JP2785340B2 - 放射線治療機の照射野決定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、高エネルギー放射線治療機で使用する放
射線線量計算機の照射野決定装置に関する。

［従来の技術］ 従来、この種の放射線線量計算機の照射野決定装置に
おいては、高エネルギー放射線治療機から発生する治療
ビームの線源がＸ線CTやMRIのスライス撮影軸と平行な
ライン状線源であると仮定して、ターゲット（治療対象
となる腫瘍など）の形状や関心領域（放射線を照射した
くない重要臓器など）の形状をライン状線源から見た形
でとらえ、これらの形状をもとにして、治療方針を決め
る照射野の決定を行っていた。

［発明が解決しようとする課題］ しかし、実際の治療ビームは点状線源から発せられ
る。したがって、ライン状線源から見たこれらの形状
は、点状線源から見たそれらと異なる。その結果、治療
方針を決定する照射野の大きさ、治療ビームを出す治療
ヘッドの回転角度の決定に悪い影響を与える。

以上のように、従来の照射野決定装置には、高精度の
治療ができないという欠点がある。

この発明の目的は、照射野、回転角度、アイソセンタ
ー等に関し、高精度な治療パラメータを得ることができ
る放射線線治療機の照射野決定装置を提供することであ
る。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために、この発明に係る放射線
線量計算機の照射野決定装置は、以下の特徴を有してい
る。

すなわち、この発明は、放射線治療機の照射野決定装
置において、 断層撮影された多数のスライス画像を格納するスライ
ス画像格納機構と、 前記スライス画像に表されたの個々のターゲットおよ
び関心領域に関する情報を受け取り、これらの情報を記
憶する情報入力機構と、 各スライス画像上の前記ターゲットの輪郭像を重ね合
わせることによって治療中心（以下、アイソセンターと
いう）を決定し、これを記憶するアイソセンター決定機
構と、 前記放射線治療機のビーム中心軸に垂直でかつ前記ア
イソセンターを含む面に、ビーム中心から見た前記ター
ゲットの陰影および前記関心領域の陰影を形成する陰影
計算機構と、 前記ターゲットの陰影と前記関心領域の陰影との重な
りを判定する重なり判定機構と、 前記重なり判定機構からの判定結果に基づいて、治療
の最適照射野を決定する最適照射野計算機構とを有する
ことを特徴としている。

［作用］ 高エネルギー放射線治療機の治療ビームの線源は点状
線源であるので、照射野は、点状線源から見たターゲッ
トおよび関心領域形状に関する情報から決められなけれ
ばならない。この発明においては、以下のようにしてい
る。

スライス画像格納機構ではＸ線CTやMRI等により断層
撮影された多数のスライス画像を格納する。情報入力機
構では、これらのスライス画像からターゲットや関心領
域に関する情報を取り出し、記憶する。次に、アイソセ
ンター決定機構では、情報入力機構からのターゲットに
関する情報に基づいて、アイソセンターを決定する。さ
らに、陰影計算機構では、アイソセンターを含む面上
に、点状線源から見たターゲットの陰影や関心領域の陰
影を形成する。そして、重なり判定機構が、ターゲット
の陰影と関心領域の陰影との重なり具合を判定する。最
後に、この判定結果に基づいて、最適照射野計算機構
が、最適照射野を決定する。実際には、アイソセンター
の位置や点状線源の回転角度などを変化させながら上述
の操作を繰り返して最適照射野を決定する場合が多い。

