JP2743790B2 - ワイヤ放電加工装置 - Google Patents

ワイヤ放電加工装置

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JP2743790B2
JP2743790B2 JP26911193A JP26911193A JP2743790B2 JP 2743790 B2 JP2743790 B2 JP 2743790B2 JP 26911193 A JP26911193 A JP 26911193A JP 26911193 A JP26911193 A JP 26911193A JP 2743790 B2 JP2743790 B2 JP 2743790B2
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wire
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俊雄 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワイヤ放電加工装置の
下部アームの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来のワイヤ放電加工装置の断面
図を示すものであり、特公昭63−59809号公報に
開示されているものと同等である。図において、1はワ
イヤ電極、2は被加工物、3はローラ、4は鋳鉄等の金
属より構成されている下部アーム本体、5は回収モー
タ、6は回収ローラ、7は上部ワイヤガイド、8は下部
ワイヤガイド、9はXYクロステーブル、10は定盤、
11は加工電源、12は直流電源、13は制御回路、1
4はスイッチング素子、15は同軸ケーブル、16は上
部給電子、17は下部給電子、18は上部ガイドブロッ
ク、19は下部ガイドブロック、20はケーブル、21
は加工槽、22はベッド、23はコラム、24は上部ア
ーム、25は絶縁材、26は絶縁材、27は加工液タン
ク、28はポンプ、29は加工液、30は上部ノズル、
31は下部ノズル、32は加工部、33は絶縁カバーで
ある。
【0003】図8は別の従来例を示すワイヤ放電加工装
置の断面図であり、実開平2−114428号公報に開
示されているものと同様である。図において34は絶縁
材、35は絶縁コーティングである。図9は別の従来例
を示すワイヤ放電加工装置の断面図であり、特開平1−
109025号公報に開示されているものと同様であ
る。図において36は下部アームカバーである。
【0004】図10は別の従来例を示すワイヤ放電加工
装置の断面図であり、特開昭63−114816号公報
に開示されているものと同様である。図において37は
スクラップ、38は絶縁材、39は導電性検出筒、40
は接触検出回路、41は直流電源、42は検出用抵抗
器、43は比較器である。
【0005】次に動作などについて説明する。ワイヤ放
電加工は、ワイヤ電極1と被加工物2の間に電圧を印加
し、発生した放電で被加工物2を溶融させるものであ
る。第7図において、ワイヤ電極1は図示しない供給リ
ールより引き出され、被加工物2を貫通し、ローラ3で
方向を変えられて下部アーム本体4内部を通過し、回収
モータ5で駆動される回収ローラ6に巻きあげられる。
ワイヤ電極1の位置決めは、被加工物2の上下にある上
部ワイヤガイド7、下部ワイヤガイド8によってなされ
る。
【0006】被加工物2はモータで駆動されるXYクロ
ステーブル9上に取り付けられた金属製の定盤10に固
定され、NCプログラムに従ってワイヤ電極1と相対運
動を行い、所望の形状が形成される。制御は図示しない
ワイヤ放電加工装置の制御装置が行う。
【0007】加工電源11は直流電源12、制御回路1
3および制御回路によってオンオフされるスイッチング
素子14によって構成され、幅の短い直流電圧パルスを
発生する。加工電源11と加工部32を接続するケーブ
ルには、短いパルス幅の電圧を正確に伝達するため、イ
ンダクタンスの小さな同軸ケーブル15が用いられ驕B
