JP2758856B2 - セラミドグルコシルトランスフェラーゼ - Google Patents

セラミドグルコシルトランスフェラーゼ

Info

Publication number
JP2758856B2
JP2758856B2 JP7148472A JP14847295A JP2758856B2 JP 2758856 B2 JP2758856 B2 JP 2758856B2 JP 7148472 A JP7148472 A JP 7148472A JP 14847295 A JP14847295 A JP 14847295A JP 2758856 B2 JP2758856 B2 JP 2758856B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
ceramide
amino acid
glct
enzyme
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP7148472A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09248A (ja
Inventor
義雄 平林
進一 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority to JP7148472A priority Critical patent/JP2758856B2/ja
Priority to DE69634285T priority patent/DE69634285T2/de
Priority to EP96109447A priority patent/EP0748868B1/en
Priority to US08/663,713 priority patent/US5780284A/en
Publication of JPH09248A publication Critical patent/JPH09248A/ja
Priority to US09/014,888 priority patent/US6054309A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP2758856B2 publication Critical patent/JP2758856B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/1048Glycosyltransferases (2.4)
    • C12N9/1051Hexosyltransferases (2.4.1)

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖転移酵素及び該酵素
をコードする遺伝子に関するものである。さらに詳しく
いうと、本発明は、グルコースの転移を触媒するグルコ
シルセラミド生合成酵素であるセラミドグルコシルトラ
ンスフェラーゼ並びに該酵素をコードする遺伝子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】細胞膜成分の1グループであるグリコス
フィンゴリピド(Glycosphingolipids:GSL) は、細胞膜
脂質二重層の外側の部分に埋包される脂質部分と外部に
伸長する糖鎖を有する糖脂質である。グリコスフィンゴ
リピドは全ての動物細胞中に存在しており、分化、接
着、増殖、及び細胞−細胞認識のような種々の細胞プロ
セスに重要な物質であることが示唆されている(Varki,
A., Glycobiology, 3, pp.97-130, 1993) 。
【0003】一部の例外を除いて、ほとんどすべての糖
脂質は、セラミドにグルコースが転移されることにより
生じたグルコシルセラミドが前駆体となって合成され
る。セラミドグルコシルトランスフェラーゼ(UDP-グル
コース:セラミドβ1-1'グルコシルトランスフェラー
ゼ, GlcT-1, EC2.4.1.80:以下、本明細書中で単に「セ
ラミドグルコシルトランスフェラーゼ」と呼ぶ場合があ
る)は、グリコスフィンゴリピド生合成の最初のグリコ
シル化過程、すなわちグルコースの UDP-Glcからセラミ
ドへの転移を触媒する酵素である(Basu, S. et al., J.
Biol. Chem., 243,pp.5802-5807, 1968)。この酵素の
産物であるグルコシルセラミド(GlcCer)は 300個以上の
グリコスフィンゴリピドの生合成における出発原料とし
て用いられる(Radin, N. S., Nuerochem. Res., 5, pp.
533-540, 1994)。
【0004】セラミドグルコシルトランスフェラーゼ
は、ニワトリ胚の脳中に初めて見いだされた(Basu, S.
et al., J. Biol. Chem., 243, pp.5802-5807, 1968)。
しかしながら、この酵素はアッセイや精製が困難であ
り、酵素学的な性質はほとんど行われていない。わずか
に、ラット・ゴルジ体分画からこの酵素を可溶化したこ
と(Durieux, I. et al., Biochem. Biophys. Acta, 102
4, pp.263-266, 1990)、肝臓及び脳中には異なる性質の
酵素が存在すること(Vunnam, R. et al., Biochem.Biop
hys. Acta, 573, pp.73-82, 1979)が報告されているに
すぎない。最近になって、GlcCerの合成がゴルジ体の細
胞質側表面で起こり、他方、グリコスフィンゴリピド合
成経路における他のグリコシル化反応は、ゴルジ体の内
腔側で行われることが明らかにされたものの、セラミド
グルコシルトランスフェラーゼの酵素学的特徴が解明さ
れているわけではない。なお、類似の触媒活性を持つ酵
素であるセラミドガラクトシルトランスフェラーゼのク
ローニングについての報告がある(Schulte, S. et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, pp.10265-10269, 1
993)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、哺乳類、好
ましくはヒト由来のセラミドグルコシルトランスフェラ
ーゼを提供することを目的としている。また、本発明の
別の目的は、上記のセラミドグルコシルトランスフェラ
ーゼをコードする遺伝子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決すべき手段】本発明者らは、先にセラミド
グルコシルトランスフェラーゼ欠損マウス・メラノーマ
B16変異体 GM-95の単離及び特性決定を行った(Nozue,
M. et al., Int.J. Cancer, 42, pp.734-738, 1988; Ic
hikawa, S. et al., Proc. Natl. Acad.Sci. USA, 91,
pp.2703-2707, 1994) 。本発明者らは、受容細胞として
欠損変異株 GM-95を用いたクローニングにより、ヒト由
来セラミドグルコシルトランスフェラーゼ(UDP-グルコ
ース:N-アシルスフィンゴシン D- グルコシルトランス
フェラーゼ、EC 2.4.1.80)をコードする cDNA を単離す
ることに成功した。
【0007】すなわち本発明は、配列表の配列番号1に
示すアミノ酸配列(アミノ酸番号1〜394)により特定さ
れるヒト由来セラミドグルコシルトランスフェラーゼを
提供するものである。また、本発明の別の態様により、
上記のヒト由来セラミドグルコシルトランスフェラーゼ
をコードする遺伝子;及び、その好ましい態様として、
