JP2771398B2 - ナトリウム−硫黄電池 - Google Patents
ナトリウム−硫黄電池Info
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば電力貯蔵用の
二次電池として利用されるナトリウム−硫黄電池に関す
るものである。
二次電池として利用されるナトリウム−硫黄電池に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ナトリウム−硫黄電池の充電性能
を改良するために、陽極部の炭素又は黒鉛材中にセラミ
ック繊維を混入させたものを使用し、放電時の生成物で
ある多硫化ナトリウムの濡れ性を改善して多硫化ナトリ
ウムの移動を容易にしたものが知られている(特開昭5
2−121730号公報)。しかし、このナトリウム−
硫黄電池は陽極部全体を均一層とし、セラミック繊維を
陽極部全体に混入しているため、陽極部における抵抗が
大きくなり過ぎ、電池の充放電におけるエネルギー効率
が低いという問題があった。
を改良するために、陽極部の炭素又は黒鉛材中にセラミ
ック繊維を混入させたものを使用し、放電時の生成物で
ある多硫化ナトリウムの濡れ性を改善して多硫化ナトリ
ウムの移動を容易にしたものが知られている(特開昭5
2−121730号公報)。しかし、このナトリウム−
硫黄電池は陽極部全体を均一層とし、セラミック繊維を
陽極部全体に混入しているため、陽極部における抵抗が
大きくなり過ぎ、電池の充放電におけるエネルギー効率
が低いという問題があった。
【0003】そこで、本願出願人は先に、上記陽極用導
電材として繊維を積層した複数層に形成し、その厚さ方
向にニードルパンチが施されて厚さ方向に繊維が配向さ
れた状態で、陽極容器と固体電解質管との間に配置され
たものを提案した(特開平3−145069号公報)。
このナトリウム−硫黄電池においては、厚さ方向の繊維
の配向が陽極容器側で高く、固体電解質管側で低く、か
つ陽極用導電材の嵩密度が陽極容器側で密で、固体電解
質管側で粗となっている。
電材として繊維を積層した複数層に形成し、その厚さ方
向にニードルパンチが施されて厚さ方向に繊維が配向さ
れた状態で、陽極容器と固体電解質管との間に配置され
たものを提案した(特開平3−145069号公報)。
このナトリウム−硫黄電池においては、厚さ方向の繊維
の配向が陽極容器側で高く、固体電解質管側で低く、か
つ陽極用導電材の嵩密度が陽極容器側で密で、固体電解
質管側で粗となっている。
【0004】そのため、低配向層の厚さ方向の抵抗が高
く、高配向層の厚さ方向の抵抗が低くなるため、固体電
解質管の界面付近の反応速度が小さくなり、充電末期に
絶縁性の硫黄が固体電解質管付近に析出するのが抑えら
れ、充電回復率の向上が図られる。
く、高配向層の厚さ方向の抵抗が低くなるため、固体電
解質管の界面付近の反応速度が小さくなり、充電末期に
絶縁性の硫黄が固体電解質管付近に析出するのが抑えら
れ、充電回復率の向上が図られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このナトリ
ウム−硫黄電池では、陽極用導電材が繊維を積層した複
数層に形成されていることから、その境界部において絶
縁性の硫黄が析出して充電時の反応が阻害され、この現
象は充放電サイクルの経過と共に顕著になり、やがて充
電回復率が低下するという問題があった。また、厚み方
向の繊維の配向が固体電解質管側で低く、陽極容器側で
高いため、陽極用導電材は固体電解質管側で圧縮されや
すく、陽極容器側では圧縮されにくい。
ウム−硫黄電池では、陽極用導電材が繊維を積層した複
数層に形成されていることから、その境界部において絶
縁性の硫黄が析出して充電時の反応が阻害され、この現
象は充放電サイクルの経過と共に顕著になり、やがて充
電回復率が低下するという問題があった。また、厚み方
向の繊維の配向が固体電解質管側で低く、陽極容器側で
高いため、陽極用導電材は固体電解質管側で圧縮されや
すく、陽極容器側では圧縮されにくい。
