JP2756225B2 - 可食性ゲルの製造方法 - Google Patents

可食性ゲルの製造方法

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JP2756225B2 JP5230575A JP23057593A JP2756225B2 JP 2756225 B2 JP2756225 B2 JP 2756225B2 JP 5230575 A JP5230575 A JP 5230575A JP 23057593 A JP23057593 A JP 23057593A JP 2756225 B2 JP2756225 B2 JP 2756225B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は可食性微生物セルロース
の製造方法、特に、酸化還元電位を調整した培地を用い
ることを特徴とする、可食性微生物セルロースゲルの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アセトバクター (Acetobacte
r)属に属する酢酸菌によって生成された微生物セルロー
スを主成分とするゲルとして、フィリピンの伝統食品の
一つである、ココナツを原料として作られたコンニャク
様のゲル状を呈し、独特の食感を有する「ナタ」と称す
る発酵食品が知られている。
【0003】「ナタ」は原料によっていくつかの種類に
分類され、すなわち、「ココナツ」を原料としたものを
『ナタデココ』、パイナップルを原料としたものを『ナ
タデピニャ』とされている。 また、工業的に生産され
る例は少ないものの、他の果実類からでもナタの生産は
可能である旨の報告(例えば、Philip. Agric., vol.4
5, pp.490-516 (1962)を参照のこと) もある。
【0004】そして、ココナツを原料とした場合のセル
ロースゲルの一般的な製造方法は、まず、ココナツの果
肉を擦潰し、この擦潰した果肉を水で抽出して得たミル
クあるいはココナツ水に砂糖、リン酸アンモニウム、酢
酸等を加え、あらかじめ前培養した酢酸菌を接種して、
約30℃で培養を行う。 これにより、培養液表面に酢酸
菌の厚い菌膜(ナタ)が生成し、次いで、生成したナタ
を回収し、付着した培地を洗浄・除去した後、適当な大
きさに切断して、シロップ漬にする。 この方法により
得られたナタは、独特の弾力のあるテクスチャーを呈
し、デザート、フルーツカクテル、フルーツサラダなど
の材料として使用される。
【0005】このナタを生成する酢酸菌が、アセトバク
ター・キシリナム(Acetobacterxylinum)であること
は、すでに明らかにされており(Philip. Agric., vol.
51,pp.462-474 (1967); Philip. Jour. Sci., vol.96,
pp.91-109 (1967) を参照のこと)、また、生成される
菌膜(ナタ)がセルロースを主成分とするものであり
(Philip. Agric., vol.51, pp.475-485 (1967))、アセ
トバクター・キシリナムが菌体外に分泌したセルロース
は、網目構造を構成し、その間隙に多量の水分を保持す
ることによってゲル状の外観を呈している。
【0006】また、ナタの研究とは別に、酢酸菌を用い
たセルロースの生産については古くから研究が行われて
おり、酢酸菌の分泌するセルロースが、リグニンやヘミ
セルロースを含まない高純度のセルロースであり、その
緻密な網目構造、高弾性、高結晶性、高保水性などの物
理的特性が確認されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したこれら物理的
諸性質が、ナタ独特の食感の形成に大きく関与している
と考えられているものの、現在採用されているナタの生
産方法によると、最終生成物たるナタの食感を調整する
ことはおろか、生産環境による影響を非常に受けやす
く、安定した品質の製品を供給することが困難である。
【0008】また、食品素材としての微生物セルロース
