JP2758086B2 - 高温用スライド弁 - Google Patents

高温用スライド弁

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JP2758086B2 JP13448591A JP13448591A JP2758086B2 JP 2758086 B2 JP2758086 B2 JP 2758086B2 JP 13448591 A JP13448591 A JP 13448591A JP 13448591 A JP13448591 A JP 13448591A JP 2758086 B2 JP2758086 B2 JP 2758086B2
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和美 田尻
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は流動式化学触媒などの流
量を制御するために用いられる高温用スライド弁に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の高温用スライド弁として
は、例えば、図9(特願平1−233751号)に示されるよ
うに、弁体30の上流側平面31および端面32をそれぞれ複
数のセラミック板33で覆うことによって、この部分の摩
耗を抑制している。上記セラミック板33は、多角形状に
形成され、金属製の固定ピン35によって弁体30の金属製
ベースプレート36に固定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来形式によると、セラミック材は金属材に比べて熱膨
張係数が小さいため、粉粒体を含んだ高温流体がスライ
ド弁を流通し、弁体30が高温になったとき、図10,図11
に示すように、弁体30の金属製のベースプレート36が膨
張して、上流側平面31の縁端部に設けられたセラミック
板33Aと、端面32に設けられたセラミック板33Bとの隣
接面間に隙間37が生じ、これらの隙間37に粉粒体が侵入
した。
【0004】そして、高温流体の流通が終了した後、弁
体30の温度が低下して常温に戻ったとき、金属製のベー
スプレート36は収縮する。これにともない、セラミック
板33A,33B間の隙間37は狭まろうとするため、隙間37
に侵入した粉粒体によって、各セラミック板33A,33B
の一端部に、各セラミック板33A,33Bを押し剥がす方
向の曲げ力FA,FBが作用する。これにより、最弱部
であるピン孔38部に大きな応力が働き、セラミック板33
A,33Bがピン孔38部より破損するといった不具合が発
生した。
【0005】本発明は上記問題を解決するもので、高温
流体の熱影響によって弁体が膨張し収縮しても、弁体の
上流側平面および端面を覆っているセラミック板が破損
するといった不具合の発生を防止できる高温用スライド
弁を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に本発明は、粉粒体を含む高温の被制御流体の流路をな
す弁箱と、弁箱に摺動自在に支持して設けられ、弁箱内
部の流路を横断する方向に出退して被制御流体の流量を
制御する弁体とを備えたスライド弁において、上記弁体
を金属製のベースプレートで形成し、この弁体の上流側
平面の縁端部に第一セラミック板を設け、これら第一セ
ラミック板に隣接する第二セラミック板を弁体の端面に
設け、上記第一セラミック板と第二セラミック板との一
対の隣接面のうち、上記第一セラミック板側の隣接面を
第一傾斜面に形成し、上記第二セラミック板側の隣接面
を第二傾斜面に形成し、上記第二傾斜面上記第一傾斜
面で覆われて第一傾斜面に当接しており、これら両傾斜
面を弁体のベースプレートの上流側平面から端面の側へ
傾斜させ、上記第一セラミック板および第二セラミック
板をそれぞれ弁体に連結するセラミックピンを設け、上
記第一セラミック板を連結するセラミックピンから上記
弁体のベースプレートの端面までの距離をL1とし、上
記第二セラミック板を連結するセラミックピンから上記
弁体のベースプレートの上流側平面までの距離をL2と
したときに、上記第一傾斜面ならびに第二傾斜面の傾斜
角度θを、θ=tan-1(L2/L1)となるように設
