JP2760969B2 - コンパクトディスクまたはこれと類似のもののための容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンパクトディス
クまたはこれと類似のもののための容器であって、コン
パクトディスクまたはこれと類似の、中心開口を有する
ディスク状のデータキャリヤのための収容体を備えた下
部と、該下部の縁部を取り囲む、下方に向けられた縁部
を備えたカバー部とを有している形式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】このような形式の公知の容器において下
部が縁部を有しており、この縁部は下部の底部から上方
へカバー部に延びている。下部は平たい皿状に形成され
ており、この皿にフォーム材から成る収容体が配置され
ている。この収容体はコンパクトディスクを収容するた
めの凹部を有している。コンパクトディスクはフォーム
材より成る収容体の上に直接載るので、フォーム材の上
に埃やその他の異物があると、ディスクにひっかき傷が
できる。さらに、公知の容器において収容体及び下部の
凹部内にコンパクトディスクが配置されているので、デ
ィスクが取り出しにくい。しかもコンパクトディスクは
凹部内で移動し、確実に固定されていない。さらには、
公知の容器の再利用性にも問題がある。なぜなら、フォ
ーム材製の収容体が下部に張り付けられているからであ
る。公知の容器は２つの異なる材料から成っているの
で、下部を再利用するには、まずフォーム材製の収容体
を下部から取り除かなくてはならない。

【０００３】今日広く一般に用いられているコンパクト
ディスクの容器は透明なプラスチックから成っている。
容器の下部には、同じくプラスチックから成る、コンパ
クトディスクの収容体が配置されている。この収容体は
その中央に押しボタン式の突起部を有しており、この突
起部は多数のスリットによってばね状の舌片に分割され
ている。これらのばね状の舌片は比較的大きな応力で中
心開口に係合する。従ってコンパクトディスクを最初に
使用するときに、コンパクトディスクの破壊を引き起こ
す可能性のある、強い引き離し力が必要となる。さら
に、プラスチックから成るばね状の舌片は長時間後には
弱くなり、もはやコンパクトディスクは確実に固定され
なくなってしまう。プラスチックの老朽化のために、長
時間後又は頻繁なコンパクトディスクの取り出しによっ
て、ばね状の舌片が破損することがある。プラスチック
製の容器のリサイクルにも問題がある。何故ならば、透
明な容器は、大抵の場合、収容体とは異なるプラスチッ
クから成っており、これら２つのプラスチックは混合で
きないからである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、冒頭
で述べた形式のコンパクトディスクまたはこれと類似の
もののための容器を改良して、コンパクトディスクを確
実、かつ損傷の危険なく保持することができ、しかもコ
ンパクトディスクを容器から容易に取り出すことがで
き、また、全体が金属薄板から成っていて、簡単にリサ
イクルができるようなものを提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、カバー部の縁部がその下方の、カ
バー域から離れた領域で、内方に突出した巻き縁部（縁
曲げ部）を有しており、この巻き縁部が下部の縁部を取
り囲み、該縁部に当接してこの縁部を締め付けており、
下部の縁部が、下部の底部から下方へと延びていて、縁
部の下側、すなわち底部から離れた領域には、外方へ突
出した巻き縁部（縁曲げ部）を有しており、収容体が金
属薄板から形成されていて、中央部で、コンパクトディ
スクの中心開口内に係合する、ほぼ円筒形の保持部を有
しており、該保持部は底部のその他の領域に対して隆起
した支持部によって同心的に囲まれていて、該支持部上
で、中心開口を取り囲む、コンパクトディスクの中央の
部分が支持されているようにした。

【０００６】

【発明の効果】本発明による容器において、カバー部を
取り外すと、コンパクトディスクのすべての縁部が露出
され、しかも下部の底部から間隔を保って配置されてい
る。そのため、コンパクトディスクは下部から容易に取
り出すことができ、また、再び下部に置くこともでき
る。コンパクトディスクが形成されているプラスチック
に対して、金属薄板は、従来、プラスチック充填法で収
容体を製造する際に使用されていたプラスチックよりも
摩擦値が小さいので、コンパクトディスクを最初に使用
する際の取り外す力はほんのわずかであり、この力によ
ってコンパクトディスクを壊すことにはなり得ない。そ
れにもかかわらず、保持部によって加えられる緊定力
は、コンパクトディスクを確実に固定するためには十分
である。コンパクトディスクのデータキャリヤ部分が下
部の底部から間隔を保っているので、これによってコン
パクトディスクの損傷は避けられる。また、コンパクト
ディスクの取り出しも容易である。収容体も含めた容器
全体は金属薄板より成っているので、容易にリサイクル
される。

