JP2735869B2 - ダイ用ばね構造体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本特許願は1986年11月10日付米国特許願第929124号の
一部継続出願である。

本発明は緩衝装置に関し、特に主としてダイプレス
（die press）に使用される空気ばねに関する。より詳
しくは、本発明は滑動シールを不要とする可撓性の内部
スリーブの使用によって高い内部流体圧力に耐えうるダ
イ用ばね（die spring）に関する。

本発明を要約すれば以下のとおりである。

主としてダイ用ばねに使用される空気式緩衝装置は、
基部及び内部流体槽を備えた直立の円筒状本体で形成さ
れたピストンを備える。外側ハウジングは基部に取り付
けられ円筒状本体の周囲を延びる。内側ハウジングは外
側ハウジング内での滑動のために軸方向に入れ子式に取
り付けられる。可撓性スリーブは、その一方の端部をシ
ール用キャップにより閉鎖され、他方の端部をピストン
本体の外面に気密に連結され、ピストン本体の内部はピ
ストンの流体槽と連通している流体室を形成する。ピス
トン本体には槽と室とを高圧流体で満たすための開口が
形成され、この高圧流体はスリーブの軸方向への伸長の
際に内側ハウジングの端部壁に押し付けられる端部キャ
ップによって内側ハウジングを伸張位置に置く。ハウジ
ングに形成された丸められた端部フランジは互いに係合
し、内側ハウジングの運きを伸長位置において停止させ
る。内側ハウジングは外側ハウジング内を軸方向に動き
流体槽及び室内に閉じ込められた流体を圧縮しピストン
及び内側ハウジングに加えられた力を吸収する。内側ハ
ウジングの内面及びピストンの外面には減摩材料が被覆
され、内側ハウジングの軸方向の運き中の可撓性スリー
ブの滑り摩擦及び転がり摩擦を減少する。

大形の金属加工用プレスは、主に型打ち作業に使用さ
れ、金属を希望の形状に成形するために、上方又は下方
のプラテンに取り付けられたダイ内に置かれた金属部品
と接触するラムを備える。ある種のプレスにおいては、
ダイは運動するラム上に取り付けられる。これらのプレ
スは、金属部材を希望の形状に成形する成形工程中に数
千ポンドの圧力を受ける。この圧力又は力の大部分は金
属により吸収される。しかし、支持ダイ、プレスプラテ
ン及びプレスのその他の構成要素に伝達され吸収される
余分な量の力又はエネルギーが、常にある程度存在す
る。ダイプラテン等が弾性支持物又はばねに支持される
のでなければ、プレスに加わったこの余分なエネルギー
は、プレス及びその種々の構成部品に速やかに亀裂を生
じさせ破損させる。従って、この疲労による問題を減少
させるために、ダイ及び／又はプラテン、並びに液圧式
又は空気圧式のラムは、ばねのような何らかの緩衝装置
上に支持される。

多くの工程に使用される普通の形式のばねは、高圧窒
素を入れたシリンダー内にピストンを滑動可能に取り付
けたような窒素式ダイ用ばねである。プレスの力又は余
分なエネルギーはシリンダー内の窒素を圧縮するピスト
ンロッドに加わり、力が吸収され、プレスの構成部品に
直接伝わることが妨がれる。これら窒素式ダイ用ばね
は、ピストンとシリンダー壁との間に滑動シールを必要
とするという重大な問題をかかえている。かかるシール
は、窒素の高圧力及びシリンダー壁に沿ったシールの滑
り運動のため、気密状態を維持することが困難である。

窒素は、空気を含む大多数の気体よりもより直線的な
圧縮率を持つので、かかるばねに望ましい気体であり、
種々の圧力において容易に計算でき且つ達成できる望ま
しい結果を得ることができ、そして又他の気体のように
分解したり大きな温度変化を生ずることがない。しか
し、これはばね用窒素の供給と維持とに余計な費用を必
要とする。

窒素又はその他の圧縮性気体で充満した弾性の袋（bl
adder）を用いた自給式のダイ用クッションの使用によ
り滑動シールの問題を無くすことが試みられてきた。こ
れ等のダイ用クッションにおいては滑動シールの問題は
無くなったが、所望の圧力を達成するために相当大きな
寸法の袋を必要とし、ダイ用クッションを受け入れるた
めに大形の部品をプレス又は装置のその他の部分内に設
置することが必要である。従って、これらダイ用クッシ
ョンにより滑動シールの問題は無くなったが、その他の
望ましくない特性、即ち寸法対圧力比の問題が残った。

