JP2792752B2 - 管内流体の滞留時間の測定方法 - Google Patents

管内流体の滞留時間の測定方法

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JP2792752B2
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静夫 井上
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  • Measuring Volume Flow (AREA)
  • Measurement Of Unknown Time Intervals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、管内流体の滞留時間の
測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、下水を管路内で圧送することが試
みられている。その場合には、管内が嫌気性になること
により、硫化水素が発生し、それに伴う臭気の問題や管
路の腐食の問題が発生するおそれがある。これらの問題
を解決するために、圧送管内に直接空気を注入すること
が提案されている。そのときには、注入すべき空気の量
を算出する都合上などの理由から、管内における下水の
滞留時間を求める必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常の自然流下管路や
圧送管路の場合には、その流量、管路長、勾配などか
ら、滞留時間を計算することができる。
【0004】しかし、圧送下水管内に空気を注入した場
合は気液2相流となり、その場合は管内における滞留時
間を正確に計算で求めることはできないという問題点が
ある。
【0005】そこで本発明はこのような問題点を解決
し、気液2相流を圧送したときの管内での滞留時間を測
定できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、滞留時間を測定しようとする区間の始点で管
内にウラニン水溶液を注入し、前記区間の終点で一定時
間間隔ごとに管内の液を採取して、その採取した液ごと
の吸光度を測定し、吸光度が最大になった時刻と前記ウ
ラニン水溶液を注入した時刻との時間差を求めるもので
ある。
【0007】
【作用】前記区間の始点でウラニン水溶液を注入したと
きからの所定時間の経過によって、注入液が区間の終点
に達し、この終点で採取される液にウラニン水溶液が含
まれるようになる。一定の時間間隔ごとに採取を繰り返
すと、液の吸光度すなわちウラニン水溶液の濃度が徐々
に変化し、ある時刻で吸光度が最大となる。そこで、こ
の時刻と前記注入時刻との時間差を求めると、これが前
記区間内での滞留時間となる。
【0008】
【実施例】図3において、1は下水の圧送を行うための
ポンプ室であり、ポンプ井2を有している。このポンプ
室1から伸びる下水圧送管路3が、図示のように地中に
埋設されている。ポンプ室1において、4は下水圧送用
の下水ポンプで、バルブ5や流量計6などを介して、下
水圧送管路3に接続されている。ポンプ室1には、コン
プレッサ7が設けられている。このコンプレッサ7は、
空気管8を介して下水圧送管路3に接続されることで、
この下水圧送管路3の内部へ空気を注入可能である。
【0009】ポンプ室1から所定の距離L(たとえば数
千メートル)をおいた位置には、マンホール9が設けら
れている。下水は、管路3の内部をこのマンホール9ま
で圧送され、このマンホール9を越えると自然流下され
る。
【0010】図2は、下水ポンプ4のまわりの詳細構造
を示す。下水10を貯留したポンプ井2と下水ポンプ4と
を結ぶ配管11から、圧力計12のための枝管13が分岐され
ている。14は容器で、ウラニン水溶液15を貯留してい
る。容器14には小形ポンプ16が接続され、この小形ポン
プ16からのホース17が枝管13に接続されている。18はバ
ルブである。
【0011】次に、このような構成にもとづく実験例に
ついて説明する。ポンプ室1からマンホール9までの距
離Lが3433m、管路3として口径が350mm のダクタイル
鋳鉄管を使用した下水路において、ポンプ4を稼働させ
ることによる下水の流量を1.4m3/min とした。また、コ
ンプレッサ7により、大気圧、20℃での値で0.668m3/mi
n の空気を管路3の内部に注入した。
【0012】このような運転状況のもとで、ポンプ室1
において濃度2000mg/lのウラニン水溶液を1分間に約7
リットル注入した。このとき、前述のように下水の流量
が1.4m3/min の場合には、注入直後のウラニンの濃度
は、約10mg/lとなる。ウラニン水溶液は、黄緑色のけい
光色を呈し、下水に流しても害のないものである。
【0013】次に、マンホール9にウラニン水溶液が流
れている時間およびその前後において、このマンホール
9から下水を採取した。採取した下水は、その吸光度を
測定した。この吸光度は、(1) 式で表される。
【0014】ABS = log10(Io/I) (1) ここで、ABS は吸光度、Ioは採取した下水への入射光強
度、Iはその透過光強度である。吸光度が大きいと下水
の色が濃く、反対に小さいと色が薄いことになる。
【0015】マンホール9に流れてきたウラニン水溶液
を1分間隔で採取し、吸光度を測定した結果を図1に示
す。図1の横軸は時刻を表しており、ポンプ室1におけ
るウラニンの注入時刻は9時43分であった。図示のよう
に13時10分を過ぎた頃から吸光度が大きくなり、13時16
分に最大の値を示した。また13時20分を過ぎた頃から、
元通りの小さな値となった。この結果より、ポンプ室1
からマンホール9までの管内滞留時間は3時間33分であ
ることが判った。
【0016】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、滞留
時間を測定しようとする区間の始点で管内にウラニン水
溶液を注入し、前記区間の終点で一定時間間隔ごとに管
内の液を採取して、その採取した液ごとの吸光度を測定
し、吸光度が最大になった時刻と前記ウラニン水溶液を
注入した時刻との時間差を求めるものであるため、気液
2相流を圧送したときであってもその管内での滞留時間
を容易に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にもとづく管内流体の滞留時
間の測定結果を示す図である。
【図2】本発明の一実施例にもとづくウラニン水溶液の
注入箇所の詳細図である。
【図3】本発明の一実施例にもとづく圧送式下水管路の
概略図である。
【符号の説明】
1 ポンプ室 3 下水圧送管路 4 下水ポンプ 8 空気管 9 マンホール 15 ウラニン水溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01F 1/708 C02F 1/00 G01N 21/59 G04F 10/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気液2相流が流れる管の内部における前
    記気液2相流の滞留時間を測定する方法であって、前記
    滞留時間を測定しようとする区間の始点で管内にウラニ
    ン水溶液を注入し、前記区間の終点で一定時間間隔ごと
    管内の液を採取して、その採取した液ごとの吸光度を
    測定し、吸光度が最大になった時刻と前記ウラニン水溶
    液を注入した時刻との時間差を求めることを特徴とする
    管内流体の滞留時間の測定方法。
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