配列表の配列番号1に示す核酸配列の核酸番号 1〜1185
(終始コドンを含む)で特定される上記セラミドグルコ
シルトランスフェラーゼが提供される。本発明の酵素
は、 UDP-Glcからセラミドへのグルコース転移を触媒す
る作用を有している。
【0008】本発明により提供されるセラミドグルコシ
ルトランスフェラーゼには、上記のヒト由来の天然型酵
素の他、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列におい
て1個若しくは2個以上のアミノ酸残基が挿入、欠失若
しくは置換したアミノ酸配列を有し、 UDP-Glcからセラ
ミドへのグルコース転移を触媒する作用を有する酵素が
全て包含される。このような酵素のうち、哺乳類動物、
例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ラッ
ト、マウスなどの生体内で発現されている天然型酵素は
好ましい酵素である。
【0009】また、本発明によれば、上記のいずれかの
酵素のアミノ酸配列を分子中に含み、かつ、 UDP-Glcか
らセラミドへのグルコース転移を触媒する活性を有する
ポリペプチドが提供される。これらのポリペプチドは、
上記酵素の全アミノ酸配列をポリペプチド全長の一部と
して含むことを特徴としている。さらに、上記酵素のア
ミノ酸配列の部分配列であってグルコース転移活性に関
与するアミノ酸配列(いわゆる活性ドメイン)をその一
部または全部として含み、かつ、 UDP-Glcからセラミド
へのグルコース転移を触媒する活性を有するポリペプチ
ドが提供される。このようなポリペプチドは、上記酵素
の部分構造である活性ドメインを全部または部分とする
ものである。
【0010】例えば、上記セラミドグルコシルトランス
フェラーゼの全アミノ酸配列から膜結合ドメイン(疎水
性ドメイン)を選択的に除去し、得られた活性ドメイン
を含むポリペプチドをシグナルペプチドを結合させるこ
とにより得られるポリペプチドは、細胞外分泌型の可溶
化酵素として有用であることが期待できる。疎水性ドメ
インの決定方法としては、例えば、カイトらの方法(Kyt
e, J. et al., J. Mol. Biol., 157, pp.105-132, 198
2) や、Hopp & Woods法などの周知の方法を採用するこ
とができる。
【0011】本発明の別の態様によれば、上記のセラミ
ドグルコシルトランスフェラーゼのいずれか、または上
記ポリペプチドのいずれかをコードする遺伝子が提供さ
れる。例えば、本発明の遺伝子には、上記のヒト由来セ
ラミドグルコシルトランスフェラーゼをコードする任意
の遺伝子;その好ましい例として、配列表の配列番号1
に示す核酸配列の核酸番号 1〜1185(終始コドンを含
む)で特定される遺伝子;上記の各ポリペプチドをコー
ドする任意の遺伝子;上記の好ましいヒト由来セラミド
グルコシルトランスフェラーゼにおいて1個若しくは2
個以上の核酸が挿入、欠失若しくは置換された核酸配列
であって、 UDP-Glcからセラミドへのグルコース転移を
触媒するポリペプチドをコードする遺伝子などが全て包
含される。また、このような遺伝子をその一部として含
むDNA 配列も本発明の範囲に包含される。
【0012】本発明の遺伝子のうち、ヒト由来セラミド
グルコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、本明細書の実
施例に詳細に記載された方法に従って、あるいはその記
述を参照しつつ、それらの方法に適宜に改変や修飾を加
えることによって、当業者が容易に調製することが可能
である。また、他の哺乳類動物に由来するセラミドグル
コシルトランスフェラーゼ遺伝子も、容易に入手可能な
哺乳類材料を適宜選択することにより、実施例の方法に
準じて調製可能である。本発明の遺伝子は、上記の酵素
またはポリペプチドの製造に有用である他、上記酵素の
生体内における発現を調べるための診断用プローブなど
としても有用である。
【0013】さらに本発明により、上記の遺伝子または
上記DNA 配列を含む組換えベクター、該組換えベクター
により形質転換された形質転換体である細胞が提供され
る。ベクターの種類は当業者に利用可能なものであれば
特に限定されず、形質転換すべき宿主細胞との組み合わ
せで適宜選択すべきである。宿主細胞の種類も特に限定
されず、大腸菌等の微生物細胞(原核細胞)や動物若し
くは植物細胞(真核細胞)などの任意の細胞を用いるこ
とが可能である。また、バキュロウイルスによる発現系
なども利用可能である。
【0014】また本発明により、上記形質転換体を培養
した培養物からセラミドグルコシルトランスフェラーゼ
または UDP-Glcからセラミドへのグルコース転移を触媒
するポリペプチドを分離・採取する工程を含む、上記酵
素またはポリペプチドの製造方法が提供される。培養の
方法及び培養物から所望の酵素またはポリペプチドを分
離・採取する方法は当業者に周知である。以下、本発明
を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範
囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0015】
【実施例】
(1) 材料と方法 (a) 材料 モノクローナル抗体 M2590(抗-GM3;IgM)(Hirabayashi,
Y. et al., J. Biol.Chem., 260, pp.13328-13333, 19
85)は、明治製菓株式会社(東京、日本)から購入し
た。マウスIgM(μ鎖特異的)に対するヤギIgG 分画は、
オルガノン・テクニカ社から入手した。ヤギ体内で産生
された高蛍光性抗マウス・ガンマグロブリンは、アンチ
ボディーズ・インコーポレイテッド(CA, USA)から購入
した。リポフェクチン及び G418 はライフ・テク・オリ
エンタル(東京、日本)から入手した。pET 系は宝酒造
株式会社(京都、日本)から入手した(Studier, F. et
al.,Method in Enzymol., 185, pp.60-89, 1990) 。
【0016】二価性のクロスリンカーであるビス(スル
ホスクシニミヂル)スベリン酸は、ピアース社 (IL, US
A)から入手した。6-(((N-7- ニトロベンズ-2- オキサ-
1,3-ジアゾール-4- イル)アミノ)カプロイル)スフィ
ンゴシン, C6-NBD-Cerはモレキュラー・プローブス社
(OR, USA)から入手した。ポリオーマウィルスの初期領
域を有するpPSVE-PyE プラスミドは福田博士(ラ・ホヤ
(La Jolla)癌研究財団;CA, USA) から寄贈されたもの
を用いた(Bierhuizen, M. F. et al., Genes andDev.,
7, pp.468-478, 1993) 。他の試薬は全て分析用グレー
ドのものを用いた。
【0017】(b) cDNAライブラリー ヒト・メラノーマ細胞系 SK-Mel-28は、福田博士(ラ・
ホヤ癌研究財団;CA,USA) から寄贈されたものを用い
た。哺乳動物発現ベクターとして pcDNAI(インビトロゲ
ン社, CA) を用いるシードらの方法(Seed, B. et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, pp.3365-3369, 198
7) によりポリ (A)+ RNA からライブラリーを調製し
た。このライブラリーには大腸菌株 MC1061/P3中の 2.5
×106 個の独立クローンが含まれていた。
【0018】(c) 細胞株及び培養条件 GlcT-1を発現しない B16メラノーマ変異体 GM-95は、既
報の方法により樹立させた(Nozue, M. et al., Int. J.
