JP2740595B2 - ドリル加工性にすぐれる二相ステンレス鋼 - Google Patents

ドリル加工性にすぐれる二相ステンレス鋼

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はドリル加工性にすぐれる
二相ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】製紙機械におけるサクションロ
ールは、中空スリーブの外周面に円筒状ゴムカバーを嵌
装した構造であって、内周面側には低圧に保持されたサ
クションボックスが配設されている。スリーブ及びゴム
カバーには、多湿紙の水分を吸引するための小口径(約
3〜6mm)のサクションホールが、夫々、その全領域に
わたり、軸方向及び周方向に数mmのピッチにて開設さ
れ、その個数は、数万〜数十万個にも及ぶ。このサクシ
ョンロールは腐食雰囲気中で使用されるため、スリーブ
材料は、すぐれた耐食性、高い腐食疲労強度等が要請さ
れ、一般的にはフェライト−オーステナイト二相組織の
ステンレス鋼が使用されている。また、上記のサクショ
ンホールの孔明けは、ドリル加工によって行なわれるた
め、この二相ステンレス鋼はドリル加工性にすぐれるも
のでなけらばならない。しかし、二相ステンレス鋼は被
削性が良くないため、孔明作業時にドリルの折損事故等
が頻繁に発生し、ドリル処理のために、多大な時間とコ
ストを要しているのが実情である。
【0003】
【技術的課題】ところで、オーステナイト系ステンレス
鋼にBiを添加すれば、延性が低下する反面、被削性が
改善されることは既に知られている。しかし、同じステ
ンレス鋼でも二相ステンレス鋼の場合は、Biを添加し
ても被削性の改善効果は認められず、延性の低下を招来
するだけであるため、Biを含有した二相ステンレス鋼
に関する報告はこれまでにない。本発明者は、二相ステ
ンレス鋼の被削性について鋭意研究した結果、Biの単
独添加では改善効果は認められないが、BiとBを複合
的に添加すれば、ドリル加工性は著しく向上することを
見出した。本発明は、ドリル加工性にすぐれる二相ステ
ンレス鋼を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の二相ステンレス
鋼は、重量%にて、C:0.05%以下、Si:0.2〜
2.0%、Mn:0.2〜2.0%、Ni:3〜8%、C
r:19〜28%、Mo:1〜4%、Cu:0.2〜3.
0%、Co:0.2〜2.0%、N:0.05〜0.30
%、Bi:0.01〜0.1%、B:0.01〜0.1%を
含有し、残部実質的にFeからなる。
【0005】
【作用】本発明の二相ステンレス鋼は、ドリル孔明け加
工時におけるトルク及びスラスト力が小さく、ドリル加
工性にすぐれている。
【0006】
【成分限定理由の説明】
C:0.05%以下 Cはオーステナイト生成元素であり、強度の向上に寄与
するが、含有量が多すぎるとクロム炭化物が析出しやす
くなり耐食性が損なわれる。このため、上限を0.05
%とする。
【0007】Si:0.2〜2.0% Siは溶鋼の脱酸及び成形性確保のために、少なくとも
0.2%を必要とする。しかし、多量に含有すると、靱
性が損なわれるため、2.0%を上限とする。
【0008】Mn:0.2〜2.0% Mnは通常の脱酸及び脱硫過程で含有されるもので、
0.2〜2.0%の範囲内であれば特に問題はない。
【0009】Ni:3〜8% Niはオーステナイト相を安定化する元素であり、靱性
の向上にも寄与する。このため、少なくとも3%の含有
を要する。一方、あまりに多く含有するとオーステナイ
ト相が過剰になって二相の量的バランスを逸する。この
ため、8%を上限とする。
【0010】Cr:19〜28% Crは耐食性の向上に寄与し、またフェライト相の形成
により強度を高める。このため、少なくとも19%含有
させる必要がある。一方、あまりに多く含有すると靱性
の低下を招き、また成形時に脆弱なシグマ相を生成す
る。このため、上限を28%とする。
【0011】Mo:1〜4% Moは耐食性の向上に寄与するため、少なくとも1%含
有させる。しかし、多量に加えるとシグマ相の析出によ
る製造時の脆化が著しくなる。そこで、4%を上限とす
る。
【0012】Cu:0.2〜3.0% Cuは耐食性の向上及びオーステナイト相の固溶強化に
寄与する。このため、少なくとも0.2%の含有を要す
る。しかし、あまりに多く含むと金属間化合物の生成に
伴って靱性の低下を惹起する。このため、3.0%を上
限とする。
【0013】Co:0.2〜2.0% CoはNiと同様にオーステナイト生成元素であり、耐
食性、腐食疲労強度の向上への寄与は大きい。また、機