の食感を調整する技術として、例えば、特開平5−1152
91号公報にて、気相中の酸素分圧を制御しつつ、セルロ
ースを産生する微生物を培養する方法が開示されている
が、製造工程が煩雑で、かつ製造コストが高くつくな
ど、簡便かつ安価に所望の可食性ゲルを製造する方法は
未だ実現されていないのが実情である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した従来
技術における課題に鑑みて発明されたものであり、その
目的とするところは、消費者の嗜好を満足する食感を有
するゲル状の可食性微生物セルロースを、特別な発酵装
置や発酵容器を使用せずに生産でき、それにより安定的
にしかも安価に一定の品質が維持された可食性ゲルの製
造方法を提供することにある。
【0010】すなわち、本発明者らは、酢酸菌が生成す
る可食性微生物セルロースの食品としての最大の特徴で
ある食感を、任意に調整することを可能とする、操作が
簡便で、製造コストが低廉な可食性ゲルの製造方法につ
いて鋭意検討を重ねた結果、セルロース産生能を有した
酢酸菌を、酸化還元電位が適切に調整された培地中で静
置培養し、培養液表面に可食性セルロース厚膜を生成せ
しめることにより、所望の食感を有した可食性ゲルを得
ることができるとの知見を得るに至り、本発明は、この
知見に基づいて完成されたものである。
【0011】本発明において適用可能なセルロース産生
能を有した酢酸菌は、培養液表面にセルロース厚膜を形
成するものであればいずれでも良く、例えば、アセトバ
クター・キシリナム(Acetobacter xylinum) に属する菌
株、特に、本発明者らが検索した Acetobacter xylinum
FF-88の他、 Acetobacter xylinum (IFO 13773)、Acet
obacter xylinum (IFO 13693) 、 Acetobacter xylinum
(ATCC 11142) 、Acetobacter xylinum (ATCC 10821)な
どの菌株が所望のゲル厚と食感を有する可食性セルロー
スゲルを得る上で好ましい。 なお、前記 Acetobacter
xylinumFF-88は、平成5年9月10日に、本願出願人に
よって、茨城県つくば市東町1丁目1番3号に所在の通
商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にて寄託さ
れ、受託番号 FERM BP-4407 が付与されている。
【0012】本発明の方法によると、培地表面にセルロ
ース状のゲルが生成される。 このゲルは、菌株の特性
や培地に用いた栄養源および種々の培養条件等によりそ
の組成に若干の相違が認められるものの、概ね、数パー
セントの固形物と残りの大部分を水分が占める。 ま
た、この生成されたゲルを2%水酸化ナトリウムで 100
℃、20分間の条件下で処理して菌体や培地成分を除去し
た後に中和して得られた精製ゲル固形物が、その生成培
地の構成・種類が異なっていても、酸加水分解およびセ
ルラーゼで酵素分解した場合、その大部分がグルコース
として検出されることから、ゲルの主成分はセルロース
であると考えられる。
【0013】上述したセルロース産生能を有した酢酸菌
を用いてゲル状の可食性微生物セルロースを産生せしめ
る目的で、炭素源、窒素源、無機塩類、および有機微量
栄養素を含んだ通常の栄養培地、および果汁または野菜
エキス等を含有した培地を用いることができる。 この
場合、炭素源としては、グルコース、シュクロース、ガ
ラクトース、マンニトール、ソルビトール、マルトー
ス、ラクトース、アラビノース、フルクトース等の糖類
が、また、栄養培地における窒素源としては、アミノ酸
類、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、酵母エキス、ペ
プトン等が利用できる。 なお、培養温度としては、
20℃から40℃、好ましくは25℃から35℃、また、pHは1
から8、好ましくは2から6で静置培養をするのが、良
好なゲルを得る上で好ましい。
【0014】先に述べてきたように、本発明の製造方法