定したものである。
【0007】
【作用】上記構成により、第一セラミック板および第二
セラミック板は、第一傾斜面と第二傾斜面とを当接させ
た状態で、それぞれセラミックピンによって、弁体の上
流側平面の縁端部および端面に取り付けられている。
【0008】被制御流体によって弁体が高温になると、
弁体の金属製ベースプレートが熱膨張するため、第一セ
ラミック板と第二セラミック板とは、互いに離間する方
向へ移動する。このときのベースプレートの、L1方向
の膨張量をW1とし、L2方向の膨張量をW2とし、そ
して、第一,第二セラミック板自身の熱膨張量は金属製
ベースプレートの上記熱膨張量W1,W2に比べて微小
であるため無視する。これにより、第一傾斜面上の任意
の点はL2方向に移動量W2だけ移動し、また、第二傾
斜面上の任意の点は、L1方向に移動量W1だけ移動す
る。
【0009】したがって、 tan-1(W2/W1)=tan-1(L2/L1)=θ となるため、ベースプレートが熱膨張した際、第一,第
二傾斜面上の任意の点はそれぞれ傾斜角度θの同一直線
上に移動することになる。すなわち、第一傾斜面と第二
傾斜面とは、常温時と同じ状態で当接しつつ、互いに摺
動しながら移動する。したがって、熱膨張により、第一
セラミック板と第二セラミック板とが互いに離間する方
向へ移動しても、第一傾斜面の一部と第二傾斜面の一部
とが当接しているため、第一傾斜面と第二傾斜面との間
に隙間が生じることはない。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図8に基づ
いて説明する。図1において、被制御流体1は粉粒体を
含んだ高温流体であり、スライド弁7の弁箱2は被制御
流体1の流路を形成している。また、弁箱2の内部には
弁座3が形成されており、弁座3にて形成される流路
(ポート)を開閉する弁体4が弁座3の下流側に位置し
て配置されている。
【0011】この弁体4は弁体4の両側に位置して弁箱
2に設けたガイド5に両側部を摺動自在に支持されてお
り、弁体4はガイド5に案内されて弁座3の流路を横断
する方向に出退する。このため、弁体4の出退によって
被制御流体1の流量が制御される。また、弁体4は耐熱
鋼製のベースプレート8で形成されている。そして、弁
座3と弁体4の間をシールするシートリング6が弁座3
にボルトで固定されており、シートリング6は弁体4に
対して摺接している。そして、弁箱蓋(図示せず)を貫
通して弁箱2の内部に挿入された弁棒9が弁体4の基端
部に連結されており、弁棒9は弁箱蓋(図示せず)に摺
動自在に支持されている。
【0012】さらに、弁箱2の内面にはステンレス材で
形成されて六角形の網目状をなすヘクスチール12が溶接
固定されており、ヘクスチール12の網目には耐摩耗性の
ライニング材13が充填されている。
【0013】そして、図2〜図4に示すように、弁体4
は複数のセラミック板14で覆われている。これらセラミ
ック板14はチッ化ケイ素などで形成され、耐摩耗性に優
れている。また、弁体4の、セラミック板14に覆われて
いない部分にはヘクスチール12が溶接固定されており、
ヘクスチール12の網目には耐摩耗性のライニング材13が
充填されている。
【0014】上記セラミック板14のうち、第一セラミッ
ク板14Aが弁体4の上流側平面10の先端部に設けられ、
第二セラミック板14Bが弁体4の端面11に設けられてい
る。図5,図6に示すように、第一セラミック板14Aと
第二セラミック板14Bとは、それぞれ隣接して配置され
ており、第一セラミック板14A側の隣接面を第一傾斜面
15Aとし、第二セラミック板14B側の隣接面を第二傾斜
面15Bとして形成している。第一傾斜面15Aは、第二傾
斜面15Bに当接して、第二傾斜面15Bを覆っている。
【0015】第一セラミック板14Aと第二セラミック板
14Bとを含む各セラミック板14は、それぞれセラミック
ピン17を介して、弁体4のベースプレート8に連結され
ている。セラミックピン17の下端部外周面には周方向の
溝部18が形成され、セラミックピン17の上端にはピンの
胴径より大径な頭部19が形成されている。
【0016】セラミックピン17には、金属リング20が外
嵌装着されている。この金属リング20の上面はセラミッ
クピン17の頭部19下面に当接離間自在であり、金属リン
