JP2767844B2 - 高圧ナトリウムランプ - Google Patents

高圧ナトリウムランプ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、進相形安定器を用いて点灯するようにし
た始動器内蔵形の高圧ナトリウムランプに関する。
〔従来の技術〕
従来、安価な水銀灯用安定基を利用して点灯できるよ
うに構成した高圧ナトリウムランプが一般によく使用さ
れている。この高圧ナトリウムランプにはランプの始動
を容易にするため、通常、パルスを発生する始動器が内
蔵されている。かかるランプ内蔵の始動器としては、グ
ロースイッチや、フィラメント等の熱によりバイメタル
を開かせたパルスを発生するようにした真空スイッチを
用いたものが知られている。
第4図は、例えば特開昭59−5555号等に示されてい
る、従来の始動器内蔵形の高圧ナトリウムランプの一構
成例を示す回路構成図である。21は高圧ナトリウムの発
光管、22はグロースイッチ23,限流抵抗24,バイメタルス
イッチ25の直列回路からなる始動器で、前記発光管21に
並列に接続されている。そして前記発光管21と始動器22
とは外球内に配置されて高圧ナトリウムランプ26を構成
している。27は漏洩変圧器、28は直列コンデンサ、29は
電源であり、漏洩変圧器27と直列コンデンサ28とで高圧
水銀ランプ用の進相形安定器を構成している。
そして、始動時にはグロースイッチ23の開閉動作によ
り高圧パルスを発生させて発光管21を始動させ、漏洩変
圧器27の2次コイルのインダクタンスと直列コンデンサ
28による容量性インピーダンスで電流制限を行い点灯を
継続するようになっている。
なお、上記のように一般的な高圧水銀ランプ用の進相
形安定器、例えば定電力(CW)安定器,単巻式定電力
(CWA)安定器、ANSI規格のH33,H36,H37,H39型安定器を
用いて高圧ナトリウムランプを安定に点灯させるために
は、発光管に封入されているNa−Hg金属がほぼ完全に又
は完全に蒸気化する、いわゆる不飽和蒸気圧形の高圧ナ
トリウムランプであることが必要である。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、グロースイッチや真空スイッチを利用した
従来の始動器を用いた場合には、発生する高圧パルスの
パルス電圧及びパルス幅を均一化するのが困難で、ラン
プの始動性が悪いばかりでなく、しばしばその発生する
高圧パルスにより安定器や配線回路等に損傷を与える欠
点があった。
また寿命末期において、発光管からXeガスがリークし
た場合、グロースイッチ等の点灯管はガラスの外球内に
配置されているため、そのグロースイッチを含む始動器
は発光管が不点の状態で動作を続行する。したがって安
定器等にその発生高圧パルスが印加されて、該安定器等
を損傷させてしまう場合がある。
更には、またグロースイッチ等の点灯管には、その点
滅時に安定器を構成する直列コンデンサ(通常、数十μ
F)の放電電流と電源からの電流とが重畳されるため、
チョーク形安定器を用いる場合に比べ、寿命が短くなる
などの欠点があった。
本発明は、従来の始動器内蔵形の高圧ナトリウムラン
プにおける上記問題点を解消するためなされたもので、
ランプの始動性がよくランプ寿命末期における安定器等
の損傷の発生を防止するようにした始動器内蔵形の高圧
ナトリウムランプを提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
上記問題点を解決するため、本発明は、ナトリウム,
緩衝ガス用金属及び始動補助用希ガスを封入し、安定点
灯状態において封入金属のほぼ全量又は全量が蒸気化す
る発光管と、該発光管と並列に接続されたメタライズ電
極の総面積が2cm2〜6cm2の非線形コンデンサとブレーク
オーバ電圧が100〜170Vの半導体スイッチング素子との
直列回路よりなる始動器と、該始動器に並列に接続され
た5kΩ〜100kΩの抵抗とを有し、前記発光管は外管内
