JP2743922B2 - 動的材料試験装置 - Google Patents

動的材料試験装置

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JP2743922B2 JP4508237A JP50823792A JP2743922B2 JP 2743922 B2 JP2743922 B2 JP 2743922B2 JP 4508237 A JP4508237 A JP 4508237A JP 50823792 A JP50823792 A JP 50823792A JP 2743922 B2 JP2743922 B2 JP 2743922B2
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Description

【発明の詳細な説明】 開示の背景 1.発明の分野 本発明は、試料の変形と歪み速度とを独立して制御す
る動的材料試験システムのための装置、及びそれにおい
て使用されるそれに付随する方法に関する。このシステ
ムは、試料のワークゾーンを制御可能に変形することに
加えて、ワークゾーンの全体を通して所望の実質的に均
一な温度の等温平面を確立するために、制御された状態
で試料を抵抗加熱し、または、伝導的に冷却することが
同時に可能である。
2.従来技術の解説 金属材料は莫大な数の種々の製品の本質的な構成要素
としての役割を果たす。現今、これらの材料は典型的に
は圧延、鍛造または押出し操作を通してシート、ストリ
ップまたはワイヤー、即ち中間製品、に作られ、これら
はその後最終製品の形に適切に作り上げられる。不幸な
ことに、中間製品を生産する製造設備の設立に関連する
財政上の費用は驚異的である。
それにもかかわらず、増大する数の新しい圧延ミル
(圧延機)がここ数年間に稼動するに至っている。その
結果、ミルの経営者は圧延された製品ストックのための
大変激しい市場競争を経験しており、それはまた、ミル
が常に向上する質の圧延材料を常に減少するコストで生
産するように運営されることを必要とする。予期されな
いことではなく、この競争は更なる生産設備が稼動する
につれてますますよりきびしくなる。それゆえに、この
競争と圧延ミルを建造し操業することに関連する莫大な
費用とを考慮すれば、圧延されたストックの収益マージ
ンは、むしろほんの僅かになることになる。そのよう
に、市場経済は、ミルができる限り小さいエラーを見込
んで建造され操業されなければならないことを今や指図
する。したがって、種々の財政上のリスクを経営可能な
レベルに減少するために、操業する製造ミルで圧延操作
を実行する前にその圧延操作を、典型的には、実験室の
環境で正確にシミュレートして材料の性質に及ぼすそれ
らの効果を学ぶという実質的な要求が生じた。これの単
純な理由は、一度ミルが生産に入るとその後の如何なる
ダウンタイムも非常に高くつく傾向にあり、従って最善
に避けられるということである。正確なシミュレーショ
ンが圧延機のパラメータをオフラインで最大限に活用さ
れることを可能にする限り、その時、圧延機のダウンタ
イムを実質的に取り除くことにより、そのようなシミュ
レーションは研究コストをかなり減少する一方、より高
い製造生産力を有利に可能にする。幸いなことに、シミ
ュレーションは、望まれる冶金学上の結果を得るため
に、いわゆる小さなパイロット・ミルや、あるいは可能
な場合には、小さなサンプル・ミルを建造することより
も、一般的には少なくとも数オーダの大きさだけ、実質
的により資本集約的ではなく、またかなりより時間がか
からない。更に、圧延機のシミュレーションは、普通の
製造サイズの材料よりもかなり少ない試料から広範囲の
データを生み出すことができるので、もし製造ミルがオ
フライン(非使用時)でテスト材料を供給するために使
用されるよりも正確にシミュレートされるならば、かな
りの材料の節約及びその故のかなりのコストの節約が結
果として生じる。したがって、実質的でまた増大する要
求が、当技術分野において、正確さの高い度合いで圧延
機を物理的にシミュレートすることができる装置に対し
て存在する。
理想的には、適切な圧延機のシミュレーションは、試
料が、望まれる圧延機で直面するであろうと同じの機械
的変形と熱的処理を受けることが可能とされるべきであ
る。正確なシミュレーションは単一のスタンドを持つ圧
延機について行うことは比較的容易であるが、正確なシ
ミュレーションはマルチスタンド圧延機に対して成し遂
げるのはますます困難になる。特に、最近の圧延機で
は、ストリップのストックはしばしばマルチスタンド圧
延機を通して比較的高速で通過される。これらの圧延機
はいくつかの変形を連続して使用して材料を迅速に変形
し、そして連続するロールスタンドを比較的短時間通し
て得られ、その時間は連続的な変形の間しばしば数ミリ
セカンドのオーダである。更に、ストリップの温度もま
た、各スタンドから次のスタンドへと変化する傾向にあ
る。
いくらかの技術手段が圧延ミルをシミュレートするた
めの技術に存在する。一つのよく知られた技術手段は、
例えば、米国特許第4,109,516(J.Fuxa、1978,8月29
日)及び米国特許第3,457,779(E.Hahnその他、1969,7
月29日)に記述されているように、所謂カム・プラスト
メータの使用を含むものである。ここでは、試料は固定
的に把持されている。ラムは、試料を変形するために、
与えられたストローク距離で、圧延機のスタンドで直面
するであろう量に等しい量において、制御可能に、且つ
速く試料を打付ける。ラムの動きはカムに対して回転す
るカム従動子によって支配され、またカムは油圧モータ
とフライホイールとによって回転される。カムの各回転
は、試料を一回圧縮するようにラムを動かす。カムの、
特にその突出部の寸法及び形状(輪郭)は、望まれる量
の正確な歪み及び正確な歪み速度が変形された試料にお
いて生じるように調整される。不幸にも、この技術手段
はその有用性を制限するいくらかの欠点を持っている。
第一に、カム・プラストメータは、最近のマルチスタン
ド圧延機をシミュレートすることができない。この点に
ついては、古いカム・プラストメータは単一量の変形を
試料に付与することに一般に制限されており、そのため
単一型の圧延機スタンドをシミュレートすることしかで
きなかった。最近、カム・プラストメータは試料に二回
の連続的な変形を付与することができるように発展さ
れ、それによって2スタンド圧延機をシミュレートする
能力を持つようになった。しかしながら、最近の圧延機
は2よりも多いスタンドをしばしば備えており、4また
はそれ以上であることもしばしばである。更に、カム・
プラストメータは圧延操作のための歪みプロファイルを
正確に再現することができるが、カムは、もし広範囲に
異なる歪みプロファイルがそのプラストメータによって
生じるようにされるには、かなり異なるカム形状を持つ
ものによって交換されなければならない。異なる歪みプ
ロファイルが望まれる時毎に適切な形状を有する新しい
カムを機械にかけ、また同時にカムを他のものと取り替
えることに固有な操作は、時間がかかると共に不便であ
る。したがって、カム・プラストメータは、それらの限
られたシミュレーション能力とそれに伴う使用の困難性
によって、最近では圧延機のシミュレーションに対して
次第に少なく使用されるようになっている。
第二のよく知られた圧延ミルのシミュレーションのた
めの技術手段は、コンピュータ制御された材料試験シス
テムを使用することを一般に含み、それにおいては試料
は固定のマウントに強固に把持されると共に、サーボ制
御された油圧ピストンの一端にロッドを介して装架され
たラムによって打付けられる。ラムの運動の速度は試料
の歪み速度を決定し、それと共にラムが試料を圧縮する
距離はその変形を決定する。不幸なことに、この技術
は、一般に、過度のドウェル時間(小休止時間)、行程
の終端での乏しい制御、及び変形の間のプログラムされ
た真の歪み速度からの逸脱をこうむっており、これらの
全ては、最近の中高速マルチスタンド圧延機を正確にシ
ミュレートするためのこの技術の能力を不利に制限す
る。
詳細には、マルチスタンド圧延機の各スタンドをこの
第二の技術でシミュレートするために、材料試験システ
ムにあるコンピュータは、制御された一連の“打撃(ヒ
ット)”が、各打撃が所望の歪み速度と圧縮変形を試料
に引き起こすようにすることと共に一連の制御された
“打撃(ヒット)”を試料に与えるように、オペレータ
によって適切にプログラムされるであろう。シミュレー
ションが一旦開始すると、コンピュータは、試料への最
初の打撃のための望まれた歪み速度及び変形を与えるよ
うにラムの速度及び行程距離を先ず最初に設定し、その
時ラムをそれの出発位置に後退させるように油圧システ
ムを制御し、そしてその後ピストンを制御する油圧サー
ボバルブを適切に操作して、ラムがこの打撃のために適
当な速度で試料を打付けると同時に望まれた距離のため
に試料の圧縮を続けるようにさせ、そして、この行程を
各連続的な打撃のために繰り返させるであろう。
機械的現実は、物理学の法則により指示されるよう
に、ラムの速度が増加するにつれてより高い力が停止さ
せまたその方向を逆にするために必要とされるというこ
とである。最近の中高速マルチスタンド圧延機において
は、それにおける当該のスタンドとその前のスタンドと
の間の典型的な材料の通過時間は、十のミリ秒のオーダ
であり、時にはほんの数ミリ秒程度に少ない。更に、圧
延機において直面するそのタイプの速い変形は、各打撃
のために試料に衝突する時に高い速度でラムが運動する
ことを必要とする。したがって、そのような圧延機の動
作が正確にシミュレートされるべきであるなら、その場
合、試料に与えられる前の変形と当該の変形との間のド
ウェル時間はこの通過時間と合致されるべきである。不
幸なことに、そのような短いドウェル時間を提供するた
めには、管理できない程に大きな力が、次のためにおそ
らく必要とされるであろう:(a)ラムをその前の打撃
の終りに停止する、(b)それからそれをその出発位置
に十分後退させるためにその動きを逆にする、そして
(c)最終的に当該の打撃のために、所望の歪み速度が
試料に生じるように高速度で試料を打付ける−−全て同
等の時間間隔内で。更に、その必要な力を別にして、油
圧サーボバルブ及び関連する油圧構成要素は、ラムの必
要とされる運動を達成するに十分に速い応答を提供する
ことがしばしばできない。これは、また、システムの最
少のドウェル時間を増加すると共にそれにより試料が連
続的に打付けられ得る最大の速度を減少することにな
る。
更に、行程の終端でのラムの位置と速度の制御は全く
不正確であることになる。明細には、マルチスタンド圧
延機のシミュレーションの間、試料の高さはそれが連続
的に打付けられるに従って漸進的に減少する。圧縮的な
