JP2742336B2 - 脳波誘導装置 - Google Patents

脳波誘導装置

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JP2742336B2 JP3118566A JP11856691A JP2742336B2 JP 2742336 B2 JP2742336 B2 JP 2742336B2 JP 3118566 A JP3118566 A JP 3118566A JP 11856691 A JP11856691 A JP 11856691A JP 2742336 B2 JP2742336 B2 JP 2742336B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、目的とする脳波を効率
よく誘導するための脳波誘導装置に関する。
【0002】
【従来の技術】人間の脳波とその生理的・心理的状態と
の間には密接な関係があることが知られている。例え
ば、リラックス状態にあるときはα波(約8〜13Hz)
が多く発生し、活動状態にあるときはβ波(約14〜3
0Hz)が多く発生し、眠くなったときなどにはθ波(約
4〜7Hz)が多く発生する。また、これとは逆に、所定
の脳波が多く発生するように誘導してやれば、対応する
生理的・心理的状態になり易くなる。
【0003】そこで、従来にあっては、このような脳波
とその生理的・心理的状態との間の相互作用を利用し、
外部から身体に刺激を与えることにってα波を誘導し、
身体と精神をリラックス状態に導き、ストレスの軽減や
精神統一などを図る装置が種々開発されている。
【0004】例えば、本発明の出願人会社が出願した特
願平1−205780号(特開平3−70572号公
報)のものがある。これは、被験者の頭部に着脱自在と
されたヘッドバンドの顔面位置に被験者の眼面を覆う遮
光板を設け、この遮光板の内側所定位置に脳波を誘導す
る光刺激用の発光部と被験者の頭部所定の位置に当接す
る脳波用電極とを設け、かつ、この電極で検出した脳波
信号に基づいて誘導を目的とする脳波に対応する所定の
光刺激信号を作成して前記発光部に送出する脳波信号処
理部とからなるものである。
【0005】前記した如く構成されたヘッドバンドを被
験者の頭部に装着し遮光板にて顔面を覆うと、外光が遮
光板により遮断される。そして、脳波用電極を顔面所定
位置に当接して被験者の脳波をピックアップする。する
と、脳波信号処理部は脳波用電極から送出される脳波信
号に基づいて誘導を目的とする脳波に対応する所定の光
刺激信号を作成し発光部に送出する。従って、発光部は
光刺激信号に従って点滅し、目をつぶっている被験者の
瞼に向けて光刺激を与えるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した従
来における脳波誘導装置にあっては、ヘッドバンドを頭
部に装着しなければならず、また、顔面のまじかで発光
部が点滅するために光刺激よりも煩わしさを感じてリラ
ックスした状態になり難かった。さらに、脳波用電極が
適性の位置にあるか否かの判断は被験者の感に頼るしか
なく、電極ずれなどの確認が行えないという問題点があ
った。
【0007】本発明の脳波誘導装置は前記した問題点を
解決せんとするもので、その目的とするところは、被験
者は椅子に座った自然な状態で光刺激を受けることがで
きるので、リラックスした状態で脳波誘導が行えて目的
とする脳波を効率よく誘導することができ、また、脳波
用電極が所定の位置にセットされているか否かを目で確
認できる脳波誘導装置を提供せんとするにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の脳波誘導装置は
前記した目的を達成せんとするもので、その手段は、椅
子の背凭れ上面に開閉自在に取付けられ、前方に回動し
た状態で椅子に座った被験者の顔面を覆うフードと、該
フードの内面の被験者の顔面に対応した位置に取付けら
れ脳波を誘導する光刺激用の発光部と、被験者の前頭部
に取付けられ脳波を検出する脳波用電極、該脳波用電極
よりの検出信号中から誘導すべき脳波に対応する所定の
周波数成分のみを選択的に通過させる帯域フィルタ、該
帯域フィルタの出力信号の振幅レベルを所定のレベルに
調整するレベル調整手段、該レベル調整手段の出力信号
を所定の身体刺激信号に変換し前記発光部に出力する変
換手段とからなる脳波処理部とを具備したものである。
【0009】また、前記したフードの少なくとも被験者
の目が位置する部分をハーフミラーあるいはミラーで構
成して被験者が前記脳波用電極の装着状態を見ることが
できるようにしたものである。
【0010】
【作用】前記した如く構成した本発明の脳波誘導装置