加工特性上、(−)極のケーブルはワイヤ電極1側であ
り、上部給電子16、下部給電子17のできるだけ近く
に接続される。上部給電子16には上部ガイドブロック
18に同軸ケーブル15を接続して給電する。下部給電
子17には同軸ケーブル15を下部アーム本体4内部に
貫通させ、下部ガイドブロック19に接続して給電す
る。
【0008】(+)極は被加工物側であり、被加工物2
への給電は、上部ガイドブロック18および下部ガイド
ブロック19まで伸びた同軸ケーブル15の(+)極側
をケーブル20で延長し、定盤10に接続して行う。機
械構造体は剛性の観点から全て金属(主として鋳鉄)製
であるため、定盤10と加工槽21、XYクロステーブ
ル9、ベッド22、コラム23、上部アーム24、下部
アーム本体4等と電気的につながり、これらは全て
(+)極となる。そのため、(−)極である上部給電子
16を含む上部ガイドブロック18、下部給電子17を
含む下部ガイドブロック19は短絡しないよう上部アー
ム24、下部アーム本体4と絶縁材25、26を介して
取り付けられている。
【0009】加工時には、スラッジの排出とワイヤ電極
1の冷却のため、加工液タンク27からポンプ28によ
って汲み上げられた加工液29が上部ノズル30、下部
ノズル31から加工部32に噴出される。被加工物2の
形状によっては加工液29の係り具合がよくない場合も
あるため、加工槽21に加工液29を貯め、被加工物2
全体を加工液29に浸す場合が多い(浸漬加工とい
う)。加工液29としては通常水を用いる。
【0010】加工液29である水は水道水をイオン交換
して比抵抗値を高めて使用するが、加工電源11からの
電圧印加で流れる漏れ電流(電解電流)を0とすること
はできない。加工液29に浸される下部ガイドブロック
19((−)極)と下部アーム本体4((+)極)の間
に電解電流が流れると、(+)極である下部アーム本体
4の絶縁材26の近傍が電解腐食してしまう。電解腐食
は、(+)極側の金属がイオン化して電解液(この場合
は水)に溶け出すものである。絶縁カバー33は特公昭
63−59809号公報に記載されており、下部アーム
本体4の外周を加工液29から遮断して、電解電流が流
れる(すなわち下部アーム本体4が電解腐食する)のを
防止する役割を果たす。
【0011】ただし、この方法では絶縁カバー33に隙
間があったり、被加工物2の落下などによって絶縁カバ
ー33が破損すると下部アーム本体4は電解腐食してし
まう問題が残る。実開平2−114428号公報には、
図8における絶縁材34によって下部アーム本体4とコ
ラム23の間を電気的に絶縁し、下部アーム本体4自体
を電気的に浮遊させた状態にすることが記載されてい
る。下部アーム本体4を浮遊状態にすることによって
(+)電位でなくし、電解電流、電解腐食を防止する。
しかしながら、導電性の加工スラッジが絶縁材26に堆
積し、下部ガイドブロック19と下部アーム本体4が短
絡した場合、下部アーム本体4が(−)極側となる。下
部アーム本体4((−)極)と加工槽21((+)極)
との対向面積は広いので、大量の漏れ電流が流れ、加工
槽21が電解腐食する可能性がある。実開平2−114
428号公報では下部アーム本体4に絶縁コーティング
35を施しこれを防止するようにしている。
【0012】ワイヤ電極1と被加工物2とが相対運動を
行う際に、加工槽21を貫通している下部アーム本体4
も加工槽21に対してXY方向に相対運動する。この
際、摩擦などによる外力が加わると下部アーム本体4が
変位し、下部アーム本体4先端の下部ワイヤガイド8も
変位するので加工精度に影響が出る。特開平1−109
025号公報には、図9における下部アームカバー36
について記載している。下部アームカバーはコラム23
に固定され、下部アーム本体4を非接触に取り囲む。加
工槽21との接触は下部アーム本体4ではなく下部アー
ムカバー36が行うので、下部アーム本体4には外力が
かからず、下部ワイヤガイド8の変位の心配がない。
【0013】被加工物2のスクラップ37(切りカス、