［実施例］ 次に、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。

第１図はこの発明の一実施例の機能ブロック図であ
る。

この実施例の照射野決定装置は、以下の機構を有して
いる。Ｘ線CTやMRI等により断層撮影された多数スライ
ス画像を受け取り、これらを格納する多数スライス画像
格納機構１。多数スライス画像格納機構１から必要とす
るスライス画像を読み出し、そのスライス画像について
のターゲットと関心領域に関する情報を記憶するターゲ
ット・関心領域入力機構２。ターゲット・関心領域入力
機構２から情報を受け取り、複数のスライス画像の個々
のターゲットを串ざし状にした透視画像を形成し、多数
のスライス画像に表されたターゲットのほぼ中央をアイ
ソセンターとして指定する機能（アイソセンター決定機
能）を有するアイソセンター決定機構３。点状線源から
ターゲットや関心領域を見た場合の陰影像（ターゲット
陰影と関心領域陰影）を計算で求める機能を有している
ターゲット・関心領域陰影計算機構４。ターゲット陰影
と関心領域陰影とが重なるかどうかを判定する重なり判
定機構５。この重なり判定機構５における判定は、実際
の治療において、高エネルギー放射線治療機から照射さ
れた高エネルギービームがターゲット（腫瘍）のみに当
り、関心領域（重要臓器）に当らないようにする高精度
な治療を行うために必要である。重なり判定機構５から
の情報に基づいて、最適な治療回転角度、最適なアイソ
センター、最適な治療照射野を決定する最適照射野計算
機構６。ここで、最適照射野計算機構６からアイソセン
ター決定機構３へ、アイソセンターに関する情報がアイ
ソセンター決定機構戻りルート７によってフィードバッ
クされている。また、最適照射野計算機構６からターゲ
ット・関心領域陰影計算機構４へ、治療回転角度に関す
る情報が陰影計算機構戻りルート８によってフィードバ
ックされている。さらに、最適照射野計算機構６から重
なり判定機構５へ、治療照射野に関する情報が重なり判
定機構戻りルート９によってフィードバックされてい
る。これらの情報のフィードバックによって、各機構が
有機的に機能することができ、その結果、総合的に最適
な照射野を決定することができる。

次に、最適な照射野を決定する動作について説明す
る。

第２図にＸ線CTやMRI等による多数スライスによって
作られた、腫瘍ターゲットおよび関心領域を表す輪郭像
を示す。スライス画像10、11、12、13、14、15には、関
心領域16、17および腫瘍ターゲット18、19、20、21、22
が描出されている。

第３図は、多数スライス面と垂直なある面から無限遠
レベルで、各スライス面を見た場合の図である。第４図
は、任意のスライス画像23に、多数スライス面の正面
（第３図の右方向）から透視した腫瘍ターゲット18、1
9、20、21、22と関心領域16、17とを重ね合わせた図で
ある。この図（腫瘍輪郭重合画像）から治療機回転中心
24を決定する。

第３図において、治療機回転中心24を通る線が被験者
の体軸に平行な線（アイソセンター体軸線）25として、
描出されている。アイソセンター体軸線25上において、
腫瘍ターゲットのほぼ中央にアイソセンター26を指定す
る。そして、アイソセンター26を通り、アイソセンター
体軸線25に垂直なビーム中心線27上に治療機ビーム中心
28が決定される。この治療機ビーム中心28から、ビーム
中心線27に垂直でアイソセンター26を含む面上に腫瘍タ
ーゲットの陰影と関心領域の陰影とを描く。この動作
は、ターゲット・関心領域陰影計算機構４において行わ
れる。

治療機回転角度は次のようにして定義される。すなわ
ち、アイソセンター26から地球鉛直方向に延びる線分を
仮定し、この線分の方向を治療機回転角度の開始角度と
決める。

第５図（ａ）はライン状線源から見た腫瘍ターゲット
と関心領域とを示す従来の無限遠垂直透視像である。こ
の図は、スライス画像を真上（第３図の上方）から見た
図である。腫瘍ターゲット陰影19d、20d、21d、22dの関
心領域陰影16d、17dとは重ならないで描出されている。
しかし、腫瘍ターゲット陰影18dは関心領域陰影17dと重
なって描出されている。したがって、従来方法によれば
腫瘍ターゲット陰影18dを含まないように照射野30を決
定しなければならない。

これに対して、第５図（ｂ）は第５図（ａ）と同様な
回転角度における治療機ビーム中心28（点状線源）から
見た腫瘍ターゲット陰影と関心領域陰影とを表してい
る。腫瘍ターゲット陰影18b、19b、20b、21b、22bと関
心領域陰影16b、17bとは重ならないで描出される。した
がって、この回転角度における照射野29を図に示すよう
に決めることができる。

