JP2769440B2 - 発電機の起動方法および発電所内の回路方式 - Google Patents

発電機の起動方法および発電所内の回路方式

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば複合発電方式
の火力発電所内のガスタービン発電機等の発電機の起動
方法および発電所内の回路方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題などからエネルギー
の有効利用が社会的要求となり、発電所においては発電
設備の高効率化が今まで以上に叫ばれている。そのた
め、従来より効率の良いガスタービンを用いた複合発電
方式の発電設備が急速に増加している。更に、ガスター
ビンの大容量化が進んでいることから、起動装置も電動
機とトルクコンバータを用いた方式に代わってサイリス
タを用いた起動装置が実用化されている。
【0003】図3は、例えば三菱電機技報1993年5
月号(Vol.67,No.5)53頁に掲載された発
電所内の回路構成図である。図において、1は発電機、
2は発電機1の励磁電流を供給するサイリスタ励磁装
置、4はサイリスタ起動装置、31は発電機により発生
された電圧を送電電圧に昇圧する主要変圧器、32はサ
イリスタ励磁装置2に電源を供給する降圧用の励磁電源
変圧器(励磁用変圧器)、33は所内機器の電源を供給
する降圧用の所内用変圧器、51は所内機器が接続され
る所内配電盤用母線(メタルクラッド母線以下メタクラ
母線という)、52は開閉所母線53は主回路母線であ
る。61、63、64、65は遮断器であり、61は主
変圧器用遮断器(主変遮断器)、63は発電機用遮断
器、64は起動装置入口遮断器、65は起動装置出口遮
断器とする。
【0004】ところで、サイリスタ起動装置4の個々の
サイリスタ素子は製作の都合上から最大電圧が限られて
おり、発電機電圧が高い場合はそれに応じて素子を複数
個直列接続し対応してきた。したがって各サイリスタ素
子は、電圧に関しては限界近くであるのに対し電流はか
なり余裕があることになり、不経済であつた。このた
め、サイリスタ素子の直列接続数を1とし、起動装置の
出口に昇圧用変圧器を設けることがある。また、起動用
の電源は主回路母線ではなく、発電機用遮断器63を置
かずに開閉所母線52からとることもある。
【0005】図4はその例で、1、2、31から33、
4、51、52、61、64、65は図3と同じものを
表す。34は起動時において、所内機器に電源を供給す
る降圧用の起動用変圧器である。62は起動用変圧器用
遮断器(起変遮断器)、66および67は所内メタクラ
母線遮断器、35は起動装置出力昇圧のための昇圧用変
圧器である。又、図4は発電機遮断器63がない場合で
あり、起動時に発電機の回転子に電流を与える励磁装置
2の電源を供給するために、起動時用励磁電源変圧器3
6を設ける。そして励磁装置電源切り替え用断路器71
によって励磁装置2の電源を切り替えられるようにす
る。
【0006】図4において、起動方式について説明す
る。起動時は同期発電機を同期電動機として使用し、サ
イリスタ起動装置によって同期電動機を低い回転数から
滑らかに低周波起動(速度上昇)していく。まず、6
2、64、65、67の各遮断器がON、61、66の
各遮断器がOFF、励磁装置電源切り替え用断路器71
が起動時用励磁電源変圧器36側にONの状態で起動開
始し、サイリスタ起動装置4の出力を起動用昇圧変圧器
35で昇圧し、それを電動機(発電機)1の入力として
タービンの回転数を上げていく。
【0007】着火速度到達後、タービンに着火し、自立
速度(ガスタービンの出力のみで発電機が回転する速
度)を越えると65、64の各遮断器をOFFにしてサ
イリスタ起動装置4を切り離す。ここで励磁装置電源切
り替え用断路器71は励磁電源変圧器32側へ切り替え
る。定格回転数到達後、主変遮断器61をONにして発
電機を系統に併入し、所内メタクラ母線遮断器66をO
Nにしたあと所内メタクラ母線遮断器67をOFFにし
て所内機器の電源を起動用変圧器34から発電機回路に
切り換える。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の回路構成ではサ
イリスタ起動装置4の出力電圧を昇圧する起動用昇圧変
圧器35を必要とした。この発明は上記の起動用昇圧変
圧器35を省略し、経済的な回路構成を形成することの
