞれの試料をCNMG120408形
状にプレス成形した。これらのプレス成形体を炉内に入
れ、真空下で昇温速度10℃/minで1350℃まで
昇温し、窒素ガスを150Torrになるまで導入し、
この状態で1500℃に加熱した後、60分間保持し
た。その後、真空下で1350℃まで放冷し、1350
℃において窒素圧力が250Torrになるまで窒素を
導入した。その後、その状態で7分間保持し、再び炉内
を真空に戻し室温まで放冷した。
【0042】CNMG120408形状の焼結体のエッ
ジ部をホーニング処理し、図1に示す切削用スローアウ
ェイチップを作製した。
【0043】図1を参照して、この切削用スローアウェ
イチップ1の逃げ面に対して垂直でかつ合金中央部を通
る断面(イ:点線で囲んだ領域)の一部を図2に示す。
図2を参照して、逃げ面中央部における表面から10μ
m深さ位置dの硬度をxとし、ホーニング処理部aと逃
げ面bとの接点cから逃げ面中央部に向かって0.5m
m位置における表面から10μmの深さ位置eの硬度を
yとして、この硬度xおよびyを測定した。その結果を
表2に示す。
【0044】なお、ここで逃げ面中央部とは、図2にお
いて一方の交点cと他方の交点cとの中央部を意味して
いる。
【0045】
【表2】
【0046】これらの切削用スローアウェイチップを用
いて表3の条件で耐摩耗試験および耐欠損性試験を行な
った。その結果を表4に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】この表4の結果より、硬質相が75重量%
以上95重量%以下で、残部が鉄系金属を主成分とした
結合相と不可避不純物とからなり、Tiの含有量がTi
N、またはTiNとTiCとに換算して35重量%以上
85重量%以下であり、かつW、Mo、Crの合計含有
量がWC、Mo2 C、Cr3 2 に換算して10重量%
以上60重量%以下の場合には、耐摩耗性および耐欠損
性に優れることがわかった。
【0050】実施例2 実施例1における本発明品6に示した配合組成で表5に
示す焼結条件でCNMG120408形状の切削用スロ
ーアウェイチップを焼結した。
【0051】
【表5】
【0052】なお、表5の見方について本発明品10を
例に挙げて説明する。CNMG120408形状の成形
体を炉内に入れ、真空下で1320℃まで昇温し、窒素
ガスを120Torrになるまで導入し、この状態で1
500℃まで加熱した。1500℃の温度で窒素ガスを
300Torrになるまで導入した後、所定時間この状
態を保持した。この後、真空下で1500℃から134
0℃まで放冷し、1340℃において窒素を150To
rrとなるまで導入し、その状態で6分間保持した。再
び炉内を真空に戻し、1340℃から室温まで放冷し
た。本発明品11〜14および比較品7〜17は、表5
に示す各条件の下で本発明品10と同様にして作製され
る。
【0053】なお比較品18では、冷却工程において最
終焼結温度から室温まで窒素が300Torr導入され
た状態で冷却される。また比較品19では、冷却工程に
おいて最終焼結温度から室温まで真空の状態で冷却され
る。
【0054】表5の種々の焼結条件で得られた切削用ス
ローアウェイチップのエッジ部をホーニング処理した
後、実施例1で述べた硬度xとyとを測定した。その結
果を表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】これらの切削用スローアウェイチップを用
いて表7の切削条件で耐摩耗試験と耐欠損性試験とを行
なった。
【0057】
【表7】
【0058】耐摩耗試験に関しては、逃げ面の平均摩耗
量およびすくい面のクレーター損傷部の最大クレーター
深さを測定した。その結果を表8に示す。
【0059】
【表8】
【0060】表8の結果より、焼結工程が、液相出現温
度(1300℃以上1380℃以下)から焼結温度にお
ける保持終了までは100〜500Torrの窒素ガス
雰囲気中で焼結が行なわれ、冷却工程では焼結温度から
液相固化開始温度である1300℃以上1380℃以下
のある固定温度まで真空とし、同温度にて窒素分圧10
0Torr以上500Torr以下になるように窒素を
再導入し5分以上10分間以下の間保持し、保持後は再
び真空として室温まで冷却することにより、硬度x>y
の関係を満たす窒素含有焼結硬質合金が得られることが
判明した。
【0061】また硬度x>yの関係を満たす場合には、
良好な耐チッピング性と耐クレーター性とが得られるこ
とがわかった。
【0062】また硬度xとyとが、1800<x<26
00と0.7x<y<0.98xの関係を満たす場合に
は、良好な耐チッピング性と耐クレーター性とを有する
とともに優れた耐摩耗性も得られることがわかった。
【0063】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0064】
【発明の効果】以上、本発明の窒素含有焼結硬質合金で
は、すくい面および逃げ面中央部の硬度を特定範囲内と
