JP2747185B2 - 掛軸照明装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、仏壇内に設置する掛軸
を照明する掛軸照明装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】仏壇には、須弥壇に祀られた本尊像の
他、掛軸をはじめ本仏仏像、如来像、菩薩像、明王像等
の各種仏像や位牌、過去帳等を設置するのが一般的であ
る。従来、仏壇内にはローソクやワット数の少ない電球
を灯明として設け、上記本尊像、掛軸等を前方から照ら
して適度な明るさを保ち、信仰の一助を役っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、信仰の
対称として釈迦牟尼世尊像等の仏像を仏壇内に設置する
のが主流であったが、近年、在家仏教による宗教団体の
隆盛が著しく、信仰を有する一般大衆家庭では、釈迦牟
尼世尊等の仏像に代り、釈迦牟尼世尊が描かれた掛軸が
祭られるようになった。このように、仏壇に祀るものと
して仏像から掛軸主流の時代に移行しつつあるのが現状
である。

【０００４】したがって、仏壇の照明は、仏像等を照ら
す目的で備えられているため、その手前に灯明を設置す
ることで充分であったが、掛軸を照明するものとして
は、従来のように灯明で前方から照らすだけでは、仏像
の代りとして掛軸を祭ることを考えれば、未だ充分とは
言い難かった。すなわち、仏像は金色に塗布されいるた
め、灯明で前方から照らせばその光が反射して光輝やく
ように見えるが、掛軸については上述したような灯明で
は光輝やくようにすることは困難であった。

【０００５】仏壇についても、内部が金箔で覆われ紫
檀、黒檀で製作された何千万円と言う高価なものも出現
しているが、その内部については彫刻がほどこされてい
る程度で、掛軸を祭ってもその掛軸が光輝やくようには
構成されていなかった。

【０００６】このような背景の中、掛軸が仏像の代りと
して充分に通用するように、仏像と同様に自ら光輝くよ
うに見せる掛軸照明装置の出現が望まれていた。そこ
で、本発明は、掛軸に描かれた本尊、本仏等の極彩色を
鮮明に輝かせ、その画像を浮き上がらせて、その印象を
強烈、顕著にすることができる掛軸照明装置を提供しよ
うとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、仏壇
に祀る仏像が前面に描かれた掛軸と、この掛軸から離間
して設けられ、この掛軸を後方から照明する光源と、こ
の光源と掛軸との間に間隔を保って設けられ、光源から
の光を遮断する光遮蔽板と、この光遮蔽板に掛軸の仏像
を象って形成され、光源からの光の一部を通して掛軸に
描かれた仏像の画像へ案内するための切り抜き穴と、光
源と掛軸との間に透明板とを設けたものである。

【０００８】請求項２の発明は、仏壇に祀る仏像が前面
に描かれた掛軸と、この掛軸から離間して設けられ、こ
の掛軸を後方から照明する光源と、この光源と掛軸との
間に間隔を保って設けられ、光源からの光を遮断する光
遮蔽板と、光源からの光を掛軸に描かれた仏像の画像ま
で導く光ファイバーと、光遮蔽板に設けられ光ファイバ
ーを通す切り抜き穴とを設けたものである。

【０００９】

【作用】請求項１の本発明においては、光源からの光
は、光遮蔽板により遮断されるとともに、その一部の光
が、透明板及び光遮蔽板の切り抜き穴から掛軸に描かれ
た仏像にその背面から照射される。これにより、掛軸に
描かれた仏像が局部的に照明されるとともにその周辺は
ぼやけるため、掛軸に描かれた仏像自体が光輝き、仏像
が浮き出して見えるようになる。

【００１０】請求項２の本発明においては、光源からの
光は、光遮蔽板により遮断されるとともに、光ファイバ
ーによって掛軸に描かれた仏像に導かれ、その背面から
照射される。これにより、掛軸に描かれた仏像が局部的
に照明されるとともにその周辺はぼやけるため、掛軸に
描かれた仏像自体が光輝き、仏像が浮き出して見えるよ
うになる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１は、本実施例にかかる掛軸照明装置を備えた
仏壇の構成を説明する図で、１０は仏壇、８は灯明、９
は前机である。この仏壇１０内には、その背面から前方
に、光源としての電球１、遮蔽板２、掛軸台紙４がその
順に互いに離間して設置されている。この掛軸台紙４に
は、一般的な掛軸同様にその前面に本仏画像５が印刷さ
れた本仏絵画６が貼付されている。そして、掛軸台紙４
は、本仏絵画６の裏面部分は切抜いている。これによ
り、この本仏絵画６の部分は、本仏絵画６一枚となり、
上記電球１からの光により本仏画像５が直接照らされる
ようになる。

【００１２】上記遮蔽板２は、電球１からの光を遮蔽す
るものであり、電球１に接近させて直立させて仏壇１０
内に取付ける。この遮蔽板２には、本仏絵画６の本仏画
像５を象った切り抜き穴３を形成する。これにより、電
球１からの光は切り抜き穴３のみを通って本仏画像５を
照らすようになる。この切り抜き穴３の形状は、できる
だけ本仏画像５及びその光背の形状に近づけることが望
ましい。

【００１３】また、切り抜き穴３の大きさは、電球１と
の距離を考慮に入れて多少小さめに形成するが、切り抜
き穴３から通過した電球１からの光が掛軸中の本仏画像
５及びその周辺を局部的に照明するように適宜調整す
る。なお、遮蔽板２の材質については、金属板、木材
板、ベニヤ等の簡便なもので、耐熱性のあるものが望ま
しい。

【００１４】上記電球１は、ワット数の少ない電球を使
用する。具体的には、例えば電球１は探見球で、２．５
Ｖ、０．３Ａ程度の豆電球を使用し、電源として１．５
Ｖ単一電池２本を直列に継ぎ３Ｖとする。また、電球１
は、掛軸後方の仏壇１０の内壁に固定し、掛軸台紙４に
接近させて設置する。この場合、電球１は、仏壇１０に
固定する代りに、上記遮蔽板２に固定してもよい。

【００１５】また、仏壇１０内には、電球１と掛軸との
間に、透明板としてのガラス板７を取付け、掛軸の熱に
よる損傷を防止する。このような構成の本実施例におい
ては、例えば、掛軸台紙４の寸法が２１０ｍｍ×６００
ｍｍで、絵画６は１４０ｍｍ×３７０ｍｍの市販の掛軸
の照明として適用した場合には、先ずこの掛軸の掛軸台
紙４の本仏絵画６の裏側を本仏絵画６より多少小さめに
くり抜いておく。

【００１６】この状態で、電球１の電源スイッチを入れ
ると、電球１が点灯し、この電球１からの光は遮蔽板２
で遮断されるが、遮蔽板２の切り抜き穴３及び掛軸の掛
軸台紙４のくり抜きを通過した光りが本仏絵画６をその
後方裏面から照らす。すると、本仏画像５はこの光によ
って輝き出すとともに、本仏画像５の周辺はぼやけた光
りとなり、本仏画像５を鮮明に際立たせることができ
る。これにより、本仏画像５自体が光って見えるため、
御尊顔の表情が顕著に御み受けすることができ、神秘的
な雰囲気をかもし出させることができ、感動的な印象を
信仰する者に与えることができる。そして、毎日の供養
をはげまし、さらにその功徳を高め積むことができる。

【００１７】また、電球１と掛軸との間に、透明板とし
てのガラス板７を取付けたため、掛軸が電球１の熱によ
って損傷することを防止することができる。なお、本実
施例においては、電球１を仏壇１０の背面に設け、前方
の掛軸に向けて照射するものについて述べたが、必ずし
もこれに限定されるものではなく、仏壇１０内に反射鏡
１２を設け、光路を変更してもよい。これにより、仏壇
１０内に電球１を設置するだけのスペースがとれない場
合や、電球１の発熱等により設置場所が不適切な場合の
ように電球１が所定の場所に設置できない場合でも、反
射鏡１２を使用して電球１の設置位置を移動することが
できる。また、こうすることにより、本発明を従来の仏
壇・仏具にそのまま適用することもできる。

【００１８】また、本実施例においては、電球１と掛軸
との間に遮蔽板２を設け、この遮蔽板２を掛軸の本仏画
像５に象った切り抜き穴３を形成し、この切り抜き穴３
から局部的に掛軸の本仏画像５を背面から照らすものに
ついて述べたが、必ずしもこれに限定されるものではな
く、図１に示すように電球１と掛軸との間に遮蔽板２を
設け、この遮蔽板２に電球１からの光を先端へ伝達する
光ファイバー１１を通す切り抜き穴を設け、この光ファ
イバー１１を切り抜き穴に通して束ねたり、平らに接続
したりして、その先端の形を本仏画像５の形に調整しつ
つ、その先端を本仏画像５の裏面に近づけるようにして
もよい。

【００１９】これにより、上記同様の効果に加え、電球
１の光を効率よく掛軸まで導くことができ、照明効果も
向上する。なお、この場合、光ファイバー１１を通す切
り抜き穴は、掛軸の本仏画像５に象った切り抜き穴３の
ように形成してもよい。

【００２０】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、掛
軸中の本仏画像が局部的に鮮明に、その他本仏画像の周
辺部はボーとしてかすんで見ることができるため、本仏
画像が掛軸から浮き出して見え、その極彩色がさらに鮮
明にあざやかに、輪郭が一層はっきりと、また御尊顔の
表情が顕著に御み受けすることができ、非常に強烈な印
象を信仰するものに与えることができる掛軸照明装置を
提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例にかかる掛軸照明装置を備えた
仏壇を説明する図。

【符号の説明】

１…電球 ２…遮蔽板 ３…切り抜き穴 ４…掛軸台紙 ５…本仏画像 ６…本仏絵画 ７…ガラス板 １０…仏壇 １１…光ファイバー １２…反射鏡

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 仏壇に祀る仏像が前面に描かれた掛軸
   と、この掛軸から離間して設けられ、この掛軸を後方か
   ら照明する光源と、この光源と前記掛軸との間に間隔を
   保って設けられ、前記光源からの光を遮断する光遮蔽板
   と、この光遮蔽板に掛軸の仏像を象って形成され、前記
   光源からの光の一部を通して前記掛軸に描かれた仏像の
   画像へ案内するための切り抜き穴と、前記光源と前記掛
   軸との間に透明板とを設けたことを特徴とする掛軸照明
   装置。
2. 【請求項２】 仏壇に祀る仏像が前面に描かれた掛軸
   と、この掛軸から離間して設けられ、この掛軸を後方か
   ら照明する光源と、この光源と前記掛軸との間に間隔を
   保って設けられ、前記光源からの光を遮断する光遮蔽板
   と、前記光源からの光を前記掛軸に描かれた仏像の画像
   まで導く光ファイバーと、前記光遮蔽板に設けられ前記
   光ファイバーを通す切り抜き穴とを設けたことを特徴と
   する掛軸照明装置。