本発明に関連するその他の従来技術は次の特許に開示
された。

米国特許第894,117号は、最も関連した従来技術であ
り、可撓性スリーブを用いた空気式懸架装置を明らかに
している。このスリーブは、内側部材の内側のねじ止め
されたつかみ用板によって取り付けられ、スリーブの他
端はねじ止め板によって外側部材の内側に取り付けら
れ、この外側部材は内側部材に関して入れ子式に動きう
るように取り付けられる。この特許のばねは、止め座
金、ねじ作動式のシール用つかみ具、ばねで押された潤
滑用パッド、費用のかかる機械加工及び／又は鋳造金属
部品のような相当多数の構成部品を必要とし、更に可動
内側スリーブの下端と接するように延びるスリーブの巻
き取りの部分が必要であり、これは可撓性スリーブを急
速に摩耗させその寿命を短くする。

スイス連邦特許第216,813号は、ピストンが環状の締
め付け用部材によりこれに取り付けられた可撓性ベロー
を持つような入れ子式の緩衝装置組立体を開示してい
る。可撓性部材の他端は静止した下方ハウジングの環状
リングに取り付けられる。可動の上方ハウジングは外側
ハウジングの周りに入れ子式とされ、可撓性部材はハウ
ジングの内面とピストンの外面との間で転動する。

ソビエト連邦特許第423,927号は、ベローと内部の静
止部材との間の流体圧力が上昇しベローを上向きに伸長
させたとき、内側の静止部材の周りを上方に入れ子式に
延びる外側部材を有するような可撓性ベローが開示され
ている。ベロー部材の一端は環状の締め付け用リングに
より入れ子式部材の一部に取り付けられる。

ドイツ国特許第2,751,430号は別形式の装置を開示し
ている。この装置では可撓性ベローは一端が相対的に静
止した上方及び下方のハウジングの間に取り付けられ、
その他端は環状のピストン板に取り付けられる。

これ等従来技術の装置には、ここに明らかされるもの
と同様なばね構成体による以下に説明する本発明の成果
を達成できるものはない。従って、内部滑動シールを使
用することなく高い繰り返し負荷に耐えることができ、
かつ希望するならば圧縮性流体として空気を使用でき、
更に従来技術の装置に要するよりも相当に少ない構成部
品で済むような改良されたダイ用ばねの要求が存在す
る。

本発明の目的は、主として金属加工用プレスに使用さ
れ、より大きな安全性、少ない費用、及び同一又はより
小さな全寸法で、現在の窒素式ダイ用ばねの性能を倍加
するような改良された空気式ダイ用ばね構成体を提供す
ることである。

更に本発明の目的は、一方の端部がピストン部材に他
方の端部がシール用キャップに気密に連結された可撓性
スリーブの使用により、内部滑動シールの必要なしに、
金属成形用プレスに使用する窒素式ダイ用ばねと直接置
き換えられる改良されたダイ用ばねを提供することであ
り、この場合、シール用キャップは、ピストン部材を取
り囲む下方ハウジング内に入れ子式に軸方向に可動に取
り付けられた内側ハウジング内に収納されている。

本発明の更に別の目的は、500〜1400psi（約35.1〜9
8.4kg/cm²）の比較的高い内圧を有し、その作動特性に
実質的に影響することなしに圧縮性気体として空気を使
用しうるような改良されたダイ用ばねであって、可撓性
スリーブがピストンの中空内部と組み合わされて内部流
体室を形成し、ピストンは圧力調整器及びサージタンク
のような補助装置によって制御される外部流体源に連結
され、それに外力が作用したときばねを振動絶縁体とし
て働かせるように流体室内の一定圧力を維持し、若しく
は流体室内に空気が完全に保持され且つ外部圧力調整装
置を必要とせずに超過エネルギーを吸収するようにダイ
の運きによって空気が圧縮されるようなダイナミック圧
力式のダイとしてダイを使用できるような改良されたダ
イ用ばねを提供することである。

本発明の更に別の目的は、ハウジング部材を伸長位置
又は平常の作動位置に維持するために、可撓性スリーブ
を囲む軸方向に可動な一対のハウジング部材に機械的停
止部が設けられ、そして可撓性スリーブの端部を閉鎖す
るシール用バンドが内部の高圧により可撓性スリーブの
端部から外れないように前記バンドをハウジング内に配
置するような改良されたダイ用ばねを提供することであ
る。

本発明の更に別の目的は、滑動シールを無くし、そし
て内側金属ハウジングの内面及びピストンの外面に沿っ
て低摩擦面を備え、弾性体スリーブとの滑り摩擦及び転
がり摩擦係合を減らし、これにより空気の漏洩を減少さ
せることで長寿命を有し、更に負荷が中心から外れた際
の柔軟性が大きく、より安全な装置であり、かつ作動流
体として従来要求された窒素を空気に置換でき、そして
最終のばね構造体を形成するために容易に組み立てうる
比較的安価な金属板よりダイ用ばねの構成部品を構成し
うるような改良されたダイ用ばねを提供することであ
る。