し、かつ切刃近傍部の硬度をすくい面および逃げ面中央
部の硬度より特定範囲内の割合で減少させることで、耐
摩耗性、耐クレーター性および耐欠損性がバランスよく
向上する。
【0065】このことから、本発明の窒素含有焼結硬質
合金は、従来の窒素含有焼結硬質合金が苦手であった鋼
の過酷な条件下での断続切削、高切込み、高送りなどの
重切削および高速切削を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】切削用スローアウェイチップにおけるすくい
面、逃げ面、ホーニング処理部および逃げ面に対して垂
直かつ合金中央部を通る断面(イ)を示した図である。
【図2】断面(イ)の一部を拡大し、ホーニング処理部
aと逃げ面bとの交点cと、交点cから0.5mmの位
置で表面から10μmの深さ位置dと、逃げ面中央部位
置で表面から10μmの深さ位置eとを示す図である。
【符号の説明】
1 切削用スローアウェイチップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−280362(JP,A) 特開 平3−32502(JP,A) 特開 平5−192804(JP,A) 特開 平7−62482(JP,A) 特開 平7−252578(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 27/14 C22C 29/02 - 29/04

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiとW、Mo、Crの中の少なくとも
    1種と窒素と炭素とを含有してなる炭化物、窒化物、炭
    窒化物の少なくともいずれかよりなる硬質相が75重量
    %以上95重量%以下で、残部が鉄系金属を主成分とし
    た結合相と不可避不純物とからなる窒素含有焼結硬質合
    金において、 前記硬質相はB−1型硬質相を有し、 前記Tiの含有量がTiN、またはTiNとTiCとに
    換算して35重量%以上85重量%以下、前記W、M
    o、Crの合計含有量がWC、Mo2 C、Cr32
    換算して10重量%以上60重量%以下であり、 前記焼結硬質合金の逃げ面に対して垂直かつ合金中央部
    を通る断面において、逃げ面中央部における表面から1
    0μmの深さ位置での硬度をxとし、ホーニング処理部
    と逃げ面との接点から逃げ面中央部に向かって0.5m
    mの位置における表面から10μmの深さ位置での硬度
    をyとしたとき、x>yの関係を満たすことを特徴とす
    る、窒素含有焼結硬質合金。
  2. 【請求項2】 前記硬度xがマイクロヴィッカース硬度
    で1800<x<2600、かつ前記硬度yが0.7x
    <y<0.98xの関係を満たす、請求項1に記載の窒
    素含有焼結硬質合金。
  3. 【請求項3】 前記炭素と前記窒素との含有量が重量比
    率で、炭素/(炭素+窒素)が0.2以上0.8以下で
    あることを特徴とする、請求項1および2のいずれかに
    記載の窒素含有焼結硬質合金。
  4. 【請求項4】 TiとW、Mo、Crの中の少なくとも
    1種と窒素と炭素とV、Nb、Ta、Zr、Hfの中の
    少なくとも1種とを含有してなる炭化物、窒化物、炭窒
    化物の少なくともいずれかよりなる硬質相が75重量%
    以上95重量%以下で、残部が鉄系金属を主成分とする
    結合相と不可避不純物とからなる窒素含有焼結硬質合金
    において、 前記硬質相は、B−1型硬質相を有し、 前記Tiの含有量がTiN、またはTiNとTiCとに
    換算して35重量%以上85重量%以下、前記W、M
    o、Crの合計含有量がWC、Mo2 C、Cr32
    換算して10重量%以上60重量%以下であり、 前記V、Nb、Taの合計含有量がVC、NbC、Ta
    Cに換算して30重量%以下、前記Zr、Hfの合計含
    有量がZrC、HfCに換算して5重量%以下であり、 前記焼結硬質合金の逃げ面に対して垂直かつ合金中央部
    を通る断面において、逃げ面中央部における表面から1
    0μmの深さ位置での硬度をxとし、ホーニング処理部
    と逃げ面との接点から逃げ面中央部に向かって0.5m
    mの位置における表面から10μmの深さ位置での硬度
    をyとしたとき、x>yの関係を満たすことを特徴とす
    る、窒素含有焼結硬質合金。
  5. 【請求項5】 前記硬度xがマイクロヴィッカース硬度
    で1800<x<2600、かつ前記硬度yが0.7x
    <y<0.98xの関係を満たす、請求項4に記載の窒
    素含有焼結硬質合金。
  6. 【請求項6】 前記炭素と前記窒素との含有量が重量比
    率で、炭素/(炭素+窒素)が0.2以上0.8以下で
    あることを特徴とする、請求項4および5のいずれかに
    記載の窒素含有焼結硬質合金。
  7. 【請求項7】 TiとW、Mo、Crの中の少なくとも