不要部分)が加工槽21に落下し、下部アーム本体4に
接触すると、下部ワイヤガイド8が変位して、加工精度
が低下する可能性がある。最悪の場合は下部アーム本体
4が破損する。特開昭63−114816号公報にはそ
の防止方法が開示されている。
【0014】図10の絶縁材38は導電性検出筒39を
下部アーム本体4((+)極側)と電気的に絶縁するも
のである。接触検出回路40は一端が導電性検出筒39
に、もう一端が加工槽21(あるいはその他加工電源1
1(+)極側)に接続されており、両者が電気的に接触
すると、信号を発生する。検出方法は導電性検出筒39
と加工槽21に直流電源41で直流電圧を印可し、回路
に直列に挿入した検出用抵抗器42の端子電圧を比較器
43で基準電圧refと比較すればよい。両者が接触し
ていなければ検出用抵抗器42の端子電圧は基準電圧r
efより高いので、比較器43の出力はLowである。
加工槽21に落下したスクラップ37が下部アーム本体
4に接触すると検出用抵抗器42の端子電圧は基準電圧
refより下がり、比較器43の出力はHighとな
る。ワイヤ放電加工装置の制御装置は比較器43のHi
gh出力を受け取ったら、加工停止、XYテーブル9の
移動停止など的確な処置を取ることができ、加工精度の
低下や下部アーム本体4の破損を未然に防ぐことができ
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従来のワイヤ放電加工
装置は上記のように構成されているので、以下のような
問題点があった。電解腐食に関しては、前述した絶縁カ
バーの隙間や破損による電解腐食の問題以外に、下部ア
ーム外周に絶縁カバーを取り付けても、浸漬加工で加工
液に下部アームが浸っていると下部アーム内面に電解腐
食が発生する(ワイヤ電極が下部アーム内を貫通してい
る)。内面に隙間なくカバーを取り付けることは構造的
に困難であり、隙間が少しでもあれば意味がない。下部
アームとコラムの間に絶縁材を入れる方法では絶縁材の
分のコストが高くなる上に、絶縁コーティングが破れた
り、ピンホールがあったりすれば電解腐食が発生する。
すなわち、いずれの場合も、電解腐食の問題を高い信頼
性を確保して解決できていない。
【0016】下部アームカバーによる外力遮断は加工槽
との摩擦等による外力には効果がある。しかし、下部ア
ームにはこの他に、加工中の加工液の反力によるものが
ある。下部アーム先端には下部加工液ノズルがあり、加
工中は加工液を噴出している。加工液ポンプの吐出圧力
は1.5MPa(15kgf/cm2 )以上あり、被加
工物に当たった加工液の反力が下部加工液ノズルすなわ
ち下部アーム先端にかかる。下部アームのたわみは下部
ワイヤガイドの変位となり、加工精度に悪影響を及ぼ
す。下部アームカバーは何等効力がない。
【0017】さらに、別の外力として、下部ガイドブロ
ックから定盤に接続されているケーブルによるものがあ
る。被加工物とワイヤ電極が相対運動する際に、ケーブ
ルの加工槽に対する摺動抵抗、引っ張り、挟み込みによ
って下部アームが力を受けるものである。加工液反力同
様、下部アームカバーは無力である。これらの外力に対
抗するには、下部アーム本体4を太くする外はなく、ス
ペース、コストの点で問題がある。
【0018】加工槽に落下したスクラップの検出では、
下部アームと絶縁した導電性検出筒を必要とし、コスト
がかかるだけでなく、下部アームが太くなってしまい、
スペース的にも不利となる。さらに、導電性検出筒と加
工槽が両方とも金属であるので、浸漬加工においては、
直流電圧を印加する方法では(+)極側が電解腐食して
しまう。
【0019】加えて、熱伝達性のよい加工液のかかる下
部アームと、加工液のかからない上部アームとは熱によ
る伸び量が異なるため、上部アーム先端に取り付けられ
た上部ワイヤガイドと、下部アーム先端に取り付けられ
た下部ワイヤガイドとが相対的に変位してしまい、加工
精度を悪くすることも問題点としてあげられる。
【0020】この発明は上記の問題点を解決するために