これらの目的及び利点は、本発明の改良されたダイ用
ばねにより得られ、その一般的性質は次のとおりであ
る。即ち、 基部及び内部が気体槽として形成された直立の円筒体
を有するピストン部材、 前記ピストン部材の基部上に取り付けられ少なくもピ
ストン部材の一部分の周りに延びている外側ハウジン
グ、 前記外側ハウジング内を入れ子式に滑動できかつ軸方
向の力がかかったとき平常の伸長位置から縮んだ位置に
動きうる内側ハウジング、 一対の開口端部を有し、一方の開口端部はピストン部
材本体の外側端部の外面に気密に連結され、他方の開口
端部は端部キャップにより閉鎖された可撓性スリーブ、 槽内に空気を入れるためにピストン部材に形成された
開口手段、 伸長位置になったとき内側ハウジングの滑動運動を停
止させるため互いに係合し且つ該滑動運動中における内
側ハウジングと外側ハウジングとの間の横方向の動きを
制限する内側及び外側のハウジング上のフランジ手段、 及び、可撓性スリーブと係合する内側ハウジングの内
面上とピストン部材の円筒体の外面上にあって、内側ハ
ウジングが伸長位置と縮んだ位置との間を動くとき内側
ハウジングの内面とピストン部材の円筒体の外面との間
の摩擦接触を減少させる低摩擦面手段、 とを備えたダイ用ばねである。

本発明の実施に最適と考えられる好ましい実施例が以
下説明され添付図面に示され、特許請求の範囲に特に明
確に指摘され説明される。全図面を通して同じ部品には
同じ番号が付けられる。

改良されたダイ用ばね構造体は全体として１で示さ
れ、第１図にはその３つが全体として２で示されたダイ
プレスに取り付けられた状態で模式的に示される。ダイ
用ばねの１つはプレスの上板３内に取り付けられ、２つ
のばねはプレスの下板５の凹所４内に置かれて示され
る。上方のダイ６は下方のダイ８に合致した金属要素７
と接触した状態で示される。第１図は本発明の改良され
たばねを利用しうる配置の１例を示すが、かかる応用例
に限定するものではない。

改良されたダイ用ばね１の主構成部品を第２図に分解
して示す。ダイ用ばね１は、全体として10で示されたピ
ストン部材、全体として11で示され弾性的織物補強材料
で形成された円筒状の可撓性スリーブ、全体として12で
示された円筒状の金属製外側ハウジング、全体として13
で示された円筒状の金属製内側ハウジング、上方及び下
方の締め付け用バンド14と15、及び全体として16で示さ
れたスリーブシール用円盤より構成される。

第２図及び第３図を参照すると、ピストン部材10は、
上方開口端20を有する直立のピストン19と共に好ましく
は一体に形成された環状基部18を有し、この開口端20は
全体として38で示され流体槽の一部を形成する中空内部
21内への入口を形成する。ハウジング12は円筒状側壁17
を有し、組み立てられた状態ではピストン19の周りに入
れ子式に取り付けられ、かつ多数の取り付け用ボルト23
又はその他の固定用手段により、環状基部18に固定され
る。これらの取り付け用手段は、ハウジング壁17に形成
された穴22を通り、基部に形成されたねじ穴24内に延び
る。第１図に示されるように、プレスの凹所４内のよう
な装置の一部分にダイ用ばねを取り付けるために、基部
18の底部に複数の付加的なねじ穴25を設けることができ
る。入口ポート27がピストン19の中実の円柱状の基部28
に形成され、コネクター29によって高圧気体源に連結さ
れ、流体槽38を一緒に形成する中空内部21内及び可撓性
スリーブで形成された高圧流体室30内に気体を供給す
る。

可撓性スリーブ11は繊維又は織物で補強された弾性材
料で形成されるのが好ましく、上方開口端部32と底部開
口端部33とを形成された円筒状である。スリーブ11の下
端はピストン19の外面に入れ子式に取り付けられ、締め
付け用バンド14によりそこに気密に締め付けられる。ス
リーブ11の折り返された端部34は、円周状の段付き部37
に隣接してピストン19の細くされた上方部分36に形成さ
れた複数の円周溝35内に締め付け用バンド14により押し
込まれる。溝35と段付き部37とは、スリーブ11の折り返
し部34がバンド14によりそこに押し付けられたとき、ピ
ストン部分36との気密な係合を助ける。