【０００７】

【発明の実施の形態】容器１はカバー部２と下部３とか
ら成っている。このカバー部２と下部３はほぼ方形の輪
郭を有している。その長さと幅の寸法は一般的なＣＤケ
ースの寸法に相当する。カバー部２と下部３は鋼薄板、
特にブリキから成っているが、場合によっては他の材
料、例えばアルミニウム薄板を使用してもよい。

【０００８】容器１は特に下部３の形状に関して、特に
新規な特徴、及びそこから生じた利点を有している。図
５，６から判るように、下部３の縁部１５は底部４から
離れて下方へ延びている。つまり、縁部１５はカバー部
２から遠ざかっている。縁部１５は、その下側に、すな
わち底部４から離れた領域に、外方へ突出した巻き縁部
１６を有している。巻き縁部１６は縁曲げ部とも呼ばれ
る。これらの巻き縁部１６は下部３に特別な剛性を与
え、さらに下部３に対するカバー部２の作動を制限す
る。カバー部２の縁部１７はその下側に、すなわちカバ
ー域１８から離れた領域に、内方へ突出した巻き縁部
（縁曲げ部）１９を備えている。これらの巻き縁部１９
もカバー部２に剛性を与えるために役立ち、カバー部２
を下部３の上に載せる際に、縁部１５の巻き縁部１６に
当接する。巻き縁部１９は下部３の縁部１５を取り囲
み、この縁部１５を締め付けしている。

【０００９】図１に示した実施例では、下部３はその底
部４の中心に別個の収容体５を有している。この収容体
５も、同様に金属薄板から成っている。この金属薄板は
有利には錫めっきされた薄板（ブリキ）、もしくはクロ
ムめっきされた薄板である。収容体５は深絞り加工によ
って製造される。

【００１０】収容体５は、固定部として中央に円筒形の
ピン状の保持部６を有している。この保持部６の直径Ｄ
は約１５．１ｍｍであり、これは一般のコンパクトディ
スクにある中心開口の直径より約０．１ｍｍほど大き
い。図１ではコンパクトディスクが符号７で、中心開口
が符号８で示されている。保持部６はその弾力性を増す
ために、半径方向に延びる多数のスリット１３を備えて
いる。保持部６は支持部１０によって同心的に囲まれて
いる。この支持部１０は、保持部６の円筒形の側壁の下
側の端部に接続している。

【００１１】支持部１０の外周部には段部１２が設けら
れている。そのさらに外側に固定フランジ９が設けられ
ている。この固定フランジ９は、収容体５を底部４に結
合する役目を果たす。段部１２により、支持部１０は底
部４に対して高くなっている。そのためコンパクトディ
スクの、データを備えた部分７ｂと底部４との間に間隔
ａ^１ができ、これによってコンパクトディスクに引っか
き傷が付くことは防げられる。

【００１２】固定フランジ９を下部３の底部４に結合す
るのは、様々な方法で、例えば粘着によって行われる。
しかしながら有利にはヒートシール加工で行われる。こ
のため、収容体５の製造に鋼薄板が使用される。この収
容体５はすでに深絞り加工以前に、シール可能な塗料
を、あるいはポリプロピレン（ＰＰ）もしくはポリエチ
レンテレフタレート（ＰＥＴ）から成るコーティングを
備えている。塗料の厚さは１〜１０μｍであって、プラ
スチック材料の厚さは１０〜５０μｍである。下部３は
コーティングされていない薄板から成っていてもよい
し、もしくは収容体５と同じコーティングを有していて
もよい。

【００１３】下部３特有の形状による明らかな利点は、
カバー部２を取ると、コンパクトディスク７の外周部が
すべての側で露出し、これによりコンパクトディスク７
を容易につかむことができるという点にある。また逆
に、コンパクトディスク７を保持部６の上に再び載せる
際には、コンパクトディスク７の傷つきやすい下側が下
部３の一部に接触する危険性はない。

