JP2747869B2 - ガラス繊維強化シートの製造方法 - Google Patents

ガラス繊維強化シートの製造方法

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JP2747869B2 JP5089495A JP8949593A JP2747869B2 JP 2747869 B2 JP2747869 B2 JP 2747869B2 JP 5089495 A JP5089495 A JP 5089495A JP 8949593 A JP8949593 A JP 8949593A JP 2747869 B2 JP2747869 B2 JP 2747869B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた外観、表面の耐
傷付性、低反り性、落錘衝撃強度を有する成形品を得る
ことのできるガラス繊維強化シートを容易に製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス長繊維補強材にポリプロピレン、
ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂を含浸さ
せたガラス繊維強化シート、いわゆるスタンパブルシー
トは、強度、剛性、耐熱性に優れ、しかも従来のガラス
短繊維による補強品と比べて耐衝撃性が高く、また金属
材料と比べて軽量性に優れるうえ、加工工数も少なくて
すむことから、自動車用などの各種構造部品で金属代替
物としての応用が進んでいる。
【0003】ガラス繊維強化シートは、一般に、連続繊
維のランダムマットやチョップドストランドマットなど
の補強繊維マットとシート状に押出した溶融樹脂をラミ
ネートし加熱圧着する方法、または、ガラス繊維チョッ
プドストランドと樹脂パウダーとを水中でスラリー状に
して混合したのち、紙抄きの要領で脱水、乾燥して加熱
圧着する方法により製造されている。前者はラミネート
法、後者は抄紙法と呼ばれている。このガラス繊維強化
シートの成形は、成形する製品の重量や形状に合わせた
所定の寸法に裁断し、赤外線ヒーターなどの加熱装置で
両面より樹脂の融点付近の温度に、もしくは融点以上の
温度に加熱したのち、金型によって賦形する方法で行わ
れる。
【0004】ところが、このガラス繊維強化シートおよ
びその成形品は、表面に露出した繊維のために外観が非
常に悪く、また、落錘衝撃強度がいまだ不充分で、衝撃
をうけたとき表面にクラックが入りやすいという欠点を
有しており、その用途は限定されているのが実状であ
る。さらに、このガラス繊維強化シートは、かさ高で反
発弾性の大きいガラス長繊維により強化されているた
め、成形の際、樹脂の融点以上の温度に加熱された場合
には、樹脂による包囲力が弱まって繊維がスプリングバ
ックを起こし、シートが膨張して繊維が表面から突出す
るという現象が起こる。次いで金型に移される間に、突
出した繊維とシート表面は冷え始めてしまうため、賦形
の際、一旦突出した繊維は再び完全に元と同じように
は、樹脂で覆われることができないうえ、加圧による折
れも生ずる。この樹脂で覆われ得なかった繊維や折れた
繊維の端部は、成形品外観をより一層悪化させる原因と
なっている。繊維の突出は、ラミネート法により製造さ
れたガラス繊維強化シートの場合に特に顕著である。
【0005】外観の改良された成形品を得るために、特
定深さのシボを設けた成形金型により成形するという方
法(特公平3-17653 )や、特定含有量の結晶化促進剤を
配合したポリエチレンテレフタレート系樹脂をマトリク
スとするガラス繊維強化シート(特公平3-47294 )が提
案されている。また、融点以上に加熱した際のガラス繊
維の突出を押さえるため、ガラス繊維強化シートを特定
被覆材にて被覆した状態で加熱し、樹脂軟化後、被覆材
を剥離除去して成形する方法が提案されている(特開平
3-104612)。さらには、非連続の強化繊維を、中心から
表面に向かって集束本数の多い繊維層から少ない繊維層
へと連続的に変化する傾斜的構造をもって分散させたガ
ラス繊維強化シートもまた提案されている(特開平3-47
740 )。しかしながら、いずれも外観の充分な改良には
至っていないばかりか、落錘衝撃強度はラミネート法や
抄紙法スタンパブルに対して未だ改良されていないのが
現状である。