第３図及び第５図に特に示されるように可撓性スリー
ブ11の開口端部32はシール用円盤16によりシールされ
る。シール用円盤16は環状の形状であり、一連の溝39が
形成された円柱状側壁45を有し、バンド14によってスリ
ーブ11の下端部分34を締め付けるのと同様な方法で、ス
リーブ11の上方部分40は環状の締め付け用バンド15によ
り側壁45に締め付けられる。溝39の上方には環状の段付
き部41が形成され、スリーブの端部40をその折り曲げら
れた位置に固定するのを助ける。シール用円盤16の端部
壁体42には端部キャップ取り付け用に形成されたねじ穴
44を有する中央ボス43を形成することができる。ここ
は、ダイ用ばね１をダイ又は装置のその他の部分に取り
付けたときのダイ用ばねの上端に相当する。

内側ハウジング13は型打ちされた金属板で形成される
のが好ましく、環状の頂部壁47で終わる円筒状側壁46を
持つ。本発明の特徴の一つに従って、内側ハウジング13
の下端には環状のＵ字形端部48が形成され、これは外側
ハウジング12に形成された同様な形の上端部49と係合す
る（第６図）。端部キャップ16の円柱状側壁45の直径
は、第５図に示されるように、締め付け用バンド15がス
リーブ11の丸められた端部40と共に位置するような形状
であり、内側ハウジング13の円筒状の壁46の内径と概ね
相補的である。流出しようとする流体槽38内の流体の非
常に高い圧力がスリーブ端部40とバンド15とを壁46に向
かって外向きに押すが強固な壁46により動くことが防止
されるので、この関係はスリーブと溝39との気密な係合
の維持を助ける。このように、スリーブ11の丸められた
端部40は、バンド15によるシール用円盤に対する強固な
締め付けに加え、内側ハウジング壁46の内面とバンド15
の関係により更に保持される。

改良されたダイ用ばねは、まず、シール用バンド14に
よってスリーブ11をピストン19に締め付け、次いでバン
ド15によりシール用円盤16に締め付ける簡単な方法で組
み立てられる。次にスリーブは、第４図に示されるよう
に、ピストンの周りで折り返される。次いで外側ハウジ
ング12を内側ハウジング13上にはめ、組み合わされた両
ハウジングは折り返されたスリーブ上に滑り降ろされ、
次いでボルト23によりピストンの基部18に固定される。

改良されたダイ用ばね１の動作は第１図、第３図及び
第４図に最も良く図示されている。流体槽38は入口ポー
ト27を通ってその内に注入される圧縮空気供給部を含
む。圧縮流体としては空気が好ましいが、窒素のような
その他の気体を本発明の精神に影響を与えることなく使
用することができる。従って本発明は空気の使用に限定
する必要はないが、空気は他の気体と比べその入手可能
性と低費用とにより好ましいものである。

平常位置、静止位置又は伸長位置と呼ぶ第３図の加圧
位置にあるときは、シール用円盤16に作用する圧力は、
円盤16を内側ハウジング13内で軸方向に動かし、ハウジ
ングの頂部壁47と接触係合させ、ハウジング13を第３図
の伸長位置に動かす。ハウジング13は、内部の流体圧力
及び丸められた端部48と49との係合により、その伸長位
置に維持される。これら丸められた端部は、ハウジング
13がその伸長位置に達したとき、ハウジングの動きを停
止させるように作用する。

改良されたダイ用ばねの作動、特徴及び利点は第３図
及び第４図に最もよく示される。内側ハウジング13の端
部壁47又はピストン部材10の基部に一般に軸方向の力が
かかると、第４図に示されるようにスリーブ11がピスト
ン19の外面に沿って下降し、内側ハウジング13は外側ハ
ウジング12の円筒状壁17とピストン19との間に形成され
た環状の隙間50内へと動く。流体槽38内に含まれた流体
は圧縮され、ばね１に加わったエネルギーを吸収する。
次に、加えられた軸方向の力が無くなると、圧縮された
流体の内部圧力は、内側ハウジング13を第３図に示され
た伸長位置に自動的に復帰させる。

ある応用例においては、サージタンク、調整器等の補
助装置が適当な導管によりコネクター29に連結される。
これらは、流体室38内の流体が無制限に圧縮される代わ
りに一定圧力に維持されることを確実にする。いずれの
例でもダイ用ばね１は意図された機能を遂行する。ま
た、内側ハウジング13の丸められた端部48は、ベース18
の環状の段付き部51と接触し、更に正常でない情況のも
とでダイ用ばねに加わる力がダイを底部に届かせてしま
うのに十分な大きさであっても、流体が加えられた力を
吸収しこのような接触を防ぐようにダイが設計されてい
るので、スリーブ11とその気密結合の破損を防止するた
めの積極的な機械的停止部を形成する。