械的性質、特に衝撃値の向上にも大きく寄与するため、
0.2〜2.0%含有させる。
【0014】N:0.05〜0.30% Nはオーステナイト生成元素であり、靱性の向上及び耐
食性の改善に寄与する。従って、0.05〜0.30%含
有させる。
【0015】Bi:0.01〜0.10% Biは延性(特に熱間延性)を低下させる元素として知ら
れており、その延性低下に伴なって被削性を向上させる
効果があるため、難切削性のオーステナイト系ステンレ
ス鋼に広く使用されている。しかし、本発明の如き二相
ステンレス鋼の場合、Biを添加するだけでは被削性の
向上は認められない。これは、オーステナイト系ステン
レス鋼の場合、Biの含有によって、切削加工温度条件
に近い温間の延性も低下するが、二相ステンレス鋼の場
合、温間の延性はあまり低下しないためと考えられる。
本発明者は、Biと同じように延性低下作用を有するB
を、Biと共に二相ステンレス鋼に含有させれば被切削
性が著しく向上することを見出した。このように、被切
削性を向上させるために少なくとも0.01%を含有さ
せる。しかし、あまりに多く含有すると延性低下が著し
くなるので、0.10%を上限とする。
【0016】B:0.01〜0.10% Bも前述の如く、被切削性を向上させるために少なくと
も0.01%を含有させる。しかし、あまりに多く含有
するとBiと同じように延性を著しく低下させるので、
上限を0.10%と規定する。
【0017】なお、上記の二相ステンレス鋼は、上記各
成分を含有し、残部は実質的にFe、即ち不可避的に混
入する不純物元素及びFeからなる。
【0018】
【実施例】各種化学成分組成の供試材を溶製し、各供試
材から調製した供試片にツイストドリルによる孔明け加
工を行ない、孔明け時に供試片に作用するトルク及びス
ラスト力を二分力動力計を用いて測定した。なお、「ト
ルク」とは、孔明け時にドリルの回転を妨げる方向の力
であり、「スラスト」とは、切削切込み方向の反発力を
意味する。
【0019】なお、試験装置は、図1に示す如く、支持
体(1)上に、締付具(3)を有する受け台(2)を設けたもの
で、支持体には、回転方向の力を測定する歪ゲージ(4)
と軸方向の力を測定する歪ゲージ(5)を貼着し、各ゲー
ジを動歪計(6)に接続している。動歪計(6)には、歪量を
読み取るためのチャート計(7)を接続している。供試片
(8)を受け台(2)の上に載せ、締付具(3)で固定し、ツイ
ストドリル(9)による孔明けを行ない、そのときのトル
クとスラストを測定した。各供試片の化学成分組成及び
孔明け試験結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1において、供試片No.1及びNo.2は本
発明の実施例、供試片No.3〜8は比較例である。比較
例に関し、供試片No.3〜No.5はBを含まず、供試片N
o.6及びNo.7はBiを含まず、供試片No.8はBとBi
の両者を含まない例である。表1から明らかなように、
本発明の実施例にかかる供試片No.1及びNo.2は、B
i、Bのいずれか一方又は両方を含まない比較例と比べ
て、トルク及びスラストの両者共小さく、ドリル加工性
にすぐれていることがわかる。
【0022】
【発明の効果】本発明の二相ステンレス鋼は、ドリル加
工性にすぐれており、かつ所定の耐食性及び腐食疲労強
度等を備えているから、製紙機械用サクションロール用
の材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】トルク及びスラストの試験方法を説明する概略
図である。
【符号の説明】
1 支持体 4 歪ゲージ 5 歪ゲージ 8 供試片 9 ツイストドリル

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にて、C:0.05%以下、S
    i:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%、Ni:3
    〜8%、Cr:19〜28%、Mo:1〜4%、Cu:
    0.2〜3.0%、Co:0.2〜2.0%、N:0.05
    〜0.30%、Bi:0.01〜0.1%、B:0.01〜
    0.1%を含有し、残部実質的にFeからなり、ドリル
    加工性にすぐれる二相ステンレス鋼。
JP19192692A 1992-07-20 1992-07-20 ドリル加工性にすぐれる二相ステンレス鋼 Expired - Lifetime JP2740595B2 (ja)

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