なされたもので、電解腐食がなく、また熱膨張による変
位量が小さい下部アームを備えたワイヤ放電加工装置を
提供するものである。
【0021】また、この発明は剛性の大きい下部アーム
を備えたワイヤ放電加工装置を提供するものである。
【0022】また、この発明は下部アームに外力を与え
る可能性のある電源ケーブルを無くすることのできるワ
イヤ放電加工装置を提供するものである。
【0023】更にまた、この発明は加工槽に落下したス
クラップの検出に際し、特別な検出板を必要としないワ
イヤ放電加工装置を提供するものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係わるワイ
ヤ放電加工装置は、下部アーム本体を炭素繊維強化プラ
スチックによって構成するようにしたものである。
【0025】第2の発明に係わるワイヤ放電加工装置
は、下部アーム本体を炭素繊維強化プラスチックで構成
するとともに、炭素繊維量の10〜20%を下部アーム
の長手方向に対して45゜方向に巻くようにしたもので
ある。
【0026】第3の発明に係わるワイヤ放電加工装置
は、下部アーム本体を炭素繊維強化プラスチックで構成
するとともに、コラムと電気的に導通状態とし、(−)
極が下部給電子(下部ワイヤガイドブロック)に接続さ
れる給電用同軸ケーブルの(+)極側を接続するように
したものである。
【0027】第4の発明に係わるワイヤ放電加工装置
は、炭素繊維強化プラスチックに炭素繊維より導電率の
高い金属を埋め込むようにしたものである。
【0028】第5の発明に係わるワイヤ放電加工装置
は、下部アーム本体を少なくとも最外周が導電性樹脂か
らなる炭素繊維強化プラスチックで構成するとともに、
下部アームと加工槽を電気的に絶縁し、且つ両者が電気
的に接触したことを検出し、信号を発生する接触検出回
路を接続するようにしたものである。
【0029】
【作用】第1の発明に係わるワイヤ放電加工装置の下部
アームにおける炭素繊維強化プラスチックは、電解腐食
を皆無とするとともに、熱変位を抑制する。
【0030】第2の発明に係わるワイヤ放電加工装置の
下部アームの長手方向に対して45゜方向に巻かれた炭
素繊維は、下部アームの剛性を増大させる。
【0031】第3の発明に係わるワイヤ放電加工装置の
下部アームは、(−)側である下部給電子に対し、加工
電源の(+)極側の電流経路となる。
【0032】第4の発明に係わるワイヤ放電加工装置の
下部アーム本体に埋め込まれた金属は、大電流を流す電
流経路となる。
【0033】第5の発明に係わる放電加工機の下部アー
ムの最外周の導電性樹脂は、加工槽に落下したスクラッ
プと下部アーム本体を導通させる、炭素繊維ケーブルの
役割を果たす。接触検出回路は加工槽に落下したスクラ
ップと下部アームの接触を検出し、信号を発生してワイ
ヤ放電加工装置の制御装置に伝える。
【0034】
【実施例】
実施例1.図1は、第1の発明に係わるワイヤ放電加工
装置の下部アームの一実施例を示す断面図であり、図に
おいて、44は炭素繊維強化プラスチックで構成される
下部アーム本体である。なお、この炭素繊維強化プラス
チックの炭素繊維は、TORAYCA(東レ(株)商品
名)を使用しており、またプラスチックとしてエポキシ
樹脂系のものを使用している。また他の構成は従来のも
のと同様である。
【0035】前述のように、電解腐食は(+)極側の金
属が電解液中にイオンとなって溶け出すために発生す
る。炭素繊維強化プラスチックは所望の形状に巻き付け
た炭素繊維をエポキシ等の樹脂で固めたものを積層した
ものであり、炭素による導電性を持っている。樹脂は通
常非導電性であり、万一樹脂が破損して炭素繊維がむき
出しになった状態でも炭素はイオン化しないため、電解
液中で(+)極として使用しても溶出しない。すなわ
ち、電解腐食が発生しない。
【0036】従って、下部アーム本体44とコラム23
との間の絶縁材は必要なく、下部アーム外周に絶縁カバ
ーや絶縁コーティングを施す必要もない。同様に、下部
アーム内面にも絶縁カバーや絶縁コーティングは不要で