は、椅子の背凭れに開閉自在に取付けられたフードの内
面に発光部を取付け、該フードを被験者の前面に回動し
た状態で脳波用電極を前頭部にセットして脳波信号処理
部を駆動することにより、前記脳波用電極によりピック
アップされた被験者自身の脳波に基づいて誘導を目的と
する脳波に対応した光刺激信号を作成し、この光刺激信
号を発光部に送出して被験者を光刺激するものである。
【0011】また、前記したフードの内面の少なくとも
被験者の目の位置にハーフミラーあるいはミラーを配置
して脳波用電極のセット状態を確認できるようにしたも
のである。
【0012】
【実施例】以下、本発明の脳波誘導装置の一実施例を図
面と共に説明する。1は少なくとも座部1aの裏面に被
験者に振動を与えるスピーカユニットが取付けられた椅
子にして、背凭れ1bおよび足支え1cが座部1aに対
して起伏自在に形成された椅子である。
【0013】2は該椅子1の背凭れ1bの上端に固定さ
れ、被験者の頭部を覆うカプセル、3は該カプセル2の
外周面の両端に開閉自在に軸支された半透明な合成樹脂
の一部にハーフミラーあるいはミラーが形成され、ある
いは全体がハーフミラーあるいはミラーで形成されたフ
ードにして、上方に押し上げた状態においてはカプセル
2の上面を覆い、また、下方に押し下げた状態において
椅子1に座った被験者の顔面を覆うように構成されてい
る。そして、このフード3の開口縁内面側には一列に複
数の赤色発光ダイオード等の発光部4が取付けられてい
る。なお、この発光部4にはドライバ回路が組み込まれ
ているものとする。
【0014】5は前記カプセル2に取付けられたスピー
カにして、椅子1に座った被験者の耳の位置に配置でき
るように調整自在に取付けられている。6は該スピーカ
5および前記した座部1bの裏面に取付けられたスピー
カユニットに音楽信号を出力するためのソース源にし
て、椅子1の肘掛け1dに取付けられている。
【0015】次に、前記した発光部4を点滅させるため
の脳波信号処理部を図3以降を参照して説明する。7
a,7bは被験者の前頭部から脳波をピックアップする
ための一対の電極、8は電極7a,7bによりピックア
ップされた脳波信号をその後の処理に適した信号レベル
まで増幅する生体アンプ、9は帯域フィルタ、10はレ
ベル自動調整回路である。
【0016】帯域フィルタ9は、脳波信号中の目的とす
る脳波に対応する信号成分のみを通過させるものであ
り、例えば、α波(8〜13Hz)を誘導する場合には通
過帯域の中心周波数f0 =10Hz、回路のQ=10に、
θ波(4〜7Hz)を誘導する場合にはf0 =5Hz、Q=
10に、β波(14〜30Hz)を誘導する場合にはf0
=20Hz、Q=4などに設定される。
【0017】レベル自動調整回路10は、例えば、信号
レベルを常に一定に維持する自動利得制御(AGC)回
路、あるいは最大振幅を一定値以下に抑えるリミッタや
クリッパなどからなり、目的に応じて最適な回路が用い
られる。
【0018】次に、α波を誘導する場合を例にとり、そ
の動作を説明する。なお、α波を誘導する場合には、前
述したように、帯域フィルタ9の通過帯域の中心周波数
0 と回路のQは、例えばf0 =10Hz,Q=10に設
定される。
【0019】被験者が椅子に座ってフード3をカプセル
2に対して回動して、該フード3が顔面を覆う位置にな
るようにすると共に被験者はハーフミラーあるいはミラ
ーを見ながら脳波用電極7a,7bを前頭部の最適な位
置にセットする。そして、図示しない装置のスイッチを
オンにすると、電極7a,7bは前頭部から脳波をピッ
クアップし、生体アンプ8に送る。
【0020】この脳波信号は、生体アンプ8で増幅され
た後、帯域フィルタ9に送られ、目的とするα波に相当
する10Hz付近の周波数成分のみが選択され、レベル自
動調整回路10へ送られる。
【0021】レベル自動調整回路10は、帯域フィルタ
9から送られてくる出力信号を所定のレベルに調整し、
発光部4に送る。そして、発光部4は、このレベル調整
された10Hz付近のα波成分信号により発光ダイオード
等の発光部4を点滅制御し、α波に同期した点滅光を使
用者に向けて照射する。
【0022】被験者は上記点滅光による光刺激を受ける
と、その引き込み現象により脳波中のα波が強く誘導さ
れる。そして、この誘導された脳波は、再び電極7a,
7bによりピックアップされて生体アンプ8に送られ、
上記動作を繰り返す。
【0023】従って、脳波の誘導を開始すると、本発明
装置と被験者を結ぶ一巡する閉ループが形成され、帯域
フィルタ9で選択したα波成分信号を発振周波数とする
一種の発振回路が構成される。この結果、脳波中のα波
は次第に強くなり、α波含有率、α波波高値の増大が顕
著となる。
【0024】図4および図5は、α波誘導の実測波形を