外側ハウジング12と内側ハウジング13とのこの独特の
相互関係により、ある程度中心を外れた力に耐え非常に
安全かつ有能な装置を提供できる安定したダイ用ばねが
提供される。一点鎖線53により示された内側ハウジング
13の環状の丸められた端部の外径（第６図）は、外側ハ
ウジング12の円筒状壁17の内径とほぼ等しい。この関係
により、外側ハウジング12に関する内側ハウジング13の
横方向運動が防がれ、ハウジングに加えられた中心外れ
のいかなる力も概ね軸方向に伝達される。

また内側ハウジング13の内径、即ち円筒状側壁46の内
径は、第４図に示されるようにスリーブ11が延びてピス
トン19の側壁に延びそして折り返しができようにピスト
ン側壁から十分な距離をとれるように、十分に大きい。
この距離は、第６図に矢印54で示され、丸められた端部
48の外端と内側ハウジング壁17の内面との隙間より大き
く、ハウジングに加えられたいかなる中心外れの力も、
丸められた端部48の反対側部分55がピストン19の外面に
スリーブ11を押し付けて破損させあるいははさみ込む前
に、丸められた端部48の上向きに延びるフランジ52が側
壁17の内面に確実に係合する。同様に、第３図及び第６
図に示されたような丸められた端部48と49との全周的な
係合により、入れ子式に接合された２つのハウジングの
外れる危険性はいささかもなく、流体槽38内において高
圧を使用しそして流体槽内に含めることができる。

更に、高圧流体はスリーブ11によって流体室38内に保
持され、かつピストン及びシリンダーの内壁と係合する
取り巻いたシール用リングを用いる従来のダイ用ばね構
成体のようなダイの２つの可動部材間の摺動領域に高圧
流体が作用するのではないため、２つのハウジング間の
滑動係合にはいかなるシール用手段をも必要としない。
本発明の別の特徴は、スリーブ11の端部に関するシール
用バンド14及び15の位置決めが、高い内圧により援助さ
れることである。即ち、この内圧はシールされた部材間
の気密を破壊しようとする代わりにシール作用を助け
る。上述のように、高い内圧はシール用バンド15を外方
に押そうとするが、この動きは内側ハウジング壁46の内
面により防止される。また、圧力は下方シール用バンド
14をピストン部材10の環状の溝35及び段付き部37に押し
付ける。

この改良されたダイ用ばねは、これまで良く知られて
きたダイ構成体よりも部品数が少なくかつ安価な装置で
あり、従って費用が少なくて済みしかも滑動シールの必
要性が全く無い非常に有効な装置を提供する。この滑動
シールは、従来、高圧窒素又はその他の空気用シールに
とって主要な問題分野であった。本装置は、かかる滑動
シールを無くしたことによりダイ用ばねを長寿命化し、
装置の作動特性を犠牲にすることなく作動流体として空
気の使用を可能とし、また可撓性スリーブのピストン部
材と上方シール用円盤とに対するシール部における空気
の漏洩を減少させ、かつ従来のダイ用ばね構造体よりも
中心からずれた荷重に対する柔軟性を大きくする。

外側ハウジング12は、内側ハウジング13の案内として
作用し、流体圧力を緩和したり抑制したりはしないの
で、図示の円筒状形状でないその他の形状とすることが
できる。同様に内側ハウジングも他の形状としうるが、
円筒形は内部流体による外向き半径方向の圧力が壁46に
等しくかかるので好ましい形状である。同様に、スリー
ブ11の上端32から流体が逃げることを防止するために、
ここを円盤16とバンド15以外の別の手段で閉鎖すること
ができる。

改良されたダイ用ばねの変更された実施例が全体とし
て57で示され、特に第７図及び第８図に示される。ダイ
57の特徴の大部分は上述のダイ用ばね１のそれと同様で
ある。内部ピストン58の上端は、可撓性スリーブ11の折
り返し部60の方に徐々に変化するように59においてテー
パーが付けられ、ピストン58の中空内部61は、ピストン
19について第３図及び第４図に示されたよりも更にピス
トン内部に向かって軸方向に延ばすことができる。

改良されたダイ用ばね57の特徴の一つにより、一対の
停止用リング63及び64（その一方が第９図に示される）
が、外側ハウジング66の円筒状壁65の内周端部、及び内
側ハウジング68の円筒状側壁67の外周下端部に、それぞ
れろう付けされる。第７図に示されるように、リング63
と64の直径は、ダイ用ばね１の環状の丸められた端部48
及び49の方法とある程度同様な方法で、内側ハウジング
68の完全伸長位置においてその外向き運動を停止させる
機械的停止部を形成するために、リングが互いに接触す
るように決められる。