ある。さらに、炭素繊維強化プラスチックの熱膨張係数
は鋳鉄の半分であり、加工液29の熱による下部アーム
本体44の伸びを抑えることができる。なお、これは他
の発明においても同様である。
【0037】実施例2.図2は、第2の発明に係わるワ
イヤ放電加工装置の下部アームの一実施例を示す断面図
であり、図において、45は下部アーム長手方向に対し
て45゜方向の炭素繊維を炭素繊維全体の10〜20%
含む炭素繊維強化プラスチックで構成された下部アーム
本体である。なお、この炭素繊維強化プラスチックの炭
素繊維は、TORAYCA(東レ(株)商品名)を使用
しており、またプラスチックとしてエポキシ樹脂系のも
のを使用している。また他の構成は従来のものと同様で
ある。
【0038】炭素繊維強化プラスチックは炭素繊維の方
向によって剛性が変化する。下部アーム本体45は、前
述のように加工液29の反力により先端(自由端)に下
向きの力を受ける。加工精度を悪化させないため、加工
液反力に対して先端の変位が最小になることが望まし
い。
【0039】炭素繊維強化プラスチックにおける、炭素
繊維の方向・その割合と変位を測定した結果を図3に示
す。試験材料は円筒形とし、一端を固定して自由端に集
中荷重Fをかけた場合の自由端の変位量δを示してい
る。また図3において、繊維Aは、TORAYCA(東
レ(株)商品名)の高強度系のもの(ヤング率:235
00Kg/mm2)を、また繊維BはTORAYCA
(東レ(株)商品名)の高弾性系のもの(ヤング率:6
5000Kg/mm2)を示す。また図中0°/90°
は炭素繊維をアームの軸方向に巻回している場合であ
り、また±45°は炭素繊維をアームの軸線に対し±4
5°の角度をもって巻回している場合を示す。2種類の
炭素繊維強化プラスチックのどちらの場合も、下部アー
ム長手方向に対して45゜方向の繊維を10〜20%加
えると、変位量が最小、すなわち剛性が最大となってい
ることが判る。
【0040】実施例3.図4は、第3の発明に係わるワ
イヤ放電加工装置の下部アームの一実施例を示す断面図
であり、図において、46は炭素繊維強化プラスチック
で構成される下部アーム本体、47は加工電源11から
伸びる同軸ケーブル15の下部アーム側の(+)極側接
続点である。なお、この炭素繊維強化プラスチックの炭
素繊維は、TORAYCA(東レ(株)商品名)を使用
しており、またプラスチックとしてエポキシ樹脂系のも
のを使用している。また他の構成は従来のものと同様で
ある。
【0041】前述のように、加工特性上加工電源の
(−)極側のケーブルはできる限り給電子の近くに接続
することが望ましい。下部給電子17の場合は、同軸ケ
ーブル15を加工電源11から下部アーム本体46内部
を貫通させ、下部ガイドブロック19まで伸ばして
(−)極を接続する。ワイヤ電極1への加工エネルギ供
給は、従来と同様下部給電子17より行われる。
【0042】(+)極側は下部アーム本体46に接続点
47で固定される。炭素繊維強化プラスチックは導電性
であり、下部アーム本体46がケーブルの役割を果た
す。すなわち、被加工物2への(+)極側の加工エネル
ギの供給は、下部アーム本体46→コラム23→ベッド
22→XYクロステーブル9→加工槽21→定盤10→
被加工物2となる。
【0043】従来必要だった下部ガイドブロック19か
ら定盤10へ接続される(+)極側のケーブル20は不
要となる。したがって、ケーブルの摺動による摩擦や引
っ張り、挟み込み等の外力による下部アーム本体46の
変位は完全に0にできる。
【0044】実施例4.実施例3において、炭素繊維強
化プラスチックに炭素繊維より導電性の高い金属、例え
ば銅、アルミニウムなどを埋め込んでおくと、金属が導
電体となって下部アーム自体の電気抵抗値が下がり、よ
り高い電流ピーク値が得られる。この場合、埋め込まれ
た金属は樹脂により加工液から遮断されるので、電解腐
食が発生することはない。
【0045】図5は第5の発明におけるワイヤ放電加工
装置の下部アームの一実施例を示す断面図であり、図に