によると、酸化還元電位が調整された培地を用いて、セ
ルロース産生能を有した酢酸菌を培養してゲル状の微生
物セルロースを生産せしめるものである。
【0015】培地の酸化還元電位を調整する方法は、特
に限定されるものではないが、培地固有の酸化還元電位
を考慮して培地の選択を行うことに加えて、嫌気性菌を
培養する際に用いられる酸化還元調整剤を培地に添加す
ることによって、その酸化還元電位を容易に調整でき
る。 本発明の方法に適用可能な酸化還元調整剤として
は、一般に入手可能な酸化還元調整剤、例えば、チオグ
リコール酸およびその塩類、DLまたはL−システイン
塩酸塩およびその水和物、L−シスチン、チオール複合
体、ジチオトレイトール、グルタチオン還元型、肉片、
肉汁、肝片および肝ブイヨン等が使用できる。
【0016】また、可食性ゲルを培養生成する場合、酸
化還元電位の高い培地ほど軟弱なゲルが生成される傾向
のあることが、後述する実施例の試験結果から明らかで
あるが、前記した培地に先に述べた酸化還元調整剤を添
加して酸化還元電位を低下させると、ある一定の濃度ま
では酸化還元調整剤の添加量に比例して歯ごたえのある
固いゲルが得られる。
【0017】一般に、好気性菌を培養する場合は、初発
の培養液の酸化還元電位は、+300〜+350(mV) 、また
嫌気性菌を培養する場合は、−150 〜−200(mV) が最適
とされている(「食品衛生研究」、第35巻、第 659〜67
8 頁、1985年) が、食品としての使用に耐え得る食感の
良いゲルを得るための好適な酸化還元電位は、使用する
菌株によって若干の相違があるが、−50〜+ 250(mV)、
好ましくは0〜+ 200(mV)の範囲であることが、本願実
施例の開示からして明白である。
【0018】なお、本明細書で言う「酸化還元電位」と
は、特に言及しない限り、使用した培養液を25℃、pH7
の状態下に、下記数式を用いて換算した値(以下、「Eh
7 」と称する) を指す。
【0019】
【数1】
【0020】このように、生成するゲル状微生物セルロ
ースの固さを、使用目的、製品用途に応じて調節可能に
したことは、ゲル状微生物セルロースの工業的規模にお
ける生産への途を開くものであるが、その一方で、過剰
な酸化還元調整剤の添加が、酢酸菌の増殖を阻害し、そ
れに伴ってゲルの生成を著しく阻害することを併せて留
意しなければならない。
【0021】酢酸菌は絶対好気性菌であるため、静置培
養を行うと気液界面にゲル状の厚膜微生物セルロースを
形成するが、本発明においてはさらに、培地の酸化還元
電位を調整することによって、酢酸菌によって生成され
るゲルの食感を調整し、具体的には、培養環境をやや還
元的な状態にすることによって、歯ごたえのある硬さを
呈するゲルを得るものである。 そして、本発明の方法
による培養を経て培養液表面に生成されたセルロース厚
膜は、培養液から採取された後、通常は流水または繰り
返し水さらしを行って付着した培地を除去する。 ま
た、必要に応じてアルカリ、酸、有機溶剤、界面活性剤
等でさらに洗浄することもできる。 このようにして、
付着した培地が除去された微生物セルロース厚膜は、糖
液等の調味料に含浸させて、食用に供することができ
る。
【0022】
【実施例】以下に、本発明の実施例につき説明するが、
以下の開示は例示目的のものであり、本発明を限定する
旨に解釈すべきではない。
【0023】実施例1 ココナッツミルク10%、グルコース10%にリン酸を入れ
て、pHを3.15に調整した培地に、0%、 0.00001%、
0.00005%、0.0005%、0.0012%、 0.004%、0.006%、
0.007%、 0.009%、0.05%、0.07%、0.1 %になるよ
うに、チオグリコール酸ナトリウムを添加し、培地pHを
最終的に 3.15 に調整した。 20×25×8(cm)のステン
レス製容器に培養液を各々1500mlずつ入れ、 121℃、15
分間殺菌を行った。
【0024】次に、チオグリコール酸ナトリウム無添加
の上記組成を有する培地で、5日間静置培養を行った5