【0006】そのため、陽極用導電材を圧縮状態で陽極
容器内に収容すると、圧縮前の陽極用導電材に嵩密度差
があっても、配向の違いにより、圧縮されやすさが変わ
るため、電池内の圧縮状態では、固体電解質管側と陽極
容器側とでは圧縮前に予想されたほど嵩密度差はついて
いない。従って、充電時における多硫化ナトリウムの反
応は繊維上で行われることから、陽極容器側の多硫化ナ
トリウムが反応に関与する機会が少なくなり、充電回復
率などの電池性能の向上が期待したほど望めないという
問題があった。
容器内に収容すると、圧縮前の陽極用導電材に嵩密度差
があっても、配向の違いにより、圧縮されやすさが変わ
るため、電池内の圧縮状態では、固体電解質管側と陽極
容器側とでは圧縮前に予想されたほど嵩密度差はついて
いない。従って、充電時における多硫化ナトリウムの反
応は繊維上で行われることから、陽極容器側の多硫化ナ
トリウムが反応に関与する機会が少なくなり、充電回復
率などの電池性能の向上が期待したほど望めないという
問題があった。
【0007】この発明は上記従来の問題に着目してなさ
れたものであって、その目的は、局所的に絶縁性の硫黄
が析出するのを抑制するとともに、陽極容器側の多硫化
ナトリウムの反応の機会を増やして充電回復率などの電
池性能を向上させることができるナトリウム−硫黄電池
を提供することにある。
れたものであって、その目的は、局所的に絶縁性の硫黄
が析出するのを抑制するとともに、陽極容器側の多硫化
ナトリウムの反応の機会を増やして充電回復率などの電
池性能を向上させることができるナトリウム−硫黄電池
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明では筒状の陽極容器内にナトリウムイオ
ンを選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配置
するとともに、両者間の収容空間に硫黄を含浸する陽極
用導電材を収容したナトリウム−硫黄電池において、前
記陽極用導電材を単層で形成し、かつその嵩密度を固体
電解質管側より陽極容器側を高く形成したことを特徴と
する。
に、第1の発明では筒状の陽極容器内にナトリウムイオ
ンを選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配置
するとともに、両者間の収容空間に硫黄を含浸する陽極
用導電材を収容したナトリウム−硫黄電池において、前
記陽極用導電材を単層で形成し、かつその嵩密度を固体
電解質管側より陽極容器側を高く形成したことを特徴と
する。
【0009】また、第2の発明では、筒状の陽極容器内
にナトリウムイオンを選択的に透過させる有底筒状の固
体電解質管を配置するとともに、両者間の収容空間に硫
黄を含浸する陽極用導電材を収容したナトリウム−硫黄
電池において、前記陽極用導電材を単層又は複数層と
し、その嵩密度を固体電解質管側より陽極容器側を高く
形成するとともに、厚さ方向に伸びる繊維の割合を陽極
容器側より固体電解質管側を高くしたことを特徴とす
る。
にナトリウムイオンを選択的に透過させる有底筒状の固
体電解質管を配置するとともに、両者間の収容空間に硫
黄を含浸する陽極用導電材を収容したナトリウム−硫黄
電池において、前記陽極用導電材を単層又は複数層と
し、その嵩密度を固体電解質管側より陽極容器側を高く
形成するとともに、厚さ方向に伸びる繊維の割合を陽極
容器側より固体電解質管側を高くしたことを特徴とす
る。
【0010】
【作用】第1の発明においては、陽極用導電材が単層に
て形成され、かつその嵩密度を固体電解質管側より陽極
容器側を高く形成したことから、充電反応において従来
のような複数層における各層間の不連続な部分で絶縁性
の硫黄が析出するおそれが少なく、しかも充電反応に関
与する陽極容器側の多硫化ナトリウムが増大する。従っ
て、充電時における反応が阻害されるおそれがなく、充
電反応は円滑に進行する。
て形成され、かつその嵩密度を固体電解質管側より陽極