Cancer, 42, pp.734-738, 1988; Ichikawa, S. et a
l., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, pp.2703-2707,
1994) 。一時的発現用の受容細胞系 GM-95-PyTは、pSV2
neo プラスミド及び pPSVE-PyEプラスミド(Bierhuizen,
M. F. et al., Genes and Dev., 7, pp.468-478, 199
3) による GM-95のコ・トランスフェクション及び G418
による選択により樹立させた。細胞類は、通常通り、
5% CO2 下で 10%のウシ胎児血清 (FCS)を添加したダル
ベッコの改良イーグル培地, D-MEM(ギブコ・ラボラトリ
ーズ社, NY) 中で継代した。
【0019】(d) 相補化による cDNA の単離 cDNAを持つプラスミドをcDNAタイブラリーの増幅部分か
ら調製した。GM-95-PyT 細胞にエレクトロポレーション
法によりプラスミドDNA をトランスフェクトさせた(Ch
u, G. et al., Nucleic Acids Res., 15, pp.1311-132
6, 1987)。方法の概要は以下のとおりである。2 ×107
個の GM-95-PyT細胞を K-PBS- (30.8 mM NaCl, 120.7 m
M KCl, 8.1 mM Na2HPO4 及び 1.46 mM KH2PO4)で洗浄
し、5 mM MgCl2を添加した K-PBS- 400 μl (K-PBS+ )
に懸濁した。 K-PBS+ 400 μl に溶解したプラスミドDN
A (100μg)を上記の細胞懸濁液に加え、氷上で 10 分間
インキュベートした。細胞を 0.4 cm キュベットに移
し、ジーン・パルサー(バイオ・ラド社製)を用いて 9
60μF のキャパシタンスで 300V パルスを照射した。そ
の後、細胞を氷上に戻した。
【0020】10分後、細胞懸濁液を冷却した血清フリー
の D-MEM 5 ml で希釈し、25℃で 30 分間インキュベー
トした。次いで、細胞を培養皿に移し、20% FCS を添加
した37℃の D-MEM中で培養した。1 ×108 個の細胞を上
記のようにトランスフェクトし、5個の 15 cm培養皿中
で培養した。60時間後に 5 ml/プレートの5 mM EDTAを
含むPBS と共にインキュベートして細胞をプレートから
脱離させた。この細胞を PBS-EDTA-NaN3 (5% FBS、0.02
% アジ化ナトリウム、及び 0.5 mM EDTAを含むPBS) 中
に 5×107 細胞/ml の濃度となるように再懸濁し、M259
0 mAb(20μg/ml) と氷上で2時間反応させた。反応後、
細胞を氷冷PBS で2回洗浄し、50 mM HEPES バッファー
(pH 8.3)及び 0.2 mM BS3 を含む PBS中に1×107 細胞
/ml の濃度となるように再懸濁し、氷上で 30 分間イン
キュベートした。
【0021】その後、細胞を氷冷PBS で2回洗浄し、10
ml の PBS-EDTA-NaN3に再懸濁した後、マウスIgM(μ鎖
特異的) に対するヤギIgG 分画でコーティングした 6 c
m パニング(panning) プレート5枚に分割した(Wysock
i, L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, pp.2
844-2848, 1978)。25℃で4時間インキュベートした
後、 PBS-EDTA-NaN3で穏やかに洗浄して非付着細胞を除
去した。ハートらの方法(Hirt, B., J. Mol. Biol., 2
6, pp.365-369, 1967) により付着細胞からプラスミド
を抽出し、エレクトロポレーション法により大腸菌 MC1
061/P3中に導入した。プラスミドは 500 ml の 2×YTか
ら調製し(Maniatis, T. et al., モレキュラー・クロー
ニング:ア・ラボラトリー・マニュアル,コールド・ス
プリング・ハーバー・ラボラトリー,コールド・スプリ
ング・ハーバー,NY,1989)、上記のようなパニングを
再度行った。二度目のパニングの後、500 個の大腸菌ク
ローンを32 個のプールに分割し、各プールからミニプ
レパレーション法によりプラスミドを調製した(マニア
チスら、上掲)。
【0022】上記のプラスミドを、24ウェルプレート中
に培養した GM-95-PyT細胞中に DEAE デキストラン法に
より導入し(Sussman, D.J. et al., Mol. Cell Biol.,
4,pp.1641, 1984)、細胞を60時間培養した。その後、
細胞を各ウェルから採収し、セラミドグルコシルトラン
スフェラーゼ(以下、実施例において GlcT-1 と呼ぶ場
合がある) 活性を測定したところ、2個のプールが陽性
であった。これらの陽性プールから得た 62 個の大腸菌
クローンを上記のように試験し、セラミドグルコシルト
ランスフェラーゼのcDNAを単離した。このクローンを p
CG-1と命名した。
【0023】(e) GM-95 細胞における GlcT-1 の安定的
発現 pCG-1 又は pcDNAI をリポフェクチンにより pSV2neoと
共に以下のようにコ・トランスフェクトした(Felgner,
P. L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,84, pp.74