おいて、48は少なくとも最外周が導電性樹脂からなる
炭素繊維強化プラスチックで構成された下部アーム本体
である。なお、この炭素繊維強化プラスチックの炭素繊
維は、TORAYCA(東レ(株)商品名)を使用して
おり、またプラスチックとしてエポキシ樹脂系のものを
使用している。また他の構成は従来のものと同様であ
る。
【0046】炭素繊維強化プラスチック製の下部アーム
本体48は、少なくとも最外周、できれば全体に炭素粉
などを混入した導電性樹脂で製作する。下部アーム本体
48は絶縁材34でコラム23すなわち加工槽21と電
気的に絶縁されている。加工槽21と下部アーム本体4
8には接触検出回路40が、下部アーム本体48側を
(+)極、加工槽21側を(−)極として接続される。
接触検出回路40の構成、動作は従来例と同様である。
【0047】下部アーム本体48は導電性を持ってお
り、全体が接触検出板として機能する。すなわち、加工
槽21に落下したスクラップ37が下部アーム本体48
のどこかに接触すれば、接触検出抵抗器42の端子電圧
が低下する。基準電圧refより入力電圧が下がるた
め、比較器43の出力がHighとなり、図示しないワ
イヤ放電加工装置の制御装置は、必要に応じて加工停止
や、XYテーブル9の移動を停止させ、加工精度の劣化
や下部アーム本体48の損傷を防止する。
【0048】実施例6.図6は第5の発明の別の実施例
を示す断面図であり、図において49は加工槽を電気的
に浮遊状態にするための絶縁材である。動作については
下部アーム本体48をコラム23と絶縁したものと同様
であり、省略する。
【0049】
【発明の効果】第1の発明によれば、下部アームの下部
アーム本体を炭素繊維強化プラスチックで構成したの
で、下部アームの電解腐食を完全になくすことができる
とともに、部品点数、コストを削減することができる。
【0050】第2の発明によれば、下部アームの下部ア
ーム本体を、下部アーム長手方向に対して45゜方向に
巻かれた炭素繊維が炭素繊維全体の10〜20%含まれ
る炭素繊維強化プラスチックで構成したので、下部アー
ムの剛性を高めることができ、外力が加わっても下部ワ
イヤガイドの変位を極小とすることができ、加工精度の
悪化を防止できる。
【0051】第3の発明によれば、下部アームの下部ア
ーム本体を炭素繊維強化プラスチックで構成するととも
に、下部アームとコラムを電気的に導通状態にし、加工
電源からの給電ケーブルの陽極側を下部アームに接続し
たので、下部アームに外力を与える可能性のあるケーブ
ルをなくすことができるようになり、下部ワイヤガイド
の変位を0とすることができ、加工精度の悪化を防止で
きる。
【0052】第4の発明によれば、下部アーム本体を構
成する炭素繊維強化プラスチックに、炭素繊維より導電
率の高い金属を埋め込んだので、第3の発明の効果に加
えて、加工電流ピーク値を高くすることができ、加工速
度を増大することができる。
【0053】第5の発明によれば、下部アームの下部ア
ーム本体を、少なくとも最外周が導電性樹脂からなる炭
素繊維強化プラスチックで構成するとともに、下部アー
ムと加工槽を電気的に絶縁状態とし、且つ下部アームと
加工槽との導通を検出する接触検出回路を備えたので、
特別な検出板を必要とすることなく、スクラップの衝突
による下部アームの変位を未然に防ぐことができ、加工
精度の悪化や下部アームの破損を防止できる。
【0054】さらに、第1〜第5の発明において、加工
液等による下部アーム周囲の温度変化に対して熱膨張に
よる変位量を小さくできるので、上部ワイヤガイドと下
部ワイヤガイドの相対変位が小さくなり、加工精度の悪
化を防止できる。
【0055】また鋳鉄に比べ、炭素繊維強化プラスチッ
クは比重が小さく取り扱い易いので、搬送、組み立てに
対しても有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示すワイヤ放電加工装置
の断面図である。
【図2】この発明の実施例2を示すワイヤ放電加工装置
の断面図である。
【図3】この発明の実施例2に係る、炭素繊維強化プラ