容器側を高く形成したことから、充電反応において従来
のような複数層における各層間の不連続な部分で絶縁性
の硫黄が析出するおそれが少なく、しかも充電反応に関
与する陽極容器側の多硫化ナトリウムが増大する。従っ
て、充電時における反応が阻害されるおそれがなく、充
電反応は円滑に進行する。
【0011】第2の発明では、さらに厚さ方向に伸びる
繊維の割合を陽極容器側より固体電解質管側を高くした
ことから、陽極容器側の繊維は圧縮されやすく、従って
嵩密度が高くなってこの部分に存在する多硫化ナトリウ
ムの反応に関与する機会が高まり、充電反応の効率が良
くなって充電回復率が向上する。
繊維の割合を陽極容器側より固体電解質管側を高くした
ことから、陽極容器側の繊維は圧縮されやすく、従って
嵩密度が高くなってこの部分に存在する多硫化ナトリウ
ムの反応に関与する機会が高まり、充電反応の効率が良
くなって充電回復率が向上する。
【0012】
【実施例】以下にこの発明を具体化した一実施例につい
て図1〜4に従って説明する。図1に示すように、陽極
容器1は円筒状に形成され、その下端部に陽極蓋2が接
合されるとともに、陽極蓋2には陽極端子3が取着され
ている。固体電解質管4は有底円筒状に形成され、その
上端が陽極容器1の上端部に接合されたα−アルミナ製
の絶縁リング5の内周面に接合されている。陽極用導電
材6は、グラファイト繊維によりマット状に形成され、
陽極容器1と固体電解質管4で形成された収容空間に収
納されている。
て図1〜4に従って説明する。図1に示すように、陽極
容器1は円筒状に形成され、その下端部に陽極蓋2が接
合されるとともに、陽極蓋2には陽極端子3が取着され
ている。固体電解質管4は有底円筒状に形成され、その
上端が陽極容器1の上端部に接合されたα−アルミナ製
の絶縁リング5の内周面に接合されている。陽極用導電
材6は、グラファイト繊維によりマット状に形成され、
陽極容器1と固体電解質管4で形成された収容空間に収
納されている。
【0013】陰極容器7は絶縁リング5の上部に固着さ
れ、その上端に陰極蓋8が接合されている。細長円筒状
の陰極管9は陰極蓋8に接合支持され、その下端部は前
記固体電解質管4の内底部近傍まで達し、上端部は陰極
端子10となっている。陰極容器7内及び固体電解質管
4内にはナトリウムが収容されるとともに、ステンレス
製のウイック11が充填され、ナトリウムの流動性を調
整してその利用率と安全性を確保するようにしている。
なお、固体電解質管4の外周部には高抵抗層12が形成
されている。
れ、その上端に陰極蓋8が接合されている。細長円筒状
の陰極管9は陰極蓋8に接合支持され、その下端部は前
記固体電解質管4の内底部近傍まで達し、上端部は陰極
端子10となっている。陰極容器7内及び固体電解質管
4内にはナトリウムが収容されるとともに、ステンレス
製のウイック11が充填され、ナトリウムの流動性を調
整してその利用率と安全性を確保するようにしている。
なお、固体電解質管4の外周部には高抵抗層12が形成
されている。
【0014】そして、放電時には下記のような反応式に
より、固体電解質管4を透過したナトリウムイオンが陽
極側の硫黄と反応し、多硫化ナトリウムが生成する。 2Na+XS → Na2 Sx 充電時には放電時とは逆の反応が起こり、ナトリウムと
硫黄が生成する。
より、固体電解質管4を透過したナトリウムイオンが陽
極側の硫黄と反応し、多硫化ナトリウムが生成する。 2Na+XS → Na2 Sx 充電時には放電時とは逆の反応が起こり、ナトリウムと
硫黄が生成する。
【0015】図4(a),(b)に示すように、前記陽
極用導電材6はポリアクリロニトリル系繊維束を直方体
状に織り込んだ後焼成したマットMから構成されてお
り、その厚さ方向に対し鍵針13を挿通してニードルパ
ンチが行われている。すなわち、ニードルパンチが行わ
れると、鍵針13の鍵部13aにより引っ掛けられたマ
ットMの繊維は鍵針13の挿入方向と同じ方向、すなわ
ちマットMの厚さ方向に配向されることになる。このよ