13-7417, 1987) 。 10 cm組織培養皿を用いて、GM-95
細胞を10% FCS添加D-MEM 10 ml 中で 50%コンフルエン
トまで培養した。培地を血清フリーの D-MEM 10 mlに交
換し、さらにpCG-1(60μg)、pSV2neo (6μg)及びリポフ
ェクチン(150μg)を混合した水 300μl を加えた。対照
として、インサートを持たない pcDNAI ベクターを pCG
-1の代わりに用いた。その翌日、細胞を 800μg/ml G41
8を含む培地中で選別した。2週間後、各プレートから
100個以上のコロニーが得られた。細胞をプレートから
脱離させ、混合して新しいプレートに移植した。G418を
含む培地中で細胞を2カ月継代培養し、クローニングせ
ずにフローサイトメトリー又は脂質分析に使用した。
【0024】(f) 大腸菌における GlcT-1 の発現 pCG-1 からの cDNA を Bluescript KSベクターの EcoRI
部位に BamHI部位が 3´末端に位置するようにクローニ
ングした (pCG-2)。NdeI部位を、プライマー、5´-ATCA
TATGGCGCTGGACCTGGC-3 ´及び 5´-CAATCTAGCATCAACATT
TGGATA を用いた標準的 PCR法(Felgner, P. L. et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, pp.7413-7417, 198
7) により、GlcT-1転写解読枠の ATGコドンに導入し
た。得られた300 bpフラグメントを HindIIIで切断し、
pUC119のSmaI及びHindIII 領域中にクローニングした。
増幅後、KpnI及びHindIII で切断してフラグメントを回
収した。このフラグメントを pCG-2の 1.1 kb KpnI-Hin
dIIIフラグメントに結合させて pCG-3を得た。
【0025】次に、 NdeI 及び BamHI部位を有するpCG-
3 からの全長 cDNA を大腸菌発現ベクター pET-3a 中に
クローニングした(Studier, F. et al., Method in Enz
ymol., 185, pp.60-89, 1990) 。得られたプラスミド p
ET-CG1を大腸菌株 BL21(DE3)中に形質転換した (Studie
r, F. et al., 上掲) 。クローニングした GlcT-1 を発
現させるために、このプラスミドを有する大腸菌細胞を
37℃のNZCYM 培地で生育させた(Maniatis, T. et al.,
上掲)。細胞密度が 0.25 OD600 に達した時点で、イソ
プロピル−β−チオガラクトピラノシド (IPTG) を最終
濃度が 1 mM になるように加え、細胞をさらに5時間イ
ンキュベートした。インキュベーション後に細胞を集
め、ソニケーションにより細胞を破壊した。酵素反応用
には150 mgのセル・ライセートを用い、7時間のインキ
ュベートを行った。他の条件は標準的アッセイ条件に従
った。
【0026】(g) ヌクレオチド配列決定 ヒト GlcT-1 cDNAを含むプラスミドをエキソヌクレアー
ゼIII 及びマング・ビーン・ヌクレアーゼで処理し、種
々の長さのネスティッド欠失群を作成した(Heinkoff,
S., Gene, 28, pp.351-359, 1984)。ヌクレオチド配列
は BucaBEST(宝酒造、京都、日本)を用いるジデオキシ
ヌクレオチド鎖停止法(Sanger, F. et al., Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA, 74, pp.5463-5467, 1977) 又は、T
aq DNA ポリメラーゼを用いるサイクル配列法により両
方向に決定した。アプライド・バイオシステムズ・モデ
ル 373A 及びファルマシア A.L.F. DNA シーケンサーを
分析に使用した。分析の一部は宝酒造カスタムサービス
センターで行った。
【0027】(h) DNA 操作 DNA 操作は、マニアチスらの方法(Maniatis, T. et a
l., 上掲)に従って行った。
【0028】(i) フロー・サイトメトリー 細胞を 5 mM EDTAを含むPBS で培養皿から脱離させ、M2
590 mAb (PBS-EDTA-NaN3中、20μg/ml) と氷上で2時間
反応させた。細胞をPBS で洗浄し、FITCでラベル化した
抗マウス免疫グロブリンと氷上で3時間反応させた。PB
S で洗浄した後、細胞を FACStar (ベクトン・ディキン
ソン社製)により分析した。
【0029】(j) 脂質分析 細胞を半コンフルエントの状態で剥ぎ取り、PBS で2回
洗浄して凍結乾燥した。全脂質を 20 倍量のクロロホル
ム:メタノール (2:1, v/v) で抽出し、濾過して減圧乾
燥した。次いで、全脂質を少量のクロロホルム:メタノ
ール (2:1, v/v) に再溶解し、既製のシリカゲルプレー
ト(E.メルク社製)でクロロホルム:メタノール:水
(65:25:4, v/v) によるクロマトグラフィー分析に付し
た。グリコスフィンゴリピド (GSL)類はオルシノール-H
Cl試薬で可視化した。
【0030】(k) 酵素アッセイ GlcT-1活性のアッセイは、リプスキィらの方法(Lipsky,
N.G. et al., J. Cell Biol., 100, pp.27-34, 1986)