変形のための真の歪み、e、は、式:e=−1n(h0/h)
(ここでhは最終の試料高さ、またh0は最初の高さであ
る)により定義されるので、真の歪み速度(de/dt)
は、(1/h)(dh/dt)により与えられる。こうして、も
し試料の最終厚さが比較的小さいと、その場合最終の打
撃の間に得られる真の歪み速度は対応して高くなるであ
ろう。例えば、もし1000mm/秒の制御された行程速度で
運動するラムが試料を2mmの高さに減少する最終的な圧
縮変形を生じるように試料を打付けるのであれば、その
時試料における衝突時での最初の真の歪み速度、即ち、
“入口の”真の歪み速度は、500/秒である。
単一スタンド圧延機における圧延プレート、あるいは
試験試料における対応する最終の変形において典型的に
直面するような比較的低い歪み速度、例えば2/秒、は、
在来型のサーボ油圧作動されたラムを使用してすぐに得
られることができる。しかしながら中高速圧延機におけ
る最終のスタンドにおいて典型的に直面するであろうよ
うな、具体的に100-500/秒またはなお少ないような、比
較的高い歪み速度は、そのようなラムを使用して試験試
料に正確に得るのは非常に困難である。そのような高い
歪み速度では、ラムは、試料に正確な入口の真の歪み速
度を生じるであろうような速度で試料に衝撃を与えるた
めに、与えられた距離を越えて運動して加速しなければ
ならない。けれども、現実には、ラムは、所望の量の変
形が試料に生じる正確な位置より行き過ぎて停止しな
い。小さな変形については、ラム速度はラムのかなりの
過剰運動なしでは維持されることができない。この過剰
運動は不要の付加的な歪みを試料に生じる。連続的な打
撃の間に歪み速度が増加しまたそれに応じて試料の変形
が減少するにつれて、過剰運動により引き起こされる付
加的な歪みは、打撃に先立つ最初の試料高さに対して比
較的大きくなる。最近のマルチスタンド圧延機の最終の
スタンドは、典型的には、比較的小さな変形であるが比
較的大きな真の歪み速度を圧延されるストリップに与え
るから、サーボ油圧作動されたラムの過剰運動によって
生じるものを含む試料における歪みは、在来型の材料試
験システムによるものでは、圧延機におけるこれらの各
々のスタンドによって生み出されるであろう歪みからか
なり逸脱し、それによってシミュレートされた結果を間
違ったものとするであろう。もし過剰運動が所望の試料
高さに対して比較的にかなりのものであるなら、その場
合試料に与えられた付加的な歪みは耐えがたい程に高く
なる。付随して、もし所望の変形がラムが動きを停止す
る瞬間に達成されるのであれば、その場合ラムの速度及
び従って結果として生じる真の歪み速度は共に、試料に
おいて現実の圧延機の状態を正確にシミュレートするに
は、特にその運動の終端の近くでは、一般的に低すぎ
る。
プログラムされた真の歪み速度に関しては、もし在来
型のサーボ油圧作動されたラムが正しいプログラムされ
た入口の真の歪み速度を生み出すのであれば、その場合
材料試験システムにおけるサーボがこの速度をすぐ後に
続く変形の間を通して維持するであろう精度は、典型的
には、試料が変形される間の時間、即ち変形時間とシス
テムの応答時間との間の比に基礎が置かれるであろう。
その応答時間が短くなるかまたは変形時間が増加するか
のいずれかの場合、その場合より一層正確な真の歪み速
度制御が結果として生じることができる。その故に、ラ
ムはますます、所望の真の歪み速度を変形の間その行程
に沿ったどの位置にも生み出すことができるであろう。
しかしながら、応答時間はしばしば速い変形時間に匹敵
するから、サーボ油圧作動されたラムは試料に与える真
の歪み速度を速い変形の間に正確に変化することが一般
にできない。その理由のため、速い変形の間に生じる真
の歪み速度の比較的正確な制御は、ラムが試料に衝突す
る際に正しい速度で動き、そして所望の歪みが得られる
やいなや停止するのではなくその後も動き続けるように
材料試験システムが操作されさえすれば、達成されるこ
とができる。不幸なことには、これは行き過ぎを引き起
こす。上記したように、特に高い真の歪み速度で少ない
変形の場合でのラムの行き過ぎにより引き起こされた付
加的な歪みは、中高速マルチスタンド圧延機の最終のス
タンドに関連する現実の状態をシミュレートすることに
おいて、目にあまる不正確さを生じ得る。
したがって最近のマルチスタンド圧延機の速度は増加
するので、必要な高速度の制御を歪み速度及び変形に与
えることについてのサーボ油圧作動されたラムを使用す
る在来型の材料試験システムの無能力は、これらのシス
テムを、これらの圧延機をシミュレートすることに対し
てますますより適さなくなるようにさせている。
これらの限界の問題を多少とも解決する試みにおい
て、調節可能な高さの機械的ストッパをラムが装架され
る可動プラテンと試料が固着される固定プラテンとの間
に置くことが、当分野において知られている。このスト
ッパは一つまたは二つのウェッジ(くさび)からなるこ
とができる。各ウェッジのベースは固定プラテンに対し
て当接すると共に、傾斜した表面は可動プラテン、特に
それの相補的に適合された形状の表面に面する。そのウ
ェッジはサーボ油圧シリンダーに連結され、そしてそれ
によって二つのプラテンの間に所望の厚さのストッパを
提供するためにラムの変位を横断する方向に伸ばされま
たは後退されることができる。操作において、ウェッジ
は、ラムが所望の量の変形を試料に生じるように先ず位
置付けられる。その後、可動プラテンはその運動がウェ
ッジと接触して止められるまで固定プラテンに向かって
加速される。各ウェッジの面積は、各ウェッジが可動プ
ラテンにより打付けられる時それに生じる弾性歪みが比
較的少なくなるように、試料の断面のそれより非常に大
きい。この配置はラムの過剰運動とそれに伴う逆の結果
を有利に取り除くけれども、不利なことにそれは、一定
の真の歪み速度のためには、ラムが各打撃の間に減速さ
れ、そしてラムが各連続する打撃の終わりに新しい位置
に停止することを必要とする。これは、また、真の圧延
機プロセスのシミュレーションを達成するためのそのよ
うなシステムのプログラミングを、大変非常に複雑にす
る。詳細には、そのような材料試験システムで使用する
ためのプログラムがラムの運動を制御するように作成さ
れる時、そのプログラムは、もし真の歪み速度が一定に
保持されるかまたは圧延機の動作の通りに制御されるべ
きであるなら、試料が変形されている間にラムを減速す
るようにさせなければならない。ラムは打撃の初めでは
高速度で運動しており、また打撃の間の変形の総計量は
非常に少ないこともありうる(ラム運動は、具体的に
は、いくらかの“最終の”打撃に対してほんのミリメー
トルでありうる)から、その場合、システムの応答限界
のために、一定の真の歪み速度(またはプログラムされ
た速度)を試料に生じさせるためにラムを適切に遅くす
る(減速する)ことは、実際に達成するのが全く困難で
あるだろう。更に、各連続的な打撃のためにラムの停止
位置を変えることは必要とされるラムの減速のプログラ
ミングをより一層複雑にし、またそれにより、真のミル
・プロセスのシミュレーションのプログラミングに関連
する困難性をかなり増加する。
こうして、当技術分野にはなお、所望の量の変形を比
較的高い真の歪み速度ではあるが過剰運動を何ら実質的
に生じることなく試料に生じさせるように、試験におか
れる試料を正確に打付けることができる材料試験システ
ム、そして特にそれに包含されるための装置、に対する
必要性が存在する。加えて、この装置は、所望の比較的
高い入口の真の歪み速度が試料に発生されそしてその後
も後に続く変形の間中維持されることを可能にするべき
である。真の歪み速度と変形との両方はそれぞれ独立し
て調節可能であるべきである。更に、その装置はそのよ
うな打撃を減少されたドウェル時間で連続的に生み出す
ことができるべきである。そのようなシステムは、現代
の高速度マルチスタンド圧延機を正確にシミュレートす
ることにおいて有用性を見出だすであろう。
発明の要約 本発明は、試料を圧縮すべく油圧サーボにより作動さ
れるラムと、移動プラテン及び固定プラテン間に配置さ
れたウエッジストッパとの両方を利用した従来の材料試
験システムに伴なう欠陥を克服するという効果を有す
る。
本発明の装置は、試料の変形(厚みの減少)と歪み速
度とを、使用される変形の数にかかわらず、連続的な変
形動作のうちの各動作及び全動作につき、並びにそれら
の変形動作にわたって、独立して正確に制御及びプログ
ラムすることができるという効果を有する。
本発明によれば、第一のアクチュエータ、好適には固
定のフレームに装架されたサーボ制御されたアクチュエ
ータは、第一の予め特定された方向に沿って力を発生す
る。第一及び第二の変形手段は、実施例ではそれぞれ第
一及び第二の電気的に伝導性のアンビルに相当し、試料
の対向する両側に保持する。力の伝達及び停止手段が第
一のアンビルと当接関係に置かれ、そして試料を圧縮的
に変形するために第一の予め特定された方向に沿ってそ
の力に応答してアンビルを動かし、そして、その後試料
が予め定められた量だけ圧縮されたとき第一のアンビル
のそれ以上のどのような運動も終結させる。加えて、移
動手段が、これもまた固定のフレームに装架され、試
料、及び第一及び第二変形手段を、圧縮変形の開始の前
に、予め定められた量だけ第一の予め特定された方向と
反対の第二の方向に動かすように使用される。その移動
手段は、実施例では、固定のフレームと第二のアンビル
に接続された第二のサーボ制御された油圧シリンダーに
よって作動される。その移動手段が非常に高い度合の剛
性を試料が圧縮されている間に示す限り、移動手段と同
様に、試料は、試料が圧縮変形されている間は、第一の
予め特定された方向には動かない。
圧縮変形の間に試料にもたらされる歪み速度と最終の
歪は、変形中の力の伝達及び停止手段の第一の方向に沿
った速度、具体的には第一の油圧シリンダから出るピス
トンロッド(“圧縮ピストン”)の速度と、移動手段が
変形の開始に先立って第二の予め特定された方向に動か
される距離とによって、それぞれにまた実質的に独立し
て決定される。
詳細には、本発明の好適な実施例に従えば、二つのア
ンビルのそれぞれは他に関して可動である。両アンビル
間に置かれそしてその故に圧縮的な変形を受けるであろ
う試料の部分は、ここでは“ワークゾーン”と呼ばれ
る。両アンビルと試料はストップアセンブリにより取り
囲まれ、このアセンブリは、具体的には、実質的にU字
形のクロスストップ、及びそれからフレームに固定され
た第一のクロスヘッドに延びる対のストップバーとを含
む。第一のアンビルは、フレームに同様に固定された第
二のクロスヘッドを通して延びる第一のシャフトにより
動かされる。このシャフトは、同様にストップアセンブ
リの一部であるストッププレートにより、そのプレート