できる発電機の起動方法を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る発電機の
起動方法は、発電機をサイリスタ起動装置で起動し、上
記発電機の出力を励磁用変圧器で降圧して励磁装置を介
して上記発電機の励磁コイルを励磁する発電設備にあっ
て、起動時は、上記サイリスタ起動装置からの出力を上
記励磁用変圧器によって昇圧して上記発電機に供給する
と共に、上記励磁コイルを別電源から励磁し、上記発電
機が所定の速度になると、上記サイリスタ起動装置を切
り離すと共に、上記発電機の出力を励磁装置に供給する
よう切り換えるようにしたものである。
【0010】また、発電機をサイリスタ起動装置で起動
し、上記発電機の出力を励磁用変圧器で降圧して励磁装
置を介して上記発電機の励磁コイルを励磁すると共に、
上記発電機の出力を所内用変圧器で降圧して所内用電源
とする発電設備にあって、起動時は、上記サイリスタ起
動装置からの出力を上記所内用変圧器によって昇圧して
上記発電機に供給すると共に、上記励磁コイルを別電源
から励磁し、上記発電機が所定の速度になると、上記サ
イリスタ起動装置を切り離すと共に、上記発電機の出力
を励磁装置に供給するよう切り換えるようにしたもので
ある。
【0011】また、請求項1または2の発電機の起動方
法を用いて発電所内の回路方式を構成したものである。
【0012】
【作用】この発明の発電機の起動方法は、起動時に励磁
用変圧器を昇圧変圧器として利用してサイリスタ起動装
置の出力を昇圧し、起動用昇圧変圧器を省略する。
【0013】また、起動時に所内用変圧器を昇圧変圧器
として利用してサイリスタ起動装置の出力を昇圧し、起
動用昇圧変圧器を省略する。
【0014】また、発電所内の回路方式は、請求項1ま
たは2の発電機の起動方法を用いる。
【0015】
【実施例】
実施例1.図1はこの発明の実施例を示す回路図であ
り、1、2、4、31〜34、36、51、52、5
3、61、62、64、66、67は図4と同じものを
表す。また、サイリスタ起動装置4の出力は起動装置出
口遮断器65、励磁装置電源切り替え用断路器72を通
して励磁電源変圧器(励磁用変圧器)32に接続され
る。励磁装置電源切り替え断路器72は励磁電源変圧器
32の接続先を励磁装置2またはサイリスタ起動装置4
に切り替えられるようにする。
【0016】起動時用励磁電源変圧器36と励磁装置電
源切り替え用断路器71は図4と同じ役割をもつが、励
磁装置電源切り替え用断路器71は励磁装置電源切り替
え用断路器72に連動して動作し、励磁装置電源切り替
え用断路器72がサイリスタ起動装置4側の時、励磁装
置電源切り替え用断路器71はON、励磁装置電源切り
替え用断路器72が励磁装置2側の時励磁装置電源切り
替え用断路器71はOFFとなる。
【0017】次に、動作について説明する。62、6
4、65、67の各遮断器がON、61、66の各遮断
機がOFF、励磁装置電源切り替え用断路器72がサイ
リスタ起動装置4側にON(励磁装置電源切り替え用断
路器71がON)の状態で起動開始し、サイリスタ起動
装置4の出力を励磁電源変圧器32で昇圧し、それを電
動機(発電機)1の入力としてタービンの回転数を上げ
ていく。
【0018】着火速度到達後、タービンに着火し、自立
速度を越えると65、64の各遮断器をOFFにしてサ
イリスタ起動装置4を切り離す。ここで励磁装置電源切
り替え用断路器72を励磁装置2側に切り換える(励磁
装置電源切り替え用断路器71がOFF)。定格回転数
到達後、主変遮断器61をONにして発電機を系統に併
入し、所内メタクラ母線遮断器66をONにしたあと、
所内メタクラ母線遮断器67をOFFにして通常運転を
行う。
【0019】このように、励磁電源変圧器32は起動時
にはサイリスタ出力電圧昇圧用として、定格運転時は励
磁装置電源供給用として用い、同時に両方の用途に使用
されることはないので共用しても問題はなく、図4の起
動用変圧器35を省略することができるので、発電所内
発電設備の費用低減、変圧器設置スペースの削減などが
できる。
【0020】実施例2.上記実施例1は起動装置出力電
圧の昇圧用に励磁電源変圧器を共用したが、所内用変圧
器を昇圧用に共用することも可能である。図2におい
て、1、2、4、31〜34、36、51、52、5
3、61、62、64、66、67、71は図4と同じ
ものを表す。また、サイリスタ起動装置4の出力は起動
装置出口遮断器65を通して所内用変圧器33と所内メ
タクラ母線遮断器66との間に接続される。