停止用リング63と64は、ハウジング壁65と67を形成す
る鋼とは異なった金属であるように黄銅又は青銅で形成
される。この異種金属の使用は、鋼と青銅又は黄銅のよ
うな異種金属間の滑動作動時の作用と対照的に、２つの
同種金属間の滑動時に生ずる電食及び摩耗作用を減少さ
せる。ある応用に対しては、ダイ用ばね１の一体構成さ
れた丸められた端部48及び49と比較して、別個のリング
63及び64の使用は、改良されたダイ用ばね57の製造及び
組み立てを容易にし、しかもダイ用ばね１の丸められた
端部と同様の方法でダイ用ばねに同じ停止効果と中心ず
れ抑制を与える。もし希望するならば、第７図に示され
るような改良されたダイ用ばね57は、内側ハウジング68
の頂部開口端71内に熔接70によって固定された別の環状
頂部壁69を有することができる。

改良されたダイ用ばね57の主な特徴の一つにより、内
側ハウジング壁67の内面に低摩擦材料の被覆75が施さ
れ、またピストンの円筒状壁72の外面に同様な被覆76が
施される。適当と考えられる減摩材料の一つは商標名TE
FRON（テフロン）として発売されているポリテトラフル
オロエチレンであり、よく知られている接着方法により
円筒状表面に固着される。これら低摩擦面は、内側ハウ
ジングが伸長位置と縮んだ位置との間を軸方向に往復す
るとき、弾性体スリーブがこれ等の表面に沿って丸まり
又は滑って動く際のスリーブの運きを容易にする。この
低摩擦被覆は、このような被覆材料のない場合よりも弾
性体スリーブの寿命を増加させることが見出だされた。

低摩擦被覆75及び76は、本発明の概念に影響を与える
ことなく78で示された別の低摩擦材料スリーブ（第10
図）で置き換えることができる。これらスリーブは、公
知の手段により内側ハウジング68の内面にそしてその内
側に隣接して、そしてピストン表面72の周りに入れ子式
に位置付けられ固定される。それぞれのスリーブ78は低
摩擦被覆75及び76と同じ作用を行うが、内側ハウジング
壁及びピストン面の被覆工程を避けることができる。こ
れ等スリーブはダイ用ばねの組み立て中に別に取り付け
ることだけしか必要でない。

改良されたダイ用ばね57は、前述のダイ用ばね１と同
じ利点を有する構造である。更にばね57においては、内
側ハウジング及び外側ハウジングの壁に取り付けられた
異種金属製の別個の停止用リングが、軸方向の停止を行
うと同時に、前述のダイ用ばね１により得られる利点を
いささかも犠牲にすることなく電食作用を減少させ、且
つ弾性体スリーブ及び内側ハウジング面とピストン外面
の間の滑り摩擦及び転がり摩擦を減少させて弾性体スリ
ーブの寿命を延ばす。

従って、ダイ用ばねの構造は簡単化され、列挙された
総ての目的を達成し、従来の装置における困難性を無く
し、かつ問題点を解決し新しい結果が得られる、有効、
安全、安価かつ有能な装置を提供する。

以上の説明においては、特定の術語を簡潔、明瞭及び
理解のために使用したが、これらの術語は説明のために
使用されたものであり広く解釈すべきであって、従来技
術の要求を越えた不必要な制限を含むものではない。

更に、本発明の説明と図面とは例示のためのものであ
り、本発明の限界は図示され説明された詳細に限定され
ない。

本発明の特徴、発見、原理、及び改良されたダイ用ば
ねを構成し使用する方法、構成体の特徴、並びに得られ
た有利、新規かつ有用な結果について説明したが、新規
かつ有用な構造、装置、要素、配置、部品、及び組み合
わせは実施態様において説明される。

本発明の主な特徴及び実施態様は以下のとおりであ
る。

1.a）基部及び内部流体槽を形成された直立円筒状本体
を有するピストン部材、 ｂ）前記ピストン部材の基部に取り付けられそして前記
ピストン部材の本体の少なくも一部分の周りを延びる外
側ハウジング、 ｃ）前記外側ハウジング部材内に入れ子式に滑動可能に
取り付けられそして軸方向の力が加えられると通常の伸
長位置から縮んだ位置に動きうる内側ハウジング、 ｄ）一対の開口端部を有し、一方の開口端部はピストン
部材本体の外側端部の外面に気密に連結され、他方の端
部は端部キャップによって閉鎖された可撓性スリーブ、 ｅ）前記槽内に空気を導入するためピストン部材に設け
られた開口手段、 ｆ）内側ハウジングが伸長位置に達すると外側ハウジン
グに関する内側ハウジングの滑動運動を停止させ且つ前
記滑動運動中の内側ハウジングと外側ハウジングとの間
の横方向の運きを制限するための内側ハウジング上及び
外側ハウジング上の相互に結合する手段、及び ｇ）可撓性スリーブと係合する内側ハウジングの内面上
及びピストンの円柱状本体の外面上にあって、内側ハウ
ジングが伸長位置と縮んだ位置との間を動くときこれら
の間の摩擦接触を減らす低摩擦表面手段、 を備えた空気式緩衝装置。