示す。図4は上記実施例において光刺激が適性レベルで
行われた場合の波形であり、図5はレベル調整を行わ
ず、光刺激が強すぎた場合の波形である。
【0025】図4と図5を比較すれば明らかなように、
光刺激が強すぎる場合には、前述した生体の生理的・心
理的な防御反応により波打ち現象が起こり、α波が間欠
的に発生するようになるが、光刺激が適性な場合には、
α波が連続的に誘導されることが分かる。
【0026】なお、本発明装置は被験者自身を閉ループ
内に含む一種の発振回路を形成するものであるから、上
記発光部4の発する刺激光の点滅タイミングとα波の振
幅変化の最大・最小位置とが一致するようにその位相を
揃えれば、更に効率のよい誘導を行うことができる。こ
の位相を揃えるには帯域フィルタ9、レベル自動調整回
路10または発光部4で位相補正するか、あるいは回路
途中に位相補正回路を挿入すればよい。
【0027】以上説明した実施例は、α波を誘導する場
合の例であるが、帯域フィルタの通過帯域周波数を変え
れば、θ波やβ波も同様に誘導することができる。ま
た、身体の生理的変化信号として脳波そのものを用いた
が、脳波に代えて脳波との間に一定の相関を有する皮膚
電位、皮膚振動、皮膚抵抗などの生理現象を利用するこ
ともできる。
【0028】
【発明の効果】発明は前記したように、椅子の背凭れに
開閉自在に取付けられたフードの内面に発光部を取付
け、該フードを被験者の前面に回動した状態で脳波用電
極を前頭部にセットして脳波信号処理部を駆動すること
により、前記脳波用電極によりピックアップされた被験
者自身の脳波に基づいて誘導を目的とする脳波に対応し
た光刺激信号を作成し、この光刺激信号を発光部に送出
して被験者を光刺激するようにしたので、被験者はフー
ドによって周囲の環境から隔離されたリラックス状態で
光刺激を受けることができ、従って、速やかに目的とす
る誘導状態(例えばリラック状態)に入り安いものであ
る。
【0029】また、前記したフードの内面の少なくとも
被験者の目の位置にハーフミラーあるいはミラーを配置
したので、脳波用電極のセット状態を確認でき、従っ
て、最適な位置に脳波用電極をセットできて良好なる被
験者自身の脳波に基づいて誘導を目的とする脳波に対応
した光刺激信号を得ることができる等の効果を有するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脳波誘導装置の一部である椅子の
斜視図である。
【図2】同上のフード部を示す拡大斜視図である。
【図3】脳波信号処理部のブロック図である。
【図4】光刺激が適性なときのα波誘導の実測波形図で
ある。
【図5】光刺激が強すぎるときのα波誘導の実測波形図
である。
【符号の説明】
1 椅子 1a 背凭れ 3 フード 4 発光部 7a,7b 脳波用電極 8 生体アンプ 9 帯域フィルタ 10 レベル自動調整回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−347171(JP,A) 特開 平4−347169(JP,A) 特開 平4−347168(JP,A) 特開 平4−347167(JP,A) 特開 平2−302272(JP,A) 特開 平2−302271(JP,A) 特開 平2−302270(JP,A) 特開 平2−168932(JP,A) 特開 昭59−44272(JP,A) 特開 昭56−76958(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 椅子の背凭れ上面に開閉自在に取付けら
    れ、前方に回動した状態で椅子に座った被験者の顔面を
    覆うフードと、該フードの内面の被験者の顔面に対応し
    た位置に取付けられ脳波を誘導する光刺激用の発光部
    と、被験者の前頭部に取付けられ脳波を検出する脳波用
    電極と、該脳波用電極よりの検出信号中から誘導すべき
    脳波に対応する所定の周波数成分のみを選択的に通過さ
    せる帯域フィルタと、該帯域フィルタの出力信号の振幅
    レベルを所定のレベルに調整するレベル調整手段と、該
    レベル調整手段の出力信号を所定の身体刺激信号に変換
    し前記発光部に出力する変換手段とからなる脳波処理部
    と、を具備したことを特徴とする脳波誘導装置。
  2. 【請求項2】 前記したフードの少なくとも被験者の目
    が位置する部分をハーフミラーあるいはミラーで構成
    し、被験者が前記脳波用電極の装着状態を見ることがで
    きるようにしたことを特徴とする請求項1の脳波誘導装
    置。
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