【0006】抄紙法により製造されたガラス繊維強化シ
ートの加熱圧着前のウエブにカーボンブラックや熱可塑
性樹脂などの粒状物質の表面層を接合する方法もまた提
案されている(特開平3-65312 )が、やはり外観の充分
な改良には至っていない。さらに、ガラス繊維強化シー
トよりもガラス繊維充填割合の低いスキン層用シートを
当該シートに重ねて融点以上の温度に加熱、成形する方
法が提案されている(特開平3-115330)。また、金型内
で、非強化熱可塑性樹脂シートもしくはこれをプリフォ
ームしたもの、あるいは熱可塑性樹脂パウダーを、溶融
したガラス長繊維強化シートと重ね、当該シートの熱に
よりこれらを一旦溶融させながら、成形固化する方法も
提案されている(特開平3-99812 )。また、外観や機械
的強度を改良するために特定組成物のスキン層シートを
加熱接合したガラス繊維強化シートが提案されている
(特開平3-138146)。
【0007】ところが、これらの方法ではいずれも、ス
キン層用シートをガラス繊維強化シートと別に製造、裁
断、もしくはさらにプリフォームしなければならず、あ
るいは樹脂パウダーを使用する場合には取扱い性が悪く
なり、工程が煩雑とならざるを得ない。しかも、コア層
としてラミネート法により製造されたガラス繊維強化シ
ートを使用し、これを融点以上に加熱した場合には、ガ
ラス繊維がスキン層を通して突出し、成形品外観が悪化
するという問題のあることが判明した。
【0008】また、本発明者らは、ガラス繊維強化シー
トの落錘衝撃強度を改善する手段を鋭意検討した結果、
スキン層を設けることで、コア層に微細なクラックが入
っても表面には到達せず実用上何らさしつかえないこ
と、ことにスキン/コア/スキンのサンドイッチ構造と
した場合には、中心層がクッション層となるため一層そ
の効果が高いことを見出し、下記の発明に到達した。す
なわち、ガラス長繊維強化熱可塑性樹脂ペレット(以
下、LFTPと省略することがある)と、繊維状フィラ
ーを含まない熱可塑性樹脂とで特定の厚みの比率になる
ように多層押出成形することを特徴とするガラス繊維強
化シート製造方法を提案した(特願平3-337752)。この
方法によれば、融点以上に加熱成形加工してもガラス繊
維の突出がなく、きわめて優れた外観を有し、かつ落錘
衝撃強度が改良された成形品を得ることのできるガラス
繊維強化シートを容易に製造することが可能である。し
かしながら、LFTPを押出成形することによって製造
するために異方性が生ずることが避けられず、この異方
性のために成形品において反りが発生するという問題の
あること、および、フィラーを含まない熱可塑性樹脂を
スキン層としているために表面の耐傷付性が劣るという
問題のあることが判明した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、融点以
上に加熱成形加工してもガラス繊維の突出がなく、きわ
めて優れた外観、表面の耐傷付性、および低反り性を有
し、かつ落錘衝撃強度が改良された成形品を得ることの
できるガラス繊維強化シートを容易に製造する方法の開
発が望まれていながら、いまだ充分に満足なものが提供
されていない。従って、本発明の目的は、上述のごとく
優れた特性を有するガラス繊維強化シートを容易に製造
する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本来、ガラス繊維ロービ
ングに熱可塑性樹脂を含浸させたのち所望の長さに切断
することにより製造されるペレット(LFTP)は、射
出成形用として開発されたものであり、ガラス繊維長は
15mm以下が一般的であった。というのは、射出成形で
は、溶融樹脂をきわめて高速で流動させるため金型のコ
ーナー部などでの衝突によるガラス繊維の折れが著し
く、15mmを越える繊維長のLFTPを用いても無意味だ
からである。
【0011】本発明者らは、このLFTPを押出成形に
用いたところ、ガラス繊維の折れが意外にも少なく、15
mmを越える繊維長のものであっても有効に使用でき、し
かも繊維同士が良くからみあい、スタンパブルシートの
ごとく有用なガラス繊維強化シートを作製できることを
見出した。さらにLFTPをコア層とし、熱可塑性樹脂
と板状フィラーからなる樹脂組成物をスキン層として多
層押出成形を行う方法が本発明の目的の達成に有効であ
ることを見出し、本発明に到達した。