%の Acetobacter xylinum FF-88 (FERM BP-4407) 菌体
懸濁液を、前記殺菌済培養液に各々接種し、30℃にて静
置培養を行った。 接種して7日後、各培地にて生成し
たゲルの重量、およびゲルの最大破断荷重を測定すると
共に、その食感についても評価した。
【0025】その結果を、下記表1に示した。
【0026】なお、酸化還元電位の測定は、ホリバ複合
電極(「6861-10C」:株式会社掘場製作所製)を用い、
培養液を25℃、pH7の状態下に、下記数式を用いて換算
した値(Eh7) で表示した。
【0027】
【数2】
【0028】また、ゲルの固さは、レオメーター(「R-
UDJ-DM II 型」、サン科学株式会社製) を用いて、感圧
軸を「圧縮切断−進入度」とし、針入突刺試験にて測定
した。 その際の測定条件は、試験速度:200mm/min、測
定時間: 15秒、試験荷重:2000g、アダプター針直径:
2mmであった。 そして、表1の食感評価の欄に用いら
れている符号は、下記の評価を意味するものである。
【0029】A ……… 非常に硬い B ……… やや硬い C ……… 普通 D ……… やや柔らかい E ……… 非常に柔らかい − ……… 評価不能
【0030】
【表1】
【0031】これと同時に、生成したゲルの乾物重量
(%) およびアルカリ処理後ゲル乾物重量(%) を測定し
た。 すなわち、ゲル中の乾物重量(%) は、ゲルを水で
十分洗浄した後、 105℃で恒量になるまで乾燥した重量
をゲルの重量で割った値で示し、また、ゲル中のアルカ
リ処理後ゲル乾物重量(%) は、ゲル乾物重量を求めた後
のサンプルを 120℃の2%水酸化ナトリウム溶液中で1
時間洗浄した後、水洗して得られたものを 105℃で恒量
になるまで乾燥した重量をゲルの重量で割った値で示し
た。 その結果を、下記表2に示した。 なお、アルカ
リ処理した後のゲル乾物重量(%) は、一般にセルロース
量と称されている。
【0032】
【表2】
【0033】上記表1および2から明らかな通り、培地
の酸化還元電位を調整することにより、ゲルの固さ加減
を好みの食感に調整できることが認められた。 また、
本実施例にて用いた菌株の場合、初発の酸化還元電位(E
h7) を、+250 〜−50mVに調節した場合、ゲルは硬くな
り、+150 〜+100mV に調節した場合に最も硬くなるこ
とが判明した。 一方で、−150mV 以下では、全くゲル
は生成しなかった。
【0034】また、培地の酸化還元電位を調整すること
により、ゲル乾物重量に対するアルカリ処理後ゲル乾物
重量の割合(%)(B/A)が変わることが判明した。 つま
り、培地の酸化還元調整剤投入量を増加させ、酸化還元
電位を低下させた場合、+100mV まではゲル中の乾物重
量(%) が減少し、ゲル乾物重量に対するアルカリ処理後
ゲル乾物重量の割合(%)(B/A)が増加していたが、それ
以上の酸化還元調整剤の投入は、逆にゲル中の乾物重量
を増加させ、ゲル乾物重量に対するアルカリ処理後ゲル
乾物重量の割合(%)(B/A)の減少を招くものであった。
食感の評価は、酸化還元電位が、+100mV までは段階
的に硬くなることから、ゲル乾物重量に対するアルカリ
処理後ゲル乾物重量の割合(%)(B/A)の増加と食感評価
によるゲルの硬さには連関があるものと認められた。
【0035】実施例2 ショ糖10%、酵母エキスD-3(日本製薬株式会社) 0.25
%、(NH4)2SO4 0.06%、K2HPO4 0.5%、 MgSO4・7H2O
0.02%、酢酸2%(pH 3.60) を含む培地を、15×20×10
cmのステンレス製容器に、1200mlずつ分注し、 121℃
で、15分間滅菌を行った。 また、別途に、チオグリコ
ール酸ナトリウム、L-システイン塩酸塩一水和物(濾過
滅菌)、L-シスチン、ジチオトレイトール、グルタチオ
ン(還元型)をそれぞれ滅菌し、前述した培地各々に添
加した。 なお、培地の最終pHは、3.60に調整した。
【0036】この調整済培地に、酸化還元調整剤無添加
の上記組成の培地で10日間静置培養したAcetobacter xy
linum (ATCC 11142)の10%菌体懸濁液を、前記培地各々
に植菌し、28℃で静置培養を行った。 植菌してから14
日後に生成したゲルの重量、ゲルの固さの測定と生成ゲ
ルの食感評価を行い、その結果を下記表3に示した。な
お、ゲル重量、ゲルの固さ、および酸化還元電位の測定
および食感評価の等級は、実施例1に記載の方法に準じ
た。
【0037】
【表3】
【0038】上記表3から、チオグリコール酸ナトリウ
ム以外の酸化還元調整剤によっても、所望のゲルの固さ
が得られ、本発明の製造方法への適用において有効であ
ることが認められた。
【0039】実施例3 実施例2に記載の培地と同じ組成からなる培地各々に、
下記の各エキス(〜:各5%濃度)、生肉(およ
び:各1%濃度)をそれぞれ加えた。
【0040】:牛肉エキス; 牛もも肉を5mm角に切
断し、5倍量の水を加え、 100℃で30分間加熱した後、
濾過して得られた濾液。
【0041】:豚肉エキス; 豚のロース肉を5mm角
に切断し、上記と同様の処理を行って得られた濾液。
【0042】:牛肝臓エキス; 牛肝臓を5mmに切断
し、上記と同様の処理を行って得られた濾液。
【0043】:鶏肝臓エキス; 鶏肝臓を5mmに切断
し、上記と同様の処理を行って得られた濾液。
【0044】:牛肝臓; 牛肝臓を5mmに切断したも
の。
【0045】:鶏肝臓; 鶏肝臓を5mmに切断したも
の。
【0046】15×20×9cmのステンレス製容器それぞれ
に、各培地を 800ml入れ、 120℃で、30分間殺菌を行っ
た。 実施例2に記載の方法に従って別途に、静置培養
を行った Acetobacter xylinum (ATCC 11142) の20%菌
体懸濁液を、前記培地各々に植菌し、25℃で静置培養を
行った。 植菌してから30日後に生成したゲルの重量、
ゲルの固さの測定と生成ゲルの食感評価を行い、その結
果を下記表4に示した。 なお、ゲル重量、ゲルの固
さ、および酸化還元電位の測定および食感評価の等級
は、実施例1に記載の方法に準じた。
【0047】
【表4】
【0048】この表に示された結果から、酸化還元調整
剤を本質的に含んだ天然物を使用しても、所望のゲル性
状を備えたゲルが得られることが認められた。
【0049】実施例4 ショ糖5%、K2HPO4 0.3%、 MgSO4・7H2O 0.05%、カ
ザミノ酸(ディフコ社製)0.8%を含む培地を乳酸でpHを
3.35に調整し、23×30×10cmのステンレス製容器に2000
mlを入れ、 121℃で、15分間殺菌を行った。 その培地
に、濾過滅菌しておいたL−システイン塩酸塩一水和物
0.001%を加えた培地(A) 、および該L−システイン塩
酸塩一水和物 0.001%を加えなかった培地(B) をそれぞ
れ準備し、それぞれのEh7 を測定したところ、培地(B)
は+284mV 、培地(A) は+150mVの数値を示した。
【0050】上記培地(B) で、Acetobacter xylinum (I
FO 13773) 、Acetobacter xylinum(ATCC 11172)、Aceto
bacter xylinum (IFO 13693) 、Acetobacter xylinum(A
TCC 10821)をそれぞれ、5日間、25℃で培養しておいた
菌体懸濁液の各々15%を、上記培地(A) および培地(B)
に接種し、25℃にて静置培養を行った。 植菌してから
20日後に生成したゲルの重量、ゲルの固さの測定と生成
ゲルの食感評価を行い、その結果を下記表5に示した。
なお、ゲル重量、ゲルの固さ、および酸化還元電位の
測定および食感評価の等級は、実施例1に記載の方法に
準じた。
【0051】
【表5】
【0052】表5の結果より、Acetobacter xylinum FF
-88 (FERM BP-4407)や Acetobacterxylinum (IFO 1114
2)以外でも、本発明の方法を適用すると所望のゲルが生
成可能であり、これら菌株でも本発明の方法に適用する
ことの有効性が認められた。
【0053】実施例5 実施例1で作成した下記の5種類ゲルを1cm角のサイコ
ロ状と2mm角の長さ20cmの素麺状にそれぞれ切断し、流
水中で2日間水洗し、完全に培地が抜けたことを確認し
た後、60%砂糖水に浸漬し、80℃まで加熱後冷却する操
作をを2回繰り返してから、糖を含浸させた。 得られ
た調製物を原料に、みつ豆と葛きりを試作し、20代と40
代の女性各20人ずつで官能検査を実施した。
【0054】試料1: 酸化還元調整剤無添加で生成し
たゲル。
【0055】試料2: 酸化還元電位+200mVの条件下で
生成したゲル。
【0056】試料3: 酸化還元電位+150mVの条件下で
生成したゲル。
【0057】試料4: 酸化還元電位+100mVの条件下で
生成したゲル。
【0058】試料5: 酸化還元電位 +50mVの条件下で
生成したゲル。
【0059】官能試験の結果を、みつ豆に関しては表6
に、葛きりに関しては表7にそれぞれ示した。
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】上記表6および7に示した結果から明らか
なように、20代女性の場合みつ豆では最大破断荷重3820
g、葛きりでは3380g程度のものが好まれることから、
食品によりゲルの最適硬度が異なることが判明した。
【0063】また、40代女性については、全体的に20代
女性よりやや柔らかいものを好む傾向にあることも観察
された。
【0064】本実施例により、このような消費者の年齢
層の相違に基づく嗜好の差を加味して、酸化還元電位を
適宜変動させて、相応の年齢層に適切なゲルの固さを有
する可食性ゲルの製造に本発明の方法が応用できること
が十分期待できる。
【0065】
【発明の効果】上述したように、本発明によると、酸化
還元調整剤の種類およびその添加量の加減によりゲルの
固さを任意に変更することが可能となり、消費者の嗜好
の変化にも十分対応できるのみならず、酸化還元電位を
指標として、一定の品質のナタを工業的に迅速に大量生
産できるなど、産業上極めて有用な可食性ゲルの製造方
法を実現するという作用効果を奏するものである。
【0066】

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可食性ゲルの製造方法であって、下記工
    程、すなわち; (a) 酸化還元電位を調整した培地にセルロース産生能を
    有する酢酸菌を植菌して、静置培養し、および(b) 前記
    静置培養の培地表面に生成した可食性ゲルを回収する、 ことを特徴とする可食性ゲルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記培地が、酸化還元調整剤を含む請求
    項1に記載の可食性ゲルの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記酸化還元調整剤が、チオグリコール
    酸、チオグリコール酸の塩類、DLまたはL−システイ
    ン塩酸塩、DLまたはL−システイン塩酸塩の水和物、
    L−シスチン、チオール複合体、ジチオトレイトール、
    グルタチオン還元型、肉片、肉汁、肝片、肝ブイヨン等
    からなるグループから選択された1種以上の酸化還元調
    整剤である請求項2に記載の可食性ゲルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記酸化還元電位(Eh7) が、−50〜+25
    0mV である請求項1ないし3のいずれかに記載の可食性
    ゲルの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酢酸菌が、Acetobacter xylinum FF
    -88 (FERM BP-4407)である請求項1ないし4のいずれか
    に記載の可食性ゲルの製造方法。
JP5230575A 1993-09-16 1993-09-16 可食性ゲルの製造方法 Expired - Lifetime JP2756225B2 (ja)

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