    1種と窒素と炭素とを含有してなる炭化物、窒化物、炭
    窒化物の少なくともいずれかよりなる硬質相が75重量
    %以上95重量%以下で、残部が鉄系金属を主成分とし
    た結合相と不可避不純物とからなる窒素含有焼結硬質合
    金において、 前記硬質相は、B−1型硬質相とWC、Mo2 C、Cr
    3 2 の少なくとも1種を含む硬質相とを有しており、 前記Tiの含有量がTiN、またはTiNとTiCとに
    換算して35重量%以上85重量%以下、前記W、M
    o、Crの合計含有量がWC、Mo2 C、Cr32
    換算して10重量%以上60重量%以下であり、 前記焼結硬質合金の逃げ面に対して垂直かつ合金中央部
    を通る断面において、逃げ面中央部における表面から1
    0μmの深さ位置での硬度をxとし、ホーニング処理部
    と逃げ面との接点から逃げ面中央部に向かって0.5m
    mの位置における表面から10μmの深さ位置での硬度
    をyとしたとき、x>yの関係を満たすことを特徴とす
    る、窒素含有焼結硬質合金。
  8. 【請求項8】 前記硬度xがマイクロヴィッカース硬度
    で1800<x<2600、かつ前記硬度yが0.7x
    <y<0.98xの関係を満たす、請求項7に記載の窒
    素含有焼結硬質合金。
  9. 【請求項9】 前記炭素と前記窒素との含有量が重量比
    率で、炭素/(炭素+窒素)が0.2以上0.8以下で
    あることを特徴とする、請求項7および8のいずれかに
    記載の窒素含有焼結硬質合金。
  10. 【請求項10】 TiとW、Mo、Crの中の少なくと
    も1種と窒素と炭素とV、Nb、Ta、Zr、Hfの中
    の少なくとも1種とを含有してなる炭化物、窒化物、炭
    窒化物の少なくともいずれかよりなる硬質相が75重量
    %以上95重量%以下で、残部が鉄系金属を主成分とす
    る結合相と不可避不純物とからなる窒素含有焼結硬質合
    金において、 前記硬質相は、B−1型硬質相とWC、Mo2 C、Cr
    3 2 の中の少なくとも1種を含む硬質相とを有してお
    り、 前記Tiの含有量がTiN、またはTiNとTiCとに
    換算して35重量%以上85重量%以下、前記W、M
    o、Crの合計含有量がWC、Mo2 C、Cr32
    換算して10重量%以上60重量%以下であり、 前記V、Nb、Taの合計含有量が前記VC、NbC、
    TaCに換算して30重量%以上、前記Zr、Hfの合
    計含有量がZrC、HfCに換算して5重量%以下であ
    り、 前記焼結硬質合金の逃げ面に対して垂直かつ合金中央部
    を通る断面において、逃げ面中央部における表面から1
    0μmの深さ位置での硬度をxとし、ホーニング処理部
    と逃げ面との接点から逃げ面中央部に向かって0.5m
    mの位置における表面から10μmの深さ位置での硬度
    をyとしたとき、x>yの関係を満たすことを特徴とす
    る、窒素含有焼結硬質合金。
  11. 【請求項11】 前記硬度xがマイクロヴィッカース硬
    度で1800<x<2600、かつ前記硬度yが0.7
    x<y<0.98xの関係を満たす、請求項10に記載
    の窒素含有焼結硬質合金。
  12. 【請求項12】 前記炭素と前記窒素との含有量が重量
    比率で、炭素/(炭素+窒素)が0.2以上0.8以下
    であることを特徴とする、請求項10および11のいず
    れかに記載の窒素含有焼結硬質合金。
  13. 【請求項13】 Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物の少
    なくともいずれかと、周期律表6a族金属の炭化物と、
    Tiを除く周期律表4a族金属および5a族金属の炭化
    物、窒化物、炭窒化物の少なくともいずれかとを有する
    出発物質を、鉄系金属を主成分とする結合相成分と混合
    し、成形して成形体を得る工程と、 前記成形体を焼結温度まで昇温し、前記焼結温度で所定
    時間保持することにより焼結して焼結体を得る工程とを
    備え、 前記成形体の焼結は、1300℃以上1380℃以下の
    液相出現温度から前記焼結温度における保持終了までは
    100Torr以上500Torr以下の窒素ガス雰囲
    気中で行なわれ、さらに、 前記焼結体を前記焼結温度から1300℃以上1380
    ℃以下の固定温度まで真空内で冷却する工程と、 前記固定温度で100Torr以上500Torr以下
    の窒素ガス雰囲気中で焼結体を5分以上10分以下の間
    保持する工程と、 前記焼結体を真空中で前記固定温度から室温まで冷却す
    る工程とを備えた、窒素含有焼結硬質合金の製造方法。
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