【0012】すなわち本発明は、コア層として下記
(A)を、コア層の片側もしくは両側を覆うスキン層と
して下記(B)を用い、またスキン層の厚みが、片側で
0.5mm以上かつコア層の厚みの20%以上 100%以下に多
層押出成形することを特徴とするガラス繊維強化シート
の製造方法を構成とする。 (A)ガラス繊維ロービングに熱可塑性樹脂を含浸させ
5mm以上30mm以下の長さに切断されたペレット。 (B)50重量%以上95重量%以下の熱可塑性樹脂、およ
び 5重量%以上50重量%以下の板状フィラーからなる熱
可塑性樹脂組成物。
【0013】本発明における(A)のペレットとは、ガ
ラス繊維ロービングに熱可塑性樹脂を含浸させたのち所
望の長さに切断することにより製造されるペレット状材
料を意味する。含浸方法については特に制限はなく、ロ
ービングを樹脂粉体流動床中に通してこれに樹脂粉体を
付着させたのち、樹脂の融点以上に加熱して樹脂を含浸
させる方法(特公昭52-3985)、クロスヘッドダイを用い
てロービングに溶融樹脂を含浸させる方法(特開昭62-6
0625、特開昭63-132036、特開昭63-264326、特開平1-20
8118)、樹脂繊維とガラス繊維ロービングとを混繊した
のち樹脂の融点以上に加熱して樹脂を含浸させる方法
(特開昭61-118235 )など、いずれであってもかまわな
い。
【0014】この(A)のペレットのペレット長は、5
mm以上であり、30mm以下であることが望ましい。5 mm未
満では、落錘衝撃強度などの耐衝撃特性が低下するので
避けるべきである。逆に30mmを越えると、押出成形機へ
のフィードが困難となるため実用的でない。(A)のペ
レットのマトリクスに用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂
であり、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレ
フィン、ポリエチレンテレフタレート、PBTなどのポ
リエステル、6ナイロン、66ナイロンなどのポリアミド
などがなんら制限なく使用できる。
【0015】また、本発明における(B)の熱可塑性樹
脂組成物は、熱可塑性樹脂と板状フィラーとを溶融混練
機等によって均一混合したものであり、通常、成形用材
料として用いられているものがなんら制限なく使用でき
る。(B)の熱可塑性樹脂組成物における板状フィラー
の配合量については 5重量%以上50重量%以下であるこ
とが望ましい。 5重量%未満では、成形品の耐傷付性の
改良効果、および反りの抑制効果が小さく、また50重量
%を越える場合には、表面外観が損なわれるばかりか落
錘強度も低下するため避けるべきである。
【0016】この(B)における熱可塑性樹脂として
は、(A)のペレットに用いられる熱可塑性樹脂が同じ
く制限なく使用可能である。またコア層、スキン層で層
剥離を起こさない充分な接着強度を得るために、(A)
のペレットのマトリクス樹脂と同一かもしくは相溶性の
あるものが好ましい。(B)における板状フィラーにつ
いては、通常、熱可塑性樹脂に配合されるマイカやタル
クなどが幅広く用いられ得る。反りの抑制効果の観点か
ら、フィラーの平均厚みに対する平均粒径の比、すなわ
ち平均アスペクト比が10以上(好ましくは20以上)のも
のを用いるのが望ましい。板状フィラー以外の粒状フィ
ラーや繊維状フィラーを用いた場合には、低反り性につ
いては改良効果がまったく得られない。
【0017】(A)のペレットと(B)の熱可塑性樹脂
組成物による多層押出成形については、2台の押出成形
機と多層ダイスを用いた従来公知の方法をなんら制限な
く用いることができる。ただし(A)のペレットの可塑
化に関しては、ガラス繊維の折れと開繊性のバランスを
考えたうえでスクリュー圧縮比やスクリュー回転数など
の条件を決定すべきである。多層ダイスは二種二層のも
のでも二種三層のものでもどちらでもかまわず、要求さ
れる製品性能により決定される。すなわち、両面で高外
観や高耐衝撃性が要求される場合には二種三層ダイスを
使用することができる。
【0018】本発明のガラス繊維強化シートのスキン層
厚みは、0.5mm 以上でかつコア層の厚みの20%以上 100
%以下である。ここでいう厚みの範囲は、片側のスキン
層に関するものであり、二種三層ダイスを使用した場合
にはそれぞれのスキン層でもこの範囲内でなければなら
ない。0.5mm 未満もしくはコア層の厚みの20%未満であ
る場合には、成形時にガラス繊維が露出して、外観も落
錘衝撃に対するクラックの入りにくさも改善されないば
かりか、反りを抑制する効果が得られないため避けるべ
きである。逆に 100%を越える場合には、落錘衝撃に対
してぜい性破壊を起こしやすくなるため好ましくない。
【0019】(B)の組成物自体は決して落錘衝撃強度
に優れるものではなく、むしろぜい性破壊を起こしやす
いが、本発明の厚みの範囲において多層押出成形するこ
とにより、コア層(A)、スキン層(B)の相乗効果に
よって優れた落錘衝撃強度が得られるのは驚くべきこと
である。さらに特筆すべきは、本発明製造方法によるガ
ラス繊維強化シートは、同じシート厚みを有するスキン
層のないガラス繊維強化シートと比べても、コア層厚み
としては若干薄くなるにもかかわらず落錘衝撃に対する
クラックの入りにくさが改良されているということであ
る。
【0020】本発明により得られたガラス繊維強化シー
トの成形加工は、最終成形品の投影面積と略同じかそれ
以上の大きさのシートを加熱して金型により賦形する方
法、すなわちスタンピング成形や、真空、圧空成形で成
形できる。これら成形加工方法は、樹脂の大きな流動を
伴わなず、最終成形品のスキン層厚みを保持でき外観や
落錘衝撃強度が改良されるため好ましい成形方法であ
る。
【0021】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定され
るものではない。なお、評価方法は次のとおりである。 (1)外観 ガラス繊維強化シートとその成形品につき目視にて観察
した。ガラス繊維の露出がなく外観に優れる場合には
◎、ガラス繊維の露出がきわめて多く外観に劣る場合に
は×、◎と×の中間は、◎に近い方を○、×に近い方を
△の計4段階で判定した。 (2)落錘衝撃強度 ASTM-D-3029 F法に準拠した。成形品の平らな部分より
50mm×50mmの試験片を切り出し、一定高さ方式でスキン
層側より打撃を与え、測定を行った。打撃子は径12.7mm
のもの、試験片支持台は穴径38.1mmのものを使用し、試
験片はクランプせずフリーとした。破壊の判定について
は、試験片の打撃側表面にクラックが生ずるものを破壊
とみなした。
【0022】(3)耐傷付性 JIS K-5400の鉛筆引っかき試験に準拠し、外観が◎〜○
と判定された成形品についてのみ、成形品の平らな部分
より50mm×50mmの試験片を切り出して、測定した。HB以
下の場合には×、Fの場合には△、Hの場合には○、2H
以上の場合には◎と判定した。 (4)反り変形量 成形品を平らな面に置き、1つのコーナー部を押えたと
きに持ち上がる反対側のコーナーの高さを計測した。こ
れをそれぞれ4つのコーナーについて実施し、そのうち
の最大の値をその成形品の反り変形量とした。反り変形
量は、成形品10枚の平均をとった。
【0023】(実施例1)ポリプロピレン樹脂とテック
ス番手2200g/km、平均繊維径23μのガラス繊維ロービン
グとにより、クロスヘッドダイを有する単軸押出機を用
いて引抜成形された、繊維含有量40重量%、ガラス繊維
長が15mmのペレットをコア層とし、また、フィラーとし
て平均粒径 160μ、平均アスペクト比80のマイカを40重
量%配合したポリプロピレン樹脂をスキン層として二種
二層の多層押出成形を行った。コア層、スキン層の厚み
はそれぞれ3mm、1mm(従ってシート厚みは4mm)とな
るよう調整した。得られたガラス繊維強化シートは、ガ
ラス繊維で強化されたコア層がスキン層で均一に覆わ
れ、外観の非常に良好なものであった。このガラス繊維
強化シートは、320mm×320mmに裁断して赤外線ヒーター
により表面温度 220℃に加熱軟化させ、60℃に保たれた
300mm×300mm×高さ30mmの金型2(図1)に載置して成
形品3(図2)を成形した。加熱の際はガラス繊維の突
出もなく、良好な外観を有する成形品を得ることができ
た。成形品の平らな部分からは試験片を切り出し、落錘
衝撃強度や表面の耐傷付性を測定したが、良好であっ
た。以上の結果を表1に示した。
【0024】(比較例1)実施例1で製造したペレット
を単層押出成形し、厚さ4mmのスキン層のないガラス繊
維強化シートを作製した。得られたシートの外観は悪
く、実施例1と同様にして成形と評価を行ったが、成形
品外観も不良で、落錘衝撃に対して表面クラックの入り
やすいものであった。結果は表1に示した。
【0025】(実施例2、比較例2〜3)表1に記載し
たマイカ配合量のポリプロピレン樹脂をスキン層とする
ほかは実施例1と同様にして、二種二層のガラス繊維強
化シートを作製した。シートは、実施例1と同様にして
成形、評価を実施した。結果は同じく表1に示した。実
施例2の本発明によるガラス繊維強化シートは、外観が
良好で、また成形品の外観、落錘衝撃強度、耐傷付性の
いずれも良好であった。比較例2は、フィラーをまった
く含まないポリプロピレン樹脂をスキン層とした例であ
るが、成形品の外観、落錘衝撃強度は改良されているに
もかかわらず、表面の耐傷付性は劣っていた。比較例3
は、スキン層用樹脂のマイカの配合量が多すぎた場合の
例であるが、シートや成形品の外観は悪く、落錘衝撃強
度も改良されなかった。
【0026】(比較例4)平均粒径 5μの炭酸カルシウ
ム(粒状フィラー、表1中「炭カル」と記載)を40重量
%配合したポリプロピレン樹脂をスキン層に用いるほか
は実施例1と同様にして、シートの作製、および成形、
評価を実施した。シートや成形品の外観、落錘衝撃強
度、耐傷付性のいずれも良好であったにもかかわらず、
反り変形はまったく改良されなかった。結果は表1に示
した。
【0027】(比較例5)平均粒径10μのウォラストナ
イト(繊維状フィラー、表中「ウォラスト」と記載)を
40重量%配合したポリプロピレン樹脂をスキン層に用い
るほかは実施例1と同様にして、シートの作製、および
成形、評価を実施した。比較例4と同様、シートや成形
品の外観、落錘衝撃強度、耐傷付性のいずれも良好であ
ったにもかかわらず、反り変形はまったく改良されなか
った。結果は表1に示した。 (比較例6)平均繊維径23μのガラス繊維ケーキをマッ
ト状にしてニードルパンチングしたガラスマットと溶融
ポリプロピレン樹脂とをラミネートし、加熱加圧により
ガラスマットにポリプロピレン樹脂を含浸させて、厚さ
4mm、繊維含有量40wt%のラミネート法スタンパブルシ
ートを調製した。得られたシートは、表面にガラス繊維
が露出し、外観は不良であった。実施例1と同様にして
成形と評価を行ったが、成形品外観も不良で、落錘衝撃
に対して表面クラックの入りやすいものであった。結果
は表2に示した。
【0028】(比較例7)スキン層用として、実施例1
で使用したのと同じ、マイカを40重量%配合したポリプ
ロピレン樹脂を単層押出成形して、厚み 1.5mmのシート
を作製した。一方、コア層用として、厚みを3mmにする
ほかは比較例4と同様にしてラミネート法スタンパブル
シートを作製した。前者を再加熱してこれらシートを融
着させ、スキン層1mm、コア層3mm(従ってシート厚み
は4mm)の多層シートを製造した。この製造方法は、ス
キン層用シートとコア層用シートを別々に作製してこれ
らを融着させる必要があり、工程が非常に煩雑であっ
た。また、実施例1と同様にして成形と評価を行った
が、シートの外観は良好であったにもかかわらず、加熱
の際にガラス繊維がスキン層を貫通して突出し、成形品
の外観や落錘衝撃強度は劣るものであった。結果は表2
に示した。
【0029】(実施例3)二種三層のダイスを使用し、
スキン層、コア層、スキン層の厚みをそれぞれ1mm、3
mm、1mm(従ってシート厚みは5mm)となるよう調整し
た以外は実施例1に準じシートを作成した。得られたガ
ラス繊維強化シートは、両面がスキン層で覆われ外観の
非常に良好なものであった。以下、実施例1に準じて成
形と評価を行ったが、外観、落錘衝撃強度、耐傷付性の
いずれも良好な成形品を得ることができた。結果は表2
に示した。
【0030】(実施例4〜7、比較例8〜12)ガラス繊
維長、すなわちLFTPのペレット長、およびスキン層
とコア層の厚みを、表2および表3に記載の条件に調整
するほかは、実施例1と同様にしてガラス繊維強化シー
トの作製と、成形、評価を実施した。表3に記載の実施
例6、7、および比較例10〜12においては、スキン層と
コア層のトータルの厚みがいずれも4mmとなるよう調整
した。結果はそれぞれ表2、表3に示した。実施例4〜
7より、本発明によるガラス繊維強化シートはいずれも
外観良好で、その成形品の外観や落錘衝撃強度は大きく
改良され、しかも耐傷付性にも優れるものであった。
【0031】一方、比較例8は、ガラス繊維長が短すぎ
た場合であるが、満足な落錘強度が得られていない。比
較例9は、ガラス繊維長が長すぎた場合、すなわちペレ
ット長が長すぎた場合の例であるが、押出成形機へのフ
ィードが難しくシートの製造ができなかった。比較例10
は、スキン層は設けたものの厚みが薄すぎた例である
が、成形時に一部のガラス繊維が表面に露出し、成形品
の外観と落錘衝撃強度が不満足なものであった。比較例
11、12は、それぞれ、スキン層の厚みが厚すぎた場合、
およびスキン層のみの場合の例であるが、シート外観
や、成形品外観、耐傷付性については良好であるものの
落錘衝撃に対してはぜい性破壊を起こした。
【0032】(実施例8、比較例13〜14)スキン層、コ
ア層の厚みを表3に記載の条件に調整するほかは実施例
1と同様にしてガラス繊維強化シートを作製した。スキ
ン層、コア層のトータルの厚みはいずれも 1.3mmとなる
よう調整した。得られたシートは、外観を評価したの
ち、320mm×320mmに裁断して赤外線ヒーターにより 160
℃に加熱軟化させ、60℃に保たれた300mm×300mmの金型
2(図1)に載置して成形した。成形品については、実
施例1と同様にして評価を行った。結果は表3に示し
た。
【0033】実施例8は、本発明によるガラス繊維強化
シートの例であるが、シート外観、成形品外観、落錘衝
撃強度、耐傷付性ともに優れていた。比較例13は、スキ
ン層厚みが薄すぎる場合であるが、シート外観、成形品
外観、落錘衝撃強度のいずれも改良されていない。比較
例14は、スキン層厚みが厚すぎる場合であるが、落錘衝
撃強度が劣っていた。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】本発明のガラス繊維強化シート製造方法
は、ガラス繊維強化ペレットをコア層とし、板状フィラ
ーを配合した熱可塑性樹脂をスキン層として多層押出成
形するもので、従来のスタンパブルシートにスキン層を
貼り合わせたりする場合と比べれば、その工程はきわめ
て簡素で容易である。
【0038】しかも、あらかじめガラス繊維間に樹脂が
含浸された状態のペレットを押出成形するものであるた
めガラス繊維に残留する応力が小さく、シートを樹脂の
融点以上に加熱してもガラス繊維の突出はほとんどみら
れない。そのうえ、ガラス繊維長、スキン層樹脂のフィ
ラーの種類とその配合量、スキン層の厚み、およびスキ
ン層とコア層の厚みの比を特定したので、シートそのも
のはもちろん、スタンピング成形、真空、圧空成形する
ことによって得られる成形品は、きわめて良好な外観を
有し、落錘などのような衝撃に対してクラックが入りに
く、しかも表面の耐傷付性や低反り性にも優れるもので
ある。従って、本発明によるガラス繊維強化シートは、
そのままで、あるいは成形して、各種構造部品として幅
広く使用することが可能である。ことに良好な外観や落
錘衝撃強度、耐傷付性を活かし、表面を構成する部品と
して好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例におけるスタンピング成形の1工
程であって、ガラス繊維強化シート加熱ブランクを金型
に載置した状態を表す概略断面図である。
【図2】得られる成形品の形状をあらわす概略図であ
る。
【符号の説明】
1・・・ ガラス繊維強化シート加熱ブランク、 2・・・ 金型、 3・・・ 成形品。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 9:00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア層として下記(A)を、コア層の片
    側もしくは両側を覆うスキン層として下記(B)を用
    い、またスキン層の厚みが、片側で 0.5mm以上かつコア
    層の厚みの20%以上 100%以下に多層押出成形すること
    を特徴とするガラス繊維強化シートの製造方法: (A)ガラス繊維ロービングに熱可塑性樹脂を含浸させ
    5mm以上30mm以下の長さに切断したペレット、(B)50
    重量%以上95重量%以下の熱可塑性樹脂、および 5重量
    %以上50重量%以下の板状フィラーからなる熱可塑性樹
    脂組成物。
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