に若干の改良を加えて行った。合成蛍光物質、C6-NBD-C
erをリポソームとしてアッセイに用いた。C6-NBD-Cer
(50μg)及びレシチン (500 μg)を 100μl エタノール
中に混和し、溶媒を留去して乾固した。水1 ml を加え
た後にソニケートしてリポソームを製造した。標準反応
混合液 (100 μl: 20 mM Tris-HCl (pH 7.5)/ 500 μM
UDP-Glc/20μl リポソーム/ 酵素源として50μg 細胞性
蛋白)を 30 ℃で4時間インキュベートした。その後、
脂質を抽出し、シリカゲル 60 プレートに付した。NBD
脂質をクロロホルム:メタノール:水 (65:25:4, v/v)
で分離し、脂質を UV 照射で可視化した。
【0031】(l) 蛋白アッセイ 蛋白のアッセイは、ミクロ BCA蛋白アッセイ試薬キット
(PIERCE, IL, USA) を用いてスミスらの方法に従って行
った(Smith, P. K. et al., Anal. Biochem.,150, pp.7
6-85, 1985)。
【0032】(m) mRNAの単離及びノーザン・ブロット分
析 各細胞系からのポリ A+ RNA を、ファースト・トラック
mRNA 単離キット(インビトロゲン社製)を用いて使用
説明書に従って単離した。ポリ A+ RNA (2μg)をホルム
アルデヒドを含む 1% アガロースゲル上で電気泳動し、
ナイロンメンブレン(ハイボンド-N、アマシャム社製)
上にトランスブロットした(Maniatis, T. et al., 上
掲)。既製のメンブレン(ヒューマン・マルチプル・テ
ィッシュ・ノーザン・ブロット、クローンテク社製)を
種々の組織の mRNA の分析に使用した。
【0033】pCG-1 の 1.1 kb HindIII-XhoI cDNA フラ
グメントをマルチプライムDNA ラベリング・システム
(アマシャム社製)により [α-32P]dCTP (6000Ci/mmo
l、アマシャム社製)でラベルし、プローブとして使用
した。ハイブリダイゼーションは50%ホルムアミド、2%
SDS、10×デンハート溶液、100 μg/mlサケ精子DNA 及
32Pラベル化プローブを含む 5×SSPE (1 ×SSPE: 0.1
8M NaCl, 10 mM NaPO4, pH 7.7, 1 mM EDTA)中、42℃
で 24 時間行った。ハイブリダイゼーション後、メンブ
レンを 0.5% SSC を含む 2×SSC 及び 0.1×SSC でそれ
ぞれ 50 ℃、40分間ずつ洗浄した。
【0034】(2) 結果 (a) cDNAクローニング シードらにより開発された哺乳動物発現クローニングシ
ステム(Seed, B. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 84, pp.3365-3369, 1987) を用い、発現ベクター pc
DNAI の SK-Mel-28ライブラリーからの cDNA をGlcT-1
活性を欠失するGM-95-PyT に導入した。受容細胞系 GM-
95-PyT(ポリオーマ・ラージ T抗原を安定的に発現する
GM-95)は、トランスフェクトされたプラスミドをエピ
ゾーム複製させる細胞系であり、GlcT-1を欠失している
ものの、グリコスフィンゴリピド生成に関与する他の酵
素は活性を維持している。従って、GlcT-1 cDNA を導入
することにより、親の細胞系で発現されるGlcCer、LacC
er、及び GM3の発現が回復する。
【0035】トランスフェクトの3日後に、 GM3を発現
する細胞を、抗-GM3 mAb及び、抗マウスIgM でコーティ
ングしたペトリ皿でパニングすることにより単離した。
mAbと GM3の間の結合は、細胞がプレート上に固定され
るほど強固なものではないために、反応したmAb と細胞
表面蛋白がパニングの前にクロスリンクされた。プラス
ミドを培養皿に付着した細胞から単離し、その後の増幅
のために大腸菌中にエレクトロポレートした。二回目の
トランスフェクション、選択、及び増幅の後、大腸菌コ
ロニーをサブプールに分け、単一のクローン pCG-1が単
離されるまで酵素アッセイに基づくシブリング選択によ
りスクリーニングを行った。
【0036】(b) 変異体細胞における GlcT-1 活性の一
時的発現 変異体細胞の pCG-1トランスフェクト体を、 C6-NBD-セ
ラミドを基質に用いてGlcT-1 活性についてアッセイし
た。SK-Mel-28 細胞;UDP-Glc を添加しない SK-Mel-28
細胞;MEB-4 細胞;UDP-Glc を添加しない MEB-4細胞;
GM-95-PyT 細胞;UDP-Glc を添加しない GM-95-PyT細
胞;pcDNAIでトランスフェクトした GM-95-PyT細胞;UD
P-Glc 無添加のpcDNAIでトランスフェクトした GM-95-P
yT細胞;pCG-1 でトランスフェクトした GM-95-PyT細
胞;UDP-Glc 無添加のpCG-1 でトランスフェクトした G
M-95-PyT細胞;C6-NBD-Cer (100 pmoles); C6-NBD-GlcC
er (100 pmoles);及び C6-NBD-SM (100 pmoles) につい
て同時に分析を行った。
【0037】その結果、GlcT-1活性は pCG-1でトランス
フェクトした GM-95-PyT細胞には検出されたが、pcDNAI
ベクターでトランスフェクトしたものには検出されなか