グ20の外周面には下すぼみのテーパ面21が形成されてい
る。また、セラミックピン17の下部には、金属製の、円
筒状をした保持器22が外嵌装着されている。これら保持
器22は軸方向に二つ割りに構成されており、保持器22の
内周面には、上記セラミックピン17に形成された溝部18
に係脱自在な凸部23が周方向に形成されている。
【0017】上記第一,第二セラミック板14A,14Bを
含む各セラミック板14にはピン孔24が形成され、このピ
ン孔24の上部に、セラミックピン17の頭部19が嵌脱自在
に嵌入され、ピン孔24の下部に形成されたテーパ面25
に、上記金属リング20のテーパ面21が当接している。ベ
ースプレート8には、上記ピン孔24に対応するピン保持
孔26が形成され、このピン保持孔26には、セラミックピ
ン17に装着された保持器22が挿通されている。保持器22
の下端は溶接によってベースプレート8に固着されてい
る。これにより、セラミックピン17は、ベースプレート
8に固定され、第一,第二セラミック板14A,14Bを含
む各セラミック板14をベースプレート8に連結してい
る。
【0018】第一セラミック板14Aを連結するセラミッ
クピン17の軸心から弁体4を形成するベースプレート8
の端面11までの距離をL1とし、第二セラミック板14B
を連結するセラミックピン17の軸心から上記ベースプレ
ート8の上流側平面10までの距離をL2とすると、上記
第一傾斜面15Aならびに第二傾斜面15Bの傾斜角度θ
は、θ=tan-1(L2/L1)となるように設定され
ている。
【0019】以下、上記構成における作用を説明する。
第一セラミック板14Aおよび第二セラミック板14Bは、
第一傾斜面15Aと第二傾斜面15Bとを当接させた状態
で、それぞれセラミックピン17によって、弁体4の上流
側平面10の縁端部および端面11に取り付けられている。
【0020】弁棒9の操作によって弁体4は出退し、弁
座3における流路が拡縮されて被制御流体1の流量が制
御される。このとき、高温の流体が流れるため、弁体4
の温度は常温から高温へと変化する。これにより、金属
材であるベースプレート8が熱膨張する。すなわち、図
7,図8に示すように、このときのベースプレート8
の、L1方向の膨張量をW1とし、L2方向の膨張量を
W2とし、そして、第一セラミック板14Aおよび第二セ
ラミック板14B自身の熱膨張量は金属製ベースプレート
8の上記熱膨張量W1,W2に比べて微小であるため無
視する。これにより、第一傾斜面15A上の任意の点Aは
L2方向に移動量W2だけ移動して点A’に変移し、ま
た、第二傾斜面15B上の、上記点Aに合致する任意の点
Bは、L1方向に移動量W1だけ移動して点B’に変移
する。
【0021】ここで、上記金属製ベースプレート8の線
膨張係数をαとすると、 W1=α・L1 W2=α・L2 となる。 したがって、 tan-1(W2/W1)=tan-1[(α・L2)/(α・L1)] =tan-1(L2/L1) =θ となる。
【0022】このように、上記点A’と点B’とを通る
直線Tの傾斜角度は、第一傾斜面15Aならびに第二傾斜
面15Bの傾斜角度と同じ値(θ)となるため、第一傾斜
面15Aと第二傾斜面15Bとは、常温時と同じ状態で当接
しつつ、互いに摺動しながら移動する。したがって、熱
膨張により、第一セラミック板14Aと第二セラミック板
14Bとが互いに離間する方向へ移動しても、第一傾斜面
15Aの一部と第二傾斜面15Bの一部とが当接しているた
め、第一傾斜面15Aと第二傾斜面15Bとの間に隙間が生
じることはない。
【0023】また、金属リング20が軸方向および径方向
に熱膨張し、かつ保持器22がベースプレート8とともに
軸方向に熱膨張することにより、第一セラミック板14A
および第二セラミック板14Bを含む各セラミック板14
は、ベースプレート8の上流側平面10および端面11に圧
接される。
【0024】上記実施例では、セラミックピン17を各セ
ラミック板14,14A,14Bに嵌脱自在に設けたが、これ
は、セラミックピン17を各セラミック板14,14A,14B
に一体成形したものでもよい。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、第二セラ