【００１４】図２に示した実施例においては、保持体
５′は下部３と一体の部材より成っている。保持部６は
この実施例では、底部４から絞られた、ほぼ円筒形のカ
ラー部６′である。図２の下の拡大図から分かるよう
に、このカラー部６′は有利には、その上方に向けられ
た自由端部が半径方向で内側へ折り曲げられている。こ
のカラー部６′はこの自由端部において、さらにわずか
に外側に変形されていて、直径Ｄを成すためである。こ
の直径Ｄはコンパクトディスク７の中心開口８の直径よ
りやや大きい。これはコンパクトディスク７の締め付け
機能と固定機能を確保するためである。前述の実施例と
同じように、保持部６もしくはカラー部６′は支持部１
０によって同心的に取り囲まれており、この支持部１０
は底部４の周辺領域に対して隆起している。底部４はド
ーム状に上方に隆起しており、下部３の縁部１５のとこ
ろで下降している。前述の実施例と同様に、コンパクト
ディスク７は、その中心開口８を取り囲む中央の部分７
ａだけが支持部１０上に載ることによって支持される。
コンパクトディスク７のその他の領域７ｂ、すなわちデ
ータを有する領域７ｂは、上方に隆起した底部４には接
飾していない。この領域７ｂと底部４の間にはすべて、
外方に向かって次第に広くなる隙間ａ^１があり、この実
施例においても、カバー部２を取ると、コンパクトディ
スク７の外周部は、すべての側が露出しており、コンパ
クトディスク７を容易につかむことができる。

【００１５】容器１を開け易くするために、下部３の巻
き縁部１６のカバー部２側の、少なくとも一つの角縁部
の領域において、高さが低くなっているが、これは、例
えばすえ込み加工によって行われる。これは図６に示さ
れている。巻き縁部１６のすえ込み加工は約０．５ｍｍ
ほど行われ、そのため容器１が閉じているときに、角縁
部の領域において、両巻き縁部１６、１９の間に相応の
間隔ａが存在する。カバー部２の相応の角縁部を押す
と、カバー部２の対角線状に向き合う角縁部が持ち上げ
られ、カバー部は開く。場合によってはすべての４つの
角縁部を相応に形成することも考えられる。従って容器
１を開けるときに、カバー部２のどの角縁部を押すべき
かを気にする必要がない。

【００１６】図３の部分的な側面図に示されているよう
に、容器１を開け易くするために、カバー部２の巻き縁
部１９の、下部３に向けられた側の少なくとも１つの角
縁部の領域の高さを低くしてもよい。これもすえ込み加
工によって行われる。この角縁部を押すことによって、
カバー部２が支点１９ａを介して下部３から持ち上げら
れる。この際、容器１の開放は、対角線状に向き合う角
縁部において開始する。

【００１７】特に図５から分るように、カバー部２はそ
の上側の縁部１７とカバー域１８との間の移行部に環状
の段部２０を有している。この段部２０は、図５の一点
鎖線で示されているように、上に積み重ねられた容器１
の下部３の巻き縁部１６に係合するためのものである。
このような形式で、互いに滑ることなく、任意に多数の
容器１を重ね合わせて積むことができる。

【００１８】保持部６もしくは円筒形のカラー部６′
は、２〜３枚のコンパクトディスク７を保持部６もしく
は円筒形のカラー部６′上に同軸的に重ね合わせて、配
置し、この保持部６もしくは円筒形のカラー部６′によ
って保持することができる程度に長く形成してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンパクトディスクが収容されている、約２：
１の縮尺で示す、本発明の第１実施例による容器全体の
部分的な断面図である。

【図２】本発明の第２実施例による、下部の断面図及
び、保持体５′の部分の拡大図である。

【図３】角縁部領域における容器の、約５：１の縮尺で
示す、部分的な側面図である。

【図４】約１：１の縮尺で示す、容器の平面図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ線に沿った、約５：１の縮尺で示
す、断面図である。

【図６】図４のＶＩ− ＶＩ線に沿った、約５：１の縮
尺で示す、断面図である。

【符号の説明】

１ 容器、 ２ カバー部、 ３ 下部、 ４ 底部、
５ 収容体、 ５′保持体、 ６ 保持部、 ６′
カラー部、 ７ コンパクトディスク、 ７ａ 部分、
７ｂ 領域、 ８ 中心開口、 ９ 固定フランジ、
１０ 支持部、 １２ 段部、 １３ スリット、
１５ 縁部、 １６ 巻き縁部、 １７ 縁部、 １８
カバー域、 １９ 巻き縁部、 １９ａ 支点、 ２
０ 段部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−57778（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−34491（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−50694（ＪＰ，Ｕ) 実開 平７−26389（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−150595（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B65D 85/57 B65D 85/00

Claims (10)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンパクトディスクまたはこれと類似の
   もののための容器であって、コンパクトディスクまたは
   これと類似の、中心開口を有するディスク状のデータキ
   ャリヤのための収容体を備えた下部と、該下部の縁部を
   取り囲む、下方に向けられた縁部を備えたカバー部とを
   有している形式のものにおいて、カバー部（２）の縁部（１７）がその下方の、カバー域
   （１８）から離れた領域で、内方に突出した巻き縁部
   （縁曲げ部）（１９）を有しており、この巻き縁部（１
   ９）が下部（３）の縁部（１５）を取り囲み、該縁部
   （１５）に当接してこの縁部（１５）を締め付けてお
   り、 下部（３）の縁部（１５）が、下部（３）の底部
   （４）から下方へと延びていて、縁部（１５）の下側、
   すなわち底部（４）から離れた領域には、外方へ突出し
   た巻き縁部（縁曲げ部）（１６）を有しており、収容体
   （５）が金属薄板から形成されていて、中央部で、コン
   パクトディスクの中心開口（８）内に係合する、ほぼ円
   筒形の保持部（６）を有しており、該保持部（６）は底
   部（４）のその他の領域に対して隆起した支持部（１
   ０）によって同心的に囲まれていて、該支持部（１０）
   上で、中心開口（８）を取り囲む、コンパクトディスク
   （７）の中央の部分（７ａ）が支持されていることを特
   徴とする、コンパクトディスクまたはこれと類似のもの
   のための容器。
2. 【請求項２】 カバー部（２）と下部（３）とが、丸み
   を帯びた角縁部を備えた、ほぼ方形の輪郭を有してい
   る、請求項１記載の容器。
3. 【請求項３】 下部（３）の巻き縁部（１６）の、カバ
   ー部（２）に向けられた側の少なくとも１つの角縁部の
   領域の高さが低くなっており、これによって容器（１）
   を閉じたときに、角縁部の領域において、カバー部
   （２）の巻き縁部（１９）と下部（３）の巻き縁部（１
   ６）との間に間隔（ａ）が存在する、請求項１または２
   記載の容器。
4. 【請求項４】 カバー部（２）の巻き縁部（１９）の、
   下部（３）に向けられた側の少なくとも１つの角縁部の
   領域の高さが低くなっており、これによって容器（１）
   を閉じたときに、角縁部の領域において、カバー部
   （２）の巻き縁部（１９）と下部（３）の巻き縁部（１
   ６）との間に間隔（ａ）が存在する、請求項１または２
   記載の容器。
5. 【請求項５】 円筒形の保持部（６）と同心的な支持部
   （１０）とが、下部（３）の底部（４）から成形されて
   いる、請求項１から４までのいずれか１項記載の容器。
6. 【請求項６】 保持部（６）が、底部（４）から深絞り
   加工された、ほぼ円筒形のカラー部（６′）によって形
   成されている、請求項５記載の容器。
7. 【請求項７】 カラー部（６′）の上方に向けられた自
   由端部が半径方向で内側へ折り曲げられている、請求項
   ６記載の容器。
8. 【請求項８】 コンパクトディスク（７）の締め付け機
   能と固定機能を確保するために、カラー部（６′）の上
   方に向けられた自由端部の直径がやや大きくなってい
   る、請求項７記載の容器。
9. 【請求項９】 同心的な支持部（１０）を取り囲む、こ
   の支持部（１０）以外の、底部（４）の領域が、ドーム
   状に上方に隆起しており、下部（３）の縁部（１５）の
   ところで下降している、請求項５または６記載の容器。
10. 【請求項１０】 カバー部（２）が、その上に積み重ね
    られた容器（１）の下部（３）の巻き縁部（１６）に係
    合するために、カバー部（２）の上側の、縁部（１７）
    とカバー域（１８）との間の移行部に環状段部（２０）
    を有している、請求項１から９までのいずれか１項記載
    の容器。