った。また、 C6-NBD-GlcCerの産生は UDP-Glcに依存し
ていた。GlcT-1活性は、ライブラリーを作成した SK-Me
l-28細胞及び親細胞系 MEB-4にも検出された。これらの
2細胞系からのライセートでは、内生 UDP-Glcにより、
UDP-Glc無添加の場合にも少量の NBD-GlcCer 産生が検
出された。
【0038】(c) GlcT-1 cDNA 導入による変異体細胞に
おけるグリコスフィンゴリピド発現の回復 グリコスフィンゴリピドの発現を、抗-GM3 mAbを用いる
フローサイトメトリーにより分析した。pCG-1 でトラン
スフェクトした GM-95-PyT細胞においては主要ピークの
有意のシフト、並びに少数の強く染色された細胞が観察
されたが、陽性細胞数の比率は比較的少なかった。この
原因は、主として、GM-95-PyT 細胞のトランスフェクト
効率が低いためである。そこで、安定的に GlcT-1 を発
現する GM-95細胞を製造するため、GM-95 細胞を pCG-1
及び pSV2neoでコ・トランスフェクトし、ネオマイシン
耐性について G418 で選択したところ、100 個以上のコ
ロニーが得られた。細胞を混合し、クローニングせずに
グリコスフィンゴリピド分析にかけたところ、75% の細
胞が GM3について陽性であり、15% の細胞が親細胞より
も強く染色された。
【0039】ネオマイシン耐性細胞のグリコスフィンゴ
リピドをTLC 及びオルシノール/H2SO4反応によりさらに
分析した。106 個の細胞からの全脂質をシリカゲルプレ
ート上にスポットし、溶媒〔クロロホルム:メタノー
ル:水 (65:25:4, v/v) 〕で展開した。SK-Mel-28 細
胞;MEB-4 細胞;GM-95 細胞;pcDNAI及び pSV2neoでコ
・トランスフェクトした GM-95細胞;pCG-1 及び pSV2n
eoでコ・トランスフェクトした GM-95細胞;GlcCer (2
μg);LacCer (1 μg);及び GM3 (1 μg)を同時に分析
し、グリコスフィンゴリピドはオルシノール/H2SO4試薬
で可視化した。GlcCer及び GM3は、 pCG-1を有する GM-
95細胞から抽出した全脂質中に検出されたが、pcDNAIを
有する細胞からの抽出物中には検出されなかった。
【0040】(d) 酵素活性を有する GlcT-1 の大腸菌に
おける発現 単離した cDNA が目的のセラミドグルコシルトランスフ
ェラーゼ自体をコードするものであり、GlcT-1活性の発
現に必要な調節蛋白をコードするものではないことを証
明する目的で、グリコスフィンゴリピドなどのスフィン
ゴリピドとGlcT-1とを発現しない大腸菌中で、酵素活性
を有する GlcT-1 を発現させた。pET3a/BL21 (DE3);UD
P-Glc 無添加のpET3a/BL21 (DE3);pET3a-CG1/BL21 (DE
3);UDP-Glc 無添加のpET3a-CG1/BL21 (DE3);C6-NBD-C
er (40 pmoles); 及び C6-NBD-GlcCer (40 pmoles)を同
時に分析したところ、pET-CG-1でトランスフェクトした
細胞中にGlcT-1活性が検出された。C6-NBD-GlcCer の産
生は UDP-Glcに依存しており、pET3a ベクターのみを有
する細胞には活性は検出されなかった。これらのデータ
から、上記のcDNAが GlcT-1 をコードすることが明らか
である。
【0041】(e) GlcT-1の一次構造 図2に cDNA のヌクレオチド配列から推定されるGlcT-1
の一次アミノ酸配列を示す。GlcT-1は 394個のアミノ酸
からなり 44,853 ダルトンの分子量を有していた。 Glc
T-1 と有意の相同を示す蛋白は DNA及び蛋白データベー
ス(それぞれ、ゲンバンク及び PIR)に見いだされず、
GlcT-1 は新規の蛋白であった。開始コドンの前に存在
する GC リッチな配列は、ハウスキーピング遺伝子のプ
ロモーター付近に位置する CpGアイランド配列の一部と
考えられる (Bird, A.P., Nature, 321, pp.209-213, 1
986)。この配列を含む遺伝子は細胞生存能力に通常欠か
せないものであり、ほとんどの細胞に発現されるもので
ある。
【0042】類似の触媒活性を持つ酵素であるセラミド
ガラクトシルトランスフェラーゼ (CGT)が最近クローニ
ングされている(Schulte, S. et al., Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 90, pp.10265-10269, 1993)。この酵素の
配列分析から、この酵素が薬物代謝に関与するグルクロ
ニルトランスフェラーゼに一致することが明らかになっ
た。 GlcT-1 及び CGTは類似の反応を触媒するのでこれ
らの酵素が相同すると考えられなくもないが、配列上の
有意の相同性は見出されず、これら2個の酵素が異なる
進化の起源を持つことが示唆された。グルクロニルトラ
ンスフェラーゼは小胞体の内腔側に現れるが(Drake, R.
R. et al., J. Biol. Chem., 267, pp.11360-11365, 1
992)、GlcT-1は細胞質側表面で反応を触媒する唯一の酵
素であることも、この仮説を支持するものと考えられ
る。
【0043】疎水性プロット分析(Kyte, J. et al., J.