ミック板の第二傾斜面を、第一セラミック板の第一傾斜
面で覆って当接させ、これら両傾斜面を弁体のベースプ
レートの上流側平面から端面の側へ傾斜させ、第一セラ
ミック板を連結するセラミックピンから弁体のベースプ
レートの端面までの距離をL1とし、第二セラミック板
を連結するセラミックピンから弁体のベースプレートの
上流側平面までの距離をL2としたときに、上記第一傾
斜面ならびに第二傾斜面の傾斜角度θを、θ=tan-1
(L2/L1)となるように設定したことによって、ベ
ースプレートが熱膨張した際、第一,第二傾斜面上の任
意の点はそれぞれ傾斜角度θの同一直線上に移動するこ
とになる。
【0026】すなわち、第一傾斜面と第二傾斜面とは、
常温時と同じ状態で当接しつつ、互いに摺動しながら移
動していく。したがって、熱膨張により、第一セラミッ
ク板と第二セラミック板とが互いに離間する方向へ移動
しても、第一傾斜面の一部と第二傾斜面の一部とが当接
しているため、第一傾斜面と第二傾斜面との間に隙間が
生じることはない。
【0027】これにより、被制御流体中の粉粒体が第一
セラミック板と第二セラミック板との間に侵入すること
は完全に防止できるため、弁体の温度が低下して常温に
戻ったときに、隙間に侵入していた粉粒体によって第
一,第二セラミック板に大きな応力が発生して第一,第
二セラミック板が破損するといった不具合は、防止され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるスライド弁の一部切
り欠き斜視図である。
【図2】同スライド弁の弁体の斜視図である。
【図3】図2におけるA矢視図である。
【図4】図2におけるB矢視図である。
【図5】図3におけるC−C矢視図である。
【図6】図3におけるD−D矢視図である。
【図7】同実施例において、弁体が熱膨張したときのセ
ラミック板の動きを示す断面図である。
【図8】図7における要部の拡大図である。
【図9】従来例におけるスライド弁の弁体の斜視図であ
る。
【図10】図9におけるT−T矢視図である。
【図11】図9におけるU−U矢視図である。
【符号の説明】
1 被制御流体 2 弁箱 4 弁体 7 スライド弁 8 ベースプレート 10 上流側平面 11 端面 14A 第一セラミック板 14B 第二セラミック板 15A 第一傾斜面 15B 第二傾斜面 17 セラミックピン L1 距離 L2 距離 θ 傾斜角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16K 3/02 F16K 3/314

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉粒体を含む高温の被制御流体の流路を
    なす弁箱と、弁箱に摺動自在に支持して設けられ、弁箱
    内部の流路を横断する方向に出退して被制御流体の流量
    を制御する弁体とを備えたスライド弁において、上記弁
    体を金属製のベースプレートで形成し、この弁体の上流
    側平面の縁端部に第一セラミック板を設け、これら第一
    セラミック板に隣接する第二セラミック板を弁体の端面
    に設け、上記第一セラミック板と第二セラミック板との
    一対の隣接面のうち、上記第一セラミック板側の隣接面
    を第一傾斜面に形成し、上記第二セラミック板側の隣接
    面を第二傾斜面に形成し、上記第二傾斜面上記第一傾
    斜面で覆われて第一傾斜面に当接しており、これら両傾
    斜面を弁体のベースプレートの上流側平面から端面の側
    へ傾斜させ、上記第一セラミック板および第二セラミッ
    ク板をそれぞれ弁体に連結するセラミックピンを設け、
    上記第一セラミック板を連結するセラミックピンから上
    記弁体のベースプレートの端面までの距離をL1とし、
    上記第二セラミック板を連結するセラミックピンから上
    記弁体のベースプレートの上流側平面までの距離をL2
    としたときに、上記第一傾斜面ならびに第二傾斜面の傾
    斜角度θを、θ=tan-1(L2/L1)となるように
    設定したことを特徴とする高温用スライド弁。
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