うに、ニードルパンチの挿入密度によりマットMの配向
量を自在に調節できる。
極用導電材6はポリアクリロニトリル系繊維束を直方体
状に織り込んだ後焼成したマットMから構成されてお
り、その厚さ方向に対し鍵針13を挿通してニードルパ
ンチが行われている。すなわち、ニードルパンチが行わ
れると、鍵針13の鍵部13aにより引っ掛けられたマ
ットMの繊維は鍵針13の挿入方向と同じ方向、すなわ
ちマットMの厚さ方向に配向されることになる。このよ
うに、ニードルパンチの挿入密度によりマットMの配向
量を自在に調節できる。
【0016】従って、マットMは鍵針13が挿入され
ず、繊維が厚さ方向において低配向となる低配向部分6
aと、鍵針13が挿入されて繊維がマットMの厚さ方向
において高配向となる高配向部分6bとから構成されて
いる。そして、低配向部分6aが陽極容器1側に配置さ
れ、高配向部分6bが固体電解質管4側に配置される。
これら低配向部分6aと高配向部分6bとの割合は、挿
入する鍵針13の深さHを調整することにより形成され
る。この低配向部分6aは厚み方向の圧縮に対する抵抗
が小さく、その方向に圧縮されやすい。
ず、繊維が厚さ方向において低配向となる低配向部分6
aと、鍵針13が挿入されて繊維がマットMの厚さ方向
において高配向となる高配向部分6bとから構成されて
いる。そして、低配向部分6aが陽極容器1側に配置さ
れ、高配向部分6bが固体電解質管4側に配置される。
これら低配向部分6aと高配向部分6bとの割合は、挿
入する鍵針13の深さHを調整することにより形成され
る。この低配向部分6aは厚み方向の圧縮に対する抵抗
が小さく、その方向に圧縮されやすい。
【0017】図2,3に示すように、このように構成さ
れたマットMを断面円弧状に圧縮湾曲形成し、これを複
数個陽極容器1と固体電解質管4との間の収容空間に環
状に配置する。このとき、低配向部分6aは高配向部分
6bより圧縮された状態で配置されるため、陽極容器1
側の低配向部分6aの嵩密度、すなわち繊維の充填密度
は固体電解質管4側の高配向部分6bよりも高くなる。
従って、充電反応時における陽極容器1側のマットM内
の繊維上で反応する多硫化ナトリウムが反応に寄与する
機会が高くなる。このような機能を有効に発揮させるた
めに、低配向部分6aと高配向部分6bとの嵩密度の差
は0.08g/cc以上であることが望ましい。
れたマットMを断面円弧状に圧縮湾曲形成し、これを複
数個陽極容器1と固体電解質管4との間の収容空間に環
状に配置する。このとき、低配向部分6aは高配向部分
6bより圧縮された状態で配置されるため、陽極容器1
側の低配向部分6aの嵩密度、すなわち繊維の充填密度
は固体電解質管4側の高配向部分6bよりも高くなる。
従って、充電反応時における陽極容器1側のマットM内
の繊維上で反応する多硫化ナトリウムが反応に寄与する
機会が高くなる。このような機能を有効に発揮させるた
めに、低配向部分6aと高配向部分6bとの嵩密度の差
は0.08g/cc以上であることが望ましい。
【0018】また、これら低配向部分6aと高配向部分
6bはその厚さ方向に段階的又は傾斜的に配置される。
高配向部分6bは低配向部分6aに比べて全体の厚さの
2分の1以上であることが好ましい。さらに、高配向部
分6bの繊維の配向率は50〜90%であることが好適
で、低配向部分6aの繊維の配向率は10〜40%であ
ることが好適である。
6bはその厚さ方向に段階的又は傾斜的に配置される。
高配向部分6bは低配向部分6aに比べて全体の厚さの
2分の1以上であることが好ましい。さらに、高配向部
分6bの繊維の配向率は50〜90%であることが好適
で、低配向部分6aの繊維の配向率は10〜40%であ
ることが好適である。
【0019】次に、具体的数値に基づいて、実施例及び
この発明の範囲外の比較例について説明する。実施例1
及び2では、陽極マットMを単層で形成し、前述した鍵
針13の挿入深さHを陽極マットMの厚みの実施例1で
は8/10、実施例2では9/10に変更することによ
り、陽極容器1側と固体電解質管4側の配向量を変え
た。実施例3では陽極マットMを別の工程で作製した配
向量及び密度の異なる2層で形成した。このようにして
得られたマットMについて、光学顕微鏡で周方向及び厚
み方向の繊維の本数を数えて繊維の配向性を求めた。そ
の結果、実施例1〜3では陽極容器1側が 0.2、固体電
解質管4側が 0.6であった。
この発明の範囲外の比較例について説明する。実施例1
及び2では、陽極マットMを単層で形成し、前述した鍵
針13の挿入深さHを陽極マットMの厚みの実施例1で
は8/10、実施例2では9/10に変更することによ
り、陽極容器1側と固体電解質管4側の配向量を変え
た。実施例3では陽極マットMを別の工程で作製した配
向量及び密度の異なる2層で形成した。このようにして
得られたマットMについて、光学顕微鏡で周方向及び厚
み方向の繊維の本数を数えて繊維の配向性を求めた。そ
の結果、実施例1〜3では陽極容器1側が 0.2、固体電
解質管4側が 0.6であった。
【0020】一方、比較例1及び2では陽極マットMを
単層で形成し、比較例1においては、鍵針13の挿入深
さ及び挿入密度は従来と同レベルにした。また、比較例
2では実施例2で形成したマットMを、固体電解質管側
4側と陽極容器1側を反対に配した。さらに、比較例3
では陽極マットMを異なる工程で作製した配向量の異な
る2層で形成した。
単層で形成し、比較例1においては、鍵針13の挿入深
さ及び挿入密度は従来と同レベルにした。また、比較例
2では実施例2で形成したマットMを、固体電解質管側
4側と陽極容器1側を反対に配した。さらに、比較例3
では陽極マットMを異なる工程で作製した配向量の異な
る2層で形成した。
【0021】また、厚さ方向で配向量の異なるマットM
は、鍵針13の挿入した高配向部分6b側は固く、鍵針
13が到達していない低高配向部分6a側は軟らかく仕
上がっている。そして、マットMが電池に組み込まれた
状態では厚み方向に圧縮されているが、マットMの軟ら
かい側は厚み方向の圧縮に対する抵抗が小さいため、圧
縮されやすく、従ってその密度は高くなる。従って、嵩
密度は、陽極寸法に圧縮された状態で測定しなければな
らない。
は、鍵針13の挿入した高配向部分6b側は固く、鍵針
13が到達していない低高配向部分6a側は軟らかく仕
上がっている。そして、マットMが電池に組み込まれた
状態では厚み方向に圧縮されているが、マットMの軟ら
かい側は厚み方向の圧縮に対する抵抗が小さいため、圧
縮されやすく、従ってその密度は高くなる。従って、嵩
密度は、陽極寸法に圧縮された状態で測定しなければな
らない。
【0022】このようにして作製されたマットMに硫黄
を充填して圧縮した状態で電池に組み込んだ。このマッ
トMについて、充電回復率(多硫化ナトリウムが全て硫
黄に戻ったときが充電回復率100%である。)を、比
較例1の100サイクル充放電繰り返し後の充電回復率
を基準にして相対値として求めた。
を充填して圧縮した状態で電池に組み込んだ。このマッ
トMについて、充電回復率(多硫化ナトリウムが全て硫
黄に戻ったときが充電回復率100%である。)を、比
較例1の100サイクル充放電繰り返し後の充電回復率
を基準にして相対値として求めた。
【0023】この試験後、電池を解体してマットMを取
り出した。このマットMを厚み方向に3分割し、陽極容
器1側と固体電解質管4側のサンプルの体積を測定し
た。この後、加熱及び洗浄工程で、硫黄と多硫化ナトリ
ウムを除去し、それぞれのマットMの重量を測定した。
この結果より、陽極容器1側と固体電解質管4側のサン
プルの嵩密度を測定した。これらの結果を表1に併せて
示す。
り出した。このマットMを厚み方向に3分割し、陽極容
器1側と固体電解質管4側のサンプルの体積を測定し
た。この後、加熱及び洗浄工程で、硫黄と多硫化ナトリ
ウムを除去し、それぞれのマットMの重量を測定した。
この結果より、陽極容器1側と固体電解質管4側のサン
プルの嵩密度を測定した。これらの結果を表1に併せて
示す。
【0024】なお、表1中の層は厚み方向に分割された
数を表し、配向量は厚み方向の繊維の本数/周方向の繊
維の本数の比率を表す。また、充電回復率(1) は100
サイクルにわたる充放電の繰り返し後の値、充電回復率
(2) は1000サイクルにわたる充放電の繰り返し後の
値を示す。
数を表し、配向量は厚み方向の繊維の本数/周方向の繊
維の本数の比率を表す。また、充電回復率(1) は100
サイクルにわたる充放電の繰り返し後の値、充電回復率
(2) は1000サイクルにわたる充放電の繰り返し後の
値を示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示したように、各実施例の充電回復
率は比較例1のそれに比べると、100サイクルの充放
電の繰り返し後に3〜5%向上した。さらに、1000
サイクルの長期にわたる充放電の繰り返し後の充電回復
率は11〜16%向上し、長期にわたる試験でも、性能
劣化が低く抑えられている。これは、マットMが1層の
場合には層間の不連続部分で硫黄が析出して充電反応を
阻害するおそれがなく、また嵩密度は固体電解質管4側
より陽極容器1側が高くなり、かつ繊維の配向は低配向
部分6aが陽極容器1側で、高配向部分6bが固体電解
質管4側であることから、陽極容器1側に存在する活物
質の多硫化ナトリウムが充電反応に寄与する機会が高く
なったためと推定される。
率は比較例1のそれに比べると、100サイクルの充放
電の繰り返し後に3〜5%向上した。さらに、1000
サイクルの長期にわたる充放電の繰り返し後の充電回復
率は11〜16%向上し、長期にわたる試験でも、性能
劣化が低く抑えられている。これは、マットMが1層の
場合には層間の不連続部分で硫黄が析出して充電反応を
阻害するおそれがなく、また嵩密度は固体電解質管4側
より陽極容器1側が高くなり、かつ繊維の配向は低配向
部分6aが陽極容器1側で、高配向部分6bが固体電解
質管4側であることから、陽極容器1側に存在する活物
質の多硫化ナトリウムが充電反応に寄与する機会が高く
なったためと推定される。
【0027】この発明は上記実施例に限定されるもので
はなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば以下
のように構成を変更して具体化してもよい。 (1)陽極マットMを一層で形成し、鍵針13を挿入す
る深さHを3段階以上に変えて、繊維の配向の異なる層
を3層以上とすること。 (2)配向の異なる陽極マットMを別体で成形した後、
各マットMを接続する程度に鍵針13を挿入して一体化
すること。 (3)陽極マットMの低配向部分6aと高配向部分6b
の割合を変えたり、陽極マットMを3層以上で形成し
て、嵩密度や配向量を段階状又は傾斜状に変えること。
はなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば以下
のように構成を変更して具体化してもよい。 (1)陽極マットMを一層で形成し、鍵針13を挿入す
る深さHを3段階以上に変えて、繊維の配向の異なる層
を3層以上とすること。 (2)配向の異なる陽極マットMを別体で成形した後、
各マットMを接続する程度に鍵針13を挿入して一体化
すること。 (3)陽極マットMの低配向部分6aと高配向部分6b
の割合を変えたり、陽極マットMを3層以上で形成し
て、嵩密度や配向量を段階状又は傾斜状に変えること。
【0028】
【発明の効果】以上詳述したように第1の発明によれ
ば、局所的に絶縁性の硫黄が析出するのを抑制して充電
回復率などの電池性能を向上させることができるという
優れた効果を奏する。第2の発明によれば、電池の充電
反応における反応効率を高めて充電回復率を確実に向上
させることができるという優れた効果が得られる。
ば、局所的に絶縁性の硫黄が析出するのを抑制して充電
回復率などの電池性能を向上させることができるという
優れた効果を奏する。第2の発明によれば、電池の充電
反応における反応効率を高めて充電回復率を確実に向上
させることができるという優れた効果が得られる。