がクロスストップに対して当接する度毎に制限されるそ
のシャフトの行程でもって、圧縮ピストンによって押さ
れる。第二のアンビルは、第一のクロスヘッドを通して
延びる第二のシャフトの一端に接続される。その第二の
シャフトは、試料を予め特定された距離だけ圧縮ピスト
ンに向かって漸進的に動かすように正確に位置付けられ
ることができ、そしてそうすることによって、各連続的
な打撃(ヒット)より試料に与えられるであろう歪みの
正確な量を制御するために、ストッププレートをちょう
どその距離だけクロスストップから移動させる。圧縮ピ
ストンの速度は、第一のアンビルの速度とそれ故に試料
にその圧縮変形の間に引き起こされる歪み速度とを支配
する。
第二のアンビルを圧縮ピストンの行程距離とは独立し
て位置付け可能とすることは、有利に、試料に引き起こ
される変形と真の歪み速度とを独立的に制御されるよう
にさせる。第二のアンビルは、好ましくは、第二の油圧
シリンダにより作動されるウェッジアセンブリによっ
て、連続的な変形の間のドウェル時間の間に、動かされ
る。第二のアンビルを適切に位置付けると共に、その場
合、各圧縮変形の間の圧縮ピストンの運動とそれ故に試
料に引き起こされる歪みとの両方を急激に止めるため
に、圧縮ピストンよりむしろストッププレートを頼りに
することは、有利に、このピストンを実質的に制御され
た速度で各全体の圧縮変形の初めから終りまでを通して
運動するようにさせる。そのように、所望の比較的高い
入口の真の歪み速度か、各変形の間中試料に有利に維持
されることができる。更に、ウェッジアセンブリを使用
して、圧縮ピストンとは独立してまた特にそのピストン
が続く次の変形のために後退されている間に試料を動か
すことによって、ドウェル時間は、ウェッジストッパを
利用するものを含む在来型の機械的試験システムに関連
するそれを越えて有利に減少されることができる。
その上、本発明の装置はまた、制御された量の交流
(AC)の電流を試料を通して各変形の前、間及び/また
は後に流し、そしてまた試料の端部を高められた温度か
ら伝導的に冷却する能力を有する。この電流は試料を自
己抵抗的に加熱させ、試料のワークゾーンを通して所望
の実質的に均一の温度の等温平面を確立させる。試料の
ワークゾーンが自己抵抗的に加熱し、またその後、望ま
れるならば、伝導的に冷却する速度を制御することによ
って、ワークゾーンは、広い範囲の異なった時間依存の
温度プロファイルのどのような経験にも動的に設定され
ることができる。こうして、試料の変形及び速度とワー
クゾーンの温度との両方の正確な制御を通して、試料
は、最近の中高速のマルチスタンド圧延機において直面
するであろうと同じ機械的変形ばかりでなく、同じ熱的
処理をも実質的に受けることができる。よって、本発明
の装置はそのような圧延機を非常に正確にシミュレート
するのに使用されることができる。
更に、たとえ試料は、その試料が圧縮されている時
に、本発明の試験スタンドの種々の構造上の構成要素を
通して導かれる電流によって自己抵抗的な加熱を受ける
にしても、それにもかかわらず、このスタンドは、両ア
ンビルを含めて、非常に高い度合の寸法上の安定性を維
持し、そしてその故に高度に再現性のある結果を生じる
ことが、本発明の特徴である。特に、このスタンドは比
較的高い弾性率を持ち、また試料よりかなり大きな断面
積を有する材料から組み立てられている。そのため、そ
のスタンドは、それが試料を最大の力のもとで圧縮して
いる間でさえも、非常に硬直である。加えて、電気的に
引き起こされた加熱効果によるスタンドのどのような物
理的膨張をも最少限にするために、スタンドにおける種
々の構造上の構成要素は水冷されている。更に、平らな
歪み試料(ここで試料の横断領域と表面領域とは両方と
も、接触領域、即ち各アンビルと試料との間の界面、に
比較して大きい)に対して、相当の加熱が各アンビルと
試料との間の界面に生じさせられる。この場合、熱はま
た、両アンビルの背面から隣接する構成要素の水冷によ
って導き去られる。このような作用は、試料が自己抵抗
的に加熱されている間に両アンビルが相当に加熱しそし
て熱的に軟化することを有利に防止し、そしてまた試料
が、制御された条件のもとでまた適当なプログラムされ
た加熱速度で、熱的に処理されることも可能にする。
図面の簡単な説明 本発明の教示は次の詳細な説明を添付の図面と共に考
慮することによって容易に理解されることができる。図
面において: 図1は典型的なコンピュータ制御された材料試験シス
テムにおいて典型的に生じる、プログラムされまた現実
でもある変形を表す曲線をグラフで描いたもので、その
システムは当技術分野において知られており、サーボ油
圧駆動されるラムを有し、比較的低く且つ実質的に一定
の真の歪み速度を使って試料厚みにおいて40%の減少を
生じさせるためのものである; 図2はラムの運動、及びプログラムされまた現実でも
ある変形を、過剰運動を含めて表す曲線をグラフで描い
たもので、この曲線は、図1と関連するコンピュータ制
御された材料試験システムにおいて、そのシステムが比
較的高く且つ実質的に一定の真の歪み速度を使用して試
料の厚さに40%の減少を生じさせることによって高速の
圧延スタンドをシミュレートする場合には、いつでも典
型的に生ずるものである; 図3は典型的なサーボ油圧駆動される試験スタンド30
0の正面図であり、この試験スタンドは、コンピュータ
制御された材料試験システムにおいて使用されて試験試
料に圧縮的な変形を与えるためのものであり、双対のウ
ェッジストッパを当技術分野において普通に知られてい
るように備える; 図4は図3に示された試験スタンドの側面図である; 図5は本発明の試験システムの好適な具体例、そして
詳細には、プログラムされた変形と真の歪み速度とを試
験試料に独立して付与するばかりでなく、所望の熱プロ
ファイルもまたそれに付与するための試験スタンド500
の一部切断面を有する概略図である。
図6A及び6Bは図5に共に示されたウェッジヨーク582
とウェッジ584の組立体の透視図(斜視図)及び反対の
透視図(斜視図)をそれぞれ表す; 図6Cは図6Aに示されたウェッジヨーク582の透視図
(斜視図)を表す; 図7は図5に示されたピストンロッド509とアンビル5
60′の典型的な位置プロファイルをグラフで描いたもの
で、それは、最近の中速3スタンドホットミルにおける
最終の圧延スタンドをシミュレートすることに使用され
る試験試料に、具体的には三つの連続する変形を有する
変形プロファイルを生じさせるために、本発明の試験ス
タンドによりプログラム可能に生み出されることができ
るものである;そして 図8はピストンロッド509の運動とプログラムされま
た現実でもある変形とをグラフで描いたもので、これ
は、図5に示された本発明の試験スタンドによって、そ
のスタンドが図2に示されたと同じ真の歪み速度を使用
して試料厚さにおいて40%の減少を生じさせることによ
って高速圧延機をシミュレートするように使用される場
合、いつでも生み出されることができる、 理解を容易にするために、同一の参照番号が、適切な
ところで、それらの図面に共通する同一の要素を示すよ
うに使用された。
詳細な説明 次の説明を考慮する後で、当業者は、本発明の幅広い
教示は、テスト試料を連続的に圧縮する(“ヒッティン
グ(打撃)”)ことにより圧延機をシミュレートするた
めの種々の動的材料試験システムのいずれと共にも、容
易に利用されることができることを明瞭に理解するであ
ろう。しかしながら、実例のためと次の説明を簡易にす
る目的で、本発明を、具体的にグリーブル(GLEEBLE)1
500動的熱−機械的材料試験システムと共に使用する情
況において詳細に述べる。なお、このシステム(以下、
単にGLEEBLE1500システムという)はダッファーズ、サ
イエンティフィック社(Duffers Scientific Inc.Poens
tenkill,New York)によって製造されたものである(同
社はまた登録商標“GLEEBLE"を所有しており、また同社
は本願の出願人である)。
図1は典型的な低歪み速度の変形曲線100を示し、こ
れはサーボ油圧作動されるラムを利用する、典型的なよ
く知られたコンピュータ制御された材料試験システムに
おいて生じるものである。そのようなシステムにおいて
は、試料は固定のマウントに把持され、そして次いでサ
ーボ制御された油圧ピストンの端部にロッドを介して据
付けられたラムによって制御可能に打付け(“ヒット
(打撃)”)られる。ラムの運動の速さは試料の歪み速
度を決定し、それと共に、ラムが試料を圧縮する距離が
その変形を決定する。
曲線100はそのようなシステムにおいてプログラムさ
れたと共に実際でもある変形を表し、結果として生じる
変形は単一スタンド圧延機を使用する板材の圧延におい
て生じるそれに匹敵する。この曲線は試料高さにおける
40%の減少(10から6mm)を示し、それは比較的低い
が、実質的に一定である低い真の歪み速度で生じる。曲
線100に指示されるように、試料は領域110及び130の内
では変形されず、そして領域120で0.4/秒の真の歪み速
度で圧縮を受ける。ラムは領域110または130内では動か
ない。領域120の傾斜は、真の歪み速度、de/dtである。
これらの低い歪み速度で、一定の歪み速度と最終的な歪
みとが通常のコンピュータ制御されたサーボ油圧作動の
材料試験システムを使用して簡単にまた正確に得られ
る。その実際の変形とプログラムされた変形とはあらゆ
る点で一致する。
図2はラムの運動、及びプログラムされまた実際でも
ある変形を表す曲線をグラフで描いたものであり、同様
の通常のコンピュータ制御された材料試験システムにお
いてではあるが、比較的高くまた実質的に一定である真
の歪み速度を用いて典型的に生じるものである。この歪
み速度は、最近の中高速マルチスタンド圧延機において
生じるそれに典型的である。
図1に同じように、試料厚さにおける40%の減少(10
から6mm)がなされているが、40/秒の比較的高く実質的
に一定の真の歪み速度でなされている。そのような高い
歪み速度を生み出すためには、適切な入口速度を確実に
するために、ラムを試料に衝突させる前に加速すること
が可能とされる必要がある。試料の変形の前後両方の行
程運動(及びラムの運動)は破線210及び215で示され
る。図示されるように、ラムは、線210と領域223によっ
て指示される最初の0.01秒の間、試料に向かって加速し
ている。変形は、領域220によって指示されるように次
の0.01秒の間に生じ、約0.02秒で停止する。領域227は
最終的な試料厚さを指し示し、破線215は試料から後退
されるラムを示す。図示されるように、結果として得ら
れる変形の精度は高い歪み速度では低下する。過剰歪み
によって引き起こされるこの低下は、ラムの過剰運動、
明確には過剰運動230により引き起こされる。ラム速度
が高くまたラムを動かすことに関係する物理的な力のた
めに、サーボ油圧システムは、制御されたラム速度を変
形の初めから終わりまで、特に小さな変形に対して維持
し、そしてその後、所望の変形が達成された瞬間にラム
速度と歪み速度の両方を突然にゼロに減少することが、
実際にはできない。
連続的な打撃の間に歪み速度が増加し、またそれに応
じて試料の変形が減少する時、ラムの過剰運動により引
き起こされる付加的な歪みは、打撃に先立つ最初の試料
高さに対して比較的大きくなる。最近のマルチスタンド
圧延機の最終の一つまたは複数のスタンドは、比較的小
さな変形であるが比較的大きな真の歪み速度を圧延され
たストリップに与えるから、在来型の材料試験システム
によって試料に引き起こされた、ラムの過剰運動から結
果として生じる歪みを含む総計の歪みは、これらのスタ
ンドの各々により圧延されたストリップにおいて生じる
であろう歪みから逸脱し、それによってシミュレートさ
れた結果に間違いを生じる。もしその過剰運動が所望の
試料高さに対して著しいのであれば、その場合試料に与
えられた付加的な歪みは、過度に高くなる。それに付随
して、もし所望の変形がラムが動きを停止する瞬間に達
成されるのであれば、その場合ラムの速度とその故に結
果として生じる真の歪み速度とは、現実の圧延機の状態
を試料において正確にシミュレートするには、共に一般
的に低すぎる。
更に、サーボ油圧作動されるラムを備えた在来型のコ
ンピュータ制御の材料試験システムはまた、連続的な
“ヒット(打撃)”間の過度なドウェル時間(小休止時
間)と工程の最後での不十分な制御とをこうむる傾向に
ある。これらの影響は、共に、現実の状態、特に最近の
中高速マルチスタンド圧延機における最終の一つ、また
は、複数のスタンドの現実の状態を正確にシミュレート
するそのようなシステムの能力を制限する。
図3及び図4はよく知られた試験スタンド300の正面
及び側面をそれぞれ示すもので、これは、コンピュータ
制御されサーボ油圧作動される材料試験システムに固有
な上述の欠陥を、可動と固定のプラテンの間に位置する
双対のウェッジストップを使用して試料歪み速度を急激
に止めることによって軽減するよう企てるものである。
理解の容易のために、読者は、次の説明を通して図3と
図4との両方を同時に参照すべきである。
本質的に、試験スタンド300は下部プラテン324及び上
部プラテンを含み、これらの各々はよく知られたラム
(図示されていない)を含む。試料350はラムの間に置
かれ、そして典型的には上部プラテンに取付けられたラ
ムにより適切な所に把持される。上部プラテン334は上
部クロスヘッド330に固定され、またこの上部クロスヘ
ッドは所定の位置に定置され、支持棒315及び313の端部
に固定される;下部プラテン324は下部クロスヘッド320
に固定される。油圧シリンダから出るピストンロッド31
9は下部クロスヘッド320の下部表面に接続される。その
支持棒はその下部クロスヘッドを通して延び、それの垂
直の運動を案内する。シリンダ317は定置的に基礎310に
据付けられ、またこの基礎は両方の支持棒を固定する。
このシリンダは、支持棒313及び315に沿ってこのクロス
ヘッドを試料に圧縮する上方または下方のいずれにも動
かすために、よく知られたコンピュータ制御されたサー
ボ油圧制御システム(図示されない)によって操作され
る。機械的なウェッジ(くさび)はストッパとして機能
するもので、下部と上部のストップブロック、具体的に
は、ウェッジ362及び364に対してそれぞれ、ブロック32
2及び332、また326及び336、の間に置かれている。その
上部ストップブロックは、下部ストップブロックと同様
に、例えば部材331のような適当な強化部材に典型的に
接続されている。各上部ストップブロックはまた、上部
クロスヘッド330の底面に固定され、各ウェッジ水平面
に対して当接する水平方向に配向された基礎表面を有す
る。各下部ストップブロックは、下部クロスヘッド320
の上面に固定される水平面を有すると共に、例えばウェ
ッジ364の表面365のような、ウェッジの傾斜面と相補的
にでありまたこれに面している傾斜面を有する。両方の
ウェッジは全く同一である;各ウェッジにおける傾斜の
量は厳密ではない。具体的な量は約17度であることがで
き、30%の傾斜を生じる。各ウェッジ、例えばウェッジ
364は、例えばシリンダ410のロッド415のようなピスト
ンロッドを介して、油圧シリンダに接続されている。別
のコンピュータ制御されたサーボ油圧システム(同様に
よく知られ、図示されていない)のもとで、各々のこれ
らのシリンダ、例えばシリンダ410は、連続的な変形の
間に、そのピストンロッドを、それに関連するウェッ
ジ、即ちウェッジ364を下部ラムの運動に対して横方向
である矢印420によって示される方向に沿って動かすよ
うに、伸ばしまたは後退させる。ウェッジとストップブ
ロックは、試料350の断面よりも非常に大きな表面領域
を有する接触領域を持つ。加えて、それらのストップブ
ロック、ウェッジ362及び364、基礎310、上部及び下部
クロスヘッド320及び330、そして上部及び下部プラテン
324及び334は全て高い弾性係数を有し、従って非常に硬
い。それゆえに、全てのこれらの構成要素、特にウェッ
ジ、は、試料が圧縮されている間に比較的小さな弾性歪
みを経験するだけである。
操作において、下部クロスヘッドはシリンダ317によ
って上方に駆動され、下部ストップブロックがウェッジ
の傾斜面に対して当接するまで、両方のラムが連続的に
試料350を圧縮するようにさせる。この時点で、下部ク
ロスヘッドは上方へのそれ以上の如何なる運動も直ちに
停止し、それによって試料歪み速度を突然にゼロに減少
させる。各ウェッジの位置、即ち詳細には、対向するス
トップブロック間のその平均の厚さは、各“ヒット(打
撃)”の間に試料に付与されるであろう変形の量を支配
する。それらのウェッジは、連続的な打撃の間のドウェ
ル時間の間に適切に配置される。下部クロスヘッド320
は、下部ラムが試料衝突する時点で所望の入口速度に加
速できるように、いくぶんか低くされることができる。
双対のウェッジ362及び364を試験スタンド300の内部
に利用することは、ラムの過剰運動とそれに付随するシ
ミュレーションの結果に間違いを生じることとを有利に
取り除くけれども、不利なことに、一定の真の歪み速度
のためにはラムは各打撃の間減速されることが必要であ
り、またラムは各連続する打撃の終わりに新しい位置に
停止することも必要とされる。これもまた、真の圧延プ
ロセスのシミュレーションを達成するためのそのような
システムのプログラミングを、非常に複雑にする。詳細
には、そのような材料試験システムに使用されるプログ
ラムがラムの運動を制御するために作成される場合、そ
のプログラムは、もし真の歪み速度が一定に維持される
べきであるか、あるいは圧延機のパフォーマンスに従っ
て制御されるべきであれば、試料が変形される間ラムを
減速させるようにしなければならない。ラムは打撃の最
初には高い速度で運動しており、そして打撃の間の変形
の総合量は非常に少ないかもしれない(ラム運動は具体
的には、いくらかの“最終の”打撃の間ほんのミリメー
トルでありうる)ので、その場合、システムの応答限界
のために、試料に一定の真の歪み速度(またはプログラ
ムされた速度)を生じるようにラムを正しく遅くさせる
(減速させる)ことは、実際には成しとげるのが全く困
難であるかもしれない。更にその上、ラムの停止位置を
各連続的な打撃のために変えることは、必要とされるラ
ムの減速をプログラムすることを更に複雑にし、そして
その故に真の圧延プロセスのシミュレーションをプログ
ラムすることに関する困難性をかなり増加する。
図5−8に関してすぐ後で説明されるように、本発明
の教示によって、サーボ油圧作動されたラムを使用する
在来型のコンピュータ制御された材料試験システムばか
りでなく、可動と固定のプラテン間に配置されたウェッ
ジストッパを用いたそのようなシステムにも関連する欠
陥が、有利に取り除かれた。
詳細には、本発明の特定の教示に従えば、試料は、互
いに相対的に可動な二つのアンビル間に対向して配置さ
れる。両方のアンビル間に配置され、そしてそのため変
形を受けるであろう試料のその部分は、以下試料の“ワ
ークゾーン”と呼ばれる。両アンビル及び試料はストッ
プアセンブリによって取り囲まれており、これは、具体
的にはU字形のクロスストッパ及びそれからフレームに
装架された第一のクロスヘッドへと延びる対のストップ
バーを含む。第一のアンビルは、フレームにまた装架さ
れた第二のクロスヘッドを通して延びる第一のシャフト
により動かされる。このシャフトは、サーボ油圧作動さ
れるピストン(“圧縮”ピストン)によって、ストップ
アセンブリのまた一部であるストッププレートがクロス
ストッパに当接的に係合する度毎にそれによって制限さ
れるシャフトの行程で、押圧される。試料の一端に対し
て当接し、第一のアンビルとは反対側に位置する第二の
アンビルは、第一のクロスヘッドを通して延びる第二の
シャフトの一端に接続される。その第二のシャフトは、
各連続的な打撃により試料に付与されるであろう歪みの
正確な量を制御するために、試料を予め特定された距離
だけ圧縮ピストンに向かって漸進的に動かすように位置
付けられることができる。圧縮ピストンの速度は、第一
のアンビルの速度とそれに従うその圧縮変形の間に試料
に引き起こされる真の歪み速度とを支配する。
第二のアンビルをピストンの行程距離から独立して位
置付けられるようにすることは、有利に、試料に引き起
こされる変形と真の歪み速度とを独立して制御できるよ
うにさせる。第二のアンビルは、好適には、他のサーボ
油圧制御されたピストンにより作動されるウェッジアセ
ンブリを通じて、連続的な変形(打撃)の間のドウェル
時間の間に動かされる。各打撃の間のピストンの運動と
それに従う試料に引き起こされる歪みとの両方を急激に
止めるために、第二のアンビルを適当に位置付けそして
その時圧縮ピストンよりむしろストッププレートを頼る
ことは、このピストンを各全体の圧縮変形の間を通して
実質的に制御された速度で運動させることを有利に可能
にする。そのように、真の歪み速度の所望の比較的高い
入口速度は、完全に各打撃の間を通して、試料に有利に
維持されることができる。更に、特に圧縮ピストンが続
く打撃のために後退されている間に、その圧縮ピストン
とは独立して、ウェッジアセンブリを使用して試料を動
かすことによって、ドウェル時間は、ウェッジストッパ
を利用するものを含む在来型の機械的試験システムに関
連するそれを越えて、有利に減らされることができる。
加えて、本発明の装置はまた、各打撃の前後及び/ま
たは間に、制御された量の交流(AC)電流を試料を通し
て流すことができると共に、試料の端部を高い温度から
伝導的に冷却することができる能力を有する。この電流
は、試料を自己抵抗的に加熱させ、所望の実質的に均一
の温度の等温面を試料のワークゾーンのすみずみまで確
立させる。試料ワークゾーンを自己抵抗的に加熱しまた
同時に伝導的に冷却する速度を制御することによって、
ワークゾーンは、ワークゾーンの全体を通して、もしあ
るとしても比較的小さい熱的勾配を有する、広範囲の異
なる時間依存温度プロファイルのどのようなものでも経
験できるように、動的に設定されることができる。こう
して、試料の変形及び歪み速度とワークゾーンの温度と
の両方の正確な制御を通じて、試料は、最近の中高速マ
ルチスタンド圧延機で直面するであろうと実質的に同じ
の機械的変形のみならず、熱的プロセスをも受けること
ができる。したがって、本発明の装置はそのような圧延
機を非常に正確にシミュレートすることに使用されるこ
とができる。
図5は本発明の試験システムの好適な具体例、より詳
細には、プログラムされた変形及び歪み速度を試験試料
570に独立して付与するばかりでなく、所望の熱プロフ
ァイルをそれに付与するための試験スタンド500の一部
切断面を有する概略図である。この試験スタンドは水平
の配置方向で示されているけれども、もし望まれるなら
そのスタンドは、例えば圧縮的な行程が下の方向に生じ
るような、垂直に作動するような向きにされることがで
きる。説明を簡単にするために、図面の図5−8への全
ての言及はそのスタンドの水平な配置方向を仮定してい
る。一連の次の説明の中で指示されるところでは、参照
は図6A-6Cにもなされるべきであり、これらはそれぞ
れ、図5に共に示されたウェッジヨーク582とウェッジ5
84との組立体の透視図(斜視図)及び反対の透視図(斜
視図)、及び図6Aに示されたウェッジヨーク582の透視
図(斜視図)を表す。
図5に示されるように、試験スタンド500はフレーム5
01を含み、このフレーム501は、二つの水平な支持コラ
ム(バー)502と502′及び二つのクロスヘッド504と50
4′から形成され、これらのバーの対向する端部はクロ
スヘッド内に不動に固定されている。以下に述べられる
ように、これらのバーとクロスヘッドとは共に導電性の
材料から製作される。更に、これらの構成要素は、試料
の圧縮変形の間に生じる物理的な力に耐えるように、堅
固に組立てられる。更になお、これらの各々及び以下に
説明されるスタンド500におけるその他の構成要素は、
試料の変形の間に比較的小さな弾性歪みを示すように高
弾性率を有する。またスタンド500は油圧シリンダ505と
空気圧シリンダ511及び512を含み、これらの全ては共通
のブロックの材料内に装架され、支柱503及び503′を介
してフレーム501、特にクロスヘッド504に固定されてい
る。全てのこれらのシリンダは二方向に働く。空気圧シ
リンダ511及び512のピストンロッド513及び514はクロス
バー515に堅固に取付けられている。このクロスバー
は、非導電性の固着要素を使用して絶縁プレート517を
経て導体520に堅固に連結されており、この導体はま
た、導電性のシャフト540の一端に対して当接し、そし
て堅固に接続されている。これらの固着要素の各々は典
型的には、シャンクの周りに置かれた絶縁スリーブ、ヘ
ッドの絶縁ワッシャ及びその絶縁ワッシャとヘッドとの
間に配置されたバックアップワッシャを備える高張力ボ
ルトから形成される。シャフト540は、クロスヘッド504
を通して延びそしてそれを通して形成された貫通孔を内
張りする電気的に絶縁する軸受(スリーブ)532内に支
えされ、またそれによって案内される。この軸受は、具
体的には、例えばデックソン インダストリー社(Dixo
n Industries Corporation Bristol,Rhode Island)に
よって製造されたディクソン(DIXON)型CJ軸受のよう
な、テフロン材料の複合軸受である(“テフロン”は、
デュポン社(E.I.Du Pont de Nemours and Company.Wil
mington,Derawares)の登録商標である;“DIXON"は、
ディクソン インダストリー社の商標である)。そのよ
うに、シャフト540は、クロスバー515に機械的に接続さ
れ、そしてそれによって動かされるが、電気的にはそれ
から絶縁されている。シャフト540の反対の端部は導電
性のストッププレート543に対して当接する。このスト
ッププレートは延長シャフト545の一端に接続されてい
る。この延長シャフトは、U字形のクロスストッパ550
を通して延びる軸受547内に支えられ、またそれによっ
て案内される。軸受547もまたDIXON型CJ軸受であること
ができ、この特別な軸受によって電気的に絶縁する必要
がない。またこのシャフトは、その反対側の端部でアン
ビル560に堅固に接続されている。この軸受はクロスス
トッパを通して軸方向に延びる対応する貫通孔を内張り
する。ストッププレートは、クロスストッパのこの貫通
孔より、かなり大きな直径を有する。ピストンロッド50
9、カップラ(連結器)510及び510′、シャフト540及び
545、ストッププレート543、及びアンビル560は、全て
同軸上に配列されている。アンビル560と560′との間に
置かれる試料570の部分は、ワークゾーンである。
これまでに述べられたような試験スタンド500につい
て、空気圧シリンダ511及び512は、試料570を圧縮する
ためのシャフト509の運動を始めるに先立って、ピスト
ンロッド513及び514を適当に膨出してクロスバー515を
矢印542によって示される方向に動かし、それによって
アンビル560が試料570の一側面との確実な当接的な接触
を確立するように、先ず最初に設定される。これは、低
い抵抗の電流経路が導体520と試料570の一側面との間
に、具体的には、シャフト540、ストッププレート543、
延長シャフト545及びアンビル560を通じて、生じること
を確実にする。シリンダ511及び512は高圧の空気源(典
型的には約1から6バール、即ち15から90psiのオー
ダ)を適切に制御することによって操作され、その空気
は、それぞれに50-400ポンド(約220から1800ニュート
ン)の間の力を与えるように、よく知られた空気レギュ
レータを通して供給される。
油圧シリンダ505は、試料570を変形するために必要な
圧縮力をアンビル560に提供し、また、試料に所望の歪
み速度を得るために必要な速度をそのアンビルに与え
る。カップラ510′は、短いシャフトを通じて、クロス
バー515に固定的に取付けられている。両方のカップラ
は平坦な表面を有し、それらの表面は、それらが互いに
向かい合うように配されている。試料の圧縮は、ピスト
ンロッド509が十分にカップラ510を動かして、そうして
それの平坦な表面がカップラ510′の対応する表面に当
接的に係合する時、始まる。その結果として生じる両方
のカップラの運動は、矢印542で示される方向である。
ピストンロッド509は、カップラ510が限られた距離を通
して自由に運動しそしてカップラ510′を打付けるより
前に加速することを可能にするために、シリンダ505内
に後退されることができる。高圧パイプ506及び507がシ
リンダの入口及び出口ポートに結合されている。このシ
リンダは、よく知られた油圧サーボ制御バルブ(図示さ
れていない)及び、例えば本出願人によって製造された
GLEEBLE 1500システムに典型的に見られるようなコンピ
ュータ作動の制御回路によって制御される。サーボ制御
バルブ及び関連するコンピュータ制御回路は全て当分野
において非常によく知られているから、それらはここで
はこれ以上説明されない。空気圧シリンダ511及び512は
油圧シリンダ505よりも非常に低い力を供給する。この
点については、一対の空気圧シリンダの組合わされた力
は約800ポンド(約3500ニュートン)であることができ
るが、油圧シリンダの場合は約18,000ポンド(メートル
法で約8.3トン)もの力を供給する。油圧及び空気圧シ
リンダ505、511及び512の組合わされた効果は、アンビ
ル560を圧縮方向には高いスピード及び高い力で、しか
し引っ張り方向(矢印542で示される方向とは逆の方
向)には比較的低いスピード及び低い力で、動かすこと
ができることにある。
スタンド500によって平面歪みにおいて試験されるべ
き試料は、横断面において一般に長方形であり、そして
典型的には厚さにおいて10から40mmまで変わる。またこ
れらの試料は、幅においては14から100mmの間で、そし
て高さにおいては20から200mmまで変わるであろう。実
質的に均一な温度勾配(即ち、温度勾配が非常に少ない
か、またはない)が、加熱の間に、各平面歪み試料のワ
ークゾーン(即ち、アンビル間に配置された試料の部
分)を横切って生じることを保障するために、これらの
試料の各々は、二つの対向する表面の各々及び横断面の
領域について、各アンビルとの間の接触領域よりもかな
り大きい表面領域を一般に有する。これらのサイズの金
属試料を最近の中高速圧延機において経験される速度に
等しいかまたはそれを越える加熱速度で加熱するために
必要とされる電流は、数百アンペアから約22,000アンペ
アまで変わるであろう。この電流は、高い電流源を低い
電圧で供給する変圧器530によって供給される。臨界的
ではないが、変圧器は、好ましくはタップスィッチによ
り制御された、440ボルトで単相75kVAの一次を5.7から1
0ボルトの並列の二次と共に有し、また50または60Hzの
周波数を有するべきである。その短絡出力電流は50kAか
それ以上であるべきである。その変圧器の二次の巻線は
太い銅の鋳造物の1または2の巻きから典型的には形成
される。変圧器の巻数比を限られた増加においてタップ
スィッチにより変えることによって、異なるサイズと形
の試料がすぐに加熱されることができる。そのような変
圧器は、カールコフ変圧器社(Kirkhof Transformer.Gr
and Rapids,Michigan)によって製造されたモデル G44
75NS61Sである。変圧器530の二次回路の脚528は、フレ
ーム501に堅固に接続され、そしてボルト527によってク
ロスヘッド504に固着されている。変圧器の他の脚、即
ち脚525は、ボルト524によって、湾曲した可撓な導体52
2に固定的に接続されている。この導体は、典型的には
全厚さにおいて1.3cm(約0.5インチ)であり、一連の平
行な銅の積層体から形成されている。湾曲した可撓な導
体567及び567′は全く同じように形成されている。リー
ド532及び532′は変圧器530の一次に接続され、それに
電流をよく知られた単流供給器(図示されない)から導
く。電流供給器は、GLEEBLE1500システムにおいて一般
に使用されているような、単相SCR(シリコン制御整流
器)による温度制御システムである。
ストップバー554及び554′はクロスヘッド504′及
び、絶縁スペーサ552及び552′を介して、クロスストッ
パ550に堅固に取付けられており、これらの全てはスト
ップアセンブリの内に含まれる。これは、クロスストッ
パはストップバーを通じてクロスヘッド504′に機械的
に接続されているが電気的にはそれから絶縁されている
ことを保障する。試料570を通じての直列の電気的経路
を完全なものとするために、湾曲した可撓な導体567及
び567′が、固着要素569及び569′によって、ストップ
バー554及び554′と導体プレート568とに堅固に取付け
られている。このプレートの左側はアンビル560′が据
付けられるアンビルサポート565に固着される。このア
ンビル560′は試料570の一端に対して当接する。試料57
0に適用される圧縮力または荷重を測定するために、ロ
ードセル574が導体プレート568の右側とウェッジシャフ
ト575の一端との間に置かれている。別個の繊維ガラス
のワッシャがそのロードセルの両側に置かれ、それを絶
縁し、電流がロードセルと導体プレート568またはウェ
ッジシャフト575のいずれとの間にも流れることを防止
する。そのロードセルはよく知られた絶縁ボルト573
(その内の3つのみが簡潔のために示されている)によ
りその周辺に沿って固着され、それらのボルトは繊維ガ
ラスのワッシャとロードセルとの両方を通して導体プレ
ート568に延びる。
ウェッジシャフト575は、ロードセル574からクロスヘ
ッド504′を通して延び、絶縁された軸受577の中を通り
またそれにより案内される。その軸受は、同様に、DIXO
N型のCJ軸受であることができる。そしてこの軸受は、
このクロスヘッドを完全に通して延びる貫通孔を内張り
する。ロードセルの近傍の電界をより一層減少させるた
め、ウェッジシャフト575は絶縁された繊維ガラスのワ
ッシャ579を介してウェッジヨーク582に接続されてい
る。ウェッジアセンブリ580は、ウェッジとウェッジヨ
ークの動作が明瞭に分かるように、横断面図で示されて
いる。ウェッジヨークは、図6A-6Cに示されるように、
ウェッジヨークの背面613を通して延びる二つの絶縁さ
れたボルト(図示されない)により、ウェッジシャフト
575に堅固に固着されている。これらのボルトは、それ
らのシャンクの周りに置かれた絶縁体及びそれらのヘッ
ドの下に配置される絶縁ワッシャを備える。これらのボ
ルトは、ウェッジ表面634の皿穴632を通して、ウェッジ
ヨークの本体を通して延びる穴642(その一つのみが特
に示されている)を通り、窪み638(これは繊維ガラス
のワッシャ579−この図では特に示されてはいない−を
収容する)を通り過ぎ、そしてウェッジシャフト575の
端部の中に延びる。図に示されるように、ウェッジヨー
ク582は、ヨークの垂直な軸に関して具体的には17度
(約30%の傾斜を生じる)のオーダで傾斜されているウ
ェッジ表面634を有し、このウェッジ表面はそのウェッ
ジ表面634の外方に平行して延びる二つの対向する凸縁
部611及び611′の間に位置する。表面634は、ウェッジ5
84上に位置する相補的に形づくられた表面624と当接的
に係合し、またそれに対して摺動する。図5及び6A-6B
に示されるように、ウェッジ584は、油圧シリンダ590に
よってそのウェッジを上または下に垂直に動かすピスト
ンロッド592に接続される。このシリンダは堅固な支柱5
93によりクロスヘッド504′に固着される。矢印621によ
って示される方向のこの垂直な運動は、ウェッジとウェ
ッジヨークとの摺動動作を通じて変換される時に、シャ
フト575を矢印623によって示される方向に動くようにさ
せ、これはまた、ロードセル574、導体プレート568、ア
ンビル560′及び最終的に、それに据付けられた試料570
を、矢印576によって示されるような左、あるいはこの
矢印によって示される方向とは反対方向の右のいずれに
も動くようにさせる。アンビル560′、アンビルサポー
ト565、導体プレート568、ロードセル574、シャフト57
5、ワッシャ579及びウェッジヨーク582は、全て互い
に、また例えばアンビル560のような、それを通してシ
リンダ505からの圧縮力を試料570に伝達する構成要素と
共に、同一の軸線上に配列される。
図5に関して、ピストン592を作動する油圧シリンダ5
90は、圧縮試験する間にシリンダ505によって供給され
ると同じ力、即ち具体的にはメートル法での8.3トンの
オーダの力、を一般に供給する。高圧パイプ595及び59
5′は作動油をシリンダ590の入口ポートへの、また出口
ポートからの経路で送る。このシリンダは、よく知られ
た油圧サーボ制御バルブ(図示されない)及び、本出願
人により製造されるGLEEBLE 1500に典型的に見られるよ
うなコンピュータ作動制御回路によって制御される。ウ
ェッジ584は約17度の傾斜を有するために(また約30%
の傾斜を生み出すために)、ウェッジシャフト575は、
ピストンロッド592の動きの約30%だけ速く、また遠く
に動くだけである。そのように、ウェッジ584はシリン
ダ590の力を増し、また非常に堅固な支持をアンビル56
0′に本質的に提供する。したがって、圧縮試験する間
にアンビル560′を矢印576によって示される方向とは反
対の方向に押し動かそうとするどのような試みも、シリ
ンダ505、511及び512によって供給されるよりも非常に
大きな機械抵抗に会わされる。更に、クロスヘッド504
への機械抵抗の経路は短く、ウェッジシャフト575、ウ
ェッジヨーク582、ウェッジ584及び、クロスヘッド50
4′に固定的にボルト止めされた(しかしそのように特
に図示されてはいない)ウェッジガイド583を通じたも
のである。全てのこれらの構成要素の横断面積は比較的
大きいから、それらに生じる応力(力/単位面積)はか
なり低く保持される。これはまた、これらの構成要素に
おける応力を、油圧シリンダ590によって最大限の力が
供給されたとしても、非常に小さな値に制限する。その
結果アンビル560′は、油圧シリンダ590により注意深く
また迅速に位置付けられることができ、またその後、シ
リンダ505がアンビル560を高い速度でまた高い力で動か
すことにより試料570を圧縮する間においても、その位
置のままであろう。更に、これらの構成要素の弾性率は
高く、試料570の圧縮試験の間にこれらの構成要素に引
き起こされる弾性歪みは一層減少される。
ウェッジアセンブリ580はまた、二つのウェッジガイ
ドプレート、ウェアプレート585及びリターンスプリン
グ587を含む。それらのウェッジガイドプレートは、互
いに鏡像関係にあり、互いの頂上に配置されている。こ
のことを考慮すると共に、組立体580内にウェッジ584及
びウェッジヨーク582が十分に露出されるように、一つ
のガイドプレート、即ちプレート583のみが図5で示さ
れるので、次の説明は他のガイドプレートには特に向け
られていない。図に示されるように、溝581は、幅にお
いてウェッジ584の厚さのほぼ二分の一に適切なクリア
ランス量を加えたものに等しく、ウェッジガイドプレー
ト583の全体にわたって垂直に切り欠かれている。ウェ
ッジ584はこの溝内で垂直に進む。ウェッジの背面626
は、両方のガイドプレートに据付けられたウェアプレー
ト(これは図面の平面の外に延びている)に対して摺動
する。溝578は、溝581よりも深くまた狭く、ガイドプレ
ート583の内側に水平に、また溝581に直角に切り欠かれ
ている。溝578は、ウェッジヨーク582の幅のほぼ二分の
一に適切なクリアランス量を加えたものに等しい深さを
有する。ウェッジヨーク582の凸縁部、具体的には凸縁
部611′(図6A-6C参照)、は、図5に示される溝578の
内でそれによって案内されて動く。そのように、両方の
ガイドプレートは、ウェッジヨークの凸縁部611及び61
1′(図6A-6C参照)が水平な運動に対して案内される溝
を共同して提供する。強力なリターンスプリング587
(その一つのみが図5に示される)が、図6B及び6Cに示
されるねじ穴625及び625′によって、ウェッジヨーク58
2の対向する凸縁部に接続されている。図5に示される
ように、これらのリターンスプリングは両方共ガイドプ
レートに対して圧縮され、そのため、ウェッジヨーク及
びウェッジシャフト575を矢印576で示されるとは反対方
向に引っ張る力をウェッジヨークに及ぼし、ウェッジと
ウェッジヨークの両方の互いの密接な接触が維持され
る。これらのリターンスプリングはボルトを備え、それ
らのボルトはウェッジガイドプレート及びウェアプレー
ト585を通して、図6Cに示されるように、ウェッジヨー
ク582の対向する凸縁部611及び611′に位置するねじ穴6
25及び625′内に延びる。説明したように、ウェッジ584
は、各圧縮的な打撃(ヒット)が試料になされている間
には動かされず、連続的な打撃の間のドウェル時間の間
で、特にピストンロッド509が後退されている間にのみ
動かされる。
有利には、ウェッジアセンブリ580は、試料の各圧縮
的な変形の間にシリンダ590に伝えられるどのような力
も最少限にするよう設計されることができる。特に、ウ
ェッジヨークの当接表面634及びウェッジの当接表面624
(図5及び6A-6C参照)、及び表面626及びウェアプレー
ト585の対応する表面は、それらの間に比較的高い量の
摺動摩擦を与えるように、例えばサンドブラストあるい
はその他のよく知られた手段によって、それぞれ粗面化
されることができる。そのように、試料の各圧縮変形の
間にウェッジを通じて伝えられる力のほとんどは、ピス
トンロッド592を介してシリンダ590に適用されるよりむ
しろ、これらの表面の間に存在する滑り摩擦に打ち勝つ
ために費される。ウェッジは、空気圧シリンダのみが試
料に力を及ぼしている間に、また特に連続する打撃の間
に存在するドウェル時間の間に、動かされるから、この
摺動摩擦はシリンダ590により容易に克服することがで
き、そしてその故にウェッジは、次の連続的な打撃の間
に試料に与えられるであろう歪みを増加するために、自
由に動かされることができる。油圧シリンダ590により
ウェッジアセンブリ580に発生される力は両方の空気圧
シリンダ511及び512により発生される組合わされた力よ
りも実質的に大きいために、これらの空気圧シリンダか
ら出るピストンロッド513及び514は、矢印576に示され
る方向へのウェッジアセンブリの運動によって、簡単に
押し戻される(即ち、強制的に後退される)。したがっ
て、ウェッジアセンブリは試料570を左にある距離づつ
漸進的に動かすので、その時ウェッジアセンブリによっ
て試料を通して及ぼされた力は、ピストンロッド513及
び514を同じ距離だけ空気圧シリンダ内に簡単に後退さ
せる。しかしながら、空気圧シリンダによって試料に同
時に及ぼされるその対向する力は、両方のアンビル560
及び560′と試料570との間に良好な電気的及び伝熱的接
触を維持し、そしてそれにより加熱電流がそれらを通し
て同時に流れることを可能にするには、十分なものであ
る。この接触の維持は、試料のワークゾーンを連続的な
打撃の間、望まれるように、自己抵抗的に加熱し、また
は伝導的に冷却することを可能にする。
ストップアセンブリの一部を構成すると共にシャフト
545の端部に取付けられたストッププレート543は、クロ
スストッパ550と協働して、各圧縮変形の間に試料570に
与えられる歪み速度を正確に制御する。特に、シャフト
540は、矢印542で示す圧縮方向に移動する場合におい
て、ストッププレート543がクロスストッパ550に衝突す
る時にその圧縮行程を急激に停止する。クロスストッパ
550がストップバー554及び554′を介してクロスヘッド5
04′に堅固に固定されている限りは、ストッププレート
543は、アンビル560がシリンダ505,511,512により付与
される最大限の力で試料570を圧縮する場合でさえ、ア
ンビル560のいかなる前進をも瞬時に停止するであろ
う。アンビル560をこのように停止することによって、
アンビル560は、常に確実に、正確な物理的位置で停止
し、その位置で試料570に与えられる真の歪み速度は、
アンビル560の圧縮方向への速度またはシリンダ505,51
1,512によりアンビル560に加えられる力に関係なく、急
激に零に低下するであろう。ストッププレート543がク
ロスストッパ550を貫通する貫通孔よりもかなり大きな
直径を有すると共に比較的肉厚である限りは、ストップ
プレート543はクロスストッパ550に衝突する時に変形し
ないであろう。この同一の停止手順が、試料570が連続
的に圧縮されることになる回数に関係なく、各連続的な
打撃(ヒット)と共に使用される。
試料570が、時間依存熱プロファイルを内部に確立す
べく熱処理を受けることになる場合、所定の加熱及び冷
却速度で試料570を自己抵抗的に加熱すると共に伝導的
に冷却する所望の熱的操作(即ち、いわゆる“熱プログ
ラム”)を、試験スタンドの機械的操作、即ち、いわゆ
る“変形プログラム”と同期させる必要がある。後者の
プログラムは、予め特定された変形プロファイルを試料
570に付与する。
上述のように、試料570は、制御された量の電流を内
部に流すことにより加熱される。印加されたAC電力の半
サイクルの間、この電流は、変圧器530、脚部525及び湾
曲した可撓の導体522から、導体520、導体シャフト54
0、ストッププレート543、延長シャフト545及びアンビ
ル560を通して、試料570の一側に流れる。このアンビル
560は、試料570が変形される間、試料570との良好な電
気的接触状態に維持される。これを提供するため、上述
のように、空気圧シリンダ511及び512は、クロスバー51
5を介して、導体シャフト540に、ひいては、アンビル56
0に適度な力を供給する。この力は、油圧シリンダ505の
動作に関係なく加えられる。この力は、ウエッジアセン
ブリ580により定位置に固定的に保持されるアンビル56
0′に対して、試料570を圧迫する。そのように、試料57
0は、ウエッジアセンブリ580がその移動を許容しなけれ
ば、アンビル560,560′間を移動することができない。
ストッププレート543がクロスストッパ550に当接しない
で、クロスストッパ550から離れて配置される限り、空
気圧シリンダにより加えられる力は、試料570によって
のみ支持される。
この半サイクルの間、試料570を通して流れる電流の
帰還経路は、最初にアンビル560′、アンビルサポート5
65及び導体プレート568を通るものである。この導体プ
レート568は、湾曲した可撓の導体567及び567′を通し
て、その電流の流れを分割する(これらの導体は各々約
半分の電流を運ぶ)。その電流は、その後、ストップバ
ー554及び554′を通して流れ、クロスヘッド504′で再
合流する。ここから、その電流は、再度約半分の電流に
分割されて、各支持コラム502及び502′に流れ込む。こ
れらの支持コラム502,502′がクロスヘッド504に固定さ
れている限りは、電流は、前記クロスヘッド504で再合
流し、脚部528を通して変換器530へ返流されるであろ
う。電流の流れは、その方向を印加AC電力の連続するサ
イクル毎に反転するであろう。加熱電流は、両支持コラ
ム502,502′を通して同一方向に流れるが、試料570にお
けるとは反対の極性の磁束線を発生する。両支持コラム
502,502′は、ほぼ同一量の加熱電流が各支持コラムを
通して流れるように、同一の寸法である。更に、両支持
コラム502,502′を通る電流により発生される磁界が均
衡を保つと共に試料570のワークゾーンでは効果的に取
消されるように、これらの支持コラム502,502′は、試
料570に対して適切に位置決めされている。これによ
り、さもなければこれらの磁界から生じるであろうとこ
ろの試料570のワークゾーンにおける誘導電流の流れ
が、効果的に除去される。そうすることによって、さも
なければいかなるかような誘導電流からも生じるであろ
うところの、試料570のワークゾーンの断面を通って流
れるほぼ全ての不均一な電流の流れと、不均一な加熱と
が、除去されることにもなり、これにより、前記ワーク
ゾーンに現れるいかなる熱勾配も、確実に大変小さいも
のとなるであろう。更に、また、これらの磁界の取消し
により、さもなければ前記支持コラム502,502′を通っ
て流れる高い電流から生じるであろういかなる力をも、
試料570に影響を及ぼすことから実質的に排除すること
ができる。加えて、全体の電流経路が、試料570からか
け離れて非常に低い電気抵抗を呈し、それにより、10kA
またはそれ以上のオーダの電流のときでさえ非常に低い
電圧低下を呈するよう、全ての電流伝導要素の断面及び
導電率が選択される。電流経路の電気損失を非常に低い
ものに維持することにより、そして、試料570及び試料5
70と各アンビル560,560′との間の界面の抵抗が両方と
も相対的に高い限り、変圧器530により供給される電力
のほとんどは試料570に供給される。更に、材料の機械
的寸法及び延性は加熱中に変化するので、支持コラム50
2,502′、導体520、導体シャフト540、延長シャフト54
5、アンビル支持プレート565及び導体プレート560の全
ては、好ましくは水冷と共に使用される、内部冷却通路
を備えている。十分な量の水が、これらの要素を通し
て、適度な速度でポンプ注入され、アンビル560,560′
及び試料570間の界面での温度が、加熱中に約20度Cを
越えて上昇しないように確保される。これにより、有利
に、これらの構成要素のいかなる物理的膨張も最小限と
されると共に、両アンビル560,560′が軟化することか
ら防止される。したがって、試料の所望の最終的な厚さ
は、一連の異なった試験を通して、試験スタンド500に
よって正確に再現可能であろう。
試料のワークゾーンの温度は、試料に衝撃溶接された
熱電対571により測定される。熱電対571から延びるリー
ド線572が、GLEEBLE1500システムに利用されているよう
な熱制御システム(図示されない)に接続される。本質
的に、試料のワークゾーンの温度は、変圧器530の出力
を変化すべく熱制御システム内で制御偏差信号を発生す
るために、プログラムされた温度値と比較される。その
出力は、試料のワークゾーンの温度を、時間の関数とし
てのプログラム値まで持っていくために十分な量だけ変
化される。所望であれば、周知の高温計または他の温度
測定装置を、容易に熱電対に代用することができる。温
度は時間の関数として制御され、そして試料のプログラ
ムされた機械的変形に同期される。ワークゾーンの温度
及びその物理的変形の両者を同時に制御することによ
り、本発明に係る試験スタンド500は、試料570における
最近の中高速マルチスタンド圧延機の動作を正確にシミ
ュレートすることができる。
本発明の試験スタンド500により典型的に生み出され
得る変形のプロファイルを具体的に説明するために、図
7は、最近の中速3スタンド熱間圧延機における最終の
圧延スタンドをシミュレートするために使用する試験用
試料570において、具体的には三つの連続する変形を含
む変形プロファイルを生じるよう、本試験スタンド500
によって生み出されることができるところの、図5に示
すピストンロッド509及びアンビル560′の典型的な位置
のプロファイルをグラフで示している。各変形量は、こ
のような圧延機の対応する各スタンドにおいて生ずる変
形量を代表するものである。理解を容易にするため、以
下の説明中では、図5及び図7の両者を同時に参照する
ようになされるべきである。
図示のように、曲線710は、時間の関数としてのピス
トンロッド509の位置を示すと共に、曲線750は、同じく
時間の関数としてのアンビル560′の同一時間における
位置を示す。図では、三つの連続する変形が示してあ
る。領域711及び773は、ピストンロッド509及びアンビ
ル560′の初期位置をそれぞれ示す。試料の最大圧縮時
の、即ち、ストッププレート543及びクロスストッパ550
による許容時のアンビル560の位置は、直線740に示され
る。図7に示される変形は、ピストンロッド509を矢印5
42方向に前進させることにより開始する。領域711は、
その間はピストンが移動しないドウェル領域を示す。運
動は、ピストンの所望速度への加速を表す僅かに湾曲し
た領域713において開始する。ピストンの慣性により、
この領域は直角とはなり得ない。さもなければ、ピスト
ンを瞬時に加速するために無限の力が必要とされるであ
ろう。その後、カプラ(連結器)510は、カプラ510′と
接触して、シャフト540及びアンビル560を右方に動かし
て、領域715の下方の部分全体を通じて、試料570を一定
の歪み速度で圧縮するようにする。アンビルの速度は、
領域715の傾斜により与えられる。この圧縮は、点717に
よって示されるように、ストッププレート543がクロス
ストッパ550に接触するまで続き、この点では試料にお
ける歪み速度は急激に零に低下し、そしてこの変形の間
における以降の圧縮は生じない。直線740に示される変
形の終結において、試料の厚さは距離761によって与え
られる。すぐにその後、点719において、ピストンロッ
ド509が反対方向に加速され、そしてその後点721で示さ
れるその開始点に引き戻される。それに続くドウェル時
間723の間、ピストンロッド509は移動しない;しかしな
がら、シリンダ590により作動されるウエッジアセンブ
リ580は、第二の変形に備えて、矢印576で示すように、
具体的には距離761及び763間の差だけ、アンビル560′
を左方に漸進的に移動させる。これにより、ストッププ
レートもクロスストッパの左方(矢印576方向)に距離7
61及び763間の差と同一距離だけ移動する。したがっ
て、第二の変形により試料に生じることになるであろう
最終的な歪みもまたこの差と同一となるであろう。第二
の変形は、ピストンロッド509が加速され、そして領域7
15の間よりも早い速度で領域725を通して運動するとと
共に開始する。実際の試料の圧縮は、領域725の下方の
部分の間で生ずる。この圧縮変形は、ストッププレート
がクロスストッパに再度当接する時急激に停止し、そし
て寸法763が示される最終的な厚さを生み出す。ピスト
ンはその後後退されると共に、ウエッジアセンブリは距
離767及び763間の差だけアンビル560′を漸進的に左方
に移動させ、そしてピストンは、その後再び、第三の変
形のため、加速されるなどされる。第三の変形の間、ピ
ストンは、領域735の傾斜により示されるように、第1
及び第二の変形のいずれの間におけるよりも大きな速度
で試料を圧縮する。同様に、試料は、実際には、領域73
5の下方部分の間でのみ圧縮される。その三つの変形の
終結における試料の最終的な厚さは、距離767で示され
る。上述のように、アンビル560′がウエッジアセンブ
リ580により漸進的に所望距離左方に移動されている
間、空気圧シリンダ511及び512のピストンロッド513及
び514は、同時に、同一距離だけ左方に押し戻される。
それにもかかわらず、再度上述したように、空気圧シリ
ンダ511,512は、シャフト540及び試料を通して十分な力
を発揮し続け、これにより、試料570が自己抵抗的に加
熱する(または伝導的に冷却する)ことを許容すべく、
低い抵抗の電気的経路及び熱の経路が導体520と試料と
の間に継続して存在することを、確実にする。図7に示
すドウェル時間は、ピストンロッド509がその最大速度
より小さい速度で回帰されている限り生じる。
そこで明らかに明確なように、ピストンロッド509の
速さ及び試料の歪み速度は、試料の最終的な歪みとは独
立して設定可能である。ピストン速度及び試料の歪み速
度は、とりわけ、ピストンロッドの自由運動により決定
され、他方試料の歪みは、ウエッジアセンブリ580によ
るアンビル560′の総計の漸進的移動により決定され
る。試料の厚さ及び厚さの変化の値が知られた値である
限り、ピストンの速度と試料の歪み速度のいずれかは、
試験スタンド500及び特にシリンダ505を制御するコンピ
ュータにより実行される試験プログラムに、所望の制御
値として直接プログラムされてもよい。更に、これらの
知られた値が与えられると共に、このコンピュータがシ
リンダ590をも制御するものである限り、試料の厚さと
所望の試料厚さでの試料の歪みとのいずれかは、このコ
ンピュータに所望の制御値として直接プログラムされて
もよい。GLEEBLE1500システムを作動するコンピュータ
は、ウエッジの運動を制御するために付加的な出力軸を
供給することに加えて、このように機能するように容易
にプログラムされることができる。
上述の作動を考慮すると、試料の最終的な厚さは、試
料が経験する打撃の回数に関係なく、正確にプログラム
可能である。同様に、最初の歪み速度も正確にプログラ
ム可能である。操作の間、これらの値は、本質的に独立
して制御可能な状態にある。更に、ピストンロッド509
の運動については、ピストンロッド509が試料を圧縮し
ている間、及び/または、シャフト540がストッププレ
ート543をクロスストッパ550に対して押圧している時間
の間、その速度を変更すべくプログラム可能である。こ
の場合、試験スタンド500は、アンビル560の速度を測定
する適当な装置を具備してもよい。こうすることによ
り、各変形を通じて所望の歪み速度が生じるようにする
ことが可能となるのみならず、歪み速度において位置的
に制御された変化が各変形の間のどのような時にも生じ
るようにすることが可能となるであろう。
図8は、ピストンロッド509の運動、並びに、プログ
ラムされたと共に実際の変形を表す曲線をグラフで示す
ものであり、これは、図2に示される同じの実質的に一
定な真の歪み速度を使用して、試料の厚さに40%の減少
(図示の例では10mmから6mm)を生じさせることによ
り、高速圧延機をシミュレートすべく図5に示す本発明
に係る試験スタンド500を使用するときはいつでも、本
試験スタンド500により生じることができるものであ
る。図8に明確に示されるように、破線曲線810はピス
トンロッド509の運動を示すと共に、実線曲線820は試料
の高さを示す。
領域822の間、継続する0.01秒間は、ピストンロッド
は、アンビル560に向かう自由運動の状態で適切な入口
速度に加速している。変形は、領域824で示すように、
次の0.01秒の間に起こり、約0.02秒で停止する。領域82
6は最終的な試料厚さを示し、それが達成された直後、
ピストンロッドは後退される。アンビル560の運動はス
トッププレート543がクロスストッパ550に衝突する時に
急激に停止するので(図5参照)、試料の歪み速度は所
望の変形が達成され時即座に零に減少し、そして何らの
過剰運動も有利に結果として生じない。このように、プ
ログラムされた変形と実際の変形との両者は同一なまま
である。図8において見られるように、アンビル560
は、比較的高いアンビル速度のときでさえ、変形の全体
を通じて実質的に一定の歪み速度を維持した。
明らかなように、図5に示すウエッジアセンブリ580
は、試料570の圧縮方向において右方から左方にシャフ
ト575を直接駆動する第二の油圧シリンダ(または他の
周知の高力アクチュエータ)により置換可能である。こ
のシリンダ(または他のアクチュエータ)から延びるピ
ストンロッドは、高い度合の剛性を示すものでなければ
ならず、さもなければ、アンビル560′が圧縮変形中に
右方に移動する可能性がある。作動液は、典型的にはオ
イルであるので、ある程度の圧縮性を有する。これによ
り、そのようなシリンダを使用した場合、結果として得
られるアンビル560′のための支持は、ウエッジアセン
ブリ580による場合、特に、両者とも圧縮試験の間比較
的小さい弾性歪みを呈する比較的堅い物体であるところ
の互いに当接するウエッジヨーク582及びウエッジ584に
よる場合、と同様には、堅固ではないであろう。作動液
はシリンダ590内でも使用されるけれども、ウエッジを
通してシリンダ590に伝達される力は、ウエッジヨーク5
82及びウエッジ584間に生じる機械的てこ作用によっ
て、また、図5に全て図示されているウエッジヨーク、
ウエッジ及びウェアプレート585間の摺動摩擦によっ
て、比較的極小である。
更に、ウエッジアセンブリ580はストッププレート543
に接続されることが可能であり、この場合、アンビル56
0′の位置はクロスヘッド504′により固定されることに
なる。またこの場合、ピストンロッド509の行程距離
は、各変形時に試料に引き起こされることになる歪み量
によって変化される、即ち、増大されるであろう。ウエ
ッジアセンブリをこの位置に配置することは、残念なが
ら、ピストンロッド509のプログラムされた運動によっ
て試料の歪み及び歪み速度を共に結びつけることによる
ピストンロッド509の運動のプログラム化を、複雑にす
るであろう。更に、ストッププレート543に接続された
ウエッジアセンブリは、1個のウエッジヨーク及び1個
のウエッジよりむしろ、1個のウエッジヨーク及び2個
の分割したウエッジを必要とし、これにより、上述した
アセンブリよりある程度複雑になる。
更に、ストップアセンブリは、ストッププレート54
3、U字形状のクロスストッパ550、絶縁スペーサ552及
び552′、並びにストップバー554及び554′を具備する
として説明したが、このストップアセンブリは、多数の
異なる外形のうちのいずれか一つを使用して容易に作製
されることができ、特に、クロスストッパを使用する場
合、図5に示すもの以外に、多種多様な異なる形状のク
ロスストッパのうちのいずれか一つを使用して容易に作
製されることができる。機能的には、このアセンブリ
は、その外形に関係なく、試験スタンド500により生み
出される最大の圧縮力下で最小の弾性歪みを呈する一
方、ピストンロッド509の圧縮行程を急激に停止する必
要がある。更に、このアセンブリが加熱電流を伝えるよ
うにされる場合、強制冷却のような、自己加熱によるそ
れの熱膨張を可能な限り低く維持するための措置が、こ
のアセンブリになされる必要がある。
本発明の教示を具体化する単一の好適実施例を示し
て、ここに詳細に説明したが、当業者であれば、これら
の教示を具体化する、なお多くの他の変更実施例を容易
に考案可能であろう。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料(570)を変形制御自在な動的材料試
    験装置(500)であって、 第一のアクチュエータ(505)を備え、固定フレームに
    装架された、第一の予め特定された方向(542)に沿っ
    て機械的な力を制御可能に発生するための力発生手段
    と、 前記試料が変形されている間試料の両側面に対応して保
    持し、試料に圧縮的な変形が生じるように前記試料を圧
    縮的に変形するための第一及び第二の変形手段(560,56
    0′)と、 前記第一の変形手段に接続され、前記試料を圧縮的に変
    形するように前記第一の変形手段を前記力に応答して、
    前記第一の予め特定された方向に沿って動かし、そし
    て、前記第一の変形手段が前記試料を所定の量だけ圧縮
    したときに前記第一の変形手段のそれ以上の運動を止め
    るための力の伝達及び停止手段(545,550,552,552′,55
    4,554′)と、 第二のアクチュエータ(590)を備え、前記第二の変形
    手段と接続されると共に固定フレームに装架され、そし
    て第二のアクチュエータに応答して作動されて、前記圧
    縮変形の開始に先立って第一の予め特定された方向とは
    反対の第二の方向に所定量だけ前記試料と前記第一及び
    第二の変形手段を動かすための移動手段であって、前記
    試料が圧縮変形されている間には前記第一の予め特定さ
    れた方向に動かない移動手段(575,580,590,592)と を具備し、 それにより、前記圧縮変形の間に試料に引き起こされた
    歪み速度と最終的な歪みは、それぞれ、前記変形の間の
    前記第一の方向に沿った前記力の伝達及び停止手段の速
    度と、前記変形に先立って前記第二の予め特定された方
    向に前記移動手段が動かされる距離とによって、実質的
    に独立して決定されることを特徴とする動的材料試験装
    置。
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