に、前記始動器は外管又は口金内にそれぞれ組み込んで
高圧ナトリウムランプを構成するものである。
このように構成することにより、パルス発生位相が一
定化され、且つエネルギーの大なる始動パルスが発生す
ると共に該始動パルスが中断することなく安定に発生
し、ランプの始動が格段に向上する。また寿命末期に発
光管がリークした場合、非線形コンデンサの耐圧が低下
して焼損するので、パルスの発生は終止し、安定器等へ
の損傷は阻止される。
〔実施例〕
以下実施例について説明する。第1図は、本発明に係
る高圧ナトリウムランプの回路構成とその点灯回路を示
す図である。1は発光管で、ナトリウム,緩衝ガス用金
属及び始動補助用希ガスを封入し、封入金属の封入量は
安定点灯状態においてほぼ全量又は全量が蒸気化する程
度に設定されている。2は発光管1に並列接続された始
動器で、始動後、始動器2を発光管1から切り離すため
の熱応動スイッチ3と、飽和V−Q特性を有するチタン
酸バリウムなどの強誘電体からなる非線形コンデンサ4
と、SSS素子のような双方向性二端子半導体スイッチン
グ素子5との直列回路で構成されている。なおRSは半導
体スイッチング素子5に並列に接続された抵抗で、該素
子5のスイッチング動作を一定にするためのものであ
る。ROは非線形コンデンサ4と半導体スイッチング素子
5に並列に接続された抵抗で、後述の安定器を構成する
直列コンデンサを放電させるためのものである。そして
前記発光管1と始動器2、及び抵抗RS,ROを外球内に収
納して高圧ナトリウムランプ6を構成している。このよ
うに構成したランプ6は、単巻漏洩変圧器7と直列コン
デンサ8からなる安定器を介して電源9に接続され、点
灯されるようになっている。なお始動器2及び抵抗RS,R
Oの全部又は一部を口金内に収納するように構成しても
よい。
次にこのように構成された高圧ナトリウムランプの始
動動作について説明する。電源9が投入されると、単巻
漏洩変圧器7と直列コンデンサ8からなる安定器を介し
て始動器2に正弦波電源電圧が印加される。印加電圧が
半導体スイッチング素子5のブレークオーバ電圧VBO
越えた時点で、非線形コンデンサ4に階段状の急峻な電
圧が印加され、それにより非線形コンデンサ4の急激な
充電が行われて直ちに飽和電圧ESに達し、電流を急激に
遮断する。このとき漏洩変圧器7のインダクタンスLに
より振幅の大きいパルス電圧を、各サイクル毎に発生
し、この高電圧パルスが発光管1に印加されて点灯を開
始する。発光管1が点灯すると、その熱を受けて熱応働
スイッチ3が開放され、始動器2が点灯回路から分離さ
れて始動パルスの発生を停止する。
ところで、一般に放電灯には始動し易い電流位相(電
流が零の位相Pの少し後の位相)があり、その時点で始
動用の高圧パルスを印加してやると極めて容易に始動が
行われるものである(特開昭62−283546号参照)。高圧
パルス発生の位相制御は、チョークコイルを用いた遅相
形安定器の場合は簡単に行うことができるが、直列コン
デンサを用いた進相形安定器の場合は、第2図に示すよ
うに、ランプ電流Ilは二次無負荷電圧V02に対して進み
位相となり、このランプ電流Ilが零となる位置を少し越
えた位相において、的確に高圧パルスを印加させてやる
ことは困難である。
本発明に係る構成の始動器においては、半導体スイッ
チング素子5のブレークオーバ電圧VBOを低めに設定す
ることにより、始動パルス発生位相をランプ電流Ilに対
して的確なものとすることが可能となる。すなわち、前
述のように最も少ないパルスエネルギーで放電灯を確実
に始動させるためには、ランプ電流Ilのゼロクロスの位
相Pの直後の位相においてランプ電流Ilが流れる方向に
始動パルスを発生させる必要があるが、一方、本発明に
おける始動器においては、二次無負荷電圧V02に応じて
半導体スイッチング素子をブレークオーバさせて始動パ
ルスを発生させるようになっているので、二次無負荷電
圧V02の立ち上がり点Rより後の位相でないとパルス電
圧は発生しない。したがって放電灯を確実に始動させる
ためには、パルス発生位相Qをできるだけ二次無負荷電
圧V02の立ち上がり点Rに近づける必要があり、半導体
スイッチング素子のブレークオーバ電圧VBOを低めに設
定することによって、上記立ち上がり点Rに近づけるこ
とができる。
しかしながら、半導体スイッチング素子5のブレーク
オーバ電圧VBOを下げることは、発生パルスのピーク電
圧を下げることになり、ランプの放電破壊を生じさせる
のが困難になるばかりでなく、このブレークオーバ電圧
VBOは非線形コンデンサ4の抗電圧EC以上に設定しない
と高圧パルスは発生しないことになる。そこで種々検討
した結果、進相形安定器を用いて点灯させるには、変動
体スイッチング素子5のブレークオーバ電圧VBOは、100
〜170Vに設定すれば次に述べる非線形コンデンサの全充
電量(全分極量)が比較的小さくても安定して点灯でき
ることが判明した。
また、非線形コンデンサの動作により発生するパルス
によって発光管の放電破壊を生じさせたのち、アーク放
電を接続させるためには、非線形コンデンサの全充電量
(全分極量)をある程度以上必要となることが判明し
た。これは、非線形コンデンサの一部のエネルギーが、
安定器のコイルから直列コンデンサに吸収される現象が
生じているためと考えられる。
非線形コンデンサの分極量を必要以上に大きくする
と、電源の投入寺に過渡的に発生するパルスで、非線形
コンデンサが自壊する場合が生ずる。そこで種々検討し
た結果、この分極量は最大96μCとするのが望ましいこ
とが判明した。
一般にチタン酸バリウムを主体とした非線形コンデン
サの自発分極PSは約16μC/cm2(25℃)である。したが
って前記最大分極量を非線形コンデンサの電極の面積に
換算すると6cm2程度となる。
第1表に、電極面積を異ならせた非線形コンデンサ
と、ブレークオーバ電圧VBOを異ならせた半導体スイッ
チング素子を用いた始動器を使用して発光管の点灯実験
を行った結果を示す。なおこの実験には360Wのランプを
用い、ANSI規格H33/CWA型の進相形安定器(208V入力)
を用いて点灯実験を行った。
上記第1表からVBOが70V以下で抗電圧EC以上の半導体
スイッチング素子を用いると、発光パルス電圧が900V
(なおパルス電圧は(±)であるが表中では省略してい
る)以下であり発光管の放電破壊を生じさせることがで
きず、またVBOが80Vでも電極面積をかなり大きく(4c
m2)しても放電破壊を生じさせることができないことが
わかる。またVBOが180V以上のものを用いると、高いパ
ルス電圧が発生し発光管の放電破壊は生ずるけれども、
パルス発生位相が的確でなく、アーク放電が持続せず、
点灯しないことがわかる。
また電極面積が増加すると全分極量が増加して発生す
るパルスピーク電圧も上昇することがわかる。また電極
面積1cm2以下では、VBOが100Vの半導体スイッチング素
子を用いても点灯させることができないことがわかる。
上記第1表は360Wのランプについて実験を行った結果
を示しているが、他のW数のランプ、例えば150W,200W
の実験においても、第1表と同様な結果が得られた。
次に具体例について説明する。非線形コンデンサとし
て、チタン酸バリウムを主体とした、厚さ0.65mm、直径
15.6mmの焼結体に直結14.5mmのメタライズを施して電極
を形成し、更にオーバコートしてその電極から端子を取
り出したものを2個並列に接続したものを用い、半導体
スイッチング素子としてはVBOが120VのSSS素子を用い、
抵抗RS,ROとしてそれぞれ30KΩのものを用い、発光管と
組み合わせて第1図に示した回路構成の360Wの高圧ナト
リウムランプを作成した。そして単巻式定電力型(CW
A)安定器を用いて点灯させたところ、電源投入後、直
ちに発光管が始動し、安定な点灯状態が得られた。
なお、上記具体例では、抵抗RS,ROとしてそれぞれ30K
Ωのものを用いた例を示したが、抵抗RSには10KΩ〜200
KΩ,抵抗ROには5KΩ〜100KΩのものを用いることがで
きる。すなわち抵抗RSにおいては、10KΩ未満にすると
半導体スイッチング素子のON特性が悪くなって、パルス
のピーク電圧が発光管の放電破壊電圧以下になり、ラン
プは始動しなくなる。また200KΩを越えると非線形コン
デンサの充電電圧で次の半サイクルに半導体スイッチン
グ素子をONしてしまうため、電源電圧に対して位相制御
が不安定になりパルス発生位相がランダムになってしま
う。そのため、抵抗RSは上記の範囲が好ましい。
また抵抗ROにおいては、5KΩ未満にすると、パルスピ
ーク電圧が低下しすぎてしまいランプが始動できなくな
る。また100KΩを越えると、安定基を構成する直列コン
デンサの放電時間が長くなるため、一度アーク放電の持
続がミスすると、次回のパルス発生まで時間がかかりす
ぎ、結果として単発的な放電が生ずるのみで点灯状態に
ならない。したがって抵抗ROは上記の範囲内に設定され
る必要がある。
なお上記実施例では始動器を発光管に並列に接続した
ものを示したが、本発明は、第3図に示すように、発光
管1の外壁に始動補助極10を備えているものにも適用で
きるものであり、その場合は、始動補助極10の両端に熱
応働スイッチ11,11を配置し、その一方に同様な構成の
始動器を直列接続して、始動器内蔵形の高圧ナトリウム
ランプを構成する。
〔発明の効果〕
以上実施例に基づいて説明したように、本発明によれ
ば、始動器による始動パルスを、放電灯の始動し易い位
相に発生させることができ、しかもパルスエネルギーを
大とすると共に該始動パルスを中断することなく安定に
発生させることができるため、ランプの始動性を格段に
向上させることができる。また寿命末期において発光管
がリークした場合には、非線形コンデンサの耐圧が低下
して焼損するため、パルス発生が停止し、安定器等への
障害の発生を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る高圧ナトリウムランプの一実施
例の回路構成と、その点灯回路を示す図、第2図は、二
次無負荷電圧波形,ランプ電圧波形及びランプ電流波形
を示す図、第3図は、本発明の他の実施例の回路構成
と、その点灯回路を示す図、第4図は、従来の始動器内
蔵形の高圧ナトリウムランプの回路構成とその点灯回路
を示す図である。 図において、1は発光管、2は始動器、4は非線形コン
デンサ、5は半導体スイッチング素子、6は高圧ナトリ
ウムランプ、7は漏洩変圧器、8は直列コンデンサを示
す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナトリウム,緩衝ガス用金属及び始動補助
    用希ガスを封入し、安定点灯状態において封入金属のほ
    ぼ全量又は全量が蒸気化する発光管と、該発光管と並列
    に接続された、メタライズ電極の総面積が2cm2〜6cm2
    非線形コンデンサとブレークオーバ電圧が100〜170Vの
    半導体スイッチング素子との直列回路よりなる始動器
    と、該始動器に並列に接続された5kΩ〜100kΩの抵抗と
    を有し、前記発光管は外管内に、前記始動器は外管又は
    口金内にそれぞれ組み込み、高圧水銀ランプ用進相形安
    定器を用いて点灯するようにしたことを特徴とする高圧
    ナトリウムランプ。
  2. 【請求項2】前記始動器の半導体スイッチング素子に10
    kΩ〜200kΩの抵抗を並列に接続したことを特徴とする
    請求項1記載の高圧ナトリウムランプ。
  3. 【請求項3】前記始動器を、発光管の外周に設けた外部
    補助導体とその両端に接続した熱応動スイッチを介して
    発光管に並列に接続したことを特徴とする請求項1記載
    の高圧ナトリウムランプ。
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