【図1】この発明を具体化したナトリウム−硫黄電池の
断面図である。
断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】陽極マットを示す部分斜視図である。
【図4】(a)は鍵針をマットに挿入した状態を示す断
面図、(b)は鍵針をマットから抜いた状態を示す断面
図である。
面図、(b)は鍵針をマットから抜いた状態を示す断面
図である。
1…陽極容器、4…固体電解質管、6…陽極用導電材、
6a…低配向部分、6b…高配向部分、M…陽極マッ
ト。
6a…低配向部分、6b…高配向部分、M…陽極マッ
ト。
Claims (2)
- 【請求項1】 筒状の陽極容器内にナトリウムイオンを
選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配置する
とともに、両者間の収容空間に硫黄を含浸する陽極用導
電材を収容したナトリウム−硫黄電池において、 前記陽極用導電材を単層で形成し、かつその嵩密度を固
体電解質管側より陽極容器側を高く形成したことを特徴
とするナトリウム−硫黄電池。 - 【請求項2】 筒状の陽極容器内にナトリウムイオンを
選択的に透過させる有底筒状の固体電解質管を配置する
とともに、両者間の収容空間に硫黄を含浸する陽極用導
電材を収容したナトリウム−硫黄電池において、 前記陽極用導電材を単層又は複数層とし、その嵩密度を
固体電解質管側より陽極容器側を高く形成するととも
に、厚さ方向に伸びる繊維の割合を陽極容器側より固体
電解質管側を高くしたことを特徴とするナトリウム−硫
黄電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4238434A JP2771398B2 (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | ナトリウム−硫黄電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4238434A JP2771398B2 (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | ナトリウム−硫黄電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0689740A JPH0689740A (ja) | 1994-03-29 |
JP2771398B2 true JP2771398B2 (ja) | 1998-07-02 |
Family
ID=17030162
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4238434A Expired - Lifetime JP2771398B2 (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | ナトリウム−硫黄電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2771398B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101104801B1 (ko) * | 2009-10-14 | 2012-01-12 | 주식회사 효성 | 유황 전극과 그 제조 방법 |
JP2018530144A (ja) * | 2015-10-08 | 2018-10-11 | エレクトリジェット フライト システムズ インコーポレイテッド | 電池システム |
-
1992
- 1992-09-07 JP JP4238434A patent/JP2771398B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0689740A (ja) | 1994-03-29 |
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