2.前記内側ハウジングを伸長位置に向かって動かすため
に圧力流体によってスリーブが軸方向に延びるとき、前
記端部キャップは内側ハウジングの端部壁と係合する上
記１に記載のダイ用ばね構成体。

3.ピストン部材の基部と本体並びに内側及び外側のハウ
ジングは円筒状であり、可撓性スリーブの端部は環状の
シール用バンドによりピストン部材の本体及び端部キャ
ップに連結される上記１に記載のダイ用ばね構成体。

4.端部キャップの外径とシール用バンドは上方ハウジン
グの内径と相補的な関係にあり、これにより上方ハウジ
ングは前記シール用バンドの外向きの運きを拘束する上
記１に記載のダイ用ばね構成体。

5.端部キャップは、可撓性スリーブを閉じ込めるため
に、一連の環状の溝が形成された円柱状の側壁を備える
上記４に記載のダイ用ばね構成体。

6.外側ハウジングの上方開口端部及び内側ハウジングの
下方開口端部はフランジ手段を形成された丸められた端
部で終了し、前記両ハウジングの丸められた端部は内側
ハウジングが最大伸長位置にあるとき互いに係合する上
記１に記載のダイ用ばね構造体。

7.フランジ手段は外側ハウジングの開口端部の内面及び
内側ハウジングの開口端部の外面に固定された一対の環
状停止用リングを含み、該ハウジングのリングは内側ハ
ウジングが最大伸長位置にあるときに互いに係合する上
記１に記載のダイ用ばね構成体。

8.内側及び外側のハウジングは鋼で形成され、前記停止
用リングはハウジングとは異なった金属材料で形成され
る上記７に記載のダイ用ばね構成体。

9.ピストン部材の直立した円柱状本体は、該本体の開口
端部を取り囲む内向き円錐状テーパー領域を形成された
上記１に記載のダイ用ばね構成体。

10.低摩擦面手段が、内側ハウジングの内面及びピスト
ンの円柱状本体の外面に固着された低摩擦材料の被覆で
ある上記１に記載のダイ用ばね構成体。

11.低摩擦面手段は低摩擦材料で形成された一対のスリ
ーブであり、該スリーブの一方は前記内側ハウジングの
内に入れ子式に滑動可能に取り付けられそして該内側ハ
ウジングの内面に隣接して位置し、該スリーブのもう一
方は前記ピストン部材に入れ子式に滑動可能に取り付け
られそして該ピストンの円柱状本体の外面に隣接してい
る上記１に記載のダイ用ばね構成体。

12.a）基部及び内部ガス槽を形成された直立円筒状本体
を有するピストン部材、 ｂ）前記ピストン部材の基部に取り付けられそして前記
ピストン部材の本体の少なくも一部分の周りに延びる外
側ハウジング、 ｃ）前記外側ハウジング部材内に入れ子式に滑動可能に
取り付けられそして軸方向の力が加えられると平常の伸
長位置から縮んだ位置に動きうる内側ハウジング、 ｄ）一対の開口端部を有し、一方の開口端部はピストン
部材本体の外側端部の外面に気密に連結され、他方の端
部は端部キャップにより閉鎖された可撓性スリーブ、及
び ｅ）内側ハウジングが伸長位置に達すると内側ハウジン
グの滑動運動を停止させそして該滑動運動中の内側ハウ
ジングと外側ハウジングとの間の横方向の運きを制限す
るために、内側及び外側のハウジングと一体に形成され
相互に係合しうる丸められた周囲端部、 とを備えた空気式緩衝装置。

13.ピストン部材の直立円筒状本体には、気体槽の開口
端部を取り巻く円錐状の下向きテーパーが付けられた表
面が形成され、可撓性スリーブは内側ハウジングが伸長
位置にあるときにピストン部材の円柱状本体の円錐状表
面に沿って延びる折り返し端部を有する上記12に記載の
ダイ用ばね構成体。

14.減摩材料は、内側ハウジングが伸長位置と縮んだ位
置との間を動くとき可撓性スリーブと係合するように内
側ハウジングの内面及びピストン本体の外面に沿って延
びる上記12に記載のダイ用ばね構成体。