【0021】次に動作について説明する。62、64、
65、67の各遮断器がON、61、66の各遮断器が
OFF、励磁装置電源切り替え用断路器71が起動時用
励磁電源変圧器36側ONの状態で起動開始し、サイリ
スタ起動装置4の出力を所内用変圧器33で昇圧し、そ
れを電動機(発電機)1の入力としてタービンの回転数
を上げていく。着火速度到達後、タービンに着火し、自
立速度を越えると所内メタクラ母線遮断器65をOF
F、起動装置入口遮断器64をOFFにして起動装置を
切り離す。ここで励磁装置電源切り替え用断路器71を
励磁電源変圧器32側に切り替える。
【0022】定格回転数到達後、主変遮断器61をON
にして発電機を系統に併入し、所内メタクラ母線遮断器
66をONにしたあと、所内メタクラ母線遮断器67を
OFFにして所内機器の電源を起動用変圧器から発電機
主回路に切り換え、所内用変圧器を本来の降圧用変圧器
として運用する。このように所内用変圧器33は、起動
時にはサイリスタ出力電圧昇圧用、定格運転時は所内電
源供給用と、同時に両方の用途に使用されることはない
ので共用しても問題はなく、図4の起動用変圧器35を
省略することができ、また、実施例1から較べて断路器
72が不要になり、発電所内発電設備の費用低減、変圧
器設置スペースの削減などができる。
【0023】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、励磁電
源変圧器または所内用変圧器を起動時は昇圧用変圧器と
して共用するので、起動時のみ使用していた起動用昇圧
変圧器を削除できるので、発電所内発電設備の費用低
減、変圧器設置スペースの削減などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1を示す発電設備の回路図
である。
【図2】 この発明の実施例2を示す発電設備の回路図
である。
【図3】 従来の発電所設備を示す回路図である。
【図4】 従来の発電所設備を示す回路図である。
【符号の説明】
1 発電機、2 励磁装置、4 サイリスタ起動装置、
31 主要変圧器、32 励磁電源変圧器(励磁用変圧
器)、33 所内用変圧器、34 起動用変圧器、35
起動用昇圧変圧器、36 起動時用励磁電源変圧器、
51 所内メタクラ母線、52 開閉所母線、53 主
回路母線、61 主変遮断器、62 起変遮断器、63
発電機用遮断器、64 起動装置入口遮断器、65
起動装置出口遮断器、66,67 所内メタクラ母線遮
断器、71,72 励磁装置電源切り替え用断路器。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02C 7/275 F02C 7/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発電機をサイリスタ起動装置で起動し、
    上記発電機の出力を励磁用変圧器で降圧して励磁装置を
    介して上記発電機の励磁コイルを励磁する発電設備にあ
    って、起動時は、上記サイリスタ起動装置からの出力を
    上記励磁用変圧器によって昇圧して上記発電機に供給す
    ると共に、上記励磁コイルを別電源から励磁し、上記発
    電機が所定の速度になると、上記サイリスタ起動装置を
    切り離すと共に、上記発電機の出力を励磁装置に供給す
    るよう切り換えるようにしたことを特徴とする発電機の
    起動方法。
  2. 【請求項2】 発電機をサイリスタ起動装置で起動し、
    上記発電機の出力を励磁用変圧器で降圧して励磁装置を
    介して上記発電機の励磁コイルを励磁すると共に、上記
    発電機の出力を所内用変圧器で降圧して所内用電源とす
    る発電設備にあって、起動時は、上記サイリスタ起動装
    置からの出力を上記所内用変圧器によって昇圧して上記
    発電機に供給すると共に、上記励磁コイルを別電源から
    励磁し、上記発電機が所定の速度になると、上記サイリ
    スタ起動装置を切り離すと共に、上記発電機の出力を励
    磁装置に供給するよう切り換えるようにしたことを特徴
    とする発電機の起動方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の発電機の起動方法を
    用いて構成したことを特徴とする発電所内の回路方式。
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