第６図（ａ）は、第５図（ａ）の回転角度とは異なる
回転角度におけるライン状線源から見た腫瘍ターゲット
と関心領域との無限遠垂直透視像である。この図は、各
スライス画像を第３図の中心線27に垂直な方向から見て
腫瘍ターゲットおよび関心領域を示した場合の図であ
る。腫瘍ターゲット陰影18e、19e、20e、21e、22eと関
心領域陰影16e、17eとは重ならないで描出される。した
がって、従来方法では、この回転角度における照射野31
を図に示すように決めても問題ないと判断されてしま
う。

これに対して、第６図（ｂ）は第６図（ａ）と同様な
回転角度における点状線源から見た腫瘍ターゲット陰影
と関心領域陰影とを表している。腫瘍ターゲット陰影19
c、20c、21c、22cは関心領域陰影16c、17cとは重ならな
いで描出される。しかし、腫瘍ターゲット陰影18cは関
心領域陰影16cと重なって描出されているので、この回
転角度では照射野を決められないことになる。

この発明においては、回転角度を繰り返し変えて、腫
瘍ターゲット陰影と関心領域陰影とが重なり合わないよ
うな回転角度を見つけだし、線量計算上の最適照射野を
決めている。

［発明の効果］ 以上説明したようにこの発明は、多数スライス画像格
納機構と情報入力機構とアイソセンター決定機構から
の、各スライス画像の腫瘍ターゲットおよび関心領域に
関する情報を基にして、点状線源から見た陰影画像を陰
影計算機構によって作成している。そして、腫瘍ターゲ
ット陰影と関心領域陰影との重なり具合を重なり判定機
構によって判定する。さらに、この重なり具合から治療
の最適照射野を最適照射野計算機構で決定している。そ
の結果、治療に適確な照射野、回転角度、アイソセンタ
ー等が決定でき、高精度な治療パラメータが得られると
いう効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の機能ブロック図、 第２図は多数スライス画像によって作られた腫瘍ターゲ
ットおよび関心領域の輪郭像、 第３図はスライス面と垂直なある面から無限遠レベルで
各スライス面を見た場合の透視図、 第４図は多数スライス面の正面方向から透視した腫瘍タ
ーゲットと関心領域とを重ね合わせた図、 第５図（ａ）と（ｂ）は、ある回転角度から見た、従来
例とこの実施例との陰影図、 第６図は（ａ）と（ｂ）は、別の回転角度から見た、従
来例とこの実施例との陰影図である。 １……多数スライス画像格納機構（スライス画像格納機
構） ２……腫瘍ターゲット・関心領域入力機構（情報入力機
構） ３……アイソセンター決定機構 ４……腫瘍ターゲット・関心領域陰影計算機構（陰影計
算機構） ５……重なり判定機構 ６……最適照射野計算機構 10〜15……スライス画像 16、17……関心領域 16a、16b、16c、17a、17b、17c……関心領域陰影 18、19、20、21、22……腫瘍ターゲット 18a、18b、18c、19a、19b、19c、20a、20b、20c、21a、
21b、21c、22a、22b、22c……腫瘍ターゲット陰影 26……アイソセンター 27……ビーム中心線 28……治療機ビーム中心 29……照射野

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】放射線治療機の照射野決定装置において、 断層撮影された多数のスライス画像を格納するスライス
   画像格納機構と、 前記スライス画像に表されたの個々のターゲットおよび
   関心領域に関する情報を受け取り、これらの情報を記憶
   する情報入力機構と、 各スライス画像上の前記ターゲットの輪郭像を重ね合わ
   せることによって治療中心（以下、アイソセンターとい
   う）を決定し、これを記憶するアイソセンター決定機構
   と、 前記放射線治療機のビーム中心軸に垂直でかつ前記アイ
   ソセンターを含む面に、ビーム中心から見た前記ターゲ
   ットの陰影および前記関心領域の陰影を形成する陰影計
   算機構と、 前記ターゲットの陰影と前記関心領域の陰影との重なり
   を判定する重なり判定機構と、 前記重なり判定機構からの判定結果に基づいて、治療の
   最適照射野を決定する最適照射野計算機構とを有するこ
   とを特徴とする照射野決定装置。