15.減摩材料は商標TEFLON（テフロン）として販売され
るポリテトラフルオロエチレンである上記14に記載のダ
イ用ばね構成体。

16.内側ハウジングは端部壁を有しそして前記内側ハウ
ジングを平常の伸長位置に置くように端部キャップに接
触して係合する上記12に記載のダイ用ばね構成体。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の３つの改良されたダイ用ばねが内部に
取り付けられたダイプレスを示す図式的な断面図。 第２図は改良されたダイ用ばねの種々の部品を分解状態
で示す分解斜視図。 第３図は伸長又は正常の静止状態において示された組み
立て状態のダイ用ばねの拡大断面図。 第４図は圧縮状態にあるダイ用ばねを示す第３図と同様
な断面図。 第５図は可撓性スリーブの上端に気密に連結された端部
キャップ及びシール用バンドを示す拡大部分断面図。 第６図はダイ用ばねが伸長位置にあるときの互いに係合
した内側と外側のフランジの丸められた端部を示す拡大
部分断面図。 第７図は改良されたダイ用ばね構成体の変更された形式
を示す第３図と同様な断面図。 第８図は第７図の線８−８において得られた断面図。 第９図は第７図及び第８図の変更されたダイ用ばねより
取り外した停止用リングの一つを示す斜視図。 第10図は図面に示され上述されたダイ用ばねの実施例の
いずれにも組み込みうる低摩擦スリーブの斜視図。 １、57……ダイ用ばね 10……ピストン部材 11……可撓性スリーブ 12、66……外側ハウジング 13、68……内側ハウジング 14、15……締め付け用バンド 16……シール用円盤 17……円筒状側壁 18……基部 19、58……ピストン 20……上方開口端 27……入口ポート 32……上方開口端部 33……底部開口端部 46……円筒状側壁 63、64……停止用リング 75、76……低摩擦材料の被覆 78……低摩擦材料スリーブ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ａ）基部及び内部ガス槽を形成された直立
   円筒状本体を有するピストン部材、 ｂ）該ピストン部材の基部に取り付けられ、該ピストン
   部材の本体の少なくも一部の周りを延びる外側ハウジン
   グ、 ｃ）該外側ハウジング内に入れ子式に滑動可能に取り付
   けられ、軸方向の力が加えられると通常の伸長位置から
   縮んだ位置に動きうる内側ハウジング、 ｄ）一対の開口端部を有し、一方の開口端部は該ピスト
   ン部材の該本体の外側端部の外面に気密に連結され、他
   方の端部は端部キャップによって閉鎖された可撓性弾性
   体スリーブ、 ｅ）該槽内に加圧ガスを導入するためピストン部材に設
   けられた開口手段、 ｆ）該外側ハウジングの開口端の内側及び該内側ハウジ
   ングの開口端の外側に連結されており、該内側ハウジン
   グが最大の伸長位置に達すると相互に係合可能である一
   対の環状金属停止用リングであって、該ハウジングの各
   々が、それぞれの停止用リングの金属とは異なる金属に
   よって形成されている一対の環状金属停止用リング、及
   び ｇ）該可撓性スリーブに係合し得る該ピストンの該本体
   の外側表面及び該内側ハウジングの内側表面に設けら
   れ、該内側ハウジングが上記伸長位置と上記縮んだ位置
   との間の動くときこれらの間の摩擦接触を減らす低摩擦
   材料の被覆 を備えたことを特徴とする空気式緩衝装置。
2. 【請求項２】ａ）基部及び内部ガス槽を形成された直立
   円筒状本体を有するピストン部材、 ｂ）該ピストン部材の基部に取り付けられ、該ピストン
   部材の本体の少なくも一部の周りに延びる円筒状外側ハ
   ウジング、 ｃ）該外側ハウジング内に入れ子式に滑動可能に取り付
   けられ、軸方向の力が加えられると通常の伸長位置から
   縮んだ位置に動きうる円筒状内側ハウジング、 ｄ）一対の開口端部を有し、一方の開口端部は該ピスト
   ン部材の該本体の外側端部の外面に気密に連結され、他
   方の端部は端部キャップにより閉鎖された可撓性弾性体
   スリーブ、及び ｅ）上記伸長位置に達すると内側ハウジングの滑動運動
   を停止させ、且つ滑動運動中の内側ハウジングと外側ハ
   ウジングとの間の横方向の運きを制限する、内側及び外
   側のハウジングと一体に形成され相互に係合しうる連続
   的な丸められた周囲剛性環状縁部、及び ｆ）該可撓性スリーブに係合し得る該ピストンの該本体
   の外側表面及び該内側ハウジングの内側表面に設けられ
   た、該内側ハウジングが上記伸長位置と上記縮んだ位置
   の間の動くときこれらの間の摩擦接触を減らす低摩擦材
   料の被覆 を備えたことを特徴とする空気式緩衝装置。