Mol. Biol., 157, pp.105-132, 1982) を行ったとこ
ろ、膜固定ドメインの可能性がある N末端近くの疎水性
セグメントの存在が明らかとなった(図3)。膜中に位
置すると考えられる C末端に近接した領域中にもかなり
の疎水性が検出された。これらは、膜貫通ドメインの可
能性がある。
【0044】(f) GlcT-1 mRNA のノーザン・ブロット分
析 メラノーマ細胞及び種々のヒト組織からのGlcT-1 mRNA
の発現をノーザン・ブロット(ポリ A+ RNA, 2μg)によ
り分析した。(A) メラノーマ細胞系:SK-Mel-28 ;MEB-
4 ;及び GM-95;並びに(B) ヒト組織:心臓;脳;胎
盤;肺;肝臓;骨格筋;腎臓;及び膵臓について、同時
に分析を行った。また、ヒトのグリセルアルデヒド3リ
ン酸デヒドロゲナーゼ (G3PDH) cDNA のハイブリダイゼ
ーションを対照実験として行った。
【0045】3.5 kbの単一の転写物が、調査した全ての
細胞及び組織において検出された。SK-Mel-28 細胞及び
MEB-4細胞には、 GlcT-1 mRNAの強い発現が検出され
た。 GlcT-1 の欠失により、GM-95 には非常に微かなバ
ンドしか観測されなかった。ヒトの種々の組織について
は、試験した全ての組織において発現が認められた。対
照として用いた G3PDH mRNA については、すでに報告さ
れているように、骨格筋及び心臓に強い発現が観察され
た(Vincent, S. et al., Nucleic Acids Res., 21, pp.
1498, 1993) 。
【0046】
【発明の効果】本発明のセラミドグルコシルトランスフ
ェラーゼは、哺乳類(好ましくはヒト)の生体内でスフ
ィンゴ糖脂質合成の最初のグリコシル化過程に関与し、
UDP-Glc からセラミドへのグルコース転移を触媒して、
グルコシルセラミドを合成する機能を有している。従っ
て、本発明の酵素は哺乳類の生命維持に不可欠の酵素で
あり、極めて有用な酵素である。また、本発明の酵素
は、各種の生化学、遺伝子工学の研究用試薬として、あ
るいは生理活性物質の製造用の試薬として有用である。
さらに、上記酵素の発現低下に基づく各種の疾患の治療
や予防のための医薬としても有用であることが期待でき
る。本発明の遺伝子は、上記の酵素を大量かつ高純度で
製造するために有用である他、上記酵素の発現異常に基
づく疾患の検査や診断などに用いるプローブとしても有
用である。以下、配列表により本発明の遺伝子及び遺伝
子産物の配列を示す(表1〜2として2分割してあ
る)。
【配列表】
配列番号1 配列
【表1】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウス・メラノーマ B16細胞におけるグリコ
スフィンゴリピドの合成経路を示す図である。図中、ア
ウトラインは酵素及び GSLが変異体細胞において欠失し
ていることを示し、Cer:セラミド;GalT: UDP-ガラクト
ース:グルコシルセラミド・ガラクトシルトランスフェ
ラーゼ;及び SAT: CMP-シアル酸:ラクトシルセラミド
・シアリルトランスフェラーゼを示す。
【図2】 本発明のセラミドグルコシルトランスフェラ
ーゼの好ましい態様であるヒト由来 GlcT-1 のアミノ酸
配列を示す図である。
【図3】 本発明のセラミドグルコシルトランスフェラ
ーゼの好ましい態様であるヒト由来 GlcT-1 のアミノ酸
配列の疎水性プロットを示す図である。図中、プラスの
値は疎水性の増大を示し、マイナスの値は親水性の増大
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 9/10 C12R 1:19) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/54 C12N 9/10 C12N 1/21 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) WPI(DIALOG)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列
    (アミノ酸番号1〜394)により特定されるUDP-Glcから
    セラミドへのグルコース転移を触媒する作用を有するセ
    ラミドグルコシルトランスフェラーゼ。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列
    (アミノ酸番号1〜394)において1個若しくは2個以上
    のアミノ酸残基が挿入、欠失若しくは置換したアミノ酸
    配列を有し、UDP-Glcからセラミドへのグルコース転移
    を触媒する作用を有するセラミドグルコシルトランスフ
    ェラーゼ。
  3. 【請求項3】 哺乳類動物の生体内で発現されている天
    然型酵素である請求項2に記載のセラミドグルコシルト
    ランスフェラーゼ。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    のセラミドグルコシルトランスフェラーゼのアミノ酸配
    列を分子中に含み、かつ、 UDP-Glcからセラミドへのグ
    ルコース転移を触媒する活性を有するポリペプチド。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    のセラミドグルコシルトランスフェラーゼをコードする
    遺伝子。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載のポリペプチドをコード
    するDNA 。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の遺伝子を含む組換えベ
    クター。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の組換えベクターにより
    形質転換された形質転換体。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の形質転換体を培養した
    培養物からセラミドグルコシルトランスフェラーゼを分
    離・採取する工程を含む、請求項1ないし3のいずれか
    1項に記載のセラミドグルコシルトランスフェラーゼの
    製造方法。
JP7148472A 1995-06-15 1995-06-15 セラミドグルコシルトランスフェラーゼ Expired - Fee Related JP2758856B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7148472A JP2758856B2 (ja) 1995-06-15 1995-06-15 セラミドグルコシルトランスフェラーゼ
DE69634285T DE69634285T2 (de) 1995-06-15 1996-06-13 Ceramid Glukosyltransferase
EP96109447A EP0748868B1 (en) 1995-06-15 1996-06-13 Ceramide glucosyltransferase
US08/663,713 US5780284A (en) 1995-06-15 1996-06-14 Ceramide glucosyltransferase
US09/014,888 US6054309A (en) 1995-06-15 1998-01-28 Ceramide glucosyltransferase

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7148472A JP2758856B2 (ja) 1995-06-15 1995-06-15 セラミドグルコシルトランスフェラーゼ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09248A JPH09248A (ja) 1997-01-07
JP2758856B2 true JP2758856B2 (ja) 1998-05-28

Family

ID=15453519

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7148472A Expired - Fee Related JP2758856B2 (ja) 1995-06-15 1995-06-15 セラミドグルコシルトランスフェラーゼ

Country Status (4)

Country Link
US (2) US5780284A (ja)
EP (1) EP0748868B1 (ja)
JP (1) JP2758856B2 (ja)
DE (1) DE69634285T2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2758856B2 (ja) * 1995-06-15 1998-05-28 理化学研究所 セラミドグルコシルトランスフェラーゼ
CN1302895A (zh) * 1999-11-02 2001-07-11 上海生元基因开发有限公司 新的人udp葡萄糖—糖蛋白葡萄糖基转移酶及其编码序列
WO2003057874A1 (en) * 2001-12-28 2003-07-17 Sumitomo Pharmaceuticals Company, Limited Disease markers for renal diseaes and utilization thereof