スチックにおける炭素繊維の方向・割合と荷重負荷時の
変位量の関係を示す図である。
【図4】この発明の実施例3を示すワイヤ放電加工装置
の断面図である。
【図5】この発明の実施例5示すワイヤ放電加工装置の
断面図である。
【図6】この発明の実施例6を示すワイヤ放電加工装置
の断面図である。
【図7】従来のワイヤ放電加工装置の断面図である。
【図8】従来のワイヤ放電加工装置の断面図である。
【図9】従来のワイヤ放電加工装置の断面図である。
【図10】従来のワイヤ放電加工装置の断面である。
【符号の説明】
1 ワイヤ電極 2 被加工物 3 ローラ 4 下部アーム本体 5 回収モータ 6 回収ローラ 7 上部ワイヤガイド 8 下部ワイヤガイド 9 XYクロステーブル 10 定盤 11 加工電源 12 直流電源 13 制御回路 14 スイッチング素子 15 同軸ケーブル 16 上部給電子 17 下部給電子 18 上部ガイドブロック 19 下部ガイドブロック 20 ケーブル 21 加工槽 22 ベッド 23 コラム 24 上部アーム 25 絶縁材 26 絶縁材 27 加工液タンク 28 ポンプ 29 加工液 30 上部ノズル 31 下部ノズル 32 加工部 33 絶縁カバー 34 絶縁材 35 絶縁コーティング 36 下部アームカバー 37 スクラップ 38 絶縁材 39 導電性検出筒 40 接触検出回路 41 直流電源 42 検出用抵抗器 43 比較器 44 下部アーム本体 45 下部アーム本体 46 下部アーム本体 47 (+)極接続点 48 下部アーム本体 49 絶縁材

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物の下方でワイヤ電極を摺動自在
    に位置決めする下部ワイヤガイドを支承する下部アーム
    を備えたワイヤ放電加工装置において、前記下部アーム
    の下部アーム本体を炭素繊維強化プラスチックで構成し
    たことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  2. 【請求項2】 被加工物の下方でワイヤ電極を摺動自在
    に位置決めする下部ワイヤガイドを支承する下部アーム
    を備えたワイヤ放電加工装置において、前記下部アーム
    の下部アーム本体を、下部アーム長手方向に対して45
    ゜方向に巻かれた炭素繊維が炭素繊維全体の10〜20
    %含まれる炭素繊維強化プラスチックで構成したことを
    特徴とするワイヤ放電加工装置。
  3. 【請求項3】 被加工物の下方でワイヤ電極を摺動自在
    に位置決めする下部ワイヤガイドを支承する下部アーム
    を備えたワイヤ放電加工装置において、前記下部アーム
    の下部アーム本体を炭素繊維強化プラスチックで構成す
    るとともに、下部アームとコラムを電気的に導通状態に
    し、加工電源からの給電ケーブルの陽極側を下部アーム
    に接続することを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  4. 【請求項4】 下部アーム本体を構成する炭素繊維強化
    プラスチックに、炭素繊維より導電率の高い金属を埋め
    込んだことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ放電加
    工装置。
  5. 【請求項5】 被加工物の下方でワイヤ電極を摺動自在
    に位置決めする下部ワイヤガイドを支承する下部アーム
    を備えたワイヤ放電加工装置において、前記下部アーム
    の下部アーム本体を、少なくとも最外周が導電性樹脂か
    らなる炭素繊維強化プラスチックで構成するとともに、
    下部アームと加工槽を電気的に絶縁状態とし、且つ下部
    アームと加工槽との導通を検出する接触検出回路を備え
    たワイヤ放電加工装置。
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