US7893041B2 (en) 2003-12-05 2011-02-22 Children's Hospital Medical Center Oligosaccharide compositions and use thereof in the treatment of infection
WO2010120682A1 (en) 2009-04-13 2010-10-21 Morrow Ardythe L Milk oligosaccharide compositions and use thereof in treating infection in animals
CA2767043C (en) 2009-07-06 2020-07-14 Children's Hospital Medical Center Inhibiting inflammation with milk oligosaccharides
US9616114B1 (en) 2014-09-18 2017-04-11 David Gordon Bermudes Modified bacteria having improved pharmacokinetics and tumor colonization enhancing antitumor activity
US11129906B1 (en) 2016-12-07 2021-09-28 David Gordon Bermudes Chimeric protein toxins for expression by therapeutic bacteria
US11180535B1 (en) 2016-12-07 2021-11-23 David Gordon Bermudes Saccharide binding, tumor penetration, and cytotoxic antitumor chimeric peptides from therapeutic bacteria

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2960804B2 (ja) * 1991-09-06 1999-10-12 花王株式会社 グルコース転移酵素
JP2758856B2 (ja) * 1995-06-15 1998-05-28 理化学研究所 セラミドグルコシルトランスフェラーゼ

Also Published As

Publication number Publication date
EP0748868B1 (en) 2005-02-02
DE69634285D1 (de) 2005-03-10
EP0748868A2 (en) 1996-12-18
US6054309A (en) 2000-04-25
DE69634285T2 (de) 2006-03-30
JPH09248A (ja) 1997-01-07
EP0748868A3 (en) 1999-06-02
US5780284A (en) 1998-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ichikawa et al. Expression cloning of a cDNA for human ceramide glucosyltransferase that catalyzes the first glycosylation step of glycosphingolipid synthesis.
Murakami et al. Regulation of prostaglandin E2 biosynthesis by inducible membrane-associated prostaglandin E2 synthase that acts in concert with cyclooxygenase-2
Haraguchi et al. Isolation of GD3 synthase gene by expression cloning of GM3 alpha-2, 8-sialyltransferase cDNA using anti-GD2 monoclonal antibody.
US6693183B2 (en) MURINE α (1,3) FUCOSYLTRANSFERASE FUC-TVII, DNA ENCODING THE SAME, METHOD FOR PREPARING THE SAME, ANTIBODIES RECOGNIZING THE SAME, IMMUNOASSAYS FOR DETECTING THE SAME, PLASMIDS CONTAINING SUCH DNA, AND CELLS CONTAINING SUCH A PLASMID
Omae et al. DES2 protein is responsible for phytoceramide biosynthesis in the mouse small intestine
Arnold et al. Two homologues encoding human UDP-glucose: glycoprotein glucosyltransferase differ in mRNA expression and enzymatic activity
EP0874900B1 (en) Improved nucleic acids encoding a chimeric glycosyltransferase
Nishio et al. Identification and characterization of a gene regulating enzymatic glycosylation which is induced by diabetes and hyperglycemia specifically in rat cardiac tissue.
US20090269802A1 (en) Alpha 1,4-galactosyltransferase and dna encoding thereof
JP2758856B2 (ja) セラミドグルコシルトランスフェラーゼ
DeBose-Boyd et al. Molecular cloning and characterization of an α1, 3 fucosyltransferase, CEFT-1, from Caenorhabditis elegans
JP2002530071A (ja) UDPガラクトース:β−N−アセチル−グルコサミンβ1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ、β3Gal−T5
US5602003A (en) N-acetylglucosaminyltransferase V gene
US6323332B1 (en) Sulfotransferase for HNK-1 glycan
KOYA et al. Overexpression of core 2 N‐acetylglycosaminyltransferase enhances cytokine actions and induces hypertrophic myocardium in transgenic mice
US6136580A (en) β-1-6-N-acetylglucosaminyltransferase that forms core 2, core 4 and I branches
US6131578A (en) Inhibitors of UDP-G1cNAc:Ga1β1-3Ga1NAcαR β1-6 N-acetylglucosaminyltransferase (core 2 G1cNAc-T) and use of the inhibitors to prevent or treat cardiomyopathy associated with diabetes
Daniotti et al. Mouse β 1, 3‐galactosyltransferase (GA1/GM1/GD1b synthase): Protein characterization, tissue expression, and developmental regulation in neural retina
Ruan et al. Analysis of Melanoma Cells Stably Transfected with β1, 4GalNAc Transferase (GM2/GD2Synthase) cDNA: Relative Glycosyltransferase Levels Play a Dominant Role in Determining Ganglioside Expression
JP2001521399A (ja) 哺乳類のグルクロニルc5−エピメラーゼをコードするdna配列およびその産生法
JP3889863B2 (ja) 糖転移酵素遺伝子
JP3969469B2 (ja) N−アセチルグルコサミン転移酵素及びそれをコードするdna
WO1995007020A1 (en) EXPRESSION OF THE DEVELOPMENTAL I ANTIGEN BY A CLONED HUMAN cDNA ENCODING A BETA-1,6-N-ACETYLGLUCOSAMINYLTRANSFERASE
JP3219585B2 (ja) 新規糖鎖合成酵素
Ichikawa et al. [33] Genetic approaches for studies of